JP7080186B2 - エンドトキシン吸着剤 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1が教えるET吸着体は、ET除去対象材料に含まれる物質がアミノ基などのカチオン性基を有する場合、中でも分子全体としてカチオン性を帯びている場合は、そのカチオン性基含有物質と、塩基性物質が結合したET吸着体との間でET吸着の競合が起きて、ETを十分に除去することができない。
これらの背景から、特に、医薬・食品分野の材料を対象とするET吸着剤において、適用可能なET除去対象の範囲の拡大が強く望まれていた。
〔1〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースを備える、エンドトキシン吸着剤。
〔2〕 窒素原子を含むカチオン性基が、多価アミンに由来する官能基、及び/又は第4級アンモニウム基である、〔1〕に記載のエンドトキシン吸着剤。
〔3〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量が、陰イオン交換容量として、0.05~3meq/dry・gである、〔1〕又は〔2〕に記載のエンドトキシン吸着剤。
〔4〕 〔1〕~〔3〕の何れかに記載のエンドトキシン吸着剤が充填されたエンドトキシン除去用カラム。
〔5〕 〔1〕~〔3〕の何れかに記載のエンドトキシン吸着剤とエンドトキシン除去対象材料とを接触させる工程を含む、エンドトキシン除去方法。
〔6〕 〔1〕~〔3〕の何れかに記載のエンドトキシン吸着剤とエンドトキシン除去対象材料とを接触させる工程を含む、エンドトキシンが除去された材料の製造方法。
〔8〕 窒素原子を含むカチオン性基が、多価アミンに由来する官能基、及び/又は第4級アンモニウム基である、〔7〕に記載の方法。
〔9〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量が、陰イオン交換容量として、0.05~3meq/dry・gである、〔7〕又は〔8〕に記載の方法。
〔10〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースが充填されたカラムを、エンドトキシン除去用カラムとして使用する方法。
〔11〕 窒素原子を含むカチオン性基が、多価アミンに由来する官能基、及び/又は第4級アンモニウム基である、〔10〕に記載の方法。
〔12〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量が、陰イオン交換容量として、0.05~3meq/dry・gである、〔10〕又は〔11〕に記載の方法。
〔13〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースとエンドトキシン除去対象材料とを接触させる工程を含む、エンドトキシン除去方法。
〔14〕 窒素原子を含むカチオン性基が、多価アミンに由来する官能基、及び/又は第4級アンモニウム基である、〔13〕に記載の方法。
〔15〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量が、陰イオン交換容量として、0.05~3meq/dry・gである、〔13〕又は〔14〕に記載の方法。
〔16〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースとエンドトキシン除去対象材料とを接触させる工程を含む、エンドトキシンが除去された材料の製造方法。
〔17〕 窒素原子を含むカチオン性基が、多価アミンに由来する官能基、及び/又は第4級アンモニウム基である、〔16〕に記載の方法。
〔18〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量が、陰イオン交換容量として、0.05~3meq/dry・gである、〔16〕又は〔17〕に記載の方法。
〔20〕 窒素原子を含むカチオン性基が、多価アミンに由来する官能基、及び/又は第4級アンモニウム基である、〔19〕に記載の使用。
〔21〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量が、陰イオン交換容量として、0.05~3meq/dry・gである、〔19〕又は〔20〕に記載の使用。
〔22〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースが充填されたカラムの、エンドトキシン除去用カラムとしての使用。
〔23〕 窒素原子を含むカチオン性基が、多価アミンに由来する官能基、及び/又は第4級アンモニウム基である、〔22〕に記載の使用。
