JP6065439B2 - 積層コイル部品およびその製造方法 - Google Patents

積層コイル部品およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6065439B2
JP6065439B2 JP2012165380A JP2012165380A JP6065439B2 JP 6065439 B2 JP6065439 B2 JP 6065439B2 JP 2012165380 A JP2012165380 A JP 2012165380A JP 2012165380 A JP2012165380 A JP 2012165380A JP 6065439 B2 JP6065439 B2 JP 6065439B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
conductor
coil component
grain size
laminated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012165380A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014027071A (ja
Inventor
大樹 小和田
大樹 小和田
山本 篤史
篤史 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2012165380A priority Critical patent/JP6065439B2/ja
Publication of JP2014027071A publication Critical patent/JP2014027071A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6065439B2 publication Critical patent/JP6065439B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Description

本発明は、積層コイル部品に関し、より詳細には、Fe、Ni、ZnおよびCuを含む焼結フェライトである磁性体部と、銀を含み、磁性体部に埋設されて成るコイル状の導体部と、磁性体部の表面にコイル中心軸方向に対向して設けられ、導体部の両端に電気的に接続された一対の外部電極を有する積層コイル部品に関する。また、本発明は、かかる積層コイル部品の製造方法にも関する。
近年、電子機器の高周波化が進んでいるが、周波数が高くなるにつれ浮遊容量の影響が増大する。積層コイル部品については、浮遊容量が大きいと高周波帯域でのインピーダンス値が低下してしまうという問題がある。よって、積層コイル部品に対して、浮遊容量を低減し、高周波帯域におけるインピーダンス特性を向上させることが求められている。
特許文献1は、磁性体内部のコイル導体部を、コイル中心軸が外部電極の主部面に交わる方向となるように配備した(いわゆる横巻き構造)積層型インピーダンス素子を開示している。このような構造とすることにより、コイル導体部と外部電極間の浮遊容量を低減できるので、高周波帯域でも高いインピーダンスが得られ、高周波帯域でのインピーダンス特性が改善されるとしている。
また、磁性体セラミックと内部導体を同時焼成して得られる積層コイル部品は、磁性体セラミック層と内部導体層との間で熱膨張係数の違いから発生する内部応力が、磁性体セラミックの磁気特性を低下させ、積層コイル部品のインピーダンス値の低下やばらつきを引き起こすという問題がある。よって、積層コイル部品に対して、内部応力を低減し、インピーダンス特性を向上させることが求められている。
特許文献2は、積層コイル部品のサイドギャップ部のポア面積率を6〜20%として、サイドギャップ部を経て酸性溶液を浸透させ、内部導体とその周囲の磁性体との界面に酸性溶液を到達させることにより、内部導体とその周囲の磁性体セラミックとの界面の結合を切断する積層コイル部品の製造方法が開示されている。このような製造方法によれば、内部導体と磁性体セラミックとの界面が解離した状態となるので、積層コイル部品の内部応力を緩和することができるとしている。
特開平11−265822号 国際公開第2009/034824号
しかしながら、特許文献1に記載の積層コイル部品では、高周波帯域でのインピーダンス特性を改善することはできるが、磁性体層と内部導体層との間で熱膨張係数の違いから発生する内部応力がインピーダンス値の低下やばらつきを引き起こす問題がある。
