JP2009040264A - 頭部保護エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】後方ピラーの上方において格納状態にあるエアバッグを車室内側から覆っている天井材を、簡単な構成でエアバッグの車室内側への展開に先立って迅速に開く。
【解決手段】エアバッグ16の展開初期に、インフレータ12からのガスが前側インナチューブ64の開口部80から前側ガス供給部52の断面拡大部74に流れ込むようになっており、断面拡大部74は車両前後方向から見て断面略円形に膨張展開するようになっている。断面拡大部74はロール折りしたエアバッグ16の下方側部16Bの車両上方側に、車幅方向外側の折目と車幅方向内側の折目とで折り返した非ロール折り部16Cの内部に折り畳まれており、断面拡大部74はルーフヘッドライニング90の端末部90Bを車室内側方向へ押し開くようになっている。断面拡大部74に形成された複数の開口部80は、前側インナチューブ64の折り位置を避けて設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車両の側面衝突予知時、側面衝突時又はロールオーバー時に、ガス発生手段からガスを噴出させ、このガスによってピラー部からルーフサイド部に沿ってエアバッグをカーテン状に展開させる頭部保護エアバッグ装置に関する。
近年、自動車の乗員保護補助装置として、側面衝突予知時、側面衝突時又はロールオーバー時に、ルーフサイド部の下方へカーテン状にエアバッグを展開させる頭部保護エアバッグ装置が搭載されるようになってきた。また、自動車の座席に着座した乗員の頭部と車体側部との間に展開して乗員の頭部を保護できる頭部保護エアバッグ装置が既に公知技術となっている。
ここで、下記特許文献1、2には、この種の頭部保護エアバッグ装置が開示されている。簡単に説明すると、これらの頭部保護エアバッグ装置では、エアバッグの折り畳み方によって、エアバッグが展開する際にエアバッグを車室内側方向に向かって展開させることでBピラーガーニッシュの上端への引っ掛かりを抑制している。
特許第3329277号公報 特表2005−510390号公報
しかしながら、格納状態にあるエアバッグは、車室内側から天井材(ルーフヘッドライニング)の縁部によって覆われている。このため、エアバッグ展開時にエアバッグが、フロントピラーより車両後方に位置する後方ピラーとしてのBピラーやCピラーのピラーガーニッシュの上端に引っ掛かるのを抑制してエアバッグを迅速に展開させるには、天井材の縁部をエアバッグの展開に先立って迅速に車室内側へ開く必要がある。
本発明は上記事実を考慮し、後方ピラーの上方において格納状態にあるエアバッグを車室内側から覆っている天井材を、簡単な構成でエアバッグの車室内側への展開に先立って迅速に開くことができる頭部保護エアバッグ装置を得ることが目的である。
請求項1記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、車両の所定位置に配置され、作動してガスを噴出するガス発生手段と、前記ガス発生手段に接続されるガス供給通路と、前記ガス供給通路に接続され乗員の頭部を保護する膨張部と、を含んで構成され、折り畳まれ天井材に車室内側から覆われた状態で車両のルーフサイドレール部に沿って格納されると共に前記ガス発生手段からのガスの供給により膨張して車室内側の側部に車両下方側へ向けて展開するエアバッグと、を備え、前記エアバッグは、フロントピラーより車両後方に位置する後方ピラーの上方となる前記ガス供給通路の部位に設けられると共に、格納状態においてロール状に折り畳まれた前記膨張部の外周上部に折り返され、膨張展開形状において前記天井材を車室内側方向へ変位させる天井材変位手段と、前記ガス供給通路内に配設され前記ガス発生手段からのガスを前記膨張部に供給すると共に、格納状態において前記断面拡大部内に配置されたインナチューブと、前記インナチューブに設けられ前記断面拡大部へガスを供給する複数のガス吹出し部と、を有することを特徴とする。
