JP2009034009A - 育苗培土の製造方法およびそれにより得られる育苗培土 - Google Patents

育苗培土の製造方法およびそれにより得られる育苗培土 Download PDF

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護 菅谷
Masami Katsuki
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Abstract

【課題】含水量が少なく軽量で、取り扱い性が良く、固化した後は、均一強度を有する育苗培土が得られ、しかも、バインダーのマイグレーションの発生や、乾燥熱エネルギーの消費の原因となる製造時の乾燥工程を、省略もしくは短縮できる育苗培土の製造方法およびそれにより得られる育苗培土を提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンから得られる再乳化性樹脂粉末と、培土とを混合した混合物を、そのままもしくは粒状化して育苗培土とする育苗培土の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、山土やピートモス等の培土の固化に使用する、水性合成樹脂エマルジョンを乾燥してなる再乳化性樹脂粉末と、培土とを用いた育苗培土の製造方法およびそれにより得られる育苗培土に関するものである。
近年、農園芸作業の合理化・省力化や生産性の向上等の目的で、プラスチック製育苗箱等を使用して育苗の集中管理が行われている。このような育苗方法は、生育が均一で強健な苗を得やすく、輸送も容易である。そして、この苗は育苗した培土と共に機械移植する方法が行われてきている。特に、水稲の田植えは、育苗箱で育苗した苗を田植え機で移植するのが一般的である。このようにして移植された苗は、培土の付いたままの状態で移植されるため、活着が早く、しかも活着率も高く普及が進んでいる。
しかしながら、このような方法においては、苗を育苗した培土と共に移植する際に、苗の根部の培土(根鉢部分)の崩壊や根部の欠損が、特に、比較的重い培土を使用した時等に生じ易く、移植の作業効率を低下させたり、苗の活着率の低下を招いたりするという問題があった。
このような問題を解決する方法として、育苗した苗の移植前に、アルギン酸塩水溶液(特許文献1参照)、粘土−水溶性有機高分子化合物複合体の水懸濁液(特許文献2参照)、またはゲル化性水溶性ポリマー水溶液と浸透剤水溶液とを組み合わせた溶液(特許文献3参照)等のバインダーを用いて、培土を灌水・散水や浸漬等の処理をし、培土を固化する方法が提案されている。また、酢酸ビニルアルコールエマルジョンをバインダーに用いることも提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、上記特許文献1および2の方法においては、バインダーの培土への浸透性に問題があるため、作業性等の効率が悪く、バインダーの均一分布性にも劣る。また、上記特許文献3では、浸透性を改善するために、上記特許文献4では、エマルジョンを調製するために、それぞれ界面活性剤類を使用することから、環境上好ましくない。また、エマルジョンを培土のバインダーとして使用した場合には、一般に、培土の造粒や熱乾燥時等にエマルジョンのマイグレーションが発生しやすく、仮に、マイグレーションの発生が抑えられていたとしても、浸透性の問題が未解決であることが多い。このように、マイグレーションが発生、または浸透性が不充分であると、バインダー自体の培土への均一分布性等が悪く、固化した培土全体の強度にばらつきが生じ、水の吸収により、強度の弱いところから固化培土が崩壊することが予想される。
ここで、マイグレーションとは、「例えば、織物の樹脂加工において、樹脂液に浸漬後直ちに高温で乾燥を行うと樹脂液が織物表面に移行し、表面に樹脂が多く分布して耐摩耗性を低下し、風合いを害する」とされており(化学大辞典/共立出版)、このような表面への移行現象のことを意味する。特にエマルジョンのような樹脂分散系液においては、一般的に、粒子径の影響が大きく、小さい粒子径を持つエマルジョンほど、その現象が著しい。
また、上記特許文献1〜4のバインダーは、一般に、水等により希釈された液状のバインダーであることから、この液状バインダーと培土との混合よりなる育苗培土は、培土構成物中の水分量が非常に多く、水分の重みにより運搬や取り扱いが困難となっている。さらに、液状バインダーもしくはこれを使用した育苗培土を保存しておく場合には、水分量が多いことから、防腐・防カビ剤等の添加が必要となる場合もある。このような添加剤を使用した育苗は、環境の面から問題である。
一方、水分量の除去等のため、この育苗培土を乾燥させるには、かなりの乾燥熱エネルギーが必要となり、多くの時間と費用がかかってしまうという製造面での問題がある。特に、液状バインダーと培土を練り合わせて育苗培土を造粒する特許文献4の方法では、固形成分(不揮発分)1〜2%の希釈水溶性樹脂等をバインダーとして使用することから、練りあがった培土構成物中の水分量は特に多く、育苗培土の造粒後の乾燥熱エネルギーは膨大なものとなっている。
また、この乾燥によって、水が培土表面への揮発・移行するのに伴い、バインダーも、水と共に培土表面に移動してしまい(マイグレーションの発生)、培土への均一分布性に劣ることが予想される。また、粒状化した育苗培土の場合には、水の揮発とともに、培土粒子表面にバインダーが移動して造膜してしまい、非常に吸水性が悪くなることも予想される。
さらに、液状バインダーを用いて、培土を固化させる際には、一般に、使用する液状バインダーを調製し、その調製した液状バインダーを、培土を入れた育苗箱上に灌水・散水し、または、培土を入れた育苗箱を液状バインダー中に浸漬するという工程が必要となるため、培土固化の作業効率性に劣る場合もある。
一方で、育苗箱中の培土としては、一般に、山土を主体とするが、育苗箱の運搬、田植え機へのセット等の作業のため、培土の軽量化が特に求められている。また、培土の主体である山土に関しても、昨今の自然環境破壊への配慮から入手困難となってきているという問題もある。
そのため、現在では、培土の主体として、ピートモスを用い、これにベントナイト,ゼオライト等の粘度質材の被膜を形成させたものを、培土として用いること等が提案されていている(特許文献5,6参照)。しかしながら、これらはバインダーを用いていないことから、加圧・圧縮成型後、粉砕して培土を形成しているため、吸水性が悪く、膨潤復元化に非常に長い時間が必要となっている。
そこで、ピートモスやベントナイト等を培土に用いる場合にも、上記バインダーを使用することが考えられるが、均一強度が得られないことによる固化培土の崩壊等や、含水量が多いことによる諸々の問題は、山土等を培土の主体に用いる場合に限らず、ピートモスを培土の主体に用いる場合にも生じている。
特許第2923544号公報 特開平7−170854号公報 特許第3541256号公報 特開2006−61081号公報 特開平9−74896号公報 特開平11−215917号公報
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、含水量が少なく軽量で、取り扱い性が良く、固化した後は、均一強度を有する育苗培土が得られ、しかも、バインダーのマイグレーションの発生や、乾燥熱エネルギーの消費の原因となる製造時の乾燥工程を、省略もしくは短縮できる育苗培土の製造方法およびそれにより得られる育苗培土の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンから得られる再乳化性樹脂粉末と、培土とを混合した混合物を、そのままもしくは粒状化して育苗培土とする育苗培土の製造方法を第1の要旨とし、また、上記製造方法により得られる育苗培土を第2の要旨とする。本発明において、「再乳化性樹脂粉末と培土とを混合する」とは、この2つの材料のみを混合することのみならず、必要に応じてさらに、他の材料を混合することをも含む意味である。
本発明者らは、製造時の乾燥工程がなくとも、または乾燥工程が短縮されても、含水量が少なく軽量で、固化後には均一強度を有する育苗培土を得るべく、鋭意研究を重ねた。その過程で、山土等の培土や、保水材・吸水材等と均一に混ざるバインダーであって、培土等と混合する際に、できる限り水分量が少なくてすむようにするため、バインダーを粉体化することを想起した。その着想に従い、粉末化しても悪影響の生じないバインダーを見出すべく、さらに研究を重ね、培土等と良好な混合性を有するポリビニルアルコール系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンを見出し、これを乾燥して、再乳化性樹脂粉末を得るに至った。そして、この粉末と培土等とを混合して、育苗培土とすると、所望の目的を達成できる育苗培土が得られることを見出し、本発明に到達した。
なお、本発明において育苗培土とは、再乳化性樹脂粉末と、培土とを用いてなるもののことをいい、本発明において培土とは、育苗に適した配合組成物(例えば、pH調整剤、ミネラル等を配合)からなる、山土、ピートモス等を主体とする土壌のことをいい、好ましくは団粒構造を有するものである。
また、本発明においては、ポリビニルアルコールを、以下「PVA」と略記することがある。
本発明は、PVA系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンから得られる再乳化性樹脂粉末と、培土とを混合した混合物を、そのままもしくは粒状化して育苗培土とする育苗培土の製造方法である。このため、この製造方法によれば、製造時の乾燥工程を、省略もしくは短縮しても、含水量が少なく軽量で、取り扱い性に優れた育苗培土が得られるようになる。そして、このように育苗培土の乾燥工程を省略・短縮できれば、バインダーのマイグレーションの発生や、乾燥熱エネルギーの消費を抑えることができるようになる。
また、本発明の製造に用いる再乳化性樹脂粉末と培土との混合は、いわば粉体同士の混合が可能となり、再乳化性樹脂粉末がおよそ均一に分散するようになる。再乳化性樹脂粉末は、多量に使用しても、粉末として培土中に点在するため、散水等により再乳化しても、培土を構成する材料自体の全面を被覆することが少なく、これらの培土構成物と点接着状態をおよそ均一に作るようになる。これらのことから、育苗培土全体が、水分や空気の保持性を有するバルキーな状態に仕上がり、吸水性・保水性を損なわずに、培土全体を均一に固化することができ、均一強度を有する固化培土が得られるようになる。
