以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される化合物とシリコーン樹脂とを含有する。
一般式(1)で表される化合物は、有機溶媒に高溶解性で長波長領域においても紫外線遮蔽効果を示し、耐光性を有する。従って、紫外線吸収剤としてシリコーン樹脂に添加した場合、透明性に優れ、高い硬度を示し、かつ耐光性に優れた成形品を形成し得る。また、長波紫外線吸収能を長期間維持し、樹脂の色相の変化を抑制できる。
まず、下記一般式(1)で表される化合物について説明する。
[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。]
R1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。
R1a、R1b、R1c、R1d、R1eが表す置換基のうち1〜3個がハメット則のσp値が正である置換基を表すことが好ましく、1〜2個がハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましい。
前記一般式(1)における1価の置換基(以下Aとする)としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、置換スルホアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換又は無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、チオシアネート基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、炭素数6〜20のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。
また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。その際、置換基の例としては、上述の1価の置換基Aを挙げることができる。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
置換基同士で結合して形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環等が挙げられる。
前記一般式(1)における1価の置換基としては、ハロゲン原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、ヒドロキシ基、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のスルファモイル基、チオシアネート基、又は置換又は無置換のアルキルスルホニル基が好ましく、ORU(Ruは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、アルキル基、アミド基がより好ましく、ORu、アルキル基が更に好ましい。
Ruは、水素原子又は1価の置換基を表し、1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基を表すことが好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、i−オクチルを挙げることができ、メチル又はエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
本発明における好ましい第一の態様として、R1a、R1c、R1eのうち少なくとも1つが、ハメット則のσp値が正である置換基を表す態様を挙げることができる。R1cがハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましい。
R1cがハメット則のσp値が正である置換基であり、R1a、R1b、R1d、R1eは水素原子を表すことが更に好ましい。
R1cがハメット則のσp値が正である置換基を表す場合、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、耐光性が向上するため好ましい。
また、好ましい第ニの態様として、R1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である態様を挙げることができる。これにより、一般式(1)で表される化合物は、特に溶剤溶解性が優れるためシリコーン樹脂との相溶性に優れ、該化合物を含むシリコーン樹脂組成物は、透明性に優れ、高い硬度を示し、かつ耐光性に優れた成形品を形成し得る効果を有する。
溶剤溶解性とは、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンなどの有機溶剤への溶解性を意味し、シリコーン樹脂との相溶性の点で、使用する溶剤に対し、10質量%以上溶解することが好ましく、30質量%以上溶解することがより好ましい。
<好ましい第一の態様>
第一の態様においては、前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、好ましくは、σp値が0.1〜1.2の電子求引性基である。σp値が0.1以上の電子求引性基の具体例としては、COORr(Rrは、水素原子又は1価の置換基を表し、水素原子、アルキル基が挙げられ、好ましくは水素原子である。)、CONRs 2(Rsは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、CN、ハロゲン原子、NO2、SO3M(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、アシル基、ホルミル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、ホスホリル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、カルボキシ基(又はその塩)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基(例えばCF3)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、アシルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σp値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基などが挙げられる。ハメットのσp値については、Hansch,C.;Leo,A.;Taft,R.W.Chem.Rev.1991,91,165−195に詳しく記載されている。
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COORr、CONRs 2、CN、CF3、ハロゲン原子、NO2、SO3Mである[Rr、Rsは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す]。この中でもCOORr又はCNがより好ましく、COORr、であることが更に好ましい。優れた耐光性と溶解性を有するためである。
Rr、Rsとしては水素原子又は1価の置換基を表し、1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、i−オクチルを挙げることができ、メチル又はエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物において、R1cがCOORr、CONRs 2、CN、CF3、ハロゲン原子、NO2、SO3Mのいずれかであることが好ましく、COORr又はCNよりが好ましく、CNが更に好ましい。
また、本発明において、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが1価の置換基を表す場合は、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましく、R1g、R1h、R1i及びR1jのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことがより好ましく、R1hが前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことが更に好ましい。R1c及びR1hが前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を有するためである。
本発明において、R1h又はR1nがそれぞれ独立に水素原子、COORr、CONRs 2、CN、CF3、ハロゲン原子、NO2、SO3Mのいずれかであることが好ましく、R1h又はR1nが水素原子であることがより好ましく、R1h及びR1nが水素原子であることが更に好ましく、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を示すためである。
前記一般式(1)で表される化合物において、R1cがハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基であって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子を表すことが好ましく、R1cがCOORr、CONRs 2、CN、CF3、ハロゲン原子、NO2、SO3Mのいずれかであって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子であることがより好ましい。優れた耐光性を示すためである。
前記一般式(1)で表される化合物はpKaが−5.0〜−7.0の範囲であることが好ましい。更に−5.2〜−6.5の範囲であることがより好ましく、−5.4〜−6.0の範囲であることが特に好ましい。
<好ましい第二の態様>
好ましい第二の態様として、R1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である態様を挙げることができる。
R1a、R1c及びR1eが、水素原子を表し、R1b及びR1dが、互いに独立して、水素原子又はハメット則のσp値が正である置換基を表し、少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基である第ニの態様においては、前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COORr、CONRs 2、CN、CF3、ハロゲン原子、NO2、又はSO3Mである[Rr、Rsは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す]。Rr、Rsの1価の置換基としては、前述のように前記置換基Aを挙げることができる。
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COORr又はシアノ基であり、COORrであることが更に好ましい。ハメット則のσp値が正である置換基がシアノ基である場合、優れた耐光性を示すためである。また、ハメット則のσp値が正である置換基がCOORrである場合、優れた溶解性を示すためである。
Rrは水素原子又はアルキル基を表すことが好ましく、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1〜15の直鎖又は分岐鎖アルキル基が更に好ましい。
Rrは、溶媒に対する溶解性の観点からは、炭素数5〜15の分岐鎖アルキル基がより好ましい。
分岐鎖アルキル基は2級炭素原子又は3級炭素原子を有し、2級炭素原子又は3級炭素原子を1〜5個含むことが好ましく、1〜3個含むことが好ましく、1又は2個含むことが好ましく、2級炭素原子及び3級炭素原子を1又は2個含むことがより好ましい。また、不斉炭素を1〜3個含むことが好ましい。
Rrは、溶媒に対する溶解性の観点からは、2級炭素原子及び3級炭素原子を1又は2個含み、不斉炭素を1又は2個含む炭素数5〜15の分岐鎖アルキル基であることが特に好ましい。
これは、化合物構造の対称性がくずれ、溶解性が向上するためである。
一方、紫外線吸収能の観点からは、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。
炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、i−オクチルを挙げることができ、メチル又はエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
