JP2009044030A - 積層電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 第1の絶縁体層を介して、第1の導体パターンと第2の導体パターンとを複数のビアホールで並列接続してなるコイルパターンを有する積層電子部品において、第2の導体パターンは略1ターンに形成した導体パターンであり、第1の導体パターンは、第2の導体パターンの両端部と積層方向に重なる導体パターンであって、略3/4ターン〜略1ターンに形成し、複数のコイルパターンを積層し、コイルパターンの第2の導体パターンと、他コイルパターンの第1の導体パターンとを第2の絶縁体層を介してビアホールで直列に接続して螺旋状に形成したコイルとした。
【選択図】 図1
Description
DC−DCコンバータは、スイッチング素子、制御回路を含む半導体集積回路(能動素子)とインダクタ、コンデンサなどの受動素子を、接続線路が形成されたプリント基板等の上にディスクリート回路として構成するのが一般的であるが、電子機器の小型化に伴って、前記受動素子の小型化や、受動素子と能動素子との複合化により、DC−DCコンバータ自体が占める容積を低減することが求められている。
このような積層電子部品は機械的強度に優れ、かつ小型化に適した構造ではあるが、一方で構造に起因する幾つかの課題があった。以下積層インダクタを例にとって説明する。
しかしながら、導体の幅を広くして断面積を大きくすると磁路断面積が減少するため、インダクタンス値が減少し、また厚みを厚くすると、シート積層法では積層時にシート間に圧着が不十分と成りやすく、デラミネーション(層間剥離)といった問題があり、また印刷法では導体の厚み分を補うように、導体の周囲に磁性体を印刷することが必要となり、工数が増加するなどの問題があった。
本発明では、少なくとも一部のコイルパターンにおいて、前記第1の絶縁体層と前記第2の絶縁体層のいずれか一方を磁性体とし、他方を非磁性体とするのが好ましい。
図1は、本発明の一実施例に係る積層電子部品(積層インダクタ)の斜視図である。図2(a)〜(i)は積層電子部品の積層構造を説明するための斜視図である。図3(a)〜(i)は他の積層電子部品の積層構造を説明するための斜視図である。図4は積層電子部品に用いるコイルパターンの他の例を示す分解斜視図である。
本実施例(図2)においては、第1の導体パターンを3/4ターンの環状に形成し、第2の導体パターンを実質的に1ターンとなる環状パターンとし、第1の絶縁体層に設けられた複数のビアホールで導体パターンを接続して直流抵抗を低減している。なお、第1の導体パターンが3/4ターン未満であっても、従来技術に比して直流抵抗値を低減する効果が発揮される。
更に、図3の分解斜視図に示すように、第1の導体パターンも実質的に1ターンとなる環状パターンとし、更にコイルパターン間を第2の絶縁体層に設けられた複数のビアホールで接続するのが好ましい。図3の積層インダクタでは、引出し用の電極パターン4a、4bを幅広とし複数のビアホールでコイルパターンと接続するとともに、前記ビアホールを上下面まで延出させ、外部端子と電気的接続している。このような構成により、内部に形成された電極パターンと外部端子との接続ヶ所を増やし、断線等の不具合が生じないようにして、接続の信頼性を向上している。
本発明によれば、導体パターンの厚みを薄くしても直流抵抗値の増加を抑えることが出来るとともに、デラミネーションの発生を抑えることも可能である。また実質的に2つの導体パターンでコイルを形成することが出来るので、導体パターンを形成するためのスクリーンを減じ、コイル形成の工数や費用を削減することが出来る。
次に他の絶縁体シート(絶縁体層15を構成)をキャリアフィルムが上になるようにして重ねて圧着し、キャリアフィルムを剥離する。この絶縁体シートには引出し用の電極パターン4aが複数形成され、接続用のビアホール(図中黒丸で表示)が形成されている。絶縁体シートの厚みは、絶縁体層16と共同してコイルにより生じる磁束が外部に漏洩しない程度の厚みがあればよく、焼成後の厚みで5μm〜25μmにて形成される((h))。
