JP2009021062A - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池を暖機する際の燃料消費量を削減することができる燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法を提供する。
【解決手段】触媒燃焼器41を使用すると判断した場合には、触媒燃焼器41への水素および空気の供給を開始する。そして、触媒燃焼器41へ冷媒の供給を開始して、燃料電池10の温度変化量ΔTを算出し、温度変化量ΔTに基づいて、触媒燃焼器41への水素供給を停止する燃料電池温度T1を決定する。燃料電池10の温度がT1以上になったら、触媒燃焼器41への水素供給を停止する。そして、温度変化量ΔTを再度算出して、温度変化量ΔTが所定値以下になったら、触媒燃焼器41への冷媒供給を停止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池を暖機する暖機装置を備えた燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法に関する。
従来、燃料電池システムでは、燃料電池を低温環境下で使用する場合に燃料電池の暖機を促進させるために、燃焼器を用いて、その燃焼器の発熱を利用して燃料電池の内部を流れる冷媒を暖めて、燃料電池の温度が所定温度に達するまで加熱する方法が種々提案されている。
特開2000−164233号公報(段落0057,0132、図1および図6)
しかしながら、特許文献1に記載のような従来の燃料電池システムでは、燃焼器で燃焼させる際の燃料として、燃料電池の発電に使用される燃料(水素)を用いることが行われている。このため、燃料電池の発電に使用される燃料(水素)が大量に消費されることにより、燃料効率が悪化するという問題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、燃料電池を暖機する際の燃料消費量を削減することができる燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、酸化ガスと燃料ガスとが供給されて発電を行う燃料電池と、前記燃料ガスを燃焼させることにより発熱する燃焼器と、前記燃料電池と前記燃焼器との間において冷媒を循環させる循環手段と、を有し、前記燃焼器において発生した燃焼熱により加熱した前記冷媒を前記燃料電池に供給して暖機を行う燃料電池システムにおいて、前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、前記検出された温度を用いて前記燃料電池の温度変化量を算出する温度変化量算出手段と、前記温度変化量に基づいて前記燃焼器への燃料ガスの供給を停止する燃料電池温度を決定する燃料ガス供給停止温度決定手段と、をさらに有することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、従来では燃料電池が所定温度(暖機終了温度)に達すると燃焼器への燃料ガス供給を停止していたが、燃料電池の温度変化量に基づいて燃焼器に供給される燃料ガス供給の停止判断を行うため、燃焼器への燃料ガス供給を停止しても燃焼器の余熱のみで燃料電池が所定温度(暖機終了温度)に達すると予測できる場合には、所定温度に達する前に燃料ガス供給を停止させることが可能になる。よって、早めに停止した分の燃料ガスの消費を削減することが可能になり、燃料電池システムにおける燃費効率が向上する。
請求項2に係る発明は、前記燃料ガス供給停止温度決定手段は、前記燃料電池の温度上昇変化量が大きいほど、前記燃焼器への燃料ガスの供給を停止する燃料電池温度を低い値に設定することを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、温度上昇変化量が大きいと燃焼器への燃料ガス供給を、温度上昇変化量が小さい場合に比べて早めに停止しても、その余熱のみで燃料電池を所定温度(暖機終了温度)まで上昇できるため、燃料ガスの消費を削減することが可能になり、燃料電池システムにおける燃費効率が向上する。
請求項3に係る発明は、前記燃焼器を迂回して前記燃料電池に冷媒を循環させる冷媒迂回手段と、前記燃焼器への燃料ガスの供給停止後に再度算出した燃料電池の温度変化量に基づいて、前記冷媒迂回手段により冷媒を前記燃焼器を迂回させるかを判断する燃焼器迂回判断手段と、を有することを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、燃焼器への燃料ガス供給を停止してからの燃料電池の温度変化量に基づいて冷媒を迂回させるかを判断するため、余熱では冷媒を温めきれなくなった場合など、燃料電池の暖機促進を阻害するような温度になる前に燃焼器を迂回させることにより、燃料電池の暖機時間を短縮させることが可能になる。
