JP2009016302A - 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池および非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池および非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 Download PDF

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Abstract


【課題】 ガス発生の少ない非水電解質二次電池用正極活物質および非水電解質二次電池を提供することにある。
【解決手段】
非水電解質二次電池に用いられる正極活物質において、前記正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物であって、前記リチウムニッケル複合酸化物の表面は、アルミニウム酸化物およびチタン酸化物によって被覆されている構成とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池用正極活物質とそれを用いた非水電解質二次電池およびその製造方法に関する。
非水電解質二次電池の正極活物質として用いられるリチウム遷移金属複合酸化物は、作用電圧が4Vと高く、また、大きな容量が得られるため、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ等の電子機器の電源として多く用いられている。
しかし、現在では、電子機器の高機能化に伴い、更なる電池の高容量化が必要とされている。このような傾向にあって、遷移金属としてニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物(以下、リチウムニッケル複合酸化物という。)は、有用な正極活物質として注目されている。なぜなら、リチウム遷移金属複合酸化物の中でも、リチウムニッケル複合酸化物は、コバルトやマンガンを主体として含むリチウム遷移金属複合酸化物と比較して、単位重量あたりの電池容量が大きいためである。
ところが、特許文献1にも記載されるように、リチウムニッケル複合酸化物を用いた電池は、充電状態で高温中に保存されると、リチウムニッケル複合酸化物と電解質とが反応することに起因するガスの発生が顕著である。発生したガスにより、特に剛性の弱いラミネートフィルムを電池のケースとして用いた場合、電池の膨れや漏液が生じることがある。
最近では、電子機器の小型化に伴い、電池パックを収納するスペースも制限されるため、必然的にそのサイズも制限される。ところが、電池パック内に収められる電池に膨れが生じる場合、その膨らみ分を考慮して、電池パックを設計する必要があるため、電子機器の小型化の妨げとなる。また、仮に、電池の膨れを考慮せず電池パックを設計した場合、ガスの発生により電池の内圧が上昇しやすくなり、その結果、漏液が生じやすくなる。そのため、電池パック外にも電解質が漏れ出ることがあり、電子機器に悪影響を及ぼす可能性がある。
上述したような特性もあり、リチウムニッケル複合酸化物の表面の活性を低減するために、特許文献2のように、Alでリチウムニッケル複合酸化物を被覆する技術がある。
特開2003−338281号公報 特開2005−340056号公報
上述のとおり、電池を充電状態で高温中に保存した場合であっても、ガスの発生を抑制したいという課題がある。そこで、本発明者は、特許文献2に記載されるAlで被覆したリチウムニッケル複合酸化物にさらに加熱処理したものを用いて試験を行ったが、若干のガス抑制効果はあったものの、その効果は十分なものではなかった。したがって、本発明の目的は、更なるガス抑制効果を有する、非水電解質二次電池用正極活物質および非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明は、非水電解質二次電池に用いられる正極活物質において、前記正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物であって、前記リチウムニッケル複合酸化物の表面は、アルミニウム酸化物およびチタン酸化物によって被覆されていることを特徴とする正極活物質に関する。本発明において「被覆」とは、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、アルミニウム酸化物とチタン酸化物の微粒子が付着している状態を意味する。付着状態としては、リチウムニッケル複合酸化物の表面とアルミニウム酸化物とチタン酸化物の微粒子の一部分とが、溶融している状態であってもよい。さらに、アルミニウム酸化物とチタン酸化物の微粒子の被覆状態は、リチウムニッケル複合酸化物の表面全体を被覆している必要はなく、少なくともその一部が被覆されていればよい。また、本発明で記載される「アルミニウム酸化物」とは、酸化アルミニウム(Al)または/およびリチウムとアルミニウムとの複合酸化物を意味する。同様に、本発明で記載される「チタン酸化物」とは、酸化チタン(TiO)または/およびリチウムとチタンとの複合酸化物を意味する。
さらに、本発明は、上記正極活物質を用いた非水電解質二次電池に関する。