一方、特許文献2に記載の積層コイル部品では、内部応力を緩和することができるが、コイル中心軸と外部電極の主部面が平行であるので(いわゆる縦巻き構造)、横巻き構造である特許文献1の積層コイル部品に比べて、浮遊容量が大きく、高周波帯域でのインピーダンス特性が十分ではないという問題がある。
また、積層コイル部品において、高周波帯域でのインピーダンス特性の改善と内部応力の緩和を同時に達成するために、特許文献2の方法を、特許文献1の積層コイル部品に適用すると、磁性体部の焼結性が低くなり強度が低下するので、もともと縦巻き構造と比べて強度が低い横巻き構造である特許文献1の積層コイル部品では強度が不足するという問題が生じる。
なお、本明細書において、「横巻き構造」とは、積層コイル部品において、一対の外部電極がコイル導体部の中心軸方向に(代表的には中心軸に略垂直に)対向して設けられた構造をいい、「縦巻き構造」とは、一対の外部電極が、積層体の側面(代表的にはコイル中心軸に略平行)に対向して設けられた構造をいう。一般的に、横巻き構造の積層コイル部品は、外部電極が積層体の側面を覆い各層の剥離を抑制することができる縦巻き構造の積層コイル部品と比較して、強度が低い。
本発明の目的は、強度の低下を招くことなく、高周波帯域でのインピーダンス特性が改善され、かつ、磁性体内に発生し得る内部応力が低減された積層コイル部品を提供することにある。また、本発明の更なる目的は、かかる積層コイル部品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解消すべく鋭意検討した結果、磁性体部の中央領域の平均結晶粒径に対する、磁性体部の導体部近傍領域の平均結晶粒径の粒径比を0.8以下とすることにより、横巻き構造であっても強度低下を招くことなく、内部応力を緩和できることを見出し、本発明に至った。
本発明の1つの要旨によれば、Fe、Ni、ZnおよびCuを含む焼結フェライトである磁性体部と、銀を含み、磁性体部に埋設されて成るコイル状の導体部と、磁性体部の表面にコイル中心軸方向に対向して設けられ、導体部の両端に電気的に接続された一対の外部電極を有する積層コイル部品であって、
磁性体部の中央領域の平均結晶粒径に対する、磁性体部の導体部近傍領域の平均結晶粒径の粒径比が0.8以下であることを特徴とする、積層コイル部品が提供される。
本発明の別の要旨によれば、磁性体層が積層されて成る磁性体部と、磁性体層間に配置された複数の導体パターン層が磁性体層を貫通してコイル状に相互接続され、磁性体部に埋設されて成る導体部と、磁性体部の表面にコイル中心軸方向に対向して設けられ、導体部の両端に電気的に接続された一対の外部電極を有する積層コイル部品の製造方法であって、
Fe、NiO、ZnOおよびCuOを含み、かつCuO含有量が0.4〜4.0mol%であるフェライト材料のグリーンシートを、銀を含む導体ペースト層を介して積層し、導体ペースト層がフェライト材料のグリーンシートを貫通してコイル状に相互接続されている積層体を得ること、および
積層体を酸素濃度0.1体積%以下の雰囲気で熱処理することにより、フェライト材料のグリーンシートおよび銀を含む導体ペースト層を焼成して、それぞれ磁性体層および導体パターン層とし、これにより、それぞれ前記磁性体部および前記導体部を形成すること
を含む製造方法が提供される。
本発明によれば、磁性体部の中央領域の平均結晶粒径に対する、磁性体部の導体部近傍領域の平均結晶粒径の粒径比を0.8以下とすることにより、高周波帯域でのインピーダンス特性が改善され、直流重畳特性が改善され、内部応力が緩和され、かつ十分な強度を有する横巻き構造の積層コイル部品が提供される。また、本発明によれば、上記積層コイル部品の製造方法も提供される。
本発明の1つの実施形態における積層コイル部品の概略斜視図である。 本発明の1つの実施形態における積層コイル部品(外部電極を除く)の概略分解斜視図である。 本発明の1つの実施形態における積層コイル部品の概略断面図である。 本発明の1つの実施形態における積層コイル部品(外部電極を除く)の概略断面図であり、(a)は、磁性体部の中央領域および導体部近傍領域を例示的に示す図であり、(b)は、高Cu含有量領域および低Cu含有量領域を例示的に示す図である。 磁性体部の中央領域および導体部近傍領域の平均結晶粒径の測定箇所を例示的に示す図である。
本発明の積層コイル部品およびその製造方法について、以下、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本実施形態の積層コイル部品の構成、形状、巻回数および配置等は、図示する例に限定されないことに留意されたい。
図1に示すように、本実施形態の積層コイル部品1aは、概略的には、積層体2と、該積層体2の両端面を覆うように設けられた外部電極7および8から成る。
