JP4979825B1 - イオン交換膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔性の基材シートを用いたイオン交換膜であって、イオン交換特性が向上したイオン交換膜の製造方法を提供する。
【解決手段】相対的に分子量の大きいポリエチレン、相対的に分子量の小さいポリエチレン及び細孔形成用添加剤を含むポリエチレン組成物を用いてポリエチレンシートを作製する工程、前記ポリエチレンシートから細孔形成用添加剤を除去して、細孔が貫通している多孔性ポリエチレンシートを得る工程、イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を含有する重合性組成物を用意する工程、前記重合性組成物を、前記多孔性ポリエチレンシートの空隙部に充填することによりイオン交換膜前駆体を作製する工程、前記多孔性ポリエチレンシート中に含まれるポリエチレンの一部が溶融する温度で、前記イオン交換膜前駆体中の前記重合性組成物を重合する工程、を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、微細な細孔が貫通している多孔性シートを基材として含むイオン交換膜の製造方法に関する。
イオン交換膜は、製塩や食品分野における脱塩工程などで利用される電気透析用膜や燃料電池の電解質膜として、また、鉄鋼業などで発生する金属イオンを含んだ酸からの酸回収に用いられる拡散透析用膜など多くの分野で工業的に利用されている。このようなイオン交換膜は、補強材としての機能を有する基材シートが芯材としてイオン交換膜樹脂中に設けられた構造を有しており、これにより一定の膜強度や膜の形状安定性が付与されている。もし芯材がないとイオン交換樹脂は、イオン交換基を多く持っているため、電解質水溶液に浸漬させると容易に膨潤してしまい、イオン交換膜は強度低下や形態変化が生じてしまう。
従来、上記の基材シートとして多孔性樹脂シートが使用されたイオン交換膜が知られている。このような形態のイオン交換膜では、基材である多孔性樹脂シート中の空隙部にイオン交換樹脂が充填されており、この結果、膜の電気抵抗(以下、膜抵抗という。)が低いという利点がある。この多孔性樹脂シートとしては、一般にポリテトラフルオロエチレンや高分子量のポリエチレン樹脂等の薄膜が使用されている。例えば、特許文献1には、多孔性のポリエチレンシート(旭化成ケミカルズ株式会社製ハイポアや東燃化学那須株式会社製セティーラ等)を基材シートとして含む製塩用陽イオン交換膜が開示されている。
特開2009−96923号公報
上記のような多孔性の基材シートを用いたイオン交換膜は、基材シートの厚さが薄いため、実用的な強度を有しておらず、また、電気透析をした際の濃縮特性も高いとは言えない。なお、濃縮特性とは、イオン交換膜の単位厚さ当りの膜抵抗とその膜を用いて電気透析した時に生成する濃縮水の塩濃度(かん水濃度)との関係を言い、単位厚さ当りの膜抵抗が低くて、高いかん水濃度を得られる膜は濃縮特性が高いということになる。
従って、本発明の目的は、多孔性の基材シートを用いたイオン交換膜であって、電気透析をした際の濃縮特性が更に向上したイオン交換膜を製造する方法を提供することにある。具体的は、単位厚さ当りの膜抵抗が極めて低く、しかも、かん水濃度が高いイオン交換膜の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について多くの実験を行い検討した結果、分子量の大きなポリエチレンと分子量の小さなポリエチレンとを含む組成物から形成された多孔性ポリエチレンシートを用いて、重合性組成物を分子量の小さなポリエチレンが溶融する温度付近(即ち、低分子量のポリエチレンの融点付近)で重合させてイオン交換膜を製造することにより、より低温で重合させて製造したイオン交換膜と比較して、その濃縮特性が向上するという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、相対的に分子量の大きいポリエチレン(A)100重量部に対して、相対的に分子量の小さいポリエチレン(B)30〜200重量部及び細孔形成用添加剤を含むポリエチレン組成物を用いてポリエチレンシートを作製する工程、
前記ポリエチレンシートから細孔形成用添加剤を除去して、微細な細孔が貫通している多孔性ポリエチレンシートを得る工程、
イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を含有する重合性組成物を用意する工程、
前記重合性組成物を、前記多孔性ポリエチレンシートの空隙部に充填することによりイオン交換膜前駆体を作製する工程、
前記多孔性ポリエチレンシート中に含まれるポリエチレン(B)が溶融するがポリエチレン(A)の融点以下の温度で、前記イオン交換膜前駆体中の前記重合性組成物を重合する工程、
