JP2009039695A - 酸とアルカリの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜電圧が低く、長期間の使用によってもカチオン交換樹脂層とアニオン交換樹脂層の剥離が有効に防止されたバイポーラ膜を用いた電力原単位の低い有機酸とアルカリの製造方法を提供する。
【解決手段】予め形成されたイオン交換樹脂膜からなる基材交換膜の表面に、該基材交換膜が有するイオン交換基とは対のイオン交換基を有する対イオン交換樹脂層を形成することによりバイポーラ膜を製造する方法において、前記基材交換膜にポリオレフィンの微多孔膜を補強材に用い、一方の層に熱可塑性樹脂を存在せしめ、かつ、一方の表面を粗面加工し、前記対のイオン交換基を導入可能な反応基を有する高分子を、前記基材交換膜の粗面にコーティングして対イオン交換樹脂前駆体層を形成し、前記対イオン交換樹脂前駆体層の反応基に前記対のイオン交換基を導入した後、熱処理を行うことにより調製したバイポーラ膜を使用して電気透析することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、バイポーラ膜を用いた電気透析法による酸とアルカリの製造方法に関するものであり、より詳しくは、上記電気透析により、有機酸塩から有機酸とアルカリを、電力原単位を低く、効率的に製造することができる方法に関する。
バイポーラ膜は、カチオン交換膜とアニオン交換膜が貼り合わされた複合膜であり、水をプロトンと水酸イオンに解離することができる機能を有する。
バイポーラ膜のこの特殊機能を利用して、カチオン交換膜及び/またはアニオン交換膜とともに電気透析装置に組み込み、電気透析を行うことにより、有機酸塩から有機酸とアルカリを製造することができることから、種々の応用が提案されている(非特許文献1)。
上記方法において、酸やアルカリの製造コストの面から考えると、電気透析槽の槽電圧が小さく、また同時に酸及びアルカリの生成効率が高い必要がある。特にバイポーラ膜による電圧降下が小さく、かつ、水解離の電流効率が高く、これらの性能が長期にわたって発現されなければならない。
一方、バイポーラ膜は古くから使用されており、その製造方法も種々提案されている。例えば、その代表的な製造方法としては、カチオン交換膜とアニオン交換膜とを、ポリエチレンイミン−エピクロルヒドリンの混合物で張り合わせ硬化接着する方法(特許文献1)、カチオン交換膜とアニオン交換膜とをイオン交換性接着剤で接着させる方法(特許文献2)、カチオン交換膜或いはアニオン交換膜に微粉のイオン交換樹脂(アニオンまたはカチオン交換樹脂と熱可塑性物質とのペースト状混合物)を塗布して両者を圧着させる方法(特許文献3)、カチオン交換膜の表面にビニルピリジンとエポキシ化合物からなる糊状物質を塗布しこれに放射線照射することによって製造する方法(特許文献4)、アニオン交換膜の表面にスルホン酸型高分子電解質とアリルアミン類を付着させた後、電離性放射線を照射架橋させる方法(特許文献5)などが提案されている。
しかしながら、これらの膜は、バイポーラ膜電圧が高く工業的に有用なものではなかった。バイポーラ電圧(V)は、バイポーラ膜を構成するカチオン交換樹脂層とアニオン交換樹脂層との界面で生じる水解離に必要な水解電圧(V´)と各層の電気抵抗に関係して発生する電位差(V、V)の総和で表わされる。水解電圧V´の理論電圧は約0.83Vといわれ、バイポーラ膜電圧を構成する水解電圧V´を理論電圧にできるだけ近づけることによりバイポーラ膜電圧を低減する試みがなされてきた。その試みは、主として水解離を促進させる触媒的機能を有する化学物質を水解離の発生場所である両層界面に存在させる手法であり、バイポーラ膜電圧の低減に貢献した。例えば、重金属イオンを両層の界面に存在させたもの(非特許文献2、特許文献6)、3級ピリジンを有する層を中間層として両層の間に形成させたもの(非特許文献3)、無機イオン交換体を両層の界面に存在させたもの(特許文献7,8)などが提案されている。
Journal of Membrane Science, 61(1991)239−252 特公昭32−3962号公報 特公昭34−3961号公報 特公昭35−14531号公報 特公昭38−16633号公報 特公昭51−4113号公報 特開平4−228591 Journal of Membrane Sci.,78(1993),13−23 Desalination,68(1988),272−292 特開平7−258878号公報 特開平7−222915号公報
これまでの膜の技術改良により、バイポーラ膜電圧の低いバイポーラ膜の調製が可能となり、いくつかのプロセスが実用化に至っている。しかし、実際には、更に効率的な実用的工業規模での有機酸とアルカリとの製造が望まれており、製造コストの面においても、従来のバイポーラ膜ではなおその要求に応えられないという問題点が多くあった。
バイポーラ膜電圧を更に低くするためには、カチオン交換樹脂層とアニオン交換樹脂層の電気抵抗を低減する必要があり、一般的には、薄膜化により達成される。しかし、一方で、強度が低下するという問題がある。
