JP2009003747A - 複合材料のシミュレーションモデルの作成方法およびシミュレーション方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】補強材料および被補強材料の形状を再現可能とするモデルを作成し、形状モデルの補強材料部分を代表する補強材料代表点と、被補強材料部分の要素を代表する要素代表点とを設定し、被補強材料部分の要素に材料特性を付与し、この材料特性を付与するとき、補強材料代表点を中心とした被補強材料部分の各要素の要素代表点までの距離に応じて変化する材料特性を関数を用いて生成し、生成された材料特性を有するように、補強材料部分の周囲を取り囲む遷移材料部分を被補強材料部分の一部として設けることを特徴とするシミュレーションモデルの作成方法。
【選択図】図3
Description
一方、ゴム材料の力学特性は、ゴム材料がその中に含むフィラーの種類、量、配置等により種々に異なっている。このため、タイヤに用いられる新たな力学特性を有するゴム材料の開発を短期間かつ低コストで行なうためには、ゴム材料を再現したシミュレーションモデルを用いて、ゴム材料の力学特性のシミュレーションが行われることが望まれている。
このため、この差異を小さくするシミュレーションモデルが必要とされている。特許文献1には、フィラーとマトリックスゴムの間に、仮想の界面モデルを設けたシミュレーションモデルが提案されている。
しかし、特許文献1におけるシミュレーションモデルでは、界面モデルを層としてマトリックスモデルとフィラーモデルとの間に別途形成しているため、シミュレーションモデルの作成効率が低いという問題点がある。
また、前記材料特性の特性値は、前記材料代表点から前記要素代表点までの距離に応じて関数値が変化する関数により生成されることが好ましい。
また、前記要素代表点は、前記要素の形状に応じて設定される積分点であることが好ましい。
また、前記材料物性は、少なくとも弾性特性値と粘弾性特性値とを含むことが好ましい。
また、前記第1の材料代表点は、前記第1の材料の重心点に対応する点であることが好ましい。
また、前記第1の材料は、粒子状のカーボンブラック、粒子状のシリカ、あるいは、繊維補強材であってもよい。
また、前記第1の材料代表点は、複数であってもよい。
また、前記材料物性関数は、1つの前記第1の材料代表点に、複数作成されてもよい。
また、前記材料物性関数は、前記第1の材料代表点毎に異なってもよい。
また、前記要素代表点によってその位置を代表される要素に付与される前記材料物性は、複数の前記材料物性を算術平均した物性、複数の前記材料物性を荷重平均した物性、あるいは、複数の材料物性中で最大の物性のいずれであってもよい。
また、前記境界条件は、前記シミュレーションモデルの対向する2辺上または2面上の対応する2点における相対変位を許容する周期対称条件を含むことが好ましい。
図1は、本発明の実施態様を実施するシミュレーション装置10の構成を機能的に示したブロック図である。
シミュレーション装置10は、CPU(演算部)12、メモリ14、ROM16、I/Oボード18を備えたコンピュータで構成される。また、シミュレーション装置10は、メモリ14あるいはROM16に記憶されたアプリケーションソフトウェアを呼び出して、形状モデル作成部20、補強材料代表点設定部22、要素代表点設定部24、物性値付与部26および数値解析部28をサブルーチンとして生成し、それぞれのサブルーチンを実行させる装置である。
ここで、材料物性関数E(r)を規定する条件は、補強材料の材料物性に相当するc1、被補強材料の材料物性に相当するc2、補強材料の直径に相当するa2、遷移材料部分の材料特性が被補強材料の材料特性に一致する位置(補強材料の中心からの距離)に相当するa3、および、遷移材料部分での材料特性の傾きd(図5(a)〜(c)参照)等である。
また、形状モデルの要素は、同一矩形形状、同一サイズのボクセルではなく、フィラーの配置に合わせて形状を種々変えた要素であってもよい。
なお、積分点は、ガウス積分点であり、要素内の数値解析における計算結果の算出点とされるものであり、節点とともに用いて要素内の応力や歪等の物理量の勾配を定めることのできる、要素に応じて設定される点である。
次に、この物性値が、おのおのの要素代表点における物性値とされ、この物性値が、バウンドラバー部46を含むマトリックスゴム部44とフィラー部42との要素に付与される。これにより、バウンドラバー部46の物性値は、フィラー単体の物性値からマトリックスゴム単体の物性値に徐々にまたは段階的に変化するものとなる。バウンドラバー部46を含むマトリックスゴム部44とフィラー部42との要素に付与される物性値が、数値解析部28が行なう数値解析シミュレーションに用いられる。
形状モデルは、バウンドラバー部46を含むマトリックスゴム部44とフィラー部42との形状を再現可能とする、複数の要素で構成されたいずれのモデルであってもよい。例えば、3次元モデルであってもよいが、本実施形態の例では、2次元モデルで説明する。また、形状モデル中の要素は、円形のフィラーの形状を再現した要素としてもよいが、本実施形態では、同一矩形形状、同一サイズのボクセルとすることが好ましい。形状モデル中の全要素をボクセルとすることにより、シミュレーションモデルが容易に作成でき、また、フィラー部42の位置および数が変更になっても、シミュレーションモデルの作成を不要とできる。
