JP2009018730A - エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】膨張途中のアウタバッグにおける収納部位の周縁側の部位が収納部位の周縁から浮き上がることを抑制して、アウタバッグを膨張させることができるエアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】エアバッグ装置M1のエアバッグ10は、エアバッグの外周壁を構成するアウタバッグ15と、アウタバッグ内に配置されるインナバッグ20と、を備える。インナバッグは、アウタバッグに膨張用ガスを供給する流出口25を備えて、先細りの袋状に膨らむ二つの腕部23を備える。各腕部は、エアバッグ装置M1の作動時におけるインナバッグが膨張完了形状を維持している間、アウタバッグの収納部位45から離脱した周縁離脱部位16aをリング部Rの上面PR側に押さえ、かつ、押さえ状態を維持する。インナバッグは、バッグ10の単体の状態で、アウタバッグ内周面15aに対し、ガスGの流入口21cの周縁を除いて、腕部23を縫合させている。
【選択図】図13

Description

本発明は、膨張用ガスの流入時、折り畳まれて収納された収納部位から突出して膨張を完了させるエアバッグを備えて構成されて、車両に搭載されるエアバッグ装置に関し、さらに詳しくは、エアバッグがアウタバッグとアウタバッグ内に配置されるインナバッグとから構成されるエアバッグ装置に関し、ステアリングホイール用や助手席用等に好適なエアバッグ装置に関する。
従来、車両に搭載されるエアバッグ装置では、膨張用ガスの流入時、折り畳まれて収納された収納部位から突出して膨張を完了させるエアバッグを備えて構成されていた。そして、エアバッグとしては、膨張用ガスの流入用開口の周縁を収納部位に取り付ける構成とするとともに、エアバッグの外周壁を構成するアウタバッグと、流入用開口を覆うようにアウタバッグ内に配置されるインナバッグと、を備えて構成されるものがあった(例えば、特許文献1,2参照)。インナバッグには、流入用開口を経て流入する膨張用ガスをアウタバッグ側に流出させる流出口が開口されていた。
そして、インナバッグの流出口は、アウタバッグへ流出させる膨張用ガスの向きを制御して、膨張初期から膨張完了時までのアウタバッグの膨張形状を調整できるように、例えば、運転者の腹部への配置を迅速に行える形状に調整する等のために、配設されていた。
特開平9−220995号公報 特開2001−80440号公報
しかし、従来のエアバッグ装置では、エアバッグのインナバッグが、アウタバッグ側へ流出させる膨張用ガスの向きを調整できるものの、膨張途中でのアウタバッグにおける収納部位の周縁側の部位が収納部位の周縁から浮き上がることを抑えて、アウタバッグを膨張させる点に、改善の余地があった。
ちなみに、アウタバッグが収納部位の周縁から浮き上がり易ければ、膨張途中のアウタバッグは、収納部位の周縁から浮き上がったり収納部位の周縁に当たることを繰り返す揺動運動を招き易い。そして、膨張したアウタバッグは、浮き上がった状態で乗員を受け止めても、収納部位の周縁に支持されず、クッション作用を奏する反力を迅速に確保し難くなってしまう。あるいは、アウタバッグの揺動中における厚さを厚くするような移動中に乗員に当たれば、アウタバッグが乗員を必要以上に押してしまう。
本発明は、上記の課題を解決するもので、膨張途中のアウタバッグにおける収納部位の周縁側の部位が収納部位の周縁から浮き上がることを抑制して、アウタバッグを膨張させることができるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係るエアバッグ装置は、膨張用ガスの流入時、折り畳まれて収納された収納部位から突出して膨張を完了させるエアバッグを備えて構成され、
エアバッグが、エアバッグの外周壁を構成するアウタバッグと、アウタバッグ内に配置されるインナバッグと、を備えて構成されるとともに、アウタバッグに設けられる膨張用ガスの流入用開口の周縁と、流入用開口と連通するようにインナバッグに設けられて膨張用ガスをインナバッグに流入させる流入口の周縁と、を重ねて収納部位に取り付ける構成とされ、
インナバッグが、流入口を経て流入する膨張用ガスをアウタバッグ側に流出させる流出口を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
インナバッグが、膨張用ガスを流入させた際に、流入口の部位で膨らむ中央部と、中央部から、流入口の軸方向と略直交する方向で、かつ、流入口の直径方向に沿って、先細りの袋状に延びる二本の腕部と、を備えて構成されるとともに、インナバッグの各腕部の周壁を膨らませ可能に、流出口を配置させ、
インナバッグの二つの腕部が、それぞれ、エアバッグ装置の作動時におけるインナバッグが膨張完了形状を維持している間、流入口から離れた先端側の部位によって、アウタバッグの流入用開口の周縁における収納部位から離脱した周縁離脱部位を収納部位の周縁側に押さえ、かつ、押さえ状態を維持するように、構成され、さらに、
インナバッグが、中央部における流入口の周縁とアウタバッグの内周面における流入用開口の周縁との間に、二つの腕部の延びている方向と直交方向で貫通する貫通孔を形成可能として、二つの腕部をアウタバッグの内周面に結合させて、配設されていることを特徴とする。
本発明に係るエアバッグ装置では、作動時、膨張用ガスが流入用開口と流入口とを経てエアバッグに流入すると、インナバッグが、アウタバッグより先に膨張を完了させる。また、アウタバッグも、膨張するインナバッグ自体に押されたり、あるいは、インナバッグの流出口からの膨張用ガスにより膨張し、そして、インナバッグとともに、収納部位から突出する。
このアウタバッグの膨張時には、先に膨張を完了させたインナバッグが、流入口から離れた二つの腕部の先端付近によって、エアバッグ装置の作動時におけるインナバッグの膨張完了形状を維持している間、アウタバッグの流入用開口の周縁における収納部位から離脱した周縁離脱部位を収納部位の周縁側に押さえ、かつ、押さえ状態を維持する。
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、アウタバッグは、膨張初期から膨張完了時までの間、周縁離脱部位が収納部位の周縁から浮き上がることを抑制されて、膨張し、膨張途中の揺動運動が抑制される。そして、膨張途中に乗員を受け止めることとなっても、アウタバッグは、素早く収納部位の周縁に支持されて反力を確保できて、クッション作用を生じさせて迅速に乗員を受け止めることができる。勿論、アウタバッグの揺動運動が抑制されることから、アウタバッグは、その膨張途中に必要以上に乗員側に突出せず、膨張途中に乗員を受け止めることとなっても、乗員を安定して的確に受け止めることができる。
また、本発明に係るエアバッグ装置では、インナバッグが、二つの腕部をアウタバッグの内周面に結合させて、配設されており、エアバッグの折り畳み時に、インナバッグの中央部から両側に延びる二つの腕部のアウタバッグに対する位置がずれず、インナバッグがアウタバッグに覆われて目視できなくとも、アウタバッグとともにインナバッグを的確に折り畳むことができ、そしてさらに、インナバッグの二つの腕部におけるアウタバッグに対する位置がずれないことから、インナバッグの膨張当初から、インナバッグの二つの腕部の先端付近が、アウタバッグの周縁離脱部位を押えることも可能となる。
なお、インナバッグの二つの腕部の先端付近におけるアウタバッグの周縁離脱部位を押圧する押圧力は、例えば、周縁を固定した流入口から膨張用ガスを流入させてインナバッグ単体で膨張を完了させた状態において、インナバッグとして、二つの腕部の延びている方向と直交方向から見た状態で、流入口と対向する側での二つの腕部の先端間を結ぶ稜線を凸形状とするとともに、流入口と対向する側での二つの腕部の先端間を結ぶ膜長を、流入口側での二つの腕部の先端間を結ぶ膜長より、長くするように、構成すれば、容易に確保できる。
