JPS6283849A - コラ−ゲンの精製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 この発明は、コラーゲンを含有する動物組織から、コラ
ーゲン以外の物質を除去し、高純度のコラーゲンまたは
ゼラチンを得るためのコラーゲンの精製法に関する。

〔背景技術〕

一般に動物組織内において、コラーゲンは、組織を構成
している他の成分、例えば、プロテオグリカン、糖タン
パク質、無機質等との密接な相互作用によって不溶化し
ている。したがって、このような動物組織から高純度の
コラーゲンを得る場合には、前述したようなコラーゲン
以外の物質（非コラーゲン物質）を除去するために、た
とえば、次のような精製法が行われている。

すなわち、まず、原料である動物組織に付着している非
コラーゲン物質を物理的に、できるだけ取り除く。つぎ
に、残ったコラーゲンに対し、溶解、沈澱の操作を繰り
返して非コラーゲン物質を取り除き、高純度のコラーゲ
ンを得る。

しかしながら、このような精製法では、コラーゲンの損
失があって充分な収量が得られず、また、コスト面でも
満足できるものではなかった。

〔発明の目的〕

この発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであって
、コラーゲンを含有する動物組織から、効率よく非コラ
ーゲン物質を除去し、高純度のコラーゲンを高収率で得
るためのコラーゲンの精製法を提供することを目的とし
ている。

なお、ゼラチンはコラーゲンの熱変性物であることから
、この発明は、高純度のゼラチンを高収率で得るための
コラーゲンの精製法を提供することをも目的としている
。

〔発明の開示〕

以上の目的を達成するため、この発明は、高純度のコラ
ーゲンまたはゼラチンを得るためのコラーゲンの精製法
であって、コラーゲンを含有する動物組織からコラーゲ
ン以外の物質を１．０規定以下の濃度の希アルカリ溶液
によって抽出して除去するコラーゲンの精製法を要旨と
している。

以下に、この発明をくわしく説明する。

まず、コラーゲンを含有する動物組織を、通常の装置５
方法で摩砕あるいは、こまかく粉砕して試料を得る。こ
のとき、動物組織が骨などの硬組織である場合には、こ
の試料に対し、適当な方法−で脱灰処理を行い、動物組
織が骨などの硬組織でない場合には、試料をそのままで
使用する。

以上のような試料に対し、非コラーゲン物質を溶かす１
．０規定以下、好ましくは０．５規定以下の希アルカリ
溶液を添加し、撹拌あるいは振とうなどの方法によって
混合する。前述したような性質を有する希アルカリ溶液
に使用されるアルカリ化合物としては、種々のものが考
えられるが、例えば次のような化合物が、この発明に好
ましいアルカリ化合物としてあげられる。

水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化°リチウム
およびアンモニア等。

以上のようなアルカリ化合物を用いてコラーゲンを処理
する方法は、従来にも種々報告されていた。たとえば、
このような報文の一例として、（１）Ｃ，Ｄ、１Ｉｅｙ
　ａｎｄ　Ｇ、５ｔａｉｎｓｂｙ：Ｂｉｏｃｈｉｍ、　
Ｂｉｏｐｈｙｓ。

Ａｃｔａ、９７，３６４−３６６（１９６５）　、（２
）　Ｇ、Ｄ、Ｋｅｍｐ　ａｎｄ　Ｇ、Ｒ。

Ｔｒｉｓｔｒａｍ：Ｂｉｏｃｈｅｍ、Ｊ、、１２４，９
１５−９１９（１９７１）　、（３１Ｒ，Ｊ、八、Ｇｒ
ａｎｄ　　ａｎｄ　　Ｇ、５ｔａｉｎｓｂｙ：Ｊ、Ｓｃ
ｉ、Ｆｏｏｄ　　Ａｇｒｉｃ。

、２６，２９５−３０２（１９７５）　、等があげられ
る。しかしながら、これらの報告は、いずれも、コラー
ゲンの精製のみを目的とするものではなく、不溶性コラ
ーゲンを酸等に対して可溶化することを主な目的とする
ものであった。これらの報告による方法は、１．２５〜
４規定程度の高濃度のアルカリ水溶液を用いるものであ
るため、温度等の条件管理がむすかしかった。また、こ
れらの方法では、目的とする、不溶性コラーゲン分子内
あるいは分子間架橋の切断による可溶化反応の他に、コ
ラーゲン分子自体の分解および変性反応が発生する恐れ
もあるなど、実用性に乏しいものであった。

