JP2009006715A - 脆性材料基板のスクライブ方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】相互に交差するスクライブラインを、スクライブライン交点に発生しがちな不具合を招来することなく形成しうるスクライブ方法及びスクライブ装置を提供する。
【解決手段】脆性材料基板の表面に複数本のスクライブラインを相互に交差させて形成する脆性材料基板のスクライブ方法を前提とし、脆性材料基板の表面に周期的に打点衝撃を与えることにより脆性材料基板内に高浸透の垂直クラックを生成させるスクライブ手段により、脆性材料基板の表面に、第1の方向のスクライブラインと、この第1の方向のスクライブラインと交差する第2の方向のスクライブラインとを順次形成するにあたり、前記第1の方向に少なくとも一つのスクライブラインを形成する際に前記スクライブ手段にかける荷重P1と、前記第2の方向に少なくとも一つのスクライブラインを形成する際に前記スクライブ手段にかける荷重P2との関係を、P1>P2とする。
【選択図】図14
【解決手段】脆性材料基板の表面に複数本のスクライブラインを相互に交差させて形成する脆性材料基板のスクライブ方法を前提とし、脆性材料基板の表面に周期的に打点衝撃を与えることにより脆性材料基板内に高浸透の垂直クラックを生成させるスクライブ手段により、脆性材料基板の表面に、第1の方向のスクライブラインと、この第1の方向のスクライブラインと交差する第2の方向のスクライブラインとを順次形成するにあたり、前記第1の方向に少なくとも一つのスクライブラインを形成する際に前記スクライブ手段にかける荷重P1と、前記第2の方向に少なくとも一つのスクライブラインを形成する際に前記スクライブ手段にかける荷重P2との関係を、P1>P2とする。
【選択図】図14
Description
本発明は、フラットパネルディスプレイ(以下、FPDという)に使用されるガラス基板、或いは半導体ウエハやセラミックスといった各種脆性材料基板の分断に際し、脆性材料基板の表面に相互に交差する複数本のスクライブラインを形成する脆性材料基板のスクライブ方法及びスクライブ装置に関する。
FPD関連の商品として、液晶表示パネル、液晶プロジェクター基板、有機エレクトロルミネセンス素子などが、様々な用途において、画像及び文字 を含む表示手段として使用されている。そうしたFPDのうち、例えば、一対のガラス基板を貼り合わせて形成される液晶表示パネルは、その製造過程において、それぞれが大寸法の一対のマザーガラス同士が相互に貼り合わされた後に、所定の大きさになるように分断される。このマザーガラス基板の分断には、まず、マザーガラス基板の表面に対してカッターホイールに荷重をかけて一方向にカッターホイールを転動させる(走行させる)作業を走行開始位置を順次ずらせながら所定回数繰り返し、これによって並行する第1の方向のスクライブラインを形成してから、今度はカッターホイールの走行方向をそれまでとは交差する方向に変えることで第1の方向のスクライブラインと交差する第2の方向のスクライブラインを形成するといったクロススクライブが行われる。そしてこのあと、上記のクロススクライブされたマザーガラス基板は、ブレークマシンに送られ、そこで該基板に対してスクライブラインを中心軸として所定の曲げ応力を印加することにより、スクライブラインに沿って分断され、これにより目的とする液晶表示パネルが得られる。
このような脆性材料基板のクロススクライブを行うためのスクライブ装置に好適なカッターホイールとして、本願出願人は、先に、刃先稜線に微細な切り欠きを等間隔で設けることで突起を形成してなる「ガラスカッターホイール」( 特許文献1参照) を開発した。このガラスカッターホイールを採用したスクライブ装置にあっては、スクライブ時の残留応力の発生を抑えるとともに、ブレーク後、ガラス分断面に不用な欠け( 水平クラック) の発生を増大させることなく、ガラスを貫通するような高浸透の垂直クラックを得ることができる。
カッターホイールの刃先稜線に凹凸などの加工が何ら施されていないカッターホイールを採用したスクライブ装置を用いて脆性材料基板にクロススクライブを実施すると、交点飛びと呼ばれる現象(最初に形成されたスクライブラインをカッターホイールが通過する付近で、後から形成されるべきスクライブラインが形成されない現象)が発生する。この現象は最初に形成されたスクライブライン(垂直クラックのライン)の両側に応力が残存し、次に最初に形成されたスクライブラインに交差してスクライブラインを形成するときに、カッターホイールが上述の応力が残存している箇所で脆性材料基板に垂直クラックを生成させるための脆性材料基板に対するカッターホイールの押圧力が削がれてしまうため、スクライブラインが形成されなくなってしまう現象であり、頻繁に発生していた。