すなわち、このようなインナバッグの構成であれば、インナバッグの膨張完了時には、二つの腕部が、それぞれ、先細りとした形状の先端まで膨らむ。そして、このインナバッグは、単体での膨張完了時における二つの腕部の延びている方向と直交方向から見た状態で、流入口と対向する側での二つの腕部の先端間を結ぶ稜線を凸形状とするとともに、流入口と対向する側での二つの腕部の先端間を結ぶ膜長を、流入口側での二つの腕部の先端間を結ぶ膜長より、長くするように、構成されている。そのため、インナバッグの膨張完了時における各腕部の延びる方向に沿った周壁の外側へ膨らもうとする力に関し、流入口と対向する側の各腕部の先端間を結ぶ凸形状の稜線となった部位の膜長が、流入口側での二つの腕部の先端間を結ぶ膜長より、長くする分、流入口と対向する側の周壁の押し広げ力が流入口側の周壁の押し広げ力より勝って、インナバッグの二つの腕部が、インナバッグにおける流入口の配置された中央部から曲がるように、各先端付近を、流入口の開口面より、流入口の軸方向に沿ってアウタバッグの外側に向かう方向にずれた位置に(換言すれば、膨張用ガスの流入方向と逆方向に下がった位置に、さらに換言すれば、アウタバッグの周縁離脱部位が収納部位の周縁側に押える方向に沿って下がった位置に)、配置させる。特に、エアバッグの膨張時には、インナバッグの中央部における流入口の周縁が取付固定されて膨らまず、流入口側の周壁の押し広げ力を確保できる面積(内圧を受ける面積)が実質的にさらに狭まることから、一層、流入口と対向する側の周壁の押し広げ力が流入口側の周壁の押し広げ力より勝ることとなり、インナバッグの二つの腕部の先端付近が、アウタバッグの周縁離脱部位を強く押圧することができる。
その結果、アウタバッグの膨張時には、先に膨張を完了させたインナバッグが、流入口から離れた二つの腕部の先端付近により、エアバッグ装置の作動時におけるインナバッグの膨張完了形状を維持している間、アウタバッグの流入用開口の周縁における収納部位から離脱した周縁離脱部位を収納部位の周縁側に押さえ、かつ、押さえ状態を維持できる。
さらに、本発明に係るエアバッグ装置では、インナバッグが、二つの腕部をアウタバッグの内周面に結合させて、配設されているものの、中央部における流入口の周縁とアウタバッグの内周面における流入用開口の周縁との間に、二つの腕部の延びている方向と直交方向で貫通する貫通孔を形成して、配設されている。そのため、インナバッグとアウタバッグとの間の貫通孔とアウタバッグの流入用開口とを利用して、アウタバッグを容易に反転させたり、あるいは、膨張時のアウタバッグの厚さを規制可能なテザーを、容易に、配設させることができる。
例えば、アウタバッグが、流入用開口の周縁の車体側壁部と流入用開口と対向するように配設される乗員側壁部とを備えて構成されるとともに、車体側壁部と乗員側壁部との外周縁相互を結合させ、結合代をアウタバッグの外周面側に露出させないように、結合後、流入用開口を利用して反転させることにより、形成される場合がある。この場合、アウタバッグの反転前に、既に、インナバッグの各腕部が、アウタバッグの車体側壁部に結合されていても、車体側壁部と乗員側壁部との外周縁相互を結合させた後、車体側壁部の流入用開口と、インナバッグとアウタバッグとの間の貫通孔と、を経て、アウタバッグを容易に反転することができ、結合代を外周面側に露出させないアウタバッグを、容易に製造することができる。
また、アウタバッグが、膨張完了時の流入用開口付近における車体側壁部と乗員側壁部との離隔距離を規制するテザーを備え、テザーが、アウタバッグの内周面側における車体側壁部と乗員側壁部とにそれぞれ結合されたテザー用布から延びる帯部相互を、結合させて形成されている場合でも、インナバッグが既に袋状としてアウタバッグに結合されていても、容易に、テザー用布の帯部相互を結合させることができる。すなわち、予め、車体側壁部にインナバッグの各腕部を結合させ、かつ、車体側壁部と乗員側壁部とに、テザー用布を結合させておき、車体側壁部と乗員側壁部との外周縁相互を結合させて、アウタバッグの流入用開口と貫通孔とを利用して、反転させた後であっても、テザー用布の帯部相互を、アウタバッグの流入用開口と貫通孔と経て、アウタバッグ外に引き出すことができて、テザー用帯部相互を、アウタバッグ外で容易に結合させ、結合後、アウタバッグ内に収納させることができることから、膨張時のアウタバッグの厚さを規制可能なテザーを、容易に、配設させることができる。
そして、本発明に係るエアバッグ装置では、アウタバッグに結合させるインナバッグは、全体をアウタバッグと別体としてもよいし、あるいは、使用材料を低減できるように、一部をアウタバッグと共用するように、構成してもよい。
すなわち、インナバッグの全体をアウタバッグと別体とする場合には、インナバッグを、流入口と流出口とを設けて、アウタバッグと別体とした袋状に形成し、二つの腕部を、アウタバッグに結合させればよい。
また、インナバッグの一部をアウタバッグと共用する場合には、インナバッグを、アウタバッグと別体として、中央部における流入口の周縁の流入側壁と、流出口を有して流入口と対向する側の中央部から二つの腕部の先端まで延びる対向壁と、を設けて構成するとともに、流入口側における流入側壁から二つの腕部の先端までの領域を、アウタバッグと共用させ、
流入側壁における二つの腕部側の両縁を、アウタバッグに結合させ、
対向壁の外周縁を、流入側壁の周縁におけるアウタバッグへの結合部位を除く残部周縁と、アウタバッグとの共用部位の周縁と、に結合させればよい。
そしてまた、インナバッグのアウタバッグに対する結合は、縫製や接着を利用することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ装置M1は、図1,2に示すように、ステアリングホイールWに搭載されるものであり、ステアリングホイールWは、ステアリングホイール本体1と、ステアリングホイール本体1の中央のボス部Bの上部に配置されるエアバッグ装置M1と、を備えて構成されている。ステアリングホイール本体1は、操舵時に把持する円環状のリング部Rと、リング部Rの中央に配置されてステアリングシャフトSSに締結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する4本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。この第1実施形態のエアバッグ装置M1では、収納されたエアバッグ10が、膨張途中において、極力、収納部位の周縁の部位となるリング部Rの上面PRから離れずに、膨張できるように構成されている(図13参照)。
なお、本明細書の第1実施形態では、特に断らない限り、上下方向は、ステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向が対応し、前後方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した前後方向が対応し、左右方向は、車両の直進操舵時のステアリングシャフトSSの軸方向と直交した左右方向が対応するものである。
ステアリングホイール本体1は、図2に示すように、リング部R、ボス部B、スポーク部Sの各部を連結するように配置されて、アルミニウム合金等の金属製の芯金2を備えて構成されている。芯金2のリング部Rの部位と各スポーク部Sのリング部R側の部位とには、合成樹脂製の被覆層5が被覆されている。芯金2のボス部Bの部位には、ステアリングシャフトSSを挿入させてナットN止めするための鋼製のボス3が配設されている。また、ステアリングホイール本体1の下部には、ボス部Bの下方を覆う合成樹脂製のロアカバー7が配設されている。
エアバッグ装置M1は、図2に示すように、折り畳まれて収納されるエアバッグ10、エアバッグ10に膨張用ガスを供給するインフレーター43、折り畳んだエアバッグ10の上方を覆うエアバッグカバー49、エアバッグ10とインフレーター43とを収納保持するとともにエアバッグカバー49を保持するケース45、及び、インフレーター43とともにエアバッグ10をケース45に取り付けるためのリテーナ41、を備えて構成されている。
リテーナ41は、図2〜4に示すように、インフレーター43の円柱状の本体部43aを下方から挿入可能な四角環状として、図7,8に示すように、四隅に下方へ突出するボルト41aを備えて構成されている。リテーナ41は、ボルト41aを突出させた状態でエアバッグ10内に収納されて、ケース45への取付時、各ボルト41aを、ケース45の底壁部46の貫通孔46b(図1参照)とインフレーター43のフランジ部43cとに貫通させて、各ボルト41aに図示しないナットを締結させることにより、エアバッグ10とインフレーター43とをケース45の底壁部46に取付固定している。
インフレーター43は、図2〜4に示すように、上部に複数のガス吐出口43bを備えた円柱状の本体部43aと、本体部43aの外周面から突出するフランジ部43cと、を備えて構成されている。フランジ部43cには、リテーナ41の各ボルト41aを貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。