図2および図3を参照して、積層体2は、磁性体層4および5から成る磁性体部4aと、各磁性体層間に配置された導体パターン層3から成るコイル状の導体部3aとから成る。各導体パターン層3は、磁性体層4に貫通して設けられたビアホール6を通ってコイル状に相互接続されている。導体部3aは、最外層の磁性体層5に貫通して設けられたビアホール6aを通って、外部電極7および8に接続されている。
磁性体部4aは、Fe、Ni、ZnおよびCuを含む焼結フェライトから成る。導体部3aは、銀を含む導体から成るものであればよいが、銀を主成分として含む導体、すなわち実質的に銀から成る導体が好ましい。外部電極7および8は、特に限定されないが、通常、銀を主成分として含む導体から成り、必要に応じてニッケルおよび/またはスズなどがメッキされ得る。
本発明の積層コイル部品は、外部電極をコイル中心軸方向に対向して設けた構造(すなわち横巻き構造)であるため、外部電極をコイル中心軸と略平行に設けた構造(すなわち縦巻き構造)と比較して、コイル導体部と外部電極間の浮遊容量が小さく、高周波帯域でも高いインピーダンスが得られ、高周波帯域でのインピーダンス特性が改善される。
本発明の積層コイル部品は、磁性体部の導体部近傍領域の平均結晶粒径をD1、磁性体部の中央領域の平均結晶粒径をD2とした場合、粒径比D1/D2が0.8以下である。
ここに、本発明において、「磁性体部の中央領域」とは、磁性体部のうち、導体パターン層が形成するコイルの内側に位置し、コイルの中心軸上およびその近傍に位置する領域を意味し、具体的には、コイルの中心軸から10μm以内の領域(例えば、図4(a)に示す領域X)として規定される。「磁性体部の導体部近傍領域」とは、磁性体部のうち、磁性体部と導体部との界面に近接した領域を意味し、磁性体部と導体部との界面から磁性体の内部へ1μm以上離れ、10μm以内にある領域(例えば、図4(a)に示す領域Y)として規定される。なお、図4(a)においては、導体部近傍領域Yが導体パターン層間で離間した例を示しているが、本実施形態はこれに限定されず、導体パターン層間で重なり合っていてもよい。
磁性体部の平均結晶粒径は、磁性体部の所定の領域、すなわち中央領域または導体部近傍領域、代表的には、内部導体から約5μm離れた箇所(図5の内部導体近傍領域であってt=5μmの箇所に相当する)または磁性体部の略中央部(図5の素子中央領域に相当する)のSEM写真を撮影し、このSEM写真から、JIS規格(R1670)に準拠し、円相当径に換算して平均結晶粒径を算出して求められる。本発明において、平均結晶粒径は、複数、例えば10個の試料で測定した測定値の平均値として求められる。
粒径比D1/D2が0.8以下であるということは、磁性体部の導体部近傍領域の焼結性が低く、それ以外の領域、例えば磁性体部の中央領域では焼結性が高いことを意味する。このような積層コイル部品では、導体部近傍領域の焼結密度がより小さいことによって、導体部からの内部応力を緩和することができ、積層コイル部品を熱衝撃試験に付した場合の磁気特性(例えばインピーダンス)の変化を低減することができる。さらに、導体部近傍領域の焼結密度がより小さいことによって、当該領域の透磁率を小さくすることができ、積層コイル部品の直流重畳特性を向上させることができる。また、導体部近傍領域以外の領域では焼結密度が大きいので、所望の強度を得ることができる。
また、本発明の積層コイル部品は、磁性体部の中央領域におけるCu含有量が、CuOに換算して、0.4〜4.0mol%、好ましくは0.4〜1.0mol%であり得る。かかるCu含有量とすることにより、積層コイル部品の強度を保持したまま、熱衝撃試験に付した場合の磁気特性の変化を一層低減することができる。
磁性体部のCu含有量(重量%)は、磁性体部の所定の領域を波長分散型X線分析法(WDX法)を用いてCu含有量を測定して求められる。測定面積は、使用する分析機器によって異なり得、例えば、測定ビーム径で数十nm〜1μmであるが、これに限定されない。測定箇所は、測定対象とする領域内において適宜設定でき、Cu含有量(重量%)は、該領域内のいくつかの箇所で測定した測定値の平均値として求められる。
図1により示される本実施形態の積層コイル部品1aは、以下のようにして製造される。
まず、Fe、NiO、ZnOおよびCuOを含み、かつCuO含有量が0.4〜4.0mol%であるフェライト材料のグリーンシートを準備する。
フェライト材料は、Fe、NiO、ZnOおよびCuOを主成分として含み、必要に応じて添加成分を更に含んでいてよい。通常、フェライト材料は、素原料として、これら成分の粉末を所望の割合で混合および仮焼して調製され得るが、これに限定されるものではない。
本実施形態において、フェライト材料におけるCuO含有量は、0.4〜4.0mol%(主成分合計基準)とする。CuO含有量を0.4〜4.0mol%として、後述する熱処理により積層体を焼成することによって、直流重畳特性を向上させ、熱衝撃試験に付した場合の磁気特性の変化を小さくすることができる。