従って本発明の目的は、バイポーラ膜を用いた有機酸とアルカリの製造方法において、工業規模で実用に耐え得る膜強度を有し、且つ、バイポーラ膜電圧が極めて低く、カチオン交換樹脂層とアニオン交換樹脂層の両層の剥離が有効に防止され、しかも長期にわたり安定した性能を有する、を提供するものである。
本発明によれば、カチオン交換樹脂層またはアニオン交換樹脂層のいずれか一方の層が、ポリオレフィンの延伸フィルムよりなる微多孔性膜の空孔にカチオン交換樹脂またはアニオン交換樹脂が充填されてなる層により構成され、且つ、上記少なくとも一方の層に存在するイオン交換樹脂のマトリックス中に、軟化点が140℃以下の熱可塑性樹脂を存在せしめたバイポーラ膜を使用することを特徴とする有機酸とアルカリの製造方法が提供される。また、本発明によれば、さらに、電気透析槽内の液温度を60℃以上にして、電気透析を行うことが好ましい。
本発明のバイポーラ膜は、後述するように、予め形成されたイオン交換樹脂層からなる層の一方の表面を算術平均表面粗さRaが0.1乃至1μmの範囲に粗面加工し、前記対のイオン交換基を導入可能な反応基を有する熱可塑性樹脂を前記基材交換層の粗面にコーティングして対イオン交換樹脂前駆体を形成し、その際、上記少なくとも一方の層において、イオン交換樹脂のマトリックス中に、軟化点が140℃以下の熱可塑性樹脂を存在せしめ、前記対イオン交換樹脂前駆体層の反応基に前記対のイオン交換基を導入し、次いで、上記熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱処理を行うことにより製造されたものが好適に使用される。
本発明によれば、ポリオレフィンの延伸フィルムよりなる微多孔性膜から構成された特定のバイポーラ膜を用いて有機酸塩水溶液を電気透析することにより、効率的に有機酸とアルカリを製造することができ、著しく電力原単位の低い酸とアルカリの製造プロセスが提供される。さらに、ポリオレフィンの熱的安定性から60℃以上の高温電気透析が可能となり、膜や溶液の電気抵抗が低下するため電力原単位が極めて低い効率的なプロセスが達成される。また、使用するバイポーラ膜は、イオン交換樹脂マトリックス中に軟化点が140℃以下の熱可塑性樹脂を有し、かつ、互いに貼り合わせるイオン交換樹脂膜の一方の膜(基材交換膜)の表面が粗面加工され、しかも膜を貼り合わせた後に熱処理が行われる。この結果、貼り合わされた膜の界面で両膜を形成している樹脂同士の絡み合いが促進され、粗面によるアンカー効果が著しく高められ、得られるバイポーラ膜は、膜の密着乃至接合強度が著しく高くなる。従って、該バイポーラ膜は、膜剥がれを生じることが無く、しかも膜の接合面でのブリスター(水泡)の発生も有効に防止され、極めて優れた耐久性を示すため、長期にわたり安定的且つ効率的に有機酸とアルカリを製造することが可能となる。
<バイポーラ膜電気透析>
本発明におけるバイポーラ膜電気透析法は、陽極と陰極の間に、カチオン交換膜及び/またはアニオン交換膜に加えて、水素イオンと水酸イオンを生成するバイポーラ膜を順に配列し、膜で仕切られた各室に処理液を供給して通電を行い、中性塩から酸とアルカリを得る方法である。用いられる電気透析装置は、特に制限されることなく従来公知のものを広く使用することができる。図1と図2に本発明に用いる電気透析装置の代表的な形態を模式的に示した。
図1の装置は、3室法と呼ばれ、陽極11と陰極12との間にバイポーラ膜(B)とアニオン交換膜(A)とカチオン交換膜(C)を順に配列し、酸室13、塩室14、アルカリ室15を形成させた構造である。かかる電気透析装置では、塩室14に供給された中性塩は、カチオンとアニオンに解離しているため、通電することによってカチオンはカチオン交換膜(C)を通過し、アニオンはアニオン交換膜(A)を通過する。そして、バイポーラ膜(B)から生成したプロトン(H+)と水酸イオン(OH−)とそれぞれ結合して酸とアルカリが製造できる。
図2の装置は、2室法と呼ばれ陽極11と陰極12のとの間にバイポーラ膜(B)とカチオン交換膜(C)を順に配列し、塩室14とアルカリ室15を形成させた構造である。主に、有機酸塩の類の弱酸の塩を電気透析に供す場合、好適に用いられる。かかる電気透析装置では、塩室14に供給された弱酸の塩は、カチオンとアニオンに解離しているため、通電することによってカチオンはカチオン交換膜(C)を通過し、バイポーラ膜(B)から供給された水酸イオンOHと結合してアルカリとなる。一方、弱酸イオンであるアニオンは、塩室14に残り、バイポーラ膜(B)から供給されたプロトンHと結合して弱酸となる。弱酸は解離度が低いため、バイポーラ膜から生成したプロトンが塩室14からアルカリ室15へは移動しにくいため、その結果、酸とアルカリを製造できる。2室法は、カチオン交換膜のかわりにアニオン交換膜を用いる場合もあるが、塩の種類などに応じて、適宜使い分けられる。