請求項4に係る発明は、前記燃焼器迂回判断手段は、前記燃料電池の温度変化量が所定値以下になったときに前記燃焼器を迂回させると判断することを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、触媒燃焼器の余熱では冷媒を温めきれなくなった場合などを温度変化量によって判断するため、燃料電池の暖機を阻害しないように冷媒を迂回させるタイミングを正確に決めることが可能になる。よって、燃料電池の暖機時間を短縮させることが可能になる。
請求項5に係る発明は、前記燃焼器は、燃料ガスと酸化ガスとを触媒に供給することにより触媒燃焼を行う触媒燃焼器であり、前記燃焼器への燃料ガスの供給停止後も酸化ガスの供給を継続することを特徴とする。
請求項5に係る発明によれば、燃焼用の触媒を高温状態で使用する時間を短縮できるため、触媒の劣化を低減させることが可能になり、触媒の寿命が向上する。また、燃料ガス供給停止後も酸化ガスが燃焼器内部を流れることにより、冷媒と熱交換を行いつつ、燃焼により発生した水蒸気や未燃焼ガスの燃焼器外部への排出を早めに行うことができるため、燃焼器の停止に係る時間を短縮させることが可能になる。
請求項6に係る発明は、酸化ガスと燃料ガスとが供給されて発電を行う燃料電池と、前記燃料ガスを燃焼させることにより発熱する燃焼器との間で冷媒を循環させ、前記燃焼器において発生した燃焼熱により加熱した冷媒を前記燃料電池に供給して暖機を行う燃料電池システムの運転方法において、前記燃料電池の温度を検出するステップと、前記検出された温度を用いて前記燃料電池の温度変化量を算出するステップと、前記温度変化量に基づいて前記燃焼器への燃料ガスの供給を停止する燃料電池温度を決定するステップと、を有することを特徴とする。
請求項6に係る発明によれば、従来では燃料電池が所定温度(暖機終了温度)に達すると燃焼器への燃料ガス供給を停止していたが、燃料電池の温度変化量に基づいて燃焼器に供給される燃料ガス供給の停止判断を行うため、燃焼器への燃料ガス供給を停止しても、燃焼器の余熱のみで燃料電池が所定温度(暖機終了温度)に達すると予測できる場合には、所定温度に達する前に燃料ガス供給を停止できる。したがって、早めに停止した分の燃料ガスの消費を削減することが可能になり、燃料電池システムにおける燃料効率が向上する。
本発明の燃料電池システムおよび燃料電池システムの運転方法によれば、燃料電池を暖機する際の燃料消費量を削減することができる。
図1は本実施形態の燃料電池システムを示す全体構成図、図2は燃料電池システムの起動時の制御を示すフローチャート、図3は温度上昇変化量と水素供給を停止するときの燃料電池温度との関係を示すマップ、図4は暖機運転時のタイミングチャートである。なお、以下では、燃料電池自動車を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、船舶、航空機、定置式の家庭用電源などあらゆるものに適用できる。
図1に示すように本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池10、アノード系20、カソード系30、暖機系40、希釈系50、制御系60などを含んで構成されている。
前記燃料電池10は、例えば、固体高分子型であるPEM(Proton Exchange Membrane)型の燃料電池であり、電解質膜をアノード(水素極)とカソード(酸素極)とで挟んで構成した膜電極構造体(MEA;Membrane Electrode Assembly)を有し、この膜電極構造体を一対の導電性のセパレータ(図示せず)で挟んで構成した単セルを厚み方向に複数積層した構造を有している。また、燃料電池10を構成するセパレータには、燃料ガスとしての水素が流通する流路、酸化ガスとしての空気が流通する流路、および冷媒が流通する流路が形成されている。
このようにして形成された燃料電池10では、アノードに水素が、カソードに空気(酸素)がそれぞれ供給され、水素と酸素との電気化学反応により発電が可能になる。燃料電池10から取り出された発電電力(発電電流)は、走行モータ(図示せず)、後記するエアコンプレッサ31、蓄電装置(図示せず)、各種弁などの外部負荷に供給される。