畳まれ天井材に車室内側から覆われた状態で車両のルーフサイドレール部に沿って格納されたエアバッグの膨張部がガス供給通路内に配設されたインナチューブを通して、ガス発生手段からのガスにより膨張して車室内側の側部に車両下方側へ向けて展開する。このとき、フロントピラーより車両後方に位置する後方ピラーガーニッシュの上方に格納されるガス供給通路の部位には、膨張展開形状において天井材を車室内側方向へ変位させる天井材変位手段が設けられており、この天井材変位手段はロール状に折り畳まれた膨張部の外周上部に折り返されている。また、インナチューブは天井材変位手段内に配設されており、インナチューブには天井材変位手段へガスを供給する複数のガス吹出し部が設けられている。このため、ガス供給通路に設けた天井材変位手段が、インナチューブに形成した複数のガス吹出し部からのガスによって迅速に膨張展開し、エアバッグの車室内側への展開に先立って天井材を車室内側へ迅速に開く。また、エアバッグのガス供給通路の部位に天井材変位手段を設け、この天井材変位手段にインナチューブに形成した複数のガス吹出し部を介してガスを供給する構成のため、構成が簡単である。
請求項2記載の本発明は請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記天井材変位手段は前記ガス供給通路の車両前後方向から見た断面が車室内側方向又は車室外側方向へ拡大さた断面拡大部であることを特徴とする。
天井材変位手段がガス供給通路の車両前後方向から見た断面が車室内側方向又は車室外側方向へ拡大さた断面拡大部であるため、簡単な構成で天井材変位手段を設けることができる。
請求項3記載の本発明は請求項2に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記ガス供給通路の断面拡大部は前記インナチューブを中央にして車室内側方向と車室外側方向へ膨張可能に設けられていることを特徴とする。
エアバッグ展開時にガス供給通路の断面拡大部がインナチューブを中央にして車室内側方向と車室外側方向へ膨張するため、天井材をガス供給通路の断面拡大部によって車室内側方向へ大きく開くことができる。
請求項4記載の本発明は請求項1〜3の何れか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記ガス吹出し部は前記断面拡大部における折り位置を避けて設けられていることを特徴とする。
インナチューブの複数のガス吹出し部が断面拡大部の折り位置を避けて設けられている。このため、インナチューブの複数のガス吹出し部から噴出するガスが断面拡大部内にスムーズに流れ込むことでガス圧がエアバッグの一部に集中するのを抑制できる。
請求項5記載の本発明は請求項1〜4の何れか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置において、前記ガス吹出し部は前記インナチューブに車両前後方向及び車両上下方向に位置をずらして設けられていることを特徴とする。
エアバッグ展開時にガス圧によってガス吹出し部の周囲を構成する繊維の織りを解れさす引っ張り力が作用するが、複数のガス吹出し部を車両前後方向及び車両上下方向に位置をずらして設けることによって、各ガス吹出し部の周囲を構成する繊維に作用する引っ張り力が互いに強め合うことを抑制できる。この結果、ガス吹出し部の周囲を構成する繊維の解れを抑制できる。
請求項1に記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、後方ピラーの上方において格納状態にあるエアバッグを車室内側から覆っている天井材を、簡単な構成でエアバッグの車室内側への展開に先立って迅速に開くことができる。
請求項2に記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、簡単な構成で天井材変位手段を設けることができる。
請求項3に記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、天井材をガス供給通路の断面拡大部によって車室内側方向へ大きく開くことができる。
請求項4に記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、ガス圧がエアバッグの一部に集中するのを抑制できる。
請求項5に記載の本発明の頭部保護エアバッグ装置は、エアバッグに形成したガス吹出し部の周囲を構成する繊維が解れるのを抑制できる。
本発明の頭部保護エアバッグ装置の第1実施形態を図1〜図4に従って説明する。
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を、矢印INは車幅方向内側を示す。
図1には、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置10が作動してエアバッグ16が展開した状態が車両側面視で示されている。
