JP3915533B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳まれて収納されたエアバッグが、乗員側への不要な突出を抑え可能に、流入される膨張用ガスの流れを規制して、展開膨張する構成のエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、この種のエアバッグ装置としては、特開平7−149199号公報等に記載されているものが知られていた。上記公報記載のエアバッグ装置は、車両のステアリングホイールに使用されていた。
【0003】
このエアバッグ装置のエアバッグは、共に円形とした二枚の車体側(ステアリングホイール側)壁部と乗員側(運転者側)壁部とを備えていた。そして、エアバッグは、車体側壁部と乗員側壁部との周縁相互を縫合して、形成されていた。また、車体側壁部には、インフレーターからの膨張用ガスを流入させるためのガス流入口が、開口されていた。そして、車体側壁部には、ガス流入口を塞ぐように、整流布が配設されていた。この整流布は、ガス流入口から流入する膨張用ガスの流れを規制して、エアバッグにおける乗員側壁部の乗員(運転者)側への突出を抑えるものであった。このエアバッグでは、膨張途中に、膨張用ガスの流れる方向に幅広く広がることができて、接近している乗員に対し、不要な押圧力を与え難かった。
【0004】
しかし、従来のエアバッグでは、膨張初期から膨張完了まで、整流布によって、膨張用ガスの流れが規制されていた。すなわち、膨張完了直前まで、整流布によって、膨張用ガスの流れが規制されていた。そのため、従来装置では、エアバッグの膨張開始から膨張完了間での時間を短くする点に、改善の余地があった。なぜなら、膨張初期から膨張完了までのエアバッグの膨張時間を短くするためには、エアバッグの膨張完了前に、膨張用ガスは、流れを規制されずに、ガス流入口から自由にエアバッグ内に流入されることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、膨張初期に、乗員側へのエアバッグの突出を抑えることができ、かつ、エアバッグの膨張開始から膨張完了までの時間を、短縮化可能なエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエアバッグ装置は、折り畳まれて収納されたエアバッグが、膨張用ガスを流入させるためのガス流入口を備えた車体側壁部と、前記ガス流入口と対向する乗員側壁部と、を備えて構成されるとともに、前記乗員側壁部の乗員側への不要な突出を抑え可能に、流入される膨張用ガスの流れを規制して、展開膨張する構成のエアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、前記膨張用ガスの流れを規制可能な可撓性を有した整流用部材を、内部に配設させ、
前記整流用部材が、
前記車体側壁部のガス流入口周縁と前記乗員側壁部とを連結するように、前記車体側壁部のガス流入口周縁と結合される車体側結合部と、前記乗員側壁部と結合される乗員側結合部と、を備えて、
前記ガス流入口に連通する開口を備える一枚の布材から形成される構成とし、前記開口の周縁を、前記車体側結合部として、前記ガス流入口の周縁の全周に配置させて前記車体側壁部に結合させ、前記乗員側結合部を、前記ガス流入口の周囲を囲むように配置させて前記乗員側壁部に結合させて、
前記車体側結合部と前記乗員側結合部との間の部位に、前記ガス流入口からの膨張用ガスを、流入方向を制御してエアバッグ内に流入させるガス流出口を配設させ、
さらに、前記エアバッグの膨張完了前に、前記車体側結合部と前記乗員側結合部との間の部位を破断させるように、構成されて、前記車体側結合部と前記乗員側結合部との間の部位の破断により、前記エアバッグに流入する膨張用ガスの流れの規制、膨張完了前に、解除させるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
そして、前記エアバッグには、膨張完了時における前記ガス流入口から前記乗員側壁部までの距離を規制可能なテザーを、配設させて構成することが望ましい。
【0008】
また、前記エアバッグが、車両のステアリングホイール用として構成される場合には、前記エアバッグは、車両搭載状態で、前記膨張用ガスの流れを車両の前後方向両側でかつステアリングホイールのリング部に沿う方向に規制するように、構成することが望ましい。
【0010】
前記整流用部材の破断部位は、予め、スリットを配設させた破断予定部として構成することが望ましい。
【0013】
また、本発明に係るエアバッグ装置が、折り畳まれた前記エアバッグを収納するケース、を備えるとともに、前記エアバッグの内周面側における前記ガス流入口の周縁を押えて、前記エアバッグを前記ケースに取付可能な環状のリテーナ、を備えて構成される場合には、
前記車体側結合部は、前記リテーナに押えられて前記車体側壁部に結合させることが望ましい。
【0014】
さらに、前記整流用部材は、
前記乗員側結合部の側を延設させるとともに、
延設させた端部側を、前記ガス流入口近傍の前記車体側壁部の側に、結合させて、前記エアバッグの膨張完了時における前記ガス流入口から前記乗員側壁部までの離隔距離を規制可能なテザー部とし、
前記エアバッグは、前記テザー部を前記ガス流入口の周囲に、複数配設させて、構成してもよい。
【0015】
この場合、前記各テザー部における前記車体側壁部の側の端部は、前記車体側壁部に縫合された補強布から延びる延設部に縫合させて、前記車体側壁部の側に結合させることが望ましい。
【0016】
【発明の効果】
本発明に係るエアバッグ装置では、作動時、折り畳まれて収納されたエアバッグが、流入される膨張用ガスの流れを規制させて展開膨張するものの、エアバッグに流入する膨張用ガスの流れの規制が、エアバッグの膨張完了前に、解除される。
【0017】
そのため、エアバッグは、膨張初期から膨張途中において、膨張用ガスの流れが規制され、膨張用ガスの流れ方向に沿って幅広く膨張して、車体側壁部に設けられたガス流入口に対向する乗員側壁部の乗員側への不要な突出を、抑えることが可能となる。なお、このときの膨張用ガスの流れを規制して、膨張用ガスを流す方向は、乗員側壁部を、ガス流入口から離すように押す方向ではなく、ガス流入口と対向する乗員側壁部の部位に沿う方向が望ましい。
【0018】
そして、膨張完了前には、エアバッグに流入する膨張用ガスの流れの規制が、エアバッグの膨張完了前に、解除されることから、膨張完了前には、膨張用ガスが自由にエアバッグ内に流入し、エアバッグは、膨張が促進された状態で、膨張を完了させる。そのため、エアバッグは、膨張開始から膨張完了までの時間を短縮化することが可能となる。
【0019】
したがって、本発明に係るエアバッグ装置では、膨張初期のエアバッグの乗員側への突出を抑えることができ、かつ、エアバッグの膨張開始から膨張完了までの時間を短縮することができる。
そして、整流用部材が、車体側結合部と乗員側結合部とを備えて、ガス流入口周縁の車体側壁部と乗員側壁部とを相互に連結することができる。そのため、エアバッグの膨張完了前、すなわち、車体側結合部と乗員側結合部との間の部位の破断前に、車体側壁部のガス流入口周縁と乗員側壁部との間の距離を、小さく抑えることができる。その結果、膨張初期から膨張途中において、膨張用ガスの流れ方向に依存することなく、エアバッグは、乗員側壁部が乗員側へ不必要に突出することを、抑えることが可能となる。
さらに、膨張用ガスの流れの規制解除が、エアバッグ内に配設された可撓性を有した整流用部材自体の破断により、行なわれる。そのため、膨張完了時のエアバッグからの無用なガス漏れが、生じない。すなわち、エアバッグの周壁を構成する部位に、縫合糸を使用して、整流用部材を縫合し、縫合糸を破断させて、ガス流れの規制解除を行なう構成であれば、周壁における縫合糸の通った穴が、大きくなる。そのため、その穴から膨張用ガスが漏れる虞れがある。しかし、整流用部材自体が破断すれば、仮に、整流用部材をエアバッグの周壁に縫合させていても、周壁における縫合糸の通った穴を大きくすることを、抑えることができる。
