JP2016072072A - 非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法、および該非水系電解質二次電池用正極活物質 - Google Patents
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Abstract
Description
Al、Ti、Nbからなる群より選ばれた少なくとも1種の有機金属化合物からなるアルコキシドモノマーもしくはそのオリゴマーと、エタノール、2−プロパノール及び1−ブタノールから選択される低級アルコールの1種類以上とを混合した後、キレート剤を加え、さらに、水を加えて、酸化物を生成する前駆体の微粒子が分散した分散液を得る分散液作製工程、前記分散液と、レーザー回折散乱法による平均粒径D50が3〜7μmであるリチウムニッケル複合酸化物の粒子とを混合して分散液に含まれる微粒子を前記リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に堆積させた混合物を得る混合工程、前記混合物を乾燥させる乾燥工程、表面に前駆体微粒子が堆積された前記リチウムニッケル複合酸化物粒子を熱処理して酸化物からなる微粒子を生成させ、非水系電解質二次電池用正極活物質を得る熱処理工程、を含むことを特徴とする。
さらに、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法は、工業的規模の生産においても簡便であり、その工業的価値はきわめて大きい。
本発明の一実施形態は、リチウムニッケル複合酸化物粒子(以下、「複合酸化物粒子」ともいう)と、該粒子表面の少なくとも一部を被覆した被覆層とを有し、レーザー回折散乱法による平均粒径D50が3〜7μmである非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、「正極活物質」ともいう)の製造方法である。
以下、本発明の実施形態に係る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を詳細に説明する。
分散液作製工程は、Al、Ti、Nbからなる群より選ばれた少なくとも1種の有機金属化合物からなるアルコキシドモノマーもしくはそのオリゴマーと、エタノール、2−プロパノール及び1−ブタノールから選択される低級アルコールの1種類以上とを混合した後、キレート剤を加え、さらに、水を加えて、前駆体微粒子が分散した分散液を得るものである。
すなわち、前駆体微粒子の形状は、被覆層を形成する酸化物においても維持される。前駆体微粒子の大きさを上記範囲とすることで、被覆層を形成する酸化物も同様の形状を有する微粒子となり、正極活物質と電解質との十分な接触を確保することができる。市販品としても、アルコキシド基を有する有機金属化合物を加水分解し、微細な粒子を分散させた液があるが、粗粒を含むものが多く、これを被覆に用いると、本発明の正極活物質を得ることは困難である。
混合工程は、分散液と、複合酸化物粒子とを混合して分散液に含まれる微粒子を複合酸化物粒子の表面に堆積させた混合物を得る工程である。
乾燥工程は、混合工程で得られた混合物中の溶媒を蒸発させて混合物を乾燥する工程である。この乾燥における過程で、複合酸化物粒子表面に分散液中の前駆体微粒子が吸着結合し、堆積が行われる。例えば、混練りミキサーで得られた混合物の乾燥は、急激に一気に溶媒揮発させると液が多く残っているため、乾燥と同時に粒子間が凝集しやすい。これを抑制するためには粒子間の粘着が発生しない程度にゆっくりと溶媒を蒸発させていくことが好ましい。蒸発速度は温度に強く依存するため、室温から徐々に高温下に晒すことが効果的である。
熱処理工程は、表面に前駆体微粒子が堆積された前記リチウムニッケル複合酸化物粒子を熱処理して酸化物からなる微粒子を生成させ、非水系電解質二次電池用正極活物質を得る工程であり、乾燥で複合酸化物粒子表面に形成された前駆体微粒子の堆積被膜を、熱処理により該粒子表面に強固に結着させるとともに、膜中に残渣する不要な成分を除去して酸化物として膜質を向上させる。これにより、複合酸化物粒子表面に形成される被覆層がより強固となり、電池作製時の混練等によっても被覆層が剥離しない正極活物質が得られる。
[混合物量(g)/炉容積(L)]×酸素ガス導入量(L/分)・・・(1)
上記制御により、被覆層の炭素含有量、正極活物質の水分量、比表面積をより最適化することが可能となる。なお、この数値の範囲内であれば、炉内容積、混合物の処理量、酸素ガス流量の比を任意に変えて同様な効果を得ることができる。
本発明の実施形態に係る正極活物質は、複合酸化物粒子と、該粒子表面の少なくとも一部を被覆した被覆層とを有する非水系電解質二次電池用正極活物質であって、レーザー回折散乱法による平均粒径D50が3〜7μmであり、一般式LitNi1−x−yCoxMyO2(式中Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、0.95≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15)で表され、前記被覆層は、Al、Ti、Nbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含んだ酸化物からなる微粒子により形成され、炭素含有量が0.01〜0.5質量%であり、かつ水分量が0.01〜0.2質量%である。
