JP2009013311A - ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】天然ゴムを含むシリカ配合のゴム組成物において、補強性を向上するとともに、tanδを小さくする。
【解決手段】天然ゴムを含むジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、下記一般式(1)で表されるアルキレンジアミン化合物(特に好ましくは、N−牛脂アルキル−プロピレンジアミン)とを含有するゴム組成物である。
R−NH−(CH−NH …(1)
(式中、Rは炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基であり、nは2〜4の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物に関し、更に詳しくは空気入りタイヤのサイドウォールに好適に用いられるゴム組成物に関する。
従来より、空気入りタイヤのサイドウォールを形成するゴム組成物においては、ゴム成分として、天然ゴムとブタジエンゴムとのブレンドゴムが一般に用いられている。そして、タイヤの低燃費性を向上するために、該ゴム成分にシリカを添加し、更にシランカップリング剤を配合することが知られている(下記特許文献1参照)。また、この種のゴム組成物においては、老化防止剤としてジアミン化合物(芳香族第二級アミン)が配合されることがある(下記特許文献1の段落0029参照)。
下記特許文献2には、天然ゴムとブタジエンゴムの混合物100重量部に、沈降性シリカ1〜5重量部と、抗分解剤としてのアミン類1.5〜10重量部を含むサイドウォール用ゴム組成物が開示されている。
特開2006−124487号公報 特開平6−136184号公報
上記のように従来、天然ゴムを含むシリカ配合のゴム組成物において、ジアミン化合物を配合することは知られているが、かかる従来技術において用いられているジアミン化合物は、芳香族系のフェニレンジアミン化合物であり、老化防止剤として配合されているにすぎない。
また、特許文献2に開示のアミン類もフェニレンジアミンであり、通常の老化防止剤に属するものである。また、特許文献2では、シリカの配合量が非常に少なく、カーボンブラックを主たる充填剤としており、シリカを主たる充填剤とする配合においてジアミン化合物を使用したものではない。
本発明は、天然ゴムを含むシリカ配合のゴム組成物において、従来はゴム系添加剤として用いられていなかった特定のジアミン化合物を添加することにより、補強性を向上するとともに、低tanδを示すゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討していく中で、天然ゴムを含むシリカ配合のゴム組成物に、長鎖の脂肪族炭化水素基を有するアルキレンジアミン化合物を添加することにより、tanδの値を小さくすることができるとともに、意外にも補強性を上げることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るゴム組成物は、天然ゴムを含むジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、下記一般式(1)で表されるアルキレンジアミン化合物とを含有するものである。
R−NH−(CH−NH …(1)
式中、Rは炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基であり、nは2〜4の整数である。
本発明によれば、天然ゴムを含むシリカ配合のゴム組成物において、補強性を向上することができるとともに、tanδの値を小さくして発熱性を抑えることができ、そのため、例えば、タイヤサイドウォールゴムに用いた場合に、転がり抵抗の低減による低燃費性に寄与することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本発明に係るゴム組成物においてゴム成分であるジエン系ゴムとしては、少なくとも天然ゴムが用いられる。すなわち、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム単独、又は、天然ゴムと他のジエン系ゴムとのブレンドゴムが用いられる。天然ゴムを用いることにより、上記アルキレンジアミン化合物の添加による補強性(モジュラス)の向上効果が得られる。他のジエン系ゴムとしては、特に限定されないが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、ニトリルゴム(NBR)などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記ジエン系ゴムは、天然ゴムを50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは、天然ゴム50〜70重量%と、他のジエン系ゴム(特に好ましくはブタジエンゴム)50〜30重量%とのブレンドゴムである。
上記ゴム組成物に配合されるシリカとしては、特に限定されないが、含水珪酸を主成分とする湿式シリカを用いることが好ましい。シリカの比表面積(ISO 5794/1に準じて測定されるBET法)は、特に限定されないが、50〜300m/gであることが好ましい。
上記ゴム組成物は、シリカを主たる充填剤として含有するものであり、シリカは、ジエン系ゴム100重量部に対して10〜50重量部配合されることが好ましく、より好ましくは15〜35重量部である。なお、充填剤として、シリカとともにカーボンブラックを配合することもできるが、シリカの方がより多く配合され、カーボンブラックを配合する場合は、色づけ程度のために5重量部以下(例えば、3〜5重量部)にて配合されることが好ましい。
上記ゴム組成物に配合されるシランカップリング剤としては、従来よりシリカとジエン系ゴムとの結合を促進するために用いられている各種シランカップリング剤が挙げられる。具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。シランカップリング剤は、シリカ100重量部に対して、5〜15重量部にて配合されることが好ましい。
本発明のゴム組成物には、上記式(1)で表されるアルキレンジアミン化合物が配合される。かかるアルキレンジアミン化合物を添加することにより、シリカの分散性を良好にして、ゴム組成物のtanδを小さくすることができる。また、該アルキレンジアミン化合物の添加により、ゴム組成物の補強性(モジュラス)が向上する。補強性向上の理由は明らかではないが、該化合物が、長鎖の脂肪族炭化水素基と、アルキレン基に結合された2つのアミンを有することによるものと考えられる。
