JP2002155103A - エンドトキシンフリーのβ1,3−グルカン及びその製造法並びに医療用ゲル素材 - Google Patents

エンドトキシンフリーのβ1,3−グルカン及びその製造法並びに医療用ゲル素材

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JP2002155103A
JP2002155103A JP2001311970A JP2001311970A JP2002155103A JP 2002155103 A JP2002155103 A JP 2002155103A JP 2001311970 A JP2001311970 A JP 2001311970A JP 2001311970 A JP2001311970 A JP 2001311970A JP 2002155103 A JP2002155103 A JP 2002155103A
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Katsunori Yoshida
克典 吉田
Toshio Hariki
利男 梁木
Michihiro Yamaguchi
道広 山口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、エンドトキシンフリーのβ−1,
3グルカン及びβ−1,3グルカン中のエンドトキシン
を分解不活化する方法を提供することを目的とする。 【構成】 本発明のエンドトキシンフリーのβ1,3グ
ルカンは、エンドトキシンの含有量が0.1EU/g以
下であることを特徴とする。また、本発明の製造法は、
β1,3グルカンに酸もしくは塩基を含む有機溶媒を加
え、処理温度が室温であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンドトキシンフリー
(エンドトキシンを不活性化)のβ−1,3グルカン及
びその製造法並びに医療用ゲル素材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、バイオテクノロジーの進歩によ
り、微生物やヒト、動物または植物組織などの細胞を培
養して、細胞内外の有用物質を効率的かつ大量に得る技
術が実用化されつつある。これら技術のうち特定の微生
物を用いた微生物培養法はすでに、多くの分野で工業的
に利用されている。β−1,3グルカンは微生物等が産
生するグルコースの重合体であり、このうち直鎖状のも
のはカードランとして知られている。カードランは水不
溶性であるが、その分散液を加熱することによりゲルを
調製することができる。カードランゲルはオートクレー
ブによる121℃の加熱滅菌に耐えるため、滅菌の必要
な医療用ゲルに好適である。我々はすでに、カードラン
ゲルを用いた超音波診断機プローブ用スタンドオフ材の
発明に成功している。
【0003】しかしながら、上記のような細胞・微生物
培養では菌体や培地に由来する不純物を完全に取り除く
には、非常に煩雑な操作を伴い、物質によっては実質的
に困難なものもある。不純物のうちでも、特にエンドト
キシンは近年、その毒性が問題となっている。エンドト
キシンは菌体内毒素とも呼ばれ、グラム陰性菌によって
普遍的に産成され得ることが知られている。エンドトキ
シンは強力な発熱性物質であり、注射などによりヒト体
内に運び込まれると悪寒や発熱を惹起する。また、血管
拡張、下痢及び類似症及び極端な場合には致命的ショッ
クの徴候を伴う原繊維反応を生ずることが知られてい
る。そのほか、エンドトキシンは白血球増多症、炭水化
物及び蛋白質代謝における有害な変化及び繊維素形成に
よる広くひろがった脈管内閉塞を起こすことも知られて
いる。従って、エンドトキシンの効率の良い除去法・不
活化法が切望されている。従来、エンドトキシンを除去
する方法として特定の吸着剤に接触させての吸着除去す
る方法(特公昭52−102414号公報、特開昭60
−150887号公報、特公平1−16389号公報、
特開平3−109397号公報、特公平6−41479
号公報、特公平6−22623号公報)が、もっとも一
般的に知られている。そのほか、逆浸透膜による除去法
(特開昭53−64948号公報)、加熱による不活化
法(特開平2−141666号公報)、綿繊維を酸もし
くはアルカリ性の有機溶媒存在下で加熱し不活化する方
法(米国特許第4832751号)等も開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
エンドトキシン吸着除去法ではいずれも、対象物質を水
溶液とする必要があり、水溶性のβ−1,3グルカンは
非常に高粘度となるため、効率が著しく悪い。また、カ