また、整流用部材が、一枚の布材から形成されているため、一枚の整流用部材を使用するだけで、展開膨張初期のガス流れを規制可能でかつ膨張初期のエアバッグの厚さを規制可能なエアバッグを、容易に、製造できる。すなわち、展開膨張初期のガス流れを規制可能でかつ膨張初期のエアバッグの厚さを規制可能なエアバッグを、製造工数・製造コストを抑えて、簡便に製造することができる。
【0020】
そして、請求項2に記載するように、膨張完了時のエアバッグが、テザーによって、ガス流入口からガス流入口に対向する乗員側壁部の部位までの距離を、規制されるため、エアバッグは、膨張完了時においても、乗員側への不要な突出を防止することができる。
【0021】
また、請求項3のように構成する場合には、エアバッグが、車両搭載状態で、膨張用ガスの流れを車両の前後方向両側でかつステアリングホイールのリング部に沿う方向に規制させるように、構成されている。そのため、エアバッグは、膨張初期から、乗員側への突出を抑えた状態で、ステアリングホイールのリング部に沿う前後方向両側に広がるように膨張する。すなわち、エアバッグは、膨張初期から、ステアリングホイールのリング部における後部側に、エアバッグの一部を配置させることができる。そのため、運転者がリング部に接近していても、運転者の腹部とステアリングホイールのリング部の後部側との狭い隙間に、エアバッグの一部を容易に侵入させることができる。
【0023】
また、請求項4に記載したように、整流用部材の破断部位が、予め、スリットを配設させた破断予定部として構成されていれば、的確に、整流用部材を破断させることができる。なお、この整流用部材の破断は、整流用部材に加わる張力を利用したり、あるいは、膨張用ガスの熱を利用することができる。
【0026】
そして、エアバッグ装置が、折り畳まれたエアバッグを収納するケース、を備えるとともに、エアバッグの内周面側におけるガス流入口の周縁を押えて、エアバッグをケースに取付可能な環状のリテーナ、を備えて構成される場合に、請求項5に記載したように、整流用部材が、車体側結合部と乗員側結合部とを備えて、車体側結合部が、リテーナに押えられて車体側壁部に結合されていれば、つぎのような作用・効果を得ることができる。すなわち、整流用部材における車体側結合部の車体側壁部への結合を、縫合等の接合手段を利用することなく、リテーナで押えるだけで、行なえる。そのため、整流用部材の車体側結合部を、容易に形成することができる。
【0027】
さらに、請求項6に記載するように構成する場合には、整流用部材に、膨張完了時におけるエアバッグの形状を規制可能なテザー部を、一体化して配置させることができる。そのため、ガス流入口から乗員側壁部までの距離を規制して膨張完了時におけるエアバッグの形状を規制できるテザーを、エアバッグに、別途取り付ける必要がない。すなわち、テザーの乗員側壁部側の端部を、別途、乗員側壁部に結合させることなく、整流用部材を乗員側壁部に結合させるだけで、テザーの乗員側壁部側の端部を、乗員側壁部に結合させることができる。その結果、テザーを備えたエアバッグを、製造工数及びコストを低減して、製造することができる。
【0028】
この場合、請求項7のように、車体側壁部に縫合させた補強布に延設部を設け、各テザー部における車体側壁部の側の端部を、その延設部に縫合させて、車体側壁部の側に結合させる構成にすれば、つぎのような作用・効果を得ることができる。すなわち、整流用部材の乗員側結合部が、乗員側壁部に縫合され、かつ、延設部を備えた補強布が、車体側壁部に縫合されていても、テザー部の端部と延設部とを、ガス流入口からエアバッグ外に引き出して、両者を容易に縫合させて連結することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1・2に、本発明の第1実施形態であるステアリングホイール用のエアバッグ装置M1を示す。
【0030】
なお、第1実施形態では、ステアリングホイール用のエアバッグ装置M1を例に採り説明するが、本発明を適用可能なエアバッグ装置としては、これに限られるものではなく、本発明は、助手席用エアバッグ装置等のエアバッグ装置にも、適用可能である。
【0031】
また、第1実施形態における前後上下左右方向は、特に断らない限り、車両に搭載させたステアリングホイールWの直進操舵時を基準とするものであり、ステアリングホイールWを組み付けるステアリングシャフトSS(図11参照)の軸方向に沿った上下を上下方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の前後方向を前後方向とし、ステアリングシャフトSSの軸直交方向である車両の左右方向を左右方向として、前後上下左右方向を示すものである。
【0032】
エアバッグ装置M1は、図1・2に示すように、ステアリングホイールWの中央のボス部Bにおける上部に配置される構成である。ステアリングホイールWは、操舵時に把持するリング部Rと、中央に配置されてステアリングシャフトSS(図11参照)に連結されるボス部Bと、ボス部Bとリング部Rとを連結する四本のスポーク部Sと、を備えて構成されている。また、ステアリングホイールWは、構成部品上では、エアバッグ装置M1とステアリングホイール本体1とを備える構成である。
【0033】
ステアリングホイール本体1は、リング部R・ボス部B・スポーク部Sの各部を連結するように配置されるアルミニウム合金等からなる芯金2と、リング部Rとリング部R側の各スポーク部Sとの芯金2を被覆する合成樹脂製の被覆層3と、ボス部Bの下部に配置される合成樹脂製のロアカバー4と、を備えて構成されている。
【0034】
エアバッグ装置M1は、図2に示すように、折り畳まれたエアバッグ20と、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するインフレーター8と、エアバッグ20とインフレーター8とを収納して保持するケース10と、を備えて構成されている。エアバッグ20は、エアバッグ本体21と、整流用部材としての整流布36と、を備えて構成されている。
【0035】
インフレーター8は、上部に膨張用ガスを吐出する複数のガス吐出口8bを備えた略円柱状の本体8aと、本体8aの外周面から突出して配置される略四角板状のフランジ部8cと、を備えて構成されている。複数のガス吐出口8bは、本体8aの上部で、周方向に均等な間隔で配置されて、本体8aから膨張用ガスを放射状に吐出させるように、配設されている。フランジ部8cには、後述するリテーナ6から突出するボルト6aを挿通させるための挿通孔8dが、形成されている。
【0036】
リテーナ6は、略四角環状体の板金製として、四隅に、下方へ突出するボルト6aを備えて構成されている。このリテーナ6は、エアバッグ20の後述する開口23・37aの周縁を押えるとともに、ボルト6aを、開口23・37aの周縁や後述するバッグホルダ11を経て、インフレーター8のフランジ部8cから突出させる。そして、各ボルト6aにナット7を締結することにより、エアバッグ20が、リテーナ6を利用して、ケース10のバッグホルダ11に取り付けられている。なお、このリテーナ6は、整流布36の開口37aの周縁を、エアバッグ本体21の開口23の周縁に押えることとなり、整流布36の後述する車体側結合部38を形成することとなる。
【0037】
ケース10は、板金製のバッグホルダ11と、エアバッグカバーとしての合成樹脂製のパッド15と、から構成されている。
【0038】
バッグホルダ11は、上方を開口させた略直方体形状のホルダプレート12と、ホルダプレート12と協動してパッド15を挟持するバックアッププレート13と、から構成されている。各プレート12・13は、インフレーター8の本体8aを下方から挿入させる挿入孔12a・13aと、挿入孔12a・13aの周囲に配置されてリテーナ6のボルト6aを挿通させる取付孔12b・13bと、を備える。また、バックアッププレート13は、ステアリングホイール本体1の芯金2に接続される図示しないブラケットを備える。
【0039】
パッド15は、ボス部Bの上部を覆う蓋体部16と、蓋体部16の周縁の下面から略四角筒形状に下方へ突出する側壁部17と、を備える。蓋体部16は、側壁部17に囲まれた部位に、エアバッグ20の膨張時、ステアリングホイールWの前後方向へ開く2つの扉部(図符号省略)を備えて構成され、それらの扉部の周囲には、エアバッグ20に押されて破断して、扉部を円滑に開かせる薄肉の破断予定部(図符号省略)が、形成されている。側壁部17は、バッグホルダ11を構成するホルダプレート12とバックアッププレート13とにより、下端付近を挟持されて、バッグホルダ11に保持されている。