を含むことを特徴とするイオン交換膜の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、
1.前記重合性組成物の単量体成分として、イオン交換基を導入可能な官能基を有する単量体を用いたときには、前記重合工程の後、該重合性組成物の重合体にイオン交換基を導入する工程を有していること、
2.前記ポリエチレン(A)として粘度平均分子量が70万以上のポリエチレンを使用し、前記ポリエチレン(B)として粘度平均分子量が50万以下のポリエチレンを使用すること、
3.前記多孔性ポリエチレンシートが未延伸であること、
4.前記重合性組成物の重合が105〜130℃の温度で行われること、
5.前記多孔性ポリエチレンシートは、厚さが10〜300μmであり、気孔率が30〜80%であること、
が好ましい。
本発明において、未延伸の多孔性ポリエチレンシートとは、延伸されていないため、延伸された多孔性ポリエチレンシートと比較してその引張伸度は極めて大きく、MD及びTDの引張伸度がいずれも450%以上となっている。なお、MDとはポリエチレン組成物の押出成形等がされる際の機械方向(巻き取り方向)のことであり、TDとはMDと垂直の方向をいう。
本発明で得られるイオン交換膜は、より低温で重合して得られるものと比較してその濃縮特性が大きく向上している。例えば、後述する実施例に示されているように、本発明のイオン交換膜(陽イオン交換膜または陰イオン交換膜)を用いて海水濃縮試験をおこなうと、単位厚さ当りの膜抵抗が同じであれば、より低温で重合したイオン交換膜よりも高いかん水濃度が得られる。
即ち、本発明において、基材シートとして用いる多孔性ポリエチレンシートは相対的に分子量の大きいポリエチレン(高分子量ポリエチレン(A))と相対的に分子量が小さいポリエチレン(低分子量ポリエチレン(B))とを含んでおり、ポリエチレンの一部(具体的には低分子量ポリエチレン(B))が溶融する条件下でイオン交換樹脂を形成するための重合性組成物の重合が行われる。この結果、イオン交換樹脂と多孔性ポリエチレンシートとの界面に隙間がなくなり、優れた密着性が確保されて、濃縮特性が大きく向上する。
更に、本発明で基材シートとして用いる多孔性ポリエチレンシートは、高分子量ポリエチレン(A)を含んでいるため、イオン交換膜の強度を向上させることができる。例えば、この高分子量ポリエチレン(A)として超高分子量ポリエチレンを用いることにより、イオン交換膜の強度を大幅に向上させることができる。
実施例における引張伸度の測定に用いたサンプルを示す図。 実施例1、2及び比較例1、2で製造されたイオン交換膜について、単位厚み当りの膜抵抗とかん水濃度との関係を示す線図。 実施例3、4及び比較例3、4で製造されたイオン交換膜について、単位厚み当りの膜抵抗とかん水濃度との関係を示す線図。
<イオン交換膜の構造>
本発明の製造方法で得られるイオン交換膜は、多孔性ポリエチレンシートが基材シートとして使用されており、この多孔性ポリエチレンシートの表裏を貫通している微細な細孔内にイオン交換樹脂が充填された構造を有している。
上記の多孔性ポリエチレンシートの厚みや気孔率は、イオン交換能や膜抵抗及び寸法安定性や機械的強度等の特性を満足させるために、所定の範囲にあることが好ましく、例えば、厚みは10〜300μm、特に50〜250μmの範囲にあることが望ましく、気孔率は30〜80%、特に40〜60%の範囲にあることが望ましい。即ち、上記厚みが過度に小さいと機械的強度が低下し、上記厚みが必要以上に大きいと電気抵抗が上昇する傾向がある。また、上記気孔率が必要以上に大きいと単位容積あたりのイオン交換樹脂量が多くなり、実用に供した場合、イオン交換樹脂の膨潤収縮によって、寸法安定性を欠き、機械的強度も低下する傾向がある。一方、上記気孔率が過度に小さいと、多孔性ポリエチレンシートの空隙部にイオン交換樹脂を十分充填することが困難となり、更に、単位容積あたりのイオン交換樹脂量が少なくなり十分なイオン交換能が発揮されず、その結果、膜抵抗が高くなってしまうおそれがある。
多孔性ポリエチレンシートを構成するポリエチレンとしては、それ自体公知のポリエチレン、例えば、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン或いは超高分子量ポリエチレン等を使用することができ、これらの中から分子量の大きなポリエチレン(A)及び分子量の小さなポリエチレン(B)が選択され、組み合わせて使用される。また、これらのポリエチレンは、エチレン単位に対してプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンの単位を4モル%以下の割合で含む共重合体(線状共重合ポリエチレン)であっても良い。
多孔性ポリエチレンシートの空隙部に充填されるイオン交換樹脂は公知のものであり、例えば、炭化水素系又はフッ素系の樹脂にイオン交換能を発現させるイオン交換基、具体的には、陽イオン交換基或いは陰イオン交換基を導入したものである。
