JP3022531B2 - イカの軟甲の処理方法 - Google Patents

イカの軟甲の処理方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水産廃棄物であるイ
カ軟甲の処理方法に関し、キチンや蛋白質加水分解物を
得ることができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】キチン
はそのままで人工皮膚などの医療用として使用されるだ
けでなく凝集剤あるいは種々の機能性物質の原料として
有用であるキトサンやカルシウム代謝に関連する関節性
疾患の治療薬や抗酸化剤として有用なグルコサミンおよ
びその塩類を誘導するための重要な物質である。特に近
年、キチン、キトサンの用途開発が急速に進みつつあ
る。
【0003】従来、キチンを製造するための原料として
は、集積などの関係から甲殻類、例えばカニ、エビなど
の甲殻が利用されてきた。これの原料は、10〜30%
のキチン以外に、炭酸カルシウムを主とする灰分20〜
50%、蛋白質10〜40%および若干の脂質、色素な
どを含有している〔キチン/キトサンの科学,33頁,
「キチン、キトサンの生産と利用の現状」,昭和62年
8月20日(株)食品化学新聞社発行〕。よって、キチ
ンの製造においては、キチン以外の不純物を除去する必
要があり、約3〜4%の水酸化ナトリウム水溶液を用い
て100℃程度の加熱下に蛋白を除き、また約5%の塩
酸を用いて灰分を除いている。さらにカニ、エビ類特有
の赤色色素アスタキサンチン類を除去するために溶媒、
漂白剤などが必要に応じて用いられる。処理方法にもよ
るが乾燥カニ殻1トンから得られるキチンは260〜3
30kgであるが脱蛋白による高BODの廃液、脱灰に
よる塩化カルシウムを多量に含む廃液などを併せると1
00トン近くにもなるという(前記キチン/キトサンの
科学,「キチン、キトサンの生産と利用の現状」36
頁)。この問題を回避するために脱蛋白を微生物の分泌
する酵素を利用して行う方法が考案されている(水産大
学研究報告13巻,109頁,1964年;Comp.
Biochem.Physiol.70B,173頁,
1981年など)。しかしながら、一般にキチンを多量
に含有する物質およびキチンそのものは水に殆ど不溶の
物質であり、このような方法では蛋白質の完全な除去が
困難であったり、反応に時間がかかるなどの問題があ
り、現状では実用化には至っていない。それで、現在で
は原料費や薬剤費よりも多大な廃液処理費用をかけてキ
チンを製造しているのが実状である。また、甲殻類を原
料とする調味料としては、イカの肉質を使用したものが
市販されている〔別冊フードケミカル−2,天然調味料
総覧,昭和63年12月30日(株)食品化学新聞社発
行〕が、軟甲を使用したものは見当たらない。
【0004】
【課題を解決するための手段】これに鑑みて本発明者ら
はキチンの工業的製造法について鋭意検討を行った結
果、イカの軟甲はキチンの含量が高いにもかかわらず、
カニ、エビなど甲殻類の甲殻と比べものにならない程灰
分の含量が低いことに着目した。そして、これを原料と
した場合脱灰は実際上必要でなく、脱蛋白を希塩酸や希
水酸化ナトリウムで行い、不溶性のキチンを分別後、抽
出物を濃縮あるいは塩析による分離後、塩酸中で加熱処
理することにより蛋白質加水分解液とし、脱塩酸あるい
は水酸化ナトリウムで中和することにより食品用の調味
料として供することが出来ることを見出した。また、さ
らにイカの軟甲は本質的に色素を含有しないので、キチ
ンの製造において、エビやカニの甲殻を原料として使用
する場合に必要な脱色操作が不要であるかまたは必要と
しても極めて少量の脱色剤の使用で充分であることを見
出した。
【0005】本発明はこれらの新知見に基づくもので、
イカの軟甲に0.3〜3規定濃度の希塩酸もしくは希水
酸化ナトリウム水溶液を加えて蛋白質を抽出し、不溶分
のキチンを抽出液と分別し、希塩酸で抽出したときは抽
出液を濃縮し、又は希水酸化ナトリウム水溶液で抽出し
たときは抽出液に塩酸を加えて、塩酸濃度を約6規定に
