JP2008105025A - 有害物質捕集材、その製造方法及び有害物質処理方法 - Google Patents

有害物質捕集材、その製造方法及び有害物質処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有害物質を十分に捕集することができると共に、環境への負荷が低い有害物質捕集材、その製造方法、並びにこの有害物質捕集材を用いた有害物質処理方法を提供する。
【解決手段】基材と、該基材に結合されたグラフト鎖と、該グラフト鎖に結合された有害物質捕捉能を有する官能基とを備えた有害物質捕集材であって、該基材はメチルセルロースなどの生分解性水溶性基材であることを特徴とする有害物質捕集材。この有害物質捕集材を、生分解性水溶性基材に対し、反応性官能基を持つグラフト鎖をグラフト重合法により結合させ、該グラフト鎖に有害物質捕捉能を有する官能基を結合させることにより、製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、有害物質捕集材、その製造方法及び有害物質処理方法に係り、特に、有害物質たる重金属を効率よく除去することが可能な有害物質捕集材、その製造方法及び有害物質処理方法に関する。
ごみ焼却場より排出される飛灰、有害物質により汚染された土壌、産業廃棄物最終処分場で埋設処理される廃棄物、工場排水、工場や下水水処理場などから排出される悪臭ガスなどに含まれる有害物質は、何らかの方法で無害化もしくは拡散を防止した上で廃棄や管理運営することが法定されている。
例えば、ごみ焼却場においては、重金属などの有害物質を多数含有する飛灰が、焼却処分をするごみ量の約1.5%程度発生しており、この飛灰中に含まれる有害物質を無害化する必要がある。
また、工場などの跡地においては、土壌が有害物質により汚染されている場合が多く見られ、そのような場合には土地利用に先立ち土壌浄化を行う必要がある。
さらに、各工場から排出される廃棄物は、産業廃棄物として最終処分場において埋め立て処分されているが、これらの処分場においては、雨水により浸出汚水が発生する。この浸出汚水中には有害な有機酸類、重金属等の有害物質が含まれており、無害化処理等を行う必要がある。
工場排水においては、めっき工場、表面処理工場、半導体製造工場等から重金属などの有害物質が排出されるため、こうした有害物質を除去する手段を講じることが不可欠である。
工場や下水水処理場においては、排気塔や排水、脱水ケーキなどの排出物から硫化水素等の有害物質や悪臭物質が拡散するため、これらの拡散を防止する必要がある。
I 排水処理及び汚染土壌処理
排水や土壌中の有害物質を除去する方法としては、沈殿法、置換法、吸着法などの技術が適用されている。沈殿法としては、アルカリ沈殿法や共沈法などが知られている。置換法としては、キレート剤による処理が知られている。吸着法としては、イオン交換樹脂、キレート樹脂、活性炭などを利用した処理方法が知られている(これでわかる水処理技術 吉村二三隆著 工業調査会)。
特に、水溶性有害物質の除去方法としては、液体キレート剤が知られている。この方法は、処理対象排水に直接混合することができるというメリットを有している(特開2001−270854号、特表2002−534564号)。
しかしながら、これら従来の技術では、有害物質を十分に捕集することができるとはいえない。また、砒素、セレン、クロムについては捕集が不可能であるという課題や、人体に対する毒性が高く、取り扱いには細心の注意が必要であるという課題を有している。
II 臭気処理
臭気中の有害物質の除去としては、従来、酸化剤による分解や吸着による除去などが行われている。また、空気中に拡散した臭気については、空気と共に集めて脱臭設備で処理したり、集めることが困難な場合には、臭気吸着剤を直接に散布・噴霧して拡散を防止する方法がとられている。
しかしながら、臭気吸着剤は拡散して空気中に残留するため、環境に対する負荷が低いものが望ましいが、従来の臭気吸着剤には界面活性剤などが含まれていることが多く、環境対策は十分ではない。
III グラフト重合を利用した有害物質の除去方法
ところで、ポリエチレン等の高分子基材に対してグラフト重合法によりグラフト鎖を形成し、このグラフト鎖にキレート形成基を導入してなる吸着材を用い、金などの有用稀少金属を吸着回収する方法が知られている(特開2005−154973号)。
