JP2014060289A - 積層コイル部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】インダクタンス値の温度変化が抑制された積層コイル部品を提供する。
【解決手段】Fe、Ni、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される磁性体部と、Fe、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される非磁性体部と、コイル状の導体部とを有する積層コイル部品において、磁性体部の平均結晶粒径に対する非磁性体部の平均結晶粒径の粒径比を0.7以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層コイル部品に関し、より詳細には、Fe、Ni、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される磁性体部と、Fe、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される非磁性体部と、コイル状の導体部とを有する積層コイル部品に関する。
一般的に、導体パターンと磁性体層を交互に積層して構成した積層コイル部品は、重畳直流電流を徐々に大きくすると、ある電流値まではインダクタンス値が略一定もしくは穏やかに低下するが、その後は磁性体の磁気飽和が生じて急激にインダクタンス値が低下するという問題がある。この問題点を改善するために、コイルの中央付近に非磁性層を挿入し、開磁路型の積層コイル部品とすることが知られている。
かかる状況下、特許文献1は、複数の磁性体層を積層して形成される磁性体部を、非磁性体層により形成される非磁性体部の両主面上に配置することにより積層体が形成され、前記磁性体部および前記非磁性体部に形成されたコイル導体をらせん状に接続したコイルが形成され、前記非磁性体部に形成されたコイル導体の巻数が、前記非磁性体部に形成されたコイル導体以外の各層上のコイル導体の巻数よりも多いことを特徴とする積層コイルを開示している。このような組成とすることにより、非磁性体部からの磁束の漏れ量を大きくすることができるので、コイル導体に大電流を流してもインダクタンス値が低下しない優れた直流重畳特性を持つ積層コイルを得ることができるとしている。
国際公開第2005/122192号
特許文献1では、非磁性体部と磁性体部に同系のフェライト材料を用いて開磁路型の積層コイル部品を作製しているので、焼成時における収縮挙動に大きな差がなく、クラックなどの欠陥が生じにくい。しかしながら、特許文献1の積層コイル部品は、非磁性体部がNiを含まないため、Niが磁性体部から非磁性体部へ拡散し易く、Niの拡散によって、積層型コイル部品のインダクタンス値の温度特性が劣化する(インダクタンス値の温度変化率が大きくなる)という問題点がある。
本発明の目的は、インダクタンス値の温度変化が抑制された積層コイル部品を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解消すべく鋭意検討した結果、積層コイル部品において、磁性体部の平均結晶粒径に対する非磁性体部の平均結晶粒径の粒径比を、0.7以下とすることにより、積層コイル部品のインダクタンス値の温度変化を抑制できることを見出し、本発明に至った。
本発明の第1の要旨によれば、Fe、Ni、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される磁性体部と、Fe、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される非磁性体部と、コイル状の導体部とを有する積層コイル部品であって、
磁性体部の平均結晶粒径に対する非磁性体部の平均結晶粒径の粒径比が、0.7以下であることを特徴とする、積層コイル部品が提供される。
本発明の第2の要旨によれば、Fe、Ni、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される磁性体部と、Fe、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される非磁性体部と、導体部とを有する積層コイル部品であって、
磁性体部から非磁性体部へのNi拡散距離が、3μm以下であることを特徴とする、積層コイル部品が提供される。
本発明によれば、積層コイル部品において、磁性体部の平均結晶粒径に対する非磁性体部の平均結晶粒径の粒径比を、0.7以下とすることにより、インダクタンス値の温度変化が抑制された積層コイル部品が提供される。