また、本発明は、非水電解質二次電池に用いられる正極活物質の製造方法であって、リチウムニッケル複合酸化物を作製する工程と、前記リチウムニッケル複合酸化物に酸化アルミニウムおよび酸化チタンを添加し混合物を得る工程と、前記混合物を焼成する工程とを有することを特徴とする正極活物質の製造方法に関する。
さらに、前記混合物を焼成する温度は、前記正極活物質を作製する際の焼成温度より低温であることが好ましい。
本発明に従い、正極活物質として、アルミニウム酸化物とチタン酸化物をともに被覆したリチウムニッケル複合酸化物を用いることで、ガス発生の極めて少ない非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、本発明について更に詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
〔リチウムニッケル複合酸化物〕
本発明に用いるリチウムニッケル複合酸化物(以下、正極活物質と言うこともある。)としては、化学式:LiNiCo(式中、Mは、Mg、Al、V、Ti、Mn、Nb、Zn、Zrから選択される少なくとも1種の元素であり、a、x、y、zは、それぞれ、0.9≦a≦1.2、0<x≦0.9、0<y≦0.5、0≦z≦0.4、x+y+z=1を満たす。)で表される。さらに、本発明に用いられるリチウムニッケル複合酸化物には、F、Cl、B、Sが添加されていてもよい。
xは、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上である。この範囲とすれば、高い容量を維持しつつ、電池の安全性を確保することができる。また、xが0.6以上とニッケル比率の高いリチウムニッケル複合酸化物を作製する場合、正極活物質中に未反応のリチウムが多く生成してしまい、これが原因で正極活物質の表面の活性が高くなり、ガスの発生が顕著となる。しかし、後述するように、酸化アルミニウムおよび酸化チタンをリチウムニッケル酸化物に混合し焼成することで、ガス発生が抑制される。これは、酸化アルミニウム、酸化チタンの一部が未反応のリチウムと反応することで、それぞれにリチウムとの複合物を生成し、その結果、リチウムニッケル複合酸化物の表面の活性が低減すると考えられる。したがって、本発明におけるリチウムニッケル複合酸化物は、ニッケルの比率の高いものを用いる場合において、特に優れた効果を奏する。
yは、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、一方、0.4以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。zは、0より大であることが好ましく、0.01以上がより好ましく、一方、0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。この範囲とすることにより、電池の安全性を確保することができる。
〔リチウムニッケル複合酸化物の製造方法〕
本発明のリチウムニッケル複合酸化物の原料には、各元素の酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等を用いることができる。例えば、リチウム源としては、炭酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。ニッケル源としては、炭酸ニッケル、硫酸ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、過酸化ニッケル等を挙げることができる。コバルト源としては、酸化コバルト、三酸化ニコバルト、四酸化三コバルト、水酸化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト等を挙げることができる。例えば、上記式中Mがアルミニウムである場合、アルミニウム源としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムを挙げることができる。また、上記式中Mがマンガンである場合、マンガン源としては、二酸化マンガン、三酸化ニマンガン、四酸化三マンガン、炭酸マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン等を挙げることができる。
例えば、上記式中Mがアルミニウムであるリチウムニッケル複合酸化物の場合、以下のような工程によって得ることができる。
上述したニッケル化合物、コバルト化合物から調製した所定の組成比のニッケルイオン、コバルトイオンを含有する水溶液を、攪拌している純水中に滴下する。さらに、水溶液温度を40〜80℃とし、水溶液を攪拌しながら、水溶液がpH8〜11となるように水酸化ナトリウム水溶液を滴下することで、ニッケル−コバルトの沈殿物が得られる。なお、水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、炭酸水素アンモニウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液等のアルカリ溶液を用いることもできる。
つぎに、水溶液をろ過して沈殿物を採取し、採取した沈殿物を水洗し、熱処理した後、上述したリチウム化合物、アルミニウム化合物とを混合して、原料混合物を得る。
ついで、原料混合物を焼成する。焼成雰囲気は、大気中で行ってもよいが、酸素雰囲気中で焼成することが好ましい。
