JP2009013204A - 粒子状セルロース系吸着材及びその製造方法 - Google Patents

粒子状セルロース系吸着材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的強度に優れ、環境に対する負荷が少なく、安価で、水中の吸着性能を向上することができ、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる吸着材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、反応性モノマーを効率よく重合させて、キレート形成基及び/又はイオン交換基を導入することにより所望の特性を付与された粒子状セルロース系吸着材を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、粒子状セルロース系吸着材及びその製造方法に関するものであり、特に結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材にキレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されている粒子状セルロース系吸着材及びその製造方法に関するものである。
ホウ素、ゲルマニウム等の半金属は幅広い分野で用いられていることから工業廃水中によく含まれている。かかる半金属は、半導体としての性質を有し、ハイテク産業等における新素材開発に不可欠な元素群であるため工業廃水から回収することが望まれる。これらの半金属の廃水からの回収方法としては、凝集沈殿法、イオン交換吸着法、キレート吸着法をはじめいくつかの吸着方法が知られている。これらの中で、選択吸着性を有するキレート吸着法は、ホウ素やゲルマニウムが糖鎖やアルコール類等、複数の水酸基を含有する化合物(ポリヒドロキシ化合物)と錯体を形成する性質を利用したものであり、水酸基を含む官能基を不溶性の高分子に導入した樹脂として、例えばメチルグルカミン基を導入したポリスチレン系吸着樹脂を用いた吸着材などが提案されている。しかしながら、このポリスチレン系キレート吸着樹脂は、マトリックスが疎水性であるため、ホウ素、ゲルマニウム等の吸着速度が低い、吸着容量が十分でないという欠点を有している。さらに、現在市販されているメチルグルカミン型のポリスチレン系キレート吸着樹脂の製法が複雑で高価である、石油を原材料とした物であるため廃棄後処理し難いなどの問題がある。
これに対し、自然界中に最も多く存在する多糖類であり、安価で再生可能な資源として様々な分野で広く使われているセルロースが、構造的に親水性の水酸基を多数有するポリヒドロキシ化合物であることから、グルカミン型のセルロース系キレート吸着樹脂の開発が提案されている(例えば、非特許文献1等参照)。しかし、非特許文献1で報告されているグルカミン型のセルロース系キレート吸着樹脂は、化学的に基材を活性化してグラフトさせる化学グラフト法により製造されるものであり、グラフト率が低く、グルカミン官能基密度が低いという問題がある。さらに化学的方法を用いることから、製造プロセスの安全性、取扱い性などの問題がある。
一方、化学グラフト法と比べて、放射線グラフト法はラジカル重合開始剤を使用せず、高分子基材に任意の反応性モノマーをグラフト鎖として導入する方法であり、表面のみではなく内部まで反応性モノマーをグラフトすることができるという長所がある。放射線照射により活性化した高分子基材に、反応性モノマーを、エマルジョン溶液中でグラフト重合させる方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。また、吸着樹脂に関するものではないが、セルロース繊維への放射線グラフト研究もいくつか報告されている(例えば、非特許文献2、3参照)。
特開2005−344047号公報(2005年12月15日公開) 犬飼吉成(Y.Inukai)、外9名, 「グルカミン型セルロース系誘導体を用いたホウ素の除去(Removal of boron(III) by N-methylglucamin-type cellulose derivatives with higher adsorption rate)」 (2004), Analytical Chimica Acta,Vol.51.P261-265.(Elsevier Science) J. L. ウィリアムズ (J.L.Williams) 外2名,「エラストマー繊維としてのグラフト共重合体そのI:グラフト共重合体の合成(Graft copolymers as Elastomeric Fibers- I Synthesis of the Graft Copolymers)」 (1975),International Journal of Applied Radiation and Isotopes,Vol.26.P159-168.(Pergamon Press) F.カーン(F.Khan)、外2名,「γ線照射による黄麻繊維へのMMAエマルジョングラフト重合(Gamma radiation-induced emulsion graft Copolymerization of MMA onto jute fiber)」 (2002),Advances in Polymer Teclmology,Vol.21.P132-140.(Wiley Periodicals)
しかしながら、前記特許文献1及び非特許文献2、3に記載の、エマルジョングラフト重合を用いた放射線グラフト法で、高いグラフト率でグラフト鎖が得られることが報告されているのは、いずれも非結晶部分を比較的多く含む繊維状又はフィルム状のセルロースである。
このように非結晶部分を比較的多く含むセルロースは、イオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等に充填して用いるには機械的強度が十分ではなく、また、化学的安定性も十分ではない。また、繊維状、又は、フィルム状のセルロース系キレート吸着樹脂は、非常に高価であることに加え、従来のポリスチレン系吸着樹脂粒子とは異なる形状を持つため、イオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することは難しい。よって、繊維状、又は、フィルム状のセルロース系キレート吸着樹脂は、従来のポリスチレン系吸着樹脂粒子の代替品として大量使用するのは難しい。
従って、機械的強度が十分で、吸着材の基材として一定の化学的安定性を有し、且つ、粒子状である、結晶化度が高いセルロースの球状粒子を基材として用いるセルロース系吸着樹脂が望まれる。
しかし、結晶化度が高いセルロースの球状粒子は、結晶体界面のラジカル収率が低く、高いグラフト率を得ることができない。高線量の放射線を照射することにより、セルロース基材のラジカル収率が高くなることは知られているが、基材に大きなダメージを与えるという問題点がある。特に、結晶セルロースは代表的な放射線分解型高分子であるため、結晶化度が高いセルロースの球状粒子の場合は、グラフト線量が30kGyを超えると、基材に大きなダメージを与え機械強度が著しく低下する。しかし、粒子状セルロース系吸着材に必要な反応性モノマーのグラフト率を得るためには通常少なくとも50kGyの線量が必要である。
また、放射線グラフト法以外の方法においても、結晶化度の高いセルロースの球状粒子を基材として、反応性モノマーを、高グラフト率で重合させる例は未だ知られていない。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、結晶化度が高いセルロースの球状粒子を基材として、基材本来の構造と強度を壊さず、反応性モノマーを効率よく重合させて所望の吸着特性を付与された粒子状セルロース系吸着材及びその製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者らは、代表的な放射線分解型高分子であるため、放射線グラフト法を適用するとの発想自体がなかった、結晶化度の高いセルロースの球状粒子に通常では活性化に到底足りない低線量の放射線を照射した場合でも、高濃度の反応性モノマーを含有するエマルジョン中でのグラフト重合により、高いグラフト率を得ることに成功し、本発明を完成させるに至った。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、前記課題を解決するために、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、キレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されている粒子状セルロース系吸着材であって、当該キレート形成基及び/又はイオン交換基は、前記粒子状セルロース系基材に疎水性モノマーをグラフト重合することによって導入されたグラフト鎖に結合しており、当該グラフト鎖のグラフト率は100%以上であることを特徴としている。
