以下、本発明の第1の実施形態として、図1から図3を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る軌陸作業車1であり、タイヤ車輪(道路走行用車輪)11を備えて運転キャビン12から走行運転が可能なトラック式の走行体10と、走行体10に設けられた旋回台20と、旋回台20から上方に延びて設けられた支柱21の上部にフートピン22を介して基端部が支持されたブーム(伸縮ブーム)25と、ブーム25の先端部に取り付けられた作業者搭乗用の作業台26とを有して構成される。運転キャビン12内には、図2に示すように、後述する鉄輪40a,40b制動用のブレーキペダル28aが備えられており、このブレーキペダルは制動を掛けるか否かのオンオフ制御と、ペダルの踏み込み量に応じてそれに見合う制動力を作用させる制御との2通りの制御が可能である。また、このブレーキペダル28aが踏み込まれていない(操作されていない)状態においては、ブレーキ解除信号がコントローラ60へ出力されるようになっている。
作業台26には、上部操作装置27が設けられている。この上部操作装置27には、図2に示すように、走行操作レバー28bが備えられており、上部操作装置27の操作電源をオンにしているときに操作が可能となっている。走行操作レバー28bは、鉄輪40a,40bでの走行を操作するもので、このレバーを傾倒することにより鉄輪40a,40bが駆動され、このレバーを中立に戻すことにより鉄輪40a,40bに制動を掛けることができる。よって、この走行操作レバー28bによる制動制御は、制動を掛けるか否か(制動を掛けるか走行するか)のオンオフのみである。また、走行操作レバー28bが傾倒されて駆動状態にある(中立位置ではない)ときには、ブレーキペダル28aの場合と同様に、ブレーキ解除信号がコントローラ60へ出力されるようになっている。従って、鉄輪走行中の走行体10に制動を掛ける場合には、運転キャビン12内のブレーキペダル28aを踏み込むか、または、上部操作装置27の操作電源をオンにして走行操作レバー28bを中立にすることにより行うことができる。このブレーキペダル28aと走行操作レバー28bとは、それぞれ独立して制動操作を行うことができるため、走行体10に対して運転キャビン12内および作業台26上のどちらからでも走行操作、制動操作を行うことができる。また、運転キャビン12内で操作をするときには、通常、上部操作装置27の操作電源はオフにしており、作業台26に搭乗して操作する場合に操作電源をオンにするものである。
走行体10の中央下部には、走行体10のメインフレーム(図示しない)の中央部に水平姿勢で懸架されるリング状のベース29と、走行体10を道路と軌道(鉄道レール)Rとの間で載せ替えるときに走行体10を下方から支持して走行体10の方向転換を行わせる転車台30と、転車台30に対して上下揺動自在に設けられた第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bと、軌道走行用として第1鉄輪支持アーム33aに設けられた左右一対の第1鉄輪40aおよび第2鉄輪支持アーム33bに設けられた左右一対の第2鉄輪40bと、転車台30をベース29に対して回転作動させる転車台駆動モータ31と、第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bをそれぞれ転車台30に対して上下揺動させる2つのアーム揺動シリンダ34と、第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bのそれぞれに取り付けられて第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bをそれぞれ回転駆動させる2つの鉄輪駆動モータ43とを有している。ここで、第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bと、これら第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bを上下揺動させる2つのアーム揺動シリンダ34とは、転車台30に設けられて、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bを支持するとともに、これら第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bの張出し格納を行う鉄輪張出し格納機構を構成する。なお、この構成において、転車台駆動モータ31による駆動に代えて、作業車が走行体10を押して転車台30をベース29に対して回転作動させるように構成しても良い。