焼成温度は650℃以上であるのが好ましい。焼成温度が低すぎると、未反応の原料が正極活物質中に残留し、単位重量当たりの放電容量の低下、サイクル特性の低下、作動電圧の低下を招く。また、焼成温度は1000℃以下であるのが好ましい。焼成温度が高すぎると、副生成物が生成しやすくなり、単位重量当たりの放電容量の低下、サイクル特性の低下、作動電圧の低下を招く。焼成の時間は、5時間以上であるのが好ましい。上記範囲であると、混合物の粒子間の拡散反応が十分に進行する。また、焼成の時間は、30時間以下であるのが好ましい。上記範囲であると、生産性に優れる。
沈殿方法によって原料を得る工程を説明したが、上述したニッケル、コバルト、アルミニウムのそれぞれの化合物とリチウム化合物とを混合焼成して作製することも可能である。
焼成後、所望により、らいかい乳鉢、ボールミル、振動ミル、ピンミル、ジェットミル等を用いて粉砕し、目的とする粒度の粉体とすることもできる。
〔リチウムニッケル複合酸化物にアルミニウム酸化物、チタン酸化物を被覆させる方法〕
リチウムニッケル複合酸化物と酸化アルミニウム、酸化チタンとを混合させる方法としては、例えば、湿式法、乾式法を用いることができる。生産性の面から、乾式法が好ましく、混合時に、例えば高速攪拌混合機を用いることで、リチウムニッケル複合酸化物の粒子表面に酸化アルミニウムと酸化チタンを被覆させることができる。
また、本発明の製造方法においては、酸化アルミニウムと酸化チタンとリチウムニッケル複合酸化物とを混合させた後に再度焼成を行う。この焼成により、リチウムニッケル複合酸化物の表面に、アルミニウム酸化物およびチタン酸化物を被覆させることができる。また、焼成により、リチウムニッケル複合酸化物の表面にアルミニウム酸化物とチタン酸化物とを強固に付着させることができる。ここで、アルミニウム酸化物とは、酸化アルミニウム、焼成時に生成するリチウムとアルミニウムとの複合酸化物またはそれらの混合物である。同様に、チタン酸化物とは、酸化チタン、焼成時に生成するリチウムとチタンとの複合酸化物またはそれらの混合物である。このように、添加した酸化アルミニウムと酸化チタンの少なくとも一部が未反応リチウムと反応し、リチウムとの複合酸化物を生成することで、リチウムニッケル複合酸化物の表面の活性を低減させることができ、ガスを抑制させることができる。
ただし、焼成温度は、リチウムニッケル複合酸化物の合成時の焼成温度より低温であることが好ましい。これは、合成時の焼成温度より高くなると、酸化アルミニウムと酸化チタンが、リチウムニッケル複合酸化物の粒子内部に完全に取り込まれ固溶するため、リチウムニッケル複合酸化物の粒子表面にアルミニウム酸化物、チタン酸化物として付着させることが困難であるからである。さらに、酸化チタンと酸化アルミニウムが固溶したリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質として用いると、電池の放電容量が小さくなる。具体的な焼成温度としては、リチウムニッケル複合酸化物の組成にも依存するが、一般的には、400℃以上が好ましく、より好ましくは500℃以上であり、一方、750℃以下が好ましく、より好ましくは650℃以下である。また、焼成雰囲気としては、大気中で行うのが好ましい。
また、混合する酸化アルミニウムおよび酸化チタンの粒子径は5μm以下であることが好ましい。これは、リチウムニッケル複合酸化物の粒子径は1〜25μmであるため、酸化アルミニウムおよび酸化チタンを上記粒子径とすることで、均一にリチウムニッケル複合酸化物に被覆させることができるためである。
さらに、酸化アルミニウムの混合量は、リチウムニッケル複合酸化物に対して、0.5モル%以上、より好ましくは1.0モル%以上であり、一方、5.0モル%以下、より好ましくは4.0モル%以下である。さらに、酸化チタンの混合量は、リチウムニッケル複合酸化物に対して0.05モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、一方、1.0モル%以下、より好ましくは0.5モル%以下である。それぞれの混合量を上記範囲内とすることで、放電容量を低下させることなく、ガス発生を抑制させることができる。
〔正極〕
正極は、リチウムニッケル複合酸化物、導電材及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、正極活物質と結着剤と導電材とを液体媒体中に分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することにより作製される。さらに、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ロールプレス機等により加圧される。
正極集電体の材質としては、アルミニウムが好ましい。
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミドアクリル樹脂等が挙げられる。
正極活物質層には、通常、導電性を高めるために導電材を含有させる。その種類に特に制限はないが、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック等の炭素材料などを挙げることができる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
〔非水電解質二次電池〕
