JP2009173678A - コラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去方法 - Google Patents

コラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質からエンドトキシンを除去するにあたって、エンドトキシンを十分に分解処理できるとともに、コラーゲンタンパク質自体の変性や分解は抑えることができ、しかも前記分解処理後のエンドトキシンが除去されたコラーゲンタンパク質を容易に分離回収できる方法、および、エンドトキシンが大幅に除去されたコラーゲンタンパク質を提供する。
【解決手段】塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液中で、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質を繊維化分散させた状態で前記エンドトキシンの分解処理を行った後、分解処理後のコラーゲンタンパク質を分離回収する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去方法に関するものである。
コラーゲンタンパク質は、再生医療における細胞・組織の足場材料としての利用が期待されている。このような医療分野での利用を目的とする場合、コラーゲンタンパク質には高い安全性が要求される。
一般に、天然物由来のコラーゲンタンパク質にはエンドトキシンが含まれている。このエンドトキシンは、極めて微量で強い発熱活性を示す耐熱性の毒素であるため、医療分野での利用を考えた場合にはコラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去は不可欠となる。
エンドトキシンを完全に失活させるには、250℃で30分以上の加熱が必要である(第十四改正日本薬局方エンドトキシン試験法)。加熱以外の方法でエンドトキシンを失活させる方法としては、酸または塩基でエンドトキシンを分解する酸・塩基処理法(例えば、特許文献1、非特許文献1〜3参照)が知られている。しかしながら、従来から知られているこれらの方法はエンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質を対象としたエンドトキシン除去方法の報告ではないため、タンパク質特有の性質を有するコラーゲンタンパク質にこれらの方法を直接適用すると以下のような問題があった。
すなわち、コラーゲンタンパク質は、高温下や酸性条件あるいは塩基性条件下におかれると変性や分解を受けやすいという、タンパク質特有の性質を有する。特に、含水状態の場合にはその作用は著しい。したがって、従来からの高温加熱処理法や酸・塩基処理法を行った場合、エンドトキシンは分解されるものの、コラーゲンタンパク質までもが変性や溶解、さらには分解してしまうという問題があった。
また、工業的な処理を考えた場合、エンドトキシンが除去されたコラーゲンタンパク質を容易に分離回収できることも要求される。
特開昭58−73371号公報
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したがって、本発明の課題は、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質からエンドトキシンを除去するにあたって、エンドトキシンを十分に分解処理できるとともに、コラーゲンタンパク質自体の変性や分解は抑えることができ、しかも前記分解処理後のエンドトキシンが除去されたコラーゲンタンパク質を容易に分離回収できる方法、および、エンドトキシンが大幅に除去されたコラーゲンタンパク質を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、エンドトキシンの分解処理を強塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液中で行うと、コラーゲンタンパク質が溶解せずに繊維化した状態のままで分散する(以下、繊維化分散状態と称することがある)ことに着目した。そして、コラーゲンタンパク質を繊維化させた状態でエンドトキシンの分解処理を行うと、エンドトキシンの分解処理が十分に進行するとともに、コラーゲンタンパク質自体の変性や分解を抑えることができ、しかも分解処理後のコラーゲンタンパク質の分離回収が極めて容易であることを見出した。
すなわち、本発明にかかるコラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去方法は、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質からエンドトキシンを除去する方法であって、塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液中で、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質を繊維化分散させた状態で前記エンドトキシンの分解処理を行った後、分解処理後のコラーゲンタンパク質を分離回収することを特徴とする。
また、本発明にかかるコラーゲンタンパク質は、コラーゲンタンパク質1mg当たりのエンドトキシン量が1EU/mg以下であることを特徴とする。