前記炭化水素系の樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等が、また、フッ素系の樹脂としては、パーフルオロカーボン系樹脂等が挙げられる。
また、イオン交換基は、水溶液中で負又は正の電荷となり得る官能基であり、陽イオン交換基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が挙げられ、一般的に、強酸性基であるスルホン酸基が好適である。また、陰イオン交換基としては、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム基、ピリジル基、イミダゾール基、4級ピリジニウム基等が挙げられ、一般的に、強塩基性である4級アンモニウム基や4級ピリジニウム基が好適である。
上記のようなイオン交換基を有するイオン交換樹脂は、前述した多孔性ポリエチレンシートからなる基材シートの気孔率や該イオン交換樹脂に導入されているイオン交換基の量に応じて適宜のイオン交換容量(例えば、1〜3.5meq/g・乾燥膜程度)となるような量でイオン交換膜中に存在する。
<イオン交換膜の製造>
本発明の製造方法においては、上述した構造を有するイオン交換膜を製造するために、多孔性ポリエチレンシートを作製し、該多孔性ポリエチレンシートの空隙部(細孔内)にイオン交換樹脂を形成するための重合性組成物を充填してイオン交換膜前駆体を作製し、次いで、該イオン交換膜前駆体中の重合組成物の重合を行い、更に必要に応じて、重合工程で得られた重合体にイオン交換基を導入する。
1.多孔性ポリエチレンシートの作製;
本発明においては、高分子量ポリエチレン(A)と低分子量ポリエチレン(B)との少なくとも2種類のポリエチレンを使用し、これらのポリエチレンとともに細孔形成用添加剤を含むポリエチレン組成物を調製し、該ポリエチレン組成物の押出成形によりポリエチレンシートを作製し、次いで、該ポリエチレンシートから細孔形成用添加剤を除去することにより、基材シートとして使用される多孔性ポリエチレンシートが作製される。
即ち、高分子量ポリエチレン(A)は、主として、得られる多孔性ポリエチレンシートの機械的特性を向上させるために使用するものであり、低分子量ポリエチレン(B)はイオン交換樹脂と多孔性ポリエチレンシートとの密着性を高めるために使用される。
高分子量ポリエチレン(A)や低分子量ポリエチレン(B)の分子量は、その機能(機械的特性向上機能や密着性向上機能)が十分に発揮されるような範囲にあれば特に制限されない。例えば、高分子量ポリエチレン(A)は粘度平均分子量が70万以上、好ましくは70万〜700万、さらに好ましくは100万〜300万の範囲にあるのがよい。また、低分子量ポリエチレン(B)は粘度平均分子量が50万以下、好ましくは1万〜50万、さらに好ましくは5万〜30万の範囲にあるのがよい。
即ち、このような高分子量ポリエチレン(A)の融点は、高分子量ポリエチレン(A)として粘度平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンを用いた場合、130℃〜140℃程度である。そのため、高分子量ポリエチレン(A)としては、超高分子量ポリエチレンが好適である。また、低分子量ポリエチレン(B)の融点は100℃〜130℃程度であり、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが好適である。このような融点の差を利用して後述する重合性組成物の重合温度を調製することにより、高分子量ポリエチレン(A)の機械的特性向上機能、及び低分子量ポリエチレン(B)の密着性向上機能を十分に発揮させることができる。
また、高分子量ポリエチレン(A)及び低分子量ポリエチレン(B)の配合量は、満足すべき機械的特性や密着性が得られる範囲で適宜決定すれば良いが、一般的には、高分子量ポリエチレン(A)100重量部当り、低分子量ポリエチレン(B)を30〜200重量部、特に50〜150重量部が好適である。
細孔を形成するための添加剤としては、例えば、有機溶剤による抽出やアルカリ等による溶解等によってシート中から除去可能なものであれば特に制限されず、種々のものを用いることができる。
例えば、有機溶剤による抽出が可能な添加剤としては、可塑剤が代表的であり、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、リン酸トリオクチル等のリン酸エステル、トリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル、グリセリン酸エステル等の有機酸エステル等が挙げられる。上記以外にも、流動パラフィンや固形ソックスやミネラルオイル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油等も有機溶剤により抽出が可能な添加剤として用いることができる。本発明においては、フタル酸エステル、特にフタル酸ジオクチルが好ましい。
