JP2009042649A - レンズの製造方法及びレンズ - Google Patents
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Abstract
Description
また、A)、B)、C)を全て含む組成物は、室温で硬化が進行するため、A)、B)、C)のうちの1つまたは2つを含む液2種を使用直前に混合して調製する必要があり、製造上の問題となっていた。
<1> 式(I)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンを含有するシリコーン樹脂組成物を調製する工程、及び、前記シリコーン樹脂組成物を成形型中で220℃以上の温度で硬化させる工程を含むことを特徴とするレンズの製造方法、
<3> 前記オルガノポリシロキサンに含まれるビニル基のうち、30モル%以上が式(I)で表される構成単位に含まれるビニル基である<1>又は<2>に記載のレンズの製造方法、
<4> 前記オルガノポリシロキサンが組成式(A)で表される<1>〜<3>いずれか1つに記載のレンズの製造方法、
R1 aR2 bSiO(4−a−b)/2 (A)
(式(A)中、R1はビニル基を表し、R2はそれぞれ独立に非置換又は置換基を有する一価の炭化水素基(ただし、ビニル基を除く)を表し、aは0.03〜0.50であり、a+bは0.5〜1.20である。)
<5> 前記オルガノポリシロキサンのガラス転移温度が110℃〜310℃である<1>〜<4>いずれか1つに記載のレンズの製造方法、
<6> <1>〜<5>いずれか1つに記載の製造方法により製造されたレンズ。
以下、本発明のレンズの製造方法について詳細に説明する。
本発明のレンズの製造方法に用いられる硬化前のシリコーン樹脂組成物(以下、「本発明のシリコーン樹脂組成物」ともいう。)は、式(I)で表される構成単位を有するオルガノポリシロキサンを含むが、前記オルガノポリシロキサンに含まれるケイ素原子の3モル%以上が、式(I)で表される構成単位に含まれるケイ素原子であることが好ましい。さらには、前記構成単位に含まれるケイ素原子が、前記オルガノポリシロキサンに含まれるケイ素原子の3〜50モル%であることがより好ましく、5〜40モル%であることがさらに好ましく、7〜30モル%であることが最も好ましい。上記の数値の範囲内であれば、シリコーン樹脂組成物の硬化性と、硬化して得られたレンズの硬度、及び、耐熱性とを両立できる。
以下、特にことわりのない限り、数値範囲の記載である「3〜50モル%」等は、「3モル%以上、50モル%以下」等を表すものとし、他の数値範囲の記載においても同様とする。
R1 aR2 bSiO(4−a−b)/2 (A)
(式(A)中、R1はビニル基を表し、R2はそれぞれ独立に非置換又は置換基を有する一価の炭化水素基(ただし、ビニル基を除く)を表し、aは0.01〜3、bは0〜2.99である。)
VicPhdMeeSiO(4−c−d−e)/2 (B)
(式(B)中、Viはビニル基を表し、Phはフェニル基を表し、Meはメチル基を表す。cは0.01〜3、dは0〜2.99で、eは0〜2.99である。)
dは0.1〜1.3が好ましく、0.4〜0.9がより好ましく、0.5〜0.85が最も好ましい。dがこの数値の範囲内にあれば、本発明のレンズは光学性能上、十分な高屈折率を達成できる。
本発明のシリコーン樹脂組成物のゲル透過クロマトグラフィーでのポリスチレン換算数平均分子量は、1,500〜15,000であることが好ましく、2,000〜10,000であることがより好ましく、2,500〜8,000であることが最も好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記の数値の範囲内にあれば、本発明のシリコーン樹脂組成物は、加熱成形に適した粘度、相転移温度および耐熱性を有する。
本発明においてはオルガノハロシランを用いて共加水分解縮合することが好ましく、中でもオルガノクロロシランを用いることがより好ましい。すなわち、オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に直接結合したヒドロキシ基やアルコキシ基のようなケイ素官能基を有していないことが好ましい。ケイ素官能基を有していないオルガノポリシロキサンを用いて作製したレンズは化学的に安定で、耐熱性に優れるため好ましい。
ケイ素官能基を有していないオルガノポリシロキサンは、個々のシロキサン単位構造に対応するオルガノクロロシラン類を共加水分解・縮合させて得られるポリオルガノシロキサンを、水酸化カリウム、カリウムシラノレートのようなアルカリ性物質によって処理し、さらに必要に応じてシリル化剤で処理して製造することができる。
離型剤としては、公知のものを用いることができ、限定されるものではないが、脂肪酸系化合物、エリスリトール誘導体の脂肪酸エステルの離型剤がシリコーン樹脂との相溶性、硬化後の透明性、更には高温で放置した後の耐変色性において優れたものである。