〔24〕 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量が、陰イオン交換容量として、0.05~3meq/dry・gである、〔22〕又は〔23〕に記載の使用。
この点、本発明のET吸着剤は、親水性基材を用いているにも拘わらず、水性のET除去対象材料と混合した後にこの水性材料と分離し易い。従って、バッチ法でET除去対象材料と接触させた後は、ETが除去された材料を速やかにろ過分離することができる。また、本発明のET吸着剤をカラムに充填してET除去対象材料を通液する場合は、高圧をかけなくても迅速に通液できる。医薬品や食品材料には、多糖類のような高粘性の材料が多いが、本発明のET吸着剤を用いれば、このような高粘性材料からも速やかにETを除去することができる。
また、結晶セルロースは、医薬品や食品の賦形剤などとして汎用されており、安全性が確立されている。従って、本発明のET吸着剤は、安全性が高く、医薬品や食品からのET除去に好適に使用できる。
(1)エンドトキシン吸着剤
本発明のエンドトキシン吸着剤(ET吸着剤)は、窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースを備えるET吸着剤である。ETは、「リポ多糖(LPS)」ともいう。
「結晶セルロース」とは、セルロース質物質を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、及び/又はスチームエクスプロージョン分解などによって解重合した後に精製したセルロースをいう。即ち、「結晶セルロース」は、セルロース質物質の結晶領域を取り出して精製したものである。「結晶セルロース」は、「微結晶セルロース」ともいう。また、セルロース質物質はパルプともいう。
本発明に用いる結晶セルロースは窒素原子を含むカチオン性基を有する。窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースは、本来的に窒素原子を含むカチオン性基を有するものであってもよく、窒素原子を含むカチオン性基を結晶セルロースに導入したものであっても良い。
窒素原子を含むカチオン性基は非環状であってもよく、環状であってもよい。
活性化剤としては、エポキシ基供与体が好ましく、クロロメチルオキシラン(エピクロロヒドリン)がより好ましい。
活性化剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
1価アミンとしては、脂肪族アミン類、特にアルキルアミン(メチルアミン、エチルアミンのような第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミンのような第2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンのような第3級アミン);芳香族アミン類(アニリン、トルイジンのような第1級アミンなど);複素環式アミン類(ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、イミダゾールのような第2級アミン;ピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン(コリジン)、2,6-ルチジン、キノリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリンのような第3級アミンなど);アルカノールアミン又はアミノアルコール(モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンのような第1級アミン;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミンのような第2級アミン;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-ジメチルアミノエタノール、N-ジエチルアミノエタノールのような第3級アミン)などが挙げられる。