本発明の1つの実施形態における積層コイル部品の概略斜視図である。 図1の実施形態における積層コイル部品の概略分解斜視図であって、外部電極を省略した図である。 図1の実施形態における積層コイル部品の概略断面図である。 図3に対応する図であって、磁性体部および非磁性体部の平均結晶粒径の測定箇所を例示的に示す図である。 Ni拡散距離の測定箇所を例示的に示す図である。 実施例(試料No.6)の直流重畳特性を示すグラフである。 比較例(試料No.2)の直流重畳特性を示すグラフである。
本発明の積層コイル部品およびその製造方法について、以下、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明の積層コイル部品の構成、形状、巻回数および配置等は、図示する例に限定されないことに留意されたい。
図1〜図3に示すように、本実施形態の積層コイル部品1は、概略的には、磁性体部2(外層2’を含む)と、非磁性体部3と、導体部4とが積層されて成る積層体5を含んで成り、外部電極6aおよび6bが積層体5の外周両端面を覆うように設けられ得、コイル状の導体部4の両端に位置する引出し部4aおよび4bは、それぞれ、外部電極6aおよび6bに接続され得る。
より詳細には、磁性体部2および非磁性体部3は、それを貫通するビアホール7を有する。また、導体部4は、磁性体部2と非磁性体部3との間にそれぞれ配置され、上記ビアホール7を通ってコイル状に相互接続されている。
磁性体部2は、Fe、Ni、ZnおよびCuを含む焼結フェライトから成る。非磁性体部3は、Fe、ZnおよびCuを含む焼結フェライトから成る。導体部4は、導電性であれば特に限定されないが、好ましくは銅または銀、より好ましくは銀を主成分として含む導体、すなわち実質的に銀から成る導体、例えば銀の含有量が98.0〜99.5wt%である導体が好ましい。外部電極6aおよび6bは、特に限定されないが、通常、銀を主成分として含む導体から成り、必要に応じてニッケルおよび/またはスズなどがメッキされ得る。
本発明の積層コイル部品は、磁性体部の平均結晶粒径D1に対する非磁性体部の平均結晶粒径D2の粒径比D2/D1が、0.7以下、好ましくは0.5以下であり得る。粒径比D2/D1を0.7以下とすることにより、磁性体部から非磁性体部へのNi拡散が抑制され、積層コイル部品のインダクタンス値の温度変化を抑制することができる。
磁性体部および非磁性体部の平均結晶粒径は、それぞれ、磁性体部および非磁性体部(それぞれを代表して、それぞれの略中央部である、図4に示す領域Xおよび領域Y)のSEM写真を撮影し、このSEM写真から、JIS規格(R1670)に準拠し、円相当径に換算して平均結晶粒径を算出して求められる。本発明において、平均結晶粒径は、複数、例えば10個の試料で測定した測定値の平均値として求められる。
また、本発明の積層コイル部品は、磁性体部から非磁性体部へのNi拡散距離が、3μm以下であり得る。磁性体部から非磁性体部へのNi拡散距離を3μm以下とすることにより、積層コイル部品のインダクタンス値の温度変化を抑制することができる。
磁性体部から非磁性体部へのNi拡散距離は、波長分散型X線分析法(WDX)により、非磁性体部およびその近傍におけるNi元素の面内分布を調べることにより測定することができる。すなわち、図5に示すように、積層面に垂直の向きにWDXにより、Ni元素の含有量を線分析し、Niの濃度が最大となる領域で非磁性層に最も近い点、および非磁性層においてNiの濃度が最小となる点を求め、この2点間の距離として求められる。
上記した本実施形態の積層コイル部品1は、以下のようにして製造される。
まず、磁性体シートを準備する。磁性体シートは、Fe、NiO、ZnOおよびCuOを含むNi−Cu−Zn系フェライト材料から作製される。
Ni−Cu−Zn系フェライト材料は、Fe、NiO、ZnOおよびCuOを主成分として含み、必要に応じて添加成分を更に含んでいてもよい。通常、Ni−Cu−Zn系フェライト材料は、素原料として、これら成分の粉末を所望の割合で混合および仮焼して調製され得るが、これに限定されるものではない。
本実施形態において、Ni−Cu−Zn系フェライト材料におけるCuO含有量は、6.0〜10.0mol%(主成分合計基準)とし得る。CuO含有量を6.0〜10.0mol%とすることによって、高い焼結性を得ることができる。
Ni−Cu−Zn系フェライト材料におけるFe含有量は、44〜49.8mol%(主成分合計基準)とすることが好ましい。Fe含有量を44mol%以上とすることによって、磁性体部の中央領域において高い透磁率を得ることができ、大きなインダクタンスを取得できる。また、Fe含有量を49.8mol%以下とすることによって、高い焼結性を得ることができる。