具体的にはペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールアジピン酸ステアリン酸エステル、グリセリントリ−18−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトールフルステアレート、酸化ポリエチレン、高エステル化カルナバ、リケマールTG−12(グリセリントリ−18−ヒドロキシステアレート)、リケマターEW−440A(ペンタエリスリトールテトラステアレート)、LICOWAX PED136(酸化ポリエチレン)、エレクトールD−121−41(ポリプロピレン/無水マレイン酸コポリマー)、リケマターEW−200(ペンタエリスリトールアジピン酸ステアリン酸エステル)、リケマターEW−400(ペンタエリスリトールフルステアレート)が挙げられ、中でもペンタエリスリトールテトラステアレートを好ましく用いることができる。
離型剤は、シリコーン樹脂組成物全量に対して0.05〜5重量%含まれていることが好ましく、0.1〜2重量%含まれていることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると射出成形などで成形したレンズを容易に金型から取り出すことができる。
シリコーン樹脂組成物およびレンズ等の硬化物の安定性から、SiH基および白金触媒を含まないことが好ましい。ただし、本発明の効果を損なわない範囲で、これらを含んでいてもよい。
シリコーン樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は110℃〜310℃であることが好ましいが、120℃〜270℃であることがより好ましく、130℃〜230℃であることが最も好ましい。
シリコーン樹脂組成物の融点は180℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが最も好ましい。
融点が上記の範囲であるとシリコーン樹脂組成物を加熱して硬化する際に、良好な成形性と硬化性を両立できる。
水を配合して加水分解を行ったのみでは、多くのケイ素原子結合塩素が残留することがあるからである。また、配合した強塩基の中和には、揮発性の酸性物質を使用することが好ましい。蒸留等により容易に過剰の揮発性の酸性物質を除去できるからである。発生した塩は、水洗して除去することができる。
また、酸性物質を酸性触媒として用いたアルコキシシランの加水分解によりオルガノポリシロキサンを製造する場合は、使用した酸性触媒を除去するために十分な水洗を行うことが好ましい。これら酸性物質は有機層に可溶であるため残留しやすくシリコーン樹脂組成物の全酸価を上昇させる場合があるからである。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、各種成形方法により成形することができる。その硬化物は光学的に透明であるので、特に光学レンズとして有用である。
加熱温度は240℃〜420℃であることが好ましく、260℃〜400℃であることがより好ましく、280℃〜380℃であることが最も好ましい。
加熱時間は、一般的に10秒から10時間であるが、1分〜5時間が好ましく、3分〜3時間がより好ましく、10分〜1時間が最も好ましい。加熱は、窒素中で行うことが好ましい。
成形後の成型収縮率とポストキュア後の成型収縮率の比が0.9〜1.1となる条件で成形することが好ましい。
一般に、有機物質を含有するレンズは、高温に暴露されると次第に黄色く着色することが多く、着色したレンズの各波長の光透過率は、青色から紫色に相当する短波長領域の光透過率が他の可視光領域に比較して大きく低下することが分かっている。
このことから、レンズの着色の程度は短波長側、例えば波長400nmの光透過率を測定することにより比較することができる。どの程度の着色まで許容できるかは用途により異なるが、例えば、200℃で14日間エージングした後でも波長400nmにおいて40%以上の光透過率を有することが好ましく、50%以上の光透過率を有することがさらに好ましい。
本発明のレンズは400nmと596nmで測定した屈折率の比が1.01以上であることが好ましい。
本発明のレンズは、とりわけ、製造工程や使用環境において、室温よりも高温、例えば50℃〜300℃に曝される光学レンズや、高輝度の光を発する光源に直接接する、あるいは、その近傍に配置される光学レンズが好適である。本発明のレンズは、具体的には、携帯電話内蔵カメラの光学レンズ、LED用の光学レンズとして特に有用である。
フェニルトリクロロシラン33.85部、ビニルトリクロロシラン3.23部、及び、テトラクロロシラン3.40部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、トルエン20.80部、イソプロピルアルコール9.37部、4−メトキシフェノール0.003部、及び、水12部の混合液中に、液内温度を30℃以下に保ち、激しく撹拌しながら、60分間かけて前記オルガノクロロシラン混合液を滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン80部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。
