JP2022146119A - 食用組成物およびその製造方法 - Google Patents

食用組成物およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022146119A
JP2022146119A JP2021046926A JP2021046926A JP2022146119A JP 2022146119 A JP2022146119 A JP 2022146119A JP 2021046926 A JP2021046926 A JP 2021046926A JP 2021046926 A JP2021046926 A JP 2021046926A JP 2022146119 A JP2022146119 A JP 2022146119A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
edible composition
hemoglobin
amino acids
iron
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021046926A
Other languages
English (en)
Inventor
明義 河岡
Akiyoshi Kawaoka
誠 町田
Makoto Machida
正樹 加藤
Masaki Kato
明良 加賀屋
Akira Kagaya
雄司 太田代
Yuji Otashiro
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Akita Jujo Kasei KK
Original Assignee
Akita Jujo Kasei KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Akita Jujo Kasei KK filed Critical Akita Jujo Kasei KK
Priority to JP2021046926A priority Critical patent/JP2022146119A/ja
Publication of JP2022146119A publication Critical patent/JP2022146119A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

【課題】ヘム鉄製品製造過程で生じるヘム鉄回収処理後の溶液について有益な利用方法を提供することにある。また、栄養学的に優れた組成を有する食用組成物を提供することにある。【解決手段】ヘモグロビン含有物を酵素分解し、酵素反応液を限外濾過などによって分画して、分画分子量6,000以下の透過液を得、透過液を脱塩処理して、ペプチド、遊離アミノ酸、および鉄を含む食用組成物を得る。ペプチドおよび遊離アミノ酸には、分岐鎖アミノ酸が含まれている。【選択図】図1

Description

本開示は、食品組成物およびその製造方法に関し、詳しくは分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物並びにその製造方法に関する。
鉄は生体にとって必須の成分である。鉄は通常の食事を通じても摂取できるが、鉄の摂取をさらに補強するために、鉄が配合された栄養助剤なども開発されている。例えば、主として牛、豚の生血球もしくはその乾燥物、いわゆる血粉などを原料とし、タンパク質分解酵素を作用させた後、ヘム鉄含有部分を遠心分離し、その沈殿物を乾燥させたものがヘム鉄含有製品として販売されている。しかし、従来行われていた製造方法によって得られたヘム鉄含有食品などは独特の悪臭や悪味があり、そのため市場での普及に限界があったと言われる。そこで、その悪臭や後味を改善するために、ヘム鉄含有製品又はその中間体を脂質溶解有機溶媒で処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平10-330272号公報
ところで、従来行われてきたヘム鉄製品の製造過程では、血粉などの原料を含む溶液に酵素を添加して分解反応を行い、その後、ヘム鉄を多く含む含有物を回収するために遠心分離または濾過を行い、分離回収していた。他方、ヘム鉄を含む分画を分離回収した後に残る溶液については有益な利用法が見いだせず、そのまま廃棄処分としていた。
以上のような状況に鑑み、解決しようとする課題の1つは、ヘム鉄製品製造過程で生じるヘム鉄含有物回収処理後の溶液について有益な利用方法を提供することにある。
また、解決しようとする課題の1つは、ヘム鉄分離回収処理後の溶液から、新たな製品を開発することにある。