さらに、本発明の製法により得られた育苗培土は、散水等によると、育苗培土中の再乳化性樹脂粉末が再乳化状になり、その再乳化した一種のエマルジョン状物が、培土に対し良好な浸透性および均一分布性を有するため、水の揮発等により固化した後には、移植時における培土の崩壊を起こさせない程度の強い均一強度を有する育苗培土が得られるようになる。これは、特に比較的重い培土を使用した時等に有用である。
本発明において、育苗培土の平均粒径が、0.5〜5mmであると、より取り扱いに優れるようになるとともに、培土全体として通気性と保水性のバランスが取れることから根の育成に一層良い環境となる。
また、再乳化性樹脂粉末と培土とを混合した混合物に、さらに水を、この混合物100重量部に対して、10〜50重量部含有させて育苗培土とするものであると、液状バインダーを使用するのと比べて水分量が少なくてすむことから、培土の熱乾燥時のエネルギーが少なくてすむ等の効果が大きい。
さらに、再乳化性樹脂粉末の見かけの平均粒子径が、20〜200μmであると、計量時等において粉塵が舞い上がり難く、取り扱いがよりし易い。また、水に分散・再乳化するに際してママコ状態になり難く、スムーズに分散・再乳化状態になるようになる。
そして、再乳化性樹脂粉末の再乳化速度が、23℃の水温下で、不揮発分45%にて調整した時に0.5〜20分であると、水に分散・再乳化するに際してママコ状態に一層なり難く、そして冬場の水が冷たい時期においては水への分散・乳化がやや遅くなる傾向があるものの、現実的には培土製造における作業性を妨げることにはならない。
また、水性合成樹脂エマルジョンの構成成分である合成樹脂が、アクリル系モノマー、ビニル系モノマー、およびスチレン系モノマー群から選ばれた少なくとも1種のモノマー成分(a)を主成分として重合してなるものであると、培土に対する均一分布性が一層向上するようになる。
さらに、水性合成樹脂エマルジョンの構成成分である合成樹脂が、20℃の水に対する溶解度が1重量%以上である親水性モノマーを、全モノマー成分の10重量%以上含有してなるものであると、得られる育苗培土の吸水性・保水性がより優れるようになる。
そして、PVA系樹脂が、活性水素を含有するPVA系樹脂および側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂の少なくとも一方であると、重合時にモノマーとの反応性が良好であるため重合安定性に一層優れ、不揮発分の高い水性合成樹脂エマルジョンが得られるようになる。不揮発分の高いエマルジョンが得られることは、熱乾燥して樹脂粉末を得るに際して、乾燥エネルギーの低減化でも好都合となる。
また、PVA系樹脂の一部が、水性合成樹脂エマルジョンの構成成分である合成樹脂にグラフトしていると、散水等して再乳化した場合であっても、培土類等との混和安定性がより一層優れるようになり、固化した後は、より一層均一強度を有する育苗培土が得られるようになる。
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
本発明の育苗培土の製造方法としては、PVA系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンから得られる再乳化性樹脂粉末と、培土と、必要に応じて他の成分とを混合し、その混合物を、そのまま育苗培土として用いる第1の製造方法と、その混合物を粒状化して、育苗培土として用いる第2の製造方法があげられる。本発明の最大の特徴は、育苗培土の製造に、PVA系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンから得られる再乳化性樹脂粉末と、培土とを併せて用いるところにある。
本発明に係る再乳化性樹脂粉末は、PVA系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンから得られるものであり、まず、この水性合成樹脂エマルジョンについて説明する。
《水性合成樹脂エマルジョン》
上記水性合成樹脂エマルジョン(以下、「エマルジョン」という)は、合成樹脂(A)が、PVA系樹脂(B)により分散安定化されているエマルジョンのことであり、このようなエマルジョンであれば、特に制限されるものではない。具体的には、モノマー等を乳化重合して合成樹脂を得る際に、保護コロイドとしてPVA系樹脂、必要に応じて他の成分を存在させる等して得られるものである。そして、このエマルジョンは、通常、均一な乳白色であって、合成樹脂(A)が、PVA系樹脂(B)の水溶液中に、分散し安定状態になっている。つぎに、上記合成樹脂(A)について詳細に説明する。
〈合成樹脂(A)について〉
「合成樹脂(A)を形成するモノマー」
上記合成樹脂(A)としては、PVA系樹脂により分散安定化されるものであれば、特に制限されるものではないが、アクリル系モノマー、ビニル系モノマー、およびスチレン系モノマー群から選ばれた少なくとも1種のモノマー成分(a)を、主成分として含有したものであることが好ましい。そして、上記モノマー成分(a)として、より好ましくは、官能基を含有しないアクリル系モノマー、官能基を含有しないビニル系モノマー、およびスチレン系モノマー群から選ばれた少なくとも1種のモノマー成分(a1)である。
上記アクリル系モノマー(a)としては、特に限定されるものではないが、官能基を含有するモノマーと、官能基を含有しないモノマーとがあげられ、官能基を含有するアクリル系モノマーについては、官能基含有モノマー(x)の項で後述する。官能基を含有しないアクリル系モノマー(a1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレートやフェノキシ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜6のアルコキシ基と炭素数が1〜4のアルキル鎖を有するアルコキシアルキル(メタ)アクリレート等があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。中でも、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートや、アルキル基の炭素数が1〜18の脂肪族(メタ)アクリレートが好ましく、特にはアルキル基の炭素数が1〜3の脂肪族(メタ)アクリレートとアルキル基の炭素数が4〜18の脂肪族(メタ)アクリレートとを併用することも好ましい。
なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意味するものである。
上記ビニル系モノマー(a)としても、官能基を含有するモノマーと、官能基を含有しないモノマーとがあげられ、官能基を含有するビニル系モノマーについては、官能基含有モノマー(x)の項で後述する。官能基を含有していないビニル系モノマー(a1)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニル系モノマー、エチレン等のオレフィン系モノマー、塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン系モノマー、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記スチレン系モノマー(a)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
さらに、上記官能基を含有しないアクリル系モノマー、官能基を含有しないビニル系モノマー、およびスチレン系モノマー群から選ばれた少なくとも1種のモノマー成分(a1)とともに、官能基を含有するアクリル系モノマー,官能基を含有するビニル系モノマー等の官能基含有モノマー(x)を併せて用いることが特に好ましい。これにより、本発明のエマルジョンからなる樹脂自体の強靭性を向上させることや、培土を固化するのに必要なエマルジョンの配合量を少なくしても同等の固化性を保持することができる。
かかる官能基含有モノマー成分(x)としては、例えば、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、加水分解性シリル基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、ビニル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー等があげられる。中でもヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー等を用いることが好ましい。
上記ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜4のアルキル鎖を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等があげられ、中でもヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸等があげられ、中でもメタクリル酸が好ましい。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等があげられ、中でも、エマルジョンからなる樹脂の強靭性の向上の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記加水分解性シリル基含有モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等があげられ、中でも、培土材料への固化性の観点から、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、アセト酢酸ビニルエステル、アセト酢酸アリルエステル、ジアセト酢酸アリルエステル、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチルクロトナート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピルクロトナート、2−シアノアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等があげられ、中でも、培土材料への固化性の観点から、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記ビニル基含有モノマーとしては、分子構造中にビニル基を2個以上有するモノマーであることが好ましく、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート等があげられ、中でも、樹脂自体の強靭性の向上の観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等があげられ、中でも、親水性・保水性の観点から、アクリルアミドが好ましい。