ケース45は、図1,2に示すように、長方形板状の底壁部46と、底壁部46の外周縁から上下に延びる側壁部47と、を備えた板金製とし、ステアリングホイールWのボス部Bの上部に配置されて、折り畳まれたエアバッグ10を収納する収納部位を構成している。底壁部46には、インフレーター43の本体部43aを下方から挿入可能な円形に開口した挿通孔46aが形成されるとともに、その周囲に、リテーナ41の各ボルト41aを貫通させる4つの貫通孔46bが形成されている。側壁部47の上端には、外方へ延びる取付片47aが形成され、取付片47aには、図示しないホーンスイッチ機構の取付基板が取り付けられている。ケース45は、これらの図示しない取付基板を利用して、ステアリングホイールWの芯金2に取付固定され、その結果、エアバッグ装置M1が、ステアリングシャフトSSに装着済みのステアリングホイール本体1のボス部Bの上部に搭載されることとなる。また、ケース45の側壁部47には、リベット48等を利用してエアバッグカバー49の側壁部51が取り付けられている。
エアバッグカバー49は、合成樹脂製として、収納したエアバッグ10の上方を覆う天井壁部50と、天井壁部50の外周縁付近から下方へ延びる略四角筒形状の側壁部51と、を備えて構成されている。天井壁部50には、膨張するエアバッグ10に押されて前後両側に開く2枚の扉部50aが形成されている。
エアバッグ10は、図1,2の二点鎖線に示すように、膨張完了形状を、上方から見て円形として、側方から見て略楕円形とするように構成されている。エアバッグ10は、図2〜4に示すように、下部側に、膨張用ガスを流入させるように円形に開口するアウタバッグ15の流入用開口11とインナバッグ20の流入口21cとが配設されている。流入用開口11と流入口21cとの周縁には、エアバッグ10をケース45の底壁部46に取り付けるためのリテーナ41の各ボルト41aを貫通させる取付孔13,21eが、形成されている(図5参照)。そのため、エアバッグ10では、流入用開口11と流入口21cとの周縁が、エアバッグ10の収納部位としてのケース45の底壁部46に取付固定されるアウタバッグ15とインナバッグ20との取付部位12,21dとしている。
なお、流入用開口11、各取付孔13、及び、取付部位12は、後述するアウタバッグ15とテザー用布38に、それぞれ、配設されている。また、流入口21cは、流入用開口11と連通するように配設されるとともに、流入口21c、各取付孔21e、及び、取付部位21dは、流入用開口11、各取付孔13、及び、取付部位12と同様な大きさでかつ同様な位置として、インナバッグ20に配設されている。
そして、第1実施形態のエアバッグ10は、ポリエステルやポリアミド等の可撓性を有した織布から形成され、図3〜5に示すように、エアバッグ10の外周壁を構成するアウタバッグ15と、流入用開口11と流入口21cとを覆うようにアウタバッグ15内に配置されて、下側周壁30の一部をアウタバッグ15と共用しているインナバッグ20と、を備えて構成されている。インナバッグ20は、流入用開口11と流入口21cとを経て流入してきた膨張用ガスG(図2参照)をアウタバッグ15へ流出させて、アウタバッグ15を膨張させるように、複数(実施形態では4個)の流出口25を備えている。
アウタバッグ15は、図5に示すように、平らに展開した際に円形状となる2枚の車体側壁部16と乗員側壁部としての運転者側壁部17とから構成されている。アウタバッグ15は、車体側壁部16と運転者側壁部17との外周縁16b,17b相互を縫合させて結合させることにより形成され、そして、楕円球状の袋状に膨張するように構成されている。車体側壁部16は、アウタバッグ15の膨張完了時、リング部R側に位置することなり、運転者側壁部17は、アウタバッグ15の膨張完了時、乗員側となる運転者側に位置することとなる。車体側壁部16の中央には、既述したように、流入用開口11が開口しており、その周縁は、取付部位12として、取付孔13を配設させている。
また、流入用開口11の周縁の取付部位12には、2つのテザー37が配設され、2つのテザー37は、アウタバッグ15(エアバッグ10)の膨張完了時、球状に膨らまないように、運転者側壁部17の中央17a付近における取付部位12からの離隔距離を規制して、アウタバッグ15の流入用開口11の軸方向に沿った厚さ寸法を規制する。各テザー37は、テザー用布38,39の各帯部38b,39b相互を連結することにより、形成されている。テザー用布38は、車体側壁部16の流入用開口11の周縁に縫合等によって結合される円環状の本体部38aと、本体部38aの左右両縁から延びる二つの帯部38bと、を備えて構成されている。テザー用布39は、運転者側壁部17の中央17aに縫合等により結合される円形状の本体部39aと、本体部39aの左右両縁から延びる二つの帯部39bと、を備えて構成されている。テザー用布38の本体部38aは、取付部位12の補強布としての役目も果たしている。
そして、エアバッグ10は、テザー37,37によって、取付部位12からの運転者側壁部17の中央17a付近までの離隔距離が規制されて、リング部Rの上面PR側を覆って、リング部Rの直径寸法より大きな外径寸法の円板状に膨張することとなる(図2の二点鎖線、図13のC参照)。
インナバッグ20は、膨張時の形状として、図5,7,8に示すように、流入口21cとその周縁に配置される4つの取付孔21eとを有した中央部21と、中央部21から流入口21cの直径方向に沿って前後両側に延びる腕部23(23F,23B)と、を備えて構成されている。インナバッグ20では、中央部21の下面21b側における流入口21cの周縁が、リテーナ41に押えられてケース45の底壁部46に取付固定される取付部位21dとなる。また、各腕部23は、中央部21から先端24にかけて、先細りの筒形状となるように、構成されるとともに、下面23b側が、アウタバッグ15との共用部位18(18F,18B)としている。第1実施形態の場合、各先端24は、アウタバッグ15の車体側壁部16と運転者側壁部17との相互の結合部位である外周縁16b,17bまで延びている。
インナバッグ20の流出口25は、流入口21cからの膨張用ガスGの流入時、インナバッグ20の中央部21から各腕部23の先端24までの周壁の全域を膨らませ可能に、各腕部23の先端24より、流入口21c側の位置に配置され、かつ、大きくなりすぎないように、その開口面積が設定されている。なお、実施形態の場合には、各流出口25は、各腕部23における中央部21から先端24までの間の中間付近の前後方向に沿った側面に、円形に開口して形成されており、各腕部23で2個ずつ、合計4個配設されている。さらに、各腕部23に設けられる二つずつの流出口25は、各腕部23がリング部Rの上面PRから離れないように、腕部23の軸心Cを中心として、上面PRから上向きに膨張用ガスGを流出させるように(実施形態では、上面PRからの角度θを30度程度とした上向きに)、構成されている(図8の括弧書き参照)。
そして、このインナバッグ20では、各ボルト41aを取付孔21eから突出させた状態でインナバッグ20内にリテーナ41を入れて、中央部21における流入口21cの周縁の取付部位21dを固定した状態とし、そして、インナバッグ20単体(アウタバッグ15との共用部位18(腕部23の下面23b側)を残し、アウタバッグ15における共用部位18以外を取り除いたような状態)で膨らませた状態では、図7,8に示す状態となる。すなわち、流入口21cと対向する側の上側周壁29での二つの腕部23F,23Bの先端24間を結ぶ稜線29aを凸形状とするとともに、上側周壁29の二つの腕部23F,23Bの先端24間を結ぶ膜長(上側膜長)LUを、流入口21c側の下側周壁30での二つの腕部23F,23Bの先端24間を結ぶ膜長(下側膜長)LDより、長くするように、構成している。上側周壁29は、腕部23Fの先端24から、腕部23Fの上面23a、中央部21の上面21a、腕部23Bの上面23aを経て、腕部23Bの先端24までの部位である。下側周壁30は、腕部23Fの先端24から、腕部23Fの下面23b(第1実施形態の場合には、アウタバッグ15との共用部位18Fとしている)、中央部21の下面21b(この部位は、リテーナ41によって固定される取付部位21dとなる)、腕部23Bの下面23b(第1実施形態の場合には、アウタバッグ15との共用部位18Bとしている)を経て、腕部23Bの先端24までの部位である。