本発明者らは、ヘモグロビン含有物を原料とするヘム鉄製品の製造過程において生じるヘム鉄含有物回収後の溶液について有益な利用方法を鋭意研究開発していたところ、驚くべきことに、ヘム鉄製品を製造するための画分を分離した後の溶液中には、分岐鎖アミノ酸などのアミノ酸が豊富に含まれており、且つ若干鉄も残っていることを見出した。そして、適切な処置を施すことにより優れた食用組成物を得ることに成功した。本開示中に提示される発明は、係る知見を基づいて成されたものであり、多面的にいくつかの態様として把握しうるところ、課題を解決するための手段として、例えば、下記のものを含む。
〔1〕 ヘモグロビン含有物に由来する分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物であって、
前記ヘモグロビン含有物の分解物であるペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、
前記ペプチドの分子量が6,000以下であり、
前記ペプチドの重量平均分子量が300~1,000であり、
前記食用組成物中の全アミノ酸の含有量が60重量%であり、
前記食用組成物中の全アミノ酸に対する前記分岐鎖アミノ酸の含有割合が15重量%以上であり、
前記食用組成物中の塩化物の含有量が0.10重量%以下であり、
前記食用組成物中の前記鉄の含有量が0.02重量%以上である、
食用組成物。
〔2〕 前記ヘモグロビン含有物が、哺乳類由来のヘモグロビン含有物である、上記〔1〕に記載の食用組成物。
〔3〕 前記ヘモグロビン含有物が、血液および血粉のいずれか一方または双方である、上記〔1〕または〔2〕に記載の食用組成物。
〔4〕 前記食用組成物中の全アミノ酸に対するロイシンの含有割合が10重量%以上である、上記〔1〕または〔2〕に記載の食用組成物。
〔5〕 分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物の製造方法であって、下記(A)~(C):
(A)ヘモグロビン含有物にプロテアーゼを作用させて分解反応を行い、酵素反応液を得ること、
(B)前記酵素反応液を濾過分離し、分画分子量6,000以下の濾過液を得ること、並びに
(C)前記濾過液を脱塩処理し、脱塩処理物を回収し、分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物を得ること、
を含む、方法。
〔6〕 さらに、(D)前記脱塩処理物を乾燥させて、乾燥物を回収することを含み、前記乾燥物を、分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物として得る、上記〔5〕に記載の方法。
〔7〕 前記ヘモグロビン含有物が、哺乳類由来のヘモグロビン含有物である、上記〔5〕または〔6〕に記載の食用組成物。
〔8〕 前記ヘモグロビン含有物が、血液および血粉のいずれか一方または双方である、上記〔5〕~〔7〕のいずれか一項に記載の食用組成物。
〔9〕 前記濾過分離は、限外濾過である、上記〔5〕~〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕 前記脱塩処理は、電気透析である、上記〔5〕~〔9〕のいずれか一項に記載の方法。
本発明の一態様によれば、ヘム鉄製品製造過程で生じるヘム鉄含有物回収処理後の溶液の有益な利用方法を提供することができる。
また、本発明の一態様によれば、分岐鎖アミノ酸および鉄を含む、優れた食用組成物を提供することができる。
図1は、本開示の食用組成物の一実施例に係るGPC溶出パターンを示す図である。
以下、本開示が示す発明の実施形態について説明する。
1.食用組成物
本開示は、一実施形態として、ヘモグロビン含有物に由来する成分を含む食品組成物を提供する。本開示は、一実施形態として、分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物でありうる。
本開示の食用組成物の好ましい実施形態は、以下の要件(a)~(g)のうちのいずれか1つ、またはいずれか2つ以上の要件の組み合わせを満たす食用組成物でありうる。それらの実施形態のうち、特に好ましい一実施形態は、以下の要件(a)~(g)をすべて満たす食用組成物である。
(a)ヘモグロビン含有物の分解物であるペプチドおよび遊離アミノ酸を含む。
(b)前記ペプチドの分子量が6,000以下である。
(c)前記ペプチドの重量平均分子量が300~1,000である。
(d)前記食用組成物中の全アミノ酸の含有量が60重量%以上である。
(e)前記食品組成物中の全アミノ酸に対する前記分岐鎖アミノ酸の含有割合が15重量%以上である。
(f)前記食用組成物中の塩化物の含有量が0.05重量%以下である。
(g)前記食用組成物中の前記鉄の含有量が0.02重量%以上である。
本開示において、「アミノ酸」との用語は、生化学において通常用いられる意味で用いられる。すなわち、「アミノ酸」とは、同一分子内にカルボキシル基とアミノ基を持つ化合物を意味し、特に断らない限り、プロリン、ヒドロキシプロリンなどのイミノ酸も含めるものとする(生化学辞典〔第4版〕、2007、東京化学同人社)。また、特に断らない限り、「アミノ酸」というときは、タンパク質を構成するアミノ酸の他、テアニン、オルニチン、シトルリン、タウリンなど、タンパク質を構成しないアミノ酸も含むものとする。