図1に示される如く、頭部保護エアバッグ装置10は、作動することによりガスを噴出する円柱形状のガス発生手段としてのインフレータ12と、このインフレータ12のガス噴出部と接続されると共に通常は車両上下方向に折り畳まれて車両前後方向に長い長尺状とされてルーフサイドレール部14に沿って格納されたエアバッグ16と、を備えている。
なお、インフレータ12は、車体のCピラー17の上部に長手方向を車両上下方向に向けた状態で一対の取付ブラケット19によって固定されている。つまり、本実施形態の頭部保護エアバッグ装置10では、インフレータ12がエアバッグ16の上縁側中央部付近に連結されるインフレータ中央配置タイプを採用している。
また、インフレータ12は、車体側部の所定位置に配置された図示しない側面衝突予知センサによって側面衝突状態が予知された場合、側面衝突センサによって側面衝突状態が検知された場合、または車体中央部付近に配置された図示しないロールオーバーセンサによって車両のロールオーバー状態が検知された場合に、図示しないエアバッグ制御装置によって作動されるようになっている。
エアバッグ16の外周上縁部には所定の間隔で固定点18が設定されており、これらの固定点18にてエアバッグ16はフロントピラー(Aピラー)20、ルーフサイドレール部14、Dピラー22といったボディー側構成要素に支持されている。
また、エアバッグ16は、フロントシート26に着座する乗員27の頭部27Aを保護する前方側膨張部(前席用膨張部)28と、2列目シート30に着座する乗員31の頭部31Aを保護する中央膨張部(2列目席用膨張部)32と、乗員着座用シートとしての3列目シート34に着座する乗員35の頭部35Aを保護する後方側膨張部(3列目席用膨張部)36と、前方側膨張部28と中央膨張部32との間に配置された矩形平面状の非膨張部40と、中央膨張部32と後方側膨張部36との間に配置された矩形平面状の非膨張部42と、エアバッグ16の前側上部に沿って車両前後方向に延在し前方側膨張部28と中央膨張部32とを上端側にて連通するガス供給通路としての前側ガス供給部52と、エアバッグ16の後側上部に沿って車両前後方向に延在し後方側膨張部36へのガス供給通路としての後側ガス供給部58と、によって構成されている。
なお、エアバッグ16の下端16Aはサイドウインド開口部89の下端89A(ドアパネルの上端)を通る車両のベルトラインBより車両上方の位置となっている。
Cピラー17の上部に設けられたインフレータ12にはガス導入パイプ50の下端50Aが連結されている。
図2には、図1における頭部保護エアバッグ装置の一部が拡大図によって示されている。
図2に示される如く、ガス導入パイプ50の上端部50Bはルーフサイドレール部14に達している。また、ガス導入パイプ50の上端部50Bは、ルーフサイドレール部14に車両前後方向に沿って設けられた車両前方に延びる前側筒部50Cと車両後方に延びる後側筒部50Dとに分岐されている。
ガス導入パイプ50の前側筒部50Cは、エアバッグ16の前側ガス供給部52の後端部52Aに結束バンド54によって結合されている。
より具体的に説明すると、エアバッグ16の前側ガス供給部52と、エアバッグ16の下方側部16Bとの間には、車両前後方向に延びる凹部56が車両後方側から車両前方側へ向かって形成されており、この凹部56によって前側ガス供給部52と、エアバッグ16の下方側部16Bとが分離されている。
なお、エアバッグ16の下方側部16Bとは、エアバッグ16における前側ガス供給部52及び後側ガス供給部58より車両下方側の各膨張部を備えた部位である。
一方、ガス導入パイプ50の後側筒部50Dは、エアバッグ16の後側ガス供給部58の前端部58Aに結束バンド59によって結合されている。
より具体的に説明すると、エアバッグ16の後側ガス供給部58と、エアバッグ16の下方側部16Bとの間には、車両前後方向に延びる凹部60が車両前方側から車両後方側へ向かって形成されており、この凹部60によって後側ガス供給部58と、エアバッグ16の下方側部16Bとが分離されている。
また、前側ガス供給部52の内部には前側インナチューブ64が、車両前後方向に沿って配置されており、前側インナチューブ64の後端部64Aはガス導入パイプ50の前側筒部50Cに連結されている。また、前側インナチューブ64の長手方向中間部64Bには、車両下方側に向かってガス噴出し孔66が複数形成されており、インフレータ12からのガスが、これらのガス噴出し孔66を通って前側インナチューブ64から前方側膨張部28と中央膨張部32へ供給されるようになっている。