なるようにし、次いで加熱して抽出液中の蛋白質を加水
分解することを特徴とするイカの軟甲の処理方法であ
る。
【0006】本発明で用いられるイカの軟甲とは海洋に
おいて棲息するスルメイカ(Todarodes pa
cificus),アオリイカ(Sepioteuth
islessoniana)などの軟体動物,頭足綱,
イカ類の軟甲の部分である(上記の分類と名称は新日本
動物図鑑〔中〕、307頁、岡田要ら著、昭和56年北
隆館発行による)。イカ軟甲は生の湿潤状態でもよい
が、乾燥減量20%程度まで乾燥した方が保存上好まし
い。
【0007】イカ軟甲の抽出を希酸で行う場合、希酸と
しては希薄な塩酸が好ましく、乾燥軟甲1重量部に対し
て0.3〜3規定濃度の塩酸1〜10重量部を加え、室
温〜100℃で数時間加熱処理を行い、蛋白質を抽出す
るのがよい。塩酸の濃度はこの範囲以下では原料の膨潤
を生じ、以上ではキチンの分子主鎖が加水分解されて低
分子量のキチンになるばかりか、キチンと蛋白抽出液と
の分離が困難となる。塩酸の量はこの範囲以下では原料
全体に浸透しにくくなるために得られるキチンの品質に
問題を生じ、以上では特に問題はないが実際上不経済で
ある。温度についてはこの範囲以下では処理に要する時
間が長くなり、以上ではキチンの分子主鎖の加水分解を
生じる。加熱時間は塩酸の濃度、加熱温度により種々の
時間を取りうるが、24時間以内で充分である。
【0008】希アルカリでイカ軟甲を抽出する場合、希
アルカリとしては希水酸化ナトリウム水溶液が好まし
い。一般に乾燥軟甲1重量部に対して0.3〜3規定濃
度の水酸化ナトリウム水溶液1〜20重量部を加え、室
温〜100℃で数時間加熱処理を行って蛋白質を抽出す
るのがよい。水酸化ナトリウム水溶液の濃度はこの範囲
以下では原料の膨潤を生じ、以上では特に問題ないが高
濃度になるとキチンを構成するN−アセチルグルコサミ
ンの脱アセチル化を生ずる。水酸化ナトリウム水溶液の
量は塩酸の場合と同様のことが言える。温度については
この範囲以下では処理にかかる時間が長くなり、以上で
はキチンの脱アセチル化を生じる。加熱時間については
塩酸の場合と同様である。
【0009】上記のように希酸または希アルカリで軟甲
から蛋白質を抽出したのち、濾過などにより不溶分を可
溶成分と分別し、不溶分を水洗、乾燥すれば0.3〜
0.4重量部程度のキチンを得ることができる。上記の
水洗により生ずる洗液は次回以降の蛋白抽出用の希酸ま
たは希アルカリ液調製時に濃酸またはアルカリを希釈す
るのに用いることができる。
【0010】キチンを分離した液から次のようにして調
味料を得る。キチンを分離するためにイカ軟甲を希薄な
塩酸で処理した場合は6規定濃度位の塩酸になるように
濃縮する。回収した塩酸は次回の脱蛋白に使用すること
ができる。水酸化ナトリウム水溶液で処理した場合はそ
のままでもよいが中和後1/5位まで濃縮し、同じく6
規定濃度位の塩酸になるように塩酸を加えるか、あるい
は、pH3位に調整し凝集する蛋白質をデカンテーショ
ンなどにより分離後、同じく6規定濃度位の塩酸になる
ように塩酸を加える。
【0011】これらの方法によって調整されたものを常
圧から加圧条件下で加熱し、7〜14時間蛋白質の加水
分解を行う。加熱時間は圧力条件により異なるが常圧、
還流下であれば14時間位が適当である。
【0012】加水分解終了後、イオン交換などの方法で
脱塩酸するか、水酸化ナトリウムで中和することにより
調味料として供することが出来る。また活性炭吸着等の
常法の脱色操作で無色とすることが出来るために非常に
有用である。本発明の調味料はアラニンを多く含んでお
りまろやかな旨味を有し、飲食物に添加すると風味の向
上が期待出来る。容易に無色のものが得られるので惣菜
類、特に浅漬けなどには最適である。
【0013】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説
明する。
【0014】実施例1 10mm以下に粉砕したイカ軟甲150g(乾燥重量1
24.8g)を80℃に加温した1規定濃度の塩酸15
00gに加え、その温度で3時間強く攪拌を続けた。所