また、本発明において、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが1価の置換基を表す場合は、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましく、R1g、R1h、R1i及びR1jのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことがより好ましく、R1hが前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことが更に好ましい。R1b又はR1d、及びR1hが前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を有するためである。
本発明において、R1h又はR1nがそれぞれ独立に水素原子、COORr、CONRs 2、シアノ基、CF3、ハロゲン原子、ニトロ基、SO3Mのいずれかであることが好ましく、R1h又はR1nが水素原子であることがより好ましく、R1h及びR1nが水素原子であることが更に好ましく、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を示すためである。
前記一般式(1)で表される化合物において、R1b又はR1d、がハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基であって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子を表すことが好ましく、R1b又はR1d、がCOORr、CONRs 2、シアノ基、CF3、ハロゲン原子、ニトロ基、SO3Mのいずれかであって、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは水素原子であることがより好ましい。優れた耐光性を示すためである。
前記一般式(1)で表される化合物はpKaが−5.0〜−7.0の範囲であることが好ましい。更に−5.2〜−6.5の範囲であることがより好ましく、−5.4〜−6.0の範囲であることが特に好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
なお、下記の具体例中Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、−C6H13はn−ヘキシルを表す。
前記一般式(1)で表される化合物は、構造とその置かれた環境によって互変異性体を取り得る。本発明においては代表的な形の一つで記述しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明の化合物に含まれる。
前記一般式(1)で表される化合物は、同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
前記一般式(1)で表される化合物は、任意の方法で合成することができる。
例えば、公知の特許文献や非特許文献、例えば、特開平7−188190号公報、特開平11−315072、特開2001−220385号公報、「染料と薬品」第40巻12号(1995)の325〜339ページなどを参考にして合成できる。具体的には、例示化合物(16)はサリチルアミドと3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル クロリドと2−ヒドロキシベンズアミジン塩酸塩とを反応させることにより合成できる。また、サリチルアミドとサリチル酸と3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンズアミジン塩酸塩とを反応させることによっても合成できる。
本発明にかかる一般式(1)で表される化合物は、有機溶媒に対する溶解性に優れるという特徴を有する。また、特定の位置にハメット則のσp値が正である置換基を有するため、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、優れた耐光性を有するという特徴を有する。紫外線吸収剤として用いた際にも、既知のトリアジン系化合物では、高い濃度で使用した場合、透明性が十分ではなく、硬度の低下を示し、分解して黄変したりするなど悪影響を及ぼすが、それに対して、本発明にかかる一般式(1)で表される化合物は優れた溶解性と耐光性を有するため高い濃度で使用した場合でも透明性に優れ、高い硬度を示し、かつ耐光性に優れた成形品を形成し得る。また、長時間使用した場合でも分解せず黄変することがないという効果が得られる。
本発明のシリコーン樹脂組成物において、前記一般式(1)で表される化合物は、一種のみ用いてもよく、異なる構造を有する二種以上を併用することもできる。
本発明のシリコーン樹脂組成物において、前記一般式(1)で表される化合物は、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用することもできる。
本発明における前記化合物は、有機材料を光・酸素又は熱による損傷に対して安定化させるのに特に適している。中でも前記一般式(1)で表される化合物は、紫外線吸収剤として好適に用いることができる。
前記一般式(1)で表される化合物は特定の位置にハメット則のσp値が正である置換基を有するため、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、優れた耐光性を有するという特徴を有する。紫外線吸収剤として用いた際にも、既知のトリアジン系化合物を用いた場合は、長時間使用した場合は分解して黄変するなど悪影響を及ぼす。
それに対して、前記一般式(1)で表される化合物は優れた耐光性を有するため長時間使用した場合でも分解せず黄変することがないという効果が得られる。
前記一般式(1)で表される化合物の極大吸収波長は、特に限定されないが、好ましくは250〜400nmであり、より好ましくは280〜380nmである。半値幅は好ましくは20〜100nmであり、より好ましくは40〜80nmである。
本発明において規定される極大吸収波長及び半値幅は、当業者が容易に測定することができる。測定方法に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座7分光II」(丸善,1992年)180〜186ページなどに記載されている。具体的には、適当な溶媒に試料を溶解し、石英製又はガラス製のセルを用いて、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計によって測定される。用いる溶媒は、試料の溶解性と合わせて、測定波長領域に吸収を持たないこと、溶質分子との相互作用が小さいこと、揮発性があまり著しくないこと等が要求される。上記条件を満たす溶媒であれば、任意のものを選択することができる。本発明においては、酢酸エチル(EtOAc)を溶媒に用いて測定を行うこととする。
本発明において、化合物の極大吸収波長及び半値幅は、酢酸エチルを溶媒として、濃度約5×10−5mol・dm−3の溶液を調製し、光路長10mmの石英セルを使用して測定した値を使用する。
スペクトルの半値幅に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座3 基本操作III」(丸善、1991年)154ページなどに記載がある。なお、上記成書では波数目盛りで横軸を取った例で半値幅の説明がなされているが、本発明における半値幅は波長目盛りで軸を取った場合の値を用いることとし、半値幅の単位はnmである。具体的には、極大吸収波長における吸光度の1/2の吸収帯の幅を表し、吸収スペクトルの形を表す値として用いられる。半値幅が小さいスペクトルはシャープなスペクトルであり、半値幅が大きいスペクトルはブロードなスペクトルである。ブロードなスペクトルを与える紫外線吸収化合物は、極大吸収波長から長波側の幅広い領域にも吸収を有するので、黄色味着色がなく長波紫外線領域を効果的に遮蔽するためには、半値幅が小さいスペクトルを有する紫外線吸収化合物の方が好ましい。
時田澄男著「化学セミナー9 カラーケミストリー」(丸善、1982年)154〜155ページに記載されているように、光の吸収の強さすなわち振動子強度はモル吸光係数の積分に比例し、吸収スペクトルの対称性がよいときは、振動子強度は極大吸収波長における吸光度と半値幅の積に比例する(但しこの場合の半値幅は波長目盛りで軸を取った値である)。このことは遷移モーメントの値が同じとした場合、半値幅が小さいスペクトルを有する化合物は極大吸収波長における吸光度が大きくなることを意味している。このような紫外線吸収化合物は少量使用するだけで極大吸収波長周辺の領域を効果的に遮蔽できるメリットがあるが、波長が極大吸収波長から少し離れると急激に吸光度が減少するために、幅広い領域を遮蔽することができない。
前記一般式(1)で表される化合物は、極大吸収波長におけるモル吸光係数が20000以上であることが好ましく、30000以上であることがより好ましく、50000以上であることが特に好ましい。20000以上であれば、前記一般式(1)で表される化合物の質量当たりの吸収効率が十分得られるため、紫外線領域を完全に吸収するための前記一般式(1)で表される化合物の使用量を低減できる。これは皮膚刺激性や生体内への蓄積を防ぐ観点、及び透明性に優れ、高い硬度を示し、かつ耐光性に優れた成形品を形成し得る点から好ましい。なお、モル吸光係数については、例えば日本化学会編「新版実験化学講座9 分析化学[II]」(丸善、1977年)244ページなどに記載されている定義を用いたものであり、上述した極大吸収波長及び半値幅を求める際に合わせて求めることができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、前記一般式(1)で表される化合物を、所望の性能を付与するために必要な任意の量で含有させることができる。これらは用いる化合物や樹脂によって異なるが、適宜含有量を決定することができる。含有量としては一般式(1)で表される化合物を、シリコーン樹脂組成物の全質量に対して、0.1〜30質量%含有することが好ましく、0.1〜15.0質量%含有することがより好ましく、0.3〜5.0質量%含有することが更に好ましい。含有量が上記の範囲であればより紫外線遮蔽効果が得られ、透明性に優れ、高い硬度を示し、かつ耐光性に優れた成形品を形成し得るため好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上述のように紫外線吸収剤として、異なる構造を有する二種類以上の前記一般式(1)で表される化合物を含有していてもよい。また、前記一般式(1)で表される化合物とそれ以外の構造を有する一種類以上の紫外線吸収剤とを併用してもよい。基本骨格構造の異なる二種類(好ましくは三種類)の紫外線吸収剤を併用すると、広い波長領域の紫外線を吸収することができる。また、二種類以上の紫外線吸収剤を併用すると、紫外線吸収剤の分散状態が安定化する作用もある。前記一般式(1)以外の構造を有する紫外線吸収剤はいずれのものでも使用でき、光安定剤として用いることができる。具体的には、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、メロシアニン系、シアニン系、ジベンゾイルメタン系、桂皮酸系、シアノアクリレート系、安息香酸エステル系などの化合物が挙げられる。例えば、ファインケミカル、2004年5月号、28〜38ページ、東レリサーチセンター調査研究部門発行「高分子用機能性添加剤の新展開」(東レリサーチセンター、1999年)96〜140ページ、大勝靖一監修「高分子添加剤の開発と環境対策」(シーエムシー出版、2003年)54〜64ページなどに記載されている紫外線吸収剤が挙げられる。
前記一般式(1)以外の構造を有する紫外線吸収剤として好ましくは、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、メロシアニン系化合物、トリアジン系化合物である。より好ましくはベンゾオキサジノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物である。特に好ましくはベンゾオキサジノン系化合物である。上記一般式(1)以外の構造を有する紫外線吸収剤は、特開2008−273950号公報の段落番号〔0117〕〜〔0121〕に詳述されており、該公報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