Ni−Cu−Zn系フェライト材料におけるZnO含有量は、6〜33mol%(主成分合計基準)とすることが好ましい。ZnO含有量を6mol%以上とすることによって、高い透磁率を得ることができ、大きなインダクタンスを取得できる。また、ZnO含有量を33mol%以下とすることによって、キュリー点の低下を回避でき、積層コイル部品の動作温度の低下を回避できる。
Ni−Cu−Zn系フェライト材料におけるNiO含有量は、特に限定されず、上述した他の主成分であるCuO、FeおよびZnOの残部とし得る。
Ni−Cu−Zn系フェライト材料における添加成分としては、例えばBi、SnO、Co、Mnなどが挙げられるが、これに限定されない。Bi含有量(添加量)は、主成分(Fe、ZnO、NiOおよびCuO)の合計100重量部に対して、0.1〜1重量部とすることが好ましい。Bi含有量を0.1〜1重量部とすることによって、低温焼成がより促進されると共に、異常粒成長を回避することができる。Bi含有量が高すぎると、異常粒成長が起こり易く、異常粒成長部位にて比抵抗が低下し、外部電極形成時のめっき処理の際に、異常粒成長部位にめっきが付着するので好ましくない。
上記のようにして調製したNi−Cu−Zn系フェライト材料を用いて磁性体シートを準備する。例えば、Ni−Cu−Zn系フェライト材料を、バインダ樹脂および有機溶剤を含む有機ビヒクルと混合/混練し、シート状に成形することにより磁性体シートを得てよいが、これに限定されるものではない。
次に、非磁性体シートを準備する。非磁性体シートは、Fe、ZnOおよびCuOを含むCu−Zn系フェライト材料から作製される。なお、該Cu−Zn系フェライト材料には、NiOは含まれない。
Cu−Zn系フェライト材料は、Fe、ZnOおよびCuOを主成分として含み、必要に応じて添加成分を更に含んでいてもよい。通常、Cu−Zn系フェライト材料は、素原料として、これら成分の粉末を所望の割合で混合および仮焼して調製され得るが、これに限定されるものではない。
本実施形態において、Cu−Zn系フェライト材料におけるCuO含有量は、5.0mol%以下(主成分合計基準)、好ましくは1.0〜5.0mol%、より好ましくは1.0〜3.0mol%とし得る。CuO含有量を5.0mol%以下とすることによって、磁性体部から非磁性体部へのNiの拡散を抑制することができ、積層コイル部品のインダクタンス値の温度変化を抑制することができる。
Cu−Zn系フェライト材料におけるFe含有量は、特に限定されないが、44〜49.8mol%(主成分合計基準)とすることが好ましく、特に上記した磁性体シートのNi−Cu−Zn系フェライト材料におけるFe含有量と同じであることが好ましい。Ni−Cu−Zn系フェライト材料とCu−Zn系フェライト材料におけるFe含有量を同量にすることにより、磁性体シートと非磁性体シートの熱膨張係数の差を小さくすることができ、クラック等の欠陥を抑制することができる。
Cu−Zn系フェライト材料におけるZnO含有量は、特に限定されず、上述した他の主成分であるCuOおよびFeの残部とし得る。
上記のようにして調製したCu−Zn系フェライト材料を用いて非磁性体シートを準備する。例えば、Cu−Zn系フェライト材料を、バインダ樹脂および有機溶剤を含む有機ビヒクルと混合/混練し、シート状に成形することにより非磁性体シートを得てよいが、これに限定されるものではない。
別途、導体ペーストを準備する。市販で入手可能な、金属導体を粉末の形態で含む一般的な金属ペーストを使用できるが、これに限定されない。金属導体としては、限定するものではないが、好ましくは銅または銀、より好ましくは銀が用いられる。
そして、図2に示されるように、上記磁性体シート(磁性体部2に対応する)および非磁性体シート(非磁性体部3に対応する)を、金属導体を含む導体ペースト層(導体部4に対応する)を介して積層し、導体ペースト層が磁性体シートおよび非磁性体シートに貫通して設けられたビアホール(ビアホール7に対応する)を通ってコイル状に相互接続されている積層体(積層体5に対応するが、未焼成積層体である)を得る。