上記カルボニル基含有モノマーとしては、例えば、ダイアセトンアクリルアミド等があげられ、中でも、親水性・保水性、および培土材料への固化性の観点から、ダイアセトンアクリルアミドが好ましい。
上記ニトリル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等があげられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチルエステルタイプのジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等があげられる。
なお、これらの官能基含有モノマー成分(x)は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明に係る合成樹脂(A)は、アクリル系モノマー、ビニル系モノマー、およびスチレン系モノマー群から選ばれた少なくとも1種のモノマー成分(a)を主成分として重合してなるものであるが、ここで主成分とは、全体の過半を占める成分をいい、全体が主成分のみからなる場合を含む意味である。
また、本発明において好ましくは、官能基を含有しないアクリル系モノマー、官能基を含有しないビニル系モノマー、およびスチレン系モノマー群から選ばれた少なくとも1種のモノマー成分(a1)と、官能基含有モノマー成分(x)とを重合成分として含有する。かかる官能基含有モノマー成分(x)の含有割合は、全モノマー成分に対して0.01〜30重量%であることが好ましく、0.1〜25重量%であることがより好ましく、0.5〜20重量%であることがさらに好ましい。すなわち、少なすぎると樹脂の強靭性の向上、および培土材料への固化性の改善が不充分になる傾向がみられ、逆に、多すぎると重合不良となったり、樹脂が脆くなったりする傾向がみられるからである。
また、本発明において、上記の重合成分の中でも、親水性を有するモノマーを用いることが、培土に対する浸透性や保水性の点で、特に好ましい。
本発明において、「親水性を有する」とは、20℃の水に対する溶解度が1重量%以上、好ましくは1.5重量%以上であることを意味するものである。
上記重合成分の中で、親水性を有するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜3のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、およびアミノエチルエステルタイプのジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸等があげられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。中でも、メチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸が好ましく、より好ましくはメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。但し、これらモノマーに限定されるものではなく、溶解度が上記範囲のものであれば適宜用いられる。
なお、上記親水性を有するモノマーの20℃の水に対する溶解度の一例を示すと、例えば、下記の通りである。
メチルメタクリレート :1.72 重量%
ヒドロキシエチルメタクリレート :∞ 重量%
ヒドロキシプロピルメタクリレート :13.4 重量%
2−エトキシエチルアクリレート :5.5 重量%
2−メトキシエチルメタクリレート :1.38 重量%
メタクリル酸 :約18 重量%
酢酸ビニル :2.3 重量%
上記合成樹脂(A)が、上記親水性を有するモノマーを、全モノマー成分に対して10重量%以上含有するモノマーの重合により得られたものであることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上であり、特には50重量%以上であることが好ましい。すなわち、培土と混和等して乾燥した後においても、その培土自体は速やかな吸水速度と保水性、特に灌水・散水および浸漬等においては高度な吸水速度が求められ、上記親水性を有するモノマーの含有割合が低すぎると、所望の高度な吸水速度が得られない傾向があり、灌水・散水および浸漬等に時間がかかれば、農園芸作業の合理化・省力化にも影響が出てくることが考えられるからである。なお、親水性を有するモノマーの含有割合の上限としては、通常80重量%であり、残りが疎水性モノマーであることが好ましい。
「その他の成分」
本発明においては、前記したモノマー成分(a)等の重合の際に、必要に応じて、重合開始剤、重合調整剤等の他の成分を適宜用いることができる。
(重合開始剤)
上記重合開始剤としては、通常の乳化重合に使用できるものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;有機過酸化物、アゾ系開始剤、過酸化水素、ブチルパーオキサイド等の過酸化物;およびこれらと酸性亜硫酸ナトリウムやL−アスコルビン酸等の還元剤とを組み合わせたレドックス重合開始剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。これらの中でも、乳化重合が容易な点で、無機酸化物、特には過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムが好ましい。
(重合調整剤)
上記重合調整剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。このような重合調整剤としては、例えば、連鎖移動剤、バッファー等があげられる。
ここで、上記連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;および、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類等があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
連鎖移動剤を用いることにより重合を安定に行わせることができるが、合成樹脂(A)の重合度を低下させ、その結果、得られる樹脂の強靭性や培土への接着性等を低下させる可能性があるため、連鎖移動剤を使用する場合には、その使用量をできる限り少なくすることが望ましい。
ここで、前記バッファーとしては、例えば、酢酸ソーダ、酢酸アンモニウム、第二リン酸ソーダ等があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
また、上記以外に、必要に応じて、補助乳化剤、可塑剤、造膜助剤等の他の成分を適宜用いることができる。
(補助乳化剤)
上記補助乳化剤としては、乳化重合に用いることができるものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、界面活性剤、PVA系樹脂以外の保護コロイド能力を有する水溶性高分子、水溶性オリゴマー等の公知のものの中から、適宜選択することができる。
ここで、上記界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;プルロニック型構造を有するものやポリオキシエチレン型構造を有する等のノニオン性界面活性剤;構造中にラジカル重合性不飽和結合を有する反応性界面活性剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらの中でも、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。このような界面活性剤を使用することにより、乳化重合をスムーズに進行させ、重合を容易にコントロールでき、かつ、重合中に発生する粗粒子やブロック状物の発生を抑制することができる。また、界面活性剤は、エマルジョンの表面張力を低下させることができることから、使用する培土の撥水性が高い場合には、灌水・散水および浸漬する際の吸水・浸透性を改良することができる。
しかしながら、これら界面活性剤を乳化剤として多く使用すると、育苗性が低下することも予想されるため、その使用量はPVA系樹脂(B)に対して補助的な量であること、すなわち、できる限り少なくすることが望ましい。
ここで、前記PVA系樹脂以外の保護コロイド能力を有する水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等があげられる。この水溶性高分子は、本発明において保護コロイド剤として用いるPVA系樹脂と併用してもよい。上記例示のセルロース系水溶性高分子は、特に大きな保水材・吸水材としての効果を有する。よって、セルロース系水溶性高分子を、保護コロイド剤として用いる他、保水材・吸水材として培土用各種材料の一つとして配合して使用することもできる。さらに、水性合成樹脂エマルジョン粒子の粒子径コントロールや粘性を変化させる点で効果がある。ただし、その使用量によってはエマルジョンの粘度を高めることがあるので、予め確認してから乳化重合に使用することが望ましい。
ここで、前記水溶性オリゴマーとしては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アルキレングリコール基等の親水性基を有する重合度が、10〜500程度の重合体または共重合体が好適にあげられる。
この水溶性オリゴマーの具体例としては、例えば、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体等のアミド系共重合体、メタクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリ(メタ)アクリル酸塩等があげられる。さらに、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アルキレングリコール基等を有するモノマーや、ラジカル重合性の反応性乳化剤を、予め単独または他のモノマーと共重合してなる水溶性オリゴマー等もあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらの中でも、再乳化性樹脂粉末の再乳化性を付与できる点、顔料および炭酸カルシウム等のフィラーとの混和安定性の点で、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、メタクリル酸ナトリウム−4−スチレンスルホネート共重合体が好ましい。水溶性オリゴマーは、乳化重合を開始する前に、予め重合したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