前述したように、本発明のシリコーン樹脂組成物は、一般式(1)で表される化合物とベンゾオキサジノン系化合物を組み合わせて含有することが好ましい。一般式(1)で表される化合物は長波長領域においても優れた耐光性を有するため、より長波長領域まで遮蔽可能なベンゾオキサジノンの劣化を防ぐという効果を奏し、ベンゾオキサジノン系化合物と共に用いることで、より長波長領域まで長時間において遮蔽効果が持続できるため好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、前記一般式(1)で表される化合物を紫外線吸収剤として使用することのみで実用的には十分な紫外線遮蔽効果が得られるものの、更に厳密を要求する場合には隠蔽力の強い白色顔料、例えば酸化チタンなどを併用してもよい。また、外観、色調が問題となる時、あるいは好みによって微量(0.05質量%以下)の着色剤を併用することができる。また、透明あるいは白色であることが重要である用途に対しては蛍光増白剤を併用してもよい。蛍光増白剤としては市販のものや特開2002−53824号公報記載の一般式[1]や具体的化合物例1〜35などが挙げられる。
次に、本発明のシリコーン樹脂組成物に含有されるシリコーン樹脂等の樹脂成分について説明する。
<シリコーン樹脂>
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、下記の一般組成式(S−1)で表わされる化合物及び/又はそれらの混合物が挙げられる。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q・・・式(1)
(一般組成式(S−1)において、R1からR6は、置換基、水酸基及び水素原子よりなる群から選択されるものを表わす。なお、R1からR6は、同じであってもよく、異なってもよい。また、一般組成式(S−1)において、M、D、T及びQは、0以上1未満の数を表わす。ただし、M+D+T+Q=1を満足する数である。)
R1からR6が表す置換基としては、下記置換基B群を挙げることができる。
なお、シリコーン系材料を硬化性材料として用いる場合、その塗設に際しては、液状のシリコーン系材料を基材に塗布又は浸漬した後、熱や光によって硬化させればよい。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、硬化型シリコーン樹脂が好ましい。前記硬化型シリコーン樹脂としては、これを主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等であってもよい。前記硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型、縮合型、紫外線硬化型、電子線硬化型、無溶剤型、加熱硬化型、常温硬化型等、いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
本発明において、シリコーン樹脂は分子内に芳香族基を有することが好ましく、芳香族基は、アリール基及び置換アリール基を意味する。またこれらの芳香族基は脂肪族環、他の芳香族環又は複素環が縮合していてもよい。芳香族基の炭素原子数は6〜40が好ましく、6〜30が更に好ましく、6〜20が更に好ましい。またその中でもアリール基としてはフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基によりシリコーン樹脂の硬度があがり材料の耐久性が向上する効果が得られるためである。
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例としては、下記置換基B群を挙げることができる。
(置換基B群)
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、
アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換若しくは無置換の、芳香族若しくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5若しくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、
アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、
スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換若しくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、
スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換若しくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換若しくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換若しくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換若しくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
芳香族基を有するシリコーン樹脂としては、前記オルガノポリシロキサンは式(II)で表される構成単位を含むことがより好ましい。
式(II)で表される構成単位を含むことで、本発明のシリコーン樹脂組成物により屈折率が高いレンズを得ることができるため好ましい。屈折率が高い材料を用いることにより、例えば光学レンズの厚みを薄くできるなど、レンズの設計の自由度が高くなるため好ましい。
オルガノポリシロキサンに含まれるケイ素原子の10〜95モル%が式(II)で表される構成単位に含まれるケイ素原子であることが好ましく、20〜90モル%であることがより好ましく、30〜85モル%であることが最も好ましい。上記の数値の範囲内であると十分な屈折率を得ることができ、透明性及び物理的強度に優れたレンズを得ることができるため好ましい。
本発明において、前記オルガノポリシロキサンは及び式(II)に示す構成単位以外の構成単位を有していてもよい。式(II)に示す構成単位以外の構成単位の具体例としては、シロキサン、モノメチルシロキサン、モノエチルシロキサン、ジビニルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン、ジメチルシロキサン、トリビニルシロキサン、ジビニルメチルシロキサン、ジビニルフェニルシロキサン、ビニルジメチルシロキサン、ビニルフェニルメチルシロキサン、トリメチルシロキサン、ジメチルフェニルシロキサン、メチルジフェニルシロキサン、トリフェニルシロキサン、メチルビニルシロキサン、更にはこれらのシロキサン構成単位の有機基の1以上の水素原子がハロゲン原子等で置換されたシロキサンなどが好ましく例示できる。
本発明において、シリコーン樹脂としては、式(I)で表される構成単位を含むオルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、式(I)で表される構成単位を有するオルガノポリシロキサンを含むことが好ましく、前記オルガノポリシロキサンに含まれるケイ素原子の3モル%以上が、式(I)で表される構成単位に含まれるケイ素原子であることがより好ましい。更には、前記構成単位に含まれるケイ素原子が、前記オルガノポリシロキサンに含まれるケイ素原子の3〜50モル%であることがより好ましく、5〜40モル%であることが更に好ましく、7〜30モル%であることが最も好ましい。上記の数値の範囲内であれば、シリコーン樹脂組成物の硬化性と、シリコーン樹脂組成物を硬化して得られたレンズの硬度、及び、耐熱性とを両立できる。
以下、特にことわりのない限り、数値範囲の記載である「3〜50モル%」等は、「3モル%以上、50モル%以下」等を表すものとし、他の数値範囲の記載においても同様とする。
本発明において、オルガノポリシロキサンに含まれるビニル基のうち、30モル%以上が式(I)で表される構成単位に含まれるビニル基であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることが更に好ましく、オルガノポリシロキサンに含まれるビニル基が全て式(I)で表される構成単位に含まれるビニル基であることが最も好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物に含まれるオルガノポリシロキサンは3次元網目構造を有することが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物に含まれるオルガノポリシロキサンのゲル透過クロマトグラフィーでのポリスチレン換算質量平均分子量は、3,500〜200,000であることが好ましく、4,000〜100,000であることがより好ましく、4,500〜50,000であることが最も好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物のゲル透過クロマトグラフィーでのポリスチレン換算数平均分子量は、1,500〜15,000であることが好ましく、2,000〜10,000であることがより好ましく、2,500〜8,000であることが最も好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記の数値の範囲内にあれば、本発明のシリコーン樹脂組成物は、加熱成形に適した粘度、相転移温度及び耐熱性を有する。
前記オルガノポリシロキサンは、各シロキサン構成単位に対応するオルガノハロシラン及び/又はオルガノアルコキシシランの2種以上の混合物を共加水分解縮合するという方法により得られる。
本発明においてはオルガノハロシランを用いて共加水分解縮合することが好ましく、中でもオルガノクロロシランを用いることがより好ましい。すなわち、オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に直接結合したヒドロキシ基やアルコキシ基のようなケイ素官能基を有していないことが好ましい。ケイ素官能基を有していないオルガノポリシロキサンを用いて作製したレンズは化学的に安定で、耐熱性に優れるため好ましい。
ケイ素官能基を有していないオルガノポリシロキサンは、個々のシロキサン単位構造に対応するオルガノクロロシラン類を共加水分解・縮合させて得られるポリオルガノシロキサンを、水酸化カリウム、カリウムシラノレートのようなアルカリ性物質によって処理し、更に必要に応じてシリル化剤で処理して製造することができる。
シリル化剤としては、公知のものを用いることができ、限定されるものではないが、具体的は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMCS)、トリメチルクロロシラン(TMCS)、N−トリメチルシリルアセトアミド(TMSA)、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(TMSA)、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド(BSA)、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド(MTMSA)、N−メチル−N−トリメチルシリル−トリフルオロアセトアミド(MSTFA)、N−トリメチルシリルジメチルアミン(TMSDMA)、N−トリメチルシリルジエチルアミン(TMSDEA)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)、N−トリメチルシリルイミダゾール(TMSI)、テトラメチルジシラザン(TMDS)、tert−ブチルジメチルクロロシラン(tert−BDMCS)、N−メチル−N−(tert−ブチルジメチルシリル)−トリフルオロアセトアミド(MTBSTFA)、ジクロロメチルテトラメチルジシラザン(CMTMDS)、クロロメチルジメチルジクロロシラン(CMDMCS)、ブロモメチルジメチルクロロシラン(BMDMCS)、フロフェメシルアミン、フロフェメシルクロライド、フロフェメシルジエチルアミン、1,1−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサビニルジシロキサン、ジメチルビニルクロロシラン、及び、トリビニルクロロシラン等が挙げられ、中でもヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、ジメチルビニルクロロシラン、トリメチルクロロシランであることが好ましい。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物に含まれるオルガノポリシロキサンは、それぞれ別の加水分解縮合によって得られた2種以上のオルガノポリシロキサンを混合することによって製造することもできる。
