JPH1142993A - 乗員保護装置用エアバッグ - Google Patents

乗員保護装置用エアバッグ

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JPH1142993A
JPH1142993A JP9215489A JP21548997A JPH1142993A JP H1142993 A JPH1142993 A JP H1142993A JP 9215489 A JP9215489 A JP 9215489A JP 21548997 A JP21548997 A JP 21548997A JP H1142993 A JPH1142993 A JP H1142993A
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airbag
cloth
cutting line
arc
fabric
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JP9215489A
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Masaharu Kakiya
正晴 垣谷
Koji Asada
康治 浅田
Toshihiro Sakamoto
敏宏 坂本
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Autoliv Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアバッグの展開初期において、内側布の前
記円弧状の切断線によって生成する開口を通して、ガス
を表側基布側に噴出させる事により、前方方向へのガス
の噴出を確実に抑制する様になすと共に、煩雑な縫製工
程を不必要とするものである。 【解決手段】 ガス発生器3から放出されるガスによっ
て展開される乗員保護装置用エアバッグであって、乗員
側に位置する表側基布1と、ガス発生器取付口2aを有
する裏側基布2と、裏側基布2のガス発生器取付口2a
を覆う様に裏側基布2に周縁部を縫着9してなる内側布
10とからなり、内側布10は、内側布の裏側基布2と
の縫着部9の内側近傍に、縫着線9に沿って円弧状に切
り裂かれた複数の切断線11を有してなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の乗員保護
装置用エアバッグ装置におけるエアバッグの構造に関す
るもので、特にエアバッグの展開初期において、エアバ
ッグの乗員方向への膨張を抑制する事により、エアバッ
グの膨張力によって乗員が負傷するのを防止する様にし
たエアバッグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のエアバッグの典型的な構造は、図
10に示している様に、乗員側に位置する表側基布1と
ガス発生器3を装着するガス発生器取付口2aを有する
裏側基布2とを重ね合わせ、両基布1,2の周縁部を縫
製線4により縫着して袋状に成形したものである。該エ
アバッグAの裏側基布2のガス発生器取付口2a内には
ガス発生器3が挿入され、該ガス発生器3のフランジ3
aと裏側基布2の前記開口部2aの周縁2bとを、ボル
ト等の固定手段5によって固定している。
【0003】エアバッグAの展開時には、ガス発生器3
のガス放出口3bから急速に放出される高圧ガスによっ
て、エアバッグAは、乗員と車体との間で極めて短時間
で膨張し乗員と車体との衝突を緩和するものである。と
ころが、エアバッグの膨張展開時には、図中点線で示す
様に、先ず前方に急速に大きく膨張する傾向がある。こ
の際に、エアバッグの先端部Bが乗員の顔面に高速で衝
突する所謂パンチング現象が生じる場合があり、これに
よって、乗員の顔面に擦過傷を与えたり、乗員の体格が
小さな場合には、乗員を激しく跳ね飛ばしたりする虞れ
すらある。
【0004】そこで、これを防止するため、図11に示
す様に、表側基布1の中央部適所と裏側基布2のガス発
生器取付口周縁2bとを、紐等の膨張規制部材6で連結
して表側基布1の前方展開を防止する方策が提案され、
実施されている。
【0005】又、他の解決策として、特開平7−149
199号公報に代表される補助袋を用いる方式がある。
この方式は、図12に示す様に、エアバッグA内の裏側