(可塑剤等および造膜助剤)
上記可塑剤としては、例えば、塗料用・接着剤用に汎用的に使用されるアジペート系可塑剤、フタル酸系可塑剤、燐酸系可塑剤等があげられる。また、上記造膜助剤としては、例えば、「CS−12」(チッソ社製)等があげられる。
これら重合開始剤、重合調整剤、補助乳化剤、可塑剤、造膜助剤等の他の成分の使用量は、本発明の目的を阻害しない限りにおいて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
このように合成樹脂(A)は、前記モノマー成分等の重合成分や、必要に応じ、重合開始剤等その他の成分を用い、水系媒体、例えば、PVA系樹脂の水溶液中で、重合することにより得られるものである。
この合成樹脂(A)の分散状態としては、合成樹脂(A)が、平均粒子径0.2〜3μmの粒子状に分散していることが好ましく、より好ましくは、平均粒子径0.3〜2μmである。すなわち、平均粒子径が小さすぎると、マイグレーション防止効果が少なく、培土全体に均一に分布しない傾向がみられ、また、平均粒子径が大きすぎると、マイグレーション防止効果はあるものの、培土と部分的に固化する傾向がみられ、結果として全体に均一に分布しない傾向がみられるからである。
ここで、合成樹脂(A)の平均粒子径は、慣用の方法、例えばレーザー解析/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」(堀場製作所社製)により測定することができる。
上記合成樹脂(A)のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、冬場・夏場の育苗作業を考慮すれば、−20〜+15℃の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、−15〜+10℃の範囲内であり、さらに好ましくは、−7〜+5℃の範囲内である。すなわち、ガラス転移温度が低すぎると、これをバインダーに使用した培土が、保管中等において固まってしまう傾向がみられ、逆に、高すぎると、冬場の寒い状況下ではバインダーとしての結合力が低下する傾向がみられるからである。
〈PVA系樹脂(B)について〉
本発明において、上記合成樹脂(A)の分散を安定化する分散安定剤(保護コロイド)としては、PVA系樹脂(B)が用いられる。すなわち、乳化重合等して合成樹脂(A)(疎水コロイド系)を得る際に、保護コロイドとして、PVA系樹脂(B)を加えると、樹脂粒子の乳化・分散の安定性が著しく増大する。これは親水コロイド性であるPVA系樹脂(B)が樹脂粒子表面にグラフトや吸着して包みこんだ状態で存在し保護するためで、この場合の親水コロイド性であるPVA系樹脂(B)を保護コロイドという。
保護コロイドとしてのPVA系樹脂(B)としては、特に限定されるものではないが、つぎに示す特定の平均ケン化度および平均重合度を有するものが、特に好ましい。
上記PVA系樹脂(B)の平均ケン化度としては、80〜99.9モル%であることが好ましく、より好ましくは、85〜99.5モル%である。すなわち、平均ケン化度が小さすぎると安定に重合が進行しにくく、重合が完結したとしても水性エマルジョンの保存安定性が劣る傾向がみられ、逆に、大きすぎると再分散し難くなる傾向がみられるからである。なお、本発明において、平均ケン化度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
また、PVA系樹脂(B)の平均重合度としては、50〜3000であることが好ましく、より好ましくは、200〜2000であり、さらに好ましくは、300〜1700である。すなわち、平均重合度が小さすぎると、乳化重合時の保護コロイド能力が不充分となり重合が安定に進行しない傾向がみられ、逆に、大きすぎると、重合時に増粘して反応系が不安定になり分散安定性が低下する傾向がみられるからである。なお、本発明において、平均重合度は、JIS K 6726に準拠して求めることができる。
そして、PVA系樹脂(B)の中でも、特に、活性水素を有するPVA系樹脂(B1)、および側鎖に1, 2−ジオール結合を有するPVA系樹脂(B2)の少なくとも一方であることが好ましい。これらは、重合時にモノマーとの反応性が良好であるため重合安定性に優れ、不揮発分の高いエマルジョンが得られる傾向にあるからである。このように、不揮発分の高いエマルジョンが得られると、輸送コストの低減、エマルジョンの乾燥性の向上、特に、噴霧乾燥時における乾燥熱エネルギーの省力化ができるようになる。
上記活性水素を有するPVA系樹脂(B1)としては、例えば、アセトアセチル基変性PVA系樹脂、メルカプト基変性PVA系樹脂、ジアセトンアクリルアミド変性PVA系樹脂等があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、重合安定性を改善できる点、再乳化性樹脂粉末の再乳化性を向上できる点、合成樹脂(A)へのグラフト率が高くなるため、皮膜の耐水性を向上できる点等の理由から、アセトアセチル基変性PVA系樹脂が最も好ましい。
上記アセトアセチル基変性PVA系樹脂におけるアセトアセチル化度は、0.01〜10モル%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜6モル%であり、さらに好ましくは、0.03〜3モル%であり、特に好ましくは、0.03〜2モル%であり、最も好ましくは、0.03〜1モル%である。アセトアセチル化度が小さすぎると、重合安定性、皮膜の耐水性および機械安定性が低下する傾向や、さらに、耐煮沸性やフィラー類等との混和性が低下する傾向がみられ、逆に、大きすぎると、乳化重合時の重合安定性が不良となる傾向がみられるからである。
上記アセトアセチル基変性PVA系樹脂における分子上に存在するアセトアセチル基は、分子内の一定領域にブロック状に固まって配置しているものよりも、分子内において相対的にランダムに配置されているものの方が好ましい。
上記アセトアセチル基変性PVA系樹脂における平均ケン化度は、85モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、88〜99.8モル%である。平均ケン化度が小さすぎると、安定に重合が進行しにくくなり、重合が完結したとしてもエマルジョンの保存安定性が良好でなくなる傾向がみられ、逆に、大きすぎると、重合安定性が悪くなり、重合途中でゲル化することがあり、重合が完結したとしても再乳化し難くなる傾向がみられるからである。
上記アセトアセチル基変性PVA系樹脂における平均重合度は、50〜2000であることが好ましく、200〜600であることがより好ましい。小さすぎると、乳化重合時の保護コロイド能力が不充分になり重合が安定に進行しない傾向がみられ、逆に、大きすぎると、重合時に増粘して反応系が不安定になり、分散安定性が低下する傾向がみられる。
つぎに、本発明のPVA系樹脂(B)として好ましく用いられる、側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂(B2)について説明する。このB2は、公知のものであり、通常、下記一般式(1)で示される1,2−ジオール構造単位を含有するPVA系樹脂があげられる。
Figure 2009034009
このような側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂(B2)は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化および脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化および脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
上記側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂(B2)における平均ケン化度は、85モル%以上であることが好ましい。より好ましくは90〜99.8モル%である。すなわち、平均ケン化度が小さすぎると、エマルジョンの重合時の安定性が低下して目的とする水性エマルジョンを得ることが困難になる傾向がみられるからである。
上記側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂(B2)における側鎖の1,2−ジオール結合量は、1〜15モル%であることが好ましく、より好ましくは1〜12モル%、さらに好ましくは2〜10モル%、さらに特に好ましくは2〜8モル%である。すなわち、1,2−ジオール成分の含有量が少なすぎると、エマルジョンの機械安定性や皮膜の耐水性等が低下する傾向がみられ、逆に、多すぎると、重合時の安定性が低下し、不揮発分の高い安定なエマルジョンが得られにくくなる傾向がみられるからである。
上記側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂(B2)における平均重合度は、50〜3000が好ましく、より好ましくは100〜2000、さらに好ましくは100〜1000、特に好ましくは200〜500である。すなわち、重合度が小さすぎると、PVA系樹脂を工業的に製造することは困難となる傾向がみられ、逆に、大きすぎると、エマルジョンの粘度が高くなり過ぎたり、エマルジョンの重合安定性が低下したりする傾向がみられるからである。
本発明において、PVA系樹脂(B)として、上記B1およびB2以外の非変性タイプのPVA系樹脂であって、部分または完全ケン化されたPVA系樹脂を、本発明の目的を阻害しない範囲において併用することができる。特に、PVA系樹脂(B)として、アニオンを有する基を含むPVA系樹脂を併用することも好ましく、このアニオンを有する基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基等をあげることができるが、これらの中でも、エマルジョン中のpHに関係なく、安定して強い電荷反発が得られる点から、スルホン酸基が好ましい。
本発明において、保護コロイド(分散安定化剤)として使用するPVA系樹脂(B)の使用量は、合成樹脂(A)を形成する全モノマー成分100重量部(以下「部」と略す)に対して、3〜20部配合することが好ましく、より好ましくは4〜10部である。すなわち、上記PVA系樹脂(B)の使用量が少なすぎると、乳化重合の際の保護コロイド量が不足することとなり、重合安定性が不良となる傾向がみられ、逆に、多すぎると、再乳化性樹脂粉末とした場合には、再乳化性は良好となるものの粉末中に水溶性成分が多く存在することとなり、応用用途での耐水性が低下する傾向がみられるからである。