フェライト材料におけるFe含有量は、44〜49.8mol%(主成分合計基準)とすることが好ましい。Fe含有量を44mol%以上とすることによって、磁性体部の中央領域において高い透磁率を得ることができ、大きなインダクタンスを取得できる。また、Fe含有量を49.8mol%以下とすることによって、高い焼結性を得ることができる。
フェライト材料におけるZnO含有量は、6〜33mol%(主成分合計基準)とすることが好ましい。ZnO含有量を6mol%以上とすることによって、高い透磁率を得ることができ、大きなインダクタンスを取得できる。また、ZnO含有量を33mol%以下とすることによって、キュリー点の低下を回避でき、積層コイル部品の動作温度の低下を回避できる。
フェライト材料におけるNiO含有量は、特に限定されず、上述した他の主成分であるCuO、Fe、ZnOの残部とし得る。
フェライト材料における添加成分としては、例えばBi、SnO、Co、Mnなどが挙げられるが、これに限定されない。Bi含有量(添加量)は、主成分(Fe、ZnO、NiO、CuO)の合計100重量部に対して、0.1〜1重量部とすることが好ましい。Bi含有量を0.1〜1重量部とすることによって、低温焼成がより促進されると共に、異常粒成長を回避することができる。Bi含有量が高すぎると、異常粒成長が起こり易く、異常粒成長部位にて比抵抗が低下し、外部電極形成時のめっき処理の際に、異常粒成長部位にめっきが付着するので好ましくない。
上記のようにして調製したフェライト材料を用いてグリーンシートを準備する。例えば、フェライト材料を、バインダ樹脂および有機溶剤を含む有機ビヒクルと混合/混練し、シート状に成形することによりグリーンシートを得てよいが、これに限定されるものではない。
別途、銀を含む導体ペーストを準備する。市販で入手可能な、銀を粉末の形態で含む一般的な銀ペーストを使用できるが、これに限定されない。
そして、上記フェライト材料のグリーンシート(磁性体層4および5に対応する)を、銀を含む導体ペースト層(導体パターン層3に対応する)を介して積層し、導体ペースト層がフェライト材料のグリーンシートに貫通して設けられたビアホール(ビアホール6に対応する)を通ってコイル状に相互接続されている積層体(積層体2に対応するが、未焼成積層体である)を得る。
積層体の形成方法は、特に限定されず、シート積層法および印刷積層法などを利用して積層体を形成してよい。シート積層法による場合、フェライト材料のグリーンシートに、適宜ビアホールを設けて、導体ペーストを所定のパターンで(ビアホールが設けられている場合には、ビアホールに充填しつつ)印刷して導体ペースト層を形成し、導体ペースト層が適宜形成されたグリーンシートを積層および圧着し、所定の寸法に切断して、積層体を得ることができる。印刷積層法による場合、フェライト材料からなる磁性体ペーストを印刷して磁性体層を形成する工程、導体ペーストを所定のパターンで印刷して導体層を形成する工程を順次繰り返すことで積層体を作製する。磁性体層を形成する時は所定の箇所にビアホールを設け、上下の導体層が導通するようにし、最後に磁性体ペーストを印刷して磁性体層(磁性体層5に対応する)を形成し、これを所定の寸法に切断して、積層体を得ることができる。この積層体は、複数個をマトリクス状に一度に作製した後に、ダイシング等により個々に切断して(素子分離して)個片化したものであってよいが、予め個々に作製したものであってもよい。
次に、上記で得られた積層体を、酸素濃度0.1体積%以下の雰囲気で熱処理することにより、フェライト材料のグリーンシートおよび銀を含む導体ペースト層を焼成して、それぞれ磁性体層4および5ならびに導体パターン層3とする。これにより得られた積層体2において、磁性体層4および5は磁性体部4aを形成し、導体パターン層3は導体部3aを形成する。
酸素濃度0.1体積%以下の雰囲気で熱処理することにより、フェライト材料を空気中で熱処理する場合よりも低温で焼結でき、例えば、焼成温度を900〜930℃とし得る。本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、低酸素濃度雰囲気で焼成した場合、結晶構造中に酸素欠陥が形成され、結晶中に存在するFe、Ni、Cu、Znの相互拡散が促進され、低温焼結性を高めることができるものと考えられる。