前記の構成によれば、化学的安定性及び機械的強度に優れ、環境に対する負荷が少なく、安価で、水中の吸着性能を向上することができ、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる吸着材を実現することができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材では、前記キレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度は、1.0mmol/g以上であることが好ましい。
前記キレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度が1.0mmol/g以上であることにより、吸着材として優れた吸着能力を有する粒子状セルロース系吸着材を得ることができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材では、前記疎水性モノマーは、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーであることが好ましい。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材では、前記グラフト鎖に残存するエポキシ基はジオール化されていることが好ましい。
残存するエポキシ基はジオール化されていることにより、かかるジオールも、キレートの形成に寄与することができるため、さらに粒子状セルロース系吸着材の吸着能力を向上させることができるというさらなる効果を奏する。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、平均粒子径が100〜1500μmであることが好ましい。
平均粒子径が100〜1500μmであることにより、カラムの通水時の抵抗を低減できる。また、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材では、前記キレート形成基は、グルカミン基、ジオール基、ポリオール基、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミドキシム基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基、又は、アミノリン酸基であることが好ましい。
前記キレート形成基は、グルカミン基、ジオール基、ポリオール基、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミドキシム基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基、又は、アミノリン酸基であることにより、吸着材に選択吸着性を付与することができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材では、前記粒子状セルロース系基材は結晶化度が95%以上のセルロースからなることが好ましい。
本発明にかかる半金属吸着材は、前記粒子状セルロース系吸着材からなることが好ましい。また、本発明にかかる半金属吸着材は、ホウ素吸着材、ゲルマニウム吸着材又はヒ素吸着材であることが好ましい。
半金属吸着材として用いることにより、これらの半金属の除去や有益資源としての分離、濃縮、回収を工業的に行う場合に非常に有利である。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法は、前記課題を解決するために、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、キレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されている粒子状セルロース系吸着材の製造方法であって、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材を活性化する活性化工程と、活性化された粒子状セルロース系基材を、疎水性モノマーを含むエマルジョンと接触させて、当該疎水性モノマーを前記粒子状セルロース系基材にグラフト重合させてグラフト鎖を導入するグラフト鎖導入工程と、導入された前記グラフト鎖にキレート形成基及び/又はイオン交換基を結合させる官能基結合工程とを含み、前記エマルジョンに含まれる前記疎水性モノマーの量は、エマルジョン全量に対して30重量%より大きく80重量%以下であることを特徴としている。
前記の構成によれば、機械的強度に優れ、環境に対する負荷が少なく、安価で、水中の吸着性能を向上することができ、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる吸着材を実現することができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、前記エマルジョンは、さらに、疎水性モノマーに対して、3〜10重量%の界面活性剤を含むことが好ましい。
前記の構成によれば、機械的強度に優れ、環境に対する負荷が少なく、安価で、水中の吸着性能を向上することができ、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる吸着材をより好適に実現することができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、前記活性化工程は、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、線量が1〜30kGyの電離放射線を照射することが好ましい。
電離放射線の線量が30kGy以下であることにより、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に加えられるダメージを抑制することができるという効果を奏する。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、含水率が10%を超え50%以下の前記粒子状セルロース系基材に、電離放射線を照射することが好ましい。
含水率が10%を超え50%以下の前記粒子状セルロース系基材に、電離放射線を照射することにより、続くグラフト鎖導入工程で、導入されるグラフト鎖のグラフト率をさらに高めることができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、前記エマルジョンは、水系エマルジョンであることが好ましい。
前記エマルジョンは、水系エマルジョンであることにより、有機溶媒を使用しないため、プロセスのコスト低減、環境に対する負荷の低減、及び、プロセスの安全性向上の点から好ましい。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、前記疎水性モノマーはエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーであることが好ましい。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法は、前記官能基結合工程の後に、さらに、前記グラフト鎖に残存するエポキシ基をジオール化する工程を含むことが好ましい。
残存するエポキシ基はジオール化されていることにより、かかるジオールも、キレートの形成に寄与することができるため、さらに粒子状セルロース系吸着材の吸着能力を向上させることができるというさらなる効果を奏する。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、前記粒子状セルロース系基材の平均粒子径は、30〜800μmであることが好ましい。
前記粒子状セルロース系基材の平均粒子径が、30〜800μmであることにより、所望の平均粒子径を有する粒子状セルロース系吸着材を得ることができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、前記キレート形成基は、ジオール基、ポリオール基、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミドキシム基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基、又は、アミノリン酸基であることが好ましい。
前記キレート形成基は、ジオール基、ポリオール基、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミドキシム基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基、又は、アミノリン酸基であることにより、吸着材に選択吸着性を付与することができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、前記電離放射線は、γ線、電子線、又はX線であることが好ましい。