従来の上記リチウムニッケル複合酸化物は、リチウムが若干過剰気味に含まれており水に対する抵抗が低く、表面からリチウムが容易に溶出する。例えば、被覆層が未形成のLiNi0.82Co0.15Al0.03O21gを24℃の純水50mlに浸けると瞬時に多量のリチウムが溶出し、水溶液はアルカリ側に移行してpHは13近傍に達する。
一方、本発明の実施形態に係る正極活物質は、水分吸収が抑制されると同時に耐水性が改善され、前記スラリーのpHは、好ましくは11.2以下となる。
前記スラリーのpHが11.2以下に維持されることで、電池の正極製造に用いられるペースト組成物とした際のアルカリ化がさらに抑制され、ペースト組成物のゲル化が抑制される。
例えば、正極活物質9.5g、フッ化ビニリデン(PVDF)0.5g、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)5.5gと、ゲル化を促進するための水分0.2gを加えて混練してスラリーとし、24℃で4日間静止保管してもゲル化せず、流動性のあるスラリーに保つことができる。ゲル化の抑制により、正極集電体に塗布する際の不均一による充放電特性にバラツキが抑制されるとともに、ペースト組成物の流動性が悪化することにより塗布膜の緻密性が低下する等の問題の発生も抑制される。
本発明の非水系電解質二次電池の実施形態について、構成要素ごとにそれぞれ詳しく説明する。本発明の実施形態に係る非水系電解質二次電池は、正極、負極、非水電解液等、一般のリチウムイオン二次電池と同様の構成要素から構成され、上記した本発明の実施形態に係る正極活物質を正極に用いたことを特徴とするものである。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、下記実施形態をはじめとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
正極を形成する正極合材およびそれを構成する各材料について説明する。本発明の粉末状の正極活物質と、導電材、結着剤とを混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。正極合材中のそれぞれの混合比も、リチウム二次電池の性能を決定する重要な要素となる。
負極には、金属リチウム、リチウム合金等、また、リチウムイオンを吸蔵・脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
正極と負極との間にはセパレータを挟み込んで配置する。セパレータは、正極と負極とを分離し電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な穴を多数有する膜を用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル補足剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
以上説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明に係るリチウム二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
1.被覆液および被膜付き正極材活物質の諸物性
(1)分散液中の前駆体微粒子および正極活物質の粒径測定
前駆体微粒子については粒度分布計(日機装(株)製、ナノトラックWave)を用いて測定した。また、リチウムニッケル複合酸化物粉末及び正極材活性物質の粒径については、粒度分布計(日機装(株)製、マイクロトラックMT3300)を用いて測定した。
(2)被覆層厚みおよび被覆面積の測定
正極活物質CPで断面加工し、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面側からの観察により、画像から被覆層厚を直接求めた。被覆面積については、TEM観察の画像から画像処理により面積を算出した。なお、観察は場所を変えて5視野行った。また、被覆層中の微粒子および分散液中の前駆体微粒子の形態もTEM観察して直接画像から縦/横(アスペクト比)を算出した。
(3)正極活物質の水分量測定
水分量は、カールフィッシャ水分計(京都電子工業(株)製、水分気化装置ADP−611)を用いて50〜300℃間で揮発水分を捕集して測定した。
(4)被覆層組成および炭素含有量
組成はICP分析にて求め、炭素含有量は、赤外線吸収法により求めた。
(5)正極活物質の耐水性評価および耐湿性
耐水性は、24℃の純水50mlに正極活物質1gを加えて撹拌し、10分経過後のpHを測定することにより評価した。また、耐湿性は、30℃−70%RHの恒温恒湿槽に正極活物質を7日間暴露した後、暴露前後での質量増加率(%)により評価した。
(6)ゲル化評価
ゲル化評価は、被正極活物質9.5gと、バインダーとしてフッ化ビニリデン(PVDF)0.5g、溶剤としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)5.5g、さらに水0.2gを自公転練り込み機によりスラリー状にした後、24℃で4日間静止保管し、目視観察によるゲル化状況を確認した。
(電池の製造)
正極活物質の評価には、図1に示す2032型コイン電池1(以下、コイン型電池と称す)を使用した。
図1に示すように、コイン型電池1は、ケース2と、このケース2内に収容された電極3とから構成されている。ケース2は、中空かつ一端が開口された正極缶2aと、この正極缶2aの開口部に配置される負極缶2bとを有しており、負極缶2bを正極缶2aの開口部に配置すると、負極缶2bと正極缶2aとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成されている。