一方、後側ガス供給部58の内部には後側インナチューブ68が、車両前後方向に沿って配置されており、後側インナチューブ68の前端部68Aはガス導入パイプ50の後側筒部50Dに連結されている。また、後側インナチューブ68の長手方向中間部68Bには、車両下方側に向かってガス噴出し孔70が複数形成されており、インフレータ12からのガスが、これらのガス噴出し孔70を通って後側インナチューブ68から後方側膨張部36へ供給されるようになっている。
従って、インフレータ12から噴出したガス(図2の矢印W1)は、ガス導入パイプ50の前側筒部50Cから前側ガス供給部52内に設けた前側インナチューブ64に流れ込み、エアバッグ16の前側ガス供給部52内を車両前方へ向かって流れると共に、ガス噴出し孔66を通って前方側膨張部28と中央膨張部32へ供給されるようになっている。また、インフレータ12から噴出したガス(図2の矢印W2)は、ガス導入パイプ50の後側筒部50Dから後側ガス供給部58内に設けた後側インナチューブ68に流れ込み、エアバッグ16の後側ガス供給部58内を車両後方へ向かって流れると共に、ガス噴出し孔70を通って後方側膨張部36へ供給されるようになっている。
また、前側ガス供給部52におけるCピラー17の上方となる部位には、天井材変位手段としての断面拡大部74が形成されている。この断面拡大部74は側面視において車両上方及び車両下方に膨張可能に設けられている。
即ち、断面拡大部74の膨張展開時の側面視形状は、前側インナチューブ64を中央にして車両上方及び車両下方へそれぞれ半円状に突出した形状となっている。
図3には、図1の3−3断面線に沿ったエアバッグ16の格納状態を示す断面図が示されている。
図3に示される如く、ルーフヘッドライニング90の縁部90AはCピラーガーニッシュ84の上端84Aに係合されており、折り畳まれたエアバッグ16はルーフヘッドライニング90の端末部90Bによって覆われている。
なお、ルーフサイドレール部14の骨格部材を構成するルーフサイドレール92は、車室内側(車室94側)に配置されるルーフサイドレールインナパネル88と、車室外側に配置されるルーフサイドレールアウタパネル96とによって構成されている。
エアバッグ16は展開した状態での下端16Aから、下方側部16Bを車室外側へ巻くようにロール折りし、このロール折した下方側部16Bの車両上方側に、車幅方向外側の折目P1と車幅方向内側の折目P2とで折り返した非ロール折り部16Cを設けている。
折り畳まれたエアバッグ16は、図示を省略したボルト等の締結手段によってルーフサイドレールインナパネル88に固定点18(図1参照)で固定されている。また、ルーフヘッドライニング90の縁部90AがCピラーガーニッシュ84の上端84Aに係合されており、折り畳まれたエアバッグ16はルーフヘッドライニング90の端末部90Bによって覆われている。
エアバッグ16の非ロール折り部16C内には、前側ガス供給部52の断面拡大部74が折り畳まれており、断面拡大部74は幅方向中央部が車幅方向内側の折目P2で二つ折りされている。また、断面拡大部74に形成された複数の開口部80は、前側インナチューブ64の折り位置P2を避けた位置にそれぞれ設けられている。
従って、前側インナチューブ64の複数の開口部80から噴出するガスが断面拡大部74の内部にスムーズに流れ込むことでガス圧がエアバッグ16の一部に集中するのを抑制できる。この結果、ガスによるエアバッグ16のダメージを抑制できるようになっている。
なお、図3の符号98はルーフパネルを示している。
図4には図1の3−3断面線に沿ったエアバッグの展開初期状態を示す拡大断面図が示されている。
図4に示される如く、Cピラーガーニッシュ84の上端84Aの上方には、車両正面視でL字状に形成されたジャンプ台86が設けられており、ジャンプ台86の縦壁部86Aがルーフサイドレールインナパネル88に図示を省略したボルト等の締結部材によって固定されている。なお、ジャンプ台86の縦壁部86Aの下端からは車室内側方向に向かって横壁部(ガイド壁部)86Bが形成されている。
また、前側ガス供給部52における断面拡大部74の膨張展開時の車両前後方向から見た断面は略円形となっており、その断面中央部に前側インナチューブ64が位置している。
即ち、断面拡大部74の膨張展開時の車両前後方向から見た断面は、前側インナチューブ64を中央にして車室内側方向と車室外側方向へ膨張可能となっている。