基布2の開口部2a近傍に、ガス発生器3を覆う程度の
適度の大きさの補助袋7を、間欠的に縫着し、エアバッ
グの膨張展開時には、先ず、補助袋7が脹らみ、該補助
袋7の横方向に形成されたガス通路8(未縫着部)から
エアバッグ本体内にガスを放出する様にしたものであ
り、これによって、エアバッグAには、展開時に常時横
方向の展開力が作用する様になし、エアバッグの乗員方
向への膨張を抑止する様にしたものである。
【0006】又、図12の方式に類似するものとして、
特開平8−11659号に示される補助袋を用いる方式
がある。この方式は、補助袋7自体にガス通路となる開
口を穿設しておくもので、該開口部をガス発生器の直上
部を除く外周部に形成するものであるが、基本的な思想
は、図12のものと同一である。
【0007】更に、図12の改良方式として、特開平8
−192703号に示される補助袋を用いる方式があ
る。この方式は、前記補助袋7の周縁部全週を縫製する
代わりに内側にスリットを設けておくもので、ガス発生
時には該スリットがガス通路となってエアバッグ本体内
にガスを供給するもので、基本的な思想は、図12のも
のと同一である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】係る従来技術におい
て、先ず図11に示した紐等の膨張規制部材6を用いる
方式においては、紐等を表側基布1及び裏側基布2の内
面に縫着する必要がある。このためには、内外基布1,
2を縫着した後に、これを裏返して前記膨張規制部材の
縫製を行う作業が必要になり、従って、縫着作業が煩雑
になる事は避けられず、これが製作上の難点となってお
り同時に製作コストが嵩む大きな要因となっている。
【0009】又、図12に示した如き補助袋7を用いる
方式においては、ガス発生器3より多少大きい程度の基
布を、折り返しながら裏側基布2のガス発生器取付口周
縁部2bに断続的に縫着する必要があり、煩雑な縫着作
業が必要とされる点では変わらず、低価格化の潮流の中
では、採用し難い方式である。
【0010】又、特開平8−11659号に示される方
式では、予め補助袋7自体に或る程度の面積を有する開
口を穿設しておき、この周縁部を裏側基布2に予め縫着
した後に、この補助袋付き裏側基布2を表側基布1と縫
着する事が可能になるので、前記煩雑な縫着作業は解消
されるが、補助袋7から噴出するガスは、或る程度の面
積を有する開口から噴出する事になるので、横方向のベ
クトルと共に前方向(乗員方向)のベクトルが大きくな
り、前述の図11の方式に比して横展開力が小さくなる
問題があった。
【0011】又、特開平8−192703号に示される
方式では、補助袋に、開口に代わってスリットを形成し
たものであり、エアバッグ展開初期の状態を図13に示
した様に、エアバッグ展開初期において、補助袋7が先
ず膨張し、補助袋7に形成されたスリット8’は開口
し、該開口部からガスを外部に放出する様になっている
が、図13から明らかな様に、スリットは斜め上方に向
かって開口する事になるので、ガスも斜め上方に向かっ
て放出される事になり、横方向展開力は、前記図12に
示されたものに比して低下する問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであって、乗員側に位置する
表側基布と、ガス発生器取付口を有する裏側基布と、該
裏側基布の前記ガス発生器取付口を覆う様に該裏側基布
に周縁部を縫着してなる内側布とからなり、該内側布の
前記裏側基布との縫着部の内側近傍に、該縫着線に沿っ
て円弧状に切り裂かれた複数の切断線が形成されている
点に特徴を有している。本発明は、これにより、エアバ
ッグの展開初期において、内側布の前記円弧状の切断線
によって生成する開口を通して、ガスを表側基布側に噴
出させる事により、前方方向へのガスの噴出を確実に抑
制する様になすと共に、煩雑な縫製工程を不必要とする
ものである。
【0013】尚、前記内側布の前記円弧状切断線を、乗
員に対して左右に位置する様に形成する事により、エア
バッグの横方向展開を確実になす事も好ましい態様であ
る。又、前記円弧状切断線を、該内側布と裏側基布との
縫製線に沿って複数個形成し且つ前記裏側基布のガス発
生器取付口に対して対象位置に形成する事により、ガス
をエアバッグの半径方向に均等に噴出させてエアバッグ
の前方方向への展開を抑制する様になす事も可能であ
る。