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の正極活物質を用いた正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極と、リチウム塩を電解質とする非水電解質とを備える。更に、正極と負極との間に、非水電解質を保持するセパレータを備える。
負極は通常、正極と同様に、負極集電体上に負極活物質層を形成して構成される。
負極活物質としては、金属リチウム、リチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、リチウムの吸蔵及び放出が可能な炭素材料が挙げられる。通常は安全性の高さの面から、リチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が用いられる。例えば、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、人造黒鉛が挙げられる。
なお、上述の炭素材料の他に、リチウムの吸蔵及び放出が可能な化合物を負極活物質として用いることもできる。例えば、酸化錫や酸化チタン等の金属酸化物が挙げられる。
電解質としては、作動電圧で変質したり、分解したりしない化合物であれば特に限定されない。電解質には、電解液も含まれる。電解液の溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルホルメート、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の有機溶媒が挙げられる。これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
電解液のリチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、トリフルオロメタン酸リチウム等のリチウム塩が挙げられる。上述した溶媒とリチウム塩とを混合して電解液とする。ここで、ゲル化剤等を添加し、ゲル状として使用してもよい。また、吸液性を有するポリマーに吸収させて使用してもよい。リチウム塩は電解液中に、通常0.5mol/L以上1.5mol/L以下となるように含有させる。
更に、無機系または有機系のリチウムイオンの導電性を有する固体電解質を使用してもよい。
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔性膜が挙げられる。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の正極活物質を用いた正極と、負極と、電解質と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
(1)正極活物質の作製
<実施例1>
反応槽に、硫酸ニッケル、硫酸コバルトから調製したコバルトイオン、ニッケルイオンを含有する水溶液を用意する。水溶液中のコバルト、ニッケルのモル比は、以下に記載する組成のニッケルとコバルトとの複合酸化物となるように、適宜調整する。水溶液温度を65℃にし、水溶液を攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を一定量滴下する。これにより、コバルト、ニッケルを含む沈殿物を得、その沈殿物をろ過、水洗、熱処理することにより、ニッケルとコバルトとの複合酸化物((Ni0.84Co0.16)を得る。さらに、その複合酸化物に酸化アルミニウム(Al)と水酸化リチウム(LiOH・HO)とを混合する。酸化アルミニウムは、ニッケル、コバルト、アルミニウムの比(ニッケル:コバルト:アルミニウム)が0.829:0.155:0.016となるように調整する。水酸化リチウムは、ニッケル、コバルト、アルミニウムのモル総和に対してリチウム換算で1.03となるように調整する。混合後、酸素中にて780℃で15時間焼成する。
焼成後粉砕し篩いにかける。以上の工程より、組成が、Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016である正極活物質を得る。ここで、仕込みのリチウム比と生成した正極活物質のリチウム比との違いは、焼成時におけるリチウムの飛散によるものである。
得られた正極活物質と酸化アルミニウム(Al)と酸化チタン(TiO)とをヘンシェルミキサーによって混合する。酸化アルミニウムの混合量は、正極活物質(ニッケル、コバルト、アルミニウムのモル総和)に対して、アルミニウム換算で3.6mol%となるように調整する。また、酸化チタンの混合量は、正極活物質(ニッケル、コバルト、アルミニウムのモル総和)に対して、チタン換算で0.12mol%となるように調整する。得られた混合物を大気中にて580℃で10時間焼成を行う。
焼成後粉砕し篩いにかける。以上の工程により、アルミニウム酸化物とチタン酸化物とで被覆させた正極活物質を得る。
<実施例2>
Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を得た後に、正極活物質(ニッケル、コバルト、アルミニウムのモル総和)に対して、チタン換算で0.96mol%となるように酸化チタンを混合する以外は、実施例1と同様の方法で正極活物質を得る。
<比較例1>
Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を得た後に、酸化チタンの混合を行わず、酸化アルミニウムをのみを混合し焼成する以外は、実施例1と同様の方法で正極活物質を得る。