加えて、CuOの含有量が4mol%以下であるNi−Zn−Cu系フェライト材料を使用することにより、酸素濃度0.1体積%以下の雰囲気で焼成しても、磁性体部4aにおいて高い比抵抗を確保することができる。本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、低酸素濃度雰囲気で焼成した場合、熱処理雰囲気の還元作用によりCuOがCuOに還元されて磁性体部4aの比抵抗が低下する(インピーダンスが低下する)と考えられ、CuOの含有量を小さくすることによりCuOの還元によるCuOの生成を抑制でき、これにより比抵抗の低下が抑制されるものと考えられる。但し、焼成雰囲気の酸素濃度は0.1体積%以下であればよいが、磁性体部4aの比抵抗を確保するには0.001体積%以上であることが好ましい。本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、酸素濃度があまり低すぎると、酸素欠陥が必要以上に生成されて磁性体部4aの比抵抗が低下するおそれがあり、酸素をある程度存在させることにより、酸素欠陥の生成が過剰となるのを回避でき、これにより高い比抵抗を確保できるものと考えられる。
なお、磁性体部の焼結前後において、焼結前のフェライト材料、例えば、CuO、Feは焼成によりその一部がそれぞれCuO、Feに変化することが起り得る。しかし、かかる焼結フェライト材料におけるCuO換算含有量、Fe換算含有量は、それぞれ、焼結前のフェライト材料におけるCuO含有量、Fe含有量と実質的に相違ないと考えて差し支えない。
次に、上記で得られた積層体2の両端面を覆うように、積層体内部の導体部3aのコイル中心軸方向に対向して、外部電極7および8を形成する。外部電極7および8の形成は、例えば、銀の粉末をガラスなどと一緒にペースト状にしたものを所定の領域に塗布し、得られた構造体を、例えば約750℃で熱処理して銀を焼き付けることによって実施し得る。外部電極7および8は、それぞれ、磁性体層5に設けられたビアホール6aを介して、導体部3aの両末端に接続されている。
以上のようにして、本実施形態の積層コイル部品1aが製造される。
磁性体部4aの導体部近傍領域Yにおける平均結晶粒径は、磁性体部4aの中央領域Xにおける平均結晶粒径に対して、0.8以下となる。本発明はいかなる理論によっても拘束されないが、CuO含有量が0.4〜4mol%であるフェライト材料と、銀を含む導体ペーストとを、酸素濃度0.1体積%以下の雰囲気で同時焼成すると、この焼成過程において、導体ペーストに由来する導体部が、フェライト材料からCuを吸収し、このため、導体部近傍領域YにおけるCu含有量が低下するものと考えられる。すなわち、図4(b)に例示的に示すように、磁性体部4aにおいて、導体部3aの周囲に低Cu含有量領域Y’(導体部近傍領域Yを含む)が形成され、これにより、その他のバルク領域(積層体2の外表面に隣接した領域を除く)は、相対的にCu含有量が高くなって、高Cu含有量領域X’となる。磁性体部4aの中央領域XにおけるCu含有量は、高Cu含有量領域X’におけるCu含有量を代表するものとして理解され得、磁性体部4aの導体部近傍領域YにおけるCu含有量は、低Cu含有量領域Y’におけるCu含有量を代表するものとして理解され得る。なお、図4(b)に示すように、低Cu含有量領域Y’は、導体パターン層間に隙間なく形成されることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
CuOは、焼結助剤として作用するので、低Cu含有量領域Y’では、Cu含有量が相対的に低いため焼結性が低下し、粒子成長が抑制されて、焼結密度が低くなる。一方、高Cu含有量領域X’では、Cu含有量が相対的に高いため焼結性が高く、粒子成長が十分促進されて、焼結密度が高くなる。
かかる積層コイル部品1aは、焼結フェライト材料からなる磁性体部4aと、銀を含む導体から成る導体部3aとで熱膨張係数(特に線膨張係数)が異なるものの、磁性体部4aのうち、低Cu含有量領域Y’は焼結密度が低いので、熱処理(焼成)後の冷却過程などにより磁性体部4a内に発生し得る内部応力(または応力歪み)を緩和または低減することができる。よって、積層コイル部品1aを熱衝撃試験に付した場合、または積層コイル部品1aの用途(基板実装する際のリフロー処理や、ユーザーによる実使用)において、急激な温度変化に曝されたり、外部応力が負荷されたりした場合に、導体部近傍領域Y(焼結密度の低い領域)において内部応力の変動を小さくすることができ、よって、インダクタンスやインピーダンス等の磁気特性の変化を低減することができる。また、磁性体部4aのうち、高Cu含有量領域X’は焼結密度が高いので、積層コイル部品1aは、十分な強度を保持することができる。この結果、本実施形態の積層コイル部品1aにおいては、強度を保持したまま内部応力の緩和を達成することができる。
以上、本発明の1つの実施形態について説明したが、本実施形態は種々の改変が可能である。