しかし、刃先稜線に微細な切り欠きを等間隔で設けることで突起を形成してなるカッターホイールを備えたスクライブ装置により、クロススクライブを行った場合、カッターホイールの稜線部に形成された突起により脆性材料基板に打点衝撃が加えられ、上述の応力が残存している箇所をカッターホイールが通過するときに、そのカッターホイールの脆性材料基板に対する押圧力が削がれないため、従来周知の、刃先稜線に凹凸などの加工が何ら施されていないカッターホイールを採用したスクライブ装置で見られたような、交点飛びと呼ばれる現象が発生せず、また高浸透の垂直クラックが得られるため、スクライブ後のブレークマシンによる分断作業が何ら支障なく行えるといった利点があった。
ところが、上記特許文献1のカッターホイールを採用したスクライブ装置では、脆性材料基板にスクライブラインを一方向にのみ形成するときは何ら問題はないが、前述したようなクロススクライブを行う場合(図23参照)、スクライブライン同士(L1〜L3とL4〜L7)の交点Sにおいて、図24乃至図26に示すような、当業界において、いわゆるカケ、コジリ、ソゲと呼ばれる不良が発生することがあった。
上記カケとは、図24に示すように、カッターホイールCが脆性材料基板Gに圧接転動している側の基板が沈み込み(図中の矢符参照)、既設のスクライブラインL1〜L3にさしかかったところで、半分断状態にある反対側の基板に乗り上げるときに発生(図中の符号αで示す)するものである。
また、コジリとは、図25に示すように、カッターホイールCが脆性材料基板Gに圧接転動して、既設のスクライブラインL1〜L3にさしかかる手前で、半分断状態にある基板同士が競り合って、それぞれの端面部に発生する微細なカケであり、これをコジリβという。
ソゲとは、図26に示すように、カッターホイールCが脆性材料基板Gに圧接転動して、既設のスクライブラインL1〜L3のいずれかにさしかかろうとするとき、半分断状態(垂直クラックKが脆性材料基板Gの厚みの約90%まで達している状態)のスクライブラインL1〜L3が脆性材料基板Gの裏面近傍で斜め方向に分断されてしまう。この不具合をソゲγという。
上記したような各種の不良はいずれも、当然のことながら、製品の品質を損ねるものであり、FPD基板の製造歩留りを低下させる原因となっていた。
そこで、本発明者等は、上記の各問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特許文献1に開示したカッターホイールで脆性材料基板にスクライブを行った場合に生じる特有の現象に着目し、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本発明者等は、上記のカッターホイールによりスクライブを行った場合、スクライブ開始直後、カッターホイールの刃先稜線に形成された突起によって、カッターホイール自体が脆性材料基板上をスリップせず、深い垂直クラックがスクライブ方向とは逆方向にも進展していくことが確認できた。図21及び図22は、その現象を示す模式図である。カッターホイールCに刃先荷重(図中矢符P参照)が加えられた状態でスクライブが開始(カッターホイールCは図22において時計回りに回転しながら矢符Tで示す方向に進行)され、負荷過程に入ると(図21(1)乃至(3)参照)、カッターホイールCは上記したように刃先稜線の突起によって脆性材料基板G上をスリップしないことから、カッターホイールCの回転移動に伴い脆性材料基板Gに垂直クラックKが生成されていく(図21(2)及び(3)参照)。このスクライブ開始直後に生成される高浸透の垂直クラックKがスクライブ方向とは逆方向に進展していくように形成されるのである。
また、スクライブ中は、カッターホイールの突起が脆性材料基板に打点衝撃を与えて垂直クラックKを形成していくため、形成される垂直クラック自体がスクライブ方向へ進展していくように形成される現象も見出した。この現象は、打点衝撃により脆性材料基板内に垂直クラックがスクライブ方向へ進展していくエネルギーが蓄積され、スクライブ停止後も垂直クラックの先端がさらに該停止位置よりも先に向かって伸長することとなり、その結果、高浸透の垂直クラックがスクライブ方向へ進展していくように形成されるのである。
そこで、本発明者等は、上記したような垂直クラックの進展現象を利用することで、クロススクライブの場合、既設の第1の方向のスクライブラインの近傍からスクライブを開始すれば、上記した前者の現象により垂直クラックが該既設の第1の方向のスクライブラインに達すること、及び、既設の第1の方向の次のスクライブラインの近傍でスクライブを終了すれば、上記した後者の現象により垂直クラックが該既設の第1の方向の次のスクライブラインに達することをそれぞれ予想し、それらを実験により確認した。