図1と図2に示されるようなバイポーラ膜とカチオン交換膜及び/またはアニオン交換膜などで構成される最小の繰返単位をセルと称し、工業的な規模での電気透析を実施する場合には、製造効率の観点からセル数を5〜200とするのが好適である。また、バイポーラ膜を配置する向きは、安定した電気透析を行う上で注意を要し、通常、バイポーラ膜のアニオン交換層側を陽極に側に、また、カチオン交換層側を陰極側に向けて使用される。そして、電極間の通電は、電流密度3〜50A/dm、より好ましくは5〜20A/dmで通電される。
<高温電気透析>
本発明によるバイポーラ膜を用いて電気透析することにより有機酸とアルカリを製造するに際して、電力原単位を低減させる有効な手段として、液温度を60℃以上にして電気透析を行う、所謂、高温電気透析が好適に採用できる。本発明によるバイポーラ膜は、ポリオレフィンの多孔質膜を強度保持材として使用しているため、60℃以上の高温電気透析においても安定して有機酸とアルカリを製造することができる。ただし、処理する酸やアルカリの熱的性質や電気透析部材、膜部材の耐熱性を考慮して最適運転温度は適宜決められるが、90℃以下、特に80℃以下が好ましい。
前記バイポーラ膜を用いた高温電気透析の利点は、従来の電気透析の利点である液抵抗や膜抵抗の低下による電力原単位の低減への寄与のみならず、バイポーラ膜中で生じる水解に必要な水供給を容易にし、水供給律速に起因する限界電流密度を高電流密度側へシフトさせ、さらに、一般的に通常の電気透析に比べバイポーラ膜電気透析は、10A/dm以上の高電流密度で運転されるため、そのオーム損から発生するジュール熱を有効に利用できる点にあり、更に効果的である。
本発明の最大の特徴は、本発明に用いるバイポーラ膜にある。即ち、本発明において使用されるバイポーラ膜は、カチオン交換樹脂層またはアニオン交換樹脂層のいずれか一方の層が、ポリオレフィンの延伸フィルムよりなる微多孔性膜の空孔にカチオン交換樹脂またはアニオン交換樹脂が充填されてなる層により構成され、且つ、上記少なくとも一方の層に存在するイオン交換樹脂のマトリックス中に、軟化点が140℃以下の熱可塑性樹脂を存在せしめたバイポーラ膜である。
上記バイポーラ膜は、ポリオレフィンの延伸フィルムを用いた微多孔性膜を含むカチオン交換樹脂膜或いはアニオン交換樹脂膜を基材交換膜として使用し、この基材交換膜の一方の面を粗面加工し、粗面加工した面に基材交換膜とは対のイオン交換基を有する対イオン交換樹脂層(以下、単に対イオン交換層と呼ぶ)を形成し、そのどちらか少なくとも一方の層に融点の低い熱可塑性樹脂を存在させておき、最後に熱処理することにより製造されるものが好適である。
<基材交換膜>
上記バイポーラ膜の製造方法において、基材交換膜としては、それ自体公知のカチオン交換膜或いはアニオン交換膜を使用することができるが、基材交換膜は、ポリオレフィンの延伸フィルムよりなる微多孔性膜の空孔にイオン交換樹脂が充填されてなることが重要である。
即ち、上記の微多孔性膜は、ポリオレフィンの延伸フィルムに所定の密度で空孔を形成したものであり、例えば、延伸後に除去が可能な添加剤をポリオレフィンに分散せしめ、常法にしたがってフィルム成形し、ついで一軸又は二軸に、該ポリオレフィンの融点以下に加熱しながら延伸した後、上記添加剤を除去することによりフィルムを貫通する空孔を形成することによって製造される。
ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘプテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が使用されるが、特に結晶性が高く、高強度のフィルムが得られるという観点から、ポリエチレンやポリプロピレン、特に高密度ポリエチレンやアイソタクティックポリプロピレンが好適である。
また、延伸後に除去される添加剤としては、パラフィン、無機粉体等を例示することができ、延伸後の添加剤の除去は、溶剤による抽出、酸による溶解等によって実施される。
上記のような微多孔性膜の厚みは、電気抵抗を低減させる上で、10μm〜80μm、特に、20μm〜50μmが、好ましい。さらに、微多孔性膜の多孔状態は膜強度と電気抵抗に影響を及ぼす重要な因子であり、該厚みに加えて、膜の有する空孔の平均孔径は0.005〜4μm、特に、0.01〜0.8μmが好ましく、また空孔の空孔率は、20〜90%、特に30〜70%の範囲にあることが好ましい。即ち、この空孔が必要以上に大きかったり或いは空孔率が必要以上に大きいと、基材交換膜の腰が弱くなったり、単位容積あたりのイオン交換樹脂量が多くなり、実用に供した場合、イオン交換樹脂の膨潤収縮によって、寸法安定性を欠き、機械的強度も低下するおそれがある。また、空孔があまり小さかったり或いは空孔率が小さいと、十分な量のイオン交換樹脂を充填することが困難となり、いくら厚みが薄くとも膜抵抗が増大するなど、バイポーラ膜の特性が低下するおそれがある。
尚、上記の微多孔性膜が有する空孔の形状は特に制限されず、円状、楕円状、正方状、菱形状、その他不定形状の形状を採る。このような形状や前述した空孔の孔径、面積占有率は、空孔の形成のために使用される添加剤の分散粒子形状やその大きさ、及び添加量によって調整される。