【0040】
なお、折り畳まれたエアバッグ20は、第1実施形態の場合、下面側が、バッグホルダ11のホルダプレート12とインフレーター8の本体8aとで規制され、上面側が、パッド15の蓋体部16と側壁部17とで規制されることとなる。
【0041】
エアバッグ20は、図3〜5に示すように、膨張用ガスを流入させて膨張する袋状のエアバッグ本体21と、エアバッグ本体21内への膨張用ガスの流入方向を規制するための整流用部材としての整流布36と、を備えている。
【0042】
エアバッグ本体21は、ポリアミドやポリエステル等の可撓性を有した織布から形成されている。エアバッグ本体21は、膨張完了時にステアリングホイールW側となって、ガス流入口(開口)23を有した車体側壁部22と、ガス流入口23と対向して配置されて膨張完了時に乗員側となる乗員側壁部25と、を備えている。
【0043】
ガス流入口23は、インフレーター8の本体8aを下方から挿入させて、インフレーター8のガス吐出口8bから吐出される膨張用ガスを、エアバッグ20内に流入させるための部位である。また、ガス流入口23の周縁には、リテーナ6に形成されたボルト6aを挿通させる取付穴24が四個形成されている。なお、エアバッグ20のガス流入口23の周縁とインフレーター8のフランジ部8cとの間には、バッグホルダ11が配設されている。しかし、図5・7・9・10では、バッグホルダ11は、省略されている。
【0044】
そして、第1実施形態では、エアバッグ本体21は、図6・7に示すように、車体側壁部22を構成して、ガス流入口23を構成する円形の開口28aを中心に配設させた円形状の車体側基布28と、乗員側壁部25を構成する円形の乗員側基布29と、ガス流入口23の周縁において車体側基布28に縫着される四枚の補強布30・31・32・33と、を備えて構成されている。補強布30・31・32・33は、ガス流入口23の周縁の強度を補強するために配置されるもので、配置数は、インフレーター8の出力に応じて適宜変更可能である。車体側基布28は、開口28aの周縁に、取付穴24を構成する四つの取付穴28bを備えている。また、車体側基布28には、図4に示すように、ベントホール28cが、形成されている。
【0045】
各補強布30・32・33は、図6に示すように、それぞれ、中央付近にガス流入口23に対応した円形の開口30a・32a・33aを備えて、略円環状に形成されている。また、各開口30a・32a・33aの周縁には、取付穴24に対応した位置に、取付穴30b・32b・33bが、それぞれ、形成されている。
【0046】
補強布31は、補強布30と補強布32との間に配置されて、各補強布30・32・33と同様に、中央付近に形成されるガス流入口23に対応した円形の開口31aと、開口31a周縁に形成される取付穴24に対応した取付穴31bと、を備えている。そして、補強布31には、周縁から、整流布36の後述するテザー部43に連結される帯状の延設部31cが、左右対称となるように、左右方向両側へ延設されて形成されている。
【0047】
そして、膨張完了時のエアバッグ20のガス流入口23からガス流入口23に対向する乗員側壁部25の部位までの離隔距離を規制するテザー45は、左右各々の相互に連結されたテザー部43と延設部31cとによって、形成されることとなる。
【0048】
補強布30・31は、三箇所に配置される円環状の縫合部位47・48・49で、縫合糸53により縫合されて、車体側基布28に縫着されている。また、補強布32・33は、補強布30・31とともに、二箇所に配置される縫合部位47・48で、車体側基布28に縫着されることとなる。
【0049】
整流布36は、エアバッグ本体21と同様にポリアミドやポリエステル等の可撓性を有した織布から構成されて、図3・6に示すように、略円板状の整流布本体37と、整流布本体37の周縁から左右両側へ延設される二本の帯状のテザー部43・43と、を備えて構成される。整流布本体37は、エアバッグ本体21のガス流入口23に連通する開口37aを備えるとともに、開口37aの周縁に、リテーナ6の各ボルト6aを挿通させる四個の取付穴37bを備えている。開口37aには、下方から、インフレーター8の本体8aが挿入されることとなる。
【0050】
また、整流布本体37は、車体側壁部22のガス流入口23の近傍に結合される車体側結合部38と、乗員側壁部25に結合される乗員側結合部39と、を備えて、これらの結合部38・39により、車体側壁部22におけるガス流入口23の近傍と乗員側壁部25とを連結している。車体側結合部37は、第1実施形態の場合、既述したように、開口37aの周縁の全周の部位となり、開口37aの周縁の全周がリテーナ6に押えられて、車体側壁部22に結合されている。乗員側結合部39は、第1実施形態の場合、開口37aと連通しているガス流入口23を囲む円環状の縫合部位50により、形成されている。縫合部位50は、円形の整流布本体37の外周縁付近を、縫合糸53を使用して、乗員側壁部25に縫合して、形成されている。
【0051】
また、整流布本体37における車体側結合部38と乗員側結合部39との間の部位には、インフレーター8から吐出された膨張用ガスをエアバッグ本体21内に流出させるガス流出口40が形成されている。ガス流出口40は、開口37a周縁に沿って長方形を湾曲させたような扇状に開口して、開口37aの前後の二箇所に、形成されている。
【0052】
そして、整流布本体37は、エアバッグ本体21の内圧が所定圧力に到達した際に、乗員側壁部25と車体側壁部22との連結状態を解除するように、車体側結合部38と乗員側結合部39との間の部位を、破断することとなる。第1実施形態の場合、ガス流出口40・40の間には、整流布本体37を構成する基布にミシン目状の切込みを形成したスリットを設けて、略半円弧状の破断予定部41・41が、ガス流出口40・40を連結するように配置されている。これらの破断予定部41・41は、エアバッグ本体21の内圧が所定圧力(10〜20KPa程度)に到達した際に破断される構成であり、破断時に、整流布本体37における乗員側結合部39と車体側結合部38とが分断されて、乗員側壁部25と車体側壁部22との連結状態が解除されることとなる。
【0053】
テザー部43・43は、帯状とされて、整流布本体37の周縁から左右方向両側に突出するように延設されている。これらのテザー部43・43は、エアバッグ20の膨張時におけるガス流入口23からの乗員側壁部25の離隔距離を規制して、エアバッグ本体21の膨張形状を規制するものである。そして、各テザー部43は、端部43a・43aを、それぞれ、車体側壁部22の側の補強布31における延設部31c・31cの端部31d・31dに、縫合糸53により縫合させて、ガス流入口23の近傍に連結される構成である。
【0054】
つぎに、エアバッグ20の製造について述べる。整流布36には、予め、開口37a、取付穴37b、ガス流出口40、及び、破断予定部41、を形成しておく。そして、まず、乗員側基布29に、縫合糸53を利用して、整流布本体37を縫合する。縫合時、縫合部位50(乗員側結合部39)は、ガス流出口40の外方側に配置される円環状として形成される。ついで、車体側基布28に、縫合糸53を利用して、補強布30・31・32・33を縫合する。なお、開口28a・30a・31a・32a・33aは、予め形成しておく。この縫合時、縫合部位47・48・49は、ガス流入口23の周縁において、三本の円環状として構成される。内側に配置される縫合部位47は、ガス流入口23と取付穴24との間に形成されることとなり、外側に配置される縫合部位48・49は、取付穴24の外側に形成されることとなる。そして、縫合部位47・48は、補強布30・31・32・33を車体側基布28に縫着させており、縫合部位49は、補強布30・31のみを車体側基布28に縫着させている。
【0055】
ついで、縫合後、取付穴24の孔明け加工を、車体側基布28と、補強布30・31・32・33と、に施す。なお、この孔明け加工時に、同時に、ガス流入口23を設けるようにして、縫合前には、開口28a・30a・31a・32a・33aが形成されていないようにしてもよい。なお、ベントホール28cは、予め形成しておいたり、あるいは、孔明け加工時に、同時に形成してもよい。