前記前記電離放射線が、γ線、電子線、又はX線であることにより、製造プロセスが簡単、安全、低公害であるというさらなる効果を奏する。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、以上のように、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、キレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されている粒子状セルロース系吸着材であって、当該キレート形成基及び/又はイオン交換基は、前記粒子状セルロース系基材に疎水性モノマーをグラフト重合することによって導入されたグラフト鎖に結合しており、当該グラフト鎖のグラフト率は100%以上である構成を備えているので、機械的強度に優れ、環境に対する負荷が少なく、安価で、水中の吸着性能を向上することができ、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる吸着材を実現することができるという効果を奏する。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法は、以上のように、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、キレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されている粒子状セルロース系吸着材の製造方法であって、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材を活性化する活性化工程と、活性化された粒子状セルロース系基材を、疎水性モノマーを含むエマルジョンと接触させて、当該疎水性モノマーを前記粒子状セルロース系基材にグラフト重合させてグラフト鎖を導入するグラフト鎖導入工程と、導入された前記グラフト鎖にキレート形成基及び/又はイオン交換基を結合させる官能基結合工程とを含み、前記エマルジョンに含まれる前記疎水性モノマーの量は、エマルジョン全量に対して30重量%より大きく80重量%以下である構成を備えているので、機械的強度に優れ、環境に対する負荷が少なく、安価で、水中の吸着性能を向上することができ、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる吸着材を実現することができるという効果を奏する。
以下本発明について(I)粒子状セルロース系吸着材、(II)粒子状セルロース系吸着材の製造方法の順に説明する。
(I)粒子状セルロース系吸着材
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、キレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されている粒子状セルロース系吸着材であって、当該キレート形成基及び/又はイオン交換基は、前記粒子状セルロース系基材に疎水性モノマーをグラフト重合することによって導入されたグラフト鎖に結合しており、当該グラフト鎖のグラフト率は100%以上である。
ここで、グラフト率とは、前記粒子状セルロース系基材に対する、グラフト重合により導入されている疎水性モノマーの量(重量百分率)をいい、後述する実施例に記載の方法により算出される値をいう。
(I−1)粒子状セルロース基材
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、キレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されているものである。基材として、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材を用いることにより、結晶化度が高いために、化学的安定性を有し、機械的強度にすぐれた吸着材を得ることができる。また、天然素材であるセルロースを用いることから、環境に対する負荷が少なく、安価な吸着材を得ることができるとともに、親水性であるため水中での吸着性能を向上することができる。さらに、粒子状であることにより、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる。
前記粒子状セルロース系基材は、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材であればよい。すなわち、前記粒子状セルロース系基材は、結晶化度が80%以上のセルロースのみからなるものであることが好ましいが、吸着性能に悪影響を与えない限り他の成分が含まれていてもよい。より具体的には、「主成分とする」とは、前記粒子状セルロース系基材中に結晶化度が80%以上のセルロースが、90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上含まれていればよい。また、含まれうる他の成分は特に限定されるものではないが、例えば、ヘミセルロース、リグニン、スターチ等を挙げることができる。
前記粒子状セルロース系基材の主成分であるセルロースは結晶化度が80%以上の粒子状セルロースである。ここで、結晶化度が80%以上の粒子状セルロースとは、粒子状セルロースの粒子において、結晶性部分の重量分率が80%以上のものであればよく、通常の結晶性部分と非結晶性部分とからなるセルロース粒子で結晶化度が80%以上のもの、80%以上が微結晶セルロースからなるセルロース粒子等を含む趣旨である。なお、ここで、微結晶セルロースとは、通常のセルロースの非結晶性部分を取り除いて精製したものであり、結晶化度は100%に近い。
前記粒子状セルロース系基材の主成分であるセルロースは結晶化度が80%以上のものであればよいが、90%以上のものであることがより好ましく、95%以上のものであることがさらに好ましく、99%以上のものであることが特に好ましい。結晶化度が99%以上の粒子状セルロース系基材としては、例えば、微結晶セルロース100%の集合体を挙げることができる。前記微結晶セルロースとしては、具体的には、例えば、薬剤用等に市販されている微結晶セルロースを挙げることができ、一例として、例えば、旭化成ケミカルズのセオラス(登録商標)、セルフィア(登録商標)等を挙げることができる。
また、前記粒子状セルロース系基材の形状は粒子状であれば特に限定されるものではなく、球形、楕円形、不定径破砕形状等であればよい。中でも、前記粒子状セルロース系基材の形状は機械的強度の観点から、球形であることがより好ましい。
また、前記粒子状セルロース系基材の平均粒子径は、乾燥状態で、30〜800μmであればよいが、50〜500μmであることがより好ましく、100〜300μmであることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、他に特に規定する場合を除き、平均粒子径とは以下の方法で決定された値をいう。まず、試料となる粒子の集合の数箇所から試料を採取する。それぞれの試料について、電子顕微鏡による観察を行い、数箇所から採取した試料全体で、合計100個以上の粒子に対して、それぞれ、対象となる粒子1つの長軸径、すなわち、粒子の形状の最も寸法の大きい方向の寸法を計測する。計測した100個以上の値のうち、上下各20%を除いた、60%の計測値の平均を本発明における平均粒子径とする。
また、前記粒子状セルロース系基材は多孔質セルロースであってもよい。多孔質セルロースを用いることにより、得られる粒子状セルロース系吸着材は、細孔内にもキレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されており、また、吸着対象が細孔内を流れることができる。それゆえ、吸着性能により優れた粒子状セルロース系吸着材を得ることができる。
(I−2)グラフト鎖
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、前記粒子状セルロース系基材に疎水性モノマーをグラフト重合することによって導入されたグラフト鎖にキレート形成基及び/又はイオン交換基が結合している。
ここで、疎水性モノマーは、エチレン性不飽和基を1つ有する疎水性モノマーであれば特に限定されるものではない。エチレン性不飽和基を1つ有する疎水性モノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー;スチレン;クロロスチレン等のスチレン誘導体等を好適に用いることができる。中でも、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーをより好適に用いることができる。
エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式
で表される構造を有するモノマーを好適に用いることができる。ここで、前記一般式において、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、置換基を有するか有しない飽和炭化水素基又は水素原子を示す。また、該飽和炭化水素基は、一部の炭素原子が、O、N、P、S、又は、Siで置換されてもよい。置換基としても特に限定されるものではなく、例えば、アリール基、アルキル基、アルカノイル基、オキソ基(=O)等を挙げることができる。
中でも、R、R、R、R、R、及びRは、炭素数1〜6のアルキル基又は水素原子であることがより好ましい。