電極3は、正極3a、セパレータ3cおよび負極3bとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極3aが正極缶2aの内面に接触し、負極3bが負極缶2bの内面に接触するようにケース2に収容されている。なお、ケース2はガスケット2cを備えており、このガスケット2cによって、正極缶2aと負極缶2bとの間が非接触の状態を維持するように相対的な移動が固定されている。また、ガスケット2cは、正極缶2aと負極缶2bとの隙間を密封してケース2内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
まず、非水系電解質二次電池用正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して、正極3aを作製した。作製した正極3aを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。この正極3aと、負極3b、セパレータ3cおよび電解液とを用いて、上述したコイン型電池1を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。なお、負極3bには、直径14mmの円盤状に打ち抜かれた平均粒径20μm程度の黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンが銅箔に塗布された負極シートを用いた。セパレータ3cには膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。電解液には、1MのLiClO4を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。
製造したコイン型電池1の性能を示す初期放電容量、正極抵抗およびサイクル特性は、以下のように評価した。
初期放電容量は、コイン型電池1を製作してから24時間程度放置後、0.05Cにてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を初期放電容量とした。
[50サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量]×100=容量維持率(%)
(母材)
公知技術で得られたリチウムニッケル複合酸化物粉末を母材として用いた。すなわち、Niを主成分とする酸化ニッケル粉末と水酸化リチウムを混合して焼成することにより、Li1.020Ni0.82Co0.15Al0.03O2で表される正極材活物質となるリチウムニッケル複合酸化物粉末を得た。このリチウムニッケル複合酸化物粉末の平均粒径D50は5.04μmであり、比表面積は0.95m2/gであった。
予め2−プロパノール1gにアルミニウムブトキシド(高純度化学製)0.75gを加えて攪拌し、溶液(A)を作製した。さらに溶液(A)にアセチルアセトン(関東化学製)0.6gを少量ずつ徐々に加えて攪拌混合して溶液(B)を作製した。容器中に溶液(B)を入れて密栓し、攪拌しながら80℃で0.5時間加熱後、冷却して室温に戻し、溶液(C)を作製した。2−プロパノール1gと純水0.22gの混合液を溶液(C)に投入し、撹拌しながら24℃で5時間保持して透明な黄色い溶液(D)を得た。さらに溶液(D)に2−プロパノール50gを加えて、部分的に加水分解した有機アルミニウムを含む分散液(E)を得た。分散液(E)の諸物性を表1にまとめて示す。
母材となるリチウムニッケル複合酸化物粉末250gを取り分け、容器に正極材活物質と分散液(E)の全量を投入し、自公転式混練り機((株)シンキー製、泡トリ練太郎ARV−310LED)を用いて1200rpmで1分間の混合攪拌を行った。さらに容器に入った混合物スラリーを43kHzの超音波により5分間解砕し、この処理を3回繰り返して行った。容器を開封し、得られたスラリーに30℃の温風を当てながらスパチュラで攪拌して徐々に乾燥させ、さらに80℃で乾燥した後、100℃真空雰囲気中で1時間乾燥した。乾燥後の内容物を容器に戻し、2−プロパノール50gを加えてスラリーとした後、43kHzの超音波による解砕処理を5分間行った。その後、スラリーに30℃の温風を当てながらスパチュラで攪拌して徐々に乾燥させ、さらに80℃で乾燥した後、100℃真空雰囲気中で8時間乾燥して混合物を得た。
この混合物を、容積4Lの管状炉を用い、2L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で280℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
(分散液の作製)
予め2−プロパノール1gにニオブエトキシド(和光純薬製)0.6gを加えて攪拌し、溶液(A)を作製した。さらに溶液(A)にアセチルアセトン(関東化学製)0.4gを少量ずつ徐々に加えて攪拌混合して溶液(B)を作製した。容器中に溶液(B)を入れて密栓し、攪拌しながら80℃で1時間加熱後、冷却して室温に戻し、溶液(C)を作製した。2−プロパノール5gと純水0.18gの混合液を溶液(C)に投入後、撹拌しながら24℃で5時間して、透明な黄色い溶液(D)を得た。さらに溶液(D)に2−プロパノール45gを加えて、部分的に加水分解した有機ニオブを含む分散液(E)を得た。分散液(E)の諸物性を表1にまとめて示す。
実施例1で用いた母材となるリチウムニッケル複合酸化物粉末250gを取り分け、容器に母材と分散液(E)全量を投入し、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