前記アノード系20は、燃料電池10のアノードに水素(燃料ガス)を供給し、かつ、アノードから水素(アノードオフガス)を排出するものであり、水素タンク21、水素遮断弁22、パージ弁23、アノード配管26a〜26cなどを備えている。
前記水素タンク21は、例えば、アルミニウム合金により形成され、その内部に高純度の水素ガスを高圧で貯留するタンク室(図示せず)を有し、そのタンク室の周囲をCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)や、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic:ガラス繊維強化プラスチック)等で形成されたカバー(図示せず)で被覆して構成されている。
前記水素遮断弁22は、例えば電磁作動式のものであり、水素タンク21の下流近傍に設けられている。また、水素遮断弁22は、アノード配管26aを介して水素タンク21と接続され、アノード配管26bを介して燃料電池10のアノードの入口と接続されている。なお、水素遮断弁22は、水素タンク21内に設けられるようなインタンク式のものであってもよい。
前記パージ弁23は、燃料電池10のアノードの出口に接続されたアノード配管26cに設けられ、例えば定期的に開弁して、アノードに蓄積した不純物(窒素など)を排出する機能を有している。
前記カソード系30は、燃料電池10のカソードに空気(酸化ガス)を供給し、かつ、カソードからカソードオフガス(空気や生成水など)を排出するものであり、エアコンプレッサ31、背圧弁32、カソード配管34a,34bなどで構成されている。
前記エアコンプレッサ31は、モータにより駆動されるスーパーチャージャなどで構成され、外気を圧縮して、カソード配管34aを介して燃料電池10のカソードに供給する機能を有している。
前記背圧弁32は、例えばバタフライ弁などの開度調節可能な弁で構成され、カソード系30内の圧力を適宜調節する機能を有している。
前記暖機系40は、加熱した冷媒を燃料電池10に供給して暖機する機能を有し、触媒燃焼器41などを備えて構成されている。
前記触媒燃焼器41は、燃焼部42と熱交換部43とを備え、燃焼熱により冷媒(水、不凍液など)を加熱する機能を有している。
前記燃焼部42は、例えば、セラミックで形成された微細な気体流通路を有したハニカム形状の構造体に、白金やパラジウムなどの酸化触媒を担持させて形成したものである。この燃焼部42には、前記水素タンク21から燃料導入配管47aを介して燃料電池10に供給される前の水素(燃料ガス)が供給され、前記エアコンプレッサ31から空気導入配管47bを介して燃料電池10に供給される前の空気(酸化ガス)が供給され、水素と空気とが混合器46で混合された後に燃焼部42に供給されるように構成されている。
なお、前記燃料導入配管47aは、前記アノード配管26aから分岐して形成され、上流側から順に遮断弁48a、水素供給装置48bなどが設けられている。遮断弁48aは、燃料電池10の暖機時に開弁するように制御される。水素供給装置48bは、例えば水素インジェクタで構成され、空気導入配管47bの流路に水素を噴射する機能を有し、水素の噴射量を制御できるようになっている。すなわち、噴射時間を長くすることにより噴射量が増加し、噴射時間を短くすることにより噴射量が減少するようになっている。なお、水素供給装置48bとしては、水素インジェクタに限定されず、エゼクタなどであってもよい。
また、前記空気導入配管47bは、前記カソード配管34aから分岐して形成され、遮断弁49aを備えて構成されている。この遮断弁49aは、燃料電池10の暖機時に開弁するように制御される。
前記熱交換部43は、燃焼部42の下流側に設けられ、燃焼部42で生成された燃焼オフガス(排ガス)が流れる流路と、前記冷媒が流れる流路とが互いに交じり合わないように区画された構造を有し、燃焼オフガスと冷媒との間で熱交換を行うようになっている。
また、触媒燃焼器41の冷媒が排出される出口41aは、燃料電池10の冷媒が供給される入口10aと冷媒配管43aを介して接続されている。また、燃料電池10の冷媒が排出される出口10bは、触媒燃焼器41の冷媒が導入される入口41bと冷媒配管43bを介して接続されている。また、冷媒配管43bには、冷媒を循環させるためのウォータポンプ44が設けられている。これら冷媒配管43a,43bおよびウォータポンプ44により、本実施形態の循環手段が構成され、燃料電池10と触媒燃焼器41との間で冷媒を循環させることができるようになっている。