前記硬化型シリコーン樹脂の具体例としては、信越化学工業(株)製のKS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、ダウ・コーニング・アジア(株)製のDKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製のYSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、東レ・ダウ・コーニング(株)製のSD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。前記硬化型シリコーン樹脂は、剥離性等を調整するために、離型剤と併用してもよい。
離型剤としては、公知のものを用いることができ、限定されるものではないが、脂肪酸系化合物、エリスリトール誘導体の脂肪酸エステルの離型剤がシリコーン樹脂との相溶性、硬化後の透明性、更には高温で放置した後の耐変色性において優れたものである。
具体的にはペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールアジピン酸ステアリン酸エステル、グリセリントリ−18−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトールフルステアレート、酸化ポリエチレン、高エステル化カルナバ、リケマールTG−12(グリセリントリ−18−ヒドロキシステアレート)、リケマターEW−440A(ペンタエリスリトールテトラステアレート)、LICOWAX PED136(酸化ポリエチレン)、エレクトールD−121−41(ポリプロピレン/無水マレイン酸コポリマー)、リケマターEW−200(ペンタエリスリトールアジピン酸ステアリン酸エステル)、リケマターEW−400(ペンタエリスリトールフルステアレート)が挙げられ、中でもペンタエリスリトールテトラステアレートを好ましく用いることができる。
離型剤は、シリコーン樹脂組成物全量に対して0.05〜5質量%含まれていることが好ましく、0.1〜2質量%含まれていることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると射出成形などで成形したレンズを容易に金型から取り出すことができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、上述のように、一般式(1)で表される化合物以外の構造を有する紫外線吸収剤や、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、蛍光増泊剤、難燃剤等の任意の添加剤を適宜含有してもよく、光安定剤又は酸化防止剤から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
酸化防止剤として、本発明のシリコーン樹脂組成物には、更にリン系安定剤を含有させることが、熱安定性を改良できるという点で好ましい。リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が挙げられ、中でも3価のリンを含み変色抑制効果を発現しやすい点で、ホスファイト、ホスホナイト等の亜リン酸エステルが好ましい。
ホスファイトとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、トリエチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、モノフェニルジデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、水添ビスフェノールAフェノールホスファイトポリマー、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニルジ(トリデシル)ホスファイト)、テトラ(トリデシル)4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
また、ホスホナイトとしては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、及びテトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
また、アシッドホスフェートとしては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
本発明に用いるリン系安定剤は、2種類以上を混合して含有させることができるが、リン系安定剤の合計の含有割合は、シリコーン樹脂組成物100質量部に対して0.0005〜0.3質量部であることが好ましく、0.001〜0.1質量部であることがより好ましい。上記の範囲であれば、安定剤としての効果が十分であり、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりにくい。
特に、本発明において、シリコーン樹脂組成物100質量部に対し、一般式(1)で表される化合物0.05〜3質量部、リン系安定剤0.0005〜0.3質量部であることが好ましい。
酸化防止剤として、本発明のシリコーン樹脂組成物には、更にヒンダードフェノール系安定剤を含有することが、一般式(1)で表される化合物を安定化し、シリコーン樹脂組成物の光安定性を高められるという点で好ましい。
前記ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、フェノール性水酸基のオルト位に少なくともひとつの水素原子以外の置換基(例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環式基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基など)を有する化合物が挙げられる。
前記ヒンダードフェノール系安定剤としては、酸化防止剤として公知の化合物で、市販されているものであってもよく、例えば、2,6−ジt−ブチルー4−メチルフェノールや、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の酸化防止剤などが挙げられる。
本発明に用いるヒンダードフェノール系安定剤は、2種類以上を混合して含有させることができるが、ヒンダードフェノール系安定剤の合計の含有割合は、シリコーン樹脂組成物100質量部に対して0.0001〜1質量部であることが好ましく、0.001〜0.1質量部であることがより好ましい。
本発明で用いる光安定剤の好ましい例としては特開2009−242641で表される化合物があげられる。具体的には、特開2009−242641の[0081]〜[0128]に記載の化合物であることが好ましい。段落番号[0082]に記載の一般式(TS−II)で表される化合物であることが特に好ましい。
光安定化剤の添加量は、セルロースエステル系樹脂組成物100質量部に対して、0.0001〜10質量部であることが好ましく、0.001〜10質量部であることが更に好ましく、0.01〜10質量部であることが更に好ましく、0.1〜5質量部であることが更に好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物とシリコーン樹脂等の樹脂成分とを混合させ、本発明のシリコーン樹脂組成物を調製する方法については特に制限はない。
前記一般式(1)で表される化合物がシリコーン樹脂等の樹脂成分と相溶性を有する場合は、前記一般式(1)で表される化合物をシリコーン樹脂等の樹脂成分に直接添加することができる。また、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、及びペレタイザ−等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
シリコーン樹脂等の樹脂成分と相溶性を有する補助溶媒に、前記一般式(1)で表される化合物を溶解し、その溶液をシリコーン樹脂等の樹脂成分に添加してもよい。前記一般式(1)で表される化合物を高沸点有機溶媒やポリマー中に分散し、その分散物をシリコーン樹脂等の樹脂成分に添加してもよい。
前記添加し混合する時期としては、シリコーン樹脂等の樹脂成分を重合により形成する前であっても重合により形成した後であってもよい。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂を任意の溶媒に溶解して形成されたものでもよい。
高沸点有機溶媒の例には、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、炭酸エステル、アミド、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アルコール及びパラフィンが含まれる。リン酸エステル、ホスホン酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステル及び脂肪酸エステルが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂の他に、他の樹脂成分を併用して含有させることができる。併用させることができる樹脂成分としては、天然あるいは合成ポリマーのいずれであってもよい。例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリシクロペンテン、ポリノルボルネンなど)、ビニルモノマーのコポリマー(例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、エチレン/ノルボルネンのようなシクロオレフィンコポリマー(COC:Cyclo−Olefin Copolymer))、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマーなど)、アクリル系ポリマー(例えば、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなど)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、ポリエーテル(例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、ポリアセタール(例えば、ポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリスルホンポリエーテルケトン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、セルロースエステル(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリシロキサン、天然ポリマー(例えば、セルロース、ゴム、ゼラチンなど)、などが挙げられる。
併用させることができる樹脂成分は、合成ポリマーである場合が好ましく、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、セルロースエステルがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロースが特に好ましい。併用させることができる樹脂成分は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
前記シリコーン樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物のショアD硬度が30以上100以下であることが好ましい。より好ましくは、40以上90以下であり、更に好ましくは50以上80以下である。ショアD硬度が上記の範囲であればレンズとして十分な強度をもち、長期の耐久性をもつ点で好ましい。ここでショアD硬度とは、樹脂等の硬度を表し、JIS K7215に規定される測定方法に従って測定を行うことができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、合成樹脂が使用される全ての用途に使用可能であるが、特に日光又は紫外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に使用できる。具体例としては、例えばガラス代替品とその表面コーティング材、住居、施設、輸送機器等の窓ガラス、採光ガラス及び光源保護ガラス用のコーティング材、住居、施設、輸送機器等のウインドウフィルム、住居、施設、輸送機器等の内外装材及び内外装用塗料及び該塗料によって形成させる塗膜、アルキド樹脂ラッカー塗料及び該塗料によって形成される塗膜、アクリルラッカー塗料及び該塗料によって形成される塗膜、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、精密機械、電子電気機器用部材、各種ディスプレイから発生する電磁波等の遮断用材、食品、化学品、薬品等の容器又は包装材、ボトル、ボックス、ブリスター、カップ、特殊包装用、コンパクトディスクコート、農工業用シート又はフィルム材、印刷物、染色物、染顔料等の退色防止剤、ポリマー支持体用(例えば、機械及び自動車部品のようなプラスチック製部品用)の保護膜、印刷物オーバーコート、インクジェット媒体被膜、積層艶消し、オプティカルライトフィルム、安全ガラス/フロントガラス中間層、エレクトロクロミック/フォトクロミック用途、オーバーラミネートフィルム、太陽熱制御膜、日焼け止めクリーム、シャンプー、リンス、整髪料等の化粧品、スポーツウェア、ストッキング、帽子等の衣料用繊維製品及び繊維、カーテン、絨毯、壁紙等の家庭用内装品、プラスチックレンズ、コンタクトレンズ、義眼等の医療用器具、光学フィルタ、バックライトディスプレーフィルム、プリズム、鏡、写真材料等の光学用品、金型膜、転写式ステッカー、落書き防止膜、テープ、インク等の文房具、標示板、標示器等とその表面コーティング材等を挙げることができる。