定時間後氷水で冷却したのちバスケット型遠心分離機を
用いて固液分離し、濾滓を水洗後60℃で送風乾燥する
ことによりキチン56.9g(乾燥重量53.4g)を
得た。濾液は1/10重量まで濃縮し還流下で14時間
加熱攪拌を行った。冷却後水酸化ナトリウムで中和し一
晩放置して不溶性のアミノ酸などを濾過後、活性炭を用
いて脱色を行い無色透明の蛋白加水分解液217mlを
得た(比重1.13)。この液の全窒素量は20.0m
g/ml、ホルモル窒素量は14.0mg/ml、食塩
含量は171mg/mlであった。アミノ酸分析計によ
るアミノ酸組成を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】実施例2 10mm以下に粉砕したイカ軟甲150g(乾燥重量1
21.2g)を30℃に加温した0.5規定濃度の水酸
化ナトリウム1500gに加え、その温度で3時間強く
攪拌を続けた。所定時間後氷水で冷却したのちバスケッ
ト型遠心分離機を用いて固液分離し、濾滓を0.5規定
濃度の水酸化ナトリウムで洗浄し、水洗後60℃で送風
乾燥することによりキチン51.7g(乾燥重量50.
2g)を得た。濾液は塩酸で中和後濃縮し、飴状の濃縮
液279gを得た。これに濃塩酸250gを加え還流下
14時間加熱攪拌を行った後、実施例1と同様に処理し
て無色透明の蛋白加水分解液590mlを得た。
【0017】実施例3 実施例2において遠心分離機により得られた濾液をpH
3に調整し、デカンテーションにより含水状態の蛋白凝
固物268gを得た。これに濃塩酸268gを加え実施
例1と同様に処理することにより無色透明の蛋白加水分
解液640mlを得た。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば大量の廃液を生ずる従来
のキチンの製法に比較して使用する薬品は少なく、かつ
全く廃液を生じないクローズドシステムとすることが出
来る上、蛋白抽出物を蛋白加水分解物として調味料に供
することが出来ることから工業的優位さはもとより環境
汚染防止の点からも大いに貢献することができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特許175981(JP,C2) ・須山三千三他著「イカの利用」全国 イカ加工業共同組合(昭和55年11月7 日)第96−98頁 ・「別冊フードケミカル1 キチン /キトサンの科学」食品科学新聞社(昭 和62年8月20日)第1−4ページ (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/22 - 1/237 A23L 1/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イカの軟甲に0.3〜3規定濃度の希塩
    酸もしくは希水酸化ナトリウム水溶液を加えて蛋白質を
    抽出し、不溶分のキチンを抽出液と分別し、希塩酸で抽
    出したときは抽出液を濃縮し、又は希水酸化ナトリウム
    水溶液で抽出したときは抽出液に塩酸を加えて、塩酸濃
    度を約6規定になるようにし、次いで加熱して抽出液中
    の蛋白質を加水分解することを特徴とするイカの軟甲の
    処理方法。
  2. 【請求項2】 イカの軟甲を希塩酸もしくは希水酸化ナ
    トリウム水溶液で抽出したのち、不溶分を分別し、水洗
    してキチンを得、水洗液を次回以降の蛋白質抽出用の希
    塩酸又は希水酸化ナトリウム液調製時に濃塩酸もしくは
    水酸化ナトリウムを希釈するのに用いる請求項1記載の
    方法。
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・「別冊フードケミカル1 キチン/キトサンの科学」食品科学新聞社(昭和62年8月20日)第1−4ページ
・須山三千三他著「イカの利用」全国イカ加工業共同組合(昭和55年11月7日)第96−98頁

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