また、本実施形態の燃料電池システム1には、触媒燃焼器41を迂回して燃料電池10に冷媒を循環させる冷媒迂回手段45が設けられている。この冷媒迂回手段45は、冷媒配管43aと冷媒配管43bとを接続するバイパス配管45aと、冷媒を触媒燃焼器41側と、触媒燃焼器41を迂回する側とに切り替える三方弁45bとで構成されている。
前記希釈系50は、希釈器51、アノードオフガス導入配管52、カソードオフガス導入配管53、排出管54などで構成されている。
前記希釈器51は、アノードオフガスに含まれる水素を所定の濃度以下に希釈してから排出する機能を有している。なお、本実施形態では、カソードオフガスを希釈ガスとして使用しているが、これに限定されるものではなく、燃料電池10の上流側の空気(酸化ガス)を希釈ガスとして利用してもよい。
前記アノードオフガス導入配管52は、希釈器51とパージ弁23とを接続し、アノードオフガスを希釈器51に導入する機能を有している。
前記カソードオフガス導入配管53は、希釈器51と背圧弁32とを接続し、カソードオフガスを希釈器51に導入する機能を有している。
前記排出管54は、希釈器51の下流側に接続され、希釈器51で希釈されたガスを車外(大気中)に排出するように構成されている。
なお、排出管54には、触媒燃焼器41から排出された燃焼オフガスを排出する燃焼オフガス配管41cが接続されている。なお、図示していないが、排出管54の燃焼オフガス配管41cとの合流部よりも下流側には、水素濃度を検出する水素センサが設けられている。
前記制御系60は、制御装置61、温度センサ62,63などで構成されている。
前記制御装置61は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、周辺回路、入出力インタフェースなどから構成され、温度変化量算出手段、燃料ガス供給停止温度決定手段、燃焼器迂回判断手段を備えている。この制御装置61は、水素遮断弁22、パージ弁23、エアコンプレッサ31、背圧弁32、ウォータポンプ44、三方弁45b、遮断弁48a,49a、水素供給装置48b、温度センサ62,63と接続されている。
前記温度センサ62は、燃料電池10の温度(FC温度)を検出する機能を有し、冷媒配管43bの燃料電池10の出口近傍に設けられている。なお、FC温度は、冷媒出口温度に限定されるものではなく、アノード系20のガス温度、カソード系30のガス温度であってもよく、あるいは燃料電池10の温度を直接検出するものであってもよい。
前記温度センサ63は、触媒燃焼器41内の触媒の温度を検出する機能を有し、触媒温度が所定温度を超えたときに、触媒燃焼器41に供給する水素流量や空気流量を増やす制御が行われるように構成されている。
次に、本実施形態の燃料電池システム1の動作について図2ないし図4を参照(適宜図1を参照)しながら説明する。なお、燃料電池システム1が停止している状態では、水素遮断弁22およびパージ弁23が閉じ、エアコンプレッサ31が停止し、背圧弁32が開き、ウォータポンプ44が停止し、三方弁45bが触媒燃焼器41をバイパスする位置にあり、遮断弁48a,49aがそれぞれ閉じられている。また、以下では、水素供給装置48bとして水素インジェクタを例に挙げて説明する。
まず、図2に示すように、運転者によってイグニッションがオン(IG−ON)されると、ステップS100において、制御装置61は、触媒燃焼器41を使用する(作動させる)かどうかを判断する。触媒燃焼器41を使用する際の条件としては、例えば、氷点下(所定温度、例えば、−30℃)の低温環境下で使用されており、燃料電池10の暖機が必要な場合である。なお、そのときの温度は、燃料電池10の温度、外気温度(外気温度センサ)などに基づいて判断してもよく、ナビゲーション装置が搭載されているものであれば天気予報情報に基づいて判断してもよい。
ステップS100において、制御装置61は、触媒燃焼器41を使用すると判断した場合には(Yes)、ステップS101に進み、触媒燃焼器41の運転を開始する。なお、ここでは、着火モードや定常モードの一連のモードを開始するように制御する。まず、遮断弁48aを開くことで水素供給装置48bから空気導入配管47bに水素が噴射され、遮断弁49aを開くとともにエアコンプレッサ31の駆動を開始することで空気導入配管47bに空気を供給する。これにより、水素と空気とが混合器46で混合された後、触媒燃焼器41に混合ガスとして供給され、燃焼部42において触媒燃焼が開始される。