本開示において、「ペプチド」との用語は、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものの総称として用いる。「ペプチド」との用語には、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドが含まれる。「ペプチド」との用語は、一般的に言って、タンパク質よりは分子量の小さいものを指す場合が多い。しかし、実際のところ、「ペプチド」と「タンパク質」との分子量の境界はあいまいであり、数値で一律に区分することは、科学的または技術的な意義として厳密には妥当性が低い場合がありうる。本開示においては、「ペプチド」の分子量は特に断らない限り限定するものではないが、目安としては、アミノ酸残基数で50個程度までの分子でありうる。
本開示において、「分岐鎖アミノ酸」(Branched-Chain Amino Acid、略称:BCAA)とは、側鎖に分枝を持つアミノ酸のことをいい、例えば、バリン、ロイシン、およびイソロイシンなどが挙げられる。
本開示の一実施形態において、食用組成物は分岐鎖アミノ酸および鉄を含む。分岐鎖アミノ酸として好ましくは、バリン、ロイシン、およびイソロイシンが挙げられる。鉄の存在形態に特に限定はない。
また、本開示の一実施形態において、食用組成物は、ヘモグロビン含有物の分解物であるペプチドおよび遊離アミノ酸を含む。
ヘモグロビン含有物は、好ましくは、哺乳類由来のヘモグロビン含有物が挙げられ、より好ましくは、ウシまたはブタ由来のヘモグロビン含有物でありうる。また、ヘモグロビン含有物は、ヘモグロビンを含む物質であれば特に制限はないが、ヘモグロビンを多く含む生体物質として、好ましくは血液および血粉などが挙げられる。ヘモグロビン含有物は、1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示の一実施形態において、食用組成物はヘモグロビン含有物の分解物であるペプチドおよび遊離アミノ酸を含む。このペプチドは、分子量が6,000以下である。下記の製造方法に示すように、原料となるヘモグロビン含有物を酵素反応により分解し、更に限外濾過などの方法によって分画して、分子量の小さい画分(透過液)を利用しているためである。
食用組成物は、様々な種類のアミノ酸を含む。食品組成物のアミノ酸は、ペプチドの形態であってもよいし、遊離アミノ酸の形態であってもよい。また、アミノ酸は、塩酸等の酸が付加された酸付加塩の形態であってもよい。アミノ酸は、立体異性体として、L体またはD体、及びDL体がありうるが、好ましくはL体である。また、アミノ酸は、好ましくは、αアミノ酸である。
食品組成物中の全アミノ酸の含有量は、好ましくは60重量%、より好ましくは70重量%、更に好ましくは80重量%でありうる。本開示の食用組成物において、アミノ酸の含有割合は、発明としては特に上限を定めなくてもよいが、製造コストなども加味した実際の製造条件や他の成分とのバランスによっては、例えば、およそ85、90または95重量%程度でありうるであろう。
また、食品組成物中の、全アミノ酸に対する分岐鎖アミノ酸の含有割合は、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは18重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上でありうる。ここでいう分岐鎖アミノ酸は、好ましくはバリン、ロイシン、およびイソロイシンでありうる。分岐鎖アミノ酸もまた、ペプチドを構成するアミノ酸残基として含まれていてもよいし、または遊離アミノ酸として含まれていてもよい。
本開示の食用組成物において、分岐鎖アミノ酸の含有割合については、例えば健康食品の1種としては多いほど好ましく、発明としては特に上限を定めなくてもよいが、製造コストなども加味した実際の製造条件や他の成分とのバランスによっては、例えば、およそ25、30、または35重量%程度でありうるであろう。分岐鎖アミノ酸であるバリン、ロイシン、およびイソロイシンは、食品などとして外界から補給する必要があることから必須アミノ酸と呼ばれる。これらのアミノ酸は筋肉を構成している必須アミノ酸のおよそ4割近くを占め、筋肉のたんぱく質の合成を促進し、分解を抑制するなどの機能を有すると言われている。本開示の一実施形態である食用組成物は、このような分岐鎖アミノ酸の含有割合が高く、栄養学的に優れた効能を発揮することができる。
本開示の一実施形態において、食用組成物中の全アミノ酸に対するロイシンの含有割合は、好ましくは8重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは12重量%以上でありうる。分岐鎖アミノ酸のうちでも、ロイシンの含有割合が高いことは、本開示の食用組成物の実施形態における特徴と言える場合がある。