【0056】
その後、車体側基布28と乗員側基布29とを、それぞれ、外表面側が対向するように重ねて、外周縁を、縫合糸53により縫合する。外周縁の縫合後、外周縁の縫合代がエアバッグ20の外表面に表れないように、エアバッグ本体21を、ガス流入口23を利用して、反転させる。そして、反転後に、補強布31に形成される延設部31c・31cの端部31d・31dと、整流布36に形成されるテザー部43・43の端部43a・43aと、を、それぞれ、ガス流入口23から引き出し、対応する端部31d・43a相互を、重ねるとともに、縫合糸53により、縫合して、テザー部43・43の端部43a・43aを、延設部31cを介在させて、ガス流入口23の周縁に結合させる。
【0057】
そして、上記のようにして製造したエアバッグ20を使用して、エアバッグ装置M1を組み立てる。まず、エアバッグ20を折り畳む。折り畳み前には、リテーナ6を、開口23・37aからエアバッグ20内に挿入させて、乗員側基布29と整流布本体37との間に配置させる。そして、各ボルト6aを取付穴37b・24から突出させた状態で、エアバッグ20を折り畳む。折り畳み時には、まず、図8A・Bに示すように、乗員側基布29を車体側基布28に重ねて平らに展開した状態から、ガス流入口23の近傍で前後方向に沿った折り目をつけて、エアバッグ20の右側部位56を乗員側基布29に載せるように折り返す。そして、図8B・Cに示すように、前後方向に沿うように折り目をつけて、蛇腹折りをし、縦折りを完了させる。そして、図8C・Dに示すように、縦折りされたエアバッグ57の前側部位58と後側部位59とを、左右方向に沿うように折り目をつけて、端部58a・59aが外側となるように折り返し、横折りを完了させれば、エアバッグ20の折り畳みを完了させることができる。
【0058】
ついで、折り畳んだエアバッグ20のケース10内への収納について説明すると、まず、折り畳んだエアバッグ20から突出しているリテーナ6の各ボルト6aを、バッグホルダ11のホルダプレート12に形成された各取付孔12bに貫通させて、エアバッグ20をホルダプレート12上に載置する。
【0059】
その後、パッド15を、エアバッグ20の上方から被せて、ホルダプレート12に係止させ、さらに、バックアッププレート13をホルダプレート12の下方に配置させて、パッド15の側壁部17を、ホルダプレート12とバックアッププレート13とで挟持して、パッド15をバッグホルダ11に保持させる。この時、リテーナ6の各ボルト6aは、バックアッププレート13に形成された取付孔13bに貫通させておく。
【0060】
その後、インフレーター8の本体8aを、下方から、バッグホルダ11の挿入孔12a・13a・開口23・37aに挿入させるとともに、リテーナ6の各ボルト6aを、インフレーター8のフランジ部8cに形成された挿通孔8dから下方へ突出させ、各ボルト6aにナット7を螺合させれば、エアバッグ20・バッグホルダ11・インフレーター8を一体的に組み付けることができて、エアバッグ装置M1の組み立てが完了することとなる。
【0061】
そして、ステアリングホイール本体1のボス部Bの芯金2を、車両のステアリングシャフトSSに締結させた状態で、バッグホルダ11の図示しないブラケットを利用すれば、エアバッグ装置M1を、ステアリングホイールWに取り付けることができる。
【0062】
ステアリングホイールWが車両に装着されて、インフレーター本体8aのガス吐出口8bから膨張用ガスが吐出されれば、折り畳まれていたエアバッグ20が、パッド15の所定位置を破断させて、大きく膨張することとなる。
【0063】
この作動当初、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、インフレーター本体8aのガス吐出口8bから吐出された膨張用ガスGは、図9に示すように、乗員側壁部25(乗員側基布29)と、整流用部材としての整流布本体37と、の間に、一旦、充満された後、整流布本体37に形成されたガス流出口40・40から、流入方向を制御されて、前後方向両側に向かうように、エアバッグ本体21内に流入することとなる。
【0064】
そして、エアバッグ本体21内に膨張用ガスGが流入して、エアバッグ本体21の内圧が所定圧力に到達すると、整流用本体37における乗員側結合部39と車体側結合部38との間に所定以上の張力が発生して、破断予定部41・41が破断され、乗員側壁部25とガス流入口23の近傍との連結状態が解除される。そのため、インフレーター8の本体8aにおけるガス吐出口8bからの膨張用ガスGが、流れを規制されること無く、ガス流入口23を中心として放射状に流れて、図10に示すように、エアバッグ20が、膨張を完了させることとなる。その際、エアバッグ20は、テザー45・45により、ガス流入口23からの乗員側壁部25の離隔距離を規制された状態で、膨張を完了させることとなる。
【0065】
以上のように、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、作動時、折り畳まれて収納されたエアバッグ20が、整流用部材としての整流布36の整流布本体37により、流入される膨張用ガスGの流れを規制させて展開膨張するものの、エアバッグ20に流入する膨張用ガスGの流れの規制が、整流布本体37の破断により、エアバッグ20の膨張完了前に、解除される。
【0066】
そのため、エアバッグ20は、膨張初期から膨張途中において、整流布本体37により、膨張用ガスGの流れが規制され、図11の二点鎖線に示すように、膨張用ガスGの流れ方向の前後方向両側に幅広く膨張して、乗員側壁部25の乗員側(運転者D側)への不要な突出を抑えることが可能となる。また、膨張完了前には、エアバッグ20に流入する膨張用ガスGの流れの規制が、整流布本体37の破断により、エアバッグ20の膨張完了前に、解除されることから、自由にエアバッグ20内に膨張用ガスGが流入し、エアバッグ20は、膨張が促進された状態で、膨張を完了させる。そのため、エアバッグ20は、膨張開始から膨張完了までの時間を短縮化することが、可能となる。
【0067】
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、膨張初期のエアバッグ20の乗員D側への突出を抑えることができ、かつ、エアバッグ20の膨張開始から膨張完了までの時間を短縮することができる。
【0068】
そして、第1実施形態の場合、膨張完了時のエアバッグ20は、テザー45・45によって、ガス流入口23からガス流入口23に対向する乗員側壁部25の部位までの距離を、規制される。そのため、エアバッグ20は、膨張完了時においても、乗員D側への不要な突出を防止することができる。
【0069】
また、第1実施形態の場合、ステアリングホイールWのリング部Rは、ステアリングシャフトSSと直交方向の面に沿って配設されており、エアバッグ20が、膨張用ガスGの流れを、ステアリングシャフトSSと直交方向の前後方向両側に向かうように規制していることから、その結果、膨張用ガスGの流れは、車両搭載状態で、ステアリングホイールWのリング部Rに沿う車両の前後方向両側へ向かうように規制されることとなる。そのため、ステアリングホイールWのリング部Rにおける後部Rb側に、膨張初期から、乗員D側への突出を抑えた状態で、エアバッグ20における前後方向に幅広く展開した後部20a側を配置させることができる。すなわち、図11に示すように、運転者Dがリング部Rに接近していても、運転者Dの腹部DBとステアリングホイールWのリング部Rの後部Rb側との狭い隙間に、エアバッグ20の一部20aを容易に侵入させることができる。
【0070】
さらに、第1実施形態では、膨張用ガスGの流れの規制解除が、エアバッグ20内に配設された可撓性を有した整流布36の整流布本体37自体の破断により、行なわれている。そのため、膨張完了時のエアバッグ20からの無用なガス漏れが、生じない。すなわち、エアバッグの周壁を構成する部位に、縫合糸を使用して、整流布を縫合し、その縫合糸を破断させて、ガス流れの規制解除を行なう構成であれば、周壁における縫合糸の通った穴が、大きくなる。そのため、その穴から膨張用ガスが漏れる虞れがある。しかし、第1実施形態のように、整流布本体37自体における車体側壁部22や乗員側壁部25から離れた部位41が破断すれば、乗員側結合部39のように、整流布本体37をエアバッグ20の乗員側基布29に縫合させていても、基布29における縫合糸53の通った穴を大きくすることを、抑えることができる。