上記積層体(未焼成積層体)の形成方法は、特に限定されず、シート積層法および印刷積層法などを利用して積層体を形成してよい。シート積層法による場合、磁性体シートおよび非磁性体シートに、適宜ビアホールを設けて、導体ペーストを所定のパターンで(ビアホールが設けられている場合には、ビアホールに充填しつつ)印刷して導体ペースト層を形成し、導体ペースト層が適宜形成された磁性体シートおよび非磁性体シートを積層および圧着し、所定の寸法に切断して、積層体を得ることができる。印刷積層法による場合、Ni−Cu−Zn系フェライト材料からなる磁性体ペーストを印刷して磁性体層を形成する工程(またはCu−Zn系フェライト材料からなる非磁性体ペーストを印刷して非磁性体層を形成する工程)、導体ペーストを所定のパターンで印刷して導体層を形成する工程を順次繰り返すことで積層体を作製する。磁性体層および非磁性体層を形成する時は所定の箇所にビアホールを設け、上下の導体層が導通するようにし、最後に磁性体ペーストを印刷して磁性体層(外層2’に対応する)を形成し、これを所定の寸法に切断して、積層体を得ることができる。この積層体は、複数個をマトリクス状に一度に作製した後に、ダイシング等により個々に切断して(素子分離して)個片化したものであってよいが、予め個々に作製したものであってもよい。
次に、上記で得られた積層体(未焼成積層体)を熱処理することにより、磁性体シート、非磁性体シートおよび導体ペースト層を焼成して、それぞれ磁性体部2、非磁性体部3および導体部4とし、積層体5を形成する。焼成の条件(温度、酸素濃度等)は、磁性体シート、非磁性体シートおよび導体ペーストの組成に応じて変化し得、限定するものではないが、例えば、大気中、850〜935℃とし得る。
次に、上記で得られた積層体5の両端面を覆うように、外部電極6aおよび6bを形成する。外部電極6aおよび6bの形成は、例えば、銀の粉末をガラスなどと一緒にペースト状にしたものを所定の領域に塗布し、得られた構造体を、例えば約750℃で熱処理して銀を焼き付けることによって実施し得る。外部電極6aおよび6bは、それぞれ、導体部4の両端に位置する引出し部4aおよび4bに接続されている。
以上のようにして、本実施形態の積層コイル部品1が製造される。
このようにして得られた本発明の積層コイル部品は、磁性体部の平均結晶粒径D1に対する非磁性体部の平均結晶粒径D2の粒径比(D2/D1)が、0.7以下となり、磁性体部から非磁性体部へのNi拡散距離が3μm以下となる。かかる積層コイル部品は、インダクタンス値の温度変化が小さい。
本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、磁性体部から非磁性体部へNiが拡散すると、Niを含んだ非磁性体部のキュリー温度が高くなり、低温で該非磁性体部が磁性を持つようになると考えられる。その結果、低温において、非磁性体部の透磁率が大きくなり、積層コイル部品のインダクタンス値が大きくなると考えられる。そして、上記Niの拡散は、非磁性体部の結晶粒径を、磁性体部の結晶粒径より小さくすることによって、すなわち、非磁性体部の焼結性を、磁性体部の焼結性よりも低くすることによって抑制できると考えられる。
上記実施形態においては、焼結助剤として作用するCuOの含有量を、磁性体部のNi−Cu−Zn系フェライト材料において6.0〜10.0mol%とし、非磁性体部のCu−Zn系フェライト材料において5.0mol%以下とすることにより、非磁性体部の焼結性を磁性体部よりも低くしている。しかしながら、本発明はかかる態様に限定されるものではなく、非磁性体部の焼結性を低くすることが可能であればその手段は問われず、例えば、Cu−Zn系フェライト材料に焼結性を低下させる添加物(例えば、ZrO、Al)を加えることによって、あるいは、Cu−Zn系フェライト材料の焼成前の粉砕粒径を大きくすることによって、非磁性体部の焼結性を低くしてもよい。
以上、本発明の1つの実施形態について説明したが、本実施形態は種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、外層が磁性体部であるが、これを非磁性体部とすることもできる。また、上記実施形態では、磁性体部と非磁性体部とが交互に積層されているが、交互である必要はなく、例えば、磁性体部を2層続けて積層してもよい。
(実施例)
・磁性体シートの作製
Fe、ZnO、NiOおよびCuO粉末を組成が表1に示す割合となるように秤量した。
Figure 2014060289
これら秤量物を、純水およびPSZ(Partial Stabilized Zirconia;部分安定化ジルコニア)ボールと共に塩化ビニル製のポットミルに入れ、湿式で48時間混合粉砕した。粉砕処理物を蒸発乾燥させた後、750℃の温度で2時間仮焼した。
これにより得られた仮焼物を、エタノール(有機溶剤)およびPSZボールと共に、再び塩化ビニル製のポットミルに入れ、24時間混合粉砕し、さらにポリビニルブチラール系バインダ(有機バインダ)を加えて混合し、Ni−Cu−Zn系フェライト材料を含むスラリー(セラミックスラリー)を得た。