本発明では、PVA系樹脂(B)は、通常、水系媒体を用いて水溶液としたものが、乳化重合の過程において使用される。ここで水系媒体とは、水、または水を主体とするアルコール性溶媒をいい、好ましくは水のことをいう。
このPVA系樹脂水溶液におけるPVA系樹脂(B)の量(不揮発分)について、特に限定されるものではないが、取り扱いの容易性の観点からは、PVA系樹脂水溶液の5〜30重量%であることが好ましい。
〈合成樹脂(A)へのグラフト化について〉
さらに、本発明においては、PVA系樹脂(B)の少なくとも一部が、前記の合成樹脂(A)にグラフトしていることが、エマルジョン自体の貯蔵安定性や育苗培土類等との混和安定性等の点から好ましい。これは、合成樹脂粒子にPVA系樹脂がグラフトして強く結合しているからであり、このPVA系樹脂に絡んで保水性も向上するとともに、PVA分子鎖が培土を構成する材料と良く絡まるようになるからである。また、このグラフトにより、育苗や固化等のための散水等により、PVA系樹脂が溶け出すことを一層防止することができる。
このグラフト化は、例えば、PVA系樹脂(B)の水溶液中に、所定の混合モノマーの一部と重合開始剤とを加えて、70〜85℃の条件下で初期の重合を行わせ、ついで、この樹脂粒子の乳化・分散液に、残りの混合モノマーと重合開始剤を連続して滴下し、重合させることにより得られる。
PVA系樹脂(B)が合成樹脂(A)にグラフトした場合に、下記式(1)で表される値(W)が50重量%以上であることが好ましい。より好ましくは60〜95重量%であり、さらに好ましくは65〜85重量%である。かかる値は、グラフト化程度の目安になるものであり、この値が低すぎると、グラフト化の程度が低く、乳化重合時の保護コロイド作用が低下して重合安定性や得られたエマルジョンの経時安定性等が低下したり、加えて培土類等との混和性・固化性やマイグレーション防止性が低下したりする等の傾向がみられ、逆に、高すぎると、グラフト化の程度が高く、重合中にエマルジョンが増粘したりゲル化したりする傾向がみられるからである。
式(1)の値(W)は、以下のようにして算出される。即ち、対象となるエマルジョン等を、40℃×16時間乾燥して、厚さが約0.5mmの皮膜を作製し、それを23℃×65%RH下に2日間放置する。その皮膜を、沸騰水中で8時間抽出を行った後、アセトン中で8時間抽出を行い、グラフト化していない樹脂等を除去する。この場合の、抽出前の皮膜絶乾重量をw(g)、抽出後の皮膜絶乾重量をw(g)とし、下記の式より求める。
W(重量%)=(w)/(w)×100 …(1)
:抽出前の皮膜絶乾重量(g)
:抽出後の皮膜絶乾重量(g)
なお、抽出前の皮膜絶乾重量(w)は、予め、抽出試験サンプルとは別のサンプルを105℃×1時間乾燥させ、その重量を算出したものであり、抽出後の皮膜絶乾重量(w)は、抽出後のサンプルを105℃×1時間乾燥させた時の重量である。そして、これらwとwの重量の算出は、それぞれ別のサンプルを用いたものであるため、同一条件下での取り扱いとすべく、両サンプルの乾燥にともなう揮発分割合により補正して、両サンプルの皮膜絶乾重量を算出した。
上記式(1)の値(W)が50重量%以上に調整する方法としては、乳化重合温度を従来よりもやや高くしたり、重合用触媒として使用する過硫酸塩に極微量の還元剤(例えば、酸性亜硫酸ソーダ等)を併用したりする等の方法があげられる。
上記の各成分を用い、PVA系樹脂(B)を保護コロイドとして、合成樹脂(A)となるモノマー等の重合成分を、乳化重合等することにより本発明に係るエマルジョンが製造される。
〈エマルジョンの製法について〉
通常、乳化重合は、保護コロイドや乳化剤および前記したモノマー等の重合成分以外に、重合開始剤、重合調整剤、補助乳化剤等のような前記した他の成分を、必要に応じて用いて行う。また、重合の反応条件は、特に制限されるものではなく、モノマーの種類、目的等に応じて適宜選択することができる。
上記乳化重合の方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、反応缶に、水、PVA系樹脂(B)、必要により他の保護コロイドを仕込み、昇温して、モノマー等の重合成分と重合開始剤とともに滴下して重合する、モノマー滴下式乳化重合法;および、滴下するモノマーを予め保護コロイドと水とで分散・乳化させた後、滴下して重合する、乳化モノマー滴下式乳化重合法等があげられるが、重合工程の管理やコントロール性等の点から、モノマー滴下式乳化重合法が好ましい。
乳化重合過程をさらに具体的に説明にする。ただし、これに限定されるものではない。
まず、反応缶に水、保護コロイド、必要に応じて補助乳化剤を仕込み、これを昇温(例えば65〜90℃)した後、モノマー成分の一部と重合開始剤とを、この反応缶に添加して、初期重合を行う。ついで、残りのモノマー成分を、一括または滴下しながら反応缶に添加し、必要に応じて、さらに重合開始剤を添加しながら重合を進行させる。重合反応が完了したと判断されたところで、反応缶を冷却し、目的とするエマルジョンを得ることができる。
〈エマルジョンについて〉
本発明に係るエマルジョンに対しては、各々必要に応じて、各種の添加剤をさらに加えることができる。
「各種の添加剤」
このような添加剤としては、例えば、無機または有機のフィラー類、水溶性添加剤(水溶性樹脂類)、顔料・フィラー等の分散剤、浸透剤・濡れ剤、抗粘結剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記水溶性添加剤(水溶性樹脂類)としては、保水剤・吸水剤、増粘剤として効果的であるヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、澱粉誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイドが特に好ましい。また、水溶性アルキド樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性ウレア樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性グアナミン樹脂、水溶性ナフタレンスルホン酸樹脂、水溶性アミノ樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリカルボン酸樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリオール樹脂、および、水溶性エポキシ樹脂等も、培土の固化強度を向上させる等の点で効果的である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記浸透剤・濡れ剤としては、塗料、接着剤、プラスチック類等へのコート剤等に使用されているものであれば、特に制限されるものではなく、いずれのものでも使用可能である。例えば、スルホコハク酸系(ペレックスOTP/花王株式会社製)、アセチレン系(サーフィノール440/日信化学工業株式会社製)等が一般的である。また、加えて乳化重合用に使用される乳化剤,界面活性剤等も、本発明の目的を阻害しない限りにおいて使用できる。
浸透剤・濡れ剤は、灌水・散水や浸漬処理して固化する際において、エマルジョンの吸水・浸透が遅く、作業性等に差し障りがある場合には、エマルジョン等に、浸透剤・濡れ剤を添加して表面張力を低下させ、吸水・浸透を速めることが必要である。
浸透剤・濡れ剤の使用量は、培土を形成する材料自体の表面の撥水性等にも影響を受けるが、エマルジョン等の不揮発分100部に対して、0.05〜2部程度使用することが適当である。これらの使用量が少ないと期待する水の吸水・浸透速度にならなかったり、作業効率の改善が不充分となったりする傾向がみられ、逆に、多くてもさらなる効果は期待できず、無駄になってしまう傾向がみられるからである。
上記抗粘結剤としては、例えば、不活性な無機粉末または有機粉末があげられる。この無機粉末としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、ドロマイト、無水珪酸、アルミナホワイト等があげられ、また、有機粉末としては、合成樹脂のガラス転移温度が70℃以上のエマルジョン類を噴霧乾燥してなる樹脂粉末等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でも、無水珪酸、炭酸カルシウム、クレー等が好ましい。抗粘結剤を添加することにより、抗粘結剤で樹脂粉末をまぶすような状態にして貯蔵中等において粒子同士が粘結して凝集しブロッキングするのを防止することができる。
抗粘結剤の使用方法としては、エマルジョンに混合したり、噴霧乾燥時にエマルジョンと別のノズルから抗粘結剤を噴霧したりする方法等があげられる。
抗粘結剤の使用量は、エマルジョン等の不揮発分に対して、5〜30重量%程度であることが好ましい。
以上の添加剤の添加方法としては、一般に、液状の添加剤であれば、直接または水で希釈してからエマルジョンに添加することが好ましい。
「再乳化性向上のための添加剤」
上記エマルジョンを粉末化してなる再乳化性樹脂粉末の水への再乳化性をより向上させるため、上記エマルジョンに、未変性PVA、変性PVA、上記水溶性添加剤(水溶性樹脂類)からなる群から選ばれる1種以上を添加(この再乳化性向上のための添加を「後添加」という)することが好ましい。これら後添加する樹脂の中でも、未変性PVAがより好ましい。
上記後添加用の未変性PVAとしては、その平均ケン化度が、80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、87モル%以上である。また、平均ケン化度の上限値としては、特に限定されるものではないが、99.5モル%以下であることが好ましく、より好ましくは、95モル%以下である。平均ケン化度が小さすぎると耐水性が著し低下する傾向がみられ、逆に、大きすぎると耐水性が良くなるが、水への再乳化性を悪くする傾向がみられるからである。
また、後添加用の未変性PVAの平均重合度としては、50〜3000であることが好ましく、より好ましくは、200〜2000であり、さらに好ましくは、300〜600である。平均重合度が小さすぎると耐水性が低下する傾向がみられ、逆に、大きすぎると再乳化性が低下する傾向がみられるからである。
後添加用の未変性PVAの使用量としては、乾燥前のエマルジョンの不揮発分100部に対して、2〜30部使用することが好ましく、より好ましくは、5〜20部である。使用量が少なすぎると再乳化性向上が充分でない傾向がみられ、逆に、多すぎると再乳化性樹脂粉末の耐水性が充分でなくなる傾向がみられるからである。