(分散液の作製)
予め2−プロパノール1gにニオブエトキシド(和光純薬製)0.6gを加えて攪拌し、溶液(A)を作製した。さらに溶液(A)にアセチルアセトン(関東化学製)0.6gを少量ずつ徐々に加えて攪拌混合して溶液(B)を作製した。容器中に溶液(B)を入れて密栓し、攪拌しながら80℃で2時間加熱後、冷却して室温に戻し、溶液(C)を作製した。2−プロパノール5gと純水0.18gの混合液を溶液(C)に投入し、撹拌しながら24℃で5時間保持して透明な黄色い溶液(D)を得た。さらに溶液液(D)に2−プロパノール45gを加えて、部分的に加水分解した有機ニオブを含む分散液(E)を得た。分散液(E)の諸物性を表1にまとめて示す。
実施例1で用いた母材となるリチウムニッケル複合酸化物粉末250gを取り分け、容器に母材と分散液(E)全量を投入し、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
(正極材活物質の作製)
実施例1で用いた母材となるリチウムニッケル複合酸化物粉末250g取り分け、容器に実施例2と同様にして得た分散液(E)全量を投入し、自公転式混練り機((株)シンキー製、泡トリ練太郎ARV−310LED)を用いて1200rpmで1分間の混合攪拌を行った。さらに容器に入った混合物スラリーを43kHzの超音波により5分間解砕し、この処理を3回繰り返して行った。容器を開封し、得られたスラリーに30℃の温風を当てながらスパチュラで攪拌して徐々に乾燥させ、さらに80℃で乾燥した後、100℃真空雰囲気中で1時間乾燥した。乾燥後の内容物を容器に戻し、2−プロパノール50gを加えてスラリーとした後、43kHzの超音波による解砕処理を5分間行った。その後、スラリーに30℃の温風を当てながらスパチュラで攪拌して徐々に乾燥させ、さらに80℃で乾燥した後、100℃真空雰囲気中で8時間乾燥して混合物を得た。
この混合物を、容積4Lの管状炉を用い、1L/分で純酸素ガスを導入しながら5℃/分で280℃まで昇温した後、0.5時間保持して正極活物質を得て、実施例1と同様に評価した。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
(分散液の作製)
予め2−プロパノール1gにアルミニウムブトキシド(高純度化学製)0.4gを加えて攪拌し、溶液(A)を作製した。さらに溶液(A)にアセチルアセトン(関東化学製)0.3gを少量ずつ徐々に加えて攪拌混合して溶液(B)を作製した。容器中に溶液(B)を入れて密栓し、攪拌しながら80℃で0.5時間加熱後、冷却して室温に戻し、溶液(C)を作製した。さらに溶液(C)にリン酸トリエチル(関東化学製)0.3gを加えて攪拌しながら80℃で2時間加熱後、冷却して室温に戻し、溶液(D)を作製した。溶液(D)に2−プロパノール1gと純水0.1gを加え、撹拌しながら24℃で5時間保持して透明な黄色い被覆原液(E)を作製した。さらに溶液(E)に2−プロパノール50gを加えて、部分的に加水分解した有機アルミニウムを含む分散液(E)を得た。分散液(E)の諸物性を表1にまとめて示す。
実施例1で用いた母材となるリチウムニッケル複合酸化物粉末250gを取り分け、容器に母材と分散液(E)全量を投入し、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価した。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
実施例1で用いた母材を処理せずに、そのままの状態で正極活物質として評価した。正極材活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
実施例1で用いた母材40gに水10gを加えて10分間攪拌し、混合物を100℃真空雰囲気中で1時間乾燥した。その後、容量4L容量の管状炉を用い、0.3L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で300℃まで昇温した後、1時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
実施例1で用いた母材20gを取り分け、容器に母材と水10gを投入し、自公転式混練り機((株)シンキー製、泡トリ練太郎ARV−310LED)を用いて1200rpmで1分間の混合攪拌を行った。容器から内容物を取り出し、ステアリン酸アルミニウム0.01gを添加して、ボールミルにて樹脂(ナイロン)でコートしたボールをメディアとして用いて解砕した後、真空濾過し、乾燥した。その後、容量4Lの管状炉を用い、0.3L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で600℃まで昇温した後、4時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
(分散液の作製)
2−プロパノール50gにニオブエトキシド(和光純薬製)0.6gを加えて攪拌して溶解し、これを分散液(E)とした。加水分解がないため、前駆体微粒子は認められなかった。
(正極活物質の作製)
実施例1で用いた母材250gを取り分け、容器に母材と分散液(E)全量を投入し、自公転式混練り機((株)シンキー製泡トリ練太郎、ARV−310LED)を用いて1200rpmで1分間の混合攪拌を行った。この混合物スラリーを真空濾過した後、80℃真空雰囲気中で1時間乾燥した。乾燥後、容量4Lの管状炉を用い、0.3 L/分で純酸素ガスを導入しながら3℃/分で400℃昇温し、4時間保持して正極活物質を得た。正極活物質の評価結果を表2、3にまとめて示す。
