JP2009040292A - 後輪用サスペンション装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車輪支持部材の下部領域と車体側部材とを弾性ブッシュで連結する2本のロアリンクが車両前後方向に並んで配置され、且つ、その2本のロアリンク同士を弾性ブッシュで連結し、ロアリンク同士を連結する弾性ブッシュとして、低周波領域では低く高周波領域では高い剛性を有するブッシュを使用すると共に、車輪支持部材の下部領域及び車体側部材とロアリンクとを連結する弾性ブッシュとして、低周波領域では、上記ロアリンク同士を連結する弾性ブッシュよりも剛性が高いブッシュを使用する。
【選択図】 図1
Description
また、車輪支持部材及び車体側部材と各剛体アームの端部とは、弾性ブッシュによって揺動可能に連結されることで上下にストローク可能となっている。
本発明は、上記のような点に着目したもので、操縦安定性を確保しつつ車体に伝達する振動を低減可能な後輪用サスペンションを提供することを課題としている。
次に、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の後輪用サスペンション装置を示す上面図であり、図2は車両前方からみたリンクの配置を説明する概要図である。
(構成)
車輪1を回転自在に支持するアクスル2の下部領域と車体側部材であるサスペンションメンバ3との間を連結する2本のロアリンク4、5と、アクスル2の上部領域とサスペンションメンバ3とを連結するアッパリンク8とを備える。
上記各弾性ブッシュ9〜14は、入れ子状に配置された外筒と内筒との間にゴム体からなる弾性体が介装されて構成される。本実施形態では、外筒側がリンク4、5、8の端部に固定されると共に、内筒側がボルトを介してサスペンションメンバ3若しくはアクスル2に取り付けられている。
また、後側ロアリンク5は、リンク軸線L2に沿って延びるリンク本体部6と、そのリンク本体部6と一体になっていると共に当該リンク本体部6から上記前側ロアリンク4に向けて車両前後方向前方に張り出した張出部7とから構成されている。なお、この実施形態では、上記張出部7は、板状の部材であって、上面視で略台形状の形状をしている。もっとも、張出部7は、板状の部材である必要はなく、リンク本体部6から前側ロアリンク4に向けて突設していれば、その構造は問わない。
ここで、前側ロアリンク4と張出部7とを揺動可能に連結する連結部を構成する弾性ブッシュ20、21を、コネクトブッシュ20、21と呼び、ロアリンク4、5と、アクスル2及びサスペンションメンバ3とを連結する弾性ブッシュ9〜12を取付けブッシュ9〜12と呼ぶ。
下記(1)式を満足する弾性ブッシュを使用する。なお、コネクトブッシュ20,21の一方だけについて(1)式を満足させる場合には、相対的に揺動が大きい車輪側のコネクトブッシュ20に採用することが好ましい。
(As/Bs)< (Ad/Bd) ・・・(1)
また、取付けブッシュ9〜12としては、静剛性及び25Hz以下の低周波領域(以下乗り心地領域とも呼ぶ。)での入力に対して剛性が高く、入力する周波数が上がってもさほど剛性が上がらないか、その勾配が上記コネクトブッシュの剛性の勾配よりも低い特性を有する弾性体を使用して構成する(図3におけるB2の特性)。
このように設定すれば、上記(1)式を満足する。
ここで、ロードノイズが発生する高周波領域(ロードノイズ領域)において、取付けブッシュ9〜12の動剛性は、コネクトブッシュ20,21の動剛性よりも低くても、上記(1)式は満足する。
なお、ロードノイズ領域の高周波領域の周波数帯は、車両によって異なるが、一般には、下限が50〜80Hzであり、上限が400〜800Hzとなっている。また、一般には、ロードノイズのピーク周波数帯は、125〜200Hzとされる。
ここで、アクスル2が車輪支持部材を、サスペンションメンバ3が車体側部材を構成する。
(1)2本のロアリンク4、5同士を連結することで、車輪1への車両前後方向の入力を2本のロアリンク4、5で受けることが可能となる。このため、当該車両前後方向入力を受けるために、別のリンクを設けなくても良い。
また、このように2本のロアリンク4、5同士を連結しても、その連結部をコネクトブッシュ20、21によって所定の揺動範囲内でのみ揺動可能に構成することで、車輪1への車両前後方向の入力に対して、コネクトブッシュ20、21は少なくとも車幅方向へ所定揺動範囲だけ揺動可能な状態で連結される。
特に、本実施形態では、突起乗り越し時のような低周波領域の入力に対してコネクトブッシュ20,21の剛性は低いことで、当該コネクトブッシュ20,21が上下方向及び左右方向(車幅方向若しくは前側ロアリンク4のリンク軸線L1方向)に揺動変位することで振動を吸収する結果、上記のように、車輪への前後方向入力(低周波でのホイールセンタへの前後方向入力)に対する振動の収まりが良く、上述のように突起乗り越し時のショックが低減される。
またこのように、ロアリンク4、5は強度を満足するように設計しても、コネクトブッシュ20、21の剛性によって前後方向の剛性が決まるため、設計自由度を大きくすることが可能となる。
制動などによって、車輪1の接地面に対し車両前後方向後方向への入力があると、2本のロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4はともに車両前後方向後方にほぼ同量だけ揺動変位するが、その2本におけるロアリンク4、5の車輪側取付け点P2、P4の車両横方向変位の差によってトーイン方向のトー変化がついて、制動時の安定性が向上する。
(6)以上のように、少なくとも、乗心地の改善と操縦安定性の向上の両立や振動の低減を図ることができる。
(1)上記実施形態では、アッパリンク8を1本の棒状リンクから構成する場合を例示しているが、2本以上あっても良いし、Aアームなど他の形状であっても良い。