また、前記一般式において、Aは、置換基を有するか有しない飽和炭化水素鎖、すなわち、置換基を有するか有しない2価の飽和炭化水素基を示す。また、該飽和炭化水素鎖は、一部の炭素原子が、O、N、P、S、又は、Siで置換されてもよい。置換基としても特に限定されるものではなく、例えば、アリール基、アルキル基、アルカノイル基、オキソ基等を挙げることができる。また、前記一般式において、nは0又は1である。
中でも、Aは、炭素数が1〜2の飽和炭化水素鎖、又は、該飽和炭化水素鎖中に少なくとも1つのオキシ基(−O−)を含むものであることがより好ましい。また、置換基として、オキソ基等を有するものであることがより好ましい。
より具体的には、前記疎水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アルリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルビニルエーテル、2−ビニルオキシラン、(メタ)アクリル酸2−メチルオキシラニルメチル、イタコン酸ジグリシジル、ペンテン酸グリシジル、ヘキセン酸グリシジル、ヘプテン酸グリシジル等を挙げることができる。
前記疎水性モノマーは、単独で用いてもよいし、2以上を組み合わせて用いても良い。また、本発明においては、前記粒子状セルロース基材に前記エチレン性不飽和基を1つ有する疎水性モノマーがグラフト重合されていればよいが、さらに、その他のモノマーがグラフト重合されていてもよい。例えば、エチレン性不飽和基を2つ以上有する多官能性モノマーを共存させることにより、グラフト鎖が架橋した構造を得ることができる。これにより、粒子状セルロース系吸着材の表面の膨潤度を調整することができる。かかるエチレン性不飽和基を2つ以上有する多官能性モノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール#400〜1000ジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ジビニルベンゼン等を好適に用いることができる。前記エチレン性不飽和基を2つ以上有する多官能性モノマーを用いる場合、その使用量は、前記エチレン性不飽和基を1つ有する疎水性モノマーに対して1〜20モル%であることが好ましく、3〜10モル%であることがより好ましい。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材においては、前記粒子状セルロース系基材に疎水性モノマーをグラフト重合することによって導入されたグラフト鎖のグラフト率は、100%以上となっている。グラフト率が100%以上であることにより、得られる粒子状セルロース系吸着材のキレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度を高くすることができる。それゆえ、吸着能力の高い粒子状セルロース系吸着材を得ることができる。
前記グラフト率は100%以上であればよいが、150%以上であることがより好ましく、200%以上であることがさらに好ましい。
(I−3)官能基
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、前記粒子状セルロース系基材に前記疎水性モノマーをグラフト重合することによって導入されたグラフト鎖に吸着材を構成することができる官能基が結合している。なお、ここで、官能基とは、導入されることによって吸着材を構成することができるものであれば、特に限定されるものではないが、キレート形成基、イオン交換基等を好適に用いることができる。すなわち、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、キレート形成基が導入されたもの、イオン交換基が導入されたもの、又は、キレート形成基とイオン交換基とが両方導入されたものであることがより好ましい。
本発明で用いられるキレート形成基としては、吸着対象とキレート化合物を形成する基であれば特に限定されるものではないが、例えば、グルカミン基、ジオール基、ポリオール基、ポリオールと窒素原子とから構成される基、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミドキシム基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基、アミノリン酸基等を好適に用いることができる。なお、ここでポリオール基とは、3個以上のヒドロキシル基を有する基をいう。
前記キレート形成基は、前記グラフト鎖と反応することにより前記キレート形成基が結合されるような化合物と、前記グラフト鎖とを反応させることにより導入される。従って、前記グラフト鎖がエポキシ基を有する場合には、前記化合物としては、エポキシ基と反応して、前記キレート形成基を導入できるような化合物を用いればよい。
かかる化合物としては、例えば、N−メチルグルカミン(N−メチル−D−(−)−グルカミン);2,2’−イミノジエタノール;3−アミノ−1,2−プロパンジオール、ジ−2−プロパノールアミン等のジオール基含化合物等を例示することができる。
また、本発明で用いられるイオン交換基は、通常イオン交換基として用いられるものであればどのようなものであってもよいが、例えば、酸性水酸基、カルボキシル基、スルホ基等の陽イオン交換基;アミノ基、イミノ基、アンモニウム基等の陰イオン交換基等を挙げることができる。前記イオン交換基の導入方法も特に限定されるものではなく、従来公知の方法を好適に用いることができる。
前記キレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度、すなわち、粒子状セルロース系吸着材1g中に含まれるキレート形成基及び/又はイオン交換基の量は、1.0mmol/g以上であることが好ましく、1.3mmol/g以上であることがより好ましく、1.5mmol/g以上であることがさらに好ましい。
キレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度が1.0mmol/g以上であることにより、吸着材として利用可能な吸着能力を有する粒子状セルロース系吸着材を得ることができる。
なお、前記グラフト鎖がエポキシ基を有する場合には、前記キレート形成基及び/又はイオン交換基の導入後においても残存するエポキシ基はジオール化されていることがより好ましい。これにより、かかるジオールも、キレートの形成に寄与することができるため、さらに粒子状セルロース系吸着材の吸着能力を向上させることができる。
(I−4)粒子状セルロース系吸着材
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の形状は、前記粒子状セルロース基材と同様、粒子状であれば特に限定されるものではなく、球形、楕円形、不定径破砕形状等であればよい。中でも、前記粒子状セルロース系吸着材の形状は機械的強度の観点から、球形であることがより好ましい。
また、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の平均粒子径は、100〜1500μmであればよいが、100〜800μmであることがより好ましく、200〜500μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が上記範囲であることにより、従来のイオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる。
また、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は多孔質であってもよい。これにより吸着対象が細孔内を流れることができる。それゆえ、より優れた吸着性能を得ることができる。
本発明の粒子状セルロース系吸着材は、導入されているキレート基を適宜選択することにより、様々な半金属、半金属化合物、金属又は金属化合物を吸着することができる。前記半金属としては、ホウ素、ゲルマニウム、テルル、セレン、ヒ素等を挙げることができる。また、前記金属としては、Cu、Cd、Hg、Zn、Fe、Cr、Mn、Ca、Mg、Na等を挙げることができる。中でも、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、ホウ素吸着材、ゲルマニウム吸着材、ヒ素吸着材、重金属吸着材等として好適に用いることができる。
特に、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材が、キレート形成基としてグルカミン基、ポリオール基を導入されたものである場合には、かかる粒子状セルロース系吸着材は、水中のホウ素、ゲルマニウム、ヒ素を吸着する吸着材としてより好適に用いることができる。かかる場合、残存するエポキシ基をジオール化することによって、ホウ素、ゲルマニウム等とキレート化合物を形成するジオール基をさらに提供することによって、吸着性能をさらに向上させることができる。また、セルロース自体が親水性のポリヒドロキシ化合物であるため、高い吸着能力を有するホウ素、ゲルマニウム、ヒ素等の吸着材を提供することができる。