次に他の絶縁体シート(第2の絶縁体層11を構成)をキャリアフィルムが上になるようにして重ねて圧着し、キャリアフィルムを剥離する。この絶縁体シートには第2の電極パターン2が複数形成されている((f))。絶縁体シートの厚みは、5μm〜25μmで形成される。第1の絶縁体層10を構成する絶縁体シートには、Agなどの導体パターンが充填されたビアホールが複数形成されており、このビアホール(図中黒丸)によって第1の電極パターン1と第2の電極パターン2とが複数箇所で接続されて、一つのコイルパターン3を形成する。接続箇所は少なくとも2ヶ所形成されるが、第1、第2の電極パターンの電位を同じくするには、より多くの接続箇所を設けるのが好ましい。
なお、コイルの端部に位置するコイルパターン((b)、(c))を変更して、接続に寄与し無い部分を除いた他の電極パターン5((b)‘、(c)’)としても良い。この場合には、高価なAg等の貴金属使用量を減じることが出来るので、生産費用を抑えることが出来る。
本発明においては、磁性体としてソフトフェライトを用いている。このソフトフェライトは、積層電子部品として要求される磁気特性(初透磁率、損失、品質係数等)に応じて適宜選定されるものであるが、比抵抗が大きく、比較的低損失であることから、Ni−Znフェライトが用いられることが多い。
他のフェライトとしては、Fe2O3、ZnO、MgO(一部をCuOで置換しても良い)を主成分とするMg−Znフェライトや、Fe2O3、ZnO、LiO(一部をCuOで置換しても良い)を主成分とするLi−Znフェライトが用いられる。Mg−Znフェライトであれば、高価なNiを用いる事無く、低廉な積層電子部品とすることが出来る。またLi−Znフェライトであれば、磁歪による磁気特性の劣化が少ない積層インダクタとすることが出来る。
磁性体や非磁性体で形成された第1、第2の絶縁体層で、積層インダクタを構成する場合には、材料の選択によって線膨張係数の差を小さく抑えることで、フェライトの磁歪による磁気特性の変動を低減するとともに、内部クラックが発生するのを抑止することが出来る。なお導体パターンにAg等の低融点金属を用いる場合には、上記した誘電体にBi2O3、CuO、ZnO等の低温焼結促進剤を加えることで、900℃程度の温度での焼成であっても焼結を促進させ、緻密化することが出来る。
図6は第1の絶縁体層10に磁性体を、第2の絶縁体層11に非磁性体を用いて構成された積層インダクタの断面図である。この場合もまた直流抵抗値が低く、かつ励磁電流によってインダクタンス値の変動が少ない、直流重畳に優れた積層電子部品とすることが出来る。
上記の積層インダクタでは、すべてのコイルパターンに磁気ギャップを備える構成であるが、一部にのみ磁気ギャップを形成しても優れた効果をはっきする。
ビアホールH1を備え、第2の導体パターン2が形成された第2の絶縁体層11を構成する絶縁体シート((a))を準備する。その上から第2の絶縁体層11のほぼ全面に第1の絶縁体層10となる絶縁体ペーストを印刷する((b))。印刷時に第2の導体パターン2の一部が現れる様にして開口部を設け、当該部位と重なるように、第1の導体パターン1を印刷形成する((c))。前記開口部がビアホールH2となり、第1の導体パターン1と第2の導体パターン2とを直流的に接続する。なお導体パターンや絶縁体ペーストの印刷後には適宜乾燥を行なう。なお、第2の絶縁体層11を構成する絶縁体シートは、第1の絶縁体層10と同様に印刷にて形成しても良い。
図9は、この工法を用いて形成した積層インダクタの断面図を示す。本実施例では、第1及び第2の導体パターンで規定される厚みで磁気ギャップ層17を形成しているが、薄く形成することも可能であって、この場合、厚みが薄くなる部分に、磁性体からなる絶縁体ペーストが印刷される。
このような構成であれば、磁気ギャップ層17が積層インダクタの外表面に表れることが無い。このため積層インダクタが焼成される温度で緻密化しない誘電体を磁気ギャップ層に用いることも出来る。