上記式(1)中のRは、アルキル基でもアルケニル基でもよいが、好ましくはアルキル基、又はアルキル基とアルケニル基の混合物である。また、炭素数は14〜18であることが好ましい。Rとして、特に好ましくは牛脂アルキル(炭素数14〜18)である。また、式(1)中のnは、2又は3であることが好ましく、より好ましくはn=3である。式(1)の化合物としては、特には、N−アルキル−プロピレンジアミンであることが好ましい。
該アルキレンジアミン化合物は、シリカ100重量部に対して1〜15重量部配合されることが好ましく、より好ましくは1〜10重量部、更に好ましくは、3〜10重量部配合されることである。該アルキレンジアミン化合物の配合量が多すぎると、ブリードを生ずる恐れがある。
本発明に係るゴム組成物には、上記の各成分の他に、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤など、タイヤ用、その他一般ゴム用組成物に通常配合される各種添加剤を配合することができる。
本発明に係るゴム組成物は、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ローラーなどの混練機を用いて混練りすることにより得られ、常法に従い加硫成形することにより、各種ゴム製品を製造することができる。本発明のゴム組成物は、空気入りタイヤにおけるサイドウォールを形成するために用いられることが好ましい。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合に従い、実施例及び比較例の各タイヤサイドウォール用ゴム組成物を調製した。表1中の各成分は以下の通りである。
・NR:天然ゴム(RSS#3号)、
・BR:JSR株式会社製ブタジエンゴム「BR01」、
・シリカ:東ソーシリカ工業株式会社製「ニプシールAQ」、
・シランカップリング剤:デグサ社製「Si69」。
・アルキレンジアミン化合物:硬化牛脂プロピレンジアミン(アルキル基の炭素数=14〜18)、上記式(1)で表されるアルキレンジアミン化合物、花王株式会社製「ジアミンR−86」、
・アミン化合物(a):ジアルキルメチルアミン(アルキル基の炭素数=14〜18)、ライオン株式会社製「アーミンM2O」、
・アミン化合物(b):ジメチルステアリルアミン、ライオン株式会社製「ファーミンDM8680」、
・アミン化合物(c):老化防止剤6C、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」。
各ゴム組成物には、共通配合として、ゴム成分100重量部に対し、
オイル(日清オイリオ株式会社製「大豆白絞油」)4重量部、
亜鉛華(三井金属鉱業株式会社製「亜鉛華1号」)3重量部、
ステアリン酸(花王株式会社製「ルナックS−20」)2.5重量部、
ワックス(大内新興化学工業株式会社製「サンノック」)1.5重量部、
老化防止剤6C(大内新興化学工業株式会社製「ノクラック6C」)2.5重量部、
硫黄(鶴見化学工業株式会社製「粉末硫黄」)1.5重量部、
加硫促進剤CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ」)1.2重量部を配合した。
得られた各ゴム組成物について、補強性(M300)、E’及びtanδを測定し、また、ブリード性を評価した。各測定方法は、以下の通りである。
・補強性:160℃×20分間で加硫した試験片について、JIS K−6251に準拠して、島津製作所製「オートグラフSES1000」にてM300を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど補強性に優れることを示す。
・E’、tanδ:レオロジー社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、160℃×20分間で加硫した厚さ1mmのゴムシートの粘弾性を60℃、50Hz、初期歪み5%、動歪み1%にて測定した。そのときの動的モジュラスをE’(MPa)とし、損失係数をtanδとして、比較例1の値を100とした指数で表示した。E’は、指数が大きいほど、剛性に優れることを示し、tanδは、指数が小さいほど、耐発熱性に優れること、即ち発熱しにくいことを示す。
・ブリード性:160℃×20分間で加硫した試験片について、常温で30日間放置した後、表面のブリードの有無を観察し、ブリードのないものを「○」、ブリードしていたものを「×」で評価した。
Figure 2009013311
表1に示すように、アルキレンジアミン化合物を添加した実施例1〜3では、M300の上昇が大きく、かつ、tanδの値が小さくなっていた。なお、アルキレンジアミン化合物の配合量が多い実施例3では、ブリードが発生していた。
これに対し、ジアルキルジメチルアミンやジメチルステアリルアミンのようなアミンの数が1つのアミン化合物を配合した場合、M300の上昇効果はほとんど見られなかった。また、tanδの値は小さくなっていたが、その効果は実施例のアルキレンジアミン化合物に比べて小さいものであった。
また、老化防止剤としてのフェニレンジアミンを増量した比較例4では、フェニレンジアミンの可塑化効果により、M300とE’が低下していた。
このように、本実施例によれば、単なるアミン化合物ではなく、上記特定のアルキレンジアミン化合物を添加することにより、天然ゴムを含むシリカ配合のゴム組成物において、単にtanδを低下させるだけでなく、補強性を向上することができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用ゴム組成物として好適に用いられ、特に、空気入りタイヤのサイドウォールを構成するゴムとして好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 天然ゴムを含むジエン系ゴムと、シリカと、シランカップリング剤と、下記一般式(1)で表されるアルキレンジアミン化合物とを含有するゴム組成物。
    R−NH−(CH−NH …(1)
    (式中、Rは炭素数8〜24の脂肪族炭化水素基であり、nは2〜4の整数である。)
  2. 前記アルキレンジアミン化合物を、前記シリカ100重量部に対して1〜15重量部含有する請求項1記載のゴム組成物。
  3. 前記ジエン系ゴムが天然ゴムを50重量%以上含有する請求項1又は2記載のゴム組成物。
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WO2018079258A1 (ja) * 2016-10-27 2018-05-03 住友ゴム工業株式会社 タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ

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