本開示の一実施形態において、食用組成物中の塩化物の含有量は、好ましくは0.10重量%以下であり、より好ましくは0.08重量%以下であり、更に好ましくは0.05または0.03重量%以下でありうる。本開示の食用組成物は、以下に詳述するように、本開示の製造方法の好ましい実施形態においては、ヘモグロビン含有物をアルカリ条件下で酵素による分解を行う。その後pHを下げるために、塩酸などを用いて中和するため、食用組成物としては塩分含有量が高すぎる傾向がある。そこで、本開示の食用組成物の好ましい実施形態として、塩化物の含有量は上記のように調整されうる。
本開示の一実施形態において、食用組成物中の鉄の含有量は、好ましくは0.02重量%以上であり、より好ましくは0.03重量%以上であり、更に好ましくは0.04重量%以上でありうる。
本開示の一実施形態である食用組成物は、以下に詳述するように、本開示の他の一実施形態である製造方法において、ヘム鉄製品を製造するための高分子画分を取り除いた後の低分子画分(例えば、UF膜透過液など)を利用しているが、低分子画分側にも鉄成分が残留しており、その量は、ヘム鉄製品より低いものの、ホエイなど他のタンパク質供給食品(またはアミノ酸供給食品)と比べると十分に高濃度なものである。すなわち、本開示の実施形態として、食品組成物は、分岐鎖アミノ酸および鉄を含有しており、栄養学的に優れた製品とすることができる。
本開示の一実施形態において、食用組成物は、食品として許容される様々な他の成分を任意に配合してもよい。他の成分としては、例えば、乳化剤、安定剤、甘味料、着色料、保存料、酸化防止剤、香料、酸味料、調味料、防かび剤、ビタミン類(例えば、ビタミンC、ビタミンB群、ビタミンE、葉酸)、ミネラル(例えば、カルシウム、銅、コバルト、マンガン)などが挙げられる。
2.食用組成物の製造方法
本開示は、一実施形態として、ヘモグロビン含有物に由来する成分を含む食用組成物の製造方法を提供する。本開示における、製造方法の一実施形態は、分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物の製造方法でありうる。
本開示における製造方法の好ましい一実施形態は、以下のように、処理(A)、(B)、および(C)を含む。
(A)ヘモグロビン含有物にプロテアーゼを作用させて酵素反応を行い、酵素反応液を得ること。
(B)前記酵素反応液を濾過分離し、分画分子量6,000以下の濾過液を得ること。
(C)前記濾過液を脱塩処理し、脱塩処理物を回収し、分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物を得ること。
<処理(A)>
処理(A)においては、ヘモグロビン含有物にプロテアーゼを作用させて、酵素反応を行い、酵素反応液を得る。
ヘモグロビン含有物については、上記「1.食用組成物」の欄にて説明のとおりである。
プロテアーゼはタンパク質を加水分解する酵素の総称である。本開示において用いうるプロテアーゼは、ヘモグロビン含有物に含まれているタンパク質を分解できるものであれば特に制限はないが、好ましいプロテアーゼとしては、ヘム鉄製品の製造において用いることができるものが挙げられる。すなわち、アルカリ性領域に至適pHを有するアルカリ性エンドプロテアーゼが好ましい。好適なプロテアーゼの例としては、限定するものではないが、アルカラーゼ2.4L FG(ノボザイムズジャパン)及びアロアーゼXA-10(ヤクルト薬品工業)などを使うことが出来る。使用するプロテアーゼの量は、処理すべき全タンパク質の重量に対して、0.0001~20U/mgタンパク質の範囲であることが好ましく、0.01~10U/mgタンパク質の範囲であることがより好ましい。
酵素反応は、タンパク質を分解する一般的な条件、例えば酵素の種類などによって、適宜調整してよい。
本開示における一実施形態としては、哺乳類由来のヘモグロビン含有物(血粉など)を酵素で分解する場合、アルカリ条件下において反応を行うことが好適でありうる。例えば、反応液のpHは、好ましくは8.0~11.0でありうる。また、反応温度は25~70℃、好ましくは、50~60℃でありうる。また、反応時間は、ヘモグロビン含有物の量、酵素の種類、酵素の添加量、pHおよび温度などの諸条件により適宜調整してよいが、好ましくは0.5~24時間でありうる。
酵素反応の停止は、一般的な方法に従って行うことができる。例えば、所定の酵素反応を行った時点で、反応液の温度をタンパク質が変性する温度にまで上昇し、酵素を失活させることにより、反応を停止させることができる。反応停止後の溶液を、酵素反応液として回収する。
<処理(B)>
得られた酵素反応液は、濾過分離を施す。濾過分離によって、好ましくは、分子量が6,000以下の低分子画分を濾過液(透過液)として回収する。高分子画分は、従来の方法に従ってヘム鉄製品の製造に利用することができる。