次に、本発明の成形品について説明する。
本発明の成形品は、本発明のシリコーン樹脂組成物より成形することができる。
前記シリコーン樹脂組成物より形成した本発明の成形品の形状としては、平膜状、粉状、球状粒子、破砕粒子、塊状連続体、繊維状、管状、中空糸状、粒状、板状、多孔質状などのいずれの形状であってもよいが、透明性、硬度及び長波紫外線遮蔽効果とのバランスから、厚さが0.1μm〜25mmの例えば、平膜状や板状であることが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂を含有するので透明とすることができ、その場合、レンズ、封止材料、紫外線吸収フィルタや紫外線吸収膜として成形することができる。
この場合、本発明のシリコーン樹脂組成物は他の透明樹脂を含有させることができる。他の透明樹脂の例としては、ポリカーボネート、セルロースエステル(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリメチルメタクリレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド及びポリオキシエチレンなどが挙げられる。
前記シリコーン樹脂組成物より得られた本発明の成形品は透明支持体とすることができ、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることが更に好ましい。
本発明の成形品は、前記シリコーン樹脂組成物より成形してなり、優れた長波紫外線吸収能を有するので、紫外線吸収フィルタや容器として用いることができ、紫外線に弱い化合物などを保護することもできる。例えば、本発明の成形品は、前記シリコーン樹脂組成物を押出成形又は射出成形などの任意の方法により成形することで、容器等として得ることができる。また、別途作製した成形品に本発明のシリコーン樹脂組成物の溶液を塗布・乾燥することで、前記シリコーン樹脂組成物からなる紫外線吸収膜がコーティングされた成形品とすることもできる。
このような本発明のシリコーン樹脂組成物の有する長波紫外線遮蔽効果と透明性とを有効に利用するために、本発明のシリコーン樹脂組成物は、特に、レンズ、封止材料、太陽電池用バックシート、窓貼りフィルム、食品・医療用包装フィルム、農業用フィルム、光学用フィルム、繊維の用途に好適に用いられる。
〔レンズ〕
本発明のシリコーン樹脂組成物は、各種成形方法により成形することができる。その硬化物は光学的に透明であるので、特に光学レンズとして有用である。
成形方法としては、成書「プラスチックレンズの技術と応用」((株)シーエムシー出版)等に記載の成形方法を用いることができる。具体的には、射出成形、圧縮成形、注形成形、トランスファー成形、コーティングなどが挙げられる。
本発明のレンズは、本発明のシリコーン樹脂組成物を成形型中で100〜250℃の温度で加熱することによって硬化させることにより製造することが好ましい。
加熱温度は100℃〜400℃であることが好ましく、150℃〜350℃であることがより好ましい。
加熱時間は、一般的に10秒から10時間であるが、1分〜5時間が好ましく、3分〜3時間がより好ましく、10分〜1時間が最も好ましい。
本発明のレンズの製造方法は、得られたレンズを更に加熱する工程(ポストキュア工程)を含むことが好ましい。前記ポストキュア工程の温度は200〜450℃であることが好ましく、加熱時間は10分間〜2時間程度であることが好ましい。上記の数値の範囲内であるとポストキュア工程により揮発成分を除去することができる、高い硬度の成形体を得ることができるなどの理由で好ましい。
成形後の成型収縮率とポストキュア後の成型収縮率の比が0.9〜1.1となる条件で成形することが好ましい。
本発明のレンズは、光学的に透明であるので、特に光学レンズとして有用である。ここで「光学的に透明である」とは具体的には、その光透過率が80%以上であり、好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上であることをいう。この「光透過率」は、厚さ1mmに成形した硬化物を透過した波長555nmの可視光の透過率である。波長555nmは可視光のほぼ中間値であり、人の目で最も感度が高い波長として知られている値である。
本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物は、光学レンズ、プリズム、導光板、偏向板、導光路、シート及びフィルムのような定形物、モールデイング剤、封止材料、注型剤、被覆剤、接着剤、光学用半導体装置における半導体素子の保護剤のような不定形物に好適に用いることができ、中でも光学レンズ又は封止材料として用いることが好ましい。
本発明のレンズは、とりわけ、製造工程や使用環境において、室温よりも高温、例えば50℃〜300℃に曝される光学レンズや、高輝度の光を発する光源に直接接する、あるいは、その近傍に配置される光学レンズが好適である。本発明のレンズは、具体的には、携帯電話内蔵カメラの光学レンズ、LED用の光学レンズとして特に有用である。
本発明においては特開2009−209343号公報の段落番号〔0192〕〜〔0230〕に記載されている事項を適用できる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む包装材料について説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含む包装材料は、前記シリコーン樹脂組成物を含むものであればいずれの種類の高分子から成る包装材料であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、ポリオレフィン、ROMPなどが挙げられる。例えば無機物の蒸着薄膜層を有する樹脂であってもよい。例えばシリコーン樹脂組成物を含む樹脂を塗布した紙であってもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む包装材料は、食料品、飲料、薬剤、化粧品、個人ケア用品等いずれのものを包装するものであってもよい。例えば、食品包装、着色液体包装、記載の液状製剤用包装、医薬品容器包装、医療品用滅菌包装、写真感光材料包装、写真フィルム包装、紫外線硬化型インク用包装、シュリンクラベルなどが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む包装材料は、例えば透明包装体であってもよいし、遮光性包装体であってもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む包装材料は、例えば紫外線遮蔽性を有するだけでなく、他の性能を合わせて持っていても良い。例えばガスバリヤー性を合わせて有するものや、酸素インジケータを内包するものや、シリコーン樹脂組成物と蛍光増白剤を組み合わせるものなどが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む包装材料は、いずれの方法を用いて製造してもよい。インキ層を形成させる方法、シリコーン樹脂組成物を含有した樹脂を溶融押出し積層する方法、基材フィルム上にコーティングする方法、接着剤にシリコーン樹脂組成物を分散する方法などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む容器について説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含む容器は、前記シリコーン樹脂組成物を含むものであればいずれの種類の高分子から成る容器であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂容器、シリコーン樹脂製容器などが挙げられる。例えばシリコーン樹脂を含む紙容器であってもよい。シリコーン樹脂層を有するガラス容器であってもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む容器の用途は食料品、飲料、薬剤、化粧品、個人ケア用品、シャンプー等いずれのものを入れるものであってもよい。液体燃料貯蔵容器、ゴルフボール容器、食品用容器、酒用容器、薬剤充填容器、飲料容器、油性食品用容器、分析試薬用溶液容器、即席麺容器、耐光性化粧料容器、医薬品容器、高純度薬品液用容器、液剤用容器、紫外線硬化型インク用容器、Wプラスチックアンプルなどが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む容器は、紫外線遮断性を有するだけでなく、他の性能を合わせて持っていてもよい。例えば抗菌性容器、可撓性容器、ディスペンサー容器、生分解性容器などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む容器はいずれの方法を用いて製造してもよい。例えば二層延伸ブロー成形による方法、多層共押出ブロー成形方法、容器の外側に紫外線吸収層を形成させる方法、収縮性フィルムを用いた方法、超臨界流体を用いる方法などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む塗料及び塗膜について説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含む塗料は、前記一般式(1)で表わされる化合物を含むものであればいずれの成分からなる塗料であってもよい。例えば、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、アミノアルキッド樹脂系、エポキシ樹脂系、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系などが挙げられる。これらの樹脂は主剤、硬化剤、希釈剤、レベリング剤、はじき防止剤などを任意に配合することができる。