2:ケース
2a:正極缶
2b:負極缶
2c:ガスケット
3:電極
3a:正極
3b:負極
3c:セパレータ
Claims (13)
- リチウムニッケル複合酸化物の粒子と、該粒子表面の少なくとも一部を被覆した被覆層とを有する非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
Al、Ti、Nbからなる群より選ばれた少なくとも1種の有機金属化合物からなるアルコキシドモノマーもしくはそのオリゴマーと、エタノール、2−プロパノール及び1−ブタノールから選択される1種類以上の低級アルコールとを混合した後、キレート剤を加え、さらに、水を加えて、前記被覆層を形成する微粒子の前駆体である微粒子が分散した分散液を得る分散液作製工程、
前記分散液と、レーザー回折散乱法による平均粒径D50が3〜7μmであるリチウムニッケル複合酸化物の粒子とを混合して、前記分散液に含まれる前記前駆体微粒子を前記複合酸化物粒子の表面に堆積させた混合物を得る混合工程、
前記混合物を乾燥させる乾燥工程、
前記乾燥後の混合物を熱処理して、前記粒子表面に堆積された前記前駆体微粒子から、酸化物からなる微粒子を生成させ、前記被覆層を有する前記正極活物質を得る熱処理工程、
を含むことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記分散液作製工程において、アルコキシドモノマーもしくはそのオリゴマーと低級アルコールを混合する際、または前記キレート剤を添加後に、有機リン酸を加えることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合工程後に、前記混合物を解砕する解砕工程をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記解砕工程において、前記前駆体微粒子をその表面に堆積させた前記複合酸化物粒子同士を衝突させて解砕することを特徴とする請求項3に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記解砕を超音波振動により行うことを特徴とする請求項4に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記乾燥工程において、乾燥温度を150℃以下とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記熱処理工程において、混合工程で得られた前記混合物を、[混合物量(g)/炉容積(L)]×酸素ガス導入量(L/分)によって求められる値が6.2〜166.5(g/分)の範囲内となるように炉内の雰囲気を制御して熱処理することを特徴する請求項1〜6のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- リチウムニッケル複合酸化物粒子と、該粒子表面の少なくとも一部を被覆した被覆層とを有する非水系電解質二次電池用正極活物質であって、
前記複合酸化物粒子の組成は、一般式LitNi1−x−yCoxMyO2(式中Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、MoおよびWからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、0.95≦t≦1.20、0≦x≦0.22、0≦y≦0.15)で表され、
前記被覆層は、Al、Ti、Nbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含んだ酸化物からなる微粒子により形成され、
前記正極活物質は、レーザー回折散乱法による平均粒径D50が3〜7μmであり、炭素含有量が0.01〜0.5質量%、かつ水分量が0.01〜0.2質量%であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。 - 前記被覆層中の酸化物の含有率は、前記正極活物質全体100質量%に対して、0.01〜0.50質量%であることを特徴とする請求項8に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記被覆層中に、前記正極活物質全体100質量%に対して、0.01〜0.10質量%のリン酸を含有することを特徴とする請求項8または9に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記被覆層は、平均粒径D50が1〜10nmの酸化物からなる微粒子により形成されたものであることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記被覆層の層厚は、1〜10nmであることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記被覆層は、前記リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に非連続的に多孔質かつ島状に形成され、透過型電子顕微鏡の断面観察より測定される被覆面積が前記リチウムニッケル複合酸化物粒子表面の面積の75〜95%であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
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