そして、このインナバッグ20では、上側膜長LUと下側膜長LDとの差と腕部23F,23Bの先細り形状とにより、単体での膨張完了時、二つの腕部23F,23Bの延びている前後方向と直交する左右方向から見た状態で、流入口21cの開口面OPより、流入口21cの軸方向に沿ってアウタバッグ15の外側に向かう方向にずれた位置に、換言すれば、膨張用ガスGの流入方向DFと逆方向DBに下がった位置に、前後の各腕部23における先端24が、配置されることとなる。さらに換言すれば、インナバッグ20は、単体での膨張完了時、前後の各腕部23F,23Bの先端24が、アウタバッグ15の流入用開口11の周縁におけるケース45から離脱した周縁離脱部位16aをケース45の周縁側に押える押圧力PWの作用方向に沿って(図13のB参照)、開口面OPより下がった位置に、配置されることとなる。
このインナバッグ20は、図5,6に示すように、アウタバッグ15との共用部位18F,18B以外の周壁が、流入口21c側の流入側壁32と、流入口21cと対向する対向壁33と、から構成されている。流入側壁32は、略正六角板状として、流入口21cとその周囲の取付孔21eを有した取付部位21dとを備えて構成されている。対向壁33は、インナバッグ20の上側周壁29を構成する部位となって、中央部21と腕部23F,23Bとの上面21a,23aから構成されている。
対向壁33は、図6に示すように、平らに展開した状態で、中央を幅広とした「く」字状の2枚のシート材34を、結合させて構成されている。各シート材34は、腕部23の部位に、流出口25を配置させて構成されるとともに、実施形態の場合、インナバッグ20の左右両側にそれぞれ配設されることとなる。そして、左右のシート材34は、それぞれ、図9のBに示すように、凹んだ側の外周縁34aの中央縁34bが、流入側壁32における二つの腕部23F,23Bの延びる方向と直交する縁、すなわち、左縁32c若しくは右縁32dに結合され、中央縁34bから両側に延びる外側縁34c、34cが、アウタバッグ15の共用部位18F,18Bの周縁における左縁18a若しくは右縁18bに結合されている。さらに、左右の各シート材34は、膨らんだ外周縁34d側が、相互に結合されている(図5、図9のC参照)。対向壁33におけるシート材34の外周縁34d相互の結合部位33aは、インナバッグ20の膨張完了時における流入口21cに対向する上側周壁29側の稜線29aの部位となる。
また、流入側壁32における二つの腕部23F,23Bの延びる方向に沿った縁、すなわち、実施形態の場合、前縁32aと後縁32bとは、それぞれ、アウタバッグ15の共用部位18F,18Bの流入用開口11側の内側縁18c,18cに結合されている(図5、図9のA参照)。そして、この流入側壁32は、前後の前縁32aと後縁32bをアウタバッグ15に結合させ、左右の左縁32cと右縁32dとを、アウタバッグ15に結合させずに、左右のシート材34の外周縁34aにおける中央縁34bだけに、結合させているため、流入側壁32は、アウタバッグ15の流入用開口11の周縁の取付部位12から、分離させるように、浮き上がらせることができて、流入側壁32と取付部位12との間に、左右方向に貫通する貫通孔35を形成可能としている(図9のC参照)。
なお、流入側壁32、各シート材34、既述のテザー用布38,39、及び、アウタバッグ15を構成する車体側壁部16や運転者側壁部17は、ポリエステルやポリアミド等の可撓性を有した織布から形成されている。そして、流入側壁32やシート材34は、耐熱性を向上させるために、インナバッグ20の内周面側となる側に、シリコンゴム等からなるコーティング層が形成されている。また、インナバッグ20のアウタバッグ15への結合部27(すなわち、流入側壁32の前縁32aと後縁32bとの共用部位18の内側縁18cへの結合部、各シート材34の外周縁34aにおける外側縁34cの共用部位18の左縁18aや右縁18bへの結合部)の結合、流入側壁32の左縁32cや右縁32dへの各シート材34の外周縁34aにおける中央縁34bの結合、及び、シート材34,34の外周縁34d相互の結合は、第1実施形態の場合、アウタバッグ15やテザー用布38,39の結合と同様として、結合作用が容易となる縫製(縫合)が使用されている。
第1実施形態のエアバッグ10の製造について述べれば、まず、図9のAに示すように、アウタバッグ15の内周面側となる車体側壁部16の面における流入用開口11の周縁に、テザー用布38の本体部38aを配置させ、適宜、本体部38aを車体側壁部16に縫合(縫製)して、結合させ、さらに、流入用開口11、流入口21c相互や取付孔13,21e相互を一致させて、流入側壁32をアウタバッグ15の内周面側となる車体側壁部16の上に載せ(実施形態の場合には、テザー用布38の本体部38aを介在させて載せ)、流入側壁32の前縁32aと後縁32bとを、それぞれ、車体側壁部16における共用部位18F,18Bの内側縁18cに縫合する。なお、車体側壁部16、テザー用布38、及び、流入側壁32の流入用開口11、流入口21cや取付孔13,21eは、車体側壁部16にテザー用布38と流入側壁32とを結合させた後に、穴あけ加工して、形成してもよい。なお、符号14の部材は、縫合糸14である。
ついで、図9のBに示すように、左右の二枚のシート材34の外周縁34aについて、各々の中央縁34bを、対応する流入側壁32の左縁32cと右縁32dとに縫合し、また、各々の外側縁34cを、対応するアウタバッグ15の共用部位18F,18Bの左縁18aと右縁18bとに縫合する。
さらに、図9のCに示すように、二枚のシート材34の外周縁34d相互を縫合する。そして、外周縁34d相互の縫合(結合)により、中央部21から前後両側に延びる二つの腕部23F,23Bの先端まで、袋状に形成されて、インナバッグ20自体の製造が完了することとなる。
その後、図9のDに示すように、予め、テザー用布39の本体部39aを縫合により結合させた運転者側壁部17と車体側壁部16とを、エアバッグ10の外周面側となる面相互を接触させて重ね、外周縁16b,17b相互を縫合により結合させる。
そして、図10のA,B,C,Dに示すように、外周縁16b,17b相互の結合代(縫代)19が外周面側に露出しないように、流入用開口11と、流入側壁32と取付部位12との間の貫通孔35と、を利用して、エアバッグ10を裏返す。
ついで、図11のA,Bに示すように、貫通孔35と流入用開口11とを経て、テザー用布38,39の帯部38b,39b相互をエアバッグ10外に取り出し、対応する帯部38b、39b相互を縫合により結合させて、テザー37を形成し、図11のCに示すように、それらのテザー37を、貫通孔35と流入用開口11とを経て、エアバッグ10内に戻せば、エアバッグ10の製造を完了させることができる。
そして、エアバッグ装置M1を組み立てて車両に搭載する場合には、まず、各ボルト41aを取付孔21e,13から突出させるようにエアバッグ10内にリテーナ41を入れて、エアバッグ10を折り畳む。実施形態の場合、次のような第1,2折畳工程を経て折り畳んでいる。
第1折畳工程では、まず、図12のAに示すように、インナバッグ20における中央部21の流入口21cに対向する対向頂部22を、左右方向に沿う谷折りの折目VFを付けてインナバッグ20上に重ねるように折り畳んだ状態で、外周縁34d相互の結合部位33a(稜線29a)を、前後方向に沿った流入用開口11と流入口21cとの中心線ICに沿って、直線状に配置させつつ、インナバッグ20を平らに展開させ、また、アウタバッグ15の運転者側壁部17を車体側壁部16の上方側に重ねて平らにし、エアバッグ10の全体を流入用開口11(流入口21c)を中心として、平らに展開させておく。そして、図12のA,Bに示すように、インナバッグ20の結合部位33aに対して直交するエアバッグ10の左右両縁となる左縁10cと右縁10dとを、それぞれ、流入用開口11に接近させて、結合部位33aと直交するエアバッグ10の幅寸法を狭めるように折り畳む。第1実施形態の場合には、結合部位33aを、流入用開口11の前後方向に沿う中心線ICに沿って、配置させている。そのため、第1折畳工程では、エアバッグ10の左縁10cと右縁10dと(換言すれば、アウタバッグ15の左縁15fと右縁15gと)を流入用開口11に接近させるように、折り畳んでいる。さらに、第1実施形態の場合には、蛇腹折りして、左右の折畳部位10e,10fを形成し、これらの左右の折畳部位10e,10fを運転者側壁部17上に載せている。中心線ICの両側の折畳部位10e,10fは、中心線ICを中心として、線対称形に折り畳んでいる。なお、アウタバッグ15自体も、第1折畳工程前において、中心線ICを中心として、左右相互を半円形状とした線対称形として平らに展開させており、折畳部位10e,10fの折り畳み完了形状を、容易に、対称形とすることができる。