また、グラフト重合体を利用した有害物質の除去材として、ポリエチレンや不織布などの水難溶性の基材を用い、かかる基材に官能基を導入した吸着材が検討されている。
しかしながら、かかる吸着材は水に難溶であるため、排水中に十分に拡散させることができず、排水中の有害物質を十分に除去することができない。また、基材が分解し難い材質であるため、環境への負荷が大きい等の課題もある。
これでわかる水処理技術 吉村二三隆著 工業調査会 特開2001−270854号 特表2002−534564号 特開2005−154973号
本発明は、上記事情に鑑み、有害物質を十分に捕集することができると共に、環境への負荷が低い有害物質捕集材、その製造方法、並びにこの有害物質捕集材を用いた有害物質処理方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の有害物質捕集材は、基材と、該基材に結合されたグラフト鎖と、該グラフト鎖に結合された有害物質捕捉能を有する官能基とを備えた有害物質捕集材であって、該基材は生分解性水溶性基材であることを特徴とするものである。
請求項2の有害物質捕集材は、請求項1において、前記生分解性水溶性基材は、天然セルロース、合成セルロース、でんぷん及びキトサンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とするものである。
本発明(請求項3)の有害物質捕集材の製造方法は、請求項1又は2の有害物質捕集材を製造する方法であって、生分解性水溶性基材に対し、反応性官能基を持つグラフト鎖をグラフト重合法により結合させる工程と、該反応性官能基に有害物質捕捉能を有する官能基を結合させる工程と、を含むことを特徴とするものである。
本発明(請求項4)の有害物質処理方法は、請求項1又は2に記載の有害物質捕集材を有害物質含有物に接触させることを特徴とするものである。
請求項5の有害物質処理方法は、請求項4において、有害物質含有物は廃水であり、前記有害物質捕集材を該廃水に添加し、有害物質捕集材に有害物質を捕集させ、不溶化させ、不溶化物を固液分離することを特徴とするものである。
本発明の有害物質捕集材は、基材として生分解性水溶性基材を用いている。このように基材が生分解性であるため、環境への負荷が小さい。また、基材が水溶性であるため、排水、汚染土壌、臭気物質含有空気等に十分に拡散させることができ、有害物質の除去能力に優れたものになる。さらに、このように有害物質の除去能力が高いため、有害物質捕集材の使用量を削減することができ、環境への負荷を低減することが可能であると共に、経済性にも優れる。
本発明の有害物質捕集材は、有害物質捕捉能を有する官能基がグラフト鎖を介して生分解性水溶性基材に結合している。このため、捕集しようとする有害物質に応じて、この官能基の種類及び量を選択することにより、所望の有害物質を十分に除去することが可能となる。
なお、本発明の有害物質捕集材の製造方法では、グラフト鎖が反応性官能基を有している。このため、有害物質捕捉能を有する官能基は、この反応性官能基を介してグラフト鎖に容易に結合する。
本発明の有害物質捕集材を有害物質含有廃水に添加するなどして有害物質と接触させ、有害物質捕集材に有害物質を捕集させ、不溶化させ、不溶化物を固液分離することにより、廃水から有害物質を除去することができる。ここで、有害物質捕集材が有害物質を捕集することにより不溶化する場合には、直接固液分離すればよく、不溶化しない場合には、凝集剤などを用いて不溶化させてから固液分離すればよい。
本発明の有害物質捕集材は、基材と、該基材に結合されたグラフト鎖と、該グラフト鎖に結合された有害物質捕捉能を有する官能基とを備えた有害物質捕集材であって、該基材は生分解性水溶性基材であることを特徴とするものである。
また、本発明の有害物質捕集材を製造する方法は、生分解性水溶性基材に対し、(I)反応性官能基を持つグラフト鎖をグラフト重合法により結合させる工程と、(II)グラフト鎖の反応性官能基に有害物質捕捉能を有する官能基を結合させる工程と、を含むことを特徴とするものである。
以下に、本発明の有害物質捕集材の製造方法の一態様を説明する。
I 生分解性水溶性基材に対してグラフト鎖をグラフト重合法により結合させる工程