また、酸またはアルカリに溶解可能な添加剤としては、無機粉末、具体的には、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク等を例示することができ、特にシリカが好適である。
本発明において、上述した可塑剤や無機粉末はそれぞれ一種単独あるいは二種以上の組み合わせで使用することができるが、特に好ましくは、可塑剤と無機粉末との併用である。即ち、可塑剤は、前述したポリエチレンに相溶し、あるいは相溶に近い形で分散するため、特にポリエチレンシートを貫通するように細孔を形成するのに有利であり、無機粉末は、適度な大きさの細孔形成に有利である。従って、両者を併用することによって、ポリエチレンシートを貫通する細孔の大きさや気孔率を容易に調整することが可能となる。例えば、本発明においては、上記可塑剤をポリエチレン組成物中のポリエチレン100重量部当り50〜200重量部、特に80〜180重量部が好適である。また、上記無機粉末をポリエチレン組成物中のポリエチレン100重量部当り10〜100重量部、特に20〜80重量部が好適であり、上記可塑剤と共にポリエチレン組成物に配合することが好適である。
上記のような細孔形成用添加剤を含むポリエチレン組成物を押出成形し、得られたポリエチレンシートから細孔形成用添加剤を除去することにより、基材シートとして用いる多孔性ポリエチレンシートが得られる。
先に述べたとおり、ポリエチレンシートからの可塑剤の除去は有機溶媒による抽出によって行われ、無機粉末の除去は酸またはアルカリに溶解させることにより行われるが、可塑剤と無機粉末等がポリエチレンシート中に配合されている場合には、初めに可塑剤を除去した後に無機粉末を除去することが好適である。即ち、可塑剤の除去によって微細な細孔を形成した後、酸またはアルカリで処理することにより、酸またはアルカリが該細孔を通ってポリエチレンシートの内部に浸透し、この結果、内部に分散されている無機粉末が溶解し、速やかに除去されることとなるからである。
尚、ポリエチレンシートから細孔形成用添加剤を除去することにより得られた多孔性ポリエチレンシートを長さ方向(MD)あるいは軸方向(TD)に延伸して、多孔性ポリエチレンシートを高強度化することも可能であるが、本発明においては、未延伸の多孔性ポリエチレンシートを延伸することなく基材シートとして用いることが、イオン交換樹脂と基材シートとの密着性を高め、イオン交換特性を向上させる上で好適である。このような未延伸の多孔性ポリエチレンシートは、長さ方向(MD)及び軸方向(TD)の引張伸度がいずれも450%以上である。
2.重合性組成物の調製;
上記のようにして作製された多孔性ポリエチレンシートの空隙部(細孔内)に充填する重合性組成物は、上述したイオン交換基を導入し得る官能基(交換基導入用官能基)を有する単量体又はイオン交換基を有する単量体(以下、これらの単量体を「基本単量体成分」と呼ぶことがある)、架橋性単量体及び重合開始剤を含有するものであり、これらの成分を混合することにより調製される。
交換基導入用官能基を有する単量体及びイオン交換基を有する単量体は、イオン交換樹脂を製造するために、従来から使用されているもので良い。
例えば、陽イオン交換基導入用官能基を有する単量体としては、スチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−ハロゲン化スチレン類等を挙げることができる。
陰イオン交換基導入用官能基を有する単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
陽イオン交換基を有する単量体としては、α−ハロゲン化ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸系単量体、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸等のカルボン酸系単量体、ビニルリン酸等のホスホン酸系単量体、それらの塩類などを挙げることができる。
また、陰イオン交換基を有する単量体としては、ビニルベンジルトリメチルアミン、ビニルベンジルトリエチルアミン等のアミン系単量体、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素複素環系単量体、それらの塩類などを挙げることができる。
なお、上記のような単量体として、イオン交換基を有する単量体を用いた場合には、後述する重合工程が完了した段階で目的とするイオン交換膜が得られるが、イオン交換基導入用官能基を有する単量体を用いた場合には、重合工程後にイオン交換基導入工程を実施することにより、目的とするイオン交換膜を得ることができる。