転車台30は、ベース29の中心軸AX(この中心軸AXは垂直方向に延びる)と同心かつベース29に対して回転自在に設けられている。このため、転車台30は、転車台駆動モータ31を回転させることにより、ベース29の中心軸AXを水平回転軸として、左右いずれの方向へも水平回転させることが可能である。
第1鉄輪支持アーム33aの一端側には第1鉄輪支持シャフト41aが支承されており、第1鉄輪支持シャフト41aの両端部には左右一対の第1鉄輪40aが固定されている。同様に、第2鉄輪支持アーム33bの一端側には第2鉄輪支持シャフト41bが支承されており、第2鉄輪支持シャフト41bの両端部には左右一対の第2鉄輪40bが固定されている。
各鉄輪駆動モータ43は、第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bそれぞれの下面に回転軸(図示しない)を第1鉄輪支持シャフト41aおよび第2鉄輪支持シャフト41bのそれぞれに対して平行な姿勢にして固定されている。各鉄輪駆動モータ43の回転動力は、この鉄輪駆動モータ43に隣接して設けられたそれぞれのギヤボックス内のギヤ(図示しない)を介して第1鉄輪支持シャフト41aおよび第2鉄輪支持シャフト41bにそれぞれ伝達されるようになっている。従って、各鉄輪駆動モータ43を回転駆動させることにより第1鉄輪支持シャフト41aの両端に設けられた左右一対の第1鉄輪40aおよび第2鉄輪支持シャフト41bの両端に設けられた左右一対の第2鉄輪40bをそれぞれ回転させることができる。
走行体10内には鉄輪前後位置検出器62が設けられており、走行体10が転車台30により方向転換することによって、図3に示すように、運転キャビン12が転車台30に対して第2鉄輪40b側に位置(第2鉄輪40bが前輪側に位置)して、第1鉄輪支持シャフト41aおよび第2鉄輪支持シャフト41bが走行体10の前後中心軸BLに対してほぼ直交するような姿勢(走行体第2姿勢)になった場合に、図2に示すように、その検出信号をコントローラ60へ出力するようになっている。よって、鉄輪前後位置検出器62は走行体10がこの走行体第2姿勢になった場合にのみ検出信号を出力するものであるため、図1に示すように、運転キャビン12が転車台30に対して第1鉄輪40a側に位置(第1鉄輪40aが前輪側に位置)して、第1鉄輪支持シャフト41aおよび第2鉄輪支持シャフト41bが走行体10の前後中心軸BLに対してほぼ直交するような姿勢(走行体第1姿勢)になった場合には、鉄輪前後位置検出器62はコントローラ60へ検出信号の出力を行わない。
コントローラ60は走行体10に配設されており、ブレーキペダル28aまたは走行操作レバー28bからのブレーキ解除信号を受けて、詳細は後述するブレーキ制御バルブ75に作動制御信号を出力する。また、コントローラ60は、鉄輪前後位置検出器62からの検出信号を受けて、詳細は後述する制動力切換バルブ74に作動制御信号を出力する。
さて、走行体10には、図2に示すように、エンジン(図示しない)により駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプ59が設けられており、この油圧ポンプ59から吐出される作動油は、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bのそれぞれを制動する第1および第2ブレーキ装置50a,50bの第1および第2ピストンキャリパ52a,52bに供給されるように油路90〜96により連結されて油圧回路を形成している。
第1ブレーキ装置50aは、第1鉄輪支持シャフト41aの中間部に設けられており、図2に示すように、この第1ブレーキ装置50aは第1鉄輪支持シャフト41aに固着された第1ディスクロータ51aと、この第1ディスクロータ51aを締め付ける第1ピストンキャリパ52aとから構成されている。第1鉄輪支持シャフト41aには上述のように左右一対の第1鉄輪40aが固定されているため、第1ピストンキャリパ52aによって第1ディスクロータ51aの回転を停止させれば、第1鉄輪40aの回転も停止でき、第1鉄輪40aによる軌道走行時の制動を行うことができる。
同様に、第2ブレーキ装置50bは、第2鉄輪支持シャフト41bの中間部に設けられており、図2に示すように、この第2ブレーキ装置50bは第2鉄輪支持シャフト41bに固着された第2ディスクロータ51bと、この第2ディスクロータ51bを締め付ける第2ピストンキャリパ52bとから構成されている。第2鉄輪支持シャフト41bには上述のように一対の第2鉄輪40bが固定されているため、第2ピストンキャリパ52bによって第2ディスクロータ51bの回転を停止させれば第2鉄輪40bの回転も停止でき、第2鉄輪40bによる軌道走行時の制動を行うことができる。