第2折畳工程では、第1折畳工程を経た後、第1折畳工程前のインナバッグ20の結合部位33aに沿った方向のエアバッグ10の前後両縁となる前縁10aと後縁10bとを、それぞれ、流入用開口11に接近させて、結合部位33aに沿った方向のエアバッグ10の幅寸法を狭めるように折り畳む。第1実施形態の場合、エアバッグ10の前縁10aと後縁10bと(換言すれば、アウタバッグ15の前縁15dと後縁15bと)を、流入用開口11に接近させるように、折り畳んでいる。さらに、第1実施形態の場合には、第2折畳工程でも、前後で線対称形に折り畳んでいる。具体的には、流入用開口11から前縁10aや後縁10bまでの中間部位を巻いて、前縁10aと後縁10bとを対向させるように、流入用開口11の上方に配置させている。
そして、エアバッグ10を折り畳んだ後には、折り崩れしないように、エアバッグ10を所定の折り崩れ防止材によって包む。ついで、各ボルト41aを貫通孔46bから突出させるように、ケース45内の底壁部46上にエアバッグ10を収納し、さらに、インフレーター43の本体部43aを下方から底壁部46の挿通孔46aに挿入させて、フランジ部43cに各ボルト41aを貫通させる。そして、各ボルト41aに図示しないナットを締結すれば、収納部位としてのケース45に、エアバッグ10とインフレーター43とを収納し、かつ、リテーナ41を利用して、エアバッグ10とインフレーター43とを取り付けることができる。さらに、ケース45にエアバッグカバー49を被せて、リベット48等を利用して側壁部47,51相互を連結することにより、ケース45にエアバッグカバー49を取り付け、さらに、ケース45の取付片47aに、図示しないホーンスイッチ機構を組み付ければ、エアバッグ装置M1を組み立てることができる。そして、エアバッグ装置M1の車両への搭載は、予め、ステアリングシャフトSSに締結したステアリングホイール本体1に対して、ホーンスイッチ機構の図示しない取付基板を利用して、エアバッグ装置M1を取り付ければ、エアバッグ装置M1を車両に搭載することができる。
このステアリングホイールW用のエアバッグ装置M1では、作動時、図2に示すように、膨張用ガスGが流入用開口11と流入口21cとを経てエアバッグ10に流入すると、エアバッグ10が膨張し、エアバッグカバー49の扉部50a,50aを押し開く。そして、エアバッグ10が、図2の二点鎖線に示すように、収納部位としてのケース45から突出して、リング部Rの上面PR側を覆うように、膨張を完了させる。その際、エアバッグ10の膨張初期では、図13のA,Bと図14,15に示すように、インナバッグ20が、アウタバッグ15より先に膨張を完了させる。また、アウタバッグ15も、膨張するインナバッグ20自体に押されたり、あるいは、インナバッグ20の流出口25からの膨張用ガスGにより膨張し、そして、インナバッグ20とともに、ケース45から突出する。
このインナバッグ20の膨張完了時には、二つの腕部23F,23Bが、それぞれ、先細りとした形状の先端24まで膨らむ。そして、このインナバッグ20は、図7,8に示すように、単体での膨張完了時における二つの腕部23F,23Bの延びている方向と直交方向から見た状態で、流入口21cと対向する側の上側周壁29における二つの腕部23F,23Bの先端24,24間を結ぶ稜線29aを凸形状とするとともに、上側周壁29の二つの腕部23F,23Bの先端24,24間を結ぶ上側膜長LUを、流入口21c側での下側周壁30の二つの腕部23F,23Bの先端24,24間を結ぶ下側膜長LDより、長くするように、構成されている。そのため、インナバッグ20の膨張完了時における各腕部23F,23Bの延びる前後方向に沿った上側周壁29と下側周壁30との外側へ膨らもうとする力に関し、凸形状の稜線29aとなった上側周壁29の上側膜長LUが、下側周壁30での二つの腕部23F,23Bの先端24,24間を結ぶ下側膜長LDより、長くする分、上側周壁29の押し広げ力PUが下側周壁30の押し広げ力PDより勝って、インナバッグ20の二つの腕部23F,23Bが、インナバッグ20における流入口21cの配置された中央部21から曲がるように、各先端24付近を、流入口21cの開口面OPより、流入口21cの軸方向に沿ってエアバッグ10(アウタバッグ15)の外側に向かう方向にずれた位置に(換言すれば、膨張用ガスGの流入方向DFと逆方向DBに下がった位置に、さらに換言すれば、アウタバッグ15の周縁離脱部位16aがリング部Rの上面PR側に押える方向に沿って下がった位置に)、配置させる。特に、エアバッグ10の膨張時には、インナバッグ20の中央部21における流入口21cの周縁がリテーナ41に取付固定されて膨らまず、下側周壁30側の周壁を押し広げ力PDを確保できる面積(内圧を受ける面積)が実質的にさらに狭まることから、一層、上側周壁29側の周壁の押し広げ力PUが下側周壁30側の押し広げ力PDより勝ることとなり、インナバッグ20の二つの腕部23F,23Bの先端24,24付近が、アウタバッグ15の周縁離脱部位16aを、強い押圧力PWで押圧することができる。さらに、第1実施形態の場合、車両搭載時では、図13のBに示すように、アウタバッグ15の周縁離脱部位16aの押えているリング部Rの上面PRが、開口面OPより高い位置に配置されており、一層、大きな押圧力PWを確保できる。
その結果、アウタバッグ15の膨張時には、先に膨張を完了させたインナバッグ20が、流入口21cから離れた二つの腕部23F,23Bの先端24,24付近により、エアバッグ装置M1の作動時におけるインナバッグ20の膨張完了形状を維持している間、アウタバッグ15の車体側壁部16における流入用開口11の周縁におけるケース45から離脱した周縁離脱部位16aを、ケース45の周縁側となるリング部Rの上面PR側に押さえ、かつ、押さえ状態を維持できる。なお、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、エアバッグ10の膨張完了後、すなわち、アウタバッグ15が、インナバッグ20の流出口25から供給される膨張用ガスGによって、膨張を完了した後、インフレーター43からの膨張用ガスGの供給が停止すれば、図13のB,Cに示すように、インナバッグ20は、膨張完了形状からしぼみ、押圧力PWを発揮できない状態となる。
したがって、第1実施形態のステアリングホイールW用のエアバッグ装置M1では、アウタバッグ15は、図13のBに示すように、膨張初期から膨張完了後の膨張用ガスGの供給停止までの間、ケース45の周縁側の周縁離脱部位16aがリング部Rの上面PRから浮き上がることを抑制されて、膨張するため、膨張途中の揺動運動(アウタバッグ15がリング部Rから離れたり再びリング部Rに当たる揺動運動)が抑制される。その結果、膨張途中に乗員(運転者)を受け止めることとなっても、アウタバッグ15は、素早くリング部Rの上面PRに支持されて反力を確保できて、クッション作用を生じさせて迅速に運転者を受け止めることができる。勿論、アウタバッグ15の揺動運動が抑制されることから、アウタバッグ15は、その膨張途中に必要以上に運転者側に突出せず、膨張途中に前方移動する運転者を受け止めることとなっても、運転者を安定して保護可能に受け止めることができる。
また、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、インナバッグ20が、共用部位18F,18Bの左縁18a、右縁18b、及び、内側縁18cの位置で、二つの腕部23F,23Bをアウタバッグ15の内周面15aに結合させて、配設されており、エアバッグ10の折り畳み時に、インナバッグ20の中央部21から両側に延びる二つの腕部23F,23Bのアウタバッグ15に対する位置がずれず、インナバッグ20がアウタバッグ15に覆われて目視できなくとも、アウタバッグ15とともにインナバッグ20を的確に折り畳むことができ、そしてさらに、インナバッグ20の二つの腕部23F,23Bにおけるアウタバッグ15に対する位置がずれないことから、インナバッグ20の膨張当初から、インナバッグ20の二つの腕部23F,23Bの先端24付近が、アウタバッグ15の周縁離脱部位16aを押えることも可能となる。