また、架橋性単量体は、イオン交換樹脂を緻密化し、膨潤抑止性や膜強度等を高めるために使用されるものであり、特に制限されるものでは無いが、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、ブタジエン、クロロプレン、ジビニルビフェニル、トリビニルベンゼン類、ジビニルナフタリン、ジアリルアミン、ジビニルピリジン、1,2−ビス(ビニルフェニル)エタン、エチレングリコールジメタクリレート、N,N−メチレンビスアクリルアミド等のジビニル化合物が挙げられる。
このような架橋性単量体は、一般に、前述した基本単量体成分100重量部に対して、0.1〜80重量部が好ましく、さらに好ましくは1〜50重量部である。
更に、上述した交換基導入用官能基を有する単量体、イオン交換基を有する単量体及び架橋性単量体の他に、必要に応じて、これらの単量体と共重合可能な他の単量体を添加しても良い。こうした他の単量体としては、例えば、スチレン、アクリロニトリル、メチルスチレン、アクロレイン、メチルビニルケトン、ビニルビフェニル等が用いられる。
重合開始剤としては、従来公知のものが特に制限されること無く使用される。具体的には、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパ−オキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物系重合開始剤、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤等が使用され、後述のように本発明においては、多孔性ポリエチレンシート中に含まれるポリエチレンの一部が溶融する温度で重合をおこなうことから、分解温度の高いジ−t−ブチルパーオキシドが特に好適である。
このような重合開始剤は、基本単量体成分100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜10重量部である。
上述した各種成分を含有する重合性組成物には、粘度を調整するために、必要に応じてマトリックス樹脂を配合することもできる。
このようなマトリックス樹脂としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブチレン等の飽和脂肪族炭化水素系ポリマー、スチレンーブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のスチレン系ポリマー及びその水素添加体、ニトリルブタジエンゴム、水素添加ニトリルブタジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレンゴム或いは、これらに、各種のコモノマー(例えばビニルトルエン、ビニルキシレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、α−ハロゲン化スチレン、α,β,β´−トリハロゲン化スチレン等のスチレン系モノマーや、エチレン、ブチレン等のモノオレフィンや、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィンなど)を共重合させたものなどを使用することができる。
これらのマトリックス樹脂は、重合性組成物が垂れ等を生じることなく、多孔性ポリエチレンシートの空隙部に速やかに充填保持し得るような粘度となるような量で使用される。
また、重合性組成物には、重合後の膜状物の柔軟性を付与するために、あるいは交換基導入を容易に進めるために、必要に応じて可塑剤を配合することもできる。可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、スチレンオキサイド等のエポキシ類、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル等のエーテル類等が使用される。
3.イオン交換膜前駆体の作製;
上記の重合性組成物を、前述した多孔性ポリエチレンシートの空隙部に充填し、空隙部に重合性組成物が充填されたイオン交換膜前駆体を得る。
本発明においては、このような多孔性ポリエチレンシートの空隙部に重合性組成物が充填されて重合が行われる結果、重合により得られるイオン交換樹脂と基材シートとなる多孔性ポリエチレンシートとの密着性が極めて高くなる。特に、基材シートとして用いる多孔性ポリエチレンシートが未延伸であるときには、ポリエチレン分子が配向されておらず、分子の配列がランダムとなっており、空隙部の表面部分において、重合性組成物中の単量体分子がポリエチレンの分子間間隙に侵入し易く、この結果として、重合により得られるイオン交換樹脂と基材シート(多孔性ポリエチレンシート)との間に、より高い密着性を確保することができるのである。