また、多価アミンとしては、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、アミノ酸(中でも、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン、トリプトファンのような塩基性アミノ酸)、アミノ酸の重合体(中でも、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリトリプトファンのような塩基性アミノ酸の重合体)、ポリクレアチニンなどのアミノ基を有するポリマーも挙げられる。ポリマーは、直鎖状、分岐状の何れであってもよい。ポリマーの数平均分子量は、例えば、50以上、100以上、又は150以上であってよく、1,000,000以下、100,000以下、10,000以下、5,000以下、2,000以下、又は1,000以下であってよい。ポリマーの数平均分子量としては、例えば、50~1,000,000、50~100,000、50~10,000、50~5,000、50~2,000、50~1,000、100~1,000,000、100~100,000、100~10,000、100~5,000、100~2,000、100~1,000、150~1,000,000、150~100,000、150~10,000、150~5,000、150~2,000、150~1,000が挙げられる。
第4級イミダゾリウム塩としては、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム塩、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウム塩、1-メチル-ベンゾイミダゾリウム塩(塩酸塩、臭化水素酸塩など)などが挙げられる。
第4級ピリジニウム塩としては、ブチルピリジニウム塩、ドデシルピリジニウム塩(塩酸塩、臭化水素酸塩など)などが挙げられる。
窒素原子を含むカチオン性化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
2種以上のカチオン性化合物を使用する場合、各カチオン性化合物を導入した結晶セルロースを混合して使用してもよく、或いは、2種以上のカチオン性化合物を導入した結晶セルロースを使用してもよい。
カチオン性を高めるために反応させる化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
溶媒としては、通常、水を用いればよいが、メタノール、エタノール、2-プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル(2-メトキシエタノール)のようなアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒も用いることができる。溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量は、陰イオン交換容量(AEC)として、例えば0.05meq/dry・g以上、好ましくは0.2meq/dry・g以上、より好ましくは0.4meq/dry・g以上であればよい。この範囲であれば、ETを十分に吸着し除去することができる。また、例えば10meq/dry・g以下、好ましくは5meq/dry・g以下、より好ましくは3meq/dry・g以下であればよい。この範囲であれば、酸性高分子化合物を含むET除去対象材料から効率よくETを除去することができる。
窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量の指標となる陰イオン交換容量(AEC)としては、例えば、0.05~10meq/dry・g、0.05~5meq/dry・g、0.05~3meq/dry・g、0.2~10meq/dry・g、0.2~5meq/dry・g、0.2~3meq/dry・g、0.4~10meq/dry・g、0.4~5meq/dry・g、0.4~3meq/dry・gが挙げられる。
また、窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースがアニオン性基を含むと、このアニオン性基へのカチオンの非特異的な吸着が起きるため、窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースは、アニオン性基を含まないことが望ましい。アニオン性基を含む場合もその含有量は、陽イオン交換容量(CEC)として、例えば1meq/dry・g以下とすればよい。アニオン性基の含有量の指標である陽イオン交換容量(CEC)としては、例えば、0~1meq/dry・gが挙げられる。
本発明において、平均粒子径は、ふるい分け法で測定した値である。
なお、結晶セルロースに窒素原子を含むカチオン性基を導入することにより、結晶セルロースが膨潤し得る。従って、このカチオン性基の導入後の結晶セルロースの平均粒子径は、結晶セルロース自体の平均粒子径よりも大きくなり得る。
本発明において、粒度分布は、ふるい分け法で測定した値である。
本発明において、平均重合度は、粘度法で測定した値である。
本発明において、かさ密度はメスシリンダーを用いて測定した値である。