第1および第2ピストンキャリパ52a,52bには、図2に示すように、それぞれ油路93,94が接続されており、この油路93,94から供給される作動油の油圧によって、第1および第2ピストンキャリパ52a,52bに締付力(制動力)が生じることとなる。
油圧ポンプ59に接続されている油路90は、図2に示すように分岐して、前輪側制動制御バルブ71、後輪側制動制御バルブ72、チェックバルブ73、制動力切換バルブ74、ブレーキ制御バルブ75に接続されている。
ブレーキ制御バルブ75は、電磁制御式の開閉バルブであり、図2に示すように、ブレーキペダル28aまたは走行操作レバー28bからのブレーキ解除信号を受けてコントローラ60が出力する作動制御信号に基づいて作動が制御される。コントローラ60がこのブレーキ制御バルブ75に作動制御信号を出力した場合には、ソレノイド75aが励磁されてバネ75bの付勢力に抗して右動した位置に移動することにより、油路91および油路97間が連通されて、油路91内の作動油を油路97を介して油タンク70へ逃がすこととなる。ソレノイド75aが非励磁状態でブレーキ制御バルブ75が図2に示すようにバネ75bにより押されて左動した位置にあるときは、閉弁して油路91及び油路97間が遮断される。
前輪側制動制御バルブ71は、リリーフバルブであり、バルブが閉弁した状態で油圧ポンプ59から送られた油路91の油圧が所定圧以上になると、このバルブが開弁して油路91の作動油を油路95を介して油タンク70へ逃がすようになっている。ここで、前輪側制動制御バルブ71により所定圧となった油路91の油圧は、走行体10に対して前輪側に位置した第1鉄輪40aまたは第2鉄輪の一方を制動する制動油圧(前輪側制動油圧)となる。
後輪側制動制御バルブ72は、減圧バルブであり、油路91の油圧を所定圧まで減圧するように、油路91の油圧が所定圧以上になると後輪側制動制御バルブ72が開弁して油路91内の作動油を油路96を介して油タンク70へ逃がすとともに、後輪側制動制御バルブ72の出口側に接続された油路92にこの減圧された作動油を送るようになっている。ここで、後輪側制動制御バルブ72により所定圧となった油路92の油圧は、走行体10に対して後輪側に位置した第1鉄輪40aまたは第2鉄輪40bの他方を制動する制動油圧(後輪側制動油圧)となる。
チェックバルブ73は、後輪側制動制御バルブ72の出口側に接続された油路92へ油路91の作動油が流入して、後輪側制動制御バルブ72により減圧された油路92の作動油が増圧(変圧)されるのを阻止するものである。
制動力切換バルブ74は、電磁制御式の方向切換バルブであり、鉄輪前後位置検出器62からの検出信号を受けてコントローラ60が出力する作動制御信号に基づいて作動が制御される。ソレノイド74aが非励磁状態で制動力切換バルブ74が図2に示すように、バネ74bにより押されて右動した位置にあるときには、油路91を第1ピストンキャリパ52aに接続された油路93に連通させるとともに、油路92を第2ピストンキャリパ52bに接続された油路94に連通させることとなる。これにより、前輪側制動制御バルブ71により前輪側制動油圧に調圧された油路91の作動油は、油路93を介して第1ピストンキャリパ52aに供給されることとなり、同様に、後輪側制動制御バルブ72により後輪側制動油圧に減圧調圧された油路92の作動油は、油路94を介して第2ピストンキャリパ52bに供給されることとなる。
また、ソレノイド74aが励磁されて、制動力切換バルブ74がバネ74bの付勢力に抗して左動した位置に移動したときには、油路91を第2ピストンキャリパ52bに接続された油路94に連通させるとともに、油路92を第1ピストンキャリパ52aに接続された油路93に連通させることとなる。これにより、前輪側制動制御バルブ71により前輪側制動油圧に調圧された油路91の作動油は、油路94を介して第2ピストンキャリパ52bに供給されることとなり、同様に、後輪側制動制御バルブ72により後輪側制動油圧に減圧調圧された油路92の作動油は、油路93を介して第1ピストンキャリパ52aに供給されることとなる。
上述のようにして、前輪側制動油圧または後輪側制動油圧に調圧された作動油が供給された第1ピストンキャリパ52aは、この制動油圧に応じた制動力で第1ディスクロータ51aを締め付けて第1鉄輪40aを制動することができる。同様に、前輪側制動油圧または後輪側制動油圧に調圧された作動油が供給された第2ピストンキャリパ52bは、この制動油圧に応じた制動力で第2ディスクロータ51bを締め付けて第2鉄輪40bを制動することができる。