例えば、透明樹脂成分としてアクリルウレタン樹脂、シリコンアクリル樹脂を選んだ場合には、硬化剤としてポリイソシアネートなどを、希釈剤としてトルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶剤、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系を用いることができる。また、ここでアクリルウレタン樹脂とは、メタクリル酸エステル(メチルが代表的)とヒドロキシエチルメタクリレート共重合体とポリイソシアネートと反応させて得られるアクリルウレタン樹脂をいう。なおこの場合のポリイソシアネートとはトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。透明樹脂成分としては、他にも例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルスチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。更にこれら成分に加えアクリル樹脂などのレベリング剤、シリコーン系、アクリル系等のはじき防止剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む塗料の使用目的としてはいずれの用途であってもよい。例えば紫外線遮蔽塗料、紫外線・近赤外線遮断塗料、電磁波遮蔽用塗料、クリアー塗料、メタリック塗料組成物、カチオン電着塗料、抗菌性及び無鉛性カチオン電着塗料、粉体塗料、水性中塗り塗料、水性メタリック塗料、水性クリヤー塗料、自動車、建築物、土木系品に用いられる上塗り用塗料、硬化性塗料、自動車バンパー等プラスチック材等に使用される塗膜形成組成物、金属板用塗料、硬化傾斜塗膜、電線用塗装材、自動車補修塗料、アニオン電着塗料、自動車用塗料、塗装鋼板用塗料、ステンレス用塗料、ランプ用防虫塗料、紫外線硬化型塗料、特抗菌性塗料、眼精疲労防止用塗料、防曇塗料、超耐候性塗料、傾斜塗料、光触媒塗料、可剥塗料、コンクリート剥離用塗料、防食塗料、保護塗料、撥水性保護塗料、板ガラス飛散防止用塗料、アルカリ可溶型保護塗料、水性一時保護塗料組成物、床用塗料、エマルション塗料、2液型水性塗料、1液性塗料、UV硬化性塗料、電子線硬化型塗料組成物、熱硬化性塗料組成物、焼付ラッカー用水性塗料、粉体塗料及びスラリー塗料、補修用塗料、粉体塗料水分散物、プラスチック用塗料、電子線硬化型塗料などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む塗料は一般に塗料(透明樹脂成分を主成分として含む)及びシリコーン樹脂組成物から構成されるが、好ましくはシリコーン樹脂組成物0〜20質量%の組成である。塗布する際の厚さは、好ましくは2〜1000μmであるが、更に好ましくは5〜200μmの間である。これら塗料を塗布する方法は任意であるが、スプレー法、ディッピング法、ローラーコート法、フローコーター法、流し塗り法などがある。塗布後の乾燥は塗料成分によって異なるが概ね室温〜120℃で10〜90分程度行うことが好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む塗膜は、前記一般式(1)で表わされる化合物からなるシリコーン樹脂組成物を含む塗膜であり、上記の本発明のシリコーン樹脂組成物を含む塗料を用いて形成された塗膜である。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含むインクについて説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含むインクは、前記シリコーン樹脂組成物を含むものであればいずれの形態のインクであってもよい。例えば、染料インク、顔料インク、水性インク、油性インクなどが挙げられる。また、いずれの用途に用いられてもよい。例えば、スクリーン印刷インク、フレキソ印刷インク、グラビア印刷インク、平版オフセット印刷インク、凸版印刷インク、UVインク、EBインクなどが挙げられる。また例えば、インクジェットインクフォトクロミックインク、熱転写インク、マスキングインク、セキュリティインク、DNAインクなども挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含むインクを用いることで得られるいずれの形態も本発明に含まれる。例えば印刷物、印刷物をラミネートして得られる積層体、積層体を用いた包装材料や容器、インク受理層などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む繊維について説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含む繊維は、シリコーン樹脂組成物を含むものであればいずれの種類の高分子を含む繊維であってもよい。例えば、ポリエステル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む繊維はいずれの方法で製造してもよい。例えば前記一般式(1)で表わされる化合物をあらかじめ含んだ高分子を繊維状に加工してもよいし、例えば繊維状に加工した樹脂に対して前記一般式(1)で表わされる化合物を含む溶液などを用いて処理をおこなってもよい。超臨界流体を用いて処理をおこなってもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む繊維は各種用途に用いることができる。例えば、衣料、裏地、肌着、毛布、靴下、人工皮革、防虫メッシュシート、工事用メッシュシート、カーペット、特透湿・防水性シート、不織布、極細繊維、繊維からなるシート状物、清涼衣料透湿防水性シート、難燃性人工スエード状構造物、樹脂ターポリン、膜剤、外壁材剤、農業用ハウス、建築資材用ネット、メッシュ、フィルター基材、防汚膜剤、メッシュ織物、陸上ネット、水中ネット、極細繊維、防織繊維、エアバッグ用基布、紫外線吸収性繊維製品などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む建材について説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含む建材は、前記シリコーン樹脂組成物を含むものであればいずれの種類の高分子を含む建材であってもよい。例えば、塩化ビニル系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリフェニレンエーテル系、ポリカーボネート系などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む建材はいずれの方法で製造してもよい。例えば前記シリコーン樹脂組成物を含む材料を用いて所望の形に形成してもよいし、前記シリコーン樹脂組成物を含む材料を積層して形成してもよいし前記一般式(1)で表わされる化合物を用いた被覆層を形成させてもよいし、前記シリコーン樹脂組成物を含有する塗料を塗装して形成してもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む建材は各種用途に用いることができる。例えば、外装用建材、建材用木質構造体、建材用屋根材、抗菌性建築資材、建材用基材、防汚建材、難燃性材料、窯業系建材、装飾用建材、建材用塗装物品、化粧材、建築資材用ネット、建材用透湿防水シート、建築工事用メッシュシート、建材用フィルム表装用フィルム、建材用被覆材料、建材用接着剤組成物、土木建築構造物、歩行路用塗装材、シート状光硬化性樹脂、木材用保護塗装、押釦スイッチ用カバー、接合シート剤、建材用基材、壁紙、表装用シリコーン樹脂フィルム、成形部材表装用シリコーン樹脂フィルム、床材などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む記録媒体について説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含む記録媒体は、前記一般式(1)で表わされる化合物を含むものであればいずれのものであってもよい。例えば、インクジェット被記録媒体、昇華転写用受像シート、画像記録媒体、感熱記録媒体、可逆性感熱記録媒体、光情報記録媒体などが挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む画像表示装置について説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含む画像表示装置は前記一般式(1)で表わされる化合物を含むものであればいずれのものであってもよい。例えば、記載のエレクトロクロミック素子を用いた画像表示装置、いわゆる電子ペーパーと呼ばれる画像表示装置、プラズマディスプレー、有機EL素子を用いた画像表示装置などが挙げられる。本発明のシリコーン樹脂組成物は、例えば積層構造中に紫外線吸収層を形成させるものでもよいし、円偏光板など必要な部材中にシリコーン樹脂組成物を含むものを用いてもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む太陽電池用カバーについて説明する。本発明における適用する太陽電池は、結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、色素増感太陽電池などいずれの形式の素子からなる太陽電池であってもよい。結晶シリコン太陽電池やアモルファスシリコン太陽電池において、防汚や耐衝撃性、耐久性を付与する保護部材としてカバー材が用いられている。また色素増感太陽電池において光(特に紫外線)に励起されて活性となる金属酸化物系半導体を電極材料として用いるため、光増感剤として吸着させた色素が劣化し、光発電効率が徐々に低下する問題があり、紫外線吸収層を設けることが提案されている。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む太陽電池用カバーはいずれの種類の高分子を含むものであってもよい。ポリエステル、熱硬化性透明樹脂、α−オレフィンポリマー、ポリプロピレン、ポリエーテルサルホン、アクリル樹脂、透明フッ素系樹脂等が挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む太陽電池用カバーはいずれの方法で製造してもよい。例えば紫外線吸収層を形成してもよいし、それぞれシリコーン樹脂組成物を含む層を積層してもよいし、充填材層の樹脂に含まれていてもよいしシリコーン樹脂組成物を含む高分子からフィルムを形成してもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含む太陽電池用カバーはいずれの形状であってもよい。フィルム、シート、積層フィルム、カバーガラス構造などが挙げられる。封止材料にシリコーン樹脂組成物を含むものであってもよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物を含むガラス及びガラス被膜について説明する。本発明のシリコーン樹脂組成物を含むガラス及びガラス被膜は、前記一般式(1)で表わされる化合物を含むものであればいずれの形態であってもよい。また、いずれの用途に用いられてもよい。例えば、熱線遮断性ガラスウインドガラス、着色ガラス、水銀ランプやメタルハライドランプなどの高輝度光源用紫外線シャープカットガラス、フリットガラス、車両用紫外線遮断ガラス、色つき熱線吸収ガラス、含蛍光増白剤紫外線吸収断熱ガラス、自動車用紫外線熱線遮断ガラス、外装用ステンドグラス、撥水性紫外線赤外線吸収ガラス、車両用ヘッドアップディスプレイ装置向けガラス、調光遮熱複層窓、紫外線赤外線カットガラス、紫外線カットガラス、窓用紫外線赤外線吸収ガラス、窓用紫外線遮断防汚膜、栽培室用透光パネル、紫外線赤外線吸収低透過ガラス、低反射率低透過率ガラス、エッジライト装置、粗面形成板ガラス、ディスプレイ用積層ガラス、導電性膜つきガラス、防眩性ガラス、紫外線赤外線吸収中透過ガラス、プライバシー保護用車両用窓ガラス、防曇性車両用ガラス、舗装材料用ガラス、水滴付着防止性及び熱線遮断性を有するガラス板、紫外線赤外線吸収ブロンズガラス、合わせガラス、ID識別機能つきガラス、PDP用光学フィルタ、天窓などが挙げられる。本発明のシリコーン樹脂組成物を含むガラスはいずれの方法によって作られてもよい。
また、その他使用例としては照明装置用光源カバー、人工皮革、スポーツゴーグル、偏向レンズ、各種プラスチック製品向けハードコート、窓外側貼り付け用ハードコート、窓張りフィルム、高精細防眩性ハードコートフィルム、帯電防止性ハードコートフィルム、透過性ハードコートフィルム、特開2002−113937号公報に記載の偽造防止帳表、芝の紫斑防止剤、樹脂フィルムシート接合用シール剤、導光体、ゴム用コーティング剤、農業用被覆材、染色ろうそく、布地リンス剤組成物、プリズムシート、特保護層転写シート、光硬化性樹脂製品、床用シート、遮光性印刷ラベル、給油カップ、硬質塗膜塗工物品、中間転写記録媒体、人工毛髪、ラベル用低温熱収縮性フィルム、釣り用品、マイクロビーズ、プレコート金属板、薄肉フィルム、熱収縮性フィルム、インモールド成形用ラベル、投影スクリーン、化粧シート、ホットメルト接着剤、接着剤、電着コート、ベースコート、木材表面保護、調光材料、調光フィルム、調光ガラス、防蛾灯、タッチパネル、樹脂フィルムシート接合用シール剤、ポリカーボネートフィルム被覆、光ファイバテープ、固形ワックスなどが挙げられる。
次に、高分子材料の耐光性を評価する方法について説明する。高分子材料の耐光性を評価する方法として、「高分子の光安定化技術」(株式会社シーエムシー,2000年)85ページ〜107ページ、「高機能塗料の基礎と物性」(株式会社シーエムシー,2003年)314ページ〜359ページ、「高分子材料と複合材製品の耐久性」(株式会社シーエムシー,2005年)、「高分子材料の長寿命化と環境対策」(株式会社シーエムシー,2000年)、H.Zweifel編「Plastics Additives Handbook 5th Edition」(Hanser Publishers)238ページ〜244ページ、葛良忠彦著「基礎講座2 プラスチック包装容器の科学」(日本包装学会,2003年)第8章などの記載を参考にできる。
また各々の用途に対する評価としては下記の既知評価法により達成できる。