また、窒素原子を有するカチオン性基を導入した結晶セルロースの見かけ上のET解離定数は、例えば、2×10-11 M以下、1.7×10-11 M以下、1.5×10-11 M以下、又は1.3×10-11 M以下であってよい。見かけ上のET解離定数の下限は特に制限されるものではないが、通常、1×10-11M程度である。窒素原子を有するカチオン性基を導入した結晶セルロースの見かけ上のET解離定数としては、例えば、1×10-11~2×10-11 M、1×10-11~1.7×10-11 M、1×10-11~1.5×10-11 M、1×10-11~1.3×10-11 Mが挙げられる。
吸着剤0.1wet-gと、種々のET濃度の試料溶液4mLを使用して、バッチ法で吸着を行う。遊離のET濃度(F)に対して吸着したET濃度(B)をプロットした吸着等温線を作成し、この吸着等温線に基づき、吸着したET濃度(B)に対してB/FをプロットしたScatchard plotを作成する。このプロットしたScatchard plotから直線式y=ax+bが得られる。ETの会合分子量を106と仮定すると、解離定数および吸着容量は以下の式で表すことができる。
見かけ上のエンドトキシン解離定数=1/|a|×1012
エンドトキシン吸着容量 (μg/吸着剤量(wet-g))=-(b/a)
窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースは、単独で、或いは他の構成要素と組み合わせて、本発明のET吸着剤として利用できる。即ち、本発明のET吸着剤は、窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースからなるものであってもよく、さらに他の構成要素を備えるものであってもよい。他の構成要素は、所望のET吸着能が得られる限り、特に制限されない。
また、本発明のET吸着剤は、カラムに充填して用いることができる。本発明のET吸着剤が充填されたカラムは、ET除去用カラムとして用いることができる。
本発明のET吸着剤と、ET除去対象材料とを接触させることにより、ET除去対象材料中のETがET吸着剤に吸着する。これにより、ETが除去された材料が得られる。その後、ETが除去された材料とETを吸着したET吸着剤とを分離することができる。
即ち、本発明のET除去方法は、本発明のET吸着剤とET除去対象材料とを接触させる工程を含む方法である。また、さらに、ETが除去された材料とETを吸着したET吸着剤を分離する工程、例えば、本発明のET吸着剤とET除去対象材料との混合物から、ETが除去された材料を回収する工程を含むことができる。本発明のET除去方法は、換言すれば、ETが除去された材料の製造方法である。
また、前述した通り、本発明のET吸着剤は、カチオン性基を有する物質を含む材料や粘度の高い材料のET除去に好適に使用できる。このようなET除去対象材料として、例えば、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリンのようなムコ多糖が挙げられる。ムコ多糖は、医薬品、化粧品などの成分として使用されている。
また、カチオン性基を有する物質を含む材料として、キチン、キトサンのような、グルコサミン等のアミノ糖を構成単位に含む多糖類、ゼラチン、コラーゲン、ポリリジンのような塩基性アミノ酸を含むポリペプチドなどが挙げられる。これらは、医薬品、健康補助食品、化粧品などの成分として、又は増粘剤、ゲル化剤、若しくは糊料として使用されている。
また、粘度の高いET除去対象材料として、ラミナラン、カードラン、セルロースのようなβ-グルカン;プルラン、アミロース、グリコーゲン、アミロペクチン、デキストランのようなα-グルカン;分解コラーゲン水溶液なども挙げられる。これらは、医薬品、健康補助食品、化粧品などの成分や、食品添加物として使用されている。
また、粘度の高いET除去対象材料として、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガムのような多糖類、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースなども挙げられる。これらは、医薬品又は食品の製造用の増粘剤、ゲル化剤、又は糊料などとして使用されている。
また、これらの材料を、酸、アルカリ、又は酵素で分解した材料も使用できる。
また、粘度の高いET除去対象材料として、人工臓器や人工骨の原料となるモノマーなども挙げられる。
また、これらの材料を水その他の溶媒に溶解又は懸濁させた溶液又は懸濁液もET除去対象材料とすることができる。