次に、レールR上を走行するこの軌陸作業車1に対して運転キャビン12内からブレーキペダル28aにより制動を加える場合について説明する。ここで例えば、走行体10の重心位置が転車台30中心に対して前輪側にある場合には、後輪側よりも前輪側に対する制動力を大きくするため、予め、油路91の前輪側制動油圧が油路92の後輪側制動油圧よりも大きくなるように、前輪側制動制御バルブ71および後輪側制動制御バルブ72それぞれに適切な圧力設定をしておく。また、ブレーキペダル28aを操作していないときには、コントローラ60から作動制御信号が出力されブレーキ制御バルブ75を開弁させることにより、油路91内の作動油を油タンク70へ逃がして、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bに対する制動を解除して走行体10を軌道R上を走行させることができる。なお、運転キャビン12内での操作のときはブレーキペダル28aを踏み込まなくとも、この運転キャビン12内に備えられたサイドブレーキ(図示しない)を引くことによって、コントローラ60を介さなくとも走行体12に対して制動を掛けることができる。但し、サイドブレーキの引き操作を検出し、コントローラ60が制動を掛ける構成としても良い。
走行体10が図1に示すように、矢印A方向を進行方向にして走行体第1姿勢にあるときは、第1鉄輪40aが前輪側となり、第2鉄輪40bが後輪側となる。また、走行体10が走行体第1姿勢にあるときには、鉄輪前後位置検出器62は上述したように検出を行わず、コントローラ60へ検出信号を出力しないため、制動力切換バルブ74においてソレノイド74aは非励磁状態にあり、制動力切換バルブ74は油路91を第1ピストンキャリパ52aに接続された油路93に連通させるとともに、油路92を第2ピストンキャリパ52bに接続された油路94に連通させることとなる。
そして、矢印A方向を進行方向としてレールR上を走行する走行体10を停止させるには、ブレーキペダル28aを踏み込んでブレーキ制御バルブ75を閉弁することにより、油路91および油路97間を遮断させる。そして、このブレーキペダル28aの踏み込み量に応じて吐出される油圧ポンプ59からの作動油は、油路90からそれぞれ分岐して前輪側制動制御バルブ71および後輪側制動制御バルブ72に供給されることとなる。
前輪側制動制御バルブ71により前輪側制動油圧に調圧された油路91の作動油は、制動力切換バルブ74により連通された油路93を介して、第1ピストンキャリパ52aに供給される。後輪側制動制御バルブ72により後輪側制動油圧に減圧調圧された油路92の作動油は、制動力切換バルブ74により連通された油路94を介して、第2ピストンキャリパ52bに供給される。これにより、前輪側制動油圧に調圧された作動油が供給された第1ピストンキャリパ52aは、この前輪側制動油圧の油圧力に応じた制動力で第1ディスクロータ51aを締め付けて、第1鉄輪支持シャフト41aを介して第1鉄輪40aの制動を行う。そして同様に、後輪側制動油圧に減圧調圧された作動油が供給された第2ピストンキャリパ52bは、この後輪側制動油圧の油圧力に応じた制動力で第2ディスクロータ51bを締め付けて、第2鉄輪支持シャフト41bを介して第2鉄輪40bの制動を行う。
従って、走行体10の前後方向に対して、前輪側に位置する第1鉄輪40aには、前輪側制動油圧の油圧力による制動力で制動を行うとともに、後輪側に位置する第2鉄輪40bには、後輪側制動油圧の油圧力による制動力で制動を行うこととなる。従って、前輪側に位置する第1鉄輪40aに対する制動を後輪側に位置する第2鉄輪側40bよりも大きな制動力を掛けて行うことができる。
続いて、矢印A方向を向いて軌道R上で走行停止した走行体10の前後を反転させて、図3に示すように、走行体10が矢印B方向を進行方向として軌道R上を軌道走行するためには、まず、走行体第1姿勢にある走行体10を転車台30により走行体第2姿勢へ反転するように方向転換させて、第2鉄輪40bを前輪側とし、第1鉄輪40aを後輪側とする。そして、この方向転換により走行体10がこの走行体第2姿勢になると鉄輪前後位置検出器62が検出を行い、検出信号をコントローラ60に出力することとなる。そして、この検出信号を受けたコントローラ60は作動制御信号を制動力切換バルブ74に出力することにより、制動力切換バルブ74はソレノイド74aが励磁されてバネ74bの付勢力に抗して左動した位置に移動して、油路91を第2ピストンキャリパ52bに接続された油路94に連通させるとともに、油路92を第1ピストンキャリパ52aに接続された油路93に連通させることとなる。