この場合もペースト状にした誘電体を印刷して形成するが、焼成後には誘電体の少なくとも一部は緻密化せず粉状となるため、線膨張係数をあまり考慮する必要がなくなり、誘電体の選択肢が広がる。前記誘電体としては、前記した誘電体材料の他に、Li2O・Al2O3・4SiO2、Li2O・Al2O3・2SiO2、SiO2、TiO2,WO3、Ta2O5、Nb2O5、Al2O3等が上げられる。
図11には小面積部を構成した積層インダクタの他の例を示す。この場合は、コイルパターンの一方の導体パターンのみの幅を変えているが、同様に直流重畳特性を向上させることが出来る。
本実施態様のDC−DCコンバータモジュールは、複数のコイルパターンで構成されたコイルを内蔵する積層基板100に、スイッチング素子及び制御回路を含む半導体集積回路部品200を実装した降圧型DC−DCコンバータである。半導体集積回路部品は樹脂300で封止されている。
積層基板100の裏面には複数の外部端子(図示せず)が設けられており、積層基板の側面(図示せず)や表面及び内部(図示せず)に形成された接続電極150によって半導体集積回路部品200や、コイルと接続されている。
等価回路において、Vconは出力電圧可変制御用端子、Venは出力のON/OFF制御用端子、Vddはスイッチング素子をON/OFF制御するための端子、Vinは入力端子、Voutは出力端子、GNDはグランド端子GNDを示している。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。なお本実施例で説明する積層インダクタの構造は図2で示したものと同じなので、従前の説明で示した内容は適宜省略する場合がある。
第1の絶縁体層1と第2の絶縁体層2には、Fe2O3:47.5mol%、NiO:19.7mol%、CuO:8.8mol%、ZnO:24.0mol%を主成分とし、この主成分に対してBi2O3:1wt%、Co3O4:0.08wt%、SnO2:0.5wt%、SiO2:0.5wt%を副成分として添加・含有するフェライト材料を用いた。
得られた第1及び第2の絶縁体層用のシートを、5ターンのコイルとなる様に順次積層し、これを圧着して積層体を形成した。なお、第2の導体パターン2の内側領域に非磁性体のペーストを印刷して磁気ギャップ層を形成した。得られた積層体を所定の大きさ(焼結後寸法が2.0mm×1.25mm×1.0mm)に切断し、これを脱バインダー後、大気中で900℃×3時間焼成した。導体パターンが露出している側面に、Agを主成分とした導電性ペーストを塗布し、約600℃で焼き付けを行い、外部端子を形成して5ターンのコイルを内蔵した積層電子部品を作成した。なお第1の導体パターン、第2の導体パターンの厚み(焼成後)は、それぞれ15μmと同じとしている。
本実施例では、第1の絶縁体層10として、使用温度範囲で初透磁率μiが実質的に1である非磁性のフェライト材料で形成したシートを用いた。組成は、Fe2O3:53mol%、CuO:3mol%、ZnO:44mol%である。得られた積層インダクタの断面は、図5に示した積層電子部品の断面と略同じとなる。他の条件は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
比較例として、乾燥後の厚みが30μm(実施例の第1、第2の絶縁体層の合計厚み)のフェライトグリーンシートを作製し、これにAgペーストを印刷し、コイルを形成する導体パターンを形成し、導体パターンの内側領域に非磁性体のペーストを印刷して磁気ギャップ層を形成した。得られたシートを、5ターンのコイルとなる様に順次積層して、これを圧着して積層体を形成した。得られた積層体を実施例1と同様に切断し、焼成した後、外部端子を形成して5ターンのコイルを内蔵した積層インダクタを作成した。なお導体パターンの厚みは15μm(第1の導体パターンと同じ)としている。