【0014】又、前記内側布の前記円弧状切断線を、円
弧状の本体部と、その端部に形成され且つ内側に向かう
切り欠き部とで構成する事により、横方向へのガスの噴
出を促進する様になす事も可能である。
【0015】更に、予め前記内側布の周縁部を縫着して
なる前記裏側基布と前記表側基布とを、前記内側布が外
側に位置する様にして両基布を重ね合わせ、両基布の周
縁部同士を縫着し、しかる後に前記内側布の円弧状切断
線によって形成された開口を通して縫製体全体を裏返す
事により、前記表側基布と裏側基布との縫製部が、外部
に露出しない様になす事も可能である。この場合に、前
記円弧状切断線の略中央部に、これと直交する短い第二
切断線を形成しておく事により、該円弧状切断線により
形成される開口の面積を大きくして、前記裏返し作業時
を容易となす様にする事も好ましい態様である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面によって本発明の実施
の形態を説明する。図1は、本発明に係るエアバッグの
裏側平面図であり、図2,図3は、そのC−C断面図を
示したものであって、夫々図1のエアバッグの展開過程
を概念的に示したものである。これら図1〜図3におい
て、裏側基布2の中央にはガス発生器取付口2aが形成
されており、該開口2aにはガス発生器3が常法によっ
て装着されている。又、裏側基布2と表側基布1との周
縁部は、縫製線4により一体的に縫着されている。
【0017】表側基布1と裏側基布2との間には、ガス
発生器3を覆う様に該裏側基布2より小径の内側布10
が配置され、その周縁部は、全周に亘って縫製線9によ
り裏側基布2に縫着されている。該内側布10の縫製線
9の内側近傍には、該縫製線9に沿って円弧状状に切り
裂かれた一対の切断線11が左右に形成されている。
尚、図中13は、エアバッグ内に噴出したガスを外部に
放出するベントホールであり、14は、ガス発生器3を
ボルト等によりエアバッグに固着するための係止孔であ
る。
【0018】次に、このエアバッグの展開時の挙動につ
いて説明する。自動車が衝突し、その衝撃によってガス
発生器3が作動すると、該ガス発生器3のガス放出口3
bから高圧のガスが急速に放出され、このガス圧によっ
て、図2に示す様に、先ず裏側基布2と内側布10との
間に形成されている第一空間A1にガスが充満し、該第
一空間A1を膨張させる。尚、エアバッグは折り畳まれ
てエアバッグモジュール内に装着されているが、図2で
は、理解を容易にするためにエアバッグを開いた状態で
示している。
【0019】該第一空間A1の膨張に連れて、前記円弧
状切断線11が次第に開口し、ガスは、徐々に前記表側
基布1の内側に形成された第二空間A2に流入して、該
第二空間A2を膨張させる事になるが、エアバッグ展開
の初期の段階では、乗員側の第二空間A2は殆ど膨張し
ておらず、エアバッグの乗員に向かう前後方向への膨張
は、前記第一空間A1の膨張分が殆どとなるので、前述
の如き、エアバッグ展開初期におけるパンチング現象は
生じない。
【0020】次に、ガス発生器3から継続して供給され
るガスによって第一空間A1内の圧力が次第に上昇し、
該第一空間A1が一杯に展開すると、前記縫製線9近傍
に形成されている円弧状切断線11も最大限に開口し、
ガスは、第一空間A1から第二空間A2に急速に噴出
し、該第二空間A2を急速に且つ横方向に膨張させてエ
アバッグの展開を行う。この第二空間A2の膨張に当
り、内側布10は、その周縁部が裏側基布2に縫着され
ているので、該内側布10が最大限に膨張した状態にお
いては、図3に示す様に、前記裏側基布2との縫着部9
の部分から急角度で立ち上がった状態となる。このた
め、内側布10の前記円弧状切断線11は、最大限に開
口するが、その開口角度は、略横方向に近い角度に開口
する事になる。
【0021】更に加えて、内側布10の切断線11が円
弧状であるので、図3のD部拡大図である図4に示す様
に、内側布10の切断線11の内側の円弧部11aは、
外側に捲れ上がって、該切断線11によって形成される
開口部に庇状体を形成する事になる。この結果、第一空
間A1から第二空間A2へのガスの噴出方向は、前記庇
状体11aによって上方向(乗員方向)への噴出が規制
され、図中矢印で示した様に、横方向にへの噴出が主流
となり、エアバッグは横方向に急速に膨張する事にな
る。これにより、従来問題とされていたエアバッグ展開