濾過分離の方法は、所定の低分子画分、好ましくは分子量6,000以下の低分子画分を得ることができる方法であればよく、好ましくは、限外濾過(Ultra-Filtration:UF)などを採用しうる。微生物汚染を防ぐ観点から、濾過処理中の温度を50~60℃としてもよい。
<処理(C)>
上記処理(B)で得られた低分子画分である透過液のpHは、酵素反応時のpHの状態、すなわちpH8.0~11.0程度でありうる。pHの調整は処理(B)の前後で任意でありうるが、少なくとも食用組成物とする前、好ましくは処理(B)の後の段階で、食用として適切なpH、例えばpH7程度に調整する。pHの調整には、酸、好ましくは塩酸など、を用いて中和処理が行われるため、食用組成物としては塩化物濃度が高い傾向にある。そのため、処理(C)として、脱塩処理を施す。
脱塩処理は、上記透過液の塩化物濃度を低減することができる方法であれば、透析、ゲル濾過、限外濾過等、特に限定されないが、好ましくは電気透析などを採用しうる。
<処理(D)>
本開示における製造方法の他の好ましい一実施形態として、上記処理(C)の脱塩処理の後に、さらに、処理(D)として、前記脱塩処理物を乾燥させて乾燥物を回収し、この乾燥物を分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物として得るようにしてもよい。
本開示の実施形態において、食品組成物の形態に特に制限はなく、乾燥後の粉体のまま製品としてもよいし、あるいは粒状、ペレット状、錠剤などの成形品に加工してもよい。また、本開示の食品組成物は、他の食品類に配合して用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明の技術的範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
1.食用組成物の調製
ヘモグロビンパウダー(豚血粉)(APC社製)200gを水1.4Lに添加して攪拌し、豚血粉の懸濁液を用意した。豚血粉の懸濁液に25%水酸化ナトリウム溶液を添加してpH9.7に調整し、温度を55℃に保ちつつ、プロテアーゼ(アルカラーゼ2.4L FG)を2.5g添加して、酵素反応を行った。6時間後、85℃に昇温して30分間保ち、プロテアーゼを失活させた。得られた酵素反応液を限外濾過処理し、UF膜透過液を得た。限外濾過処理には、限外濾過装置(旭化成社製ペンシル型モジュール)にUF膜(UFモジュールマイクローザ SIP-3013、旭化成社製、分画分子量6,000分子量)を装備したものを用いた。
得られたUF膜透過液を、電気透析装置(製品名:マイクロアシライザーS3、アトムス社製、膜種:AMX-SB/CMX-SB)を用いて、脱塩処理した。イオン交換膜の特性上、供試するサンプル液は中性が望ましいため、UF膜透過液1,000gに対して35%塩酸23.1gを添加し、pH7.39に調整したものを用いた。このUF膜透過液を電気透析した結果、電気伝導度が15.54から3.96mS/cmまで低下し、十分に脱塩できたと判断した。
脱塩処理後の溶液を、スプレードライヤーL8(大河原製作所社製)を用いて入口温度160℃で噴霧乾燥し粉末(実施例1)を得た。収率は約70%であった。
2.成分分析
<総窒素量の分析>
実施例1の粉末中の総窒素量を、以下のようにして測定した。
住化分析センター社製の総窒素分析装置スミグラフNC-220を用いて測定した。予め予備焼きした専用のボードに試料を正確に秤量した。分析装置の操作方法に従って、総窒素量を求めた。
<鉄含量の分析>
実施例1の粉末中の鉄含有量を、以下のようにオルト-フェナントロリン比色法によって測定した。
磁性ルツボに試料を正確に精秤し、電熱器上で煙が出なくなるまで徐々に炭化させた。さらに、電気炉で、500℃×4時間強熱し、放冷した。5.8N塩酸10mLを先のルツボに加え、沸騰湯浴上で蒸発乾固させた。次に2.9N塩酸8mLを加え、加温溶解し、No.5Bの濾紙(ADVANTEC社製)で濾過し、100mLメスフラスコに移した。濾紙上に残った不溶物を濾紙ごとルツボに移し、炭化するまで予備焼きし、500℃、4時間電気炉で加熱した。放冷後、2.9N塩酸8mLを加え、ウォーターバス上で加温溶解し、No.5Bの濾紙(ADVANTEC社製)で濾過し、この濾液を先に濾過しておいた100mLメスフラスコに加え、100mLにメスアップし、これを検液とした。
常法に従って、検液10mLに酢酸緩衝液20mL、塩酸ヒドロキシルアミン溶液1mL、σ-フェナントロリン溶液5mLを加えた後、蒸留水で100mLにメスアップした。30分静置し、分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製、レシオビーム分光光度計U-5100)で510nmの吸光度を測定した。鉄濃度は検量線より算出した。
<灰分の分析>
実施例1の粉末中の灰分含有量を、以下のようにして測定した。