【0071】
さらに、第1実施形態の場合、整流布本体37の破断部位が、予め、スリットを配設させた破断予定部41として構成されており、的確に、整流布本体37を破断させることができる。なお、第1実施形態では、この整流用部材としての整流布36の本体37の破断は、整流布本体37に加わる張力を利用しているが、膨張用ガスGの熱を利用し、破断予定部41におけるスリット間のつなぎ部等の一部を溶融させて、整流用部材を破断させてもよい。
【0072】
さらにまた、第1実施形態の場合には、整流用部材としての整流布36の整流布本体37が、車体側結合部38と乗員側結合部39とを備えて、ガス流入口23の周縁の車体側壁部22と乗員側壁部25とを相互に連結している。そのため、エアバッグ20の膨張完了前、すなわち、車体側結合部38と乗員側結合部39との間の破断予定部41の破断前に、車体側壁部22のガス流入口23の周縁と乗員側壁部25との間の距離を、小さく抑えることができる。その結果、エアバッグ20は、膨張初期から膨張途中において、膨張用ガスGの流れ方向に依存することなく、乗員側壁部25が乗員D側へ不必要に突出することを、抑えることが可能となる。勿論、このエアバッグ20は、テザー45・45が配設されているため、整流布本体37の破断後におけるエアバッグ20の膨張完了時でも、乗員側壁部25の乗員D側への不必要な突出も、防止することができる。
【0073】
なお、エアバッグ20の展開膨張初期の乗員D側への突出量(エアバッグ20の厚さ)は、車体側結合部38と乗員側結合部39との間の長さ寸法により、調整することができる。例えば、膨張初期の突出量を大きくする場合には、第1実施形態の場合、乗員側結合部39を、整流布本体37の外周縁に接近させればよい。この時、整流布本体37の略円板形状を大きくして、その本体37の外周縁に乗員側結合部39を接近させれば、一層、膨張初期のエアバッグ20の突出量を大きくすることができる。逆に、膨張初期の突出量を小さくする場合には、第1実施形態の場合、乗員側結合部39を、開口40に接近させればよい。
【0074】
また、第1実施形態では、整流用部材としての整流布36が、車体側結合部38から乗員側結合部39まで、一枚の布材から形成されている。そのため、一枚の整流布36を使用するだけで、展開膨張初期のガス流れを規制可能でかつ膨張初期の乗員D側への突出量(エアバッグ20の厚さ)を規制可能なエアバッグ20を、製造できる。すなわち、展開膨張初期のガス流れを規制可能でかつ膨張初期の乗員D側への突出量(エアバッグ20の厚さ)を規制可能なエアバッグ20を、製造工数・製造コストを抑えて、簡便に製造することができる。勿論、この点を考慮しなければ、整流布を、例えば、車体側結合部38側の部材と乗員側結合部39側の部材との二枚の布材から構成してもよい。
【0075】
そしてまた、第1実施形態では、エアバッグ装置M1が、折り畳まれたエアバッグ20を収納するケース10、を備えるとともに、エアバッグ20の内周面側におけるガス流入口23の周縁を押えて、エアバッグ20をケース10に取付可能な環状のリテーナ6、を備えて構成されている。そして、整流布本体37が、車体側結合部38と乗員側結合部39とを備えて、車体側結合部38が、リテーナ6に押えられて車体側壁部22に結合されている。すなわち、整流布本体37における車体側結合部38の車体側壁部22への結合を、縫合等の接合手段を利用することなく、リテーナ6で押えるだけで、行なえる。そのため、整流布本体37の車体側結合部38を容易に形成することができる。
【0076】
さらに、第1実施形態では、整流布36に、膨張完了時におけるエアバッグ20の形状を規制可能なテザー部43・43が、一体化されている。そのため、ガス流入口23から乗員側壁部25の距離を規制して膨張完了時におけるエアバッグ20の形状を規制できるテザー45・45を、エアバッグ20に、別途取り付ける必要がない。すなわち、テザー45の乗員側壁部25側の端部を、別途、乗員側壁部25に結合させることなく、整流布本体37を乗員側壁部25に結合させるだけで、テザー45の乗員側壁部25側の端部を、乗員側壁部25に結合させることができる。その結果、テザー45・45を備えたエアバッグ20を、製造工数及びコストを低減して、製造することができる。
【0077】
特に、第1実施形態の場合、車体側壁部22に縫合させた補強布31に延設部31cを設け、各テザー部43における車体側壁部22の側の端部43aを、その延設部31cに縫合させて、車体側壁部22の側に結合させている。そのため、整流布36の乗員側結合部39が、乗員側壁部25に縫合され、かつ、延設部31cを備えた補強布31が、車体側壁部22に縫合されていても、それらの縫合後の後工程で、テザー部43の端部43aと延設部31cとを、ガス流入口23からエアバッグ20外に引き出して、両者を容易に縫合させることができ、テザー45を容易に形成することができる。
【0078】
ちなみに、上記の点を考慮しなければ、車体側壁部22の側の補強布31に延設部31cを設けずに、各テザー部43の端部43aを、直接、補強布33の外周縁付近等に、縫合等して、結合させてもよい。あるいは、各テザー部43を設けずに、延設部31cを長く延ばし、それらの先端側を乗員側壁部25に縫合などにより結合させて、各延設部31c自体で、テザー45を構成してもよい。
【0079】
なお、第1実施形態では、整流布36の整流布本体37自体に、膨張用ガスGの流れを制御して、膨張用ガスGを流出させるガス流出口40を開口させた。しかし、図12に示す第2実施形態のエアバッグ装置M2のエアバッグ62のように、ガス流出口を、別途、開口させなくともよい。
【0080】
このエアバッグ62は、エアバッグ本体63と、整流用部材としての整流布64と、を備える構成である。エアバッグ本体63は、前述のエアバッグ20におけるエアバッグ本体21と同様の構成であり、各部に同一の図符号を付して説明を省略する。また、エアバッグ装置M2は、第1実施形態と同様に、ステアリングホイール用のものである。
【0081】
エアバッグ62における整流布64は、整流布本体65とテザー部71・71とを、同一の幅寸法に設定した帯状に形成されている。そして、整流布本体65は、二箇所に、乗員側壁部25の乗員側基布29と縫合させた乗員側結合部66を、配置させている。二つの乗員側結合部66は、後述する開口65aを間にして、それぞれ、整流布本体65の長手方向と略直交するように直線状に配置されている。また、整流布本体65における乗員側結合部66・66の内側部位には、整流布本体37と同様に、ガス流入口23に対応して、インフレーター本体8aを挿通可能な円形の開口65aと、開口65aの周縁に形成される四つの取付穴65bと、が形成されている。そして、開口65aの周縁の全周が、リテーナ6に押えられて車体側壁部22に結合される車体側結合部68としている。また、車体側結合部68と各乗員側結合部66・66との間には、ミシン目状の切込みからなるスリットを形成して、直線状の破断予定部69・69が、配設されている。各破断予定部69は、乗員側結合部66に沿って配設されている。テザー部71・71は、前述の整流布36におけるテザー部43と同様に、端部を、補強布31における延設部31c・31cの端部31d・31dに、縫着させている。
【0082】
このような構成のエアバッグ62を用いたエアバッグ装置M2では、インフレーター本体8aのガス吐出口8bから膨張用ガスが吐出されると、整流布本体65における左方側の車体側結合部68と乗員側結合部66Lとの間の部位65cと、整流布本体65における右方側の車体側結合部68と乗員側結合部66Rとの間の部位65dと、によって、膨張用ガスが整流される。そして、膨張用ガスGは、整流布本体65の部位65c・65dに案内され、整流布本体65の短手方向に沿って、すなわち、車両の前後方向両側へ向かうように、エアバッグ本体63内に流入することとなる。そして、エアバッグ本体63の内圧が所定圧力に到達すると、破断予定部69・69が破断され、乗員側壁部25と車体側壁部22のガス流入口23近傍との連結状態が解除されて、エアバッグ本体63が膨張を完了させる。すなわち、エアバッグ62を上記のような構成とした場合にも、一枚の整流布64により、膨張用ガスGの流入方向を制御できると同時に、膨張初期におけるエアバッグ62の厚さを制御して、乗員側基布29の乗員側への突出を規制可能である。さらに、エアバッグ62は、テザー部71により形状を規制されるため、膨張完了時にも、乗員側基布29の乗員側への突出を規制可能となる。
