JP2009007006A - 車両空調管理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 列車の車両に設置された車両空調制御装置は、搭載された空調機の運転情報と、この車両の位置情報とを有するデータを定期的に管理コンピュータに送信し、管理コンピュータは、車両空調制御装置から送られたデータを蓄積し、処理する。これにより、空調機の木目細かい調査・解析が、路線や位置等に関係づけて行なうことができる。
【選択図】 図1
Description
また、電車からの情報を採取するのみで、その情報をベースに、遠隔による車両空調機制御を行なうことができないという問題があった。
車両空調制御装置1は、アンテナ2を備え、地域管理局100との間でのデータの送受信を制御する通信制御手段3を有している。この通信制御手段3には、位置検出手段4から車両の現在の位置情報が、リターン口温度センサ5からリターン口での空気の温度が、壁部温度センサ6から客室の壁部での温度が、車内湿度センサ7から客室の湿度が、外気温度センサ8から外気の温度がそれぞれ定期的に送られてくる。また、空調制御手段9から空調機の稼動情報が、カメラ10からリターン口に配置されたフィルタの映像、室外熱交換器の映像、室内熱交換器の映像が定期的に送られてくる。
なお、位置検出手段4は、車輪の回転数により発駅からの距離を計測し、内部に有する路線図と照会させて、現在の位置を割り出しているが、GPSにより位置を割り出すようにしてもよい。
また、車両空調制御装置1は内部にメモリを有し、送られてくるデータを一時保存させ、1分毎、あるいは、1週間毎に地域管理局100にデータを送信する。
なお、図3(a)は毎分送られる分送信データ、図3(b)は1週間に1回送られる週送信データである。
図3(a)中、分送信データのフォーマットは、先頭より、日・時間50、路線ID51、空調ID52、位置情報53、リターン口温度54、壁部温度55、車内湿度56、外気温度57、保護装置動作状況58、圧縮機動作状況59、冷媒高圧圧力値60、冷媒低圧圧力値61、乗車率62、圧縮機・室外送風機・室内送風機の電流値63、圧縮機吸込温度64、圧縮機吐出温度65の各欄から構成されている。
なお、この車両では、冷媒回路が2系統あるため、保護装置動作状況58、圧縮機動作状況59、冷媒高圧圧力値60、冷媒低圧圧力値61、電流値63、圧縮機吸込温度64、圧縮機吐出温度65は1・2の各系統分の値の欄を有することになる。また、保護装置動作状況58、圧縮機動作状況59、冷媒高圧圧力値60、冷媒低圧圧力値61、乗車率62、電流値63、圧縮機吸込温度64、圧縮機吐出温度65の値は、空調制御手段9より通信制御手段3に送信されたものであり、乗車率62は、車両毎の台車が検知した値を運転室設置の車両モニタを経由して空調制御手段9が受信したものである。
図3(b)中、週送信データのフォーマットは、先頭より、日・時間70、路線ID71、空調ID72、室外熱交換器映像73、室内熱交換器映像74、フィルタ映像75の各欄から構成されている。
なお、既に説明した様に、室外熱交換器映像73、室内熱交換器映像74、フィルタ映像75は、1・2の各系統分の値の欄を有することになる。
管理コンピュータ300は、回線網200を介して行なわれる通信の制御を行なう通信制御手段301と、車両より送られたデータ等に基づき演算・整理等の処理を行なう処理手段302と、車両空調制御装置1から送られたデータを蓄積・保存する第1の空調情報蓄積DB310と、第2の空調情報蓄積DB320と、各車両の設置された車両空調の機器情報を保存する空調機器DB330と、路線毎の情報が保持される路線DB340とから主に構成されている。
まず、第1の空調情報蓄積DB310のデータフォーマットは、図3(a)の分送信データのデータフォーマットと同じであり、第2の空調情報蓄積DB320のデータフォーマットは、図3(b)の週送信データのデータフォーマットと同じである。
図5(a)は、空調機器DB330のデータフォーマットであり、空調ID331、製造年月日332、空調装置型名333、圧縮機個数334、圧縮機型名335、圧縮機交換日336、送風機個数337、送風機交換日338の各欄から構成されている。