また、本発明者等は、上記のカッターホイールでクロススクライブを行う場合、第1の方向の少なくとも一つのスクライブラインを形成する際にカッターホイールに加えた荷重よりも、第1の方向のスクライブラインと交差する第2の方向の少なくとも一つのスクライブラインを形成する際にカッターホイールに加える荷重を小さくすると、前述したような、カケやコジリ、ソゲといった不具合が一切生じないことも実験により見出した。
特許第3074143号公報
本発明は、前記従来の問題点を解決すべく、上記したような知見に基づき創案されたものであり、相互に交差するスクライブラインを、前記したようなスクライブライン交点に発生しがちな不具合を招来することなく形成しうるスクライブ方法及びスクライブ装置を提供するものである。
上記の目的を達成するため、本発明に係る脆性材料基板のスクライブ方法は、脆性材料基板の表面に複数本のスクライブラインを相互に交差させて形成する脆性材料基板のスクライブ方法であって、脆性材料基板の表面に周期的に打点衝撃を与えることにより脆性材料基板内に高浸透の垂直クラックを生成させるスクライブ手段により、脆性材料基板の表面に、第1の方向の少なくとも一つのスクライブラインと、この第1の方向の少なくとも一つのスクライブラインと交差する第2の方向の少なくとも一つのスクライブラインとを順次形成するにあたり、前記第1の方向に少なくとも一つのスクライブラインを形成する際に前記スクライブ手段にかける荷重P1と、前記第2の方向に少なくとも一つのスクライブラインを形成する際に前記スクライブ手段にかける荷重P2との関係を、P1>P2とすることによって特徴付けられる。
また、本発明に係るスクライブ装置は、上記したスクライブ方法を実施するスクライブ装置であって、脆性材料基板の表面に周期的に打点衝撃を与えることにより脆性材料基板内に高浸透の垂直クラックを生成させるスクライブ手段と、前記第1の方向にスクライブラインを形成するときの前記スクライブ手段にかける荷重P1と、前記第2の方向にスクライブラインを形成するときの前記スクライブ手段にかける荷重P2との関係が、P1>P2となるように前記スクライブ手段にかける荷重を制御する荷重制御手段とを備えたことによって特徴付けられる。
このようなスクライブ方法及びスクライブ装置によれば、このようなスクライブ方法及びスクライブ装置によれば、前述したような、カケやコジリ、ソゲといった不具合は一切生じない。
したがって、前述したFPDの製品歩留りを向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるスクライブ装置を示す概略正面図である。
このスクライブ装置は、載置された脆性材料基板Gを例えば真空吸引手段によって吸着固定する水平回転可能なテーブル1と、このテーブル1をY方向(紙面に直交する方向)に移動可能に支承する平行な一対の案内レール2,2と、この案内レール2,2に沿ってテーブル1を移動させるボールネジ3と、Y方向と直交するX方向(この図における左右方向)に沿ってテーブル1の上方に架設されたガイドバー4と、このガイドバー4にX方向に摺動可能に設けられたスクライブヘッド5と、このスクライブヘッド5を摺動させるモータ6と、スクライブヘッド5の下部に昇降動可能且つ首振り自在に設けられたチップホルダ7と、このチップホルダ7の下端に回転可能に装着されたカッターホイール8と、ガイドバー4の上方に設置されテーブル1上の脆性材料基板Gに記載されたアラインメントマークを認識する一対のCCDカメラ9と、第2のスクライブラインを形成する際、上記カッターホイール8を第1のスクライブラインを回避させつつ走行させるべく上記スクライブヘッド5の摺動動作及びチップホルダ7の昇降動作を制御するソフトウエアで構成される走行制御手段とを備えたものである。
なお、上記したスクライブ装置は一例であって、スクライブヘッド5が固定され、テーブル1がX及びY方向に移動するタイプや、テーブル1が固定され、スクライブヘッド5がX及びY方向に移動するタイプのものであってもよい。
図2に示すカッターホイール8(8A)は脆性材料基板Gの表面に短周期の打点衝撃を与えうるタイプのものである。図2(a)は回転軸方向から見たカッターホイール8の外観側面図であり、図2(b)は回転軸と直角な方向から見たカッターホイール8の外観正面図である。また、図2(c)は刃先稜線部Aの拡大図である。ここでは、カッターホイール8Aの刃先稜線10に、図2(c)に示すように、U字形状の溝11を切り欠くことで、高さhの突起12をピッチPの間隔で得ている。