その他、ET除去対象材料としては、タンパク質、ペプチド、ビタミン類などの溶液又は懸濁液も挙げられる。
また、本発明のET吸着剤と接触させる際のET除去対象材料のイオン強度は、カチオン性基の種類や、ET除去対象材料のイオン強度安定性などにより異なるが、例えば、約0.8以下、約0.6以下、又は約0.4以下とすることができる。イオン強度は、ゼロ又は実質的にゼロとすることもできるが、約0.001以上、約0.003以上、又は約0.005以上とすることもできる。本発明のET吸着剤と接触させる際のET除去対象材料のイオン強度としては、例えば、0~0.8、0~0.6、0~0.4、0.001~0.8、0.001~0.6、0.001~0.4、0.003~0.8、0.003~0.6、0.003~0.4、0.005~0.8、0.005~0.6、0.005~0.4が挙げられる。
「ETが除去される」とは、例えば、処理後のET除去対象材料中のET濃度又は含有量が、処理前と比較して、50%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、2%以下、又は1%以下に低下することであってよい。「ETが除去される」の指標である、処理前に対する処理後のET除去対象材料中のET濃度又は含有量の比率としては、例えば、0~50%、0~30%、0~20%、0~10%、0~5%、0~2%、0~1%が挙げられる。
「EU/g」は、ET除去を行った材料の固形分重量(g)あたりのET含有量(EU)を表す。
また、本発明によれば、ET濃度が6EU/mL以下、5EU/mL以下、1EU/mL以下、0.5EU/mL以下、0.1EU/mL以下、0.05EU/mL以下、0.01EU/mL以下、0.005EU/mL以下、又は0.002EU/mL以下(例えば、0~6EU/mL、0~5EU/mL、0~1EU/mL、0~0.5EU/mL、0~0.1EU/mL、0~0.05EU/mL、0~0.01EU/mL、0~0.005EU/mL、又は0~0.002EU/mL)である、グルカン(特にα-グルカン、特にプルラン)又はその溶液(特に、水溶液)も提供される。
また、グルカン(特にα-グルカン、特にプルラン)濃度10重量%の場合に、グルカン(特にα-グルカン、特にプルラン)の固形分1g当たりのET含有量が600EU/g以下、500EU/g以下、100EU/g以下、50EU/g以下、20EU/g以下、10EU/g以下、7EU/g以下、5EU/g以下、1EU/g以下、0.5EU/g以下、又は0.2EU/g以下(例えば、0~600EU/g、0~500EU/g、0~100EU/g、0~50EU/g、0~20EU/g、0~10EU/g、0~7EU/g、0~5EU/g、0~1EU/g、0~0.5EU/g、又は0~0.2EU/g)である、グルカン(特にα-グルカン、特にプルラン)又はその溶液(特に、水溶液)も提供される。
また、グルカン(特にα-グルカン、特にプルラン)濃度10重量%の場合に、ET濃度が6EU/mL以下、5EU/mL以下、1EU/mL以下、0.5EU/mL以下、0.1EU/mL以下、0.05EU/mL以下、0.01EU/mL以下、0.005EU/mL以下、又は0.002EU/mL以下(例えば、0~6EU/mL、0~5EU/mL、0~1EU/mL、0~0.5EU/mL、0~0.1EU/mL、0~0.05EU/mL、0~0.01EU/mL、0~0.005EU/mL、又は0~0.002EU/mL)である、グルカン(特にα-グルカン、特にプルラン)又はその溶液(特に、水溶液)も提供される。
また、本発明によれば、ET濃度が6EU/mL以下、5EU/mL以下、1EU/mL以下、0.5EU/mL以下、0.1EU/mL以下、0.05EU/mL以下、0.01EU/mL以下、0.005EU/mL以下、又は0.002EU/mL以下(例えば、0~6EU/mL、0~5EU/mL、0~1EU/mL、0~0.5EU/mL、0~0.1EU/mL、0~0.05EU/mL、0~0.01EU/mL、0~0.005EU/mL、又は0~0.002EU/mL)である、ゼラチン若しくはゼラチン分解物又はそれらの溶液(特に、水溶液)も提供される。
また、ゼラチン又はゼラチン分解物の濃度が1重量%の場合に、ゼラチン又はゼラチン分解物の固形分1g当たりのET含有量が600EU/g以下、500EU/g以下、100EU/g以下、50EU/g以下、20EU/g以下、10EU/g以下、7EU/g以下、5EU/g以下、1EU/g以下、0.5EU/g以下、又は0.2EU/g以下(例えば、0~600EU/g、0~500EU/g、0~100EU/g、0~50EU/g、0~20EU/g、0~10EU/g、0~7EU/g、0~5EU/g、0~1EU/g、0~0.5EU/g、又は0~0.2EU/g)である、ゼラチン若しくはゼラチン分解物又はそれらの溶液(特に、水溶液)も提供される。