高分子材料の光による劣化は、JIS−K7105:1981、JIS−K7101:1981、JIS−K7102:1981、JIS−K7219:1998、JIS−K7350−1:1995、JIS−K7350−2:1995、JIS−K7350−3:1996、JIS−K7350−4:1996の方法及びこれを参考にした方法によって評価することができる。
包装・容器用途として用いられる場合の耐光性は、JIS−K7105の方法及びこれを参考にした方法によって評価することができる。その具体例としては、ボトル胴体の光線透過率、透明性評価、キセノン光源を用いた紫外線暴露後のボトル中身の官能試験評価、キセノンランプ照射後のヘーズ値評価、ハロゲンランプ光源としたヘイズ値評価、水銀灯暴露後のブルーウールスケールを用いた黄変度評価、サンシャインウェザーメーターを用いたヘーズ値評価、着色性目視評価、紫外線透過率評価、紫外線遮断率評価、光線透過率評価、インク容器内インキの粘度評価、光線透過率評価、日光暴露後の容器内サンプル目視、色差ΔE評価、白色蛍光灯照射後の紫外線透過率評価、光透過率評価、色差評価、光線透過率評価、ヘーズ値評価、色調評価、黄色度評価、遮光性評価、L*a*b*表色系色差式を用いた白色度評価、キセノン光を分光した後の波長ごとの暴露後サンプルにおける色差ΔEa*b*を用いた黄ばみ評価、紫外線暴露後、紫外線吸収率評価、サンシャインウェザーメーターを用いた暴露後のフィルム引っ張り伸び評価、キセノンウェザーメーター暴露後の抗菌性評価、蛍光灯照射後の包装内容物褪色性評価、サラダ油充填ボトルに対する蛍光灯暴露後の油の過酸化物価評価、色調評価、ケミカルランプ照射後の吸光度差評価、サンシャインウェザーメーターを用いた暴露後の表面光沢度保持率、外観評価、サンシャインウェザロメーターを用いた暴露後の色差、曲げ強度評価、遮光比評価、灯油中の過酸化物生成量評価などがあげられる。
塗料・塗膜用途として用いられる場合の長期耐久性は、JIS−K5400、JIS−K5600−7−5:1999、JIS−K5600−7−6:2002、JIS−K5600−7−7:1999、JIS−K5600−7−8:1999、JIS−K8741の方法及びこれを参考にした方法によって評価することができる。その具体例としてはキセノン耐光試験機及びUVCON装置による暴露後の色濃度及びCIE L*a*b*色座標における色差ΔEa*b*、残留光沢を用いた評価、石英スライド上フィルムに対するキセノンアーク耐光試験機を用いた暴露後の吸光度評価、ロウにおける蛍光灯、UVランプ暴露後の色濃度及びCIE L*a*b*色座標における色差ΔEa*b*を用いた評価、メタルウェザー耐候性試験機を用いた暴露後の色相評価、メタルハイドランプを用いた暴露試験後の光沢保持率評価及び色差ΔEa*b*を用いた評価、サンシャインカーボンアーク光源を用いた暴露後光沢感の評価、メタルウェザー耐候性試験機を用いた暴露後の色差ΔEa*b*を用いた評価、光沢保持率、外観評価、サンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率評価、QUV耐候性試験機を用いた暴露後の色差ΔEa*b*を用いた評価、光沢保持率評価、サンシャインウェザオメーターを用いた暴露後光沢保持率評価、塗装板に対するサンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の外観評価サンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率、明度値変化評価、塗膜に対するデューサイクルWOM暴露後の塗膜劣化状態の外観評価、塗膜の紫外線透過率評価、塗膜の紫外線遮断率評価、サンシャインウェザーオーメーターを用いた塗膜の光沢保持率80%となる時間比較評価、デューパネル光コントロールウェザーメーターを用いた暴露後の錆発生評価、屋外暴露後の塗装済み型枠に対するコンクリートの強度評価、屋外暴露後の色差ΔEa*b*を用いた評価、碁盤目密着評価、表面外観評価、屋外暴露後の光沢保持率評価、カーボンアーク光源を用いた暴露後の黄変度(ΔYI)評価等があげられる。
インク用途として用いられる場合の耐光性は、JIS−K5701−1:2000、JIS−K7360−2、ISO105−B02の方法及びこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には事務所用蛍光灯、褪色試験機を用いた暴露後の色濃度及びCIE L*a*b*色座標の測定による評価、キセノンアーク光源を用いた紫外線暴露後の電気泳動評価、キセノンフェードメーターによる印刷物の濃度評価、100Wケミカルランプを用いたインク抜け性評価、ウェザーメーターによる画像形成部位の色素残存率評価、アイスーパーUVテスターを用いた印刷物のチョーキング評価、及び変色評価、キセノンフェードメーター暴露後の印刷物についてCIE L*a*b*色座標における色差ΔEa*b*を用いた評価、カーボンアーク光源を用いた暴露後の反射率評価などが挙げられる。
太陽電池モジュールの耐光性は、JIS−C8917:1998、JIS−C8938:1995の方法及びこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、キセノンランプに太陽光シミュレーション用補正フィルタを装着した光源による暴露後のI−V測定光発電効率評価、サンシャインウェザーメーター、フェードメータを用いた暴露後の変褪色グレースケール等級評価、色、外観密着性評価などがあげられる。
繊維及び繊維製品の耐光性は、JIS−L1096:1999、JIS−A5905:2003、JIS−L0842、JIS−K6730、JIS−K7107、DIN75.202、SAEJ1885、SN−ISO−105−B02、AS/NZS4399の方法及びこれを参考にした方法によって評価することができる。紫外線透過率評価、キセノン光源、カーボンアーク光源を用いた暴露後のブルースケール変褪色評価、記載のUVカット率評価、紫外線遮断性評価、ドライクリーニング後のカーボンアーク光源を用いた暴露後ブルースケール変褪色評価、フェードオメーターを用いた暴露後の明度指数、クロマティクネス指数に基づく色差ΔE*評価、UVテスター、サンシャインウェザーメーターを用いた暴露後の引っ張り強度評価、全透過率評価、強力保持率評価、紫外線保護係数(UPF)評価、高温フェードメーターを用いた暴露後の変褪色グレースケール評価、屋外暴露後の外観評価、紫外線暴露後の黄色度(YI)、黄変度(ΔYI)評価、規約反射率評価等があげられる。
建材の耐光性は、JIS−A1415:1999の方法及びこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、サンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の表面色調評価、カーボンアーク光源を用いた暴露後の外観評価、アイスーパーUVテスターを用いた暴露後の外観評価、暴露後の吸光度評価、暴露後の色度、色差評価、メタルハイドランプ光源を用いた暴露後のCIE L*a*b*色座標における色差ΔEa*b*を用いた評価、光沢保持率評価、特開平10−44352号公報、特開2003−211538号公報、サンシャインウェザーメーターを用いた暴露後のヘーズ値変化評価、暴露後の引張試験機を用いた伸度保持率評価、溶媒浸漬後の紫外線透過率評価、アイスーパーUVテスターを用いた暴露後の外観目視評価、QUV試験後の光沢率変化評価、サンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の光沢保持率評価、ブラックライトブルー蛍光灯を用いた紫外線暴露後の色差ΔEa*b*を用いた評価、コーブコン促進試験機を用いた暴露後の密着保持率評価、紫外線遮断性評価、特屋外暴露(JIS−A1410)後の外観評価、全光透過率評価、ヘイズ変化評価、引張せん断接着強さ評価、キセノンウェザーメーターを用いた暴露後の全光線透過率評価、ヘイズ評価、黄変度評価、サンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の黄変度(ΔYI)、紫外線吸収剤残存率評価等が挙げられる。
記録媒体用途として用いられる場合の耐光性はJIS−K7350の方法及びこれを参考にした方法によって評価することができる。具体的には、蛍光灯照射後の印字部位における地肌色差変化評価、キセノンウェザーメーターを用いた暴露による画像濃度残存率評価、キセノンウェザーメーターを用いた暴露による光学反射濃度変化評価、サンテストCPS光褪色試験機を用いた暴露後のL*a*b*評価形による黄変度評価、フェードメーターを用いた暴露後の褪色評価、キセノンフェードメーターを用いた暴露後の褪色目視評価、室内太陽光暴露後の色濃度保持率評価、キセノンウェザーメーターを用いた暴露後の色濃度保持率評価、フェードメーターを用いた暴露後のC/N評価、蛍光灯暴露後のかぶり濃度評価、蛍光灯を用いた暴露後の光学反射濃度評価、消去性評価、アトラスフェードメーターを用いた暴露後の色差ΔE*評価、カーボンアークフェードメーターを用いた暴露後の褪色目視評価、有機EL素子色変換特性保持率評価、キセノン褪色試験機による暴露後の有機ELディスプレイ輝度測定評価などが挙げられる。
その他の評価法としてはJIS−K7103、ISO/DIS9050の方法及びこれを参考とした方法によって評価できる。具体的には、ポリカーボネート被覆フィルムのUVテスターによる暴露後の外観評価、人工毛髪における紫外線暴露後のブルースケール評価、促進耐候性試験機を用いた暴露後の評価用処理布水接触角評価、特開2005−55615号公報に記載の耐候試験機を用いた暴露後の投影スクリーンに映し出された映像目視評価、サンシャインウェザーメーター、メタルウェザーメーターを用いた暴露後の試験体表面劣化、意匠性変化目視評価、金属ランプリフレクターを用いた点灯暴露後の外観目視評価ボトル用ラベルの光線透過率評価、キセノンウェザーメーターを用いた湿度条件下、暴露後のポリプロピレン劣化評価、サンシャインウェザオメーターを用いたハードコートフィルムの劣化評価、基材の劣化評価、親水性評価、耐擦傷性評価、キセノンランプ光源を用いた暴露後の人工皮革のグレースケール色差評価、水銀灯を用いた暴露後の液晶デバイス特性評価、サンシャインウェザオメーターを用いた暴露後の密着性評価、芝の紫斑度合い評価、キセノンアーク光源を用いた暴露後紫外線透過率評価、引張強度評価、コンクリート密着速度評価、サンシャインウェザオメーターを用いた暴露後外観評価、及び塗膜密着性評価、カーボンアーク光源を用いた暴露後の黄変度、密着性評価、紫外線フェードメーターを用いた接着性能評価、照明点灯時における昆虫類飛来抑制評価、アイスーパーUVテスターを用いた合わせガラスの黄変度(ΔYI)評価、QUV照射、耐湿テストを行った後の表面外観評価、光沢保持率評価、デューパネル光コントロールウェザーメーターを用いた経時色差評価、キセノンウェザロメーターを用いた暴露後の木材基材塗布状態における光沢度(DI)、黄色度指数(YI)評価、紫外線照射、暗闇を繰り返した後の紫外線吸収率評価、紫外線暴露後の染料褪色色差ΔE評価等が挙げられる。
本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
〔合成例〕
合成例1
(例示化合物(1)の調製)
サリチルアミド160.0gにアセトニトリル600mLとDBU(ジアザビシクロウンデセン(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene))356.2gを添加し溶解させた。この溶液に4-(クロロホルミル)安息香酸メチル231.7gを添加し、室温で24時間攪拌した。この反応液に水1800mLと35%塩酸170mLを添加し、得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Aを343.0g得た(収率98%)。
合成中間体A200.0gにアセトニトリル1200mLと硫酸98.1gを添加し、90℃で4時間攪拌した。この反応液にトリエチルアミン600mLを添加し、室温まで冷却した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Bを182.3g得た(収率97%)。
(X−2の合成)
3つ口フラスコに、アセトキシム39.5g(1.1モル当量)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)600mL、カリウム-t-ブトキシド60.6g(1.1モル当量)を入れて室温で30分攪拌した。その後、内温を0℃とし、そこへ化合物(X−1)60g(1.0モル当量)をゆっくり滴下した。滴下後、内温を25℃まで昇温し、その温度で1時間攪拌した。