上記後添加用の変性PVAとしては、特に限定されるものではないが、例えば、上記後添加用の未変性PVAに対し、カルボン酸変性、スルホン酸変性、アセトアセチル基変性、メルカプト基変性、カルボニル基変性、シラノール基変性、アミノ基変性、カチオン基変性、アミド基変性、側鎖に1,2−ジオール結合を導入する等の変性を行った変性PVAをあげることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらの中でも、アセトアセチル基変性PVA、側鎖に1,2−ジオール結合を有する変性PVAが好ましい。
ここで、上記アセトアセチル基変性PVAとしては、アセトアセチル化度が0.01〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜6モル%である。また、上記側鎖に1,2−ジオール結合を有する変性PVA系樹脂としては、側鎖の1,2−ジオール結合の含有量が1〜15モル%であることが好ましく、より好ましくは1〜12モル%である。
そして、後添加用の未変性PVA、変性PVAの添加としては、通常、乳化重合後であって乾燥前のエマルジョンに添加することが好ましいが、使用する未変性PVA、変性PVAの種類、添加量および用途に応じて、再乳化性樹脂粉末に加えても良い。
重合度の高いPVAは、乳化重合中においては、その重合安定性から使用し難いが、重合後の後添加であれば、特に問題なく使用することができる。ただし、水への溶解性が容易でないものは、再乳化性に悪影響を与える場合があるため、事前に水への溶解性を確認した上で使用することが望ましい。
つぎに、上記エマルジョンに、必要に応じて各種の添加剤を添加したものを、乾燥することにより得られる再乳化性樹脂粉末について、説明する。
《再乳化性樹脂粉末の製法について》
本発明においては、前記乳化重合により得られたエマルジョンに、必要に応じて、添加剤等を加え、それを乾燥することによって、再乳化性の再乳化性樹脂粉末とすることができる。
乾燥方法は、特に制限されるものではないが、例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥、凝析後の温風乾燥等があげられる。これらの中でも、生産コスト、省エネルギーの観点から、噴霧乾燥することが好ましい。
噴霧乾燥の場合、その噴霧形式は、特に制限されるものではなく、例えば、ディスク式、ノズル式等の形式により行うことができる。噴霧乾燥の熱源としては、例えば、熱風、加熱水蒸気等があげられる。噴霧乾燥の条件としては、噴霧乾燥機の大きさ、種類、エマルジョンの不揮発分、粘度、流量等に応じて適宜選択することができる。噴霧乾燥の温度は、通常は、80〜150℃程度である。
噴霧乾燥処理について、さらに具体例をあげて説明する。まず、エマルジョン中の不揮発分を調整し、これを噴霧乾燥機のノズルより連続的に供給し、霧状にしたものを温風により乾燥させて粉末化させる。場合により、調整した噴霧液を噴霧に際して、予め加温してノズルより連続的に供給し、霧状にしたものを温風により乾燥させて粉末化させることも可能である。加温することで乾燥スピードが速くなり、かつ噴霧液の粘度低下に伴い、噴霧液の高不揮発化が可能で、生産コストの低減にも寄与することができる。
《再乳化性樹脂粉末について》
本発明に係る上記再乳化性樹脂粉末とは、例えば、水等の水系媒体に再乳化性樹脂粉末を分散すると再乳化して元のエマルジョン状態に戻ることができる粉末のことをいう。
上記再乳化性樹脂粉末の見かけの粒子径は、20〜200μmであることが好ましい。粒子径が小さすぎると、粉末の使用時に飛散しやすく、かつ水への再乳化・分散に際し、ママコ状態になりやすい傾向がみられ、逆に、粒子径が大きすぎると、飛散問題は少ないが、再乳化に時間がかかり過ぎる等、均一に再乳化・分散し難い傾向がみられるからである。
そして、上記再乳化性樹脂粉末に水等を加え再乳化させた一種のエマルジョン状態のものを、「再乳化エマルジョン」という。この再乳化エマルジョンは、育苗や培土固化等のため、本発明の育苗培土に散水等することにより生じる。
上記再乳化エマルジョンを得るため、再乳化性樹脂粉体に加える水系媒体の配合量としては、不揮発分が、20〜50重量%程度のエマルジョンになるように水系媒体を配合することが好ましい。
また、再乳化性樹脂粉末の再乳化速度としては、23℃の水温下で、不揮発分45%にて調整した時に0.5〜20分であることが好ましい。再乳化速度が遅すぎると、培土製造時の作業性が低下したり、特に冬場の水が冷たい時期においては分散・再乳化が遅くなる傾向がみられ、逆に、速すぎると、ママコ状態となる傾向がみられるからである。
本発明に係る再乳化性樹脂粉末は、エマルジョンやPVA等の水溶性樹脂と異なり、樹脂粉末であるため、培土を構成する山土、さらに保水材・吸水材等(例えば、ピートモス、バーミキュライト、ベントナイト、ゼオライト、ポリアクリルアマイド等)に吸着され難く、これらの構成物と均一に混合することができ、少量でも固化用バインダーとして効果が充分に発揮できる。
また、本発明に係る再乳化性樹脂粉末には、上記エマルジョンで用いた添加剤(再乳化性向上のための添加剤も含む)を添加してもよい。特に、上記添加剤が、再乳化性樹脂粉末レベルの粒子径を持つ粉末状の添加剤であれば、再乳化性樹脂粉末に直接添加することが行われる。上記添加剤が、液状のものであれば、スプレーガン等で粉末化して用いてもよく、また、液状添加剤を予め前記エマルジョンに添加してから噴霧、乾燥してもよい。
そして、本発明に係る再乳化性樹脂粉末は、培土等のバインダーとして、これらの配合物を結合・固化し、形状を保持する機能を持ち、機械移植時における苗の根部の培土(根鉢部分)の崩壊や根部の欠損を、特に比較的重い培土を使用した時等に起こさせないようにするのに有用である。そして、移植後においては、これら培土自体の水の吸収および苗の成長に伴い、自然に崩壊していく。やがて合成樹脂(A)自体も自然崩壊していく自然環境に優しいタイプの結合剤である。
つぎに、上記得られた再乳化性樹脂粉末を用いた育苗培土について説明する。
《育苗培土およびその製法について》
本発明の育苗培土は、上記再乳化性樹脂粉末と、培土とを用いて構成される。
上記育苗培土を構成する培土としては、特に限定されるものではないが、例えば、山土、ピートモス等があげられ、通常、山土等に、保水材・吸水材(例えば、ピートモス、ベントナイト、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト等)や、さらに育苗の種類等により窒素系,カリ系,リン酸系肥料や、土壌のpH調整剤(例えば、消石灰、保水剤としても効果的なピートモス等)、殺菌剤・防腐剤等を適宜配合したものがあげられる。
また、培土としての形状は、特に限定されるものではなく、無定形状であっても、粒状等の形状を有していてもよい。
上記再乳化性樹脂粉末と培土との配合割合としては、培土100部に対して、再乳化性樹脂粉末が0.1〜15部であることが好ましく、より好ましくは、1〜5部である。再乳化性樹脂粉末が多すぎると、育苗培土の固化性は高まるが、硬くなりすぎて育苗の妨げになる傾向がみられ、逆に、少なすぎると、固化性が不充分で、移植時等において根鉢部分の培土の崩壊が起こりやすくなる傾向がみられるからである。
本発明の育苗培土の製法は、上記再乳化性樹脂粉末を、培土、その他の任意成分と混合、特に、均一に混合することが好ましく、この混合物をそのまま育苗培土とするか、もしくは、この混合物を粒状化して育苗培土とするものである。また、培土を一旦粒状化したものに上記再乳化性樹脂粉末を混合してもよい。上記、その他の任意成分は、必要に応じて用いられるもので、除草剤、殺虫剤等があげられる。
再乳化性樹脂粉末と培土等との撹拌・混合としては、特に制限されるものではないが、耕作器具等を用いて混合したり、混合機を使用して混合したりすることがあげられる。この混合機としては、例えば、2重円錐片混合機、V型混合機、水平円錐型混合機、垂直スクリュー型混合機、ミユーラ型混合機、副軸ローター型混合機、モルタルミキサー等が使用できるが、特に好ましくは、V型混合機である。
また、上記再乳化性樹脂粉末と培土とを混合した混合物に、さらに水を、この混合物100部に対して、10〜50部含有させて育苗培土とすることが好ましい。水含有量が多すぎると、育苗培土自体の重量が重くなるだけでなく、乾燥熱エネルギー量が多くなる等の不都合が生じる傾向がみられ、逆に、水含有量が少なすぎると、造粒化が困難となる傾向がみられるからである。
そして、上記混合物を粒状化した育苗培土を得るためには、例えば、その混合物を造粒成形すること等があげられ、具体的には、従来公知の圧縮成型方式、押出方式、転動方式、そして板状等に固めた培土を粉砕等して、育苗に程良い大きさに分級する等の方法があげられる。好ましくは、直径2〜3mの円盤を回転させることにより造粒する方式の、例えば、ソイルファーム社製の造粒機(型式:GR−2000,GR−3000)があげられる。
造粒された育苗培土は、造粒後、生産効率等を考慮して、例えば、キルン式乾燥機(型式:S−1000,S−1600)等を使用して乾燥することが好ましいが、育苗培土は、絶乾状態にする必要はなく、含水率25%以下で充分である。含水率が多すぎると、培土の軽量化や、カビや腐敗の発生防止が図れない傾向がみられるからである。
そして、育苗培土の平均粒径が、0.5〜5mmであることが、培土全体としての団粒性(吸水性・保水性・透水性・通気性等)の点から好ましい。平均粒径が小さすぎると、培土全体が密に詰まってしまい、理想的な団粒性が低下し吸水性・保水性は良くなってくるものの、透水性、通気性が低下してくる傾向がみられる。逆に、平均粒径が大きすぎると、透水性、通気性が良くなる傾向がみられるものの、吸水性、保水性が低下してくる傾向がみられるからである。
また、上記平均粒径0.5〜5mmの育苗培土が、育苗培土全体に対し50重量%以上含有していることが、特に好ましい。含有量が少ないと、培土全体が密に詰まってしまい、理想的な団粒性が低下する傾向がみられるからである。
〈機械移植等のための固化培土〉
本発明の製法により得られた育苗培土を用いて、機械移植等のために培土を固化する場合には、再乳化性樹脂粉末の添加量等を調整して、培土の硬さ等をコントロールすることができる。例えば、再乳化性樹脂粉末の添加量は、培土を構成する材料の種類、苗の種類と生育状況および必要とされる培土の硬さ等により、適宜選択される。