初期における前方方向展開によるパンチング現象を確実
に防止する事が可能となる。特に、特開平8−1927
03号に示された直線状のスリットの場合には、図13
に示した様に、この庇状体11aが形成され得ないの
で、ガスの上方向への規制がなく、パンチング防止効果
には問題があるが、本発明の様に円弧状切断線を形成し
た場合には、ガスの上方への噴出が抑止されるので、パ
ンチング現象防止効果には、大きな差が生じる事にな
る。
【0022】尚、本例の様に円弧状切断線11を乗員に
対して左右の位置に配置すると、エアバッグは左右方向
から展開を開始するので、前方に対する急膨張を防止す
ると共に乗員の左右位置に対する振れに対しても安全に
対処する事が可能となる。
【0023】次に、このエアバッグの製作工程について
説明すると、先ず、円弧状切断線11を形成した内側布
10を、ガス発生器取付口2aを形成した裏側基布2
に、該ガス発生器取付口2aを覆う様に同心円状に配置
し、内側布10の周縁部を裏側基布2に縫製線9により
強固に縫着する。次いで、該内側布10を挟む様に、表
側基布1と裏側基布2とを重ね合わせ、両基布1,2の
周縁部を縫着線4により強固に縫着してエアバッグの製
作を完了する。この様に、2つの平面の円周縫製4,9
のみによって全ての縫製が完了するので、エアバッグの
縫製工程は極めて簡易なものとなる。尚、この結果、表
側基布1と裏側基布2との周縁部の縫着線4は外部に露
出する事になるが、これは主としてエアバッグの見栄え
の問題であり、しかもエアバッグ自体は周知の通り折り
畳まれてエアバッグモジュール内に装着されているもの
であって、外部から見えるものではない。更に、この露
出部は、エアバッグの展開時に乗員に該露出部が当たら
ぬ様に折り畳めば、エアバッグの性能や機能には全く関
係のない事項であるので、製作の簡便性を優先させて考
えれば、上記方式は、極めて合理的な縫製方式といえ
る。
【0024】次に、図5は、本発明の他の実施例を示す
もので、エアバッグの展開状態を示した概略断面図であ
る。同図において、前記図3との相違点は、表側基布1
と裏側基布2との周縁縫製線4が外部に露出されておら
ず、内部に存在している点のみである。本例のエアバッ
グの製作方法について説明すると、先ず、内側布10を
裏側基布2に縫着する点は前述の場合と同一である。次
に、表側基布1と裏側基布2との縫着に当たり、内側布
10が表側基布1と裏側基布2の外側に位置する様にし
て両基布1,2の周縁部を縫製4し、続いて、内側布1
0の円弧状切断線11の開口と裏側基布2のガス発生器
取付口2aとを通して、この縫製体全体を裏返すと、内
側布10は表裏基布1,2の間に位置し、表裏基布1,
2の周縁縫着部4は内側に位置する様になる。
【0025】尚、この場合にも、エアバッグの展開形態
は前述の場合と同様であり、先ず、第一空間A1が膨張
し、これによって生じた内側布10の切断線11の開口
からガスが第二空間A2に噴出してエアバッグを横方向
に展開展開させる点は同一であるが、前述の場合と異な
り、表裏基布1,2の周縁縫製線4は内側に隠れている
ので、エアバッグの見栄えを良くする事が可能となり、
又、任意の折り畳み方式を採用する事が可能となる。
【0026】尚、前記エアバッグ縫製体の裏返し作業を
容易にするには、前記円弧状切断線11による開口が大
きい程、容易となるが、この円弧状切断線11の切断長
さを長くして開口を大きくすると、この開口から噴出す
るガスの前方方向への噴出、即ち噴出ガスの乗員方向ベ
クトルが大きくなって、前記パンチング現象防止効果を
低下させる事になる。そこで、図6に示す様に、内側布
10の円弧状の切断線11の略中央部に、これと直交す
る方向に短い第二切断線12を形成する事により、ガス
の前記乗員方向噴出ベクトルを大きくする事なく、開口
面積を大きくする事が可能となる。これにより、前記縫
製体の裏返し作業を容易になす事ができる。尚、図6に
おいて、9は周縁縫製予定線を示している。また、内側
布10の円弧状の切断線11の略中央部に、これと斜交
する方向に短い第二切断線12を形成するようにしても
よい。これにより、第二切断線12が内側布10の縦緯
の糸方向と交差するようになるので、エアバッグが膨張
したときの引き裂き強度が向上する。
【0027】上記の通り、本発明のエアバッグにおいて
は、全ての縫製作業が終了した後の裏返し作業のみによ