図5(b)は、路線DB340のデータフォーマットであり、路線ID341、路線名342、駅1の情報343、駅2の情報344、駅3の情報345、……の各欄から構成されている。なお、駅の情報の欄は、その路線に存在するn個分存在する。また、駅の情報には、駅名343a、344a、345a、……と位置情報343b、344b、345b、……の2つの欄が存在する。
<データの送信・蓄積処理>
図6は、車両空調管理システムにおけるデータの送信・蓄積の処理を示すフローチャートである。
まず、車両空調管理システムでは、車両空調制御装置1の通信制御手段3が1分毎に分送信データを作成して送信、1週間毎に週送信データを作成して送信し、これらのデータは最寄の地域管理局100、及び回線網200を介して管理コンピュータ300の通信制御手段301に受信され、処理手段302に送られる(ステップ(以下、S)1)。処理手段302では、分送信データであれば、第1の空調情報蓄積DB310に、週送信データであれば、第2の空調情報蓄積DB320に蓄積する(S2)。なお、蓄積においては、それぞれ、日・時間と空調IDとを確認し、同一空調IDのものは、まとめ、かつ、日・時間が順番になるように蓄積している。
図7は、目詰まり判定・メンテナンス計画の処理を示すフローチャートである。なお、この処理は、週1回、適当な時間に全車両の空調に対して一括して行われる。
まず、第2の空調情報蓄積DB320より、空調ID72毎に、蓄積されている室外熱交換器映像73、室内熱交換器映像74、フィルタ映像75の情報を処理手段302が読み込む(S10)。
次に、各映像を画像解析し、時間に対する汚れの相関関係を求め、清掃等のメンテナンスが必要な時期を計算する(S11)。具体的には、例えば、週毎に蓄積されたフィルタ映像75毎に、フィルタ全体の映像を幾つかの区画に分割し、その区画毎に汚れ具合等を画像処理して数値化し、それを時系列に並べる。これにより、フィルタの各区画での汚れの推移が時系列で分かる。よって、その推移で汚れた場合、将来、いつの時点で空調機の性能が劣化するかを求めることができ、メンテナンスが必要な時期を特定できることになる。
S12でメンテナンススケジュール変更と判定された場合には、メンテナンス日時をメンテナンスが必要な時期に変更し(S13)、サービスコンピュータ500に連絡し(S14)、処理を終了する。
車両空調の場合には、路線によって、空気の状況が異なり、フィルタ等の汚れ具体も異なる(例えば、大都市や工場地帯を結ぶ路線では、排気ガスや工場から出る排煙により空気が汚れているのでフィルタの汚れる速度も速く、逆に、山間部等の路線では、空気はきれいであり、フィルタの汚れる速度も遅い)ので、メンテナンスの時期もそれらを考慮して設定しなければならない。本処理では、路線の空調毎に最適なメンテナンス時期を設定できるので、汚れによる処理能力の低下等を未然に防ぐことができる。
してもよい。
図8は、電流値を使用した場合の目詰まり判定・メンテナンス計画の処理を示すフローチャートである。
まず、第1の空調情報蓄積DB310より、空調ID52毎に、蓄積されている電流値63の値を室外送風機、室内送風機毎に読み込み、週間での平均を計算する(S20)。次に、各汚れ具合での各室外送風機、室内送風機での使用電流値を概算し、これとS20で計算した電流値とを比較し、これらの室外送風機、室内送風機で送風される対象となる室外熱交換器、室内熱交換器のだいたいの汚れ具合を判断する(S21)。なお、具体的には、第1の空調情報蓄積DB310から外気温度、壁部温度、リターン口温度、冷媒高圧圧力値、冷媒低圧圧力値等の情報から、全く汚れがなければ必要であったであろう送風量、及び電流値の概算平均値を計算できる。従って、この概算の平均値と実際の電流値とから大体の汚れ具合を計算できる。
S22で、メンテナンススケジュール変更と判定された場合には、メンテナンス日時をメンテナンスが必要な時期に変更し(S23)、サービスコンピュータ500に連絡し(S24)、処理を終了する。
このような方法では、図7の方法に比較して多少精度は落ちるが、高価な画像処理設備が不要となり、比較的安くスケジュール調整が可能になる。
図9は、回転機経年劣化調査の処理を示すフローチャートである。