本工程では、(1)生分解性水溶性基材に反応活性点を生成させ、(2)次いでこの反応活性点に反応性モノマーを重合させることにより、該生分解性水溶性基材に反応性官能基を有するグラフト鎖を結合させる。
生分解性水溶性基材としては、天然セルロース類、合成セルロース類、水溶性のセルロース誘導体例えばメチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース、でんぷん類、キトサン類、例えばキトサンの塩酸塩、酢酸塩などの水溶性塩、グルコース(ブドウ糖)などが用いられる。
グラフト鎖を形成するための反応性モノマーとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、グリシジルアルコール、グリシジルエステル(例えば、グリシジルアルコールの脂肪酸エステル)、グリシジルエーテル等のグリシジル系化合物、その他アリルアミンなどが用いられる。
このグラフト鎖の反応性官能基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基などが挙げられる。
(1) 反応活性点の生成
反応活性点を生成させる方法としては、放射線照射、プラズマ照射、開始剤の使用等が挙げられる。
放射線照射の場合、真空(減圧)雰囲気下、又は、窒素等の不溶性ガス雰囲気下、室温又はドライアイスなどによる冷却下で放射線を照射する。用いる放射線としては電子線又はγ線が挙げられる。照射線量は反応活性点を生成させるのに充分な線量であることを条件に適宜決定することができるが、典型的には50〜200kGyである。
プラズマ照射の場合、予め窒素置換した生分解性水溶性基材に、窒素雰囲気下室温でプラズマを照射する。10MHz以上の高周波を用いて1〜数時間を照射する。
開始剤の使用の場合、窒素バブリング下、室温から50℃の範囲でモノマーをラジカル開始剤と混合させる。ラジカル開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルを用いることができる。
(2)反応活性点への反応性モノマーの重合
反応活性点を生成反応させた後、この生分解性水溶性基材に反応性モノマーを接触させてグラフト重合を行うことにより、生分解性水溶性基材に反応性モノマーの重合体よりなるグラフト鎖を生成させる。
この重合は、1種類の反応性モノマーの単独重合であってもよく、2種類以上の反応性モノマーを用いた共グラフト重合であってもよい。
グラフト重合は窒素等の各種雰囲気下で行うことができるが、高いグラフト率を達成するためには雰囲気中の酸素濃度が低いことが好ましい。ここで、「グラフト率」とは、生分解性水溶性基材にグラフトした反応性モノマーの重量増加分(%)をいう。
このグラフト率は特に限定されないが、例えば10〜90%とすることができる。
反応温度は反応性モノマーの反応性に依存するが、典型的には40〜60℃であり、好ましくは約40℃である。反応時間は30分〜24時間であるが、反応温度と必要とされるグラフト率とに依存して決定することができる。重合反応溶媒中のモノマー濃度(共重合の場合は全モノマー濃度)は通常10%前後であればよいが、反応温度及び反応時間とともに反応率を決定する因子であり、同様に適宜決定することができる。重合溶媒は、使用するモノマーに依存して適宜決定することができる。典型的には、水、メタノール等のアルコール類、非プロトン性の極性溶媒であるジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド、エーテル類、又はそれらの混合液を使用することができる。
II グラフト鎖に有害物質捕捉能を有する官能基を結合させる工程
上記のようにして生分解性水溶性基材にグラフト鎖を結合させてグラフト重合物を形成した後、有害物質捕捉能を有する官能基を備えた化合物と反応させて、グラフト鎖に有害物質捕捉能を有する官能基を導入する。
有害物質捕捉能を有する官能基としては、廃水、汚染土壌、臭気含有空気などの処理対象中に含まれる有害物質を効率的に捕捉することができる官能基が選択される。例えば、表1に示す官能基の1種又は2種以上が選択される。
Figure 2008105025