また、ゼラチン又はゼラチン分解物の濃度が1重量%の場合にET濃度が6EU/mL以下、5EU/mL以下、1EU/mL以下、0.5EU/mL以下、0.1EU/mL以下、0.05EU/mL以下、0.01EU/mL以下、0.005EU/mL以下、又は0.002EU/mL以下(例えば、0~6EU/mL、0~5EU/mL、0~1EU/mL、0~0.5EU/mL、0~0.1EU/mL、0~0.05EU/mL、0~0.01EU/mL、0~0.005EU/mL、又は0~0.002EU/mL)である、ゼラチン若しくはゼラチン分解物又はそれらの溶液(特に、水溶液)も提供される。
また、本発明によれば、ET濃度が6EU/mL以下、5EU/mL以下、1EU/mL以下、0.5EU/mL以下、0.1EU/mL以下、0.05EU/mL以下、0.01EU/mL以下、0.005EU/mL以下、又は0.002EU/mL以下(例えば、0~6EU/mL、0~5EU/mL、0~1EU/mL、0~0.5EU/mL、0~0.1EU/mL、0~0.05EU/mL、0~0.01EU/mL、0~0.005EU/mL、又は0~0.002EU/mL)である、コラーゲン又はその溶液(特に、水溶液)も提供される。
また、コラーゲン濃度0.1重量%の場合に、コラーゲンの固形分1g当たりのET含有量が500EU/g以下、100EU/g以下、50EU/g以下、20EU/g以下、10EU/g以下、7EU/g以下、5EU/g以下、1EU/g以下、0.5EU/g以下、又は0.2EU/g以下(例えば、0~500EU/g、0~100EU/g、0~50EU/g、0~20EU/g、0~10EU/g、0~7EU/g、0~5EU/g、0~1EU/g、0~0.5EU/g、又は0~0.2EU/g)である、コラーゲン又はその溶液(特に、水溶液)も提供される。
また、コラーゲン濃度0.1重量%の場合に、ET濃度が6EU/mL以下、5EU/mL以下、1EU/mL以下、0.5EU/mL以下、0.1EU/mL以下、0.05EU/mL以下、0.01EU/mL以下、0.005EU/mL以下、又は0.002EU/mL以下(例えば、0~6EU/mL、0~5EU/mL、0~1EU/mL、0~0.5EU/mL、0~0.1EU/mL、0~0.05EU/mL、0~0.01EU/mL、0~0.005EU/mL、又は0~0.002EU/mL)である、コラーゲン又はその溶液(特に、水溶液)も提供される。
(1)カチオン化微結晶セルロースの製造
カチオン化結晶セルロースとして、エチレンジアミン(EDA)固定化結晶セルロース、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)固定化結晶セルロース、テトラエチレンペンタミン(TEPA)固定化結晶セルロース、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン(TMDH)固定化結晶セルロース、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)固定化結晶セルロース、アルギニン(Arg)固定化結晶セルロース、ポリエチレンイミン(PEI)固定化結晶セルロース、4級化テトラエチレンペンタミン(Q-TEPA)固定化結晶セルロース、グリシジルトリメチルアンモニウム(GTMA)固定化結晶セルロース、及びエポキシポリマー修飾TMDH固定化微結晶セルロース(Ep-TMDH-MCC)を、以下の手順で合成した。
500ml四ツ口フラスコに、15gの微結晶セルロース(comprecel 101;株式会社伏見製薬所)と、20%(w/w)水酸化カリウム水溶液(42.4gの水酸化カリウム(一級;和光純薬工業株式会社)を169.6mlの水に溶解させたもの)を入れ、30℃水浴中で1時間撹拌した。次いで、四ツ口フラスコに113mlのクロロメチルオキシラン(特級;和光純薬工業株式会社)を加え、40℃水浴中で2時間撹拌した。反応物をろ布(TF-301B;通気度 10.2cc/cm2/sec;東レ株式会社)上で吸引濾過し、固形分(ろ過残渣)としてエポキシ活性化微結晶セルロース(Ep-MCC)を得た。
得られたEp-MCCを500ml四ツ口フラスコに入れ、141.3mlの水に分散させた。その後、50%(w/w)EDA水溶液(20.8mlEDA(特級;和光純薬工業)と20.8ml水の混合液)を滴下し、50℃の水浴中で2時間撹拌した。反応物をろ布上で吸引濾過し、超純水を用いて洗浄した。得られた固形分(ろ過残渣)を500ml四ツ口フラスコにいれ、水200ml中で室温で1時間撹拌した。ろ布上で吸引濾過して超純水及びメタノールで洗浄を行い、EDA固定化微結晶セルロース(以下、「EDA-MCC」ともいう)を得た。