本発明によれば、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質からエンドトキシンを除去するにあたって、エンドトキシンを十分に分解処理できるとともに、コラーゲンタンパク質自体の変性や分解は抑えることができ、しかも前記分解処理後のエンドトキシンが除去されたコラーゲンタンパク質を容易に分離回収できる方法、および、エンドトキシンが大幅に除去されたコラーゲンタンパク質を提供することができる。
(コラーゲンタンパク質)
本発明においてエンドトキシン除去を行うコラーゲンタンパク質は、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質であれば特に限定されないが、好ましくは、哺乳動物の皮膚(真皮)、腱、骨、軟骨などの組織からタンパク分解酵素やアルカリ液を用いて低温下で抽出されたコラーゲンタンパク質や、魚鱗、魚皮から同様の方法で抽出されたコラーゲンタンパク質、さらには、コラーゲンタンパク質の抽出に供せられる組織原料や、工業スケールで製造されるゼラチンやコラーゲンペプチドなどの全てのコラーゲンタンパク質が挙げられる。
本発明においてエンドトキシン除去を行うコラーゲンタンパク質中に含まれるエンドトキシン量は特に限定されず、いかなる量であっても本発明の除去方法によってエンドトキシンを分解除去できるが、通常は、タンパク質1mg当たりのエンドトキシン量として0.1〜1000EU/mgのコラーゲンタンパク質を処理対象とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜50EU/mg、さらに好ましくは1〜10EU/mgである。
(エンドトキシンの分解処理)
本発明にかかるエンドトキシン除去方法においては、エンドトキシンの分解処理を塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液中で行う。
本発明において、アルコールおよび/またはアセトン溶液とは、アルコール溶液単独でもよいし、アセトン溶液単独でもよいし、アルコールとアセトンの混合溶液でもよいという意である。
本発明で用いる塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液における塩基性の程度としては、例えばpH値として、10以上が好ましく、より好ましくは11以上、さらに好ましくは12以上である。
塩基性を呈するために溶液中に含まれる塩基性化合物としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
本発明で用いる塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液は、アルコールおよび/またはアセトンと水を必須に含み、これらに相溶する水性溶剤を含んでいてもよい。アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが好ましく挙げられる。
本発明で用いる塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液の調整法は特に限定されないが、塩基性水溶液とアルコールおよび/またはアセトンとを混合して調整することが好ましい。
塩基性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液が挙げられる。塩基性水溶液の濃度は、アルコールおよび/またはアセトンとの混合比率によって様々な濃度の塩基性水溶液を用い得るので一概には言えないが、例えば、塩基性水溶液:アルコールおよび/またはアセトン=20:80(体積比)で混合する場合、好ましくは10〜0.0001N、より好ましくは5〜0.001N、さらに好ましくは2〜0.02Nである。塩基性があまりに高すぎると、本発明の除去方法であってもコラーゲンタンパク質自体の変性が起こるおそれがあるので好ましくない。また、塩基性が低すぎると、エンドトキシンの分解処理が十分に進行しないおそれがあるので好ましくない。
塩基性水溶液とアルコールおよび/またはアセトンとを混合して塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液を調整する場合、塩基性水溶液とアルコールおよび/またはアセトンとの混合比率は、体積比として、好ましくは1:99〜50:50、より好ましくは10:90〜40:60、さらに好ましくは15:85〜35:65である。
本発明にかかるエンドトキシン除去方法においては、上記のようにして得られる塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液を用いて、コラーゲンタンパク質中に含まれるエンドトキシンを分解処理する。
分解処理の際の、塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液とコラーゲンタンパク質との使用割合は、塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液の塩基性の程度やアルコールおよび/またはアセトンの含有割合、コラーゲンタンパク質中に含まれるエンドトキシン含有量によって変わるが、工業的な実施を考えた場合、例えば、コラーゲンタンパク質1gに対して、塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液が、好ましくは1〜10000ml、より好ましくは10〜5000ml、さらに好ましくは50〜1000mlである。