そして、ステップS102に進み、制御装置61は、ウォータポンプ44の駆動を開始するとともに、三方弁45bを触媒燃焼器41の位置に切り替えて、冷媒を触媒燃焼器41に供給開始する。なお、触媒燃焼器41に冷媒の供給を開始するタイミングは、触媒燃焼器41の触媒温度が所定温度まで上昇したときである。つまり、触媒燃焼器41への水素および空気の供給開始と同時にすると、触媒燃焼器41に低温の冷媒が供給されることになり、触媒燃焼器41の温度上昇が阻害されるからである。
そして、ステップS103に進み、制御装置61は、燃料電池10の温度変化量ΔTを算出する。なお、温度変化量ΔTは、温度センサ62により、所定時間における(単位時間当たりの)温度変化を検出することにより算出される。このステップS103が、本実施形態における温度変化量算出手段が実施する処理に相当する。
そして、ステップS104に進み、制御装置61は、ステップS103で算出した温度変化量ΔTにより、触媒燃焼器41への水素供給を停止する燃料電池温度T1を決定する。すなわち、現在の燃料電池10の温度と、温度変化量ΔTとにより、水素供給を停止しても暖機終了温度にまで到達できる燃料電池温度T1を決定する。なお、このステップS104が、本実施形態の燃料ガス供給停止温度決定手段が実施する処理に相当する。この燃料電池温度T1は、例えば、図3のマップに基づいて決定され、温度上昇変化量(温度変化量)ΔTが大きいほど、燃料電池温度T1を低い値に設定できる。例えば、現在の温度上昇変化量ΔTがΔTaである場合には、燃料電池10の温度がTaに到達したら水素供給を停止する。なお、燃料電池温度T1の決定は、マップに限定されるものではなく、関数やテーブルなどを用いて決定してもよい。
そして、ステップS105に進み、制御装置61は、温度センサ62から検出される燃料電池10の温度(以下、FC温度と略記する)が燃料電池温度T1以上であるかどうかを判断する。つまり、FC温度が燃料電池温度T1に到達したかどうかを判断する。ステップS105において、制御装置61は、FC温度が燃料電池温度T1以上でないと判断した場合には(No)、ステップS103に戻り、FC温度が燃料電池温度T1以上になったと判断した場合には(Yes)、ステップS106に進む。
なお、ステップS103において算出した温度変化量ΔTは、時間の経過とともに変化するので、ステップS104において決定する燃料電池温度T1も変化する。よって、燃料電池温度T1は、燃料電池10の温度変化などに応じて適宜決定されるようになっている。
ステップS106において、制御装置61は、触媒燃焼器41への水素供給を停止する。すなわち、制御装置61は、遮断弁48aを閉じて、水素供給装置48bからの噴射を停止する。その後は、触媒燃焼器41の熱容量に相当する残留熱量(余熱)で冷媒が温められ、FC温度はさらに上昇する。
そして、ステップS107に進み、制御装置61は、ステップS103と同様にして、燃料電池10の温度変化量ΔTを再度算出する。ちなみに、触媒燃焼器41の余熱で冷媒を温めているので、燃料電池10の温度変化量ΔTは徐々に低下していく。
そして、ステップS108に進み、制御装置61は、ステップS107で算出した温度変化量ΔTが所定値以下であるかどうかを判断する。なお、所定値は、触媒燃焼器41の余熱を用いて燃料電池10の暖機効果が無くなる(または、ほとんど無くなる)と予想される値、例えばゼロ(温度上昇がなくなったとき)に設定される。これは、温度変化量ΔTが所定値以下になっても冷媒が触媒燃焼器41を通るようにすると、逆に冷媒が冷やされて、燃料電池10の暖機が阻害されるからである。なお、このステップS108が、本実施形態における燃焼器迂回判断手段が実施する処理に相当する。
ステップS108において、制御装置61は、温度変化量ΔTが所定値以下でないと判断した場合には(No)、ステップS107に戻り、温度変化量ΔTが所定値以下であると判断した場合には(Yes)、ステップS109に進む。
ステップS109において、制御装置61は、三方弁45bを、触媒燃焼器41をバイパスする位置に切り替えて、触媒燃焼器41への冷媒の供給を停止して、冷媒が燃料電池10と触媒燃焼器41との間で循環しないようにする。
そして、ステップS110に進み、制御装置61は、遮断弁49aを閉じて、触媒燃焼器41への空気の供給を停止して、触媒燃焼器41の運転を終了する。
そして、ステップS111に進み、制御装置61は、水素遮断弁22を開いて、燃料電池10のアノードへの水素供給を開始することで、燃料電池10の発電を開始する。