本発明にかかるキレート形成基が導入されている粒子状セルロース系吸着材は、例えば、半金属、半金属化合物、金属、金属化合物等を含有する水溶液、有機溶媒溶液、土壌、海水、工場廃水、温泉水、鉱山廃水等の処理対象と接触させることにより、有害金属の除去、有用金属の回収、多成分金属系からの特定金属の分離生成等に利用することができる。
また、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、導入されているイオン交換基を適宜選択することにより、様々な金属イオン;アミノ酸、ビタミン、タンパク質、核酸、糖等の生体高分子;イオン性染料等を吸着、分離することができる。特に、セルロースは、親水性が大きいため生体高分子の吸着、分離に好適に用いることができる。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材を処理対象と接触させる方法は特に限定されるものではないが、例えば、前記処理対象中に本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材を投入して攪拌し又は振り混ぜる方法、或いは、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材を充填したカラム又は吸着塔に前記処理対象を通過させる方法等を用いることができる。
また、半金属、金属等を吸着させた後の粒子状セルロース系吸着材は、希塩酸、希硫酸、希硝酸等の溶離剤に接触させて半金属、金属等を溶離させることにより再生することができる。また、溶離された半金属、金属等は同時に回収することができる。溶離後の粒子状セルロース系吸着材は、純水で洗浄後、再び吸着材として利用することができる。
(II)粒子状セルロース系吸着材の製造方法
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、従来は、グラフト鎖を高いグラフト率で導入することが困難であった、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に高いグラフト率でグラフト鎖が導入されているものである。かかる、高いグラフト率は、粒子状セルロース系基材を活性化後、高濃度の反応性モノマーを含有するエマルジョン中でグラフト重合することにより達成されると考えられる。したがって、かかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法も本発明に含まれる。
すなわち、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材を活性化する活性化工程と、活性化された粒子状セルロース系基材を、疎水性モノマーを含むエマルジョンと接触させて、当該疎水性モノマーを前記粒子状セルロース系基材にグラフト重合させてグラフト鎖を導入するグラフト鎖導入工程と、導入された前記グラフト鎖にキレート形成基及び/又はイオン交換基を結合させる官能基結合工程とを含み、前記エマルジョンに含まれる前記疎水性モノマーの量は、エマルジョン全量に対して30重量%より大きく80重量%以下である。
(II−1)活性化工程
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法では、まず、活性化工程において、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材を活性化する。
ここで、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材については、前記(I−1)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。
活性化は、続くグラフト鎖導入工程で、導入されるグラフト鎖のグラフト率が100%以上となるように、ラジカル活性点を生成させることができれば、その方法は特に限定されるものではなく、例えば、ラジカル重合開始剤を用いて化学的に活性化を行う方法、電離放射線を照射することにより活性化を行う方法、紫外線を照射することにより活性化を行う方法、超音波により活性化を行う方法、プラズマ照射により活性化を行う方法等を用いることができる。中でも電離放射線を照射する方法は、製造プロセスが簡単、安全、且つ、低公害であるという利点を有する。また、グラフト鎖を粒子状セルロース系基材の表面から内部まで導入することができ、吸着能力により優れた吸着材得ることができる。
電離放射線を照射することにより活性化を行う場合、結晶化度の高いセルロースの球状粒子は代表的な放射線分解型高分子であるため、粒子状セルロース系基材にダメージを与えない線量の電離放射線を照射する。かかる線量としては、1〜30kGyであることが好ましく、1〜25kGyであることがより好ましく、10〜20kGyであることがさらに好ましい。電離放射線の線量が1kGy以上であることにより、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に必要なラジカル活性点を生成することができる。また、電離放射線の線量が30kGy以下であることにより、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に加えられるダメージを抑制することができるという効果を奏する。それゆえ機械的強度が低下せず、化学的安定性にすぐれた粒子状セルロース系吸着材を製造することができる。また、低線量の電離放射線を照射することにより、エネルギーと照射時間を節約することができるため、製造コストを低減することができる。
前記電離放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、X線等を挙げることができるが、中でも、工業的な生産性の観点から、例えばコバルト−60からのγ線、電子線加速器による電子線、X線等をより好適に用いることができる。また、電子線加速器による電子線を用いる場合、電子線加速器としては、厚物の照射を行うことができる電子線加速器を用いることがより好ましく、加速電圧1MeV以上の中エネルギーから高エネルギーの電子線加速器を好適に用いることができる。また、照射時に、前記粒子状セルロース系基材の粒子層を、例えばプラスチックバッグの中に、平板化して封着すれば、1MeV以下の中低エネルギー電子線加速器でも電子線を透過させることができるため、好適に前記粒子状セルロース系基材を活性化することができる。
また、電離放射線は、含水率が10%を超え50%以下の状態の前記粒子状セルロース系基材に照射することがより好ましい。これにより、続くグラフト鎖導入工程で、導入されるグラフト鎖のグラフト率をさらに高めることができる。なお、含水率が10%を超え50%以下の状態の前記粒子状セルロース系基材を照射することにより、グラフト率を高めることができる理由は明らかではないが、前記粒子状セルロース系基材内部、例えば、微結晶セルロースを含む粒子状セルロース系基材の場合は微結晶体の間に分布する水分子が照射によりラジカルを発生させ、ラジカル活性点の生成収率を高めることが考えられる。電離放射線を照射する前記粒子状セルロース系基材の含水率は、15〜35%であることがさらに好ましく、15〜25%であることが特に好ましい。また、含水率が50%を超えると、かかる量の水を含む粒子状セルロース系基材を調製すること自体が困難になる。
さらに、電離放射線の照射は、窒素ガス、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。これにより、グラフト鎖の導入を効果的に行うことができるため好ましい。
(II−2)グラフト鎖導入工程
前記活性化工程で活性化された粒子状セルロース系基材は、グラフト鎖導入工程で、疎水性モノマーを含むエマルジョンと接触させて、当該疎水性モノマーを前記粒子状セルロース系基材にグラフト重合させる。これにより、前記粒子状セルロース系基材にグラフト鎖が導入される。
ここで、「疎水性モノマー」については、前記(I−2)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。
本工程において用いられるエマルジョンに含まれる前記疎水性モノマーの量は、エマルジョン全量に対して30重量%より大きく80重量%以下であることが好ましく、40〜60重量%であることがより好ましく、45〜55重量%であることがさらに好ましい。これにより、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、高いグラフト率で疎水性モノマーをグラフト重合することができる。さらに活性化された粒子状セルロース系基材と、疎水性モノマーを含むエマルジョンとの接触時間も短縮することができる。また、前記疎水性モノマーの量が、エマルジョン全量に対して80重量%より大きくなると、エマルジョンが調製しにくくなり、分散が不均一になったり安定性が悪くなったりするため好ましくない。