従って、エアバッグ16の展開初期に、前側ガス供給部52の断面拡大部74が、ジャンプ台86の縦壁部86Aと、天井材としてのルーフヘッドライニング90の縁部90Aとの間で断面円形状に膨張展開し、前側ガス供給部52の断面拡大部74によって、ルーフヘッドライニング90の端末部90Bを車室内側方向(図4の矢印A方向)へ押し開くことができるようになっている。即ち、前側ガス供給部52の断面拡大部74は図4に示す膨張展開形状においてルーフヘッドライニング90の端末部90Bを車室内側方向へ変位させることができるようになっている。
この結果、ルーフヘッドライニング90の端末部90Bが大きく車室内側(車室94側)へ開くと共に、断面拡大部74の下方に設けられたエアバッグ16の下方側部16BがCピラーガーニッシュ84の上端84Aを乗り越え、円滑に車室内側の側部に下方展開されるようになっている。
また、断面拡大部74の内側に配置されて前側インナチューブ64の部位には断面拡大部74へガスを供給するためのガス吹出し部としての開口部80が複数形成されており、本実施形態では、車幅方向において対になった2組で合計4個形成されている。
図2に示される如く、前側インナチューブ64に形成された複数の開口部80は、正方形等の矩形状とされており、互いに車両前後方向及び車両上下方向に位置をずらして設けられている。
従って、エアバッグ展開時にガス圧によって開口部80の周囲を構成する前側インナチューブ64の繊維の織りを解れさす力が作用するが、複数の開口部80を車両前後方向及び車両上下方向に位置をずらして設けることによって、各開口部80の周囲を構成する前側インナチューブ64の繊維に作用する力が互いに強め合うことを抑制できるようになっている。このため、開口部80の周囲を構成する前側インナチューブ64の繊維の解れを抑制できるようになっている。
また、開口部80の形状を正方形等の矩形状とすることで、開口部80の円形にした場合に比べて開口部80の周囲を構成する前側インナチューブ64の繊維の解れを抑制できるようになっている。
図4に示される如く、複数の開口部80は、前側インナチューブ64におけるエアバッグ16の縫合部(シーム部)16Dと対向しない部位64Cに設けられており、エアバッグ展開時に開口部80から噴出すガスがエアバッグ16の縫合部(シーム部)16Dを直撃しないようようになっている。
従って、複数の開口部80から供給されるガスによって、エアバッグ16の縫合部(シーム部)16Dにダメージが発生しないようになっている。
図1に示される如く、エアバッグ16の前方側膨張部28には、車両上下方向に延びる3本のセル100、102、104が車両前後方向に隣接して配置されている。
なお、セルとはインフレータからのガスによって膨張する膨張部分であって、膨張部分の外周縁部を構成する非膨張部は含まない。
前方側膨張部28における前方側の2本のセル100、102はそれぞれ上端部が開口されている。また、後方側のセル104は、その前側下端部が前方側のセル102の後側下端部に連結されている。
従って、インフレータ12から噴出したガスは、前側ガス供給部52の内部に配置した前側インナチューブ64の内部を通り、前方側の2本のセル100、102に車両上方側から流れ込むと共に、セル102から104内に流れ込むようになっている。このため、後側のセル104の膨張が前側のセル100、102の膨張に遅れることで、セル104がBピラー21と乗員27の頭部27Aとの間にスムーズに展開するようになっている。
中央膨張部32には、車両上下方向に延びる2本のセル110、112が車両前後方向に隣接して配置されている。
中央膨張部32における前側のセル110は上端部が開口されている。また、前側のセル110の後側下部は後側セル112の前側下部に連結されている。
従って、インフレータ12から噴出したガスは、前側ガス供給部52の内部に配置した前側インナチューブ64の内部を通り、前方側のセル110に車両上方側から流れ込むと共に、セル110を迂回して後側のセル112内に流れ込むようになっている。このため、後側のセル112の膨張が前側のセル110の膨張に遅れることで、セル112がCピラー17と乗員31の頭部31Aとの間にスムーズに展開するようになっている。
後方側膨張部36は、車両上下方向に延びる2本のセル120、122を車両前後方向に隣接して配置することにより構成されている。また、セル120、122は上端部が開口されている。
従って、インフレータ12から噴出したガスは、後側ガス供給部58の内部に配置した後側インナチューブ68を通り、セル120、122に車両上方側から流れ込むようになっている。