また、ブレーキペダル28aを操作していないときには、上記と同様にブレーキ制御バルブ75が開弁されることにより、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bに対する制動を解除して走行体10を軌道R上を走行させることができる。
この矢印B方向を進行方向としてレールR上を走行する走行体10を停止させるには、ブレーキペダル28aを踏み込んでブレーキ制御バルブ75を閉弁させることにより、油路91および油路97間を遮断させる。そして、ブレーキペダル28aの踏み込み量に応じて吐出される油圧ポンプ59からの作動油は、油路90からそれぞれ分岐して前輪側制動制御バルブ71および後輪側制動制御バルブ72に供給される。
前輪側制動制御バルブ71により前輪側制動油圧に調圧された油路91の作動油は、制動力切換バルブ74により連通された油路94を介して、第2ピストンキャリパ52bに供給される。後輪側制動制御バルブ72により後輪側制動油圧に減圧調圧された油路92の作動油は、制動力切換バルブ74により連通された油路93を介して、第1ピストンキャリパ52aに供給される。これにより、前輪側制動油圧に調圧された作動油が供給された第2ピストンキャリパ52bは、この前輪側制動油圧の油圧力に応じた制動力で第2ディスクロータ51bを締め付けて、第2鉄輪支持シャフト41bを介して第2鉄輪40bの制動を行う。そして同様に、後輪側制動油圧に減圧調圧された作動油が供給された第1ピストンキャリパ52aは、この後輪側制動油圧の油圧力に応じた制動力で第1ディスクロータ51aを締め付けて、第1鉄輪支持シャフト41aを介して第1鉄輪40aの制動を行う。
よって、走行体10の前後方向に対して、前輪側に位置する第2鉄輪40bには前輪側制動油圧の油圧力による制動力で制動を行うとともに、走行体10の前後方向に対して、後輪側に位置する第1鉄輪40aには後輪側制動油圧の油圧力による制動力で制動を行うこととなる。従って、前輪側に位置する第2鉄輪40bの制動を、後輪側に位置する第1鉄輪側40aよりも大きな制動力を掛けて行うことができる。
このように本実施形態に示した軌陸作業車1では、転車台30により走行体の前後方向を反転させて、第1鉄輪40a及び第2鉄輪40bの前後輪の位置関係が逆転した場合であっても、前輪側となる鉄輪には前輪側制動油圧による制動力で制動するとともに、後輪側となる鉄輪には後輪側制動油圧による制動力で制動を行うことができる。従って、走行体10の方向転換によって、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bに掛かる軸重が入れ替わっても、それに応じて制動力も逆転させて十分な制動力を掛けることができるため、走行体10の制動距離を短縮させることができる。
なお、上述の実施形態では、コントローラ60からの作動制御信号を受けて、制動力切換バルブ(電磁制御式の方向切換バルブ)74が前輪側制動油圧および後輪側制動油圧に調圧されたそれぞれの作動油の流路を切り換えていたが、これに限られるものではなく、ローラカム切換バルブを用いた構成としてメカ的にカムがスプールを押し下げて作動油の流路を切り換えるようにしてもよい。また同様に、ローラ切換バルブを用いた構成として、転車台30による回転(転車)に合わせて作動油の流路を切換るようにしてもよい。これによれば、電気系の制御が不要となり低コストな構成とすることができる。
次に本発明の第2実施形態について、図1、図3および図4を参照して説明する。なお、この実施形態において上述の第1実施形態に係る軌陸作業車1と同一構成部分については同一番号を付してその詳細説明は省略する。
第2実施形態に係る軌陸作業車100も、走行体10と、旋回台20と、ブーム25と、作業台26とを有して構成されている。走行体10の中央下部には、リング状のベース29と、走行体10を下方から支持して走行体10の方向転換を行わせる転車台30と、第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bと、2つの鉄輪駆動モータ43と、第1鉄輪支持シャフト41aおよび第2鉄輪支持シャフト33bと、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bとを有して構成されている。また、第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bと、これら第1鉄輪支持アーム33aおよび第2鉄輪支持アーム33bを上下揺動させる2つのアーム揺動シリンダ34とは鉄輪張出し格納機構を構成している。