これらの官能基をグラフト鎖に導入するには、例えば、目的の官能基を含む塩などの水溶液やイソプロピルアルコール(IPA)の溶解液にグラフト重合物を浸漬し、必要に応じて加熱すればよい。
例えば、グラフト重合物を、80℃の0.425Mイミノジ酢酸ナトリウム水/ジメチルスルホオキシド=1/1溶液中に約10時間浸漬することにより、グラフト重合物にイミノジ酢酸基を導入することができる。
或いは、グラフト重合物に、エチレンジアミンのIPA又はメタノール水溶液を加えて加熱還流することにより、グラフト重合物のアミン付加物を得ることができる。
また、このグラフト重合物のアミン付加物に、アルカリ条件下、二硫化炭素を反応させることにより、グラフト重合物のジチオカルバメート化物を得ることができる。
上記のようにして製造された本発明の有害物質捕集材を、有害物質を含む処理対象物に添加するなどして接触させると、該有害物質捕集材の有害物質捕捉能を有する官能基と有害物質とが置換したり、該官能基が有害物質を吸着したりキレート化したりする。これにより、有害物質が該有害物質捕集材と結合し、有害物質が捕集される。
以下に、本発明の有害物質捕集材の使用例を示す。
<廃水処理>
本発明の有害物質捕集材を廃水に添加し、混合する。これにより、有害物質捕集材が廃水中の有害物質と吸着反応して吸着反応物となる。次いで、凝集剤などを用いてこの吸着反応物の不溶化処理を施した後、濾過したり、不溶化物を沈殿させて固液分離したりする。これにより、廃水から有害物質が除去される。なお、有害物質捕集材と有害物質との吸着反応により吸着反応物が不溶化する場合には、上記不溶化処理を省略してもよい。
<汚染土壌処理>
有害物質により汚染された土壌に、本発明の有害物質捕集材を添加するか、その水溶液を土壌に注入する。これにより、該有害物質捕集材が土壌中の有害物質と結合し、有害物質と結合した不溶化物となる。このようにして有害物質を土壌中に固定することができるため、土壌からの有害物質の溶出・拡散を防止することができる。
<臭気処理>
工場排水や土壌などに本発明の有害物質捕集材又はその水溶液を添加ないし注入する。これにより、臭気物質が有害物質捕集材に捕捉され、拡散し得なくなる。
また、大気中に拡散してしまった臭気に対しては、大気中に直接、該有害物質捕集材又はその水溶液を散布・噴霧し、臭気物質を該有害物質捕集材に結合させる。その後、該有害物質捕集材は自然落下するので、これを吸引等することにより、除去する。
本発明の有害物質捕集材は、従来のポリエチレンなどの水に難溶の基材を用いた吸着材と比較して、以下の利点を有する。
(1) 吸着容量が大きく、また、均一に反応が進む。
従来の難溶性の吸着材は、反応に供し得る官能基が少なく、吸着容量が小さい。また、処理対象物に均等に混合することが難しく、反応が均一に起こらない。
これに対し、本発明の有害物質捕集材は、生分解性水溶性基材が水溶性であるため、水中で官能基の多くが反応に供することができ、吸着容量が大きい。また、流動性などの自由度が高いため、処理対象物に均一に混合することができ、処理対象物内で反応が均一に進む。
(2) 大気中への散布に好適に使用することができる。
従来の難溶性の吸着材を水に分散させたものを、散布ノズルから噴霧させて大気中の臭気物質を捕集する場合、吸着材が難溶性であるため噴霧ノズルに詰まり易い。また、臭気物質との接触効率が悪く、さらに粉塵となるなどの不都合が生じる。
これに対し、本発明の有害物質捕集材は、生分解性水溶性基材が水溶性であるため、噴霧ノズルを詰まらせることが無く、また細かな霧状に噴霧させて臭気物質との接触効率を向上させ、臭気物質を効率よく捕集することができる。
(3) ホウ素の捕集材として使用することができる。
ホウ素吸着材は、廃水や土壌からのホウ素の溶出を防止するために使用される。従来、ホウ素吸着材としては、樹脂や繊維といった吸着材やアニオン交換性の粘土鉱物など、固形のものに限られている。しかし、樹脂や繊維は高価であり、添加剤としては適さない。また、粘土鉱物は廃水中で十分に拡散しない。
これに対し、本発明の有害物質捕集材は安価であると共に、生分解性水溶性基材が水溶性であるため、廃水に十分に拡散させたり土壌中に均一に注入させたりすることができる。
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において使用した原料は以下の通りである。