分解処理は、具体的には、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質と塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液とを混合して行う。この際、コラーゲンタンパク質は、塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液中において繊維化分散状態となり、このようにコラーゲンタンパク質が繊維化した状態でエンドトキシンの分解処理を行うことによって、エンドトキシンの分解処理が十分に進行するとともに、コラーゲンタンパク質自体の変性を抑えることができる。
エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質と塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液との混合形態は特に限定されない。例えば、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質に塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液を添加する形態でもよいし、塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液にエンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質を添加する形態でもよい。
塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液と混合する際の、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質の形態は特に限定されず、固体状態でもよいし、半固体状態(ペレット状など)でもよいし、溶液状態でもよい。
分解処理の際には、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質と塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液との混合物を攪拌することが好ましい。攪拌方法としては特に限定されず、従来公知の攪拌装置を用いればよい。
分解処理時間は特に限定されないが、例えば、1分〜72時間が好ましく、10分〜48時間がより好ましく、1時間〜24時間がさらに好ましい。
分解処理の温度は、2〜40℃の範囲で行うことが好ましい。2℃より低いと、処理溶液が凍結あるいは高粘度となり、攪拌ができなくなるおそれがあるので好ましくない。40℃より高いと、コラーゲンタンパク質が変性しやすくなるので好ましくない。
分解処理の温度は、より詳細には、処理するコラーゲンタンパク質が哺乳動物由来のものか魚由来のものかによって好ましい範囲が異なる。哺乳動物由来の場合には、2〜40℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは4〜35℃、さらに好ましくは10〜25℃である。魚由来の場合には、2〜30℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは4〜25℃、さらに好ましくは4〜20℃である。
本発明においては、塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液中でのエンドトキシンの分解処理は、1回のみでもよいし、2回以上行っても良い。好ましくは1〜5回、より好ましくは1〜3回、さらに好ましくは1〜2回である。
(分解処理後のコラーゲンタンパク質の分離回収)
本発明にかかるエンドトキシン除去方法においては、エンドトキシンの分解処理を行った後、分解処理後のコラーゲンタンパク質を分離回収する。
本発明における分解処理後は、コラーゲンタンパク質が繊維化分散状態で溶液中に存在しているため、コラーゲンタンパク質と溶液部分とを分離することが極めて容易となり、工業的な実施に好適である。
分離回収の方法は特に限定されないが、例えば、遠心分離や濾過や透析によって分解処理後のコラーゲンタンパク質を単離する方法が挙げられる。
遠心分離や濾過や透析によって分解処理後のコラーゲンタンパク質を単離した後は、さらにエンドトキシンフリー蒸留水などを用いて洗浄を行うことが好ましい。この洗浄操作においては、遠心分離や濾過や透析をさらに行ってもよい。洗浄回数は多いほど効果的であるが、洗浄にかかる手間やコストを考えると、通常は1〜5回が好ましく、より好ましくは2〜4回である。
最終的に得られたコラーゲンタンパク質は、そのままの状態で回収してもよいし、溶液状態にして回収してもよい。
分離回収を行う際の温度は、分解処理の際と同様、2〜40℃の範囲で行うことが好ましい。また、詳細には、処理するコラーゲンタンパク質が哺乳動物由来の場合には、2〜40℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは4〜35℃、さらに好ましくは10〜25℃である。処理するコラーゲンタンパク質が魚由来の場合には、2〜30℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは4〜25℃、さらに好ましくは4〜20℃である。