実施例1と同様にしてEp-MCCを得た後に、500ml四ツ口フラスコにEp-MCCと98mlの水を入れ、撹拌した。その後、50%(w/w)HMDA水溶液(42.5mlHMDA(一級;和光純薬工業)と42.5ml水の混合液)を滴下し、50℃の水浴中で2時間撹拌した。その後は、実施例1と同様にして、HMDA固定化微結晶セルロース(以下、「HMDA-MCC」ともいう)を得た。
実施例1と同様にしてEp-MCCを得た後に、500ml四ツ口フラスコにEp-MCCと62.8mlの水を入れ、撹拌した。その後、50%(w/w)TEPA水溶液(59.3mlTEPA(東京化成工業株式会社)と59.3ml水の混合液)を滴下し、50℃の水浴中で2時間撹拌した。その後は、実施例1と同様にして、TEPA固定化微結晶セルロース(以下、「TEPA-MCC」ともいう)を得た。
実施例1と同様にしてEp-MCCを得た後に、500ml四ツ口フラスコにEp-MCCと46.9mlの水を入れ、撹拌した。その後、50%(w/w)TMDH水溶液(68mlTMDH(東京化成工業株式会社)と68ml水の混合液)を滴下し、50℃の水浴中で19時間撹拌した。その後は、実施例1と同様にして、TMDH固定化微結晶セルロース(以下、「TMDH-MCC」ともいう)を得た。
実施例1と同様にしてEp-MCCを得た後に、500ml四ツ口フラスコにEp-MCCと53mlの水を入れ、撹拌した。その後、50%(w/w)TMEDA水溶液(51mlTMEDA(東京化成工業株式会社)と51ml水の混合液)を滴下し、50℃の水浴中で19時間撹拌した。その後は、実施例1と同様にして、TMEDA固定化微結晶セルロース(以下、「TMEDA-MCC」ともいう)を得た。
実施例1と同様にしてEp-MCCを得た後に、500ml四ツ口フラスコにEp-MCCとL(+)-アルギニン53.3g(特級;和光純薬工業株式会社)と162mlの水を入れ、50℃の水浴中で2時間撹拌した。その後は、実施例1と同様にして、Arg固定化微結晶セルロース(以下、「Arg-MCC」ともいう)を得た。
実施例1と同様にしてEp-MCCを得た後に、500ml四ツ口フラスコにEp-MCCと132.4mlの水を入れ、撹拌した。その後、50%(w/w)ポリエチレンイミン水溶液(25.4mlポリエチレンイミン(平均分子量1800;和光純薬工業株式会社)と25.4mlの水の混合液)を滴下し、50℃の水浴中で2時間撹拌した。その後は、実施例1と同様にして、PEI固定化微結晶セルロース(以下、「PEI-MCC」ともいう)を得た。
50mlスクリュー管に、実施例3で合成したTEPA-MCCを3gと、15mlの水と、3mlのクロロメチルオキシランを加え、50℃水浴中で5時間撹拌した。反応物をろ布上で吸引濾過し、超純水及びメタノールで洗浄し、Q-TEPA固定化微結晶セルロース(Q-TEPA-MCC)を得た。
300ml四ツ口フラスコに、15gの微結晶セルロースと、37.5%(w/w)水酸化カリウム水溶液(66gの水酸化カリウムを110mlの水に溶解させたもの)を入れ、30℃水浴中で1時間撹拌した。次いで、四ツ口フラスコに32.6gの80%グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液(東京化成工業株式会社)を加え、40℃水浴中で2時間撹拌した。反応物をろ布上で吸引濾過し、超純水及びメタノールで洗浄を行い、GTMA固定化微結晶セルロース(以下、「GTMA-MCC」ともいう)を得た。
100ml四ツ口フラスコに、実施例4で合成したTMDH-MCCを5gと、45mlの水と、4.1mlのエチレングリコールグリシジルエーテルを加え、50℃水浴中で1時間撹拌した。その後、6.0mlのTMDHを滴下し、更に2時間撹拌した。反応物をろ布上で吸引濾過し、超純水及びメタノールで洗浄し、エポキシポリマー修飾TMDH-MCC(Ep-TMDH-MCC)を得た。
合成したカチオン化微結晶セルロースの陰イオン交換容量(Anion Exchange Capacity;AEC)を測定することにより、アミノ基やその他のカチオン基の導入量の目安とした。AECは、塩酸を用いた逆滴定法により測定した。手順を以下に示す。
以下の式によりAECを算出した。
AEC(mEq/dry・g)
=(0.1×fHCl×20-0.05×fNaOH×V×20/10)÷W
fHCl : 使用した塩酸のファクター