ードランは水に不溶なため、実質的に上記方法は利用で
きない。また、蒸留法、逆浸透膜法では、上記理由のほ
か、エネルギーコストや設備費、操作性等の点で十分に
満足できない。一方、加熱によるエンドトキシンの不活
化法では、60℃以上で少なくとも60分加熱するよう
に開示されているが、本条件ではカードランは流動性の
ないゲルを形成するため、その後の操作に図ることが出
来ない。酸もしくはアルカリ性の有機溶媒下で加熱し不
活化する方法では、60℃から80℃の加熱を行うが、
加熱操作を経ることにより、β−1,3グルカンは褐変
を起こすのみならず、ゲル化能の低下が認められる。
【0005】本発明は上記従来の問題点を解決し、β−
1,3グルカン中のエンドトキシンを分解不活化する方
法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはβ−1,3
グルカン中のエンドトキシンを分解不活化する方法につ
いて鋭意探求を行ったところ、β−1,3グルカンに酸
もしくは塩基を含む有機溶媒を加え、室温で処理するこ
とにより、効率よくエンドトキシンが不活化されること
を見い出し本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明のエンドトキシンフリーのβ
1,3−グルカンは、エンドトキシンの含有量が0.1
EU/g以下であることを特徴とする。また、本発明の
エンドトキシンフリーのβ1,3−グルカン製造法は、
β1,3−グルカンに酸もしくは塩基を含む有機溶媒を
加え、処理温度が室温であることを特徴とする。本発明
の医療用ゲル素材は、エンドトキシンの含有量が0.1
EU/g以下のβ1,3−グルカンを主成分とすること
を特徴とする。
【0008】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【作用】本発明の対象物質となるβ−1,3グルカン
は、D−グルコース残基が、β1→3結合で連なったグ
ルカンのことであり、自然界には、酵母・カビの細胞壁
の骨格構造物として、また多くの担子菌子実体の主要な
多糖成分として存在している。酵母グルカンには水、ア
ルカリに不溶性であるが、わずかのβ1→6結合の枝分
かれがあるといわれている。担子菌の子実体、或いは細
胞外に生成されるβ−1,3グルカンは水溶性で、多く
の場合主鎖を構成するβ1→3結合のグルコース残基3
個のうち1個に1個のグルコース残基がβ1→6結合で
ついている(スクレログルカン)。最近の研究でβ−
1,3グルカンの示す抗腫瘍効果が注目されているが、
これはマクロファージの活性化によるものと推定されて
いる。細菌の中にも細胞外にβ−1,3グルカン(カー
ドラン)をつくるものが見いだされている。
【0010】カードランは直鎖状のβ−1,3グルカン
であり、その水分散液は加熱により低濃度でも、強固な
ゲルを形成することから、高含水率水性ゲルの調製に有
利である。その他のβ−1,3グルカンでは、側鎖が多
いほど水溶性が高いが、マイルドスミス分解等の方法に
より側鎖を間引くことにより水不溶性となり、加熱によ
りゲルを形成する性質を持ち始める(Poly J.
13(12)1135−1143(1981))。加熱
調製したゲルは、121℃のオートクレーブ滅菌にも耐
え、無菌化も比較的容易であるとともに、仮に体内に留
置された場合でも長時間かけて生体内で徐々に分解され
る性質を有する(薬学雑誌 110 (10) 869
−875,1990)。これらのことより、β−1,3
グルカンゲルは、医療用ゲル素材として優れた性質を有
すると考えられる。これら性質を生かし、本発明者らは
すでに、β−1,3グルカンゲルを用いた超音波診断機
プローブ用スタンドオフ材の開発に成功している。すな
わち、超音波診断を行う場合、体表面もしくは臓器表面
に直接超音波診断装置のプローブを当てて内部の状態を
観察しようとした際に超音波診断装置の特性上、表面下
数cm以内の領域での鮮明な画像を得ることは非常に困
難である。また、実際の体・臓器表面は平らな状態では
なく、各々に特徴的な湾曲・凹凸を持つことになるた
め、ある一定の形態を保った不可変なプローブでは目的
の部位に密着させることは不可能である。生体とプロー
ブの間に空気が介在すると超音波伝播率の著しい低下が
起こり、診断機上に正確な画像を結ばなくなる。そこ
で、プローブと生体との間に適当なスペーサー(スタン
ドオフ材)を介在せしめることが有効であり、β−1,
3グルカンゲルを用いたスタンドオフ材は、超音波特
性、安全性の点から非常に好適である。スタンドオフ材
の利用は、体表面からの診断のみならず、穿刺・術中へ
の応用が期待されている。このような場合には、術中の
事故によりゲルが体内に留置されたり、また、積極的に