なお、回転機とは、圧縮機、室内送風機、室外送風機のモータのことである。
まず、第1の空調情報蓄積DB310より、空調ID72毎に、蓄積されている電流値63の値を室外送風機、室内送風機毎に読み込む(S30)。次に、各電流値の1日毎の平均を計算する(S31)。次に、各編成(一台の列車に接続されている車両、8両編成、10両編成、15両編成等、路線により編成は異なる)毎の各車両(1両目、2両目、3両目、……)に設置された空調機での電流値を比較し、偏差が規定値よりも大きいか小さいかの判定を行う(S32)。ここで、偏差が規定値よりも大きいと判定した場合には、その車両と部品とを特定し、空調機器DBに記録されたデータから一定期間以上使用されていることを確認し(S33)、サービスコンピュータ500に連絡し(S34)、処理を終了する。また、S32で、偏差が小さいと認定された場合には処理を終了させる。なお、S34で、連絡を受けた車両空調メンテナンス会社のサービス要員は、日時を特定し、特定された車両の空調機をメンテナンスすることになる。
このように処理することにより、車両中、経年が進み、さらに、劣化が見られるもののみ交換でき、空調機に対し、異常の発生を未然に防止するとともに、無駄な交換を防止できる。特に、上述の様に、路線によって空調機の負荷が異なるような車両の空調機では、最適な交換時期を把握できることになる。
図10は、ガス漏れ故障診断調査の処理を示すフローチャートである。
まず、第1の空調情報蓄積DB310より、空調ID72毎に、蓄積されている最新の圧縮機の電流値63、冷媒高圧圧力値60、冷媒低圧圧力値61を読み込む(S40)。次に、圧縮機の電流値63と予め定めた電流値の基準値、冷媒高圧圧力値60と予め定めた冷媒高圧圧力の基準値、冷媒低圧圧力値61と予め定めた冷媒低圧圧力の基準値を比較し、圧縮機の電流値63が予め定めた電流値の基準値を下回る場合、冷媒高圧圧力値60が予め定めた冷媒高圧圧力の基準値を下回る場合、冷媒低圧圧力値61が予め定めた冷媒低圧圧力の基準値を上回る場合、のいずれかになった場合には、異常であると判定し、サービスコンピュータ500に異常であることを連絡する(S42)。
なお、車両空調メンテナンス会社では、サービスコンピュータ500のモニタに表示された異常情報を確認し、問題の大小により、空調の修理を行なうことになる。
このようにすることで、人手を介さずにサービスコンピュータに異常情報が伝わり、修理等を迅速に行なうことができる。
なお、ここでは、第1の空調情報蓄積DB310からデータを読み込むようにしたが、例えば、車両空調制御装置1から日毎データが送られる毎に、ガス漏れ故障診断を行なうようにすることで、第1の空調情報蓄積DB310への蓄積と同時に処理することも可能となる。
図11は、保護回路動作・故障診断の処理を示すフローチャートである。
まず、第1の空調情報蓄積DB310より、空調ID72毎に、保護装置動作状況58を読み出す(S50)。ここで、保護装置とは、吐出管サーモスタット、インナーサーモスタットのことである。これらは、圧縮機の高温部がある一定以上だと働くものである。また、保護装置が動作している場合には、空調制御装置から送信される保護装置動作状況58には“1”が設定されている。
次に、この保護装置が動作しているか否かを判定する(S51)。これは、保護装置動作状況58が“1”であるか否かで簡単に判定できる。S51で動作中であると判定された場合には、サービスコンピュータ500にガス漏れが発生している可能性があることを連絡する(S52)。
なお、車両空調メンテナンス会社では、サービスコンピュータ500のモニタに表示された情報を確認し、問題が大小により、空調の修理を行なうことになる。
この車両空調管理システムでは、車両空調制御装置1から分毎データを採取しているため、空調の必要能力を画面形式で表示し、把握することができる。
以下に、その方法を説明する。
図12は、路線毎空調状況表示処理のフローチャートである。
なお、この処理は、管理者が管理コンピュータ300の画面より、必要項目を入力させることで、空調機の使用割合(負荷状況)を表示させる操作である。
図12中、まず、操作者は調べたい路線の路線ID、対象の日、表示方式のパラメータを入力する(S60)。