fNaOH : 使用した水酸化ナトリウムのファクター
V : 滴定量(ml)
W : 粒子の乾燥重量(dry・g)
実施例1、4、及び6で得たEDA-MCC、TMDH-MCC、及びArg-MCCのET吸着能をそれぞれ測定し、既知のET吸着剤であるポリリジン担持球状セルロース(Poly(ε-lysine)-cellulose beads;J. LIQ. CHROM. & REL. TECHNOL., 2002, 25(4): 601-614.)のET吸着能と比較した。ポリリジン担持球状セルロースは、JNC社製のETクリーン(商品名)を使用した。
実施例1、4、及び6で得たEDA-MCC、TMDH-MCC、及びArg-MCCのAECは、上記の通り、それぞれ0.7011、0.5563、及び0.4909であった。また、ポリリジン担持球状セルロースのAECを、「(2)陰イオン交換容量の測定」の項目に記載の方法で測定したところ、0.9394meq/gであった。
ET吸着能の評価はバッチ法により行った。
乾熱滅菌可能な使用器具(コニカルビーカー、ホールピペット、ピペット、ガラスフィルター、薬さじ、リムルス用チューブ、チューブ用キャップ)はよく洗浄した後に250℃で4時間滅菌した。また、シリンジ、メンブランフィルター、チップはあらかじめγ線照射滅菌してあるものを用いた。また、純水としては大塚蒸留水(株式会社大塚製薬工場)を用いた。
ET濃度の測定は、市販のリムルス試薬であるエンドスペシーES-24M(生化学工業株式会社)を用いて行った。
次いで、吸着剤を含む水溶液をシリンジで吸い取り、0.8μmメンブランフィルターでろ過した。ろ液を大塚水で10~1000倍希釈した。希釈液を上記リムルス試薬の入った試験管に0.2mlずつ加え、ボルテックスでよく混合した。試験管をEGリーダー-SV-12(生化学工業株式会社)に設置し、比色時間法によりET残存濃度を決定した。
また、吸着剤と接触させる前の各ET除去対象材料に含まれるET濃度を、上記と同様にして、各ET除去対象材料0.8μmメンブランフィルターでろ過し、大塚水で10~1000倍希釈し、上記リムルス試薬を用いて、比色時間法により決定した。
上記ET除去対象材料は、何れも高粘度の材料であり、特に、プルラン水溶液は10wt%という高濃度のプルランを含む材料である。また、ゼラチン、及びコラーゲンは、カチオン性基であるアミノ基を有する。本発明のET吸着剤は、カチオン性基を有する材料や、高粘度材料に対して高いET除去能を有することが明らかとなった。
実施例6で得たArg-MCCを用いてカラムを作製した。即ち、Arg-MCCを室温で24時間減圧乾燥し、約1ml容量のカラム容器に490~670mg入れた。
Claims (6)
- 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースを備え、窒素原子を含むカチオン性基が、セルロースの水酸基に導入されているか、又はクロロメチルオキシラン、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、ジグリシジルエーテル、エピブロモヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、p-トルエンスルホン酸クロリド、2-フルオロ-1-メチルピリジニウム、クロロアセチルクロリド、ヘキサメチレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、及びトルエン-2,4-ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の活性化剤を介して結晶セルロースに結合している、エンドトキシン吸着剤。
- 窒素原子を含むカチオン性基が、多価アミンに由来する官能基、及び/又は第4級アンモニウム基である、請求項1に記載のエンドトキシン吸着剤。
- 窒素原子を含むカチオン性基を有する結晶セルロースにおける、窒素原子を含むカチオン性基の含有量が、陰イオン交換容量として、0.05~3meq/dry・gである、請求項1又は2に記載のエンドトキシン吸着剤。
- 請求項1~3の何れかに記載のエンドトキシン吸着剤が充填されたエンドトキシン除去用カラム。
- 請求項1~3の何れかに記載のエンドトキシン吸着剤とエンドトキシン除去対象材料とを接触させる工程を含む、エンドトキシン除去方法。
- 請求項1~3の何れかに記載のエンドトキシン吸着剤とエンドトキシン除去対象材料とを接触させる工程を含む、エンドトキシンが除去された材料の製造方法。
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