(エンドトキシンが除去されたコラーゲンタンパク質)
本発明にかかる除去方法を行うことによって得られたコラーゲンタンパク質は、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質を繊維化させた状態で前記エンドトキシンの分解処理を行っているので、エンドトキシンが十分に分解処理され、コラーゲンタンパク質1mg当たりのエンドトキシン量が、好ましくは1EU/mg以下、より好ましくは0.5EU/mg以下、さらに好ましくは0.1EU/mg以下にまで低減される。
本発明の除去方法を行うことによって得られたコラーゲンタンパク質は、エンドトキシンが大幅に低減されているので、医療用具、細胞・組織加工医薬品等の原材料、医薬品等の製剤用の基材に好適に用いることができる。また、化粧品、医薬部外品、食品用にも好適に用いることができる。
以下に、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(コラーゲン濃度)
コラーゲン濃度(mg/ml)は、セミミクロケミダール法で測定した。
(エンドトキシン含有量)
生化学工業株式会社製のエンドトキシン含有量測定用のキットを用い、当該キットの取り扱い説明書に従って、マイクロプレートを用いたカイネティック−比色法により測定を行った。
すなわち、まず、エンドスペシーES−50Mセット(生化学工業株式会社製)を用いて主剤を調製し、トキシカラーEt−1セット(生化学工業株式会社製)を用いて標準液(0.1045(EU/ml))を調製した。
次に、マイクロプレートのウェルに、エンドトキシン含有量を測定するサンプル、標準液(希釈系列として0.1045(EU/ml)、0.05225(EU/ml)、0.02613(EU/ml))、ブランクとしての蒸留水(エンドトキシン、β−グルカンフリー)をそれぞれ50μl分注し、それらウェルの各々に調整した主剤を50μl加えた。その後、マイクロプレートに蓋をし、ウェルリーダー(生化学工業株式会社製のSK603)にセットし、1分間攪拌した後、37℃で30分間反応させたときの吸光度の経時変化率(mAbs/min)を測定し、エンドトキシン含有量(EU/ml)を求めた。
(比旋光度)
旋光度測定装置(HORIBA製、SEPA−300型)を用いて、波長589nm、温度20℃で旋光度を測定した。所定の既知の公式により比旋光度を求めた。
(SDS−PAGE電気泳動)
5%分離ゲル(BIO−RAD社製)を用いて、SDS−PAGE電気泳動を行った。
[コラーゲンタンパク質ペレットの調製]
豚皮由来の酵素可溶化コラーゲン溶液(pH=3)のpHを7〜7.4に調整し、4℃で1時間攪拌することにより、コラーゲンタンパク質を繊維化状態で析出させた。次に冷却高速遠心分離(4℃、8000rpm、20分)することにより、コラーゲンタンパク質をペレット状として回収した。得られたコラーゲンタンパク質ペレットを以下の実施例、比較例で用いた。
なお、上記豚皮由来の酵素可溶化コラーゲン溶液中のコラーゲン濃度(mg/ml)、エンドトキシン含有量(EU/ml)、タンパク質1mg当たりのエンドトキシン量(EU/mg)、比旋光度、および、SDS−PAGE電気泳動の異常の有無について測定した結果を表1に示した。
[実施例1]
コラーゲンタンパク質ペレット50gを、0.2Nの水酸化ナトリウムを含有する80%エタノール(エタノール:水=80:20)400mlに加え、4℃で24時間攪拌した。コラーゲンタンパク質は繊維化分散状態となっていた。
次に、コラーゲンタンパク質を冷却高速遠心分離(4℃、8000rpm、20分)にて分離した。コラーゲンタンパク質が繊維化状態となっていたので、分離は極めて容易であった。分離したコラーゲンタンパク質に注射用蒸留水を400ml加え、4℃で60分間攪拌した後、冷却高速遠心分離(4℃、8000rpm、20分)にて分離する操作を2回繰り返して洗浄し、エンドトキシンが低減されたコラーゲンタンパク質(1)を得た。
得られたコラーゲンタンパク質(1)に注射用蒸留水を300ml加え、希薄塩酸を添加してpH=3に調整しながら攪拌することによってコラーゲンタンパク質(1)が溶解した酸性水溶液とした。
得られた水溶液を用いて、コラーゲンタンパク質(1)中のコラーゲン濃度(mg/ml)、エンドトキシン含有量(EU/ml)、コラーゲンタンパク質1mg当たりのエンドトキシン量(EU/mg)、比旋光度、および、SDS−PAGE電気泳動の異常の有無について測定した。
結果を表1に示した。
[実施例2]
実施例1において、0.2Nの水酸化ナトリウムを含有する80%エタノール(エタノール:水=80:20)の代わりに、0.4Nの水酸化ナトリウムを含有する80%エタノール(エタノール:水=80:20)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例1と同様、コラーゲンタンパク質が繊維化分散状態となっていたので、冷却高速遠心分離後のコラーゲンタンパク質の分離は極めて容易であった。
得られたコラーゲンタンパク質(2)中のコラーゲン濃度(mg/ml)、エンドトキシン含有量(EU/ml)、コラーゲンタンパク質1mg当たりのエンドトキシン量(EU/mg)、比旋光度、および、SDS−PAGE電気泳動の異常の有無について測定した。