そして、ステップS112に進み、制御装置61は、イグニッションがオフされたかどうかを判断して、イグニッションがオフされていないと判断した場合には(No)、ステップS112を繰り返し、イグニッションがオフされたと判断した場合には(Yes)、処理を終了する。
一方、ステップS100において、制御装置61は、触媒燃焼器41を使用しないと判断した場合には(No)、ステップS111に進み、水素遮断弁22を開いて、水素タンク21から燃料電池10のアノードに水素を供給し、エアコンプレッサ31を駆動して、燃料電池10のカソードに空気を供給して、発電を開始する。
さらに、図4のタイミングチャートを参照しながら、本実施形態の燃料電池10の暖機について説明する。なお、図4で示す時刻tsは、従来の制御における燃焼器への水素供給停止のタイミングを示し、破線はそのときの変化を示している。
図4に示すように、時刻t0において、燃料電池10の暖機が開始されると(S101)、まず着火モードに設定される。すなわち、エアコンプレッサ31の駆動が開始されるとともに遮断弁49aが開弁されて、触媒燃焼器41への空気(エア)の流量が所定量1で供給される。また、遮断弁48aが開弁され、水素インジェクタ48cの噴射時間が所定時間1に設定され、触媒燃焼器41へ水素流量が所定量2で供給される。なお、着火モードとは、触媒が完全に燃焼を開始するまでのモードであり、触媒燃焼器41に空気および水素を定常モードよりも少なめに供給する。これにより、水素が燃焼部42を吹き抜けることなく、触媒温度が徐々に上昇して、FC温度(T)も徐々に上昇する。
そして、時刻t1において、触媒温度が所定温度(例えば50℃)になると、着火モードから定常モードに移行して、触媒燃焼器41への冷媒の供給が開始される(S102)。また、エアコンプレッサ31のモータの回転速度を上昇させ、触媒燃焼器41に供給する空気の流量が所定量3(>所定量1)で供給される。また、水素供給装置48bの噴射時間が所定時間2(>所定時間1)に切り替えられて、触媒燃焼器41に供給する水素の流量が所定量4(>所定量2)で供給される。これにより、触媒温度が例えば700℃まで上昇し、FC温度(T)が上昇する。なお、本実施形態において、着火モードから定常モードへの移行は、触媒温度に基づいて判断しているが、これに限定されるものではなく、時間(例えば、時刻t0からの経過時間)に基づいて判断してもよい。
そして、時刻t2において、FC温度が、決定された燃料電池温度T1に到達すると(S105、Yes)、水素供給装置48bをオフ(噴射時間を0)にして、触媒燃焼器41に供給される水素の流量を0にする(S106)。ただし、エアコンプレッサ31は定常モード時と同様の回転速度で駆動を継続する。このように、水素供給停止により触媒燃焼が停止したとしても、触媒燃焼器41が有している余熱で冷媒が温められるので、FC温度は徐々に上昇し、最終的に暖機終了温度(例えば、10〜20℃)に到達する。
そして、時刻t3において、再度算出したFC温度の温度変化量ΔT(S107)が所定値以下になると(S108、Yes)、触媒燃焼器41への冷媒の供給を停止する(S109)。
そして、時刻t4において、FC温度が暖機終了温度まで到達し、触媒燃焼器41が空気によって冷却されて、所定温度まで冷却されると、遮断弁49aを閉じて、触媒燃焼器41の運転を終了する(S110)。
このように、本実施形態の燃料電池システム1によれば、暖機終了温度(例えば、10℃)に到達する前に触媒燃焼器41への水素供給を停止させ、その後は触媒燃焼器41の余熱(熱容量に相当する残留熱量)で暖機を終了させることができる。よって、図4において斜線で示すように、水素供給を早めに停止した分の水素の消費を削減することが可能になり、燃料電池システム1の燃費効率を向上できる。
また、本実施形態によれば、図3に示すようなマップを用いて、温度上昇変化量ΔTが大きい場合には、小さい場合に比べて触媒燃焼器41への水素供給を早めに停止しても、触媒燃焼器41の余熱のみで燃料電池10を暖機終了温度まで上昇させることができるため、水素消費をさらに削減することが可能になり、燃料電池システムの燃費効率を向上できる。
また、本実施形態によれば、触媒燃焼器41への水素供給を停止してからの燃料電池10の温度変化量ΔTに基づいて触媒燃焼器41に対して冷媒を迂回させるかどうかを判断するため、余熱では冷媒を温めきれなくなった場合など、燃料電池10の暖機促進を阻害するような温度になる前に触媒燃焼器41を迂回させて、燃料電池10の暖機時間を短縮させることが可能になる。