【0083】
また、第1実施形態では、整流布36の本体37が、ガス流入口23に連通する開口37aを備え、開口37aの周縁を車体側壁部22に結合させた。しかし、図13〜15に示すエアバッグ装置M3のエアバッグ74のように、整流布本体78がガス流入口23を覆うように構成してもよい。
【0084】
このエアバッグ74は、ステアリングホイール用のものであり、エアバッグ本体75と、エアバッグ本体75内への膨張用ガスの流入方向を規制するための整流用部材としての整流布77と、を備える構成である。エアバッグ本体74は、前述のエアバッグ20におけるエアバッグ本体21と同様の構成であり、各部に同一の図符号を付して説明を省略する。
【0085】
整流布77は、図14に示すように、略円板状の整流布本体78と、本体78の周縁から左右方向両側に突出して形成される帯状のテザー部84・84と、を備えて構成されている。整流布本体78は、外周縁の近傍に配置される円環状の乗員側結合部79を備える。乗員側結合部79は、乗員側壁部25を構成する乗員側基布28と縫着されて、乗員側壁部25と結合されている。また、整流布本体78には、周縁から外方へ突出して形成される連結片部80が、等間隔の放射状に、四箇所に配置されている。各連結片部80には、リテーナ6のボルト6aを挿通させるための取付穴80aが、形成されている。すなわち、実施形態のエアバッグ74では、図15に示すように、連結片部80の上部側にリテーナ6を配置させて、連結片部80を、車体側壁部22とともにリテーナ6によりバッグホルダ11に取付固定することで、整流布本体78を車体側壁部22におけるガス流入口23の周縁に結合させている。すなわち、各連結片部80が、リテーナ6に押えられて車体側壁部22に結合される車体側結合部80を、構成することとなる。そして、整流布本体78における各連結片部80の内側部位が、ガス流入口23を覆う部位となり、インフレーター8の取付固定時には、インフレーター本体8aの上面側を覆うこととなる。また、各連結片部80と本体78との境界部位付近には、図14に示すように、ミシン目状の切込みからなるスリットを形成して構成される破断予定部82が、配置されている。テザー部84・84は、前述の整流布36におけるテザー部43と同様に、端部を、補強布31における延設部31c・31cの端部31d・31dに、縫着させている。
【0086】
このような構成のエアバッグ74を用いたエアバッグ装置M3では、インフレーター本体8aの上面側を、整流布77の本体78が覆うとともに、乗員側基布29と本体78とを縫着させることにより、乗員側壁部25が、インフレーター8に近接して配置されることから、インフレーター本体8aのガス吐出口8bから膨張用ガスGが吐出されると、膨張用ガスGは、図15に示すように、本体78から乗員側基布29に沿うように、エアバッグ本体75内に流入することとなる。そして、エアバッグ本体75の内圧が所定圧力に到達すると、各連結片部80と本体78との間に形成された各破断予定部82が破断されることとなり、乗員側壁部25とガス流入口23の近傍との連結状態が解除されて、エアバッグ本体75が膨張を完了させることとなる。すなわち、エアバッグ74を上記のような構成とした場合にも、1つの整流布本体77により、膨張用ガスGの流入方向を制御できると同時に、膨張初期におけるエアバッグ74の厚さを制御して、乗員側基布29の乗員側への突出を規制可能である。さらに、エアバッグ74では、テザー部84により形状を規制されるため、膨張完了時にも、乗員側基布29の乗員側への突出を規制可能となる。
【0087】
そして、このエアバッグ74では、整流布77の本体78が、ガス流入口23とインフレーター8の本体8aとを覆うように配設されており、整流布本体78が、乗員側壁部25におけるガス流入口23に対向する部位を、膨張用ガスGから保護することができる。
【0088】
なお、第1〜3実施形態では、ステアリングホイール用のエアバッグ装置M1・M2・M3について、説明したが、本発明を、図16〜19に示すように、第4実施形態の助手席用エアバッグ装置M4に適用してもよい。このエアバッグ装置M4は、助手席前方のインストルメントパネル(以下、インパネと略す)90に配設されている。
【0089】
このエアバッグ装置M4は、図18に示すように、折り畳まれたエアバッグ100、エアバッグ100に膨張用ガスを供給するインフレーター94、折り畳まれたエアバッグ100を覆う蓋体98、及び、折り畳まれたエアバッグ100・インフレーター94を収納するとともに蓋体98を保持するケース92、を備えて構成されている。
【0090】
ケース92は、板金製の略直方体形状として、上部側のバッグ収納部92aに、折り畳まれたエアバッグ100を収納し、下部側のインフレーター収納部92cに、インフレーター94を収納している。バッグ収納部92aの底部には、段差部92bが形成され、エアバッグ100は、後述するガス流入口102aの周縁が、リテーナ96に押えられて、段差部92bに取付固定されている。インフレーター収納部92cには、車体に取付固定するために、ナットを固着させた取付部92dが、形成されている。
【0091】
蓋体98は、合成樹脂製として、インパネ90の開口90aを塞ぐように配設されて、ケース92に固定されている。蓋体98は、エアバッグ100の膨張時、車両の前後方向に開く二枚の扉部98aを備えている。
【0092】
エアバッグ100は、エアバッグ本体101と、整流用部材としての整流布113と、を備えて構成されている。エアバッグ本体101と整流布113とは、共に、ポリアミドやポリエステル等の可撓性を有した織布から形成されている。
【0093】
エアバッグ本体101は、図16に示すように、膨張用ガスを流入させるための略長方形形状に開口したガス流入口102aを有する車体側壁部102と、車体側壁部102の上縁側から乗員側に延びる上壁部103と、車体側壁部102の下縁側から乗員側に延びる下壁部104と、上壁部103・下壁部104の後端相互を連結してガス流入口102aと対向するように配設される乗員側壁部107と、左右の側壁部105・106と、を備えて構成されている。車体側壁部102のガス流入口102aの周縁には、リテーナ96から延びる複数のボルト96a(図18参照)を挿通させる取付穴102bが形成されている。そして、第4実施形態のエアバッグ本体101は、上壁部103、車体側壁部102、及び、下壁部104を構成する第1基布109と、左右の側壁部105・106をそれぞれ構成する二枚の第2基布110と、乗員側壁部107を構成する第3基布111と、の三種類で、かつ、合計四枚の基布109・110・110・111から、形成されている。
【0094】
整流用部材としての整流布113は、図17に示すように、ガス流入口102aと連通する長方形形状の開口113aを備えるとともに、その開口113aの周縁に、左右方向両側に延びる整流用帯片114・114が配設され、それらの両端114aが、重ねられ、縫合糸53を使用して、乗員側壁部107に縫合されている。すなわち、整流用帯片114の先端114aが、縫合されて、乗員側壁部107に結合される乗員側結合部115を形成している。開口113aの周囲には、リテーナ96の各ボルト96aが挿通される複数の取付穴113bが、形成されている。そして、開口113aの周縁は、リテーナ96に押えられて車体側壁部102に結合される車体側結合部118としている。また、各帯片114には、複数のスリットを配列させて形成した破断予定部116が形成されている。
【0095】