このように、イオン交換樹脂と多孔性ポリエチレンシートとの間に高い密着性が確保されている結果、このようなイオン交換膜を用いて電気透析をおこなうと、所定極性のイオン(陰イオン交換膜においてはアニオン、陽イオン交換膜においてはカチオン)は透過するが、水分子や他のイオンの透過が有効に抑制され(イオン交換樹脂と多孔性ポリエチレンシートとの間に空隙部がほとんど存在しない)、濃縮特性が向上するのである。
本発明において、重合性組成物を上記多孔性ポリエチレンシートの空隙部(細孔内)に充填する方法は特に制限を受けないが、一般には重合性組成物に多孔性ポリエチレンシートを浸漬する方法や重合性組成物を多孔性ポリエチレンシートに塗布、スプレーする方法が採用される。この時、粘度等の性状により重合性組成物を多孔性ポリエチレンシートの空隙部に充分充填することが困難な場合には、重合性組成物を多孔性ポリエチレンシートに減圧下で接触させ、充填する方法も採ることができる。
4.重合性組成物の重合;
上記のようにして多孔性ポリエチレンシートの空隙部への重合性組成物の充填を行って得られるイオン交換膜前駆体は、重合工程に供される。即ち、基本単量体成分としてイオン交換基を有する単量体が使用されている場合には、この工程の完了により目的とするイオン交換膜が得られる。また、基本単量体成分として、交換基導入用官能基を有する単量体を用いた場合には、この工程の完了後に、イオン交換基の導入が必要となる。
本発明の製造方法においては、この重合を、多孔性ポリエチレンシートに含まれている一部のポリエチレンが溶融する温度条件下で行うことが極めて重要である。即ち、このような条件下で重合を行うときには、基本単量体成分が多孔性ポリエチレンシートのポリエチレン表面に食い込んだ形で重合が進行することとなり、この結果、形成されるイオン交換樹脂と多孔性ポリエチレンシートとの間に高い密着性を確保することが可能となる。
また、多孔性ポリエチレンシートに含まれる全てのポリエチレンが溶融する条件下で重合を行ってしまうと、シートの形態が崩れてしまうため、重合温度は、あくまで一部のポリエチレンが溶融し得る温度でなければならない。従って、重合温度は、多孔性ポリエチレンシ−トが一部溶融し、かつ、全てが溶融しない温度、具体的には、105〜130℃に設定することが好ましい。
重合は、空気中でおこなうことも可能ではあるが、重合が空気中の酸素により阻害されることがあるので、窒素雰囲気下でおこなうことが望ましい。また、重合時間は重合温度等によっても異なるが、一般には30分〜24時間程度である。
5.イオン交換基の導入;
先に述べたように、重合性組成物中の基本単量体成分としてイオン交換基を有する単量体を用いた場合には、上記の重合工程によりイオン交換樹脂が形成され、この段階で目的とするイオン交換膜が得られるが、基本単量体成分として交換基導入用官能基を有する単量体を用いた場合には、上記の重合工程で得られる樹脂はイオン交換基を有していないため、重合工程後にイオン交換基の導入を行う必要がある。
イオン交換基の導入はそれ自体公知の方法で行われ、例えば、陽イオン交換膜を製造する場合にはスルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理により行われ、陰イオン交換膜を製造する場合にはアミノ化、クロロメチル化等の処理により行われる。
以上のようにして製造されるイオン交換膜は、既に述べたように、イオン交換樹脂と多孔性ポリエチレンシートとの密着性が高く、このため、濃縮特性が高い。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例に示す各種ポリエチレン、多孔性ポリエチレンシート及びイオン交換膜の特性は以下の方法により測定した。
多孔性ポリエチレンシートの厚さ;
東洋精機製の微少測厚器(タイプKBN、端子径Φ5mm、測定圧62.47kPa)を用いて、雰囲気温度23±2℃で測定した。
気孔率;
100mm×100mm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(mm)と質量(mg)を求め、それらと膜密度(g/cm)より、次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(体積−質量/膜密度)/体積×100
尚、体積は試料大きさと膜厚より計算し、膜密度は材料密度より計算した。
透気度;
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)製、G−B2(商標))を用いた。
引張伸度;
JIS K7127に準拠し、株式会社オリエンテック社製の引張試験機、テンシロン万能試験機 RTG−1210(商標)を用いて、MD及びTDサンプル(図1)について測定した。サンプルは、チャック間を50mmとした。引張伸度(%)は、接触式伸び計を標線間に装着して、破断に至るまでの伸び量(mm)を標線間距離(20mm)で除して、100を乗じることにより求めた。なお、測定は、温度23±2℃、チャック圧0.50MPa、引張速度100mm/分で行った。