重量既知の磁製ルツボに試料1~2gを精秤し、濃硫酸1mLを加えて、電気炉で徐々に加熱して出来るだけ低温で灰化した。放冷後、更に濃硫酸1mLを加え徐々に加熱して硫酸の蒸気が発生しなくなるまで燃焼した。その後、電気炉で600℃,3時間強熱灰化させ、デシケーター中で約1時間放冷後秤量し算出した。
<塩化物の分析>
実施例1の粉末中の塩化物濃度を、以下のように硝酸銀比濁法によって測定した。
測定試料5gを正確に秤量し、50mLメスフラスコを用いて蒸留水で希釈し10%溶液を作成した。この溶液1mlを20mLネスラー管2本に採取し、1.4N硝酸8mLを加えた。1本に10g/L硝酸銀溶液1mL添加し、他方に蒸留水を1ml(ブランク)加え、転倒混和させ暗所に20分静置した。分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製 レシオビーム分光光度計U-5100)を用いて、620nmの透過率を測定し、予め作成した検量線によって塩化物量を算出した。
<アミノ酸の分析>
実施例1の粉末中のアミノ酸を、以下のようにして分析した。
全アミノ酸分析では、加水分解用試験管に試料8mgを正確に秤量し、6N塩酸溶液4mLを加え、110℃で16時間以上保持し、加水分解した。この分解液を冷却後、No.5Bの濾紙(ADVANTEC社製)で濾過し、ロスの無い様に蒸留水で分解管を洗浄し回収した。この溶液をロータリーエバポレーター(BUCHI社 RotavaporR II)で乾固させた。これに、0.1Nクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.25)4mLを添加し、0.45μmのメンブレンフィルター(ADVANTEC社、MIXED CELLULOSE ESTER A045A047A)で濾過したものを検液とした。この検液を、アミノ酸自動分析装置(日立ハイテク社、L-7000)を用いて測定した。
遊離アミノ酸分析では、試料1gを精秤し、20mLの蒸留水を加えて溶解した。さらに20%スルホサリチル酸溶液5mLを加えて、蒸留水で50mLにメスアップした。この液を約1分間攪拌して、10分間静置した。遠心分離(3,000g、10分)後、上清1mLに0.1Nクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.25)9mLを加えて、混和した。この液を0.45μmのメンブレンフィルター(ADVANTEC社、MIXED CELLULOSE ESTER A045A047A)で濾過したものを検液とした。この検液を、同様にアミノ酸自動分析装置(日立ハイテク社、L-7000)を用いて測定した。
上記の成分分析結果を、表1および2に示す。
Figure 2022146119000002
Figure 2022146119000003

Claims (10)

  1. ヘモグロビン含有物に由来する分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物であって、
    前記ヘモグロビン含有物の分解物であるペプチドおよび遊離アミノ酸を含み、
    前記ペプチドの分子量が6,000以下であり、
    前記ペプチドの重量平均分子量が300~1,000であり、
    前記食用組成物中の全アミノ酸の含有量が60重量%であり、
    前記食用組成物中の全アミノ酸に対する前記分岐鎖アミノ酸の含有割合が15重量%以上であり、
    前記食用組成物中の塩化物の含有量が0.10重量%以下であり、
    前記食用組成物中の前記鉄の含有量が0.02重量%以上である、
    食用組成物。
  2. 前記ヘモグロビン含有物が、哺乳類由来のヘモグロビン含有物である、請求項1に記載の食用組成物。
  3. 前記ヘモグロビン含有物が、血液および血粉のいずれか一方または双方である、請求項1または2に記載の食用組成物。
  4. 前記食用組成物中の全アミノ酸に対するロイシンの含有割合が10重量%以上である、請求項1または2に記載の食用組成物。
  5. 分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物の製造方法であって、下記(A)~(C):
    (A)ヘモグロビン含有物にプロテアーゼを作用させて分解反応を行い、酵素反応液を得ること、
    (B)前記酵素反応液を濾過分離し、分画分子量6,000以下の濾過液を得ること、並びに
    (C)前記濾過液を脱塩処理し、脱塩処理物を回収し、分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物を得ること。
    を含む、方法。
  6. さらに、(D)前記脱塩処理物を乾燥させて、乾燥物を回収することを含み、前記乾燥物を、分岐鎖アミノ酸および鉄を含む食用組成物として得る、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ヘモグロビン含有物が、哺乳類由来のヘモグロビン含有物である、請求項5または6に記載の食用組成物。