そして、育苗の機械移植の際等に、培土を固化する具体例としては、まず、育苗用のプラスチック製セルトレー(例えば、タキイ種苗社製:規格128穴)に、培土(例えば、タキイ種苗社製:種まき培土)と再乳化性樹脂粉末とを混合した育苗培土を詰め、種を蒔いて水を灌水・散水する。この水により、粉末が再乳化しバインダーとして機能して固化する。これにより、わざわざ機械移植前に、再乳化したエマルジョンを灌水・散水および浸漬して固化しなくても、機械移植に供する固化培土が得られるようになる。
また、散水等により、育苗培土中の再乳化性樹脂粉末が、培土中で再乳化し、その再乳化したエマルジョンが、培土に対し良好な浸透性および均一分布性を有することから、固化した後には、移植時における培土の崩壊を起こさせない程度の均一強度を有する育苗培土が得られるようになる。これは、特に比較的重い培土を使用した時等に有用である。
本発明の製造方法によれば、含水量が少ない育苗培土が得られるようになるため、軽量で、輸送コストを抑えられるとともに、取り扱い性に優れるようになる。また、含水量が少ないため、保存の際にカビの発生は現実には起こり難く、防カビ剤等の添加剤の使用を抑えることができる。
そして、本発明に係る再乳化性樹脂粉末は、乳化剤としてPVA系樹脂を用いるため、実質的には乳化剤を使用しない、自然崩壊性の高い環境に優しいタイプの再乳化性樹脂粉末であり、これをバインダーとする本発明の育苗培土も、環境に優しい培土となる。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
まず、実施例および比較例で用いる再乳化性樹脂粉末を、下記合成例1〜7にしたがって製造するが、この製造に用いる各成分材料の配合割合について、下記の表1に示す。また、各合成例における乾燥前のエマルジョンについて、そのエマルジョン中の合成樹脂の計算上のガラス転移温度と、そのエマルジョンの前記式(1)で算出される値(W)を、下記の表1に併せて示した。なお、いずれの測定も、後添加PVA水溶液の添加する前のエマルジョンを使用し、皮膜を形成して試験した。
Figure 2009034009
〔合成例1(実施例1用)〕
攪拌機と還流冷却器とを備えた2Lサイズのステンレス製反応缶に、640部の水と、アセトアセチル基変性PVA(日本合成化学工業社製、平均ケン化度:約98モル%、平均重合度:約400、アセトアセチル化度:0.5モル%)46部を仕込み、反応缶を85℃に加熱して、アセトアセチル基変性PVAを水に溶解させた。つぎに、この反応缶の温度を80℃に保ち、ここに、予め混合しておいた混合モノマー〔ブチルアクリレート362部/メチルメタクリレート296部=55/45(重量比)(親水性モノマー:45%)〕の66部を添加して、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:2.5%)19部を用いて、初期重合反応を1時間行った。次いで、残りの混合モノマー592部を、反応缶に4時間に渡って滴下して、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:2.5%)38部を、さらに加えながら滴下重合を進行させた。滴下終了後に、過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:2.5%)6部を加え、80℃で1時間熟成させ、エマルジョン1を得た。
(後添加)
その後、上記エマルジョン1に、後添加用のPVA(平均重合度500、平均ケン化度88モル%の部分ケン化PVA「ゴーセノールGL05/日本合成化学工業社製」の20%水溶液)276部を加え充分に攪拌して、本発明に係る不揮発分45.5%の後添加後のエマルジョン1(平均粒子径0.45μm)を得た。
(再乳化性樹脂粉末の製造)
上記得られた後添加後のエマルジョン1を、抗粘結剤として平均粒子径2〜3μの炭酸カルシウムの存在下(樹脂粉末に対して15重量%)において、ノズル式の噴霧乾燥機により熱源を熱風として、130℃の温風下にて噴霧乾燥させ、再乳化性樹脂粉末1を得た。
上記PVAの後添加前のエマルジョン1の、混合モノマー(ブチルアクリレート/メチルメタクリレート=55/45)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを−52℃、105℃とした場合、−1.2℃である。
上記計算上のガラス転移温度は、Foxの式を用いて算出した(日本エマルジョン工業会規格/JFE、合成樹脂エマルジョンの皮膜硬さ表示方法/107−1996)。以下同様の方法により算出する。
また、上記PVAの後添加前のエマルジョン1の、前記式(1)で算出される値(W)は、75重量%であった。
〔合成例2(実施例2用)〕
混合モノマーの種類と組成比を、ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルメタクリレート=45/35/20(重量比)(親水性モノマー:20%)に変更した以外は、合成例1と同様にして、後添加後の水性合成樹脂エマルジョン2(不揮発分45.1%、平均粒子径0.43μm)を製造し、また、これを合成例1と同様にして再乳化性樹脂粉末2を得た。
上記混合モノマー(ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエチルメタクリレート=45/35/20)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを−52℃、100℃、55℃とした場合、+6.0℃である。
また、PVAの後添加前のエマルジョン2の前記式(1)で算出される値(W)は72重量%であった。
〔合成例3(実施例3用)〕
合成例1のアセトアセチル基変性PVAを、側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA(重合度300、平均ケン化度99.1モル%、側鎖の1,2−ジオール結合の含有量8モル%/日本合成化学工業社製)に変更した以外は、合成例1と同様にして、後添加後のエマルジョン3(不揮発分45.6%、平均粒子径0.47μm)を製造し、また、これを合成例1と同様にして再乳化性樹脂粉末3を得た。
上記後添加前の混合モノマーからなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、合成例1と同様である。
また、PVAの後添加前のエマルジョン3の前記式(1)で算出される値(W)は79重量%であった。
〔合成例4(実施例4用)〕
混合モノマーの種類と組成比を、ブチルアクリレート/メチルメタクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=64.4/35.1/0.5(重量比)(親水性モノマー:35.6%)に変更した以外は、合成例3と同様にして、後添加後のエマルジョン4(不揮発分45.3%、平均粒子径0.51μm)を製造し、また、これを合成例1と同様にして再乳化性樹脂粉末4を得た。
上記主混合モノマー(ブチルアクリレート/メチルメタクリレート=65/35)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを−52℃、105℃とした場合、−14.4℃である。
また、PVAの後添加前のエマルジョン4の前記式(1)で算出される値(W)は75重量%であった。
〔合成例5(実施例5用)〕
合成例1において、重合時に使用したアセトアセチル基変性PVAを、平均重合度500,平均ケン化度88モル%の部分ケン化PVA(ゴーセノールGL05/日本合成化学工業社製)と、平均重合度1400,平均ケン化度88モル%の部分ケン化PVA(ゴーセノールGM14/日本合成化学工業社製)とに変更し(ゴーセノールGL05/ゴーセノールGM14=90/10(重量比))、かつ、混合モノマーの種類と組成比を、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/ブチルアクリレート=60/20/20(重量比)(親水性モノマー:60%)に変更した以外は、合成例1と同様にして、後添加後のエマルジョン5(不揮発分45.1%、平均粒子径1.5μm)を製造し、また、これを合成例1と同様にして再乳化性樹脂粉末5を得た。
上記混合モノマー〔酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/ブチルアクリレート=60/20/20(親水性モノマー:60%)〕からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを30℃、−3℃、−52℃とした場合、+2.8℃である。
また、PVAの後添加前のエマルジョン5の前記式(1)で算出される値(W)は65重量%であった。
〔合成例6(実施例6用)〕
混合モノマーの種類と組成比を、ブチルアクルレート/スチレン/メチルメタクリレート=55/40/5(重量比)(親水性モノマー:5%)に変更した以外は、合成例1と同様にして、後添加後のエマルジョン6(不揮発分44.7%、平均粒子径0.45μm)を製造し、また、これを合成例1と同様にして再乳化性樹脂粉末6を得た。
上記混合モノマー(ブチルアクルレート/スチレン/メチルメタクリレート=55/40/5)からなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、それぞれのホモポリマーのTgを−52℃、100℃、105℃とした場合、−2.2℃である。
PVAの後添加前のエマルジョン6の前記式(1)で算出される値(W)は71重量%であった。
〔合成例7(比較例1用)〕
攪拌機と還流冷却器とを備えた2Lサイズのステンレス製反応缶に、300部の水と、活性剤〔ラテムルWX(花王株式会社製)15部/エマルゲン1135S(花王株式会社製)5部〕を仕込み、加熱して、上記活性剤を水に溶解させた。つぎに、この反応缶の温度を80℃に保ち、ここに、予め300部の水と、40部のラテムルWXと、5部のエマルゲン1135Sと、混合モノマー〔ブチルアクリレート362部/メチルメタクリレート296部=55/45(重量比)(親水性モノマー:45%)〕の658部とを、添加・攪拌して作成した乳化モノマーのうち100部を仕込み、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:2.5%)19部を用いて、初期重合反応を1時間行った。ついで、残りの乳化モノマー903部を、反応缶に4時間に渡って滴下して、重合開始剤として過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:2.5%)38部を、さらに加えながら滴下重合を進行させた。滴下終了後に、過硫酸アンモニウム水溶液(濃度:2.5%)6部を加え、80℃で1時間熟成させ、エマルジョン7を得た。