走行体10内には鉄輪前後位置第1検出器161および鉄輪前後位置第2検出器162が設けられている。図4に示すように、鉄輪前後位置第1検出器161は走行体10が走行体第1姿勢(図1参照)になったことを検出して、検出信号をコントローラ160に出力するようになっている。同様に、鉄輪前後位置第2検出器162は走行体10が走行体第2姿勢(図3参照)になったことを検出して、検出信号をコントローラ160に出力するようになっている。なお、第1実施形態と同様にして、1つの鉄輪前後位置検出器のみで構成して、この検出器の信号の有無により鉄輪の前方側および後方側の位置を判断するようにしてもよい。
コントローラ160は走行体10に配設されており、図4に示すように、ブレーキペダル28aまたは走行操作レバー28bからのブレーキ解除信号を入力して、詳細は後述するブレーキ制御バルブ175に作動制御信号を出力する。また、コントローラ160は、鉄輪前後位置第1検出器161からの検出信号または鉄輪前後位置第2検出器162からの検出信号を入力する。そして、コントローラ160は、鉄輪前後位置第1検出器161から検出信号を受けた場合には、詳細は後述する第1鉄輪制動制御バルブ171に前輪側作動制御信号iFを出力するとともに第2鉄輪制動制御バルブ172に後輪側作動制御信号iRを出力する。同様に、コントローラ160は鉄輪前後位置第2検出器162から検出信号を受けた場合には、第1鉄輪制動制御バルブ171に後輪側作動制御信号iRを出力するとともに、第2鉄輪制動制御バルブ172に前輪側作動制御信号iFを出力する。
さて、走行体10には、図4に示すように、エンジン(図示しない)により駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプ59が設けられており、この油圧ポンプ59から吐出される作動油は第1および第2鉄輪40a,40bのそれぞれを制動する第1および第2ブレーキ装置50a,50bの第1および第2ピストンキャリパ52a,52bに供給されるように油路190〜196により連結されて油圧閉回路を形成している。
第1ピストンキャリパ52aおよび第2ピストンキャリパ52bには、図4に示すように、それぞれ油路193,194が接続されており、この油路193,194から供給される作動油の油圧によって、第1ピストンキャリパ52aおよび第2ピストンキャリパ52bに締付力(制動力)が生じることとなる。
油圧ポンプ59に接続された油路190は、図4に示すように分岐して、第1鉄輪制動制御バルブ171、第2鉄輪制動制御バルブ172、第1チェックバルブ173、第2チェックバルブ174、ブレーキ制御バルブ175および高圧リリーフバルブ176に接続されている。
ブレーキ制御バルブ175は、電磁制御式の開閉バルブであり、図4に示すように、ブレーキペダル28aまたは走行操作レバー28bからのブレーキ解除信号を受けてコントローラ160が出力する作動制御信号に基づいて作動が制御される。コントローラ160がこのブレーキ制御バルブ175に作動制御信号を出力した場合には、ソレノイド175aが励磁されて、ブレーキ制御バルブ175はバネ175bの付勢力に抗して右動した位置に移動して開弁することになり、油路195および油路196間が連通されて、油路195内の作動油を油路196を介して油タンク70へ逃がすこととなる。ソレノイド175aが非励磁状態でブレーキ制御バルブ175が図4に示すようにバネ175bにより押されて左動した位置にあるときは、閉弁して油路195及び油路196間が遮断される。
第1鉄輪制動制御バルブ171は、電磁比例減圧バルブであり、コントローラ160からの第1作動制御信号iFまたは第2作動制御信号iRに基づいて作動が制御されて、ソレノイド171aへの通電量に比例した圧力の作動油を油路191および油路193を介して第1ピストンキャリパ52aに供給するものである。よって、第1鉄輪制動制御バルブ171によって圧力調整された油路191および油路191から分岐する油路193の油圧は、第1鉄輪40aを制動する制動油圧(第1鉄輪制動油圧)となる。
第2鉄輪制動制御バルブ172は、電磁比例減圧バルブであり、コントローラ160からの第1作動制御信号iFまたは第2作動制御信号iRに基づいて作動が制御されて、ソレノイド172aへの通電量に比例した圧力の作動油を油路192および油路194を介して第2ピストンキャリパ52bに供給するものである。よって、第2鉄輪制動制御バルブ172によって圧力調整された油路192および油路192から分岐する油路194の油圧は、第2鉄輪40bを制動する制動油圧(第2鉄輪制動油圧)となる。