これに対し、この発明は、前述したように、１゜０規定
以下の濃度の希アルカリ溶液を使用することによって、
コラーゲンの精製を行うことを目的としたものであり、
これによれば、コラーゲン分子の分解や変性を避けるこ
とが容易となる。アルカリ処理の温度は、この発明では
特に限定されず、使用する動物組織の種類および処理時
間によって変動させることができるが、通常は室温以下
で行うことが好ましい。特に、未変性コラーゲンを精製
する場合には、コラーゲンが熱により変性しない温度条
件で行うことが必要となる。たとえば、動物組織として
、哺乳動物ｍ織を使用する場合には、処理温度を１５°
Ｃ以下に、魚類などの変温動物組織を使用する場合には
、処理温度を５°Ｃ以下にそれぞれ保つことで、コラー
ゲンの変性を防ぐことができるようになる。

以上のようなアルカリ処理の時間も、この発明では特に
限定されないが、通常は、はぼ１〜４日間の処理を行え
ば、非コラーゲン物質はアルカリ溶液中に抽出されて除
去されてしまい、いわば、抽出残渣として高純度のコラ
ーゲンが得られるのである。

このようにして得られた高純度のコラーゲンからは、例
えば中性塩可溶性コラーゲン、酸可溶性コラーゲン、蛋
白分解酵素処理コラーゲンおよびゼラチン等の製品を通
常の方法によって製造することができる。その場合には
、原料であるコラーゲンが、前述したように不純物を含
まない高純度のものであるため、工程を簡略化すること
ができ、しかも、出来あがった製品の純度をも高純度に
できるのである。

以上のように、この発明のコラーゲンの精製法では、１
．０規定以下という低い濃度の希アルカリ溶液によって
処理を行うようになっているため、コラーゲン自体はほ
とんど変性を受けることがなく、また、はとんどのコラ
ーゲンは抽出されずに抽出残渣として残る。ところが、
動物組織を構成するコラーゲン以外の物質（非コラーゲ
ン物質）は、前記希アルカリ溶液によって効率よく抽出
され、はぼ完全に除去されてしまう。このため、この発
明のコラーゲンの精製法を用いれば、高純度のコラーゲ
ンまたはゼラチンを、高収率で得ることが可能となるの
である。

つぎに、この発明の実施例について、くわしく説明する
。

（実施例１） 上皮および皮下組織を取り除いたメバチマグロ皮１００
ｇを、冷水と共にポリトロンホモジナイザー（Ｋｉｎｅ
ｍａｔｉｃａ社製）中に投入して磨砕を行ったあと、こ
の磨砕物を遠心分離して沈澱物を得、試料とした。この
試料に対し、１０倍量の０．１規定水酸化ナトリウム水
溶液を加え、４°Ｃ９２４時間の撹拌を行って非コラー
ゲン物質を前記水酸化ナトリウム水溶液中に抽出させた
。このあと、遠心分離を行って非コラーゲン物質が抽出
された水酸化ナトリウム水溶液を除去し、沈澱物を抽出
残渣とした。この抽出残渣に対し、前記非コラーゲン物
質の抽出および遠心分離の操作をさらに２回くりかえし
て行い、抽出残渣を得て非コラーゲン物質の除去を終了
した。

以上の操作で得られた抽出残渣を冷水で水洗したあと、
１００倍量の０．５規定酢酸を加えて撹拌を行い、酸可
溶性コラーゲンを前記酢酸中に抽出させた。このものに
対し、遠心分離を行って上滑と沈澱物とを分離し、上清
から前記酸可溶性コラーゲンを得た。このとき、メバチ
マグロ皮１００ｇに対する酸可溶性コラーゲンの収量は
、８．３ｇであった。なお、メバチマグロ皮の磨砕から
、この酸可溶性コラーゲンの回収までの全工程は４°Ｃ
の温度条件で行った。

酸可溶性コラーゲンを抽出したあとの抽出残渣である前
記沈澱物を、水洗後、１２０°Ｃのオートクレーブ中に
入れ、熱水抽出してゼラチン（熱変性コラーゲン）を得
た。このとき、メバチマグロ皮１００ｇに対するゼラチ
ンの収量は３５．４　ｇであった・ メハチマグロ皮１００ｇに対する前記酸可溶性コラーゲ
ンとゼラチンの収量はそれぞれの理論収量とほぼ等しく
、他の両分への遺失は認められなかった。

以上の操作で得られた酸可溶性コラーゲンおよびゼラチ
ンについて、その後の精製をせずに、そのままの状態で
５ＤＳ−ポリアクリルアミドゲル電気泳動測定およびア
ミノ酸分析を行った結果、いずれのものについても、非
コラーゲン物質を検出することはできず、これらのもの
が高純度であることがわかった。