上述した微多孔性膜の空隙内に充填されるイオン交換樹脂は、それ自体公知のものであり、例えば、炭化水素系又はフッ素系の基材樹脂に陽イオン交換基或いは陰イオン交換基が導入されているものである。炭化水素系の基材樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が、また、フッ素系の基材樹脂としては、パーフロオロカーボン系樹脂等が挙げられる。
また、上記基材樹脂に導入されているイオン交換基は、水溶液中で負又は正の電荷となり得る官能基なら特に制限されるものではない。例えば、カチオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、一般的に、強酸性基であるスルホン酸基が好適である。また、アニオン交換基としては、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基等が挙げられ、一般的に、強塩基性基である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基が好適である。
上記のようなイオン交換樹脂を上記微多孔性膜の空孔に導入する方法は、特に制限されないが、代表的な方法としては、下記の方法が挙げられる。
即ち、微多孔性膜の空隙内に、イオン交換基を有する単量体、架橋性単量体、および重合開始剤を含有する単量体組成物を含浸、スプレー或いは塗布等により充填せしめた後、該単量体組成物を重合せしめてイオン交換樹脂を生成することにより、目的とする基材交換膜を得ることができる。また、前記単量体として、イオン交換基導入可能な官能基を有する単量体を用いた場合には、上記と同様にして重合を行ってイオン交換樹脂前駆体を生成し、この前駆体にカチオン交換膜であればスルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解などの処理、アニオン交換膜であればアミノ化、アルキル化等の処理により所望のイオン交換基を導入して、目的とする基材交換膜を得ることができる。イオン交換基含有高分子を溶媒に溶解させ空孔に充填することもできるが、上記の方法によれば、単量体組成物の分子量が低く、流動性が高いために微多孔性膜の空孔に充填しやすく、また、その硬化物であるイオン交換樹脂は、空隙に隙間なく高い密度で生成することとなるため、より好ましい。
また、上記のようにして製造される基材交換膜の厚みは 10乃至100 μmの範囲にあることが好適である。即ち、このような厚みとすることにより、後述する熱処理を短時間とすることが可能となるからである。例えば、この膜厚があまり厚いと、後述する熱処理を長時間行うことが必要となってしまい、また、厚みがあまり薄いと、基材交換膜の強度が大きく低下してしまうおそれがある。また、かかる基材交換膜のイオン交換容量は、電圧降下や輸率など、バイポーラ膜としての膜特性の観点から、一般に、0.5乃至4meq/g、特に1乃至2.5の範囲にあるのがよい。
<粗面化処理>
本発明においては、上記の基材交換膜の一方の面を粗面化処理し、その算術平均表面粗さRaを0.1乃至1μm、特に0.2乃至0.8μmの範囲に調整する。即ち、このような粗面上に、基材交換膜とは対のイオン交換基を有する対イオン交換層を形成することにより、膜の密着乃至接合強度の高いバイポーラ膜を得ることが可能となるのである。即ち、この表面粗さRaが上記範囲よりも小さい平滑面であると、十分なアンカー効果を実現できず、得られる膜の密着乃至接合強度が低下してしまう。また、表面粗さRaが上記範囲よりも大きいと、粗面化の程度が大きすぎる結果、基材交換膜と対イオン交換層との間の密着性不満足となり、やはり密着乃至接合強度が低下してしまう。
尚、上記のような算術平均表面粗さRaは、後述する実施例に示されているように、共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて撮影された表面画像を画像処理して算出することができる。
また、粗面加工は、それ自体公知の方法で行うことができ、例えば、基材交換膜の一方の面(接合面)を直接サンドペーパー等で研磨したり、砂などの硬質粉粒体を吹付けることなどにより行うことができる。また、基材交換膜として、微多孔性膜を使用せず、一般的なコーティング法などにより形成されたイオン交換膜を用いる場合には、該イオン交換膜を製造する際に、上記のような粗面が形成されたポリエチレンテレフタレート等の基材フィルムを用い、該基材フィルム上でイオン交換膜を製造後、基材フィルムを剥離することにより、上記のような粗面を形成することもできる。
<対イオン交換層の形成>
本発明においては、上記のようにして粗面加工された基材交換膜を洗浄し、乾燥した後、この基材交換膜の粗面上に、基材交換膜とは対のイオン交換基を有する対イオン交換層を形成する。即ち、基材交換膜としてカチオン交換膜を用いた場合には、基材交換膜上にアニオン交換樹脂層を形成し、基材交換膜としてアニオン交換樹脂層を用いた場合には、基材交換膜上にカチオン交換樹脂層を形成する。