この整流布113は、予め、帯片114・114の端部114aを重ねて第3基布111に縫合させておく。そして、各基布109・110・111の周縁相互を縫合してエアバッグ100を製造する。ついで、エアバッグ100を折り畳む際、エアバッグ100内にリテーナ96を配設させて、各ボルト96aを整流布113の取付穴113bと車体側壁部102の取付穴102bとに挿通させておき、その状態で、エアバッグ100を折り畳んで、インフレーター94を収納させたケース92のバッグ収納部92aに収納させる。その際、リテーナ96の各ボルト96aをケース92の段差部92bから突出させ、各ボルト96aにナットを締結させれば、整流布113の車体側結合部118を、エアバッグ本体101の車体側壁部102に結合させるとともに、エアバッグ100をケース92に保持させることができる。
【0096】
ケース92に、インフレーター94・エアバッグ100を収納させて、蓋体98を取り付けた後、ケース92を車両に取付固定すれば、エアバッグ装置M4を車両に搭載することができる。そして、インフレーター94が作動すれば、折り畳まれたエアバッグ100は、図18A・Bに示すように、蓋体98の扉部98a・98aを押し開いて、インパネ90の開口90aから突出するように、膨張する。
【0097】
この時、膨張用ガスGは、整流布113の車体側結合部118と乗員側結合部115との間における左右の整流用帯片114・114によって、車両の前後方向両側に案内させるように、流れを規制され、エアバッグ100が、インパネ90の上面側で、車両の前後方向に長く延びるように膨張する。勿論、この時、整流布113の各整流用帯片114が、車体側結合部118と乗員側結合部115とによって、ガス流入口102aからの乗員側壁部107の離隔距離を規制しているため、エアバッグ100は、乗員(助手席搭乗者)側に、不必要に突出することを押えることができる。
【0098】
そして、各整流用帯片114の破断予定部116が破断すれば、図19に示すように、エアバッグ100は、流れを規制されること無く、膨張用ガスGをガス流入口102aから自由に流入させて、膨張を完了させることができる。
【0099】
なお、この助手席用エアバッグ装置M4では、整流布113の乗員側結合部115が、エアバッグ本体101のガス流入口102aを塞ぐように、配設されているが、エアバッグ装置Mの整流布本体37のように、開口113aの周縁を大きく拡径させて、その外周縁を、乗員側結合部115として乗員側壁部107に結合させて、乗員側結合部115側がガス流入口102aを塞がないように構成してもよい。ちなみに、この場合には、エアバッグ装置M1と同様に、車体側結合部118と乗員側結合部115との間に、ガス流出口を配設させることとなる。
【0100】
また、第4実施形態のエアバッグ100では、整流布113の各整流用帯片114の端部114aを、乗員側壁部107に結合させたものを示した。しかし、端部114aを乗員側壁部107に結合させること無く、端部114a相互を縫合させてもよい。この場合には、乗員側結合部115を備えていないが、ガス流入口102aを塞ぐように配設される整流用帯片114・114によって、ガス流入口102aからの膨張用ガスGの流れを規制することができ、さらに、膨張完了前に、破断予定部116を破断させれば、エアバッグの膨張完了を促進させることができる。
【0101】
さらに、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、一枚の織布から整流布36を形成した場合を示したが、図20〜22に示す第5実施形態のエアバッグ装置M5のエアバッグ120のように、整流布123を、整流布本体124と補強布128との二枚の織布から構成してもよい。なお、エアバッグ120は、エアバッグ装置M1のエアバッグ20と同様に、車体側壁部22・乗員側壁部25・車体側基布28・乗員側基布29・補強布32・33を備えており、それらの各部材・部位には、同一符号を付して、説明を省略する。さらに、エアバッグ装置M5は、エアバッグ装置M1と同様に、リテーナ6・インフレーター8等を備えたステアリングホイール用のものである。
【0102】
整流布本体124は、円板状の部位124aの外周縁を乗員側壁部25に縫合させ、円板状部位124aの外周縁から、左右方向両側に、整流用帯片125・125を突設させ、前後方向両側に、テザー部126・126を突設させて構成されている。整流用帯片125は、テザー部126より幅寸法を大きくしている。そして、テザー部126は、整流用帯片125より幅寸法を小さく、かつ、整流用帯片125より長く形成されている。
【0103】
補強布128は、車体側壁部22のガス流入口23に連通する円形の開口128aを備えるとともに、開口128aの周縁にリテーナ6の各ボルト6aを挿通させる取付穴128bを備えて構成されている。そして、補強布128の外周縁から、左右方向両側に、整流用帯片129・129を突設させ、前後方向両側に、延設部130を突設させている。第5実施形態の場合、整流用帯片129と延設部130とは、開口128aの中心から端部129a・130aまでの長さを、略等しくしている。
【0104】
整流布123は、本体124が、縫合等を利用して、乗員側壁部25に結合され、補強布128が、エアバッグ装置M1のエアバッグ20における補強布31と同様に、補強布32・33とともに、開口128aの周縁を、車体側基布28に縫合させて、車体側壁部22に結合されている。すなわち、本体124の円板状部位124aが乗員側結合部127となり、開口128aの周縁が、車体側結合部131としている。
【0105】
そして、対応する整流用帯片125・129の端部125a・129a相互と、対応するテザー部126と延設部130との端部126a・130a相互と、が、それぞれ、縫合されて連結されている。端部125a・129a相互の連結後の整流用帯片125・129の長さ、すなわち、整流用帯片125・129相互による車体側結合部131と乗員側結合部127との間の長さは、エアバッグ120の膨張初期におけるガス流入口23からの乗員側壁部25の離隔距離となり、所定長さに設定されている。また、端部126a・130a相互の連結後のテザー部126・延設部130の長さ、すなわち、テザー45による車体側結合部131と乗員側結合部127との間の長さは、エアバッグ120の膨張完了時におけるガス流入口23からの乗員側壁部25の離隔距離となり、所定長さに設定されている。
【0106】
さらに、整流用帯片125には、スリットを配設させた形成した破断予定部125bが形成されている。
【0107】
このエアバッグ120は、エアバッグ20と同様に製造し、エアバッグ20のテザー部43と延設部31との端部43a・31d相互の連結時、エアバッグ120も、整流用帯片125・129の端部125a・129a相互と、テザー部126と延設部130との端部126a・130a相互と、が、それぞれ、縫合されて、エアバッグ120が製造されている。また、このエアバッグ120は、エアバッグ20と同様に折り畳まれて、車両に搭載されることとなる。
【0108】
そして、この第5実施形態のエアバッグ120では、インフレーター8の作動時、膨張用ガスGが、図21・22のAに示すように、左右両側の整流用帯片125・129に規制されて、前後方向両側に流れ、前後方向に幅広く展開する。勿論、この時、整流布123は、左右両側の整流用帯片125・129が破断予定部125bを破断させておらず、乗員側結合部127と車体側結合部131とを、それぞれ、乗員側壁部25と車体側壁部22とに結合させているため、ガス流入口23からの乗員側壁部25の離隔距離を低く押えることができ、エアバッグ装置M1と同様な作用・効果を得ることができる。
【0109】
その後、破断予定部125bが破断されれば、図21・22のBに示すように、膨張用ガスGの流れ規制が解除されて、エアバッグ120が、膨張用ガスGを自由に流入させて、自由膨張し、膨張を完了させることとなる。この時、エアバッグ120は、テザー45・45により、ガス流入口23からの乗員側壁部25の離隔距離が規制されて、乗員側への無用な突出を抑えることができ、このエアバッグ装置M5では、エアバッグ装置M1と同様な作用・効果を得ることができる。
【0110】
さらに、エアバッグ装置M5では、整流用帯片125・129相互を縫合する作業が必要となるものの、整流布123の本体124がガス流入口23を覆うように乗員側壁部25に縫合されており、乗員側基布29を、膨張用ガスGから保護することができる。
【0111】