(後添加および粉末化)
その後、上記エマルジョン7に、後添加用PVA(平均重合度500、平均ケン化度88モル%の部分ケン化PVA「ゴーセノールGL05/日本合成化学工業株式会社製」の20%水溶液)276部を加え、充分に撹拌して、不揮発分45.3%の後添加後のエマルジョン7(平均粒子径0.11μm)を製造し、また、これを合成例1と同様にして再乳化性樹脂粉末7を得た。
上記後添加前の混合モノマーからなる合成樹脂の計算上のガラス転移温度(Tg)は、合成例1と同様である。
また、PVA後添加前のエマルジョン7の前記式(1)で算出される値(W)は、熱水・アセトン抽出時にボロボロになり測定出来なかった。
〔実施例1〜6、比較例1〕
合成例1〜7で得られた再乳化性樹脂粉末を、培土(タキイ種苗社製:種まき培土)1L当たり4g添加して充分にかき混ぜ、目的とする実施例・比較例用の各育苗培土を製造した。
上記のようにして得られた実施例および比較例用の各育苗培土を用い、下記の方法にしたがって、育苗培土の固化性試験を測定・評価した。その結果を、後記の表2に示す。
〈育苗培土の固化性試験〉
上記得られた育苗培土を、育苗用のプラスチック製セルトレー(タキイ種苗社製:規格128穴)に充填し、このセルトレーの上から充分に培土全体に行き渡るように散水して、室温(25℃)下で2日間乾燥した。各セルトレーから、固化した育苗培土を家庭用フォークで刺して取り出し、根鉢部分の培土の固化状況を目視にて評価した。具体的には育苗培土の固化状況を、根鉢部分の培土の崩壊度より、下記の基準にしたがって評価した。評価A−Bを合格レベルとした。
A:根鉢部分の培土の崩壊度が20%未満――移植に際し、まったく問題ないレベル。
B:根鉢部分の培土の崩壊度が20%以上50%未満――移植に際し、実用上問題ないレベル。
C:根鉢部分の培土の崩壊度が50%以上――移植に際し、問題になることが予想されるレベル。
また、育苗培土に上面灌水・散水等することによって、育苗培土中における再乳化性樹脂粉末が再乳化するため、育苗培土中の再乳化性樹脂粉末と培土との関係を評価する代用試験として、再乳化エマルジョンについて、培土への浸透性試験、マイグレーション防止性試験を、下記の方法にしたがって測定・評価した。また、育苗培土中の再乳化性樹脂粉末の挙動を評価する代用試験として、再乳化性樹脂粉末について、再乳化・分散性試験を、下記の方法にしたがって測定・評価した。これらの結果を、後記の表2に併せて示す。
まず、この代用試験に先立って、合成例1〜7で得られた再乳化性樹脂粉末の50部を、各々水50部に添加し、これを攪拌速度約800rpmで15分間攪拌することによって、再乳化・分散させ、再乳化エマルジョン1〜7を調製した。得られたこの再乳化エマルジョン1〜7を各々、下記の試験毎の所定の不揮発分に調整し、これを育苗培土中の再乳化性樹脂粉末と培土との関係を評価する代用試験(培土への浸透性試験、マイグレーション防止性試験)に供した。なお、再乳化・分散性試験では、合成例1〜7で得られた再乳化性樹脂粉末を、そのまま用いた。
〈上面灌水・散水時の培土への浸透性試験〉
育苗用のプラスチック製セルトレー(タキイ種苗社製:規格128穴)に、培土(タキイ種苗社製:種まき培土)を詰め、上記再乳化エマルジョンを水希釈して不揮発分を約2.3%に調整し、該セルトレーの上から散水し、培土全体に行き渡り、セルトレーの下から固化液が染み出る時間を以って下記の基準で評価した。評価A−Bを合格レベルとした。
A:セルトレーの下から固化液が染み出る時間が10秒未満――まったく問題ないレベル。
B:セルトレーの下から固化液が染み出る時間が10秒以上30秒未満――実用上問題ないレベル。
C:セルトレーの下から固化液が染み出る時間が30秒以上――作業上問題になるレベル。
〈マイグレーション防止性試験〉
東洋濾紙No.2を正確に10cm角に切り、23℃×65%RH×24時間調湿後、1枚毎に重量を測定する(A)。1枚毎に樹脂粉末の再乳化エマルジョン(不揮発分を約4.5%に調整)に含浸させ、5枚を重ねたままの状態でマングルを使用して、再乳化エマルジョンが濾紙から滴り落ちない程度に軽く絞る。ついで、直ちに5枚を重ねたままネットで挟んで130℃×10分間乾燥し、更に1枚毎に130℃×10分間乾燥する。再度、23℃×65%RH×24時間調湿後、1枚毎の重量を測定する(B)。この含浸して乾燥した各濾紙の平均樹脂着量を、計算により算出する(C)。下記の式(3)より、1枚毎の平均着量に対する樹脂付着増減率(重量%)を求める。
◎:平均着量に対する増減率(重量%)が10%未満――非常に良好
○:平均着量に対する増減率(重量%)が10以上20%未満――良好
△:平均着量に対する増減率(重量%)が20以上40%未満――やや不良
×:平均着量に対する増減率(重量%)が40%以上――不良
濾紙1枚毎の平均着量に対する増減率(重量%)=(B−A)/C …(3)
A:各濾紙の重量(g)
B:再乳化エマルジョン(不揮発分を約4.5%に調整)を含浸させ乾燥した各濾紙の23℃×65%RH×24時間調湿後の重量(g)
C:各濾紙の平均樹脂着量(g)=濾紙5枚に含浸した樹脂の全重量(g)/5
〈再乳化・分散性試験〉
攪拌しながら脱イオン水50gに、再乳化性樹脂粉末50gを分散し、その後1000回転で10分間攪拌して再乳化・分散した。この再乳化・分散液を容積250ccのガラス容器に入れ室温で1週間放置した。この時の再乳化・分散性を下記の基準で評価した。
◎:均一な再乳化・分散液が得られ、樹脂粉末の沈降が僅かしか観られない状態
○:均一な再乳化・分散液が得られ、樹脂粉末の沈降が少し観られる状態
△:均一な再乳化・分散液に相分離がやや認められ、樹脂粉末の沈降がある状態
×:均一な再乳化・分散液に相分離が認められ、樹脂粉末の沈降がかなり多い状態
Figure 2009034009
上記の結果から、実施例用の再乳化性樹脂粉末は、浸透性試験、マイグレーション防止性試験、および再乳化・分散性試験において、いずれも良好な結果が得られたものであり、育苗培土の製造に好適なバインダーであることが分かる。よって、このバインダーを用いると、バインダーの均一分散性等に優れる育苗培土が得られるものである。また、実施例の固化性試験では、いずれも培土の崩壊が起こらず、均一強度を有する育苗培土が得られることが分かる。
これに対して、比較例1では、保護コロイドとしてPVA系樹脂を用いず、界面活性剤を用いているため、マイグレーション防止性や再乳化・分散性に劣るものであった。
なお、合成例1〜6で得られた再乳化性樹脂粉末を、培土(タキイ種苗社製:種まき培土)1L当たり4g添加して混合し、この混合物100部に対して、水30部を加え、それをソイルファーム社製の造粒機(GR−2000)により、平均粒径が3.5〜4mm程となる育苗培土を造粒した。造粒された育苗培土は、実施例1〜6で得られたものと同様の効果を示した。
以上より、本発明に係る再乳化性樹脂粉末は、育苗培土の製造に好適なバインダーであることが分かるとともに、かかる再乳化性樹脂粉末と培土との混合物については、良好な育苗培土となることが分かる。
本発明の育苗培土の製法により得られる育苗培土は、土壌表面、特に河川堤防、道路法面等の傾斜地、海岸等の砂地、および埋立地等、一般に緑が困難とされている地表面の緑化用の培土としても使用できる。

Claims (12)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンから得られる再乳化性樹脂粉末と、培土とを混合した混合物を、そのままもしくは粒状化して育苗培土とすることを特徴とする育苗培土の製造方法。
  2. 育苗培土の平均粒径が、0.5〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載の育苗培土の製造方法。
  3. 再乳化性樹脂粉末と培土とを混合した混合物に、さらに水を、この混合物100重量部に対して、10〜50重量部含有させて育苗培土とすることを特徴とする請求項1または2記載の育苗培土の製造方法。
  4. 再乳化性樹脂粉末の見かけの平均粒子径が、20〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の育苗培土の製造方法。
  5. 再乳化性樹脂粉末の再乳化速度が、23℃の水温下で、不揮発分45%にて調整した時に0.5〜20分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の育苗培土の製造方法
  6. 水性合成樹脂エマルジョンの構成成分である合成樹脂が、アクリル系モノマー、ビニル系モノマー、およびスチレン系モノマー群から選ばれた少なくとも1種のモノマー成分(a)を主成分として重合してなるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の育苗培土の製造方法。
  7. 水性合成樹脂エマルジョンの構成成分である合成樹脂が、20℃の水に対する溶解度が1重量%以上である親水性モノマーを、全モノマー成分の10重量%以上含有してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の育苗培土の製造方法。
  8. ポリビニルアルコール系樹脂が、活性水素を含有するポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の育苗培土の製造方法。
  9. ポリビニルアルコール系樹脂が、側鎖に1,2−ジオール結合を有するポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の育苗培土の製造方法。
  10. ポリビニルアルコール系樹脂の一部が、水性合成樹脂エマルジョンの構成成分である合成樹脂にグラフトしていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の育苗培土の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の育苗培土の製造方法により得られることを特徴とする育苗培土。
  12. ポリビニルアルコール系樹脂により分散安定化された水性合成樹脂エマルジョンから得られる再乳化性樹脂粉末と、培土とを混合してなることを特徴とする育苗培土。
JP2007199383A 2007-07-31 2007-07-31 育苗培土の製造方法およびそれにより得られる育苗培土 Pending JP2009034009A (ja)

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