また、前記エマルジョンは水系エマルジョン、すなわち、前記疎水性モノマーと水とを含むエマルジョンであることがより好ましい。なお、ここで用いられる水としては、イオン交換水、純水、超純水等を用いればよい。これにより、前記疎水性モノマーは小さいミセル中に分散し、ラジカルの利用率と重合速度が高くなるため、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、高いグラフト率で疎水性モノマーをグラフト重合することができる。また、グラフト鎖導入工程において有機溶媒を使用しないため、プロセスのコスト低減、環境に対する負荷の低減、及び、プロセスの安全性向上の点から好ましい。
また、前記エマルジョンは、さらに、疎水性モノマーに対して、3〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%の界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、高いグラフト率で疎水性モノマーをグラフト重合することができる。さらに粒子状セルロース系基材と、活性化された粒子状セルロース系基材と疎水性モノマーを含むエマルジョンとの接触時間も短縮することができる。
本工程で用いることができる界面活性剤も、特に限定されるものではなく、通常エマルジョン重合で用いられている界面活性剤を好適に用いることができる。かかる界面活性剤としては、具体的には、例えば、アルキルポリオキシエチレンエーテル、S−アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル、N,N’−ジ(アルカノール)アルカンアミド、アミンオキシド等の非イオン界面活性剤;セッケン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α―オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチル、硫酸アルキル塩、硫酸アルキル(ポリオキシエチレン)塩、リン酸アルキル塩、N−アシルアミノ酸塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、モノアルキルトリメチルアンモニウムクロリド等のイオン性界面活性剤;スルホベタイン、ベタイン等の両性界面活性剤を挙げることができる。
また、活性化された粒子状セルロース系基材と疎水性モノマーを含むエマルジョンとの接触方法は特に限定されるものではないが、例えば、活性化された粒子状セルロース系基材を、前記エマルジョンに浸漬する方法等を挙げることができる。
活性化された粒子状セルロース系基材と疎水性モノマーを含むエマルジョンとの接触時間は、接触方法として浸漬する方法を用いる場合5分〜8時間であり、より好ましくは30分〜60分である。本発明においては、短い接触時間で、高いグラフト率を達成することができる。
また、反応温度、すなわち、活性化された粒子状セルロース系基材と疎水性モノマーを含むエマルジョンとを接触させる温度は、接触方法として浸漬する方法を用いる場合、40〜80℃であり、より好ましくは、50〜60℃である。
また、活性化された粒子状セルロース系基材と疎水性モノマーを含むエマルジョンとの接触は、窒素ガス、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。これにより、ラジカルと酸素との反応を防止することができる。
(II−3)官能基結合工程
官能基結合工程では前記グラフト鎖導入工程で導入された前記グラフト鎖にキレート形成基及び/又はイオン交換基を結合させる。ここで、前記キレート形成基及び/又はイオン交換基については、(I−3)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。
本工程における反応条件は、グラフト鎖、キレート形成基及び/又はイオン交換基に応じて、適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
(II−4)その他
また、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材の製造方法は、前記疎水性モノマーとしてエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーを用いる場合には、前記官能基結合工程後に、さらに、グラフト鎖に残存するエポキシ基をジオール化する工程を含んでいることが好ましい。
グラフト鎖に残存するエポキシ基をジオール化する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜選択すればよい。具体的には、0.1〜1mol/lの希塩酸で洗浄する方法等を好適に用いることができる。
また、半金属、金属等を吸着させた後の粒子状セルロース系吸着材は、希塩酸、希硫酸、希硝酸等の溶離剤に接触させて半金属、金属等を溶離させることによって再生することができる。かかる再生の過程で、残存するエポキシ基がジオール化されると考えられる。このため、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、繰り返し使用しても、吸着能力が低減せず、逆に、使用回数の増加とともに吸着能力が向上するという好ましい特性を有する。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、実施例および比較例における、グラフト率の決定方法を以下に示す。
<グラフト率>
粒子状セルロース系吸着材のグラフト率、すなわち、前記粒子状セルロース系基材に対する、グラフト重合により導入されている疎水性モノマーの量(重量百分率)は、以下の方法で求めた。
グラフト重合後、疎水性モノマーが導入されたセルロース系粒子を、メタノール、アセトン等の有機溶媒に48時間浸漬して未反応の疎水性モノマー及びホモポリマーを除去した。その後、セルロース系粒子をさらに水に24時間浸漬した後、水で洗浄し、50℃で24時間乾燥した。この乾燥後のセルロース系粒子の重量(W)と、疎水性モノマーを導入する前の粒子状セルロース系基材の乾燥重量(W)とからグラフト率を次式により算出した。
グラフト率(%)=((W−W)/W)×100
<キレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度>
キレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度は、上記方法で求めたセルロース系粒子の重量(W)、キレート形成基及び/又はイオン交換基の分子量(M)、キレート形成基及び/又はイオン交換基を結合し洗浄乾燥して得られた粒子状セルロース系吸着材の重量(W)から次式により算出した。
キレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度(mmol/g)=
((W−W)/M)/W
〔実施例1〕
市販の微結晶セルロースのみで構成されたセルロース微粒子を粒子状セルロース系基材として用い、市販のホウ素吸着樹脂と同様の粒子径を有する粒子状セルロース系吸着材を製造した。
<粒子状セルロース系吸着材の製造>
市販の微結晶セルロースのみで構成されたセルロース微粒子(旭化成ケミカルズ製、セルフィア(登録商標)203)10g(平均粒子径150〜300μm)を粒子状セルロース系基材として用い、その表面に、スプレーで水を噴霧し、含水率が20%の含水粒子状セルロース系基材を得た。
得られた含水粒子状セルロース系基材を、薄いプラスチックバッグの中に配置し、このプラスチックバッグを窒素で数回パージし封着した。続いて含水粒子状セルロース系基材に、窒素雰囲気中、ドライアイスによる冷却条件下、電子線加速器(NHVコーポレーション製、EPS−800)を用いて、電子線を20kGy照射し、ラジカル活性点を生成させた。
照射後の粒子状セルロース系基材は、すぐに予め調製し窒素置換されたメタクリル酸グリシジル(GMA)を含むエマルジョンに浸漬して、50℃で1時間反応させた。使用したエマルジョンの組成は、エマルジョン液全量に対して、界面活性剤(和光純薬株式会社製、Tween20)4重量%、メタクリル酸グリシジル40重量%、水56重量%であった。
メタクリル酸グリシジルのグラフト率は270%〜280%であった。メタクリル酸グリシジルのグラフト率、すなわち、エポキシ官能基の数が、後に導入されるグルカミン化転換率を左右する。一般的に、メタクリル酸グリシジルのグラフト率が100%以上になるとホウ素等を吸着する官能基として有効に作用するグルカミン基の量を得ることができる。
前記のようにして得られた270%〜280%のグラフト率で、メタクリル酸グリシジルがグラフトされた粒子状セルロース系吸着材を、20%のN−メチルD−(−)−グルカミン(NMG)水溶液に投入して、80℃で12時間反応させ、グルカミン型粒子状セルロース系吸着材を得た。
本実施例で得られたグルカミン型粒子状セルロース系吸着材を、水、メタノールで順次洗浄後乾燥し、目的とする粒子状セルロース系吸着材(直径400〜500μm、平均粒子径450μm)を得た。また、キレート形成基の平均密度は、1.7mmol/gであった。