本発明において、このような対イオン交換層は、対のイオン交換基を導入可能な反応基を有する高分子を溶媒に溶解させ、基材交換膜の粗面にコーティングして対イオン交換樹脂前駆体層を形成し、次いで、イオン交換樹脂前駆体層の反応基に前記対のイオン交換基を導入することにより形成される。
上記の反応基を有する高分子としては、カチオン交換樹脂を対イオン交換層とする場合には、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−ハロゲン化スチレンなどのカチオン交換基導入可能な単量体単位を有する高分子、また、アニオン交換樹脂を対イオン交換層とする場合には、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどのアニオン交換基を導入可能な単量体単位を有する高分子が好適に用いられる。
上記のような高分子を溶媒に溶解してコーティング液を調製し、前記基材交換膜の粗面に塗布し対イオン交換樹脂前駆体層(以下、単に対イオン交換前駆体層と呼ぶ)を形成する。ここで、用いる溶媒としては、下層の基材交換膜の特性に影響を与えず且つ次のイオン交換基の導入に悪影響を与えないものが使用され、アルコール、エチレンクロライド、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが例示される。
上記のようにして基材交換膜の粗面上に形成された対イオン交換前駆体層のコーティング層を必要により乾燥し、イオン交換基を導入する。即ち、対イオン交換層としてカチオン交換樹脂層を形成する場合には、スルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理を行い、また、対イオン交換層としてアニオン交換樹脂層を形成する場合には、アミノ化、アルキル化等の処理によりイオン交換基を導入する。
上記のようにして製造される対イオン交換層の厚みは10乃至100μmの範囲にあることが好適である。即ち、前述した基材交換膜と同様、このような厚みとすることにより、後述する熱処理を短時間とすることが可能となるからである。また、かかる対イオン交換層のイオン交換容量は、基材交換膜と同様、バイポーラ膜としての膜特性の観点から、一般に、0.5乃至4meq/g、特に1乃至2.5meq/gの範囲にあるのがよい。従って、前述した対イオン交換前駆体層のコーティング厚みや、該前駆体層を形成する熱可塑性樹脂の組成(反応基を有する単量体単位の含有割合)或いはイオン交換基の導入に用いる化合物の量などは、上記のような厚みやイオン交換容量が得られるように設定される。
<熱可塑性樹脂の添加>
本発明に用いるバイポーラ膜の特徴として、バイポーラ膜を構成するカチオン交換樹脂層とアニオン交換樹脂層の少なくとも一方の層に存在するイオン交換樹脂のマトリックス中に、熱可塑性樹脂を存在させることが重要である。両層界面の粗面化と後述の熱処理との相乗効果により、両層の密着及至接合強度が著しく高められる。
熱可塑性樹脂は、その軟化点が140℃以下であることが好ましく、また、少なくとも両層界面に熱可塑性樹脂が存在させることにより、後述する熱処理を施したときに、熱可塑性樹脂が軟化もしくは融解し界面の密着乃至接合が高まる。実際、バイポーラ膜の熱処理は150℃以下で行われるため、140℃より軟化点が高いと十分な接合効果が得られない。一方、当該バイポーラ膜を高温で電気透析する場合、電気透析温度よりも低い融点の熱可塑性樹脂を用いると安定した電気透析が困難となるため、電気透析温度よりも高い融点を有する熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素添加物、ポリアクリロニトリル類、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体およびその水素添加物、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレンなどが好適に用いられる。
また、添加方法として、基材交換膜を調製する際、単量体を含む混合液に熱可塑性樹脂を溶解若しくは分散させたり、対イオン交換層を形成させる際に、コーティング液中に熱可塑性樹脂を溶解もしくは分散させたりする方法が挙げられる。
<熱処理>
本発明においては、上記のようにして基材交換膜の粗面上に対イオン交換層を形成した後、熱処理を行う。この熱処理は、添加した熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度で、通常、80乃至150℃の温度範囲で行われる。これにより、基材交換膜の粗面に対イオン交換層が食い込み、この結果、基材交換膜と対イオン交換層との密着乃至接合強度が著しく向上することとなる。