<比較例2>
Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を得た後に、正極活物質(ニッケル、コバルト、アルミニウムのモル総和)に対してチタン換算で0.03mol%となるように酸化チタンを混合する以外は、実施例1と同様の方法で正極活物質を得る。
<比較例3>
Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を得た後に、正極活物質(ニッケル、コバルト、アルミニウムのモル総和)に対してチタン換算で1.8mol%となるように酸化チタンを混合する以外は、実施例1と同様の方法で正極活物質を得る。
<比較例4>
Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を得た後に、酸化アルミニウムの混合を行わず、酸化チタンをのみを混合し焼成する以外は、実施例1と同様の方法で正極活物質を得る。
<比較例5>
Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を得た後に、酸化アルミニウムの混合を行わず、正極活物質(ニッケル、コバルト、アルミニウムのモル総和)に対してチタン換算で1.8mol%となるように酸化チタンのみを混合し焼成する以外は、実施例1と同様の方法で正極活物質を得る。
<比較例6>
実施例1で得られたLi1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を正極活物質として用いる。
<比較例7>
Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を得た後に、酸化チタンと酸化アルミニウムの混合を行うが、混合後の焼成工程を行わない以外は、実施例1と同様の方法で正極活物質を得る。
<比較例8>
Li1.00Ni0.829Co0.155Al0.016を得た後に、酸化チタンと酸化アルミニウムの混合を行い、混合後の焼成を780℃で行う以外は、実施例1と同様の方法で正極活物質を得る。
<参考例1>
反応槽に、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンから調製したニッケルイオン、コバルトイオン、マンガンイオンを含有する水溶液を用意する。水溶液中のニッケル、コバルト、マンガンのモル比は、以下に記載する組成のニッケルとコバルトとマンガンとの複合酸化物となるように、適宜調整する。水溶液温度を65℃にし、水溶液を攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を一定量滴下する。これにより、ニッケル、コバルト、マンガンを含む沈殿物を得る。その沈殿物をろ過、水洗、熱処理することにより、ニッケルとコバルトとマンガンとの複合酸化物((Ni0.35Co0.35Mn0.30)を得る。この複合酸化物と炭酸リチウムを混合する。炭酸リチウムは、コバルト、ニッケル、マンガンのモル総和に対してリチウムのモル比を1.12となるように調整する。混合後、大気中にて950℃で15時間焼成する。
焼成後粉砕し篩いにかける。以上の工程より、組成が、Li1.12Ni0.35Co0.35Mn0.30である正極活物質を得る。
得られた正極活物質と酸化アルミニウム(Al)と酸化チタン(TiO)とをヘンシェルミキサーによって混合する。酸化アルミニウムの混合量は、正極活物質(ニッケル、コバルト、マンガンのモル総和)に対して、アルミニウム換算で3.6mol%となるように調整する。また、酸化チタンの混合量は、正極活物質(ニッケル、コバルト、マンガンのモル総和)に対して、チタン換算で0.12mol%となるように調整する。得られた混合物を大気中にて580℃で10時間焼成を行う。
<参考例2>
参考例1で得られたLi1.12Ni0.35Co0.35Mn0.30を正極活物質として用いる。
(2)電池の作製
(正極の作製)
得られた正極活物質を90重量部とアセチレンブラック2.5重量部とグラファイトカーボン2.5重量部と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)5.0重量部とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させてスラリーを調整する。得られたスラリーをアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥後プレス機で圧縮成形する。サイズが15cmとなるように裁断する。また、塗布された正極活物質層の重量は約0.32gである。
(負極の作製)
天然黒鉛97.5重量部に、カルボキシメチルセルロース(CMC)1.5重量部と結着材としてスチレンブタジエンゴム(SBR)1.0重量部とを純水に分散させてスラリーを調整する。得られたスラリーを銅箔に塗布し、乾燥後プレス機で圧縮成形し、16.64cm2となるように、裁断することにより負極を得る。また、塗布された負極活物質層の重量は約0.18gである。
(非水電解質の調整)
エチレンカーボネイト(EC)とメチルエチルカーボネイト(MEC)を体積比率3:7で混合する。得られた混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)をその濃度が、1mol/Lになるように溶解させて、非水電解質を調整する。