次に、ドクターブレード法を使用し、上記で得たセラミックスラリーを、厚さ25μmのシート状に成形し、縦50mm、横50mmの大きさに打ち抜いて、磁性体シートを作製した。
・非磁性体シートの作製
Fe、ZnOおよびCuO粉末を、組成が表2の試料No.1〜8に示す割合となるように秤量した。なお、試料No.4〜8が本発明の実施例であり、試料No.1〜3(表中、記号「*」を付して示す)は比較例である。
Figure 2014060289
次いで、試料No.1〜8の各秤量物を、純水およびPSZ(Partial Stabilized Zirconia;部分安定化ジルコニア)ボールと共に塩化ビニル製のポットミルに入れ、湿式で48時間混合粉砕した。粉砕処理物を蒸発乾燥させた後、750℃の温度で2時間仮焼した。
これにより得られた仮焼物を、エタノール(有機溶剤)およびPSZボールと共に、再び塩化ビニル製のポットミルに入れ、24時間混合粉砕し、さらにポリビニルブチラール系バインダ(有機バインダ)を加えて混合し、Cu−Zn系フェライト材料を含むスラリー(セラミックスラリー)を得た。
次に、ドクターブレード法を使用し、上記で得たセラミックスラリーを、厚さ25μmのシート状に成形し、縦50mm、横50mmの大きさに打ち抜いて、非磁性体シートを作製した。
・積層コイル部品の作製
レーザー加工機を使用して、上記で作製した磁性体シートの所定位置にビアホールを形成した後、別途調製した、Ag粉末、ワニスおよび有機溶剤を含むAgペーストを、磁性体シートの表面にスクリーン印刷し、かつビアホールに充填して、所定形状のコイルパターンを有する導体ペースト層を磁性体シート上に形成した。
非磁性体シートについても、上記と同様にして、所定形状のコイルパターンを有する導体ペースト層を非磁性体シート上に形成した。
次いで、所定のコイルパターンが形成された磁性体シートおよび所定のコイルパターンが形成された非磁性体シートを、図3に示すように、非磁性体部が積層体の略中央およびその上下に1層ずつ計3層となるように、適切に積層した。次いで、これらを、コイルパターンが形成されていない磁性体シートで挟持し、60℃の温度で100MPaの圧力で1分間圧着し、圧着ブロックを作製した。そして、この圧着ブロックを所定のサイズに切断してセラミック積層体を作製した。
上記で得られたセラミック積層体を、大気中で400℃に加熱して十分に脱脂した。次いで、大気中900℃に昇温し、2時間保持して焼成し、部品素体(積層体)を作製した。
次いで、Ag粉、ガラスフリット、ワニスおよび有機溶剤を含有した外部電極用導電ペーストを用意し、この外部電極用導電ペーストを、上記部品素体の両端に塗布して乾燥させた後、大気中で750℃で10分間焼き付けて、さらに、電解めっきでNi、Snめっきを順に行い、外部電極を形成して、図1に示されるような試料(積層コイル部品)を得た。
以上により、積層コイル部品を、試料No.1〜8について作製した。なお、積層コイル部品の外径寸法は、長さL:2.1mm、幅W:1.0mm、厚みT:1.0mmとした。また、コイルのターン数は1MHzでのインダクタンスLが約1.6μHになるように調整した。
・評価
(平均結晶粒径)
試料No.1〜8につき各10個の試料を用いて、これらの試料の端面が立つように樹脂固めを行い、試料の長さ方向に研磨し、長さ方向の約1/2の時点における研磨断面を得て、観察用の断面とした。これをケミカルエッチングし、磁性体層および非磁性体層(それぞれを代表して、それぞれの略中央部である、図4に示す領域Xおよび領域Y)のSEM写真を撮影し、このSEM写真から、JIS規格(R1670)に準拠し、旭化成エンジニアリング製画像解析ソフトA像くん(登録商標)を用いて、円相当径に換算して平均結晶粒径を算出し、10個の試料での平均値を求め、平均結晶粒径とした。磁性体層の平均結晶粒径をD1とし、非磁性体層の平均結晶粒径をD2として、粒径比D2/D1を求めた。結果を表3に示す。
(Ni拡散距離)
試料No.1〜8につき各1個について、上記と同様に樹脂固めを行い、試料の長さ方向に沿って研磨し、長さ方向の約1/2の時点における研磨断面を得て、観察用の断面とした。この研磨断面を、波長分散型X線分析法(WDX)により、非磁性層およびその近傍におけるNi元素の面内分布を調べた。すなわち、図5に示すように、積層面に垂直の向きにWDXにより、Ni元素の含有量を線分析した。磁性層から非磁性層に向かってNiの濃度勾配が見られたが、Niの濃度が最大となる領域で非磁性層に最も近い点、および非磁性層においてNiの濃度が最小となる点を求め、この2点間の距離を求めた。測定を任意の場所で5か所行い、5か所の測定値の平均値を拡散距離とした。結果を表3に示す。