熱処理は、基材交換膜と対イオン交換層との積層膜を所定の温度雰囲気に保持することによって行うことができるが、熱処理時間を短時間とし且つ基材交換膜と対イオン交換層との密着乃至接合強度をさらに高めるという観点から加圧下で行うのがよく、例えば、前記温度範囲に加熱された鉄板に挟み加圧することにより容易に行うことができる。工業的に実施する場合、ローラ間に積層膜を通す処理方法が好適に用いられる。この場合、該ローラによる線圧力は、30N/cm以上、特に40乃至1000N/cm程度とするのがよい。また、このようなローラ加圧下での熱処理は、特に基材交換膜や対イオン交換層の厚みを前述した薄膜の範囲としておくことにより、特に効果的である。即ち、厚みを薄くすることにより、熱効率が高められ且つ基材交換膜と対イオン交換層との界面にローラ圧が効果的に伝達され、この結果、例えばライン速度を速くして、基材交換膜の粗面に対イオン交換層への食い込みを効果的に行うことが可能となり、生産性を向上させることが可能となるからである。
<バイポーラ膜>
以上のようにして製造されたバイポーラ膜は、前述したように基材交換膜または対イオン交換層の少なくとも一方に熱可塑性樹脂が存在し、また、基材交換膜の粗面上に対イオン交換層が形成されていることから、両層の間の界面の算術平均粗さRaは、前述した範囲、即ち、0.1乃至1μm、特に0.2乃至0.8μmの範囲にある。
また、前述した熱処理により、粗面および熱可塑性樹脂によるアンカー効果が著しく高められ、対イオン交換層が該粗面に食い込んでいるため、基材交換膜と対イオン交換層との密着乃至接合強度が著しく高められる。従って、本発明で用いるバイポーラ膜は、耐久性に極めて優れ、長期間に使用による膜剥離が有効に防止され、また膜同士の接合界面でのブリスターの発生も有効に防止される結果、実用上使用可能な膜となる。
尚、本発明において、バイポーラ膜の両層界面に水解離用の触媒作用を有する重金属イオンや3級アミンなどを導入して、バイポーラ膜電圧を低減させる公知の方法は、必要に応じて適宜用いることができる。
<本発明の適用分野>
本発明の方法は、従来公知のバイポーラ膜を用いた電気透析による有機酸塩からの有機酸とアルカリの製造に、何ら制限なく用いることができる。
例えば、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、トリクロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、モノクロロ酢酸塩、チオグリコロール酸塩、モノクロロ酢酸塩、マロン酸塩、プロピオン酸塩、L−乳酸塩、D−乳酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、酪酸塩、フェノール酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ピクリン酸塩、ピコリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩などから有機酸とアルカリを製造する例が挙げられる。
特に、培養槽内の反応培地中で糖類にコリネ型細菌を作用させて得られる有機酸塩を含む培養液を用いた有機酸製造は、培養液中の不純物が少なく有機酸塩濃度も高いため、更に効率的に有機酸を製造できることから好ましい。
以下、本発明を更に詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、調製したバイポーラ膜の特性は、次のような測定により求めた。
即ち、バイポーラ電圧の測定は、以下の構成を有する4室セルを使用した。
陽極(Pt板)(1mol/L−NaOH)/ネオセプタバイポーラ膜((株)アストム製)/(1mol/L−NaOH)/バイポーラ膜/(1mol/L−HCl)/ネオセプタバイポーラ膜((株)アストム製)/(1mol/L−HCl)陰極(Pt板)
電流密度は10A/dmとした。水解離電圧はバイポーラ膜を挟んで設置した白金線電極によって測定した。
機械的強度測定はミューレン破裂試験機(東洋精機製)により測定した。(参考規格:JIS−P8112)
軟化点測定方法はビカット軟化点を測定した。(参考規格:JIS−K7191)
イオン交換膜表面の算術平均粗さ(Ra)は、次の方法によって求めた。3cm×3cmの膜サンプルについて、レーザーテック(株)製の共焦点レーザー走査顕微鏡(1LM21W型)で観察した任意の100μm×100μmの画面を縦横方向にそれぞれ10に分割することによって100区画に分けた。この1区画を画素という。ソルト社製のソフトを用いて、画像処理により1画素ずつ高さを求め、測定範囲内の画素100個の平均高さ(Zav)からの高低差の平均を算術平均粗さ(Ra)とし、下記式により算術平均粗さ(Ra)を求めた。この操作を数回繰り返し、誤差が±5%以内であることを確認した。
尚、下記式中、Nは、測定範囲内の画素数(100個)である。
Figure 2009039695
<バイポーラ膜の製造例1>
スチレン100質量部、ジビニルベンゼン10質量部、t−ブチルパーオキシエチルヘキサノエート5質量部よりなる単量体組成物を調整し、これにポリエチレン製の多孔質膜(膜厚25μm、空孔率37%)を大気圧下、25℃で10分浸漬し、単量体組成物を含浸させた。
続いて、多孔質膜を単量体組成物中から取り出し、帝人デュポンフィルム(株)製テイジンテトロンフィルム(タイプS、ポリエチレンテレフタレート)100μmを剥離材として多孔質膜の両側を被覆した後、0.3MPaの窒素加圧下、80℃で5時間加熱重合した。