体内にスタンドオフ材を留置し術後の経過観察に利用さ
れたりする。また、近年、蓄膿症の術後では一時的な整
形基材として、美容形成等の分野では合成高分子に変わ
る安全な天然のゲル素材が求められており、このような
利用用途にも同ゲルは期待されている。しかしながら、
β−1,3グルカンは微生物培養等によって調製される
ため、エンドトキシンの混入が避けられない。微量に混
在するエンドトキシンが発熱等人体に好ましくない影響
を与える可能性があり、エンドトキシンフリーの基材が
望まれていた。
【0011】本発明のエンドトキシン不活化法は、酸も
しくは塩基を含む水溶性の有機溶媒をβ−1,3グルカ
ンに加え、60℃以下で攪拌することを特徴とする。す
なわち、通常の工業レベルで使用されるアルコール等の
溶媒が使用でき、これらは含水物であってもなんら処理
に問題はない。また、酸もしくは塩基も特殊な試薬を必
要とせず、代表例として塩酸や水酸化ナトリウムが挙げ
られる。処理温度としては、これまで加熱によりエンド
トキシンの分解を促進する方法がとられてきたが、本発
明によれば、驚くべきことに加熱することなく、充分に
目的の達せられることが明らかとなった。すなわち、特
開平2−141666号公報で開示された方法では60
℃以上、好ましくは100℃で60分間もの処理が必要
であり、米国特許第4832751号明細書に開示され
ているコットン中のエンドトキシン不活化法でも60か
ら80℃の加熱を要する。コットンはセルロースからな
り、その基本構造は、D−グルコースがβ1→4結合で
連なったものである。セルロース分子は結晶化度が非常
に高く、処理液が分子内部まで到達し、内部のエンドト
キシンを不活化するのに加熱のエネルギーを要するもの
と考えられる。一方、β−1,3グルカンは類似の基本
構造を示すが、セルロースよりも結晶化度が低いため、
室温でも十分に処理が可能であると考えられる。多糖類
は酸もしくは塩基の存在下で加熱することにより、容易
に加水分解し主鎖の切断が起こる。主鎖の切断は低分子
化を招き、本来の高分子に由来する性質の減弱を引き起
こす。すなわち、β−1,3グルカンの場合には、ゲル
化能の低下が認められ、調製されるゲルは硬く脆いもの
となってしまうばかりか、極端な場合には全くゲル化能
を失う。また、低分子化に伴う反応として褐変・着色も
認められる。
【0012】本発明により処理されたβ−1,3グルカ
ン中のエンドトキシン量は、LAL(Limulus
Amebocyte Lysate)を用いたエンドト
キシン検出法で定量が可能である。例えば、和光純薬製
LALS試薬(Limulus ESーJ Test
WAKO)では、凝固因子となりうるβ−1,3グルカ
ンの影響を排除して定量が可能である。すなわち、β−
1,3グルカンを注射用水に溶解または分散し、溶解し
ないものは遠心分離等の操作により除去する。試験溶液
に、一定量のLAL試薬を添加し、トキシノメーター
(TOXINOMETER ET−201, WAK
O)により、ゲル化に要する時間からエンドトキシン量
を定量する。
【0013】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるもの
ではない。 (実施例1)カードラン粉末(武田薬品工業製)5重量
部に、100重量部の95%エタノールと0.4重量部
の水酸化ナトリウムを加え、マグネチックスターラーで
室温にて1時間攪拌した。その後、中和等量となる塩酸
を加え、続けて10分間攪拌し完全に中和した。デカン
テーションにより上澄みを捨て、更に100重量部の9
5%エタノールを加えて処理粉末の洗浄を行った。放置
後、デカンテーションにより上澄みを捨て乾燥し、エン
ドトキシンフリーのカードランを得た。上記、エンドト
キシンフリーのカードラン1重量部をとり、20重量部
の注射用水(大塚製薬製)を加え、クリーンベンチ内で
30分間攪拌した。LAL法により上澄み中のエンドト
キシンを定量したところ、検出限界の0.02EU/m
l(Endotoxin Unit)以下であった。
【0014】上記エンドトキシンフリーのカードラン
を、5重量部とり95重量部の生理食塩水(光製薬製)
加えホモジナイザー(日本精機製;パワーホモジナイザ
ーPM1)で10分間攪拌した。上記カードラン分散液
を真空下で充分に脱気後、型に注入し100℃、10分
間の加熱によりゲル化を行った。冷却し型から取り出し
た後、高圧加熱滅菌器で121℃、20分間の加熱を行
った。レオメーター(不動工業(株)製;NRM−20
10J−CW)で物性を測定したところ、破断強度
3.5x103g・f/cm2、ヤング率6.5x106
dyn/cm2を示した。
【0015】(実施例2)レンチナン粉末(味の素製)