って、極めて容易に、表裏基布1,2の周縁縫製線4を
内側に隠す事ができる。この点について、従来のものと
対比して説明すると、前述の図12に示した如き従来の
補助袋7を有するエアバッグ(特開平7−149199
号)においては、補助袋7自体がガス発生器を覆う程度
の小さなものであるので、これに裏返し作業が容易とな
る様な大きな開口を形成する事は不可能であるから、先
ず、表裏基布1,2を縫着し、これを裏返した後に、裏
側基布2のガス発生器取付口2aを通して補助袋7を配
置し、これらを折り返しながら縫製するという困難な縫
製作業が必要であった。
【0028】一方、これに類似する特開平8−1165
9号公報に開示されているところの補助袋自体にガス通
路となる楕円形,扇形の開口を形成しておき、この開口
径の大きさを、裏返し作業が容易となる程度の大きさと
なす事によって、本発明と同様の裏返し方式を採用する
事ができるが、この開口径が大きくなる分、前述の通
り、前方の乗員方向へのガスの噴出力も大きくなるの
で、前述のパンチング現象の防止効果が低下する問題が
ある。これに対し、本発明においては、円弧状の切断線
であるので、前記庇状体が形成される結果、パンチング
現象を防止しつつ、且つ極めて容易に縫製作業と裏返し
作業を行う事が可能となる。
【0029】次に、図7〜図9は、本発明のエアバッグ
に使用する内側布10の円弧状切断線11の他の実施例
を示した平面図であり、図7は、内側布10の図中点線
で示した周縁の予定縫製線9の内側近傍に、中心点Oに
対して点対象(即ち、裏側基布のガス発生器取付口に対
しても対象)に8つの円弧状切断線11を円弧状に形成
している。又、図8においては、同様に3つの切断線1
1を円弧状に形成しており、図9においては、8つの切
断線11を円弧状に形成している点では図7のものと同
一であるが、本例においては、切断線11が、円弧状の
本体部11bとその両端の内側に向かって切れ上がった
切り込み部11cとで形成されている点で他のものと異
なっている。
【0030】この図9に示したものの場合には、前述の
図4の拡大図に示した、切断線11の内側円弧部11a
によって形成される庇状体が、切断線本体部11bの長
さが短くても比較的大きくなるので、円弧状切断線11
を通って、ガスが第一空間A1から第二空間A2に噴出
する際に、前記庇状部11aによって噴出ガスの上方へ
の噴出、即ち乗員側に向かう前方噴出が抑制され、エア
バッグの横方向展開を一層確実なものとなす事が可能と
なる。同時に、前述した縫製体の裏返し作業において
も、単なる円弧状の切断線に比して、開口面積が大きく
なるので、短い切断線で裏返し作業を行う事が可能とな
る効果もある。
【0031】尚、以上の説明において、内側布10に形
成された円弧状切断線11及びこれと直交する第二切断
線は、内側布10の切断時に、単に刃物で押切しただけ
のものでもよいが、エアバッグ展開時にガス圧によって
更に切り裂かれて開口面積が大きくなるおそれがあるの
で、これら切断線の少なくとも両端部は、補強のため
に、衣服のボタン穴の如くかがり処理しておく事が望ま
しい。更に、切断手段として、レーザ,ホットプレス等
の溶断方式を用いれば、ナイロン等の合成繊維からなる
基布材の切断面は、溶融凝固した切断面となり、切断部
のほつれがないので、前記かがり処理が不要となる。こ
の意味から、切断方式としては、係る溶断方式が、より
好ましい切断方式と言える。また、裏側基布2と内側基
布10とはその縦緯糸が互いに斜交するように配置する
ことが好ましい。
【0032】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、内
側布10の周縁部を裏側基布2に縫製線9によって縫着
し、その縫製線9の内側に沿って複数の円弧状切断線1
1を形成し、エアバッグの展開時には、先ず前記内側布
10の内側に形成された第一空間A1を膨張させ、続い
て、この第一空間A1の膨張によって前記円弧状切断線
11に生じる開口を通して外側の第二空間A2を膨張さ
せる様にしているので、エアバッグは、乗員方向に向か
って前方に展開する事なく、横方向に確実に展開する事
になる。これにより、乗員に傷害を与えるおそれのある
パンチング現象が防止され、エアバッグの安全性が一層
向上する事になる。
【0033】特に、前記内側布10に形成された円弧状
切断線11を通ってガスが噴出する際に、該円弧状切断