他の比較例として、乾燥後の厚みが15μm(実施例の第2の絶縁体層の厚み)のフェライトグリーンシートを作製し、これにAgペーストを印刷し導体パターンを形成し、導体パターンの内側領域に非磁性体のペーストを印刷して磁気ギャップ層を形成した。乾燥後、前記導体パターンの周囲にフェライトペーストを印刷し、乾燥させて、シートを作成した。得られたシートを、5ターンのコイルとなる様に順次積層し、これを圧着して積層体を形成した。得られた積層体を実施例1と同様に切断し、焼成した後、外部端子を形成して5ターンのコイルを内蔵した積層インダクタを作成した。なお導体パターンの厚みは30μm(第1の導体パターンと第2の導体パターンの合算と同じ)としている。
2 第2の導体パターン
3 コイルパターン
10 第1の絶縁体層
11 第2の絶縁体層
60a〜65a、60b〜65b 導体パターン
80 磁性体層
100 積層電子部品
200 半導体集積回路部品
φa、φb 磁束
Claims (7)
- 第1の絶縁体層を介して、第1の導体パターンと第2の導体パターンとを複数のビアホールで並列接続してなるコイルパターンを有する積層電子部品において、
前記第2の導体パターンは略1ターンに形成された導体パターンであり、前記第1の導体パターンは、第2の導体パターンの両端部と積層方向に重なる導体パターンであって、略3/4ターン〜略1ターンに形成されており、
複数のコイルパターンを積層し、コイルパターンの第2の導体パターンと、他コイルパターンの第1の導体パターンとを第2の絶縁体層を介してビアホールで直列に接続して螺旋状に形成されたコイルとしたことを特徴とする積層電子部品。 - 少なくとも一部のコイルパターンにおいて、前記第1の絶縁体層と前記第2の絶縁体層のいずれか一方を磁性体とし、他方を非磁性体としたことを特徴とする請求項1に記載の積層電子部品。
- 第1の絶縁体層を介して、第1の導体パターンと第2の導体パターンとをビアホールで並列接続してなるコイルパターンを有する積層電子部品において、
前記第2の導体パターンは環状に形成された導体パターンであり、前記第1の導体パターンは、第2の導体パターンの両端部と積層方向に重なる導体パターンであって、複数のコイルパターンを積層し、コイルパターンの第2の導体パターンと、他コイルパターンの第1の導体パターンとを第2の絶縁体層を介してビアホールで直列に接続して螺旋状に形成されたコイルとなし、少なくとも一部のコイルパターンにおいて、前記第1の絶縁体層と前記第2の絶縁体層のいずれか一方を磁性体とし、他方を非磁性体としたことを特徴とする積層電子部品。 - 第1の絶縁体層を介して、第1の導体パターンと第2の導体パターンとをビアホールで並列接続してなるコイルパターンを有する積層電子部品において、
前記第2の導体パターンは環状に形成された導体パターンであり、前記第1の導体パターンは、第2の導体パターンの両端部と積層方向に重なる導体パターンであって、複数のコイルパターンを積層し、コイルパターンの第2の導体パターンと、他コイルパターンの第1の導体パターンとを第2の絶縁体層を介してビアホールで直列に接続して螺旋状に形成されたコイルとなし、少なくとも一部のコイルパターンにおいて、その内側の領域に第3の絶縁体層を配置し、前記第1及び第2の絶縁体層が磁性体で形成され、前記第3の絶縁体層が非磁性体で形成されたことを特徴とする積層電子部品。 - 第1の絶縁体層の厚みが第2の絶縁体層の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項1至4のいずれかに記載の積層電子部品。
- 一部のコイルパターンを構成する第1の導体パターン及び/又は第2の導体パターンの幅が、他のコイルパターンを構成する第1の導体パターンと第2の導体パターンの幅よりも、幅広であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の積層電子部品。
- 表面に半導体集積回路部品を実装し、前記半導体集積回路部品と前記コイルを接続したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の積層電子部品。
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