第1チェックバルブ173は、第1鉄輪制動制御バルブ171の出口側に接続された油路191へ油路195の作動油が流入して、第1鉄輪制動制御バルブ171により圧力調整された油路191の作動油が増圧(変圧)されるのを阻止するものである。
同様に、第2チェックバルブ174は、第2鉄輪制動制御バルブ172の出口側に接続された油路192へ油路195の作動油が流入して、第2鉄輪制動制御バルブ172により圧力調整された油路192の作動油が増圧(変圧)されるのを阻止するものである。なお、第1および第2チェックバルブ173,174を設けるほうが好ましいが、この油圧回路上において、これらは設けなくてもよいものである。
高圧リリーフバルブ176は、ブレーキ制御バルブ175が閉弁した状態で油圧ポンプ59から送られた油路195の油圧が所定圧以上になると、開弁して油路195の作動油を油路196を介して油タンク70へ逃がすようになっている。従って、油路195の作動油が異常高圧となったときでも、この高圧作動油をリリーフすることにより、油圧回路が破壊されることを防止している。
上述のようにして、第1鉄輪制動油圧に調圧された作動油が供給された第1ピストンキャリパ52aは、この油圧力に応じた制動力で第1ディスクロータ51aを締め付けて第1鉄輪40aを制動することができ、同様に、第2鉄輪制動油圧に調圧された作動油が供給された第2ピストンキャリパ52bは、この油圧力に応じた制動力で第2ディスクロータ51bを締め付けて第2鉄輪40bを制動することができる。
次に、レールR上を走行するこの軌陸作業車100に対して作業台26から走行操作レバー28bにより制動を加える場合について説明する。ここで例えば、走行体10の重心位置が転車台30中心に対して前輪側にある場合には、後輪側よりも前輪側の制動力を大きくするため、予め、コントローラ160が第1鉄輪制動制御バルブ171および第2鉄輪制動制御バルブ172に出力する前輪側作動制御信号iFおよび後輪側作動制御信号iRを、iF≧iRとなるような適切な値に設定しておく。そして、走行体10を走行させるときは、上部操作装置27の操作電源をオンにし走行操作レバー28bを傾倒させ、ブレーキ制御バルブ175を開弁させることにより、油路195の作動油を油タンク70へ逃がす。これにより、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bに対する制動を解除して走行体10を軌道R上を走行させる。
走行体10が、図1に示すように、矢印A方向を進行方向として走行体第1姿勢にあるときは、第1鉄輪40aが前輪側となり、第2鉄輪40bが後輪側となる。また、走行体10が走行体第1姿勢にあるときには、鉄輪前後位置第1検出器161がこれを検出して、検出信号をコントローラ160に出力することとなる。そして、この検出信号を受けたコントローラ160は前輪側作動制御信号iFを第1鉄輪制動制御バルブ171へ出力するとともに、後輪側作動制御信号iRを第2鉄輪制動制御バルブ172へ出力する。
そして、この走行体10を走行停止させるには、走行操作レバー28bを中立位置に戻してブレーキ制御バルブ175を閉弁させることにより、油路195および油路196間を遮断させる。そして、この走行操作レバー28bを中立位置に戻すことにより吐出される油圧ポンプ59からの作動油は、油路190からそれぞれ分岐して第1鉄輪制動制御バルブ171および第2鉄輪制動制御バルブ172に供給されることとなる。
第1鉄輪制動制御バルブ171は前輪側作動制御信号iFを受けて、この通電量に比例した第1鉄輪制御油圧に減圧調圧された作動油を油路191および油路193を介して第1ピストンキャリパ52aへ供給する。第2鉄輪制動制御バルブ172は後輪側作動制御信号iRを受けて、この通電量に比例した第2鉄輪制御油圧に減圧調圧された作動油を油路192および油路194を介して第2ピストンキャリパ52bへ供給する。ここで、上述のように、第1鉄輪制動制御バルブ171の通電量は第2鉄輪制動制御バルブ172の通電量よりも大きいため(iF≧iR)、第1鉄輪制動油圧の方が第2鉄輪制動油圧よりも高油圧となっている。
これにより、第1鉄輪制動油圧に調圧された作動油が供給された第1ピストンキャリパ52aは、この第1鉄輪制動油圧の油圧力に応じた制動力で第1ディスクロータ51aを締め付けて、第1鉄輪支持シャフト41aを介して第1鉄輪40aの制動を行う。同様に、第2鉄輪制動油圧に調圧された作動油が供給された第2ピストンキャリパ52bは、この第2鉄輪制動油圧の油圧力に応じた制動力で第2ディスクロータ51bを締め付けて、第2鉄輪支持シャフト41bを介して第2鉄輪40bの制動を行う。