<粒子状セルロース系吸着材の構造解析>
本実施例で得られた粒子状セルロース系吸着材を、電子顕微鏡(日本電子製、JXA−840A)により観察した結果を図1に示す。図1中(A)は、粒子状セルロース系吸着材全体を示す電子顕微鏡写真であり、(B)は粒子状セルロース系吸着材の表面構造を示す電子顕微鏡写真であり、(C)は粒子状セルロース系吸着材の断面構造を示す電子顕微鏡写真である。図1(B)、(C)から、本発明で得られた粒子状セルロース系吸着材は構造的に液が流れやすい多孔性の構造を有することが判明した。
〔実施例2〕
使用したエマルジョンの組成を、エマルジョン液全量に対して、界面活性剤(和光純薬株式会社製、Tween20)5重量%、メタクリル酸グリシジル50重量%、水45重量%とした以外は実施例1と同様にして粒子状セルロース系吸着材を製造した。
メタクリル酸グリシジルのグラフト率は341.66%であり、高いグラフト率が達成された。また、得られた粒子状セルロース系吸着材の平均粒子径は600μmであった。また、キレート形成基の平均密度は、1.8mmol/gであった。
〔比較例1〕
実施例1で用いたものと同じ粒子状セルロース系基材に、実施例1と同様にして電子線を照射し、ラジカル活性点を生成させた。
照射後の粒子状セルロース系基材は、すぐに予め調製し窒素置換された30%メタクリル酸グリシジル(GMA)メタノール溶液に浸漬して、50℃で1時間反応させた。メタクリル酸グリシジルのグラフト率は30%であった。
〔比較例2〕
使用したエマルジョンの組成を、エマルジョン液全量に対して、界面活性剤(和光純薬株式会社製、Tween20)2重量%、メタクリル酸グリシジル20重量%、水78重量%とした以外は実施例1と同様にして粒子状セルロース系吸着材を製造した。メタクリル酸グリシジルのグラフト率は74%であった。
〔比較例3〕
使用したエマルジョンの組成を、エマルジョン液全量に対して、界面活性剤(和光純薬株式会社製、Tween20)1重量%、メタクリル酸グリシジル10重量%、水89重量%とした以外は実施例1と同様にして粒子状セルロース系吸着材を製造した。メタクリル酸グリシジルのグラフト率は50%であった。
〔実施例3〕
実施例1で得られた粒子状セルロース系吸着材を用いて、ホウ素、ゲルマニウム、及びヒ素のバッチ吸着試験を行った。
<ホウ素のバッチ吸着試験>
市販の1000ppmホウ素標準液(和光純薬社製)を緩衝液で希釈して、100ppmホウ素水溶液を調製し、塩酸と水酸化ナトリウムとでpHを様々に調整した。実施例1で製造した粒子状セルロース系吸着材0.1gを、100mlの100ppmホウ素水溶液に添加して室温で24時間攪拌した。
その後、上澄み液中のホウ素量をIPC発光分析装置により測定し、粒子状セルロース系吸着材添加前のホウ素量と、24時間攪拌後のホウ素量からホウ素の吸着量を求めた。結果を、市販のホウ素吸着材CRB−05及びGRY−Lについて同様の測定を行った結果とともに表1に示す。なお、表1中、「CCM」が実施例1で製造した粒子状セルロース系吸着材を示す。
<ゲルマニウムのバッチ吸着試験>
市販の1000ppmゲルマニウム標準液(和光純薬社製)を緩衝液で希釈して、100ppmゲルマニウム水溶液を調製し、塩酸と水酸化ナトリウムとでpHを様々に調整した。実施例1で製造した粒子状セルロース系吸着材0.1gを、100mlの100ppmゲルマニウム水溶液に添加して室温で24時間攪拌した。
その後、上澄み液中のゲルマニウム量をIPC発光分析装置により測定し、粒子状セルロース系吸着材添加前のゲルマニウム量と、24時間攪拌後のゲルマニウム量からゲルマニウムの吸着量を求めた。結果を、市販のゲルマニウム吸着材CRB−05及びGRY−Lについて同様の測定を行った結果とともに表2に示す。
<ヒ素(3価)のバッチ吸着試験>
市販の100ppmヒ素標準液(和光純薬社製)を緩衝液で希釈して、0.1ppm〜30ppmの範囲で6種類の濃度のヒ素水溶液を調製し、塩酸と水酸化ナトリウムとでpHを6.5に調整した。実施例1で製造した粒子状セルロース系吸着材0.5gを、それぞれの濃度の100mlのヒ素水溶液に添加して室温で24時間攪拌した。
ヒ素の吸着量は、上澄み液中のヒ素を水素化後、ヒ素量をIPC発光分析装置により測定し、24時間攪拌後のヒ素量と粒子状セルロース系吸着材添加前のヒ素量との差を求めヒ素の吸着量とした。各ヒ素濃度におけるヒ素の吸着量を表3に示す。
本発明の粒子状セルロース系吸着材は、キレート形成基を高密度に有し、さらに親水性ポリマーからなり水に馴染みやすいために、表1、2及び3に示すように、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素を容易に吸着した。後述する比較例4の結果と比較しても、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、ホウ素については市販のホウ素吸着材の約1.6倍、ゲルマニウムについては市販のゲルマニウム吸着材の約1.3倍もの吸着量を示した。また、ヒ素の吸着試験の結果より、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、低濃度の吸着対象物質の溶液においても、高い効率で対象物質を吸着することが判明した。
〔比較例4〕
市販のメチルグルカミン型キレート吸着樹脂球(CRB−05、三菱化学株式会社製)と、グルカミン型セルロース系キレート繊維(GRY−L、キレスト株式会社製)とについて、実施例3と同様にしてホウ素とゲルマニウムのバッチ吸着試験を行った。結果を表1及び2に示す。
〔実施例4〕
実施例1で得られた粒子状セルロース系吸着材を用いて、ホウ素のカラム吸着/溶離実験を行った。
<ホウ素のカラム吸着実験>
まず、実施例1で得られた粒子状セルロース系吸着材のコンディショニングを行った。コンディショニング済みの粒子状セルロース系吸着材を、スラリー状態で、内径16mm、高さ77.5mm(床容積:約15ml)のカラムに充填した。pH8.0でホウ素の漏出曲線を求めた。
カラム通液実験はミニポンプを使って2種類の流速(2.5ml/min(SV=10)、12.5ml/min(SV=50))を用い、室温で行った。試料溶液としては、100ppmホウ素リン酸緩衝溶液(pH8)を用いた。結果を、市販のホウ素吸着材について同様の測定を行った結果とともに図2に示す。
<ホウ素のカラム溶離実験>
溶離実験は、ホウ素飽和吸着後のカラムを用い、純水を12.5ml/minで30分流した後、0.1mol/lのHCl溶液を12.5ml/minで流して吸着したホウ素が溶離するか実験を行った。結果を、市販のホウ素吸着材について同様の測定を行った結果とともに図3に示す。
図2、3に示すように、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、キレート形成基を高密度に有し、さらに親水性ポリマーからなり水に馴染みやすいために、実用化を前提としたカラム吸着実験においても、市販品より漏出が遅く、ホウ素吸着能に優れていた。また、吸着したホウ素の塩酸による回収処理の速度も市販品より速く、回収用塩酸の使用量も市販品より少なかった。この結果より、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、市販のホウ素吸着材よりも再生しやすいことが判明した。
〔比較例5〕
略同じ大きさの粒子径を有する市販のホウ素吸着専用吸着材であるメチルグルカミン型キレート吸着スチレン樹脂球(CRB−05、400μm、三菱化学株式会社製)について、実施例4と同様にしてホウ素のカラム吸着/溶離実験を行った。結果を、それぞれ、図2及び3に示す。
〔実施例5〕
実用性を評価するために、実施例1で得られた粒子状セルロース系吸着材を充填したカラムの再生使用回数から、ホウ素の吸着性能への影響を検討した。実施例4と同様にして、SV=50の流速で吸着/溶離を8回繰り返し、カラムのホウ素吸着試験を行った。結果を図4に示す。
図4に示すように、ホウ素吸着において、繰り返し再生した後も、本発明の粒子状セルロース系吸着材を充填したカラムの吸着能力は低下せず、逆に、使用回数の増加とともに吸着能力が向上することが明らかになった。これは、メタクリル酸グリシジル(GMA)グラフトセスロース粒子に残存するエポキシ官能基とホウ素回収用塩酸とが反応してエポキシ基がジオールになるためであると考えられる。従来の市販品がエポキシ基を有していないため、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、繰り返し使用した場合の優れた吸着能力という点で、市販品と比較した大きな優位性を示す。
〔実施例6〕
実施例1で得られた粒子状セルロース系吸着材を用いて、ゲルマニウムのカラム吸着実験を行った。まず、実施例1で得られた粒子状セルロース系吸着材のコンディショニングを行った。コンディショニング済みの粒子状セルロース系吸着材を、スラリー状態で、内径16mm、高さ77.5mm(床容積:約15ml)のカラムに充填した。pH8.0でホウ素の漏出曲線を求めた。