なお、第1実施形態のエアバッグ10の折り畳みでは、インナバッグ20を位置ずれさせずに、図12のA,B,Cに示すように、エアバッグ10を所定の第1,2折畳工程で折り畳んで、第1折畳工程では、結合部位33a(稜線29a)を中心線ICとして、線対称形に折り畳んで折畳部位10e,10fを形成している。このようなエアバッグ10の折り畳みであれば、エアバッグ10の膨張時、折畳工程と略逆の工程で、折りを解消して、エアバッグ10は展開膨張する。すなわち、エアバッグ10の展開膨張時、まず、インナバッグ20が、二本の腕部23F,23Bを伸ばす状態で、膨張を完了させて、第2折畳工程の折りが解消される。そして、第1折畳工程の折りを解消することとなる。その際、第1折畳工程の折り畳みが、インナバッグ20の結合部位33aを中心線ICとして、両側の折畳部位10e,10fが線対称形に折り畳まれている。また、アウタバッグ15へ膨張用ガスを流出させるインナバッグ20の流出口25が、直線状の結合部位33aを中心線ICとして、二つの腕部23F,23Bに、それぞれ、線対称形として、配設されている。そのため、結合部位33aの直交方向のアウタバッグ15の左右両縁となる左縁15f側と右縁15g側とが、均等に折りを解消して、展開膨張する。したがって、上記のようなアウタバッグ15内へのインナバッグ20自体の結合による配置や流出口25の配置と、エアバッグ10の折り畳みと、の組合せによって、エアバッグ10の展開膨張時、流入用開口11の直径方向の両側に(実施形態の場合、左右両側に)、エアバッグ10を均等に展開膨張させることができる。すなわち、第1実施形態では、エアバッグ10の膨張完了直前におけるエアバッグ10の外周縁を大きく展開させつつ厚く膨張させる際、エアバッグ10の流入用開口11や流入口21cを中心とした線対称の両縁と左縁10c側と右縁10d側(インナバッグ20の結合部位33aの直交方向のエアバッグ10の左縁10c側と右縁10d側)が、片寄ることなく、均等に展開膨張し、膨張するエアバッグ10が、所定のエリアで、安定して、移動してくる運転者を受け止めることができる。
特に、第1実施形態の場合、第1折畳工程において流入用開口11に接近させるエアバッグ10の両縁は、膨張完了時における車両の左右方向に沿った左右両縁の左縁10cと右縁10dとしている。そのため、エアバッグ10の膨張完了直前におけるエアバッグ10の外周縁を大きく展開させつつ厚く膨張させる際、エアバッグ10の左縁10c側と右縁10d側とが、左右の一方側に片寄らずに、左右均等に展開膨張する。そのため、エアバッグ10が、予め、左右方向の保護エリアを余裕を持って設定しておけば、受け止める運転者が左右にずれても、その運転者を安定して保護できる。
さらに、第1実施形態では、アウタバッグ15に結合させるインナバッグ20が、その一部の領域である腕部23F,23Bの下面23b側の領域(換言すれば、インナバッグ20の下側周壁30における中央部21の下面21b側を除いた領域)を、アウタバッグ15との共用部位18として、構成しており、エアバッグ10を形成する織布の使用材料を低減することができる。
また、第1実施形態のエアバッグ10では、作動時、図13のA,図14に示すように、インナバッグ20の膨張初期において、収納部位としてのボス部Bの上部に配置されたケース45から突出した後、各腕部23F,23Bを素早く延ばして、運転者側に厚く突出することなく、リング部Rの上面PRに沿った前後方向に展開する。その後、図13のB,図15に示すように、インナバッグ20が膨張を完了させれば、腕部23F,23Bの各流出口25から左右両側に膨張用ガスGがアウタバッグ15側に供給され、運転者側へ厚く突出することを抑えて、リング部Rの上面PRに沿って左右に広く展開する。この時、リング部Rの後部RBに位置するアウタバッグ15の後縁15bは、後部RBを覆った状態で、厚さを徐々に厚くすることとなる。すなわち、アウタバッグ15は、膨張初期に、運転者がリング部Rに接近していても、運転者の腹部とリング部Rの後部RBとの間に、薄い状態の後縁15bを配置させて、その後、厚さを増すように膨張できる。そのため、アウタバッグ15は、ステアリングホイールWに接近している運転者の腹部を、リング部Rの後部RBから、円滑に保護することができる。
なお、この点を考慮しなければ、インナバッグ20の二つの腕部23は、中央部21から左右方向の両側に延びるように配設させてもよい。
また、第1実施形態では、インナバッグ20の各腕部23F,23Bの先端24,24が、車体側壁部16と運転者側壁部17との外周縁16b,17bの位置まで、延びているものを例示したが、先端24付近がリング部Rの上面PRに位置する周縁離脱部位16aを押圧できれば、インナバッグ20は、各先端24,24間の長さ寸法を、各先端24,24が外周縁16b,17bに到達しない短い寸法としてもよい。その場合、インナバッグとしては、アウタバッグ15へ膨張用ガスを供給するための流出口25より、開口面積が小さく、かつ、各腕部23における押圧力PWを発揮する先端24まで、周壁が張力を発揮して膨らむように膨張できれば、先端24を開口させてもよい。
なお、第1実施形態では、インナバッグ20の一部である腕部23F,23Bの下面23b側を、アウタバッグ15と共用する共用部位18とした場合を示したが、図16〜22に示す第2実施形態のステアリングホイール用のエアバッグ装置M2におけるエアバッグ10Aのように、共用部位を設けることなく、アウタバッグ15と別体として形成したインナバッグ20Aを、アウタバッグ15に結合させてもよい。
ちなみに、第2実施形態のエアバッグ10Aでは、アウタバッグ15は、共用部位18の領域自体を残した第1実施形態のアウタバッグ15と同一のものが使用され、インナバッグ20Aが、第1実施形態のアウタバッグ15の共用部位18としていた腕部23F,23Bの下面23b側を、アウタバッグ15と別体として、中央部21の下面21b側から一体的に連結させて、一枚状の下側周壁30として、構成されている。他のテザー用布38,39の構成は、第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
そして、このインナバッグ20Aでも、各ボルト41aを取付孔21eから突出させた状態でインナバッグ20A内にリテーナ41を入れて、中央部21における流入口21cの周縁の取付部位21dを固定した状態とし、そして、インナバッグ20A単体で膨らませた状態では、図22の二点鎖線に示す状態となる。すなわち、インナバッグ20Aでも、流入口21cと対向する側の上側周壁29での二つの腕部23F,23Bの先端24間を結ぶ稜線29aを凸形状とするとともに、上側周壁29の二つの腕部23F,23Bの先端24間を結ぶ上側膜長LUを、流入口21c側の下側周壁30での二つの腕部23F,23Bの先端24間を結ぶ下側膜長LDより、長くする。そのため、このインナバッグ20Aでも、上側膜長LUと下側膜長LDとの差と腕部23F,23Bの先細り形状とにより、単体での膨張完了時、二つの腕部23F,23Bの延びている前後方向と直交する左右方向から見た状態で、流入口21cの開口面OPより、流入口21cの軸方向に沿ってアウタバッグ15の外側に向かう方向にずれた位置に、換言すれば、膨張用ガスGの流入方向DFと逆方向DBに下がった位置に、前後の各腕部23における先端24が、配置されることとなる。さらに換言すれば、このインナバッグ20Aでも、単体での膨張完了時、前後の各腕部23F,23Bの先端24が、アウタバッグ15の流入用開口11の周縁におけるケース45から離脱した周縁離脱部位16aをケース45の周縁側に押える押圧力PWの作用方向に沿って、開口面OPより下がった位置に、配置されることとなる。
そして、第2実施形態のインナバッグ20Aは、図17に示す菱形状のシート材56を使用している。シート材56は、中央に、流入口21cと取付孔21eとを有した中央部21を形成可能な中央部用部位56cと、中央部用部位56cから両側に延びる三角板状として、流出口25を有した腕部23F,23Bを形成可能な二つの腕部用部位56d,56dと、を備えて構成されている。このシート材56は、腕部用部位56d,56dの中央を通る折目56bを付けて、二つ折りし、重ねた外周縁56a,56a相互を縫合して結合することにより、インナバッグ20Aを製造している。