得られた膜状物を98%濃硫酸と純度90%以上のクロロスルホン酸の混合物中に40℃で60分間浸漬し、スルホン酸型陽イオン交換膜を得た。続いて、サンドペーパーにより処理して一方の表面に凹凸を設けた。得られた基材交換膜の膜厚、表面粗さを測定した。これらの結果を表1に示した。
得られた基材交換膜を2wt%の塩化第一鉄水溶液に60分浸漬して、室温で風乾した。この膜の粗面化した表面に4級アンモニウム基の交換容量0.87meq/gの部分アミノ化ポリスチレン(スチレンとクロロメチルスチレンのモノマーのモル比10:1をトルエン中で70℃、重合開始剤ベンゾイルパーオキシドの存在下に10時間共重合し、次いで反応液をメタノール中に注ぎ、共重合体を得て、この共重合体のクロロメチル基をトリメチルアミンにて4級アンモニウム基化したもの)を15wt%と熱可塑性樹脂としてスチレン系エラストマー(軟化点温度140℃)を0.15wt%をメタノール/クロロホルム(容量比1:5)の混合溶媒に溶解したものを塗布し、室温にて乾燥した。
続いて、熱プレスにて150℃、1MPa、3分間熱処理を行い、バイポーラ膜を得た。この膜の対イオン交換層厚み、破裂強度、バイポーラ膜電圧を測定し、通電後の膜状態を観察した。結果を表1に示した。
上記、バイポーラ電圧は3ヶ月経過後も変化なく、バイポーラ膜のカチオン交換層とアニオン交換層の剥離に起因する両層界面における水泡の発生は全くなかった。
<バイポーラ膜の製造例2>
バイポーラ膜の製造例1で、ポリエチレン製の多孔質膜(膜厚15μm、空孔率42%)に変更した他は全く同一の手順でバイポーラ膜を得た。基材交換膜の膜厚、表面粗さを測定し、結果を表1に示した。このバイポーラ膜の対イオン交換層厚み、破裂強度、バイポーラ膜電圧を測定し、通電後の膜状態を観察した。結果を表1に示した。
上記、バイポーラ電圧は3ヶ月経過後も変化なく、バイポーラ膜の中に水泡の発生は全くなかった。
<バイポーラ膜の製造例3>
バイポーラ膜の製造例1で、ポリエチレン製の多孔質膜(膜厚37μm、空孔率43%)に変更した他は全く同一の手順でバイポーラ膜を得た。基材交換膜の膜厚、表面粗さを測定し、結果を表1に示した。このバイポーラ膜の対イオン交換層厚み、破裂強度、バイポーラ膜電圧を測定し、通電後の膜状態を観察した。結果を表1に示した。
上記、バイポーラ電圧は3ヶ月経過後も変化なく、バイポーラ膜の中に水泡の発生は全くなかった。
<バイポーラ膜の製造例4>
バイポーラ膜の製造例1で、熱可塑性樹脂をスチレン系エラストマー(軟化点温度120℃)に変更した他は全く同一の手順でバイポーラ膜を得た。基材交換膜の膜厚、表面粗さを測定し、結果を表1に示した。このバイポーラ膜の対イオン交換層厚み、破裂強度、バイポーラ膜電圧を測定し、通電後の膜状態を観察した。結果を表1に示した。
上記、バイポーラ電圧は3ヶ月経過後も変化なく、バイポーラ膜の中に水泡の発生は全くなかった。
Figure 2009039695
<実施例1>
バイポーラ膜電気透析装置は、1対の陰陽極間に、カチオン交換膜(株式会社アストム製、商品名:ネオセプタCMB)とバイポーラ膜製造例1記載のバイポーラ膜とが順番にそれぞれ5枚、4枚、(カチオン交換膜、バイポーラ膜の有効膜面積はいずれも0.55dm/枚、総有効膜面積はそれぞれ3.3、2.75dm)配置され、塩基室、酸室が形成されたフィルタープレス型バイポーラ膜電気透析装置を用いた。
また、電気透析装置の酸室に2規定のL−乳酸ナトリウム水溶液を供給し、循環させた。一方、塩基室には、1規定の水酸化ナトリウム水溶液を循環させた。電極液は0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
運転条件は定電流運転、電流密度10A/dm、運転中の液温度は60℃に設定した。1セル当たりの電圧および乳酸変換率90%の電力原単位を求めた。結果を表2に示した。
なお、1セル当たりの電圧は、バイポーラ膜、カチオン膜、酸室、塩室を1セルとし、1セルの両側に白金線を挿入し、マルチメーターで電圧を測定したものである。また、電力原単位は、下記式から求めた。
電力原単位[kWh/kg]
=(セル電圧[V]×4セル×電流[A]×時間[h])/(乳酸生成量[kg]×0.9※1)
※1 整流効率
その結果、セル電圧1.3V、L−乳酸の製造電力原単位は0.43kWh/kgであった。結果を表2に示した。
<実施例2>
実施例1と同じ電槽でバイポーラ膜をバイポーラ膜製造例2記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例1と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.3V、L−乳酸の製造電力原単位は0.43kWh/kgであった。結果を表2に示した。
<実施例3>