カラム通液実験はミニポンプを使って2種類の流速(2.5ml/min(SV=10)、12.5ml/min(SV=50))を用い、室温で行った。試料溶液としては、100ppmホウ素リン酸緩衝溶液(pH8.0)を用いた。結果を図5に示す。
図5に示すように、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、ゲルマニウムに対して、同条件下では、ホウ素よりよく吸着する。ゲルマニウムの破壊曲線のBV値はホウ素の4〜6倍であった。
〔実施例7〕
電子線照射時の粒子状セルロース系吸着材の含水率が、グラフト率に及ぼす影響について調べるため、種々の含水率を有する粒子状セルロース系吸着材を用いた以外は実施例1と同様にして、グラフト鎖を導入した。その結果、含水率が0〜10%ではグラフト率の変化は認められなかった。これに対して、含水率が10%を超えると、グラフト率は10〜20%増加した。含水率が20%であるときが最も高いグラフト率が得られた。
本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、以上のように、結晶化度が高いセルロースの球状粒子を基材として、本来の構造と強度を壊さず、反応性モノマーを効率よく重合させて所望の吸着特性を付与された粒子状セルロース系吸着材である。
それゆえ、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素をはじめとする半金属、金属等に対する優れた吸着能を有しており、これらの半金属や金属で汚染された土壌、海水、工場廃水、温泉水、鉱山廃水等の浄化、及び、これらの半金属や金属の有益資源としての分離、濃縮、回収を工業的に行う場合に非常に有利である。また、本発明の粒子状セルロース系吸着材は、導入されているイオン交換基を適宜選択することにより、様々なアミノ酸、ビタミン、タンパク質、核酸、糖等の生体高分子等を吸着、分離することができる。特に、セルロースは、親水性が大きいため生体高分子の吸着、分離に好適に用いることができる。
さらに、本発明の粒子状セルロース系吸着材の形状は従来の市販イオン交換樹脂球/キレート樹脂球と同様の形状を有するため、イオン交換/キレート樹脂球用の吸着塔、再生設備等をそのまま使用することができる。それゆえ、製造プロセス、吸着能力、再生速度、環境面などの要素を考えると、本発明にかかる粒子状セルロース系吸着材は、従来のキレート樹脂球を代替することができると考えられる。
本発明の実施例で得られた粒子状セルロース系吸着材を、電子顕微鏡により観察した結果を示す図であり、(A)は、粒子状セルロース系吸着材全体を示す図であり、(B)は粒子状セルロース系吸着材の表面構造を示す図であり、(C)は粒子状セルロース系吸着材の断面構造を示す図である。 本発明の実施例で得られた粒子状セルロース系吸着材及び比較対照について行った、カラム吸着実験の結果を示すグラフである。 本発明の実施例で得られた粒子状セルロース系吸着材及び比較対照について行った、カラム溶離実験の結果を示すグラフである。 本発明の実施例で得られた粒子状セルロース系吸着材を充填したカラムの再生使用回数から、ホウ素の吸着性能への影響を検討した結果を示すグラフである。 本発明の実施例で得られた粒子状セルロース系吸着材及び比較対照について行った、カラム吸着実験の結果を示すグラフである。

Claims (19)

  1. 結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、キレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されている粒子状セルロース系吸着材であって、
    当該キレート形成基及び/又はイオン交換基は、前記粒子状セルロース系基材に疎水性モノマーをグラフト重合することによって導入されたグラフト鎖に結合しており、
    当該グラフト鎖のグラフト率は100%以上であることを特徴とする粒子状セルロース系吸着材。
  2. 前記キレート形成基及び/又はイオン交換基の平均密度は、1.0mmol/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の粒子状セルロース系吸着材。
  3. 前記疎水性モノマーは、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の粒子状セルロース系吸着材。
  4. 前記グラフト鎖に残存するエポキシ基はジオール化されていることを特徴とする請求項3に記載の粒子状セルロース系吸着材。
  5. 平均粒子径が100〜1500μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材。
  6. 前記キレート形成基は、グルカミン基、ジオール基、ポリオール基、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミドキシム基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基、又は、アミノリン酸基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材。
  7. 前記粒子状セルロース系基材は結晶化度が95%以上のセルロースからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材からなることを特徴とする半金属吸着材。
  9. ホウ素吸着材、ゲルマニウム吸着材又はヒ素吸着材であることを特徴とする請求項8に記載の半金属吸着材。
  10. 結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、キレート形成基及び/又はイオン交換基が導入されている粒子状セルロース系吸着材の製造方法であって、
    結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材を活性化する活性化工程と、
    活性化された粒子状セルロース系基材を、疎水性モノマーを含むエマルジョンと接触させることにより、当該疎水性モノマーを前記粒子状セルロース系基材にグラフト重合させてグラフト鎖を導入するグラフト鎖導入工程と、
    導入された前記グラフト鎖にキレート形成基及び/又はイオン交換基を結合させる官能基結合工程と、
    を含み、
    前記エマルジョンに含まれる前記疎水性モノマーの量は、エマルジョン全量に対して30重量%より大きく80重量%以下であることを特徴とする粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  11. 前記エマルジョンは、さらに、疎水性モノマーに対して、3〜10重量%の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項10に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  12. 前記活性化工程は、結晶化度が80%以上のセルロースを主成分とする粒子状セルロース系基材に、線量が1〜30kGyの電離放射線を照射することを特徴とする請求項10又は11に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  13. 含水率が10%を超え50%以下の前記粒子状セルロース系基材に、電離放射線を照射することを特徴とする請求項12に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  14. 前記エマルジョンは、水系エマルジョンであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  15. 前記疎水性モノマーはエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーであることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  16. 前記官能基結合工程の後に、さらに、前記グラフト鎖に残存するエポキシ基をジオール化する工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  17. 前記粒子状セルロース系基材の平均粒子径は、30〜800μmであることを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  18. 前記キレート形成基は、グルカミン基、ジオール基、ポリオール基、イミノジ酢酸基、ポリアミン基、アミドキシム基、ジチオカルバミン酸基、チオ尿素基、又は、アミノリン酸基であることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
  19. 前記電離放射線は、γ線、電子線、又はX線であることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載の粒子状セルロース系吸着材の製造方法。
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