(電池の組み立て)
上記正極と上記負極の集電体に、それぞれリード電極を取り付けたのち、正極と負極との間にセパレータを配し、袋状のラミネートパックにそれらを収納する。
次いで、60℃で真空乾燥することで、各部材に吸着した水分を除去する。
アルゴンボックス内で、ラミネートパック内に上記非水電解質を注入し封止することによって、ラミネートタイプの電池を組み立てる。
(3)発生ガス量の測定
組み立てたラミネート電池を25℃の恒温槽に入れる。微弱電流で、数サイクル充放電し、エージングを行う。25℃の恒温槽に入れたまま、0.2Cの定電流にて4.2Vまで充電した後、電流値が0.02Cに減衰するまで定電圧充電を行う。なお、1Cとは1時間で放電が終了する電流負荷である。充電終了後、電池を80℃の恒温層に入れ、24時間保存する。25℃の雰囲気下でラミネート電池を十分冷却した後、ラミネート電池内に発生したガス量を測定する。実施例1〜2、比較例1〜8の結果を表1に示し、参考例1〜2の結果を表2に示す。
(4)放電容量の測定
正極と非水電解質には上記と同様のものを用い、負極にはリチウム金属を用いて簡易電池を作製する。ただし、正極の大きさを5cmとする。また、塗布された正極活物質層の重量は約0.12gである。
25℃に設定した恒温槽内で試験を行う。0.2Cの定電流にて4.2Vまで充電した後、電流値が0.02Cに減衰するまで定電圧充電を行う。充電後、0.2Cの定電流にて2.75Vになるまで放電する。そのときの放電容量を、実施例1〜2、比較例1〜8については表1に示し、参考例1〜2については表2に示す。
Figure 2009016302
Figure 2009016302
比較例1から、酸化アルミニウムのみを混合し焼成させることで、若干のガス抑制効果がある。また、比較例4から、酸化チタンでもガス抑制効果を有することが分かる。さらに、比較例5は、比較例4と比較して酸化チタンの混合量を増やすことでガス発生量を少なくすることができるが、放電容量の低下が大きい。これは、混合後の焼成が正極活物質合成時の焼成より低い温度であっても、混合した一部の酸化チタンは、リチウムニッケル複合酸化物に固溶すると考えられ、つまりは、酸化チタンの混合量が多くなると、リチウムニッケル複合酸化物に固溶する酸化チタンの量も多くなり、放電容量の低下が大きくなると考えられるからである。ここで、実施例1のように、酸化チタンを比較例4と同量とし、さらに、酸化アルミニウムを混合させることで、酸化チタンの混合量を多くした比較例5と同等レベルでガス発生量を低減させることができる。先に、酸化チタンの混合量が増えるほど容量低下が大きくなることを説明したが、これに対して酸化アルミニウムは、実施例1と比較例4から分かるように、その混合量を増やしても放電容量に大きな違いは見られない。これは、酸化アルミニウムは、混合後の焼成によっても、リチウムニッケル複合酸化物に固溶しにくいためである。したがって、実施例1のように、放電容量の低下を考慮し酸化チタンの混合量を抑えた場合であっても、さらに酸化アルミニウムを混合させることで、高い放電容量を維持しつつ、ガス発生を顕著に抑制させることができる。
また、比較例3のように、酸化アルミニウムと酸化チタンをリチウムニッケル複合酸化物に混合させるだけでは不十分であり、混合後に焼成を行うことにより、ガス発生を抑制させることができる。さらに、比較例8のように、混合後の焼成温度が高すぎると、酸化アルミニウムと酸化チタンが完全にリチウムニッケル複合酸化物に固溶するため、放電容量が低下してしまう。
また、参考例1と参考例2のように、母体であるリチウムニッケル複合酸化物のニッケル組成が低い場合、酸化アルミニウム、酸化チタンを被覆させたことによるガス抑制効果は見られない。
Figure 2009016302
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、非水電解質二次電池に利用することができる。本発明の非水電解質電池は、携帯電話、ノート型パソコン、デジタルカメラ等のモバイル機器及び電気自動車用バッテリー等の電源に利用することができる。

Claims (4)

  1. 非水電解質二次電池に用いられる正極活物質において、
    前記正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物であって、
    前記リチウムニッケル複合酸化物の表面は、アルミニウム酸化物およびチタン酸化物によって被覆されていることを特徴とする正極活物質。
  2. 請求項1に記載の正極活物質を用いた非水電解質二次電池。
  3. 非水電解質二次電池に用いられる正極活物質の製造方法であって、
    リチウムニッケル複合酸化物を作製する工程と、
    前記リチウムニッケル複合酸化物に酸化アルミニウムおよび酸化チタンを添加し混合物を得る工程と、
    前記混合物を焼成する工程と、
    を有することを特徴とする正極活物質の製造方法。
  4. 前記混合物を焼成する温度は、前記正極活物質を作製する際の焼成温度より低温であることを特徴とする請求項3に記載の正極活物質の製造方法。
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