実施例1と同じ電槽でバイポーラ膜をバイポーラ膜製造例3記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例1と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.4V、L−乳酸の製造電力原単位は0.46kWh/kgであった。結果を表2に示した。
<実施例4>
実施例1と同じ電槽でバイポーラ膜をバイポーラ膜製造例4記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例1と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.3V、L−乳酸の製造電力原単位は0.43kWh/kgであった。結果を表2に示した。
<比較例1>
バイポーラ膜を株式会社アストム製、商品名:ネオセプタBP−1Eに代え、運転温度を40℃にした以外は、実施例5と同様に電気透析を行った。
その結果、セル電圧1.8V、L−乳酸の製造電力原単位は0.60kWh/kgであった。結果を表2に示した。
Figure 2009039695
<実施例5>
酸室に供給する溶液を2規定のD−乳酸ナトリウム水溶液にした以外は、有機酸透析実施例1と同様に電気透析を行った。
その結果、セル電圧1.3V、D−乳酸の製造電力原単位は0.43kWh/kgであった。結果を表3に示した。
<実施例6>
バイポーラ膜をバイポーラ膜製造例2記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例5と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.3V、D−乳酸の製造電力原単位は0.43kWh/kgであった。結果を表3に示した。
<実施例7>
バイポーラ膜をバイポーラ膜製造例3記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例5と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.4V、D−乳酸の製造電力原単位は0.46kWh/kgであった。結果を表3に示した。
<実施例8>
バイポーラ膜をバイポーラ膜製造例4記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例5と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.3V、D−乳酸の製造電力原単位は0.43kWh/kgであった。結果を表3に示した。
Figure 2009039695
<実施例9>
酸室に供給する溶液を1規定のコハク酸ナトリウム水溶液にし、変換率80%までとした以外は、実施例1と同様に電気透析を行った。そして、1セル当たりの電圧およびコハク酸変換率80%の電力原単位を求めた。その結果、セル電圧1.2V、コハク酸の製造電力原単位は0.65kWh/kgであった。結果を表4に示した。
<実施例10>
バイポーラ膜をバイポーラ膜製造例2記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例9と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.2V、コハク酸の製造電力原単位は0.65kWh/kgであった。結果を表4に示した。
<実施例11>
バイポーラ膜をバイポーラ膜製造例3記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例9と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.3V、コハク酸の製造電力原単位は0.70kWh/kgであった。結果を表4に示した。
<実施例12>
バイポーラ膜をバイポーラ膜製造例4記載のバイポーラ膜を使用した他は実施例9と全く同一の連続運転を行った。
その結果、セル電圧1.2V、コハク酸の製造電力原単位は0.65kWh/kgであった。結果を表4に示した。
Figure 2009039695
本発明に用いる電気透析装置の代表的な形態を模式図 本発明に用いる電気透析装置の他の代表的な形態を模式図
符号の説明
11:陽極
12:陰極
13:酸室
14:塩室
15:アルカリ室
(A):アニオン交換膜
(B):バイポーラ膜
(C):カチオン交換膜

Claims (2)

  1. バイポーラ膜電気透析法により有機酸塩から有機酸とアルカリを製造する方法において、上記バイポーラ膜として、カチオン交換樹脂層またはアニオン交換樹脂層のいずれか一方の層が、ポリオレフィンの延伸フィルムよりなる微多孔性膜の空孔にカチオン交換樹脂またはアニオン交換樹脂が充填されてなる層により構成され、且つ、上記少なくとも一方の層に存在するイオン交換樹脂のマトリックス中に、軟化点が140℃以下の熱可塑性樹脂を存在せしめたバイポーラ膜を使用することを特徴とする酸とアルカリの製造方法。
  2. 前記電気透析における液温度を60℃以上にする、請求項1記載の酸とアルカリの製造方法。
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