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
車両の側面衝突予知時、側面衝突時又はロールオーバー時になると、側面衝突予知センサ、側面衝突センサまたはロールオーバーセンサによってその状態が検知され、エアバッグ制御装置に入力される。エアバッグ制御装置によって側面衝突予知、側面衝突またはロールオーバーと判断されると、インフレータ12が作動して、車両のルーフサイドレール部14に沿って折り畳み状態で格納されたエアバッグ16内へガスが供給される。
具体的には、インフレータ12からガス導入パイプ50を介して、エアバッグ16の前側ガス供給部52の内部に設けた前側インナチューブ64と、後側ガス供給部58の内部に設けた後側インナチューブ68からガスがエアバッグ16に供給されて、前側ガス供給部52、後側ガス供給部58、前方側膨張部28、中央膨張部32、及び後方側膨張部36を膨張させながら、エアバッグ16を車室内側の側部に車両下方側へ向けてカーテン状に展開させる。これにより、フロントシート26に着座する乗員27の頭部27Aが前方側膨張部28によって保護され、2列目シート30に着座する乗員31の頭部31Aが中央膨張部32によって保護され、3列目シート34に着座する乗員35の頭部35Aが後方側膨張部36によって保護される。
ここで、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置10では、Cピラー17の上部に設けられたインフレータ12に下端50Aが連結されているガス導入パイプ50の上端部50Bが、図2に示される如く、ルーフサイドレール部14に達しており、車両前方に延びる前側筒部50Cと車両後方に延びる後側筒部50Dとに分岐されている。
従って、インフレータ12から噴出したガス(図2の矢印W1)は、ガス導入パイプ50の前側筒部50Cから前側ガス供給部52の内部の前側インナチューブ64に流れ込み、エアバッグ16の前側ガス供給部52内を車両前方へ向かって流れると共に、インフレータ12から噴出したガス(図2の矢印W2)は、ガス導入パイプ50のガス導入パイプ50の後側筒部50Dから後側ガス供給部58の内部の後側インナチューブ68に流れ込み、エアバッグ16の後側ガス供給部58内を車両後方へ向かって流れる。
また、図3に示される如く、エアバッグ16の格納状態では、エアバッグ16は展開した状態で下方側部16Bを下端16Aから車室外側へ巻くようにロール折りし、このロール折りした下方側部16Bの車両上方側に、車幅方向外側の折目P1と車幅方向内側の折目P2とで折り返した非ロール折り部16Cを設けている。また、非ロール折り部16C内には、前側ガス供給部52の断面拡大部74が折り畳まれている。
従って、図4に示される如く、エアバッグ16の展開初期に、インフレータ12からのガスが前側インナチューブ64の開口部80から前側ガス供給部52の断面拡大部74に流れ込み、断面拡大部74が車両前後方向から見て断面略円形に膨張展開する。このため、前側ガス供給部52の断面拡大部74によってルーフヘッドライニング90の端末部90Bが車室内側方向(図4の矢印A方向)へ押し開かれる。
また、前側ガス供給部52の断面拡大部74の車両下方側にロール折りした下方側部16Bを設けたため、断面拡大部74の膨張展開によって、下方側部16Bを車室内側方向(図4の矢印A方向)へ移動させることができる。
この結果、ルーフヘッドライニング90の端末部90Bが大きく開くことで、エアバッグ16がCピラーガーニッシュ84の上端84Aを乗り越え、円滑に車室内側の側部に下方展開される。
また、本実施形態では、エアバッグ16の前側ガス供給部52に断面拡大部74を設け、この断面拡大部74に前側インナチューブ64に形成した複数の開口部80を介してガスを供給する構成のため、構成が簡単である。
また、本実施形態では、エアバッグ展開時に前側ガス供給部52の断面拡大部74が前側インナチューブ64を中央にして車幅方向外側と車幅方向内側へ大きく膨張する。このため、エアバッグ16を車室内側から覆うルーフヘッドライニング90の端末部90Bを前側ガス供給部52の断面拡大部74によって車室内側方向(図4の矢印A方向)へ大きく開くことができる。
また、本実施形態では、エアバッグ16の非ロール折り部16C内に、前側ガス供給部52の断面拡大部74が折り畳まれており、断面拡大部74に形成された複数の開口部80は、前側インナチューブ64の折り位置P2を避けた位置にそれぞれ設けられている。