反応混合物を塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルで抽出・分液操作を行い、得られた有機相に飽和食塩水を加えて洗浄し分液した。こうして得られた有機相を、ロータリーエバポレータで濃縮して得られた残留物を化合物(X−2)の粗生成物として得た。
(X−3の合成)
3つ口フラスコに、上記で得られた化合物(X−2)の組成生物を全量を入れ、エタノール700mLと1Mの塩酸水500mLを加えて、反応混合物を内温80℃まで昇温しその温度で3時間攪拌した。
反応混合物を内温25℃まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルで抽出・分液操作を行い、得られた有機相に飽和食塩水を加えて洗浄し分液した。こうして得られた有機相を、ロータリーエバポレータで濃縮して得られた残留物を化合物(X−3)の粗生成物として得た。
(X−4の合成)
3つ口フラスコに、フラスコ内を窒素ガスで満たした後に10%Pd−C(和光純薬工業社製)を6.5g添加し、エタノールを2,000mL、上記で得られた化合物(X−3)の組成生物を全量加えて加熱・還流した。そこへギ酸55mL(3モル当量)をゆっくり滴下し、この温度で5時間攪拌した。その後反応混合物を内温25℃まで冷却し、セライトろ過を行い炉別した母液に1,5−ナフタレンジスルホン酸を105g加えて、内温を70℃まで昇温し、30分攪拌した。その後、徐々に室温まで冷却して結晶を濾別し化合物(X−4)を100g得た。収率は化合物(X−1)を出発物質として72%であった。得られた結晶は、淡茶色であった。
1H NMR(重DMSO):δ6.95−6.98(1H)、δ7.02−7.04(1H)、δ7.40−7.51(3H)、δ7.90−7.95(1H)、δ8.75(1H)、δ8.85−8.88(2H)、δ9.03(2H)、δ10.89(1H)
化合物(X−4)5.5gにメタノール50mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液3.8gを添加した。この溶液に合成中間体B5.0gを添加し、60℃で3時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却した後、塩酸を0.2mL添加した。得られた固体を濾過、水とメタノールで洗浄して例示化合物(1)を6.8g得た(収率95%)。MS:m/z 400(M+)1H NMR(CDCl3):δ7.04−7.12(4H),δ7.53−7.57(2H),δ8.24−8.27(2H),δ8.51−8.53(4H),δ12.91
(2H) λmax=353nm(EtOAc)
サリチルアミド160.0gにアセトニトリル600mLとDBU355.2gを添加し溶解させた。この溶液に4−シアノベンゾイル クロリド193.2gを添加し、室温で24時間攪拌した。この反応液に水1200mLと塩酸150mLを添加し、得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Cを292.8g得た(収率94%)。
合成中間体C200.0gにアセトニトリル1200mLと硫酸110.5gを添加し、90℃で4時間攪拌した。この反応液にトリエチルアミン600mLを添加し、室温まで冷却した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Dを177.2g得た(収率95%)。
化合物(X−4)6.2gにメタノール50mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液4.3gを添加した。この溶液に合成中間体D5.0gを添加し、60℃で3時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却した後、塩酸を0.2mL添加した。得られた固体を濾過、水とメタノールで洗浄して例示化合物(2)を7.1g得た(収率96%)。MS:m/z 367(M+)1H NMR(CDCl3):δ7.01−7.13(4H),δ7.56−7.59(2H),δ7.91−7.93(2H),δ8.52−8.54(2H),δ8.58−8.60(2H),δ12.77(2H)λmax=355nm(EtOAc)
合成例2
(例示化合物(m−2)の調製)
サリチルアミド160.0gにアセトニトリル600mLとDBU355.2gを添加し溶解させた。この溶液に3-シアノベンゾイル クロリド193.2gを添加し、室温で24時間攪拌した。この反応液に水1200mLと塩酸150mLを添加し、得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Mを296.0g得た(収率95%)。
合成中間体M200.0gにアセトニトリル1200mLと硫酸110.5gを添加し、90℃で4時間攪拌した。この反応液にトリエチルアミン600mLを添加し、室温まで冷却した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Nを177.3g得た(収率95%)。
化合物(X−4)6.2gにメタノール50mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液4.3gを添加した。この溶液に合成中間体N5.0gを添加し、60℃で3時間攪拌した。この反応液を室温まで冷却した後、塩酸を0.2mL添加した。得られた固体を濾過、水とメタノールで洗浄して例示化合物(m−2)を6.9g得た(収率93%)。MS:m/z 367(M+)
上記と同様の方法を用いて、実施例で使用した化合物を作製した。
<pKaの測定法>
例示化合物(1)を吸光度が1となるようにアセトニトリルに溶解させ、この溶液に70%過塩素酸(酢酸溶媒)を滴下し、pHを変化させていった。その際の溶液吸収スペクトルを測定し、λmaxにおける吸光度から各pHにおけるトリアジンフリー体とプロトン付加体の比率を計算した。その値が等しくなる点よりpKaの値を求めた。ここで、トリアジンフリー体とは、例示化合物(1)そのものを表し、プロトン付加体とは、例示化合物(1)のトリアジン環の窒素原子にプロトンが付加したものを表す。同様にして例示化合物(2)、(21)、(24)、(120)、(m−2)、(m−3)、(m−4)、(m−21)、(m−31)、(m−20)、(m−1)、並びに比較化合物である(例A1)、及び(例A2)についてpKaの値を求めた。吸収スペクトルは、島津製作所製分光光度計UV−3600(商品名)を用いて測定した。pHは、東亜電波工業製pHメーター計HM60G(商品名)を用いて測定した。なお、吸光度はそれぞれの化合物の極大吸収波長で測定した値である。結果を表1に示す。
〔実施例1〕
フェニルトリクロロシラン33.85部、ビニルトリクロロシラン3.23部、及び、テトラクロロシラン3.40部を混合してオルガノクロロシラン混合液を調製し、トルエン20.80部、イソプロピルアルコール9.37部、4−メトキシフェノール0.003部、及び、水12部の混合液中に、液内温度を30℃以下に保ち、激しく撹拌しながら、60分間かけて前記オルガノクロロシラン混合液を滴下した。更に60分間撹拌を行った後、トルエン80部を加え、洗浄後の水層が中性となるまで水洗した。 水洗後、シロキサン濃度が10質量%であるトルエン溶液を調製し、水酸化カリウム0.024部を添加し、ディーンスターク管で水を除きながら加熱還流して5時間重合させた。次いで、固形分濃度75質量%になるまで濃縮し、更に3時間還流した。
次いで、トリメチルクロロシラン6部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。ろ過した後、加熱減圧下でトルエンを留去して、イソプロピルアルコール156.2部を加え、デカンテーションで沈澱を単離した。得られた沈澱を乾燥、粉砕することにより、固体状のオルガノポリシロキサン(樹脂A)を得た。
ゲル透過クロマトグラフィーでポリスチレン換算分子量を測定したところ、重量平均分子量14,800、数平均分子量4,900であった。オルガノポリシロキサン(樹脂A)のTgは190℃であった。
オルガノポリシロキサンAの組成式:Vi0.10Me0.05Ph0.76SiO1.55(以下、組成式中、Viはビニル基、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。)
仕込み比、組成式、及び、NMRスペクトルから、オルガノポリシロキサン(樹脂A)に式(I)の構成単位が含まれていることは明らかである。
得られた固体状のオルガノポリシロキサン(樹脂A)の粉体100質量部と化合物(2)1部とをミキサーで混合し、シリコーン樹脂組成物を得た。
(実施例2)
フェニルトリクロルシラン698部、メチルビニルジクロルシラン169部、ジメチルジクロルシラン194部、及びトルエン530部からなる混合物を水2,500部中に激しく撹拌しながら60分間で滴下した。更に60分間撹拌を行った後、中性となるまで水洗した。水洗後、シロキサン濃度を25%のトルエン溶液とし、水酸化カリウム0.42部を添加し、加熱還流して5時間重合させた。次いで、トリメチルクロルシラン13.8部を添加し、室温で60分間撹拌を行い、アルカリを中和し、かつ残存するシラノール基を除去した。その後、ろ過し、加熱減圧下でトルエンを留去し、透明なビニル基含有オルガノポリシロキサン(樹脂B)を得た。
得られたビニル基含有オルガノポリシロキサン(樹脂B)100部に、下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン30部、1%塩化白金酸のオクチルアルコール溶液0.05部を混合し、更に化合物(2)1.3部を添加し,シリコーン樹脂組成物を得た。
〔実施例3〕
化合物(2)1部を、化合物(24)1部に変更した以外は実施例1と同様にしてシリコーン樹脂組成物を得た。
〔実施例4〕
化合物(2)1.3部を、化合物(21)5部に変更した以外は実施例2と同様にしてシリコーン樹脂組成物を得た。
〔実施例5〜13〕
以下同様にして、シリコーン樹脂組成物を作成した。作成したサンプルを表に示した。
〔実施例14〜16〕
化合物(2)1部を、化合物(m−21)1部に変更し、更に添加剤を加えた以外は実施例1と同様にしてシリコーン樹脂組成物を得た。
(耐光性試験)
得られたシリコーン樹脂組成物を射出成形圧力20Mpa、成形時間1時間で成形し、厚さ1mmの成形板を作成した。成形温度は表に示した。
続いて得られた成形板をアイスーパーUVテスターW151(岩崎電気(株)製)内で200時間暴露した(暴露条件 90mW/cm2、63℃,50%湿度)。試験後のサンプルを確認し、黄変、ヘイズ、又は添加剤の析出が見られるものを×,それ以外を○と評価した。
※(例A1)、(例A2)は以下の化合物を示す。
上記化合物は市販で入手可能なものであり、例A1はCiba社製 Tinuvin1577FF、例A2はCYTEC社製 CYASORB UV−1164である。
B0(酸化防止剤):IRGNOX 1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))製)
B1(紫外線吸収剤): TINUVIN 928(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
B2(光安定化剤): TINUVIN 770(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
以上の結果から、本発明のシリコーン樹脂組成物(実施例1〜16)は、比較例と比べて、耐光性及び溶解性において優れることがわかった。
<例1;レンズ>
実施例6のシリコーン樹脂組成物を射出成形圧力20Mpa、成形時間1時間で成形し、レンズを成形した。得られたレンズを砲弾型LED用レンズとして用いた。比較として、比較例5の組成物から作成したレンズを砲弾型LED用レンズとして使用し、1000時間使用後のレンズの様子を観察したところ、比較例5組成物から作成したレンズのみ黄変が発生した。
<例2;封止剤としての使用>
一方が色素吸着させた酸化チタン膜を担時させたFTO蒸着ガラス、もう一方が白金を蒸着させたFTO蒸着ガラスである2枚のガラス電極間に電解液を注入し、周囲を実施例2の組成物で覆い,硬化させて封止し,太陽電池モジュールを作成した。
同様に比較例5の組成物でもモジュールを作成し、ソーラーシミュレーター(ペクセル社製)で1000照射(照射条件 AM1.5,1SUN)した。照射後のサンプルを観察したところ,比較例5組成物から作成したモジュールのみ液漏れが発生した。