Fe、ZnO、NiO、CuO粉末を組成が表1の試料No.1〜12に示す割合となるように秤量した。なお、試料No.3〜9が本発明の実施例であり、試料No.1〜2および10〜12(表中、記号「*」を付して示す)は比較例である。
Figure 0006065439
次いで、試料No.1〜12の各秤量物を、純水およびPSZ(Partial Stabilized Zirconia;部分安定化ジルコニア)ボールと共に、ボールミルに入れ、48時間混合粉砕した。粉砕処理物を蒸発乾燥させた後、750℃の温度で2時間仮焼した。これにより得られた仮焼物を、エタノールおよびPSZボールと共に、再びボールミルに入れ、24時間粉砕し、更にポリビニルブチラール系バインダ(有機バインダ)を加えて十分に混合し、フェライト材料を含むスラリー(セラミックスラリー)を得た。次に、ドクターブレード法により、上記で得たフェライト材料のスラリーから、厚さ25μmのグリーンシートを作製し、50mm角の大きさに打ち抜いて、磁性体シートを作製した。
次いで、レーザ加工機を使用して、上記で作製した磁性体シートの所定の位置にビアホールを形成した後、別途調製した、銀粉末、ワニスおよび有機溶剤を含む導体ペーストを、磁性体シートの表面にスクリーン印刷し、かつビアホールに充填して、所定形状のコイルパターンおよびビアホールを有する導体ペースト層を形成した。
次いで、図2に示されるように、所定のコイルパターンが形成された磁性体シートを適切に積層した後、これらを、導体ペースト層が形成されていない磁性体シートで挟持し、60℃の温度で100MPaの圧力で圧着し、圧着ブロックを作製した。そして、この圧着ブロックを所定のサイズに切断して積層成形体を作製した。
上記で得られた積層体を、大気中で400℃に加熱して十分に脱脂した。次いで、N−Oの混合ガスにより酸素分圧が0.1体積%に制御された焼成炉に積層体を投入し、900〜930℃の温度域で、1〜5時間保持することにより熱処理(焼成)し、これにより磁性体部にコイル導体部が埋設された部品素体(積層体)を作製した。
次いで、銀粉末、ガラスフリット、ワニスおよび有機溶剤を含有した外部電極用導電ペーストを用意し、この外部電極用導電ペーストを、上記部品素体のコイルの軸方向に対向した両端に塗布して乾燥させた後、750℃で焼き付けて、外部電極を形成して、図1に示されるような試料(積層コイル部品)を得た。
以上により、積層コイル部品を、試料No.1〜12について作製した。なお、積層コイル部品の外径寸法は、長さL:1.0mm、幅W:0.5mm、厚みT:0.5mmとし、導体部(コイル)のターン数は1MHzで約6μHになるように調整した。
(評価)
試料No.1〜12について得られた試料(積層コイル部品)を、平均結晶粒径、たわみ試験および熱衝撃試験により評価した。
・平均結晶粒径
試料No.1〜12につき各10個の試料を用いて、樹脂固めを行い、試料の厚み方向に研磨し、厚み方向の約1/2の時点における研磨断面を得て、観察用の断面とした。これをケミカルエッチングし、図5に示すように内部導体から約5μm離れた箇所(図5の内部導体近傍領域であってt=5μmの箇所)、および試料の略中央部(図5の素子中央領域)のSEM写真を撮影し、このSEM写真から、JIS規格(R1670)に準拠し、旭化成エンジニアリング製画像解析ソフトA像くん(商標登録)を用いて、円相当径に換算して平均結晶粒径を算出し、10個の試料での平均値を求め、平均結晶粒径とした。結果と粒径比を表1に併せて示す。
・たわみ強度試験
試料No.1〜12につき各50個の試料を用いて、大きさが100mm×40mm、厚さ0.8mmのたわみ強度試験用基板(ガラスエポキシ基板)の中央部に試料をはんだ付けし、試料がはんだ付けされた面とは別の面から毎秒0.5mmの速さで2mmのたわみを加えて、試料が破断しないか評価した。50個中破壊した試料がゼロ個のものを表1において○とした。また、1個でも破壊した試料を×とした。結果を表1に併せて示す。
・ヒートサイクル試験(熱衝撃試験)
試料No.1〜12につき各50個の試料を、−55℃〜+125℃の範囲での所定のヒートサイクルに供し、2000サイクル繰り返した。試験前後で、試料のインピーダンスZを、アジレント・テクノロジー社製のインピーダンスアナライザ(型番E4991A)を用いて測定し(測定周波数=100MHz)、ヒートサイクル試験前後でのインピーダンスZ変化率を求め、50個の試料での平均値を算出した。結果を表1に併せて示す。