従って、前側インナチューブ64の複数の開口部80から噴出するガスによって、断面拡大部74を車幅方向外側と車幅方向内側へ効果的に膨張させることができると共に、ガスが複数の開口部80から断面拡大部74の内部にスムーズに流れ込むことでガス圧がエアバッグ16の一部に集中するのを抑制できる。この結果、ガスによるエアバッグ16のダメージを抑制できる。
また、本実施形態では、前側インナチューブ64におけるエアバッグ16の縫合部(シーム部)16Dと対向しない部位64Cに設けられた複数の開口部80からガスが噴出する。このため、エアバッグ展開時に開口部80から噴出すガスがエアバッグ16の縫合部(シーム部)16Dを直撃しないので、この点においてもエアバッグ16に発生するダメージを抑制できる。
また、本実施形態では、エアバッグ展開時にガス圧によって前側インナチューブ64に形成した開口部80の周囲を構成する繊維の織りを解れさせようとする引っ張り力が作用するが、複数の開口部80が車両前後方向及び車両上下方向に位置をずらして設けられている。この結果、各開口部80の周囲を構成する繊維に作用する引っ張り力が互いに強め合うことを抑制できる。このため、開口部80の周囲を構成する繊維の織りが解けるのを抑制できる。
次に、本発明の頭部保護エアバッグ装置の第2実施形態を図5に従って説明する。
なお、第1実施形態と同一部材に付いては、同一符号を付してその説明を省略する。
図5には、本実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置10が作動してエアバッグ16が展開した状態の一部が側面視で示されている。
図5に示される如く、本実施形態では、前側インナチューブ64の開口部80が、車幅方向において対になった3組で合計6個形成されている。
従って、第1実施形態と同様の作用効果が得られると共に、第1実施形態に比べて、各開口部80の大きさを同じにした場合には、開口部80の数が増えることで、ガスの噴出量が増加するため、断面拡大部74の展開完了時間を早くすることができる。また、ガスの総噴出量を同じにした場合には、各開口部80から噴出するガスの圧を低減できるため、エアバッグ16のダメージをさらに抑制することができる。
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記各実施形態では、天井材変位手段としての断面拡大部74の膨張展開時の車両前後方向から見た断面を略円形としたが、断面拡大部74の膨張展開時の車両前後方向から見た断面は略円形に限定されず、ルーフヘッドライニング90の端末部90Bを車室内側方向(図4の矢印A方向)へ押し開くことができる形状であれば、車室内側方向又は車室外側方向へ拡大さた長円形等の他の形状としてもよい。
また、上記各実施形態では、開口部80の形状を正方形等の矩形状としたが、開口部80の形状は矩形状に限定されず円形等の他の形状としてもよい。
また、上記各実施形態では、ガス導入パイプ50の上端部50Bを車両前方に延びる前側筒部50Cと車両後方に延びる後側筒部50Dとに分岐した構成としたが、ガス導入パイプ50の上端部50Bに前側筒部50Cと後側筒部50Dとの一方のみを形成した構成としてもよい。さらに、ガス導入パイプ50の上端部50Bを3方向以上に分岐した構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、インフレータ12とエアバッグ16とをガス導入パイプ50によって連結した構成としたが、これに代えて、エアバッグ16にインフレータ12のガス噴出部を直接挿入して固定する構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、Cピラー17に対して本発明を適用したが、これに限らず、Bピラー21等の他の後方ピラーに対して本発明を適用してもよい。
また、上記各実施形態では、フロントシート26、2列目シート30、3列目シート34の3列シートの車両に対して本発明を適用したが、これに限らず、2列シート等の他のシート列の車両に対して本発明を適用してもよい。
また、上記各実施形態では、インフレータ12がエアバッグ16の上縁側の前後方向中間部付近に配置されるインフレータ中央配置タイプを採用しているが、インフレータ12がDピラー22のガーニッシュの配設位置等の他の位置に配置される構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、エアバッグ16に1本のインフレータ12からガスを噴出する構成としたが、これに限らず、エアバッグ16に2本以上のインフレータ12からガスを噴出する構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、エアバッグ16を一体構造にしたが、これに限らず、エアバッグ16を車両前後に分割した構成としてもよい。