線の内側円弧部11aが、該切断線の開口部を庇状に覆
う現象が生じるので、該庇状体によってガスの前方への
噴出が抑制され、横方向への噴出が促進される事になる
ので、エアバッグの前方展開抑制効果は一層向上する事
になる。特に、前記内側布10に切断線11を円弧状に
形成することにより、内側布10の縦緯の糸方向と交差
するようになるので、エアバッグが膨張したときの引き
裂き強度が向上することとあいまって切断線11の両端
部に内側に切り込んだ切り込み部11cを形成する事に
より、この庇効果を一層拡大する事が可能となる。
【0034】又、前記内側布10を裏側基布2に縫着し
た後、内側布10が外側に位置する様に表側基布1と裏
側基布2とを重ね合わせ、両基布1,2の周縁部を縫製
4した後に、前記内側布10の切断線11と裏側基布2
のガス発生器取付口2aとを通して裏返す事により、表
裏基布1,2の周縁縫製線4を内側に隠す事作業を、極
めて容易に行う事も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエアバッグの背面平面図である。
【図2】本発明に係るエアバッグの展開初期の状態を示
す図1のC−C断面概念図である。
【図3】本発明に係るエアバッグの展開状態を示す図1
のC−C断面概念図である。
【図4】図3のD部拡大図である。
【図5】本発明に係る他のエアバッグの展開状態を示す
断面概念図である。
【図6】本発明で使用する内側布の他の例を示す平面図
である。
【図7】本発明で使用する内側布の更に他の例を示す平
面図である。
【図8】本発明で使用する内側布の更に他の例を示す平
面図である。
【図9】本発明で使用する内側布の更に他の例を示す平
面図である。
【図10】従来のエアバッグの展開状態を示す概念図で
ある。
【図11】従来の前方展開規制部材を用いたエアバッグ
の展開状態を示す概念図である。
【図12】従来の補助袋を用いたエアバッグの展開状態
を示す概念図である。
【図13】従来の他の補助袋を用いたエアバッグの展開
状態を示す概念図である。
【符号の説明】
1 表側基布 2 裏側基布 3 ガス発生器 4 表側基布と裏側基布の縫製線 9 裏側基布と内側布との縫製線 10 内側布 11 円弧状切断線 12 第二切断線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 敏宏 茨城県新治郡千代田町上稲吉向原1764−1 センサー・テクノロジー株式会社筑波事 業所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス発生器(3)から放出されるガスに
    よって展開される乗員保護装置用エアバッグであって、 乗員側に位置する表側基布(1)と、ガス発生器取付口
    (2a)を有する裏側基布(2)と、該裏側基布(2)
    の前記ガス発生器取付口(2a)を覆う様に該裏側基布
    (2)に周縁部を縫着(9)してなる内側布(10)と
    からなり、 前記内側布(10)は、該内側布の前記裏側基布(2)
    との縫着部(9)の内側近傍に、該縫着線(9)に沿っ
    て円弧状に切り裂かれた複数の切断線(11)を有して
    なるものである事を特徴とする乗員保護装置用エアバッ
  2. 【請求項2】 前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)が、乗員に対して左右に位置する様に形成され
    ているものである請求項1に記載の乗員保護装置用エア
    バッグ
  3. 【請求項3】 前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)が、該内側布と裏側基布との前記縫製線(9)
    に沿って複数個配置され、且つ前記裏側基布のガス発生
    器取付口(2a)に対して対象位置に配置されている請
    求項1に記載の乗員保護装置用エアバッグ
  4. 【請求項4】 前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)が、円弧状の本体部(11b)とその端部に形
    成され且つ内側に切り込んだ切り込み部(11c)とか
    らなるものである請求項1乃至3のいずれかに記載の乗
    員保護装置用エアバッグ