粘度平均分子量;
ASTM−D4020に基づき、デカリン溶媒における135℃での極限粘度[η]を求め、次式により、ポリエチレンの粘度平均分子量(Mv)を算出した。
[η]=6.77×10−4×Mv0.67
膜抵抗;
白金黒電極を有する2室セル中にイオン交換膜を挟み、イオン交換膜の両側に0.5mol/L−NaCl溶液を満たし、交流ブリッジ(周波数1000サイクル/秒)により25℃における電極間の抵抗を測定し、該電極間抵抗とイオン交換膜を設置しない場合の電極間抵抗との差により膜抵抗を求めた。上記測定に使用するイオン交換膜は、予め0.5mol/LNaCl溶液中で平衡にしたものを用いた。
イオン交換膜の厚さ;
0.5mol/L−NaCl溶液に浸漬した後、ティッシュペーパーで膜の表面を拭いてマイクロモメ−タ MED−25PJ(株式会社ミツトヨ社製)を用いて測定した。
単位厚さ当りの膜抵抗;
次式により算出した。
単位厚さ当りの膜抵抗(Ω・cm/cm)=膜抵抗(Ω・cm)/膜の厚さ(cm)
かん水濃度;
実施例および比較例で示した陽イオン交換膜は、製塩用陰イオン交換膜ACS(株式会社アストム社製)と、実施例および比較例で示した陰イオン交換膜は、製塩用陽イオン交換膜CIMS(株式会社アストム社製)とをそれぞれ対にして、小型電気透析装置(通電膜面積100cm)に組み込み、海水濃縮試験を実施した。濃縮条件は、脱塩室の流速6cm/秒、電流密度3A/dmとして、25℃で海水を供給した。得られた濃縮液のCl濃度をかん水濃度とした。
<多孔性ポリエチレンシートの製造例1>
製造例1;
高分子量のポリエチレン(A)として、粘度平均分子量が100万の超高分子量ポリエチレンを用意した。
また、低分子量のポリエチレン(B)として、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレンを用意した。
上記のポリエチレン(A)及び(B)を使用し、下記の処方により、混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練してポリエチレン組成物を調製した。
超高分子量ポリエチレン(高分子量のポリエチレン(A)) 19.2重量部
高密度ポリエチレン(低分子量のポリエチレン(B)) 12.8重量部
フタル酸ジオクチル(DOP) 48重量部
微粉シリカ 20重量部
このポリエチレン組成物を、上記の二軸押出機から押出し、両側から加熱したロ−ルで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成形物からDOP、微粉シリカを抽出除去し多孔性ポリエチレンシ−トを作製した。
上記の多孔性ポリエチレンシートの各種物性は以下のとおりであった。
厚さ;90μm
気孔率:50%
透気度:1,150(秒/100cc)
引張伸度;MD 590%、TD 941%
<実施例1>
スチレン80.0重量部、クロルメチルスチレン20.0重量部、ジベンジルエーテル25.0重量部、スチレンオキサイド2.9重量部、カヤブチルD(ジ−t−ブチルパーオキシド 化薬アクゾ株式会社製)7.7重量部を混合して重合性組成物を調製した。
この重合性組成物500gを1000mlのガラス容器に入れ、ここに基材シートとして前記製造例1で作製された多孔性ポリエチレンシートを浸漬して、該シートの空隙部に重合体組成物を充填した。
上記の重合体組成物を充填した多孔性ポリエチレンシートを取り出し、100μmのポリエステルフィルムを剥離材として多孔性ポリエチレンシートの両側を被覆した後、0.4MPaの窒素加圧下、上記多孔性ポリエチレンシート中に含まれるポリエチレンの一部が溶融する温度である120℃で6.8時間加熱重合した。
得られた膜状物を98%濃硫酸と純度90%以上のクロロスルホン酸の1:1(重量比)の混合物中に40℃で60分浸漬した。その後、膜状物を90%硫酸、60%硫酸、イオン交換水に順次浸漬し、さらに4mol/L−NaOH水溶液に12時間浸漬、水洗することによりスルホン酸型陽イオン交換膜を得た。
得られた陽イオン交換膜の電気抵抗は、0.87Ω・cm、膜の厚さは99.5μm、かん水濃度は3.42mol/Lであった。
<比較例1>
カヤブチルDの代わりにパーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 日本油脂株式会社製)を同重量部用い、重合条件を80℃として5時間、さらにその後90℃で2時間とした以外は、実施例1と全く同様にしてスルホン酸型陽イオン交換膜を得た。得られた陽イオン交換膜の膜特性の測定結果を表1に示す。
尚、90℃以下の温度では、上記多孔性ポリエチレンシートに含まれるポリエチレンの溶融は全く生じていない。
<実施例2>
スチレン66.7重量部、クロルメチルスチレン33.3重量部とした以外は、実施例1と全く同様にして陽イオン交換膜を得た。得られた陽イオン交換膜の膜特性の測定結果を表1に示す。