また、上記各実施形態における前方側膨張部28、中央膨張部32および後方側膨張部36を構成するセルの数や形状は、図1に示す数や位置に限定されない。
また、上記各実施形態では、図1に示される如く、エアバッグ16の下端16Aをウインド開口部89の下端89Aの上方とする構成を採ったが、これに限らず、エアバッグ16の下端16Aをウインド開口部89の下端89Aの下方とする構成としてもよい。
本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置が作動してエアバッグが展開した状態を示す側面図である。 本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置の一部を示す拡大側面図である。 本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置のエアバッグの格納状態を示す図1の3−3断面線に沿った拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置のエアバッグの展開初期状態を示す図1の3−3断面線に沿った拡大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る頭部保護エアバッグ装置が作動してエアバッグが展開した状態の一部を示す拡大側面図である。
符号の説明
10 頭部保護エアバッグ装置
12 インフレータ(ガス発生手段)
14 ルーフサイドレール部
16 エアバッグ
17 Cピラー(後方ピラー)
28 前方側膨張部(前席用膨張部)
32 中央膨張部(2列目席用膨張部)
36 後方側膨張部(3列目席用膨張部)
50 ガス導入パイプ
52 前側ガス供給部(ガス供給通路)
58 後側ガス供給部(ガス供給通路)
64 前側インナチューブ
68 後側インナチューブ
74 断面拡大部(天井材変位手段)
80 開口部(ガス吹出し部)
84 Cピラーガーニッシュ
90 ルーフヘッドライニング(天井材)

Claims (5)

  1. 車両の所定位置に配置され、作動してガスを噴出するガス発生手段と、
    前記ガス発生手段に接続されるガス供給通路と、前記ガス供給通路に接続され乗員の頭部を保護する膨張部と、を含んで構成され、折り畳まれ天井材に車室内側から覆われた状態で車両のルーフサイドレール部に沿って格納されると共に前記ガス発生手段からのガスの供給により膨張して車室内側の側部に車両下方側へ向けて展開するエアバッグと、
    を備え、
    前記エアバッグは、
    フロントピラーより車両後方に位置する後方ピラーの上方となる前記ガス供給通路の部位に設けられると共に、格納状態においてロール状に折り畳まれた前記膨張部の外周上部に折り返され、膨張展開形状において前記天井材を車室内側方向へ変位させる天井材変位手段と、
    前記ガス供給通路内に配設され前記ガス発生手段からのガスを前記膨張部に供給すると共に、格納状態において前記断面拡大部内に配置されたインナチューブと、
    前記インナチューブに設けられ前記断面拡大部へガスを供給する複数のガス吹出し部と、
    を有することを特徴とする頭部保護エアバッグ装置。
  2. 前記天井材変位手段は前記ガス供給通路の車両前後方向から見た断面が車室内側方向又は車室外側方向へ拡大さた断面拡大部であることを特徴とする請求項1に記載の頭部保護エアバッグ装置。
  3. 前記ガス供給通路の断面拡大部は前記インナチューブを中央にして車室内側方向と車室外側方向へ膨張可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の頭部保護エアバッグ装置。
  4. 前記ガス吹出し部は前記断面拡大部における折り位置を避けて設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置。
  5. 前記ガス吹出し部は前記インナチューブに車両前後方向及び車両上下方向に位置をずらして設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の頭部保護エアバッグ装置。
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