  5. 【請求項5】 前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)の少なくとも両端部を補強のためにかがり処理
    してなる請求項1乃至4のいずれかに記載の乗員保護装
    置用エアバッグ
  6. 【請求項6】 前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)を、レーザ或いはホットプレス等の溶断手段に
    よって形成してなる請求項1乃至4のいずれかに記載の
    乗員保護装置用エアバッグ
  7. 【請求項7】 前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)の略中央部に、該円弧状切断線に直交する短い
    第二切断線(12)が形成されている請求項1乃至4の
    いずれかに記載の乗員保護装置用エアバッグ
  8. 【請求項8】 前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)の略中央部に、該円弧状切断線に斜交する短い
    第二切断線(12)が形成されている請求項1乃至4の
    いずれかに記載の乗員保護装置用エアバッグ
  9. 【請求項9】 前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)の少なくとも両端部と、前記第二切断線(1
    2)の少なくとも両端部とを補強のためにかがり処理し
    てなる請求項7又は8に記載の乗員保護装置用エアバッ
  10. 【請求項10】 前記内側布(10)の前記円弧状切断
    線(11)と前記第二切断線(12)を、レーザ或いは
    ホットプレス等の溶断手段によって形成してなる請求項
    7又は8に記載の乗員保護装置用エアバッグ
  11. 【請求項11】 前記円弧状切断線(11)が前記内側
    布(10)の縦緯の糸方向と交差するようにしてなる請
    求項1乃至6のいずれかに記載の乗員保護装置用エアバ
    ッグ
  12. 【請求項12】 前記円弧状切断線(11)と前記第二
    切断線(12)が前記内側布(10)の縦緯の糸方向と
    交差するようにしてなる請求項7乃至10のいずれかに
    記載の乗員保護装置用エアバッグ
  13. 【請求項13】 前記内側布(10)の周縁部を縫着
    (9)してなる前記裏側基布(2)を、前記内側布(1
    0)が外側に位置する様に前記表側基布(1)と重ね合
    わせて両基布(1,2)の周縁部同士を縫着(4)し、
    しかる後に、前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)によって形成された開口と、前記裏側基布
    (2)の前記ガス発生器取付口(2a)とを通して、縫
    製体全体を裏返す事により、前記表側基布(1)と裏側
    基布(2)との縫製部(4)が、外部に露出しない様に
    してなる請求項1乃至6又は11のいずれかに記載の乗
    員保護装置用エアバッグ
  14. 【請求項14】 前記内側布(10)の周縁部を縫着
    (9)してなる前記裏側基布(2)を、前記内側布(1
    0)が外側に位置する様に前記表側基布(1)と重ね合
    わせて両基布(1,2)の周縁部同士を縫着(4)し、
    しかる後に、前記内側布(10)の前記円弧状切断線
    (11)と前記第二切断線(12)とによって形成され
    た開口と、前記裏側基布(2)の前記ガス発生器取付口
    (2a)とを通して、縫製体全体を裏返す事により、前
    記表側基布(1)と裏側基布(2)との縫製部(4)
    が、外部に露出しない様にしてなる請求項7乃至10又
    は12のいずれかに記載の乗員保護装置用エアバッグ
  15. 【請求項15】 前記内側布(10)の周縁部を縫着
    (9)してなる前記裏側基布(2)を、前記内側布(1
    0)が内側に位置する様に前記表側基布(1)と重ね合
    わせて両基布(1,2)の周縁部同士を縫着(4)する
    事により、該表側基布(1)と裏側基布(2)との縫製
    部(4)を外部に露出させてなる請求項1乃至14のい
    ずれかに記載の乗員保護装置用エアバッグ。
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