ここで例示したカッターホイール8Aは、ホイール径φが2. 5mm、ホイール厚Wが0. 65mm、刃先角度2θが125°、突起数が125個、突起の高さhが5μm、ピッチPが63μmであり、このカッターホイール8を用い、刃先荷重0.35N、スクライブ速度300mm/secの条件で1. 1mm厚のガラス板をスクライブした時のガラス断面を図3に示している。
図3において、ガラス板の上面にある圧痕Lは、カッターホイール8をガラス板Gの上面を圧接転動させたときに生じたものであり、これをスクライブラインと称している( このラインは紙面に対し垂直方向に延在する) 。このスクライブラインLの刻設と同時に、このスクライブラインLから直下方向に延びるクラック( 垂直クラック) Kが発生するが、この場合、ガラス板を板厚方向にほぼ貫通するような長いクラック( 実測962μm) が発生、つまり高浸透の垂直クラックが発生している。
このように、上記したカッターホイール8は、刃先荷重を大きくしても、水平クラックの発生はなく、その荷重の大きさに比例するように高浸透の垂直クラックKが得られる。このようにスクライブ時に得られる垂直クラックKが高浸透であると、次工程のブレイク作業において、スクライブラインに沿った正確なブレイクが行え、歩留りが向上する。又、ブレイク作業が容易なことから、ブレイク工程の内容を緩和あるいは簡素化できる。
図4〜図6は他のカッターホイールの円周稜線部を示す部分拡大図である。図4のカッターホイール8Bは、上記のカッターホイール8Aとは異なる形状を有する突起121の例を示しており、刃先稜線101にV字形状の溝111を切り欠くことで突起121を形成している。
図5に示すカッターホイール8Cは、カッターホイール8A、8Bとさらに異なる形状を有する突起122の例を示しており、刃先稜線102に鋸形状の溝112を切り欠くことで突起122を形成している。
図6に示すカッターホイール8Dは上記カッターホイールとは異なる形状を有する突起123の例を示しており、刃先稜線103に矩形の溝113を切り欠くことで突起123を形成している。
本実施の形態においては、ソフトウエアで構成される荷重制御手段を備えている。
この荷重制御手段は、第1のスクライブラインを形成するときのカッターホイールに対する刃先荷重P1と、第2のスクライブラインを形成するときのカッターホイールに対する刃先荷重P2との関係が、P1>P2となるようにカッターホイールにかける荷重を制御するものである。
このような荷重制御手段を備えたことにより、クロススクライブ時に、前述したような、カケやコジリ、ソゲといった不具合は一切生じないものとなった。
次に、実施例について説明する。
脆性材料基板として、板厚0.7mmのガラス板に対し、図7に示すように、各5本ずつ、第1のスクライブラインL1〜L5及び第2のスクライブラインL6〜L10をスクライブし、これら第1及び第2のスクライブラインの合計25ヶ所に亘る交点すべてについて、前述したソゲ、カケ、コジリのそれぞれの発生率を調べた。なお、以下においていうソゲの大きさとは、図8において符号mで示す寸法をいい、カケの大きさとは、図9において符号nで示す寸法をいう。
スクライブの条件としては、カッターホイールの走行速度を300mm/secとし、カッターホイールがガラス板に乗り上げる前の設定深さ(図10の符号d参照)、すなわち切り込み量を0.15mmとした。なお、図中の符号8はカッターホイール、G´はガラス板を示す。また、第1のスクライブラインL1〜L5を形成する際のカッターホイールにかける刃先荷重P1の設定値を、0.15MPa 、0.20MPa 、0.25MPa 、0.30MPa の4種類とする一方、第2のスクライブラインL6〜L10を形成する際のカッターホイールにかける刃先荷重P2の設定値を、0.15MPa 、0.20MPa 、0.25MPa 、0.30MPa の4種類とした。
上記に従ってスクライブした結果を図11乃至図15のレーダーチャートに示す。
図11は、大きさが100〜200μmのソゲの発生率を、図12は、大きさが200〜300μmのソゲの発生率を、図13は、大きさが150〜300μmのカケの発生率を、図14は、大きさが300μm以上のカケの発生率を、図15は、コジリの発生率をそれぞれ示している。
これらの図からも明らかなように、第1のスクライブラインL1〜L5を形成するときのカッターホイールに対する刃先荷重P1と、第2のスクライブラインL6〜L10を形成するときのカッターホイールに対する刃先荷重P2との関係を、P1>P2となるようにすると、上記のソゲ、カケ、コジリのいずれも発生率が低下することが判る。
カッターホイールの走行速度を100mm/secとし、第1のスクライブラインL1〜L5を形成する際のカッターホイールにかける刃先荷重P1の設定値を、0.15MPa 、0.20MPa 、0.25MPa の3種類とする一方、第2のスクライブラインL6〜L10を形成する際のカッターホイールにかける刃先荷重P2の設定値を、0.15MPa 、0.20MPa 、0.25MPa の3種類とした以外、上記実施例1と同じ条件でスクライブを行った。