また、第2実施形態のインナバッグ20Aにおけるアウタバッグ15への結合部27Aは、流入口21cの直径方向に沿って、二つの腕部23F、23Bの先端24間を結ぶように、直線状に縫製することによって、形成されて、インナバッグ20Aが、この結合部27Aにより、アウタバッグ15に結合されている。なお、結合部27Aは、流入口21cの周縁の4つの取付孔21eを配設させている取付部位21dの領域、換言すれば、中央部21の下面21b側の領域には、配設されていない。すなわち、取付部位21dが、アウタバッグ15の取付部位12から離れるように浮かせて、中央部21から二つの腕部23F,23Bの延びる方向と直交する方向に、貫通する貫通孔35が形成可能なように、結合部27Aは、取付部位21dの領域には、配設されていない(図19のB参照)。
この第2実施形態のエアバッグ10Aの製造について述べれば、まず、図19のAに示すように、エアバッグ10Aの内周面側となる車体側壁部16の面における流入用開口11の周縁に、テザー用布38の本体部38aを配置させ、適宜、本体部38aを車体側壁部16に縫合して結合させ、さらに、シート材56を載せて、取付部位21dの領域を除いた折目56bの部位を、アウタバッグ15への結合部27Aとして、アウタバッグ15の車体側壁部16に縫合する。
そして、図19のBに示すように、シート材56を折目56bで二つ折りして、重ねた外周縁56a相互を縫合し、インナバッグ20Aを製造する。
ついで、図19のCに示すように、予め、テザー用布39の本体部39aを縫合により結合させた運転者側壁部17と車体側壁部16とを、エアバッグ10Aの外周面側となる面相互を接触させて重ね、外周縁16b,17b相互を縫合により結合させる。
その後、図20のA,B,C,Dに順に示すように、外周縁16b,17b相互の結合代(縫代)19が外周面側に露出しないように、流入用開口11と、取付部位21dと取付部位12との間の貫通孔35と、を利用して、エアバッグ10Aを裏返す。
ついで、図21のA,Bに示すように、貫通孔35と流入用開口11とを経て、テザー用布38,39の帯部38b,39b相互をエアバッグ10A外に取り出し、対応する帯部38b、39b相互を縫合により結合させて、テザー37を形成し、図21のCに示すように、それらのテザー37を、貫通孔35と流入用開口11とを経て、エアバッグ10A内に戻せば、エアバッグ10Aの製造を完了させることができる。
このように製造したエアバッグ10Aは、第1実施形態と同様に、折り畳んで、ケース45等に組み付けて、ステアリングホイールに搭載することとなり、この第2実施形態も、第1実施形態な作用・効果を得ることができる。
また、第1,2実施形態では、ステアリングホイールW用のエアバッグ装置M1,M2を説明したが、図23〜25に示す第3実施形態の助手席用のエアバッグ装置M3に本発明を適用してもよい。このエアバッグ装置M3は、折り畳んで収納されたエアバッグ70の収納部位(ケース45)を、インストルメントパネル(以下、インパネとする)60の部位に配設させる助手席用として構成し、インナバッグ20Bは、エアバッグ装置M3の作動時におけるインナバッグ20Bの膨張完了時、各腕部23F,23Bの先端24を、収納部位の周縁となるインパネ60の表面側部位61に乗り上げる位置まで配設させるように、構成されている。なお、第3実施形態の場合、表面側部位61は、エアバッグカバー49の開いた扉部50aの裏面や、扉部50aの開いた開口の周縁となるインパネ60の部位となる。
さらに、エアバッグ70は、アウタバッグ75を構成する車体側壁部76と乗員側壁部77とが長方形板状として構成されている点が、エアバッグ10と大きく相違している。さらに、ケース45は、ホーンスイッチ機構を連結させずに、ボディ側に連結保持されている。さらにまた、エアバッグカバー49は、インパネ60と一体的に形成されている。そして、エアバッグ装置M3のエアバッグ装置M1との相違点は、エアバッグ70の容積が助手席用として、大きくなったことに比例して、各部が大型化しただけであり、第1実施形態と同様な部材や各部には、同一の符号を付してある。すなわち、インナバッグ20Bは、第1実施形態のインナバッグ20と同様に、一枚の流入側壁32と、二枚のシート材34を結合させた対向壁33と、共用部位18(18F,18B)と、から形成されている。また、エアバッグ70の製造工程も、インナバッグ20Bの製造、インナバッグ20Bの流入口21cの周縁(取付部位21d)とアウタバッグ内周面75aにおける流入用開口71の周縁(取付部位12)との間の貫通孔35の配設、車体側壁部76と乗員側壁部77の外周縁76b、77b相互の縫合、流入用開口71の周縁に設けたテザー用布38と乗員側壁部77の中央77aに設けたテザー用布39の帯部38b、39b相互を結合させてテザー37を形成する等の工程を含めて、第1実施形態と同様である。また、エアバッグ装置M3の車両への搭載は、まず、リテーナ41を利用して、折り畳んだエアバッグ70とインフレーター43とをケース45に収納保持させる。ついで、車両に搭載済みのインパネ60側のエアバッグカバー49の側壁部51とケース45の側壁部47とを連結させて、ケース45の底壁部46に設けられた図示しない取付ブラケットをボディ側に取り付ければ、エアバッグ装置M3を車両に搭載することができる。
そして、助手席用のエアバッグ装置M3では、作動時、図24に示すように、膨張用ガスGが流入用開口11と流入口21cとを経てエアバッグ70に流入すると、エアバッグ70は、膨張して、エアバッグカバー49の扉部50a,50aを押し開き、図24の二点鎖線に示すように、収納部位としてのケース45から突出して、インパネ60のケース45の周縁となる表面側部位61を覆うように、膨張を完了させる。その際、エアバッグ70の膨張初期では、図25のA,Bに示すように、インナバッグ20Bが、結合部27(図23参照)によって位置ずれせずに、アウタバッグ75より先に膨張を完了させる。また、アウタバッグ75も、膨張するインナバッグ20B自体に押されたり、あるいは、インナバッグ20Bの流出口25からの膨張用ガスGにより膨張し、そして、インナバッグ20Bとともに、ケース45から突出する。
このアウタバッグ75の膨張時には、先に膨張を完了させたインナバッグ20Bが、流入口21cから離れた各腕部23F,23Bの先端24によって、エアバッグ装置M3の作動時におけるインナバッグ20Bの膨張完了形状を維持している間、位置ずれすることなく、車体側壁部76の流入用開口11の周縁におけるケース45から離脱した周縁離脱部位76aをケース45の周縁側となる表面側部位61に押さえ、かつ、押さえ状態を維持することとなる。勿論、この第3実施形態のエアバッグ装置M3でも、エアバッグ70の膨張完了後、すなわち、アウタバッグ75の膨張完了後、膨張用ガスGの供給が停止されれば、図25のB,Cに示すように、インナバッグ20Bは、膨張完了形状からしぼみ、押圧力PWを発揮できない状態となる。
したがって、第3実施形態の助手席用のエアバッグ装置M3でも、エアバッグ70の膨張初期から膨張完了後の膨張用ガスGの供給停止までの間、アウタバッグ75をインパネ60の表面側部位61から浮き上がらせずに膨張させることができる。そして、膨張途中のアウタバッグ75は、部分的に乗員側へ突出する部位を低減させて、広く広げた状態で乗員側へ膨張させることができる。そのため、アウタバッグ75が、膨張途中で接近していた乗員と当たることとなっても、極力、広い面でソフトに受け止めることができる。
なお、第3実施形態では、インナバッグ20Bの腕部23F,23Bを、中央部21から前後方向両側に延びるように配設させたが、中央部21から左右両側に延びるように、腕部23を配設させてもよい。
また、各実施形態では、インナバッグ20,20A,20Bの腕部23F,23Bのアウタバッグ15,75への結合を、縫合糸14を使用した縫製(縫合)によって、行った場合を示したが、例えば、図9のBや図19のAの下方側の括弧書き内に示すように、接着剤36を利用した接着により行なってもよい。このような接着を利用する場合には、アウタバッグ15やテザー用布38,39の結合も、縫製ではなく、接着を利用して、同じ結合作業とすることが望ましい。
さらに、第2実施形態のように、共用部位18を設けずに、アウタバッグ15と別体としたインナバッグ20Aを、アウタバッグ15に結合させる場合、一本ライン上の結合部27Aでなく、図19のAの二点鎖線に示すように、シート材34の外周縁34aにおける外側縁34cをアウタバッグ15に結合させた結合部27の位置で、縫製や接着により、結合させてもよい。