3重量部に100重量部の90%アセトンと0.1重量
部の酢酸を加え、超音波洗浄機(東京超音波機器製;U
C−0515)で室温にて30分間処理を行った。その
後、中和等量となる水酸化カリウムを加え、更に10分
間の超音波洗浄を行った。デカンテーションにより上澄
みを捨て、更に100重量部の90%アセトンを加えて
処理粉末の洗浄を行った。放置後、デカンテーションに
より上澄みを捨て乾燥し、エンドトキシンフリーのレン
チナンを得た。実施例1と同様にしてエンドトキシンを
定量したところ、検出限界以下であった。 (実施例3)スクレログルカン(三栄源エフエフアイ
製)10gをを0.03M NaIO4,10リットル
に溶解し、5℃で5日間放置した。次に、エチレングリ
コール500mlを加え攪拌後、5℃で2日間透析し
た。透析内液にアンモニア水を加え弱アルカリ性とした
後に、5gのNaBH4を加え放置した。次に、1N酢
酸で中和後、5℃で再び流水透析し、エバポレーターで
濃縮乾固した。こうして調製した粉末をβ−1,3グル
カナーゼで分解し、その分解液をNo.50のロ紙(東
洋ロ紙)上にスポットし、n−ブタノール/iso−プ
ロパノール/水=3:12:4で展開したところ、本品
はスクレログルカンのβ−1,6結合した側鎖が、全体
の約95%間引かれたカードラン様のβ−1,3グルカ
ンであることが明かとなった。上記処理済みスクレログ
ルカン7重量部に100重量部のアセトニトリルと0.
05重量部の硫酸を加え、マグネチックスターラーで室
温にて2時間攪拌した。その後、中和等量となる水酸化
ナトリウムを加え、続けて10分間攪拌し完全に中和し
た。デカンテーションにより上澄みを捨て、更に100
重量部の95%エタノールを加えて処理粉末の洗浄を行
った。放置後、デカンテーションにより上澄みを捨て乾
燥し、エンドトキシンフリーの側鎖の間引かれたスクレ
ログルカンを得た。実施例1と同様にしてエンドトキシ
ンを定量したところ、検出限界以下であった。
【0016】(比較例1)カードラン粉末(武田薬品工
業製)5重量部に、100重量部の注射用水を加え、マ
グネチックスターラーで室温にて1時間攪拌した。放置
後、上澄みをとり、実施例1と同様にしてエンドトキシ
ンを定量したところ、126.7EU/mlであった。
【0017】(比較例2)10重量部のカードランに5
00mlの95%エタノールと1.0gの水酸化ナトリ
ウムを加え、80℃で1時間放置した。放置後、溶媒を
吸引ろ過により除去し、粉末を500mlの95%エタ
ノールで洗浄した後、乾燥した。調製された粉末は、褐
色を帯びたものとなった。実施例1と同様にして、ゲル
を調製し物性を測定したところ、破断強度1.1x10
2g・f/cm2、ヤング率 4.9x107dyn/c
2を示し、実施例1のカードランゲルに比較し、硬く
脆いゲルとなっていることが分かった。
【0018】(比較例3)カードラン粉末(武田薬品工
業製)5重量部に、100重量部の95%エタノールを
加え、マグネチックスターラーで室温にて1時間攪拌し
た。デカンテーションにより上澄みを捨て、更に100
重量部の95%エタノールを加えて処理粉末の洗浄を行
った。放置後、デカンテーションにより上澄みを捨て乾
燥し、カードラン粉末を得た。上記のカードランについ
て、実施例1と同様にエンドトキシンを定量したとこ
ろ、88.4EU/mlであった。
【0019】(実施例4)実施例1で調製したエンドト
キシンフリーのカードラン3重量部に生理食塩水97重
量部を加え、ホモジナイザーで10分間攪拌した。上記
カードラン分散液を真空下で充分に脱気後、型に注入し
100℃、10分間の加熱によりゲル化を行った。冷却
し型から取り出した後、高圧加熱滅菌器で121℃、2
0分間の加熱を行った。レオメーター(不動工業(株)
製;NRM−2010J−CW)で物性を測定したとこ
ろ、破断強度1.8x103g・f/cm2、ヤング率
3.8x106dyn/cm2を示した。上記のように調
製したゲルについて音響特性を測定した結果、音速14
99m/s、減衰0.12dB/MHz・cmとの値を
得た。次に、上記接触媒体を超音波診断装置のプローブ
と皮膚の間に置き画像診断を行ったところ、ゲルを介在
せしめない場合に比較し明かに鮮明な画像が得られた。
【0020】(実施例5)整形手術用シリコーンゴムに
替わる水性ゲルの調製のため、実施例1で調製したエン
ドトキシンフリーのカードランによりゲルを調製した。
エンドトキシンフリーのカードラン4重量部に生理食塩
水96重量部を加え、ホモジナイザーで10分間攪拌し
た。上記カードラン分散液を真空下で充分に脱気後、型
に注入し100℃、10分間の加熱によりゲル化を行っ
た。冷却し型から取り出した後、高圧加熱滅菌器で12