(2)また、図5のように、後側ロアリンク5のリンク軸線L2側でコネクトブッシュ20,21を介して両ロアリンク4,5を連結しても良い。
また、2つのロアリンク4、5を連結するコネクトブッシュ20,21は、ロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2上に配置する必要はなく、例えば、2本のロアリンク4、5の中間位置に対して配置しても良い。
なお、この場合であっても、車両正面視において、2つのコネクトブッシュは、車幅方向にオフセットさせて配置することが好ましい。1つのコネクトブッシュでは、ロードノイズ領域での剛性を非常に大きくするために大型化するなどの工夫が必要となる。
(4)また、上記実施形態では、後側ロアリンク5のリンク軸線L2を車幅方向に配置し、前側ロアリンク4のリンク軸線L1を車両前後方向後方に傾けることで、2つのロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2の交点P5を、アクスル2よりも車幅方向外方となるように設定しているが、これに限定されない。例えば前側ロアリンク4のリンク軸線L1を略車幅方向に配置すると共に、後側ロアリンク5のリンク軸線L2を、車体側取付け点P3よりも車輪側取付け点P4が車両前後方向前側にくるように、前側に傾斜させることで、2つのロアリンク4、5のリンク軸線L1、L2の交点P5を、アクスル2よりも車幅方向外方となるように設定しても良い。
(6)また、取付け点P1とP3の車両前後方向のスパンと取付け点P2とP4のスパンが等しくても、つまり2本のロアリンク4,5が平行に配置されていても良い。
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記実施形態と同様な部材などについては同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は上記第1実施形態と同様であるが、コネクトブッシュ20,21の構成に特徴がある。
即ち、本実施形態では、コネクトブッシュ20,21として図6に示すような磁性流体を封入した流体封入ブッシュを使用する。このブッシュは、外筒21aと内筒21bとの間に弾性体21cと液室21d、21eを介装し、その液室21d,21e内に磁性流体を収納すると共に、円周方向に延びるようにオリフィス21fを形成することで、ブッシュ剛性、特に軸直方向の剛性を、磁性流体の粘性(抵抗)を変更することで変更することが可能となっている。
また、サスペンションに発生している振動周波数を検出する周波数検出手段を備える。周波数検出手段は、例えば、ロアリンク4,5やアクスル2に取り付けられた速度センサ、加速度センサ、若しくはコネクトブッシュ20,21近傍に取り付けられたギャップセンサ(相対変位計)などを備える。図7では、上記のようなセンサ30をアクスル2に設けた場合を例示している。センサ30は検出信号をコントローラ31に出力する。
その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
作用効果については、上記第1実施形態と同様な作用効果を奏する。
2 アクスル(車輪支持部材)
3 サスペンションメンバ(車体側部材)
4 前側ロアリンク
5 後側ロアリンク
6 リンク本体部
7 張出部
8 アッパリンク
9〜12 取付けブッシュ
20,21 コネクトブッシュ
21a 外筒
21b 内筒
21c 弾性体
21d,21e 磁性流体を封入した液室
21f オリフィス
30 センサ
31 コントローラ
L1、L2 リンク軸線
Claims (4)
- 車輪を回転自在に支持する車輪支持部材の下部領域と車体側部材とをそれぞれ弾性ブッシュを介して連結する2本のロアリンクが車両前後方向に並んで配置される後輪用サスペンション装置において、
上記2本のロアリンク同士を、1又は2以上の弾性ブッシュを介して連結し、
その2本のロアリンク同士を連結する少なくとも1つの弾性ブッシュの静剛性をAsとし、ロードノイズが発生する高周波数領域での動剛性をAdとし、
車輪支持部材及び車体側部材とロアリンクを連結する弾性ブッシュの静剛性をBsとしロードノイズが発生する高周波数領域での動剛性をBdと定義したときに、
下記(1)式を満足する弾性ブッシュを使用することを特徴とする後輪用サスペンション装置。
(As/Bs)< (Ad/Bd) ・・・(1) - 車輪を回転自在に支持する車輪支持部材の下部領域と車体側部材とをそれぞれ弾性ブッシュを介して連結する2本のロアリンクが車両前後方向に並んで配置される後輪用サスペンション装置において、
2本のロアリンク同士を、1又は2以上の弾性ブッシュで連結し、
ロアリンク同士を連結する少なくとも1つの弾性ブッシュとして、相対的に、車輪の突起乗越し時の衝撃で発生する低周波領域では剛性が低く且つロードノイズが発生する高周波領域では剛性が高いブッシュを使用すると共に、車輪支持部材の下部領域及び車体側部材とロアリンクとを連結する弾性ブッシュとして、上記低周波領域では、上記ロアリンク同士を連結する弾性ブッシュよりも剛性が高いブッシュを使用することを使用する後輪用サスペンション装置。 - 上記2本のロアリンクを連結する弾性ブッシュは、車幅方向にオフセットさせて2以上配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した後輪用サスペンション装置。
- 上記2本のロアリンクを連結する弾性ブッシュを流体封入ブッシュで構成し、その流体封入ブッシュに封入した流体の粘性を、ロアリンクに入力された振動周波数に応じて変更することで、上記2本のロアリンクを連結する弾性ブッシュの剛性を調整することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した後輪用サスペンション装置。
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