  8. 前記ヘモグロビン含有物が、血液および血粉のいずれか一方または双方である、請求項5~7のいずれか一項に記載の食用組成物。
  9. 前記濾過分離は、限外濾過である、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記脱塩処理は、電気透析である、請求項5~9のいずれか一項に記載の方法。
JP2021046926A 2021-03-22 2021-03-22 食用組成物およびその製造方法 Pending JP2022146119A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021046926A JP2022146119A (ja) 2021-03-22 2021-03-22 食用組成物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021046926A JP2022146119A (ja) 2021-03-22 2021-03-22 食用組成物およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022146119A true JP2022146119A (ja) 2022-10-05

Family

ID=83461414

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021046926A Pending JP2022146119A (ja) 2021-03-22 2021-03-22 食用組成物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022146119A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Charoenphun et al. Calcium-binding peptides derived from tilapia (Oreochromis niloticus) protein hydrolysate
US8354502B2 (en) Bioactive peptides identified in enzymatic hydrolyzates of milk caseins and method of obtaining same
US9609883B2 (en) Method for producing wheat glutamine peptide
CN108410938A (zh) 一种制备低苦味乳清蛋白抗氧化肽粉的方法
WO2005012542A1 (ja) カゼイン加水分解物、その製造法及びその用途
WO2016172979A1 (zh) 一种低致敏低苦味大豆低聚肽及其制备方法和应用
JP2001238640A (ja) 葉酸及び/又はビタミンb12−ラクトフェリン類複合物
CN111454347A (zh) 一种肽钙螯合物及其制备方法与应用
JPS585672B2 (ja) テイフエニルアラニンプラステインノセイゾウホウ
JP2020535835A (ja) 改良された栄養価を有するエンドウマメタンパク質組成物
CA2105673C (en) Method for production of a vegetable protein hydrolyzate and a use thereof
Jaiswal et al. Iron (II)-chelating activity of buffalo α S-casein hydrolysed by corolase PP, alcalase and flavourzyme
JP4087339B2 (ja) 新規ペプチドsy
JP2022146119A (ja) 食用組成物およびその製造方法
JP2006158390A (ja) 食品の香味・呈味改善用組成物
JP3448344B2 (ja) ペプチド組成物
JP2931022B2 (ja) 食用ペプチド含有物質及びその製造方法
JP2996682B2 (ja) ペプチドを含有する飲料、顆粒剤、散剤、錠剤及び発泡剤
JPS60192599A (ja) オリゴペプチド混合物の製造法
JP3437738B2 (ja) 臭気の低減された蛋白質加水分解物の製造方法
JPH08173052A (ja) 大豆蛋白質の製造法
JP3682994B2 (ja) フェニルアラニン含量の少ないペプチド混合物の製造法
JPH0581219B2 (ja)
JP3418278B2 (ja) 低芳香族アミノ酸含量のペプチド混合物の製造法
JP5365515B2 (ja) 分岐鎖アミノ酸高含有の蛋白質分解物の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240119