水洗後、シロキサン濃度が10重量%であるトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.024部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75重量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。
次いで、トリメチルクロロシラン6部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。ろ過した後、加熱減圧下でトルエンを留去して、イソプロピルアルコール156.2部を加え、デカンテーションで沈澱を単離した。得られた沈澱を乾燥、粉砕することにより、固体状のオルガノポリシロキサンAを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量14,800、数平均分子量4,900であった。オルガノポリシロキサンAのTgは190℃であった。
オルガノポリシロキサンAの組成式
Vi0.10Me0.05Ph0.76SiO1.55
(以下、組成式中、Viはビニル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)
仕込み比、組成式、及び、NMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンAに式(I)の構成単位が含まれていることは明らかである。
フェニルトリクロロシラン14.80部、メチルトリクロロシラン2.99部、ビニルトリクロロシラン1.61部、及び、トルエン10.40部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、水10部中に激しく撹拌して、内温を30℃以下に保ちながら、60分間で滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン30部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。水洗後、シロキサン濃度が25重量%のトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.010部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75重量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。次いで、トリメチルクロロシラン3部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。分液洗浄した後、脂肪酸系離型剤リケスターEW−440A(理研ビタミン(株)製、ペンタエリスリトールテトラステアレート)2.0部を加えてろ過し、加熱減圧下でトルエンを留去し、固体状のオルガノポリシロキサンBを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量11,000、数平均分子量3,200であった。オルガノポリシロキサンBのTgは213℃であった。
オルガノポリシロキサンBの組成式
Vi0.10Me0.21Ph0.69SiO1.50
仕込み比、組成式、およびNMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンBに式(I)の構成単位が含まれていることは明らかである。
フェニルトリクロロシラン50.77部、ビニルトリクロロシラン9.69部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、トルエン30.87部、イソプロピルアルコール13.99部、4−メトキシフェノール0.01部、及び、水17.8部の混合液中に、液温度を30℃以下に保ち、激しく撹拌しながら、60分間かけて前記オルガノクロロシラン混合液を滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン90部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。水洗後、シロキサン濃度10重量%のトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.045部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75重量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。次いで、トリメチルクロロシラン2.0部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。ろ過した後、加熱減圧下でトルエンを留去し、イソプロピルアルコール300部を加え、デカンテーションで沈澱を単離し、固体状のオルガノポリシロキサンCを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量4,600、数平均分子量2,600であった。オルガノポリシロキサンCのTgは135℃であった。
オルガノポリシロキサンCの組成式
Vi0.20Me0.01Ph0.8SiO1.50