なお、図20の二点鎖線に示すように、整流用帯片125に延設部125cを設けて、この部位に、リテーナ6の各ボルト6aを挿通させる取付穴125dを設ければ、補強布128をエアバッグ20の補強布31に交換して使用してもよい。この場合、エアバッグ120の折り畳み時におけるエアバッグ120内へのリテーナ6の配設時、延設部125c・125cを本体124側の下方に折り返し、延設部125c・125cの上面側にリテーナ6を配置させて、各ボルト6aを、取付穴125dを経て、取付穴24に貫通させればよい。この場合には、延設部125c・125cが、リテーナ6に押えられて車体側壁部22に結合される車体側結合部131となる。
【0112】
また、エアバッグ装置M5では、整流布123を破断させて、エアバッグ120の膨張初期における乗員側結合部127と車体側結合部131との連結を解除させる際、スリットによる破断予定部125bを破断させた場合を示した。しかし、帯片125・129の連結に使用する縫合糸53を、高温の膨張用ガスGによって溶融させて、帯片125・129を分断させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるエアバッグ装置が使用されるステアリングホイールの平面図である。
【図2】第1実施形態のステアリングホイールの概略断面図である。
【図3】第1実施形態で使用されるエアバッグの展開状態の平面図である。
【図4】第1実施形態のエアバッグにおける展開状態の底面図である。
【図5】第1実施形態のエアバッグにおける展開状態の概略断面図である。
【図6】第1実施形態のエアバッグの製造時における構成部材を示す概略分解斜視図である。
【図7】第1実施形態のエアバッグのガス流入口付近を示す概略断面図であり、車両の左右方向に沿った概略断面図である。
【図8】第1実施形態のエアバッグの折り畳み工程を示す概略図である。
【図9】第1実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグの膨張初期状態を示す概略断面図であり、車両の前後方向に沿った概略断面図である。
【図10】第1実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグの膨張完了状態を示す概略断面図であり、車両の左右方向に沿った概略断面図である。
【図11】第1実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグの膨張過程を、側方から見た概略図である。
【図12】第2実施形態のエアバッグにおける展開状態の平面図である。
【図13】第3実施形態のエアバッグにおける展開状態の平面図である。
【図14】図13のエアバッグにおける整流用部材の平面図である。
【図15】図13のエアバッグの開口付近を示す概略断面図である。
【図16】第4実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグの膨張完了時を示す斜視図である。
【図17】第4実施形態のエアバッグに使用する整流布の一部破断平面図である。
【図18】第4実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグの膨張課程を説明する概略断面図である。
【図19】第4実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグの膨張完了時の概略断面図である。
【図20】第5実施形態のエアバッグ装置におけるエアバッグの分解斜視図である。
【図21】第5実施形態のエアバッグ装置の作動時を示す概略断面図である。
【図22】第5実施形態のエアバッグ装置の作動時を示す概略断面図であり、図21の断面と直交した方向の概略断面図である。
【符号の説明】
6・96…リテーナ、
10・92…ケース、
20・62・74・100・120…エアバッグ、
22・102…車体側壁部、
23・102a…ガス流入口
25・107…乗員側壁部、
31・128…補強布、
31c・130…延設部、
36・64・113・123…整流布(整流用部材)、
37・65・78・124…整流布本体、
37a・65a・113a・128a…開口、
38・68・80・118・131…車体側結合部、
39・66・66・115・127…乗員側結合部、
41・69・82・116・125b…破断予定部、
43・71・84・126…テザー部、
W…ステアリングホイール、
R…リング部、
D…(乗員)運転者、
G…膨張用ガス、
M1・M2・M3・M4・M5…エアバッグ装置。

Claims (7)

  1. 折り畳まれて収納されたエアバッグが、膨張用ガスを流入させるためのガス流入口を備えた車体側壁部と、前記ガス流入口と対向する乗員側壁部と、を備えて構成されるとともに、前記乗員側壁部の乗員側への不要な突出を抑え可能に、流入される膨張用ガスの流れを規制して、展開膨張する構成のエアバッグ装置であって、
    前記エアバッグが、前記膨張用ガスの流れを規制可能な可撓性を有した整流用部材を、内部に配設させ、
    前記整流用部材が、
    前記車体側壁部のガス流入口周縁と前記乗員側壁部とを連結するように、前記車体側壁部のガス流入口周縁と結合される車体側結合部と、前記乗員側壁部と結合される乗員側結合部と、を備えて、
    前記ガス流入口に連通する開口を備える一枚の布材から形成される構成とし、前記開口の周縁を、前記車体側結合部として、前記ガス流入口の周縁の全周に配置させて前記車体側壁部に結合させ、前記乗員側結合部を、前記ガス流入口の周囲を囲むように配置させて前記乗員側壁部に結合させて、
    前記車体側結合部と前記乗員側結合部との間の部位に、前記ガス流入口からの膨張用ガスを、流入方向を制御してエアバッグ内に流入させるガス流出口を配設させ、
    さらに、前記エアバッグの膨張完了前に、前記車体側結合部と前記乗員側結合部との間の部位を破断させるように、構成されて、前記車体側結合部と前記乗員側結合部との間の部位の破断により、前記エアバッグに流入する膨張用ガスの流れの規制、膨張完了前に、解除させるように構成されていることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記エアバッグが、膨張完了時における前記ガス流入口から前記乗員側壁部までの距離を規制可能なテザーを、配設させて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグが、車両のステアリングホイール用として構成されるとともに、車両搭載状態で、前記膨張用ガスの流れを車両の前後方向両側でかつステアリングホイールのリング部に沿う方向に規制するように、構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のエアバッグ装置。
  4. 前記整流用部材の破断部位が、予め、スリットを配設させた破断予定部として、構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
  5. 折り畳まれた前記エアバッグを収納するケース、を備えるとともに、前記エアバッグの内周面側における前記ガス流入口の周縁を押えて、前記エアバッグを前記ケースに取付可能な環状のリテーナ、を備えて構成され、
    前記車体側結合部が、前記リテーナに押えられて、前記車体側壁部に結合されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
  6. 前記整流用部材が、
    前記乗員側結合部の側を延設させるとともに、
    延設させた端部側を、前記ガス流入口近傍の前記車体側壁部の側に、結合させて、前記エアバッグの膨張完了時における前記ガス流入口から前記乗員側壁部までの離隔距離を規制可能なテザー部とし、
    前記エアバッグが、前記テザー部を、前記ガス流入口の周囲に、複数配設させて、構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
  7. 前記各テザー部における前記車体側壁部の側の端部が、前記車体側壁部に縫合された補強布から延びる延設部に縫合されて、前記車体側壁部の側に、結合されていることを特徴とする請求項6に記載のエアバッグ装置。
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