本発明に係る第1実施形態のステアリングホイール用のエアバッグ装置を示す概略平面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置における車両搭載状態の縦断面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグの膨張完了時におけるインナバッグのしぼんだ状態の左右方向に沿った概略縦断面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグの膨張完了時におけるインナバッグのしぼんだ状態の前後方向に沿った概略縦断面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグの構成部材を示す分解斜視図である。 第1実施形態のエアバッグ装置のインナバッグを構成する流入側壁やシート材を示す平面図である。 第1実施形態のインナバッグを単体で膨張させた状態を示す概略正面図である。 第1実施形態のインナバッグを単体で膨張させた状態を示す概略平面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを製造する工程を順に説明する図である。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを製造する工程を順に説明する図であり、エアバッグの反転時を示す。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを製造する工程を順に説明する図であり、図10の後の工程を示す。 第1実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグの折畳工程を説明する図である。 第1実施形態のエアバッグ装置の作動時を順に示す概略縦断面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置の作動時のインナバッグの膨張初期を説明する平面図である。 第1実施形態のエアバッグ装置の作動時のインナバッグの膨張完了時を説明する平面図である。 第2実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグの構成部材を示す分解斜視図である。 第2実施形態のエアバッグ装置のインナバッグを構成するシート材を示す平面図である。 第2実施形態のエアバッグ装置のインナバッグの斜視図である。 第2実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを製造する工程を順に説明する図である。 第2実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを製造する工程を順に説明する図であり、エアバッグの反転時を示す。 第2実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグを製造する工程を順に説明する図であり、図20の後の工程を示す。 第2実施形態のエアバッグ装置に使用するエアバッグの膨張完了時におけるインナバッグのしぼんだ状態の前後方向に沿った概略縦断面図である。 第3実施形態の助手席用のエアバッグ装置に使用するエアバッグの構成部材を示す分解斜視図である。 第3実施形態の助手席用のエアバッグ装置を示す車両搭載状態の縦断面図である。 第3実施形態のエアバッグ装置の作動時を順に示す概略縦断面図である。
符号の説明
10,10A,70…エアバッグ、
11,71…流入用開口、
12,21d…取付部位、
14…縫合糸、
15,75…アウタバッグ、
15a,75a…内周面、
16,76…車体側壁部、
16b,17b、76b,77b…外周縁、
16a,76a…周縁離脱部位、
17…(乗員側壁部)運転者側壁部、
20,20A,20B…インナバッグ、
21…中央部、
21c…流入口、
23(23F,23B)…腕部、
24…先端、
25…流出口、
32…流入側壁、
33…対向壁、
35…貫通孔、
36…接着剤、
37…テザー、
38,39…テザー用布、
38b,39b…帯部、
45…(収納部位)ケース、
60…インストルメントパネル、
61…(収納部位の周縁)表面側部位、
76…乗員側壁部、
W…ステアリングホイール、
PR…(収納部位の周縁,リング部Rの)上面、
M1,M2,M3…エアバッグ装置。

Claims (7)

  1. 膨張用ガスの流入時、折り畳まれて収納された収納部位から突出して膨張を完了させるエアバッグを備えて構成され、
    前記エアバッグが、前記エアバッグの外周壁を構成するアウタバッグと、前記アウタバッグ内に配置されるインナバッグと、を備えて構成されるとともに、前記アウタバッグに設けられる膨張用ガスの流入用開口の周縁と、該流入用開口と連通するように前記インナバッグに設けられて膨張用ガスを前記インナバッグに流入させる流入口の周縁と、を重ねて前記収納部位に取り付ける構成とされ、
    前記インナバッグが、前記流入口を経て流入する膨張用ガスを前記アウタバッグ側に流出させる流出口を備えて構成されるエアバッグ装置であって、
    前記インナバッグが、膨張用ガスを流入させた際に、前記流入口の部位で膨らむ中央部と、該中央部から、前記流入口の軸方向と略直交する方向で、かつ、前記流入口の直径方向に沿って、先細りの袋状に延びる二本の腕部と、を備えて構成されるとともに、前記インナバッグの前記各腕部の周壁を膨らませ可能に、前記流出口を配置させ、
    前記インナバッグの二つの前記腕部が、それぞれ、前記エアバッグ装置の作動時における前記インナバッグが膨張完了形状を維持している間、前記流入口から離れた先端側の部位によって、前記アウタバッグの前記流入用開口の周縁における前記収納部位から離脱した周縁離脱部位を前記収納部位の周縁側に押さえ、かつ、押さえ状態を維持するように、構成され、さらに、
    前記インナバッグが、前記中央部における前記流入口の周縁と前記アウタバッグの内周面における前記流入用開口の周縁との間に、二つの前記腕部の延びている方向と直交方向で貫通する貫通孔を形成可能として、前記二つの腕部を前記アウタバッグの内周面に結合させて、配設されていることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記アウタバッグが、前記流入用開口の周縁の車体側壁部と前記流入用開口と対向するように配設される乗員側壁部とを備えて構成されるとともに、前記車体側壁部と前記乗員側壁部との外周縁相互を結合させ、結合後、前記流入用開口を利用して反転させることにより、形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記アウタバッグが、膨張完了時の前記流入用開口付近における前記車体側壁部と前記乗員側壁部との離隔距離を規制するテザーを備え、
    該テザーが、前記アウタバッグの内周面側における前記車体側壁部と前記乗員側壁部とにそれぞれ結合されたテザー用布から延びる帯部相互を、結合させて形成されていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記インナバッグが、前記流入口と前記流出口とを備えて、前記アウタバッグと別体とした袋状に形成され、
    二つの前記腕部が、前記アウタバッグに結合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
  5. 前記インナバッグが、前記アウタバッグと別体として、前記中央部における前記流入口の周縁の流入側壁と、前記流出口を有して前記流入口と対向する側の前記中央部から二つの前記腕部の先端まで延びる対向壁と、を備えて構成されるとともに、前記流入口側における前記流入側壁から二つの前記腕部の先端までの領域を、前記アウタバッグと共用され、
    前記流入側壁が、二つの前記腕部側の両縁を、前記アウタバッグに結合させ、
    前記対向壁が、外周縁を、前記流入側壁の周縁における前記アウタバッグへの結合部位を除く残部周縁と、前記アウタバッグとの共用部位の周縁と、に結合させて、配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
  6. 前記インナバッグの前記アウタバッグに対する結合が、縫製であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
  7. 前記インナバッグの前記アウタバッグに対する結合が、接着であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
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