また、本実施形態によれば、触媒燃焼器41の余熱では冷媒を温めきれなくなった場合などを温度変化量ΔTに基づいて判断するため、燃料電池10の暖機を阻害しないように冷媒を迂回させるタイミングを正確に決めることが可能になる。よって、燃料電池10の暖機時間を単出させることが可能になる。
また、本実施形態によれば、燃焼器として触媒燃焼器41を用いることにより、燃焼用の触媒を高温状態で使用する時間を短縮できるため、触媒の劣化を低減させることが可能となり、触媒の寿命が向上する。また、水素供給停止後も空気が内部を流れることにより、冷媒と熱交換を行いつつ、燃焼により発生した水蒸気や未燃焼ガスを触媒燃焼器41の外部へ早めに排出することができるため、触媒燃焼器41の停止にかかる時間を短縮させることが可能となる。
なお、前記した実施形態では、冷媒を迂回させるかどうかの判断を温度変化量ΔTに基づいて決定したが、これに限定されるものではなく、温度閾値を設定して、その温度閾値を超えたら冷媒を迂回させるようにしてもよい。
また、前記した実施形態では、氷点下起動時に触媒燃焼器41を使用すると判断しているが、必ずしも低温起動時に限定されるものではなく、0℃以上であっても触媒燃焼器41を使用して暖機するようにしてもよい。
本実施形態の燃料電池システムを示す全体構成図である。 燃料電池システムの起動時の制御を示すフローチャートである。 温度上昇変化量と水素供給を停止するときの燃料電池温度との関係を示すマップである。 暖機運転時のタイミングチャートである。
符号の説明
1 燃料電池システム
10 燃料電池
41 触媒燃焼器(燃焼器)
43a,43b 冷媒配管
44 ウォータポンプ
45 冷媒迂回手段
45a バイパス配管
45b 三方弁
61 制御装置
62 温度センサ(温度検出手段)

Claims (6)

  1. 酸化ガスと燃料ガスとが供給されて発電を行う燃料電池と、
    前記燃料ガスを燃焼させることにより発熱する燃焼器と、
    前記燃料電池と前記燃焼器との間において冷媒を循環させる循環手段と、を有し、
    前記燃焼器において発生した燃焼熱により加熱した前記冷媒を前記燃料電池に供給して暖機を行う燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、
    前記検出された温度を用いて前記燃料電池の温度変化量を算出する温度変化量算出手段と、
    前記温度変化量に基づいて前記燃焼器への燃料ガスの供給を停止する燃料電池温度を決定する燃料ガス供給停止温度決定手段と、をさらに有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料ガス供給停止温度決定手段は、前記燃料電池の温度上昇変化量が大きいほど、前記燃焼器への燃料ガスの供給を停止する燃料電池温度を低い値に設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃焼器を迂回して前記燃料電池に冷媒を循環させる冷媒迂回手段と、
    前記燃焼器への燃料ガスの供給停止後に再度算出した燃料電池の温度変化量に基づいて、前記冷媒迂回手段により冷媒を前記燃焼器を迂回させるかを判断する燃焼器迂回判断手段と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃焼器迂回判断手段は、前記燃料電池の温度変化量が所定値以下になったときに前記燃焼器を迂回させると判断することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃焼器は、燃料ガスと酸化ガスとを触媒に供給することにより触媒燃焼を行う触媒燃焼器であり、前記燃焼器への燃料ガスの供給停止後も酸化ガスの供給を継続することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 酸化ガスと燃料ガスとが供給されて発電を行う燃料電池と、前記燃料ガスを燃焼させることにより発熱する燃焼器との間で冷媒を循環させ、前記燃焼器において発生した燃焼熱により加熱した冷媒を前記燃料電池に供給して暖機を行う燃料電池システムの運転方法において、
    前記燃料電池の温度を検出するステップと、
    前記検出された温度を用いて前記燃料電池の温度変化量を算出するステップと、
    前記温度変化量に基づいて前記燃焼器への燃料ガスの供給を停止する燃料電池温度を決定するステップと、を有することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
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