さらに、酸可溶性コラーゲンの円二色性（Ｃｉｒ−ｃｕ
ｌａｒ　ｄｉｃｈｒｏｉｓｍ）を測定し、その結果から
、２２１ｎｍにおける平均残基分子楕円率を算出したと
ころ、６０００　（ｄｅｇ　　−ｃｏｔ／ｄｍｏｌ）で
あって、既知の未変性コラーゲンの値と一致するもので
あった。このことから、この実施例で得られた酸可溶性
コラーゲンは未変性で、三重ラセン構造を保持しており
、この酸可溶性コラーゲンの出発物質である前記非コラ
ーゲン物質抽出残渣も未変性であったことが確認された
。

（比較例） つぎに、この発明の有効性を明らかにすることを目的と
して、以下のような比較試験を行った。

０．１規定水酸化ナトリウム水溶液による非コラーゲン
物質の除去を行わなかった以外は、先の実施例１と同様
にして、メバチマグロ皮から酸可溶性コラーゲンおよび
ゼラチンを製造した。その結果、メバチマグロ皮１００
ｇから酸可溶性コラーゲン８．７ｇとゼラチン３６．６
　ｇが得られた。これらの製品について、５ＤＳ−ボリ
アクリルア、ミドゲル電気泳動測定およびアミノ酸分析
を行った結果、酸可溶性コラーゲンからは０．３ｇの、
ゼラチンからは１．３ｇの不純物が検出された。

このことから、この発明のコラーゲンの精製法を用いた
先の実施例１では、いかに効率よく非コラーゲン物質が
除去されていたかがわかった。

（実施例２） マサバのアラ（頭骨、を椎、ヒレ等）を肉挽機にかけた
あと、ワーリングブレンダ中に投入して磨砕し、アラ磨
砕物を得た。このアラ磨砕物に、ｐＨ７，３に調整した
０、　５　Ｍエチレンジアミン四酢酸水溶液を加え、５
°Ｃで２日間の脱灰処理を行って試料とした。この試料
に対し、０．５規定の水酸化ナトリウム水溶液を加え、
５°Ｃ，２日間の非コラーゲン物質抽出除去操作を行っ
た。この非コラーゲン物質抽出除去操作を２回くりかえ
して行ったあと、その抽出残渣を１２０°Ｃオートクレ
ーブ中で熱水処理して、ゼラチンを得た。

アラ磨砕物に対するゼラチンの収量をしらべたところ、
前記アラ摩砕物湿重量１００ｇに対し、７．１ｇのゼラ
チンが得られたことがわかった。これは、ゼラチンのマ
サバアラからの理論収量とは−ぼ等しく、はぼ１００％
のゼラチンが回収されたことがわかった。このことから
、このゼラチンの出発物質である前記抽出残渣の収率も
ほぼ１００％であったことが推測された。

また、このゼラチンについても、５ＤＳ−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動測定によって検定したところ、非コ
ラーゲン物質の存在は認められなかった。

（実施例３） 上皮および皮下ｍｉを取り除いたブタ皮を肉挽機で破砕
したあと、氷冷しながら、さらに、微粉砕機（増車産業
社製、マスコロイダー）を用いて磨砕して試料とした。

この試料について、実施例１と同様に、０．１規定の水
酸化ナトリウム水溶液を用いて非コラーゲン物質を抽出
除去し、抽出残渣を得た。この抽出残渣中のコラーゲン
含有量をヒドロキシプロリンの含量より算出したところ
、乾重量中９７重量％がコラーゲンであることがわかっ
た。

以上の抽出残渣から、実施例１と同様の操作によって酸
可溶性コラーゲンおよびゼラチンを製造したところ、ブ
タ皮１００ｇに対し、０．４ｇの酸可溶性コラーゲンと
、１４．２　ｇのゼラチンが得られた。また、この酸可
溶性コラーゲンとゼラチンについて、５ＤＳ−ポリアク
リルアミドゲル電気泳動測定によって検定したところ、
いずれのものについても、非コラーゲン物質の存在は認
められなかった。また、得られた酸可溶性コラーゲンに
ついて、実施例１と同様に円二色性を測定した結果によ
り、前記非コラーゲン物質抽出残渣が未変性であったこ
とがＳ’ｆｌ　Ｌ’２された。

〔発明の効果〕

この発明のコラーゲンの精製法は、以上のように構成さ
れており、１．０規定以下という低い濃度の希アルカリ
溶液によって処理を行うようにしているため、コラーゲ
ン自体に変性を生じることなく、非コラーゲン物質が効
率よく抽出除去されてしまい、結果として、コラーゲン
を含有した動物組織から、高純度のコラーゲンまたはゼ
ラチンを高収率で得ることが可能となっている。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. （１）高純度のコラーゲンまたはゼラチンを得るための
   コラーゲンの精製法であって、コラーゲンを含有する動
   物組織からコラーゲン以外の物質を１．０規定以下の濃
   度の希アルカリ溶液によって抽出して除去するコラーゲ
   ンの精製法。