JP5210355B2 - 脆性材料基板のスクライブ方法 - Google Patents
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Description
ノーマルカッターホイール1aによる外切りでは、ノーマルカッターホイール1aをガラス基板Mの端縁角部に対し横から当たるようにして加工を開始するようにしている。ガラス基板表面の端縁から離れた位置からスクライブラインを形成しようとするとガラス基板表面に対するカカリがよくないためスクライブラインが形成されないという不具合が生じるからである。しかし、ガラス基板の端縁角部は割れやすく脆弱であるため、加工開始時に微細な欠けやひび割れが生じるおそれがある。特にガラス基板Mの板厚が0.4mm以下(特には0.2mm以下)の薄板になると特に欠けやすい。また、ノーマルカッターホイール1aをガラス基板Mの端縁角部に対し横から当たるようにするとノーマルカッターホイール1aの刃先稜線部が欠けてしまうという不具合を生じやすい。
このような薄い脆性材料基板にカッターホイールでスクライブラインを形成する場合、溝付きカッターホイールでは、切欠きと切欠きの間の稜線とが基板表面に交互に押圧されてスクライブラインが形成されるため、スクライブライン自体の状態が乱れた状態となり、傷痕が残りやすく、分断後の単位基板の端面強度が劣化して、小さなひび割れ等の発生原因となる。
従って、単位基板の端面強度の点からは、ノーマルカッターホイールを使用することが望ましいが、その場合、脆性材料基板の割れやすい端縁角部から加工を開始する必要があるため、加工開始時に端縁の角部が欠けたり、微細なひび割れが生じたりすることとなった。例えば、厚さが0.4mm以下、特に0.2mm以下のガラス基板等の脆性材料基板では、端縁角部の欠けを防止することは困難であった。また、欠けにより端面強度が著しく低下する傾向がある。
図1は、本発明方法を実施するための一般的なスクライブ装置を示す概略的な正面図である。
スクライブ装置SCは、脆性材料基板Mを上面に保持する水平回転可能なテーブル4と、このテーブル4を一方向に移動可能に保持するレール5と、テーブル4の上方でレール5と直交する方向(図1の左右方向)に橋架されたガイドバー6と、このガイドバー6に沿って移動可能に設けられた2基のスクライブヘッド7と、スクライブヘッド7の下端に昇降可能に装着されたカッターホルダ8とを備えている。このカッターホルダ8の一方に、先の図6で示したノーマルカッターホイール1aが取り付けられ、他方に、先の図7で示した溝付きカッターホイール1bが取り付けられる。例えば、ガラス基板Mにトリガを形成するときは、溝付きカッターホイール1bを降下させてガラス基板Mに衝突させ、スクライブラインを加工するときは、ノーマルカッターホイール1aを降下させ、ガラス基板M上のトリガから圧接させながらテーブル4若しくはスクライブヘッド7をスクライブ予定ラインに沿って相対的に移動させる。
先ず図2(a)〜(c)並びに図4(a)に示すように、X方向のスクライブ予定ラインL1でガラス基板Mの一端縁より内側に入り込んだ箇所に溝付きカッターホイール1bをガラス基板Mの表面を軽く打ちつけるように降下させ、その後上昇させることにより、スクライブ起点となるトリガ(初期亀裂)T1を形成する。
次いで、図2(d)並びに図4(b)に示すように、トリガT1を形成した位置にノーマルカッターホイール1aを降下させてスクライブ予定ラインLに沿って圧接しながら転動させることにより、X方向のスクライブラインS1を形成する。即ち、上述した内切りの手法によってスクライブラインを形成する。ノーマルカッターホイール1aは、予め形成してあるトリガT1に食い込むことができるので滑ることなく、スクライブラインを形成することができる。同様の作業を繰り返すことにより図4(c)に示すように全てのX方向スクライブラインS1を形成する。
また、上記方法では、溝付きカッターホイール1bによるトリガT1,T2(初期亀裂)の形成位置が、基板Mの割れやすい端縁角部ではなく、端縁より少し内側に入り込んだ箇所の平面に加工するものであるから、トリガ加工時に欠けや微細なひび割れなどの発生を抑制することができる。そして、厚さ0.4mm以下、特には0.2mm以下のガラス基板であっても、これまでは内切りで使用することができなかったノーマルカッターホイールを使用して内切りでスクライブラインを形成することができる。また。ノーマルカッターホイール1aによってスクライブラインS1,S2を加工するものであるから、溝付きカッターホイールを使用する場合よりも、加工部に乱れのないスクライブラインを加工することができ、後工程で脆性材料基板を分断したときに端面に傷痕が残ることがなくて端面強度を高めることができるものである。
S1 X方向のスクライブライン
S2 Y方向のスクライブライン
L1 X方向のスクライブ予定ライン
L2 Y方向のスクライブ予定ライン
T1,T2 スクライブ起点となるトリガ
T3 交差部分のトリガ
1a ノーマルカッターホイール
1b ペネットカッターホイール
2 稜線部
Claims (5)
- カッターホイールを用いて、脆性材料基板上で転動させることによりスクライブラインを形成するスクライブ方法であって、
前記脆性材料基板が、厚み0.4mm以下のガラス基板であり、
前記カッターホイールは刃先稜線部に切欠きが形成されていないノーマルカッターホイールであり、
前記基板の表面上で基板の一端縁より内側に入り込んだ箇所に刃先稜線部に切欠きを設けた溝付きカッターホイールを前記基板上方から降下させて衝突させることによりスクライブの起点となる一方向に延びる初期亀裂であるトリガを形成し、
次いで、トリガを形成した位置から前記ノーマルカッターホイールをスクライブ予定ラインに沿って転動させることにより、スクライブラインを形成するようにした脆性材料基板のスクライブ方法。 - 前記ノーマルカッターホイールの刃先稜線部の中心線平均粗さRa(JIS B 0601−1982)が1μm未満である請求項1に記載の脆性材料基板のスクライブ方法。
- 前記ノーマルカッターホイールの刃先稜線部の中心線平均粗さRaが0.5μm以下(JIS B 0601−1982)である請求項1に記載の脆性材料基板のスクライブ方法。
- 前記脆性材料基板が、厚み0.2mm以下のガラス基板である請求項1に記載の脆性材料基板のスクライブ方法。
- 前記溝付きカッターホイールの前記切欠きの深さが1〜60μmである請求項1に記載の脆性材料基板のスクライブ方法。
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