<比較例2>
カヤブチルDの代わりにパーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 日本油脂株式会社製)を同重量部用い、重合条件を80℃で5時間、さらにその後90℃で2時間とした以外は、実施例2と全く同様にして陽イオン交換膜を得た。得られた陽イオン交換膜の膜特性の測定結果を表1に示す。実施例1、2及び比較例1、2で得られた陽イオン交換膜の単位厚さ当りの膜抵抗とかん水濃度との関係を図2に示す。
Figure 0004979825
<実施例3>
クロロメチルスチレン91.2重量部、ジビニルベンゼン(純度57%)8.8重量部、スチレンオキサイド2.0重量部、カヤブチルD4重量部を混合して重合性組成物を調製した。
この重合性組成物500gを1000mlのガラス容器に入れ、ここに基材シートとして前記製造例1で作製された多孔性ポリエチレンシートを浸漬して、該シートの空隙部に重合体組成物を充填した。
上記の重合体組成物を充填した多孔性ポリエチレンシートを取り出し、100μmのポリエステルフィルムを剥離材として多孔性ポリエチレンシートの両側を被覆した後、0.4MPaの窒素加圧下、120℃で6.8時間加熱重合した。
得られた膜状物を30%トリメチルアミン水溶液15重量部、水52.5重量部、アセトン22.5重量部の混合物中に30℃で16時間浸漬して、4級アンモニウム型陰イオン交換膜を得た。
得られた陰イオン交換膜の抵抗は、1.37Ω・cm、膜の厚さは102.5μm、かん水濃度は3.68mol/Lであった。
<比較例3>
クロロメチルスチレン82.5重量部、ジビニルベンゼン(純度57%)17.5重量部、カヤブチルDの代わりにパーブチルOを4重量部用い、重合条件を80℃で5時間、さらにその後90℃で2時間とした以外は、実施例3と全く同様にして陰イオン交換膜を得た。得られた陰イオン交換膜の膜特性の測定結果を表2に示す。
<実施例4>
クロロメチルスチレン86.0重量部、ジビニルベンゼン(純度57%)14.0重量部とした以外は、実施例3と全く同様にして陰イオン交換膜を得た。得られた陰イオン交換膜の膜特性の測定結果を表2に示す。
<比較例4>
クロロメチルスチレン75.4重量部、ジビニルベンゼン(純度57%)24.6重量部、カヤブチルDの代わりにパーブチルOを4重量部用い、重合条件を80℃で5時間、さらにその後90℃で2時間とした以外は、実施例3と全く同様にして陰イオン交換膜を得た。得られた陰イオン交換膜の膜特性の測定結果を表2に示す。実施例3、4及び比較例3、4で得られた陰イオン交換膜の単位厚さ当りの膜抵抗とかん水濃度との関係を図3に示す。
Figure 0004979825

Claims (6)

  1. 相対的に分子量の大きいポリエチレン(A)100重量部に対して、相対的に分子量の小さいポリエチレン(B)30〜200重量部及び細孔形成用添加剤を含むポリエチレン組成物を用いてポリエチレンシートを作製する工程、
    前記ポリエチレンシートから細孔形成用添加剤を除去して、微細な細孔が貫通している多孔性ポリエチレンシートを得る工程、
    イオン交換基導入可能な官能基又はイオン交換基を有する単量体、架橋性単量体及び重合開始剤を含有する重合性組成物を用意する工程、
    前記重合性組成物を、前記多孔性ポリエチレンシートの空隙部に充填することによりイオン交換膜前駆体を作製する工程、
    前記多孔性ポリエチレンシート中に含まれるポリエチレン(B)が溶融するがポリエチレン(A)の融点以下の温度で、前記イオン交換膜前駆体中の前記重合性組成物を重合する工程、
    を含むことを特徴とするイオン交換膜の製造方法。
  2. 前記重合性組成物の単量体成分として、イオン交換基を導入可能な官能基を有する単量体が使用され、前記重合工程の後、該重合性組成物の重合体にイオン交換基を導入する工程を有する請求項1に記載のイオン交換膜の製造方法。
  3. 前記ポリエチレン(A)として粘度平均分子量が70万以上のポリエチレンを使用し、前記ポリエチレン(B)として粘度平均分子量が50万以下のポリエチレンを使用する請求項1又は2に記載のイオン交換膜の製造方法。
  4. 前記多孔性ポリエチレンシートが未延伸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のイオン交換膜の製造方法。
  5. 前記重合性組成物の重合が105〜130℃の温度で行われる請求項1〜4のいずれかに記載のイオン交換膜の製造方法。
  6. 前記多孔性ポリエチレンシートは、厚さが10〜300μmであり、気孔率が30〜80%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイオン交換膜の製造方法。
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