従って、走行体10の前後方向に対して、前輪側に位置する第1鉄輪40aには、第1鉄輪制動油圧の油圧力によって後輪側よりも大きな制動力で制動を行うことができるとともに、後輪側に位置する第2鉄輪40bには、第2鉄輪制動油圧の油圧力による制動力で制動を行うことができる。従って、前輪側に位置する第1鉄輪40aに対して後輪側に位置する第2鉄輪側40bよりも大きな制動力を加えることができる。
続いて、矢印A方向を向いて軌道R上で走行停止した走行体10の前後を反転させて、図3に示すように走行体10が矢印B方向を進行方向として軌道R上を軌道走行するためには、まず、走行体第1姿勢にある走行体10を転車台30により走行体第2姿勢へ反転するように方向転換させて、第2鉄輪40bを前輪側とし、第1鉄輪40aを後輪側とする。また、走行操作レバー28bを傾倒させてブレーキ制御バルブ175を開弁させることにより、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bに対する制動を解除する。そして、方向転換をして走行体10がこの走行体第2姿勢になると鉄輪前後位置第2検出器162が検出を行い、この検出信号をコントローラ160に出力することとなる。検出信号を受けたコントローラ160は、今度は、前輪側作動制御信号iFを第2鉄輪制動制御バルブ172へ出力するとともに、後輪側作動制御信号iRを第1鉄輪制動制御バルブ171へ出力する。
そして、矢印B方向を進行方向としてレールR上を走行する走行体10を停止させるには、走行操作レバー28bを中立位置に戻すことによりブレーキ制御バルブ175を閉弁して油路195および油路196間を遮断させる。この走行操作レバー28bを中立にすることにより吐出される油圧ポンプ59からの作動油は、油路190からそれぞれ分岐して第1鉄輪制動制御バルブ171および第2鉄輪制動制御バルブ172に供給されることとなる。
第1鉄輪制動制御バルブ171は後輪側作動制御信号iRを受けて、この通電量に比例した第1鉄輪制御油圧に調圧された作動油を油路191および油路193を介して第1ピストンキャリパ52aへ供給する。第2鉄輪制動制御バルブ172は前輪側作動制御信号iFを受けて、この通電量に比例した第2鉄輪制御油圧に調圧された作動油を油路192および油路194を介して第2ピストンキャリパ52bへ供給する。ここでは、第1鉄輪制動制御バルブ171の通電量は第2鉄輪制動制御バルブ172の通電量よりも小さいため(iF≧iR)、第2鉄輪制動油圧の方が第1鉄輪制動油圧よりも高油圧となる。
これにより、第1鉄輪制動油圧に調圧された作動油が供給された第1ピストンキャリパ52aは、この第1鉄輪制動油圧の油圧力に応じた制動力で第1ディスクロータ51aを締め付けて、第1鉄輪支持シャフト41aを介して第1鉄輪40aの制動を行う。同様に、第2鉄輪制動油圧に調圧された作動油が供給された第2ピストンキャリパ52bは、この第2鉄輪制動油圧の油圧力に応じた制動力で第2ディスクロータ51bを締め付けて、第2鉄輪支持シャフト41bを介して第2鉄輪40bの制動を行う。
よって、走行体10の前後方向に対して、後輪側に位置する第1鉄輪40aには、第1鉄輪制動油圧の油圧力による制動力で制動を行うことができるとともに、前輪側に位置する第2鉄輪40bには、第2鉄輪制動油圧の油圧力によって後輪側よりも大きな制動力で制動を行うことができる。従って、前輪側に位置する第2鉄輪40bに対して後輪側に位置する第1鉄輪側40aよりも大きな制動力を掛けることができる。
このように本実施形態に示した軌陸作業車100では、転車台30により走行体の前後方向を反転させて、第1鉄輪40a及び第2鉄輪40bの前後輪の位置関係が逆転した場合であっても、前輪側となる鉄輪には前輪側用に調圧された制動油圧による制動力で制動を行うとともに、後輪側となる鉄輪には後輪側に調圧された制動油圧による制動力で制動を行うことができる。従って、走行体10の方向転換によって、第1鉄輪40aおよび第2鉄輪40bに掛かるそれぞれの軸重が入れ替わっても、それに応じて制動力も逆転させて十分な制動力を掛けることができるため、走行体10の制動距離を短縮することができる。
なお、上記第2実施形態においては、走行体10の重心位置が転車台30に対して前輪側にある場合について説明したが、これに限られるものではなく、走行体10の重心位置が転車台30に対して後輪側にある場合には、前輪側作動制御信号iFおよび後輪側作動制御信号iRを、iF≦iRとなるように設定することにより、後輪側に位置する鉄輪に対して前輪側よりも大きな制動力で制動を掛けることができる。