表1から理解されるように、フェライト材料のCuO含有量が0.4〜4.0mol%である試料No.3〜9の試料では、磁性体部の中央領域と導体部近傍領域とで平均結晶粒径に差が認められた。また、試料No.1〜9の試料では、試料No.10〜12の試料に比べて、ヒートサイクル試験におけるインピーダンス変化が低減されることが確認された。さらに、たわみ強度試験において、試料No.3〜12の試料では破壊が見られなかったが、試料No.1および2の試料では破壊が見られた。以上の結果から、フェライト材料のCuO含有量が0.4〜4.0mol%であり、磁性体部の中央領域の平均結晶粒径に対する導体部近傍領域の平均結晶粒径の粒径比が0.8以下である試料No.3〜9の試料において優れた効果が得られることが確認された。
本発明によって得られる積層コイル部品は、例えば高周波回路のインピーダンス素子などとして、幅広く様々な用途に使用され得る。
1a 積層コイル部品
2 積層体
3 導体パターン層
3a 導体部
4、5 磁性体層
4a 磁性体部
6、6a ビアホール
7、8 外部電極
X 中央領域
Y 導体部近傍領域
X’ 高Cu含有量領域
Y’ 低Cu含有量領域

Claims (3)

  1. Fe、Ni、ZnおよびCuを含む焼結フェライトである磁性体部と、銀を含み、磁性体部に埋設されて成るコイル状の導体部と、磁性体部の表面にコイル中心軸方向に対向して設けられ、導体部の両端に電気的に接続された一対の外部電極とを有する積層コイル部品であって、
    磁性体部の中央領域の平均結晶粒径に対する、磁性体部の導体部近傍領域の平均結晶粒径の粒径比が0.8以下であることを特徴とする、積層コイル部品。
  2. 磁性体部の中央領域におけるCu含有量が、CuOに換算して、0.4〜4.0mol%である、請求項1に記載の積層コイル部品。
  3. 磁性体層が積層されて成る磁性体部と、磁性体層間に配置された複数の導体パターン層が磁性体層を貫通してコイル状に相互接続され、磁性体部に埋設されて成る導体部と、磁性体部の表面にコイル中心軸方向に対向して設けられ、導体部の両端に電気的に接続された一対の外部電極とを有し、磁性体部の中央領域の平均結晶粒径に対する、磁性体部の導体部近傍領域の平均結晶粒径の粒径比が0.8以下である積層コイル部品の製造方法であって、
    Fe、NiO、ZnOおよびCuOを含み、かつCuO含有量が0.4〜4.0mol%であるフェライト材料のグリーンシートを、銀を含む導体ペースト層を介して積層し、導体ペースト層がフェライト材料のグリーンシートを貫通してコイル状に相互接続されている積層体を得ること、および
    積層体を酸素濃度0.1体積%以下の雰囲気で熱処理することにより、フェライト材料のグリーンシートおよび銀を含む導体ペースト層を焼成して、それぞれ磁性体層および導体パターン層とし、これにより、それぞれ前記磁性体部および前記導体部を形成すること
    を含む製造方法。
JP2012165380A 2012-07-26 2012-07-26 積層コイル部品およびその製造方法 Active JP6065439B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012165380A JP6065439B2 (ja) 2012-07-26 2012-07-26 積層コイル部品およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012165380A JP6065439B2 (ja) 2012-07-26 2012-07-26 積層コイル部品およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014027071A JP2014027071A (ja) 2014-02-06
JP6065439B2 true JP6065439B2 (ja) 2017-01-25

Family

ID=50200469

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012165380A Active JP6065439B2 (ja) 2012-07-26 2012-07-26 積層コイル部品およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6065439B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10796829B2 (en) 2017-10-24 2020-10-06 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Coil electronic component

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6398857B2 (ja) 2015-04-27 2018-10-03 株式会社村田製作所 電子部品及びその製造方法