その結果を図16乃至図20のレーダーチャートに示す。
その結果を図16乃至図20のレーダーチャートに示す。
図16は、大きさが100〜200μmのソゲの発生率を、図17は、大きさが200〜300μmのソゲの発生率を、図18は、大きさが150〜300μmのカケの発生率を、図19は、大きさが300μm以上のカケの発生率を、図20は、コジリの発生率をそれぞれ示している。
これらの図からも明らかなように、第1のスクライブラインL1〜L5を形成するときのカッターホイールにかける刃先荷重P1と、第2のスクライブラインL6〜L10を形成するときのカッターホイールにかける刃先荷重P2との関係を、P1>P2となるようにすると、上記のソゲ、カケ、コジリのいずれも発生率が低下することが判る。
なお、上記した実施の形態においては、スクライブ手段として、スクライブヘッド5、チップホルダ7、カッターホイール8等から構成されたものを例示したが、脆性材料基板Gの表面に短周期の打点衝撃を与えうるものであれば、他の構成のものであってもよい。
例えば、脆性材料基板Gの表面に押圧したカッタに、振動アクチュエータの周期的伸縮に伴う振動を加えてカッタに付与される押圧力(荷重)を周期的に大きくし、これによって脆性材料基板Gに打点衝撃を与えるようにしたものであってもよい。その一例として、特許第2954566号公報に開示されている装置があるので、ここでは詳述しない。
尚、上述の説明においては、脆性材料基板の一種であるガラス基板にスクライブラインを形成する場合について主に述べたがこれに限ることなく、例えば、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイなどの脆性材料基板を貼り合わせたフラットパネルディスプレイ(FPD)や、透過型プロジェクタ基板、反射型プロジェクタ基板等のマザー貼り合わせ基板にスクライブラインを形成する工程にも本発明のスクライブ装置およびスクライブ方法が有効に適用される。
本発明のスクライブ装置およびスクライブ方法は、脆性材料基板としてガラス基板、脆性材料基板を貼り合わせたFPDやマザー貼り合わせ基板などに適用され、これらの基板に形成されたスクライブラインの交点に発生しがちな不具合を招来することなくスクライブラインを形成するのに有用である。
G 脆性基板
L1〜L5 第1のスクライブライン
L6〜L10 第2のスクライブライン
K 垂直クラック
5 スクライブヘッド
8 カッターホイール
P1 第1のスクライブラインを形成するときのカッターホイールに対す る刃先荷重
P2 第2のスクライブラインを形成するときのカッターホイールに対す る刃先荷重
L1〜L5 第1のスクライブライン
L6〜L10 第2のスクライブライン
K 垂直クラック
5 スクライブヘッド
8 カッターホイール
P1 第1のスクライブラインを形成するときのカッターホイールに対す る刃先荷重
P2 第2のスクライブラインを形成するときのカッターホイールに対す る刃先荷重
Claims (2)
- 脆性材料基板の表面に複数本のスクライブラインを相互に交差させて形成する脆性材料基板のスクライブ方法であって、
脆性材料基板の表面に周期的に打点衝撃を与えることにより脆性材料基板内に高浸透の垂直クラックを生成させるスクライブ手段により、脆性材料基板の表面に、第1の方向の少なくとも一つのスクライブラインと、この第1の方向の少なくとも一つのスクライブラインと交差する第2の方向の少なくとも一つのスクライブラインとを順次形成するにあたり、前記第1の方向に少なくとも一つのスクライブラインを形成する際に前記スクライブ手段にかける荷重P1と、前記第2の方向に少なくとも一つのスクライブラインを形成する際に前記スクライブ手段にかける荷重P2との関係を、
P1>P2
としたことを特徴とする脆性材料基板のスクライブ方法。 - 請求項1に記載のスクライブ方法を実施するスクライブ装置であって、 脆性材料基板の表面に周期的に打点衝撃を与えることにより脆性材料基板内に高浸透の垂直クラックを生成させるスクライブ手段と、
前記第1の方向にスクライブラインを形成するときの前記スクライブ手段にかける荷重P1と、前記第2の方向にスクライブラインを形成するときの前記スクライブ手段にかける荷重P2との関係が、
P1>P2
となるように前記スクライブ手段にかける荷重を制御する荷重制御手段とを備えたことを特徴とする脆性材料基板のスクライブ装置。
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