エチレンジアミン:純度99.5%試薬
イソプロピルアルコール(IPA):純度99.7%試薬
二硫化炭素:純度99.8%試薬
水酸化カリウム:純度99.5%試薬
塩化第二水銀:純度99.7%試薬
硫酸鉛:純度99.5%試薬
メチルセルロース:信越化学工業社製メトローズSM−25
メタクリル酸グリシジル(GMA):純度95%試薬
イミノジ酢酸二ナトリウム一水和物:純度98%試薬
メタノール:純度99.8%試薬
実施例1
<グラフト重合物の合成>
メチルセルロースを0.1mmHg以下の減圧容器に入れ、吸収線量約60kGyの60Co・γ線を照射(吸収線量率約2kGy/hrで30時間照射)した。その後、すぐに減圧下約−70℃の10%(v/v)メタクリル酸グリシジル(GMA)メタノール溶液中に導入し、40℃に昇温し、約8時間保持し、GMA重合体よりなるグラフト鎖を導入した。これにより、ポリGMA修飾メチルセルロースよりなるグラフト重合物を得た。このもののグラフト率は40%であった。
<有害物質捕集材の合成>
まず、以下の手順に従い、このグラフト重合物へのアミン付加反応を行った。
グラフト重合物50gを還流付きナスフラスコに採取した。また、エチレンジアミン20gにIPA4gを加え、混合して混合物とした。この混合物を該ナスフラスコに投入し、40℃で180分加熱還流することにより、グラフト重合物へのアミン付加反応を行った。このようにして、アミンを付加したグラフト重合物(グラフト重合アミン付加物)を得た。
次いで、以下の手順に従い、このグラフト重合アミン付加物のジチオカルバメート化を行った。
得られたグラフト重合アミン付加物40gをフラスコ内に採取し、20%水酸化カリウム水溶液100gを加え、二硫化炭素50gをフラスコ内に徐々に注入した。このとき発熱反応が生じるため、フラスコの外部を冷水で冷却すると共に、反応温度が45℃以上にならないように二硫化炭素の注入量を加減しながら反応を進めた。二硫化炭素の注入終了後、約1時間、45℃以下で反応を継続した。このようにして、ジチオカルバメート化したグラフト重合アミン付加物(グラフト重合カルバメート化物)を得た。
<水銀吸着試験>
塩化第二水銀の試薬を用い、98ppbに調製した水銀溶液(pH7.8)を調製した。この水銀溶液100ml中に、グラフト重合カルバメート化物1.0gを添加し、30分間常温で撹拌した。
撹拌後の試料を0.5μmのメンブランフィルターで濾過し、濾液をJIS K−0102に準拠して水銀濃度の分析を実施し、水銀の減少量から、有害物質捕集材1kg当たりの水銀吸着量を求めた。その結果を表2に示す。
<鉛吸着試験>
硝酸鉛の試薬を用い、128ppbに調製した鉛溶液(pH4.2)を調製した。この鉛溶液100ml中に、グラフト重合カルバメート化物1.0gを添加し、30分間常温で撹拌した。
撹拌後の試料を0.5μmのメンブランフィルターで濾過し、濾液をJIS K−0102に準拠して鉛濃度の分析を実施し、鉛の減少量から、有害物質捕集材1kg当たりの鉛の吸着量を求めた。その結果を表2に示す。
比較例1
従来品として、オリエンタル技研工業社製ジエチルジチオカルバミン酸塩「オリトールN−4」を用い、水銀試験及び鉛吸着試験を行った。
即ち、グラフト重合カルバメート化物1.0gを添加することに代えて、ジチオカルバミン酸基を有する従来品1gを添加すること以外は実施例1と同様にして、水銀試験及び鉛吸着試験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2008105025
表2から明らかな通り、実施例1は比較例1に比べ、捕集材の吸着量が、単位重量あたり1〜2割程度増加した。
実施例2
<グラフト重合物の合成>
メチルセルロースを密封容器に入れN置換後、吸収線量約100kGyの電子線を照射した。その後、電子線照射したメチルセルロースをN脱気した10%(v/v)メタクリル酸グリシジル(GMA)メタノール溶液中に導入し、50℃に昇温し、約16時間保持し、GMA重合体よりなるグラフト鎖を導入した。1.0μmのガラス繊維濾紙で濾過し、濾過物を乾燥しグラフト重合物を得た。これにより、ポリGMA修飾メチルセルロースよりなるグラフト重合物を得た。このもののグラフト率は50%であった。
<有害物捕集材の合成>