JP7222217B2 (ja) * 2018-10-30 2023-02-15 Tdk株式会社 積層コイル部品
JP7074050B2 (ja) * 2018-12-28 2022-05-24 株式会社村田製作所 コイル部品
CN114730655A (zh) * 2019-11-26 2022-07-08 株式会社村田制作所 层叠型线圈部件
JP7385174B2 (ja) * 2019-12-11 2023-11-22 Tdk株式会社 磁性シート、および、磁性シートを備えるコイルモジュール、並びに非接触給電装置。
JP2024054584A (ja) 2022-10-05 2024-04-17 Tdk株式会社 電子部品

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007091349A1 (ja) * 2006-02-09 2007-08-16 Murata Manufacturing Co., Ltd. 積層型フェライト部品、及び積層型フェライト部品の製造方法
JP5223821B2 (ja) * 2009-08-28 2013-06-26 Tdk株式会社 積層型電子部品
CN102741956B (zh) * 2010-02-01 2014-08-20 株式会社村田制作所 电子部件的制造方法
JP5717044B2 (ja) * 2010-05-07 2015-05-13 株式会社村田製作所 セラミック電子部品

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10796829B2 (en) 2017-10-24 2020-10-06 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Coil electronic component

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014027071A (ja) 2014-02-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9741484B2 (en) Laminated coil component
JP6065439B2 (ja) 積層コイル部品およびその製造方法
KR101421453B1 (ko) 적층 부품
US8237528B2 (en) Electronic component
KR101282025B1 (ko) 적층 인덕터, 그 제조 방법 및 적층 초크 코일
JP5900501B2 (ja) 積層コイル部品およびその製造方法
US8633794B2 (en) Electronic component and manufacturing method for same
JP5761609B2 (ja) セラミック電子部品、及びセラミック電子部品の製造方法
JP2013065845A (ja) コモンモードチョークコイルおよびその製造方法
US20140253276A1 (en) Laminated inductor
JP2009283824A (ja) 電子部品及びその製造方法
US9748034B2 (en) Laminated coil component
JP6149392B2 (ja) 多層基板
JPWO2016072428A1 (ja) 積層コイル部品
JP2014082280A (ja) 積層コイル部品
JP5794307B2 (ja) アンテナコイルおよびその製造方法
WO2009130935A1 (ja) 電子部品
WO2016072427A1 (ja) 積層コイル部品
JP2014060289A (ja) 積層コイル部品
JP6011302B2 (ja) 積層コイル部品
WO2014050867A1 (ja) 積層コイル部品およびその製造方法
JPWO2007091349A1 (ja) 積層型フェライト部品、及び積層型フェライト部品の製造方法
JP2019156664A (ja) 複合磁性材料およびそれを用いた電子部品
JP6260211B2 (ja) 積層コイル部品およびその製造方法
JP2014067889A (ja) 積層コイル部品およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150417

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160822

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6065439

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150