結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例1において、0.2Nの水酸化ナトリウムを含有する80%エタノール(エタノール:水=80:20)の代わりに、0.2Nの水酸化ナトリウムを含有する80%アセトン(アセトン:水=80:20)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
実施例1と同様、コラーゲンタンパク質が繊維化分散状態となっていたので、冷却高速遠心分離後のコラーゲンタンパク質の分離は極めて容易であった。
得られたコラーゲンタンパク質(3)中のコラーゲン濃度(mg/ml)、エンドトキシン含有量(EU/ml)、コラーゲンタンパク質1mg当たりのエンドトキシン量(EU/mg)、比旋光度、および、SDS−PAGE電気泳動の異常の有無について測定した。
結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において、0.2Nの水酸化ナトリウムを含有する80%エタノール(エタノール:水=80:20)の代わりに、水酸化ナトリウムを含有しない80%エタノール(エタノール:水=80:20)を用いた以外は実施例1と同様に行った。
得られたコラーゲンタンパク質(C1)中のコラーゲン濃度(mg/ml)、エンドトキシン含有量(EU/ml)、コラーゲンタンパク質1mg当たりのエンドトキシン量(EU/mg)、比旋光度、および、SDS−PAGE電気泳動の異常の有無について測定した。
結果を表1に示した。
[比較例2]
コラーゲンタンパク質ペレット50gを、0.2Nの水酸化ナトリウム水溶液400mlに加え、4℃で24時間攪拌した。コラーゲンタンパク質は溶解し、繊維化分散状態とはならなかった。
次に、コラーゲンタンパク質を繊維化させる通常の方法である等電点沈殿を試みた。すなわち、コラーゲンタンパク質溶液中のコラーゲンタンパク質分子は電荷の反発によってコロイド分散しており、通常、電荷の反発がなくなるpH=7.4付近とすれば分散状態から凝集して繊維化状態となることが一般に知られている。そこで、上記において得られたコラーゲンタンパク質溶液に塩酸を添加してpH=7.4とし、1時間攪拌を行った。しかしながら、通常とは異なり、コラーゲンタンパク質は溶解したままで、繊維化分散状態にはならなかった。この原因として、例えば、一旦比較的強い塩基性とした後に酸を加えてpH=7.4付近に調整すると、加えた酸ともとの塩基との間で塩が生じ、その塩の存在が影響してコラーゲンタンパク質が繊維化分散状態にならないことが考えられる。すなわち、エンドトキシンの分解処理を行うために、コラーゲンタンパク質を一旦比較的強い塩基性溶液状態としてしまうと、その後に繊維化分散状態にすることが困難となることが判った。
なお、実施例1、2、3と同様の冷却高速遠心分離を行っても、やはりコラーゲンタンパク質は分離できなかった。
Figure 2009173678
実施例1、2、3に示すように、塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液中で、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質を繊維化分散させた状態で前記エンドトキシンの分解処理を行うと、タンパク質1mg当たりのエンドトキシン量が大幅に低減されるとともに、比旋光度の変化が少なくSDS−PAGEの異常も見られないことからコラーゲンタンパク質自体の変性や分解が抑えられていることが判る。また、分解処理後のコラーゲンタンパク質の分離回収が極めて容易となっている。
一方、比較例1に示すように、塩基を用いないで分解処理を行うと、比旋光度の変化が少なくSDS−PAGEの異常も見られないことからコラーゲンタンパク質自体の変性や分解は抑えられているが、しかしながら、タンパク質1mg当たりのエンドトキシン量が十分に低減できないことが判る。
また、比較例2に示すように、アルコールおよび/またはアセトンを用いないで分解処理を行うと、コラーゲンタンパク質を一旦比較的強い塩基性溶液状態としてしまうとその後に繊維化分散状態にすることが困難となることから、コラーゲンタンパク質の分離回収が極めて困難となることが判る。

Claims (3)

  1. エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質からエンドトキシンを除去する方法であって、
    塩基性のアルコールおよび/またはアセトン溶液中で、エンドトキシンを含むコラーゲンタンパク質を繊維化分散させた状態で前記エンドトキシンの分解処理を行った後、分解処理後のコラーゲンタンパク質を分離回収する、
    ことを特徴とする、コラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去方法。
  2. 前記分解処理および分離回収を2〜40℃の温度範囲で行う、請求項1に記載のコラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去方法。
  3. コラーゲンタンパク質1mg当たりのエンドトキシン量が1EU/mg以下である、コラーゲンタンパク質。
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