(インダクタンス変化率)
次に、マテリアルアナライザ(アジレント・テクノロジー社製4291A)および恒温槽(エスペック社製SU240型)を使用し、試料No.1〜8つき各3個について、周囲温度が−50℃、+20℃、および+125℃におけるインダクタンスL(測定周波数1MHz)を求め、下記式:
ΔL−50={(L−50−L+20)/L+20}×100
ΔL+125={(L+125−L+20)/L+20}×100
から、−50℃でのインダクタンス変化率(ΔL−50)、+125℃でのインダクタンス変化率(ΔL+125)を求めた。結果を表3に併せて示す。なお、L−50は−50℃でのインダクタンス、L+20は+20℃でのインダクタンス、L+125は+125℃でのインダクタンスである。
Figure 2014060289
(直流重畳特性)
次に、試料No.2(比較例)およびNo.6(実施例)の試料各1個について、試料を恒温槽(エスペック社製SU240型)に入れ、周囲温度を+20℃、−55℃、−30℃、+85℃、+125℃に変化させて、JIS規格(C2560−2)に準拠し、0〜1300mAの直流電流を試料に重畳し、インダクタンスLをマテリアルアナライザ(アジレント・テクノロジー社製4291A)を使用し、周波数1MHzで測定した。結果を図6および図7に示す。
表3から理解されるように、試料No.4〜8の試料(実施例)では、粒径比D2/D1が0.7以下であり、Ni拡散距離が3.0μm以下であることが確認された。一方、試料No.1〜3の試料(比較例)は、粒径比D2/D1が0.9以上であり、Ni拡散距離が3.5μm以上であることが確認された。そして、これらの試料について、温度変化によるインダクタンス変化率を比較すると、試料No.4〜8の試料は、試料No.1〜3の試料よりも、温度変化によるインダクタンス変化率が小さいことが確認された。
また、図2および図3から理解されるように、粒径比D2/D1が0.7以下であり、Ni拡散距離が3.0μm以下である積層コイル部品は、Cu−Zn系フェライト材料中のCuO量を5.0mol%以下とすることにより得られることが確認された。
さらに、図6および図7に示されるように、実施例(試料No.6)は、比較例(試料No.2)よりも、インダクタンス、直流重畳特性の温度変化が小さくなることが確認された。
本発明によって得られる積層コイル部品は、例えば高周波回路および電源回路のインダクタやトランスなどとして、幅広く様々な用途に使用され得る。
1 積層コイル部品
2 磁性体部
2’ 外層
3 非磁性体部
4 導体部
4’ 引出し部
5 積層体
6a,6b 外部電極
7 ビアホール
X 磁性体部の平均結晶粒径測定部
Y 非磁性体部の平均結晶粒径測定部

Claims (4)

  1. Fe、Ni、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される磁性体部と、Fe、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される非磁性体部と、コイル状の導体部とを有する積層コイル部品であって、
    磁性体部の平均結晶粒径に対する非磁性体部の平均結晶粒径の粒径比が、0.7以下であることを特徴とする、積層コイル部品。
  2. 非磁性体部を構成するFe、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料におけるCu含有量が、CuOに換算して、5mol%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層コイル部品。
  3. Fe、Ni、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される磁性体部と、Fe、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料から構成される非磁性体部と、コイル状の導体部とを有する積層コイル部品であって、
    磁性体部から非磁性体部へのNi拡散距離が、3μm以下であることを特徴とする、積層コイル部品。
  4. 非磁性体部を構成するFe、Zn、およびCuを含む焼結フェライト材料におけるCu含有量が、CuOに換算して、5mol%以下であることを特徴とする、請求項3に記載の積層コイル部品。
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