仕込み比、組成式、およびNMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンCに式(I)の構成単位が含まれていることは明らかである。
オルガノポリシロキサンA 2部とオルガノポリシロキサンC 2部とをトルエン40部に溶解し、加熱減圧濃縮し、オルガノポリシロキサンDを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量9,700、数平均分子量3,300であった。オルガノポリシロキサンDのTgは160℃であった。
仕込み比、組成式、およびNMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンDに式(I)の構成単位構造が含まれていることは明らかである。
フェニルトリクロロシラン41.93部、メチルビニルジクロロシラン5.99部、ジメチルジクロロシラン5.48部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、トルエン19.07部、水14部、イソプロピルアルコール8.59部の混合液中に、激しく撹拌しながら液内温度を30℃以下に保ちながら、60分間で滴下した。更に2時間撹拌を行った後、分液操作で有機層を単離し、有機層を4回水洗した。水酸化カリウム0.024部を添加し、ディーンスターク管から水分を除去しながら5時間加熱還流した。次いで、固形分濃度75重量%になるまで濃縮し、さらに3時間還流した。室温まで冷却し、酢酸41.96×10−6部を加えた。反応液をろ過した後濃縮し、乾燥、粉砕することにより、固体状のオルガノポリシロキサンEを得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量4,000、数平均分子量1,500であった。オルガノポリシロキサンEのTgは90℃であった。
オルガノポリシロキサンEの組成式
Vi0.15Me0.45Ph0.7SiO1.35
仕込み比、組成式、およびNMRスペクトルから、オルガノポリシロキサンEに式(I)の構成単位が含まれていないことは明らかである。
オルガノポリシロキサンAのみを含むシリコーン樹脂組成物を用いて、窒素中、金型温度380℃、射出成形圧力は20MPa、成形時間10分間で、無色透明なドーム状レンズ(直径3mm、高さ1.8mm)を射出成形した。
オルガノポリシロキサンAのみを含むシリコーン樹脂組成物を用いて、窒素中、金型温度280℃、射出成形圧力は20MPa、成形時間2時間で、無色透明なドーム状レンズ(直径3mm、高さ1.8mm)を射出成形した。
オルガノポリシロキサンBのみを含むシリコーン樹脂組成物を用いて、窒素中、金型温度350℃、射出成形圧力は20MPa、成形時間30分間で、無色透明なドーム状レンズ(直径3mm、高さ1.8mm)を射出成形した。
オルガノポリシロキサンCのみを含むシリコーン樹脂組成物を用いて、窒素中、金型温度380℃、射出成形圧力は20MPa、成形時間10分間で、無色透明なドーム状レンズ(直径3mm、高さ1.8mm)を射出成形した。
オルガノポリシロキサンDのみを含むシリコーン樹脂組成物を用いて、窒素中、金型温度380℃、射出成形圧力は20MPa、成形時間10分間で、無色透明なドーム状レンズ(直径3mm、高さ1.8mm)を射出成形した。
オルガノポリシロキサンEのみを含むシリコーン樹脂組成物を用いて、窒素中、金属金型温度150℃、射出成形圧力は20MPa、成形時間30分間で、無色透明なドーム状レンズ(直径3mm、高さ1.8mm)を射出成形した。
実施例1〜5及び比較例1において成形したレンズと同じシリコーン樹脂組成物を用いて、同じ射出成形条件で試験片を作製し、これらの試験片についてASTM D−648で定められた荷重たわみ測定法に従って、耐熱温度を測定した。結果を表1に示した。
具体的には加熱浴槽中で試験片に3点荷重によって1.82MPa(18.6kgf/cm2)の荷重を加え,2℃/minで温度を上げていく。すると、一般に被測定材料の機械的強度が下がるので試験片は徐々にたわむ。この変位量が0.254mmに達する温度を「荷重たわみ温度」とした。
Claims (6)
- 前記オルガノポリシロキサンに含まれるケイ素原子の3モル%以上が式(I)で表される構成単位に含まれるケイ素原子である請求項1に記載のレンズの製造方法。
- 前記オルガノポリシロキサンに含まれるビニル基のうち、30モル%以上が式(I)で表される構成単位に含まれるビニル基である請求項1又は2に記載のレンズの製造方法。
- 前記オルガノポリシロキサンが組成式(A)で表される請求項1〜3いずれか1つに記載のレンズの製造方法。
R1 aR2 bSiO(4−a−b)/2 (A)
(式(A)中、R1はビニル基を表し、R2はそれぞれ独立に非置換又は置換基を有する一価の炭化水素基(ただし、ビニル基を除く)を表し、aは0.03〜0.50であり、a+bは0.5〜1.20である。) - 前記オルガノポリシロキサンのガラス転移温度が110℃〜310℃である請求項1〜4いずれか1つに記載のレンズの製造方法。
- 請求項1〜5いずれか1つに記載の製造方法により製造されたレンズ。
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