このグラフト重合物10gを還流付きナスフラスコに採取した。エチレンジアミン/メタノール=7/3(W/W)溶液90gを該ナスフラスコに投入して、60℃で120分加熱還流することにより、グラフト重合物へのアミン付加反応を行った。このようにして、アミン付加したグラフト重合物(グラフト重合アミン付加物)を得た。
<鉛吸着試験>
硝酸鉛の試薬を用い、71.9ppmに調製した鉛溶液(pH5.3)を調製した。この鉛溶液100ml中に、グラフト重合アミン付加物1gを添加し、30分間常温で撹拌した。
撹拌後の試料を1.0μmのガラス繊維ろ紙で濾過し、濾液をJIS K−0102に準拠して鉛濃度の分析を実施し、鉛の減少量から、有害物質捕集材1kg当たりの鉛吸着量を求めた。その結果を表3に示す。
<銅吸着試験>
硫酸銅の試薬を用い、113ppmに調製した銅溶液(pH5.4)を調製した。この銅溶液100ml中に、グラフト重合アミン付加物1gを添加し、30分間常温で撹拌した。
撹拌後の試料を1.0μmのガラス繊維濾紙で濾過し、濾液をJIS K−0102に準拠して銅濃度の分析を実施し、銅の減少量から、有害物質捕集材1kg当たりの銅吸着量を求めた。その結果を表3に示す。
実施例3
<グラフト重合物の合成>
実施例2と同様に、グラフト重合物を合成した。
<有害物捕集材の合成>
このグラフト重合物10gを還流付きナスフラスコに採取した。0.425Mイミノジ酢酸二ナトリウム 水/メタノール=1/1(W/W)溶液90gを該ナスフラスコに投入して、80℃で60分加熱還流することにより、グラフト重合物へのイミノジ酢酸付加反応を行った。このようにして、イミノジ酢酸を付加したグラフト重合物(グラフト重合イミノジ酢酸付加物)を得た。
このグラフト重合イミノジ酢酸付加物について、実施例2と同一の試験方法により鉛及び銅の吸着試験を行い、その結果を表3に示した。なお、各々の吸着試験でのグラフト重合イミノジ酢酸付加物の添加量は実施例2のグラフト重合アミン付加物と同様に1gとした。
比較例2,3
グラフト重合アミン付加物1gを添加することに代えて、エチレンジアミン1g(比較例2)又は0.425Mイミジノ酢酸ナトリウム水溶液1g(比較例3)を添加したこと以外は、実施例2と同様にして、鉛吸着試験及び銅吸着試験を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2008105025
表3から明らかな通り、実施例2,3の単位重量あたりの鉛吸着量及び銅吸着量は、比較例2,3の単位重量あたりの鉛吸着量及び銅吸着量と比較して明らかに大きく、有害物質を十分に捕集できることを示している。

Claims (5)

  1. 基材と、
    該基材に結合されたグラフト鎖と、
    該グラフト鎖に結合された有害物質捕捉能を有する官能基と
    を備えた有害物質捕集材であって、
    該基材は生分解性水溶性基材であることを特徴とする有害物質捕集材。
  2. 請求項1において、前記生分解性水溶性基材は、天然セルロース、合成セルロース、でんぷん、キトサン及びグルコースからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする有害物質捕集材。
  3. 請求項1又は2の有害物質捕集材を製造する方法であって、
    生分解性水溶性基材に対し、反応性官能基を持つグラフト鎖をグラフト重合法により結合させる工程と、
    該反応性官能基に、有害物質捕捉能を有する官能基を結合させる工程と、
    を含むことを特徴とする有害物質捕集材の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の有害物質捕集材を有害物質含有物に接触させることを特徴とする有害物質処理方法。
  5. 請求項4において、有害物質含有物は廃水であり、前記有害物質捕集材を該廃水に添加し、有害物質捕集材に有害物質を捕集させ、不溶化させ、不溶化物を固液分離することを特徴とする有害物質処理方法。
JP2007254960A 2006-09-29 2007-09-28 有害物質捕集材、その製造方法及び有害物質処理方法 Expired - Fee Related JP5024876B2 (ja)

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