この入力は処理手段302に送られ、表示作成処理がなされる(S61)。例えば、S60で、編成毎に空調能力状況を調べたいとして、その表示方式を入力した場合には、S61で、路線IDをキーとして、第1の空調情報蓄積DB310より一致するデータを取り出し、各編成毎に圧縮機の稼動状況(圧縮機動作状況59が“1”の時の時間を、運転全時間で割ったもの)、室外送風機、室内送風機の回転数等を計算し、表示させる。
このようにすることで、路線毎の稼動状況が分かり、空調能力に余裕があるか、それとも、オーバー状況であるかが把握でき、必要にあった能力の空調を選択できる。
このようにすることで、各位置での負荷状況を把握することができる。例えば、A駅から負荷がどんどん上がっているが、C駅からは負荷が下がっている結果から、A駅で急に乗車率が上がって車両内温度が上昇しており、C駅で多くの人が降りてしまい車内温度が低下すること等が把握できる。
まず、第1の空調情報蓄積DB310から、圧縮機吸込温度64と、冷媒低圧圧力値61を読み込む(S70)。次に、この圧縮機吸込温度64と冷媒低圧圧力値61とから冷媒の状態を把握する(S71)。すなわち、圧縮機に吸込まれる冷媒の状態が、過熱蒸気状態か、液状態か、湿り蒸気状態(ガスと液が混ざった状態)かである。次に、冷媒の状態が所定値以上に過熱蒸気状態になっているか否かを判定し(S72)、なっている場合には処理を終了、なっていなければ、空調機を停止させるための信号を回線網200を介して車両空調制御装置1に送信する(S73)。
また、この判定では、例えば、圧縮機吐出温度65と冷媒高圧圧力値60とから冷媒の状態を把握することも可能である。
例えば、分毎に送られてくる分送信データの位置情報53を確認し、多くの客が乗り込むA駅に近づいてきたと認識した場合には、管理コンピュータ300から車両空調制御装置1に圧縮機の回転数の増加、各送風機の回転数を増加させる信号を送って冷房能力を上げ、多くの客が降りてしまうC駅に近づいてきたと認識した場合には、管理コンピュータ300から車両空調制御装置1に圧縮機の回転数の減少、各送風機の回転数を減少させる信号を送って冷房能力を下げる。
これにより、車両内の負荷を事前に予想し、より快適な空調を乗客に提供できる。
4 位置検出手段、 5 リターン口温度センサ、 6 壁部温度センサ、
7 車内湿度センサ、 8 外気温度センサ、 9 空調制御手段、
10 カメラ、100 地域管理局、 200 回線網、
300 管理コンピュータ、 301 通信制御手段、 302 処理手段、
310 第1の空調情報蓄積DB、 320 第2の空調情報蓄積DB、
330 空調機器DB、 340 路線DB、 400 専用線、
500 サービスコンピュータ。
Claims (3)
- 列車の車両に設置され、前記車両に搭載された空調機の運転情報と前記車両の位置情報とを有するデータを定期的に送信する車両空調制御装置と、前記車両空調制御装置から送信されたデータを蓄積する空調情報蓄積データベースを有した管理コンピュータを備え、
前記管理コンピュータは、前記位置情報に基づいて前記空調機の動作制御の信号を前記車両空調制御装置に送信することを特徴とする車両空調制御システム。 - 列車の車両に設置され、前記車両に搭載された空調機の運転情報と前記車両の位置情報とを有するデータを定期的に送信する車両空調制御装置と、前記車両空調制御装置から送信されたデータを蓄積する空調情報蓄積データベースを有した管理コンピュータを備え、
前記管理コンピュータは、多くの客が乗り込む駅に近づいてきたと認識した場合には、前記空調機の冷房能力を上げるための信号を前記車両空調制御装置に送信することを特徴とする車両空調管理システム。 - 列車の車両に設置され、前記車両に搭載された空調機の運転情報と前記車両の位置情報とを有するデータを定期的に送信する車両空調制御装置と、前記車両空調制御装置から送信されたデータを蓄積する空調情報蓄積データベースを有した管理コンピュータを備え、
前記管理コンピュータは、多くの客が降りる駅に近づいてきたと認識した場合には、前記空調機の冷房能力を下げるための信号を前記車両空調制御装置に送信することを特徴とする車両空調管理システム。
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