1℃、20分間の加熱を行った。上記ゲルの安全性を確
認するため、ウサギを用いた埋植毒性試験に供した。す
なわち、ゲルを1x1x10mmに切断し、ウサギ背部
に注射針を用いて同ゲルを埋植し72時間後に組織を切
り出し、肉眼、病理組織学的観察結果を得た。対照とし
ては、未処理のカードラン原末を用いて同様にゲルを調
製し使用した。エンドトキシンフリーのカードランゲル
では、埋植部位にほとんど変化が認められないのに比較
して、カードラン原末ゲルでは肉眼で被包形成、出血が
認められ、病理組織学的観察では、好中球の浸潤が認め
られた。
【0021】
【発明の効果】本発明により、従来の方法では困難であ
ったβ−1,3グルカンのエンドトキシン不活化処理が
可能となった。しかも、従来の方法に比較しはるかに簡
便、低コストであり、スケールアップも容易であること
から、実際の工業的レベルでのエンドトキシンフリーβ
−1,3グルカン製造に利用できる。
【0022】また、本発明のエンドトキシンフリーβ−
1,3グルカンは、高い安全性が確保され、医療用材料
として利用できる
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 道広 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地株式 会社資生堂第一リサーチセンター内 Fターム(参考) 4C076 AA09 EE30 FF70 GG43 4C090 AA01 AA07 BA23 BB12 BB33 BB35 BB52 BC15 BD42 CA33 CA41 DA22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンドトキシンの含有量が0.1EU/
    g以下であることを特徴とするエンドトキシンフリーの
    β1,3−グルカン。
  2. 【請求項2】 酸もしくは塩基を含む有機溶媒で室温で
    処理されたことを特徴とする請求項1に記載のエンドト
    キシンフリーのβ1,3−グルカン。
  3. 【請求項3】 前記酸もしくは塩基が各々HCl、H2
    SO4、HNO3、HClO4、CH3COOH、CCl3
    COOH、CF3COOH、H3PO4もしくはNaO
    H、KOH、Ca(OH)2、NH3である請求項1また
    は2に記載のエンドトキシンフリーのβ1,3−グルカ
    ン。
  4. 【請求項4】 前記有機溶媒がメタノール、エタノー
    ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
    ール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペ
    ンタノール、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル等
    の水溶性の有機溶媒のうち1種もしくは2種以上の組み
    合わせから選択されることを特徴とする請求項2乃至3
    のいずれか1項に記載のエンドトキシンフリーのβ1,
    3−グルカン。
  5. 【請求項5】 β1,3−グルカンに酸もしくは塩基を
    含む有機溶媒を加え、処理温度が室温であることを特徴
    とするエンドトキシンフリーのβ1,3−グルカン製造
    法。
  6. 【請求項6】 前記酸もしくは塩基が各々HCl、H2
    SO4、HNO3、HClO4、CH3COOH、CCl3
    COOH、CF3COOH、H3PO4もしくはNaO
    H、KOH、Ca(OH)2、NH3である請求項5に記
    載のエンドトキシンフリーのβ1,3−グルカン製造
    法。
  7. 【請求項7】 前記有機溶媒がメタノール、エタノー
    ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
    ール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ペ
    ンタノール、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル等
    の水溶性の有機溶媒のうち1種もしくは2種以上の組み
    合わせから選択されることを特徴とする請求項5または
    6に記載のエンドトキシンフリーのβ1,3−グルカン
    製造法。
  8. 【請求項8】 エンドトキシンの含有量が0.1EU/
    g以下のβ1,3−グルカンを主成分とすることを特徴
    とする医療用ゲル素材。
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