シミュレーションモデル40において、フィラー部42は灰色部分で示され複数の要素を含み、マトリックスゴム部44は白色部分で示され複数の要素を含む。
なお、バウンドラバー部46は、形状モデル作成段階では、マトリックスゴム部44から区分されていない。しかし、詳細を後述する物性値が要素に付与されるステップ(ステップS108)にて、マトリックスゴム単体と異なる物性値が付与されるマトリックスゴム部44の一部分が、バウンドラバー部46として区分される。また、このようなフィラー部42とマトリックスゴム部44との境界は、モデル上では区分けされないが、その境界は、予めマウス・キーボード34から入力されたパラメータa2により設定されている。以下、シミュレーションモデル40に基づき、詳細に説明する。
また、物性値は、異なる2つ以上の物性値であってもよく、例えば、上記いずれか1つの弾性率特性値と粘弾性特性値との2つの物性値であることが好ましい。これにより、シミュレーションモデルはゴム材料の力学特性を有するシミュレーションモデルとなり、ゴム材料の力学特性の予想精度が高まる。
ここで、材料物性関数E(r)は、材料特性がフィラーからの距離に応じて傾斜的に変化する部分を有する関数である。なお、このように材料物性関数E(r)を設定するのは、フィラーで補強されたゴム材料ではマトリックスゴム部の一部が改質され、この改質された部分の剛性はマトリックスゴム部およびフィラー部の中間の剛性を示し、マトリックスゴム部の剛性より高く、フィラー部から傾斜的に変化しているという、発明者の知見した結果に基づくものである。
材料物性関数E(r)が、a1≦r<a2の範囲において定める物性値Eは一定値c1であり、a3≦r≦∞の範囲において定める物性値Eは一定値c2である。さらに、a2≦r<a3の範囲の材料物性関数E(r)において、r=a2における物性値Eはc1であり、rの増加に伴い物性値Eは下に凸の形で減少し、r=a3にてc2に至る。
まず、形状モデル内の任意の要素を選び、この要素内のおのおのの要素代表点と補強材料代表点との距離を材料物性関数E(r)に代入し、おのおのの要素代表点における物性値を求める。次に、物性値が、この選ばれた要素に付与される。シミュレーションモデル40内の全ての要素においてこの手順が繰り返され、シミュレーションモデル40は、材料物性関数E(r)を用いることにより、バウンドラバー部46内の物性値がフィラー部42の重心50からの距離に応じて、フィラー単体の物性値からマトリックスゴム単体の物性値に変化する複合材料を再現したシミュレーションモデルとなる。
また、材料物性関数は、1つの補強材料代表点において、複数の材料物性関数が足し合わされたものであってもよい。
材料物性関数E(r)は、図5(b)に示すように、a1≦r<a2の範囲において定める物性値Eは一定値c1であり、a2≦r<a3の範囲において、r=a2における物性値Eはc1であり、rの増加に伴い物性値Eは直線的に減少してc2に至り、a3≦r≦∞の範囲において、物性値Eは一定値c2を示す関数であってもよい。
このように、材料物性関数E(r)を変更することにより、バウンドラバー部46内の傾斜的な材料特性が異なるシミュレーションモデルを容易に作成することができる。また、上述したように、物性値は材料物性関数E(r)により生成され各要素に付与されるので、モデルの作成方法が単純化でき、手作業での作成が困難な、多数のフィラーを含むモデルや、三次元のモデルの作成も容易にできる。
ここで、シミュレーションモデルに与えられる境界条件は、変形解析に用いるいずれの境界条件でもよく、例えば、力、応力、変位のいずれでもよいが、本実施態様では一例として、歪である。
シミュレーションモデル40は、周期対称条件が付加され、1軸伸長により、X軸方向へのひずみ25%が印加されている。また、材料物性は、超弾性ポテンシャルであるArrunda−Boyceポテンシャルが用いられている。Arrunda−Boyceポテンシャルのパラメータμは、図5(a)に示す材料物性関数E(r)において、フィラーの半径r(a2)を4としたとき、0≦r<4の範囲において100であり、4≦r<7の範囲において、100から1に減少し、7≦r≦∞の範囲において1となっている。また、Arrunda−Boyceポテンシャルのもう1つパラメータλは2.3で一定とされる。したがって、バウンドラバー部46の物性値は、フィラー単体の物性値からマトリックスゴム単体の物性値に変化する。
また、材料物性関数E(r)のパラメータであるa2、a3等を、マウス・キーボード34からの入力で変更することにより、シミュレーションモデル40および52内のバウンドラバー部46内の傾斜させた物性値が容易に変更できる。
12 CPU
14 メモリ
16 ROM
18 I/Oボード
20 形状モデル作成部
22 補強材料代表点設定部
24 要素代表点設定部
26 物性値付与部
28 数値解析部
30 ディスプレイ
32 プリンタ
34 マウス・キーボード
40、48、52 シミュレーションモデル
42 フィラー部
44 マトリックスゴム部
46 バウンドラバー部
50 重心
Claims (10)
- 第1の材料とこの第1の材料を取り巻くように配置された第2の材料とを含む複合材料を再現したシミュレーションモデルを作成する方法において、
前記第1の材料および第2の材料の形状を再現可能とする、複数の要素で構成された形状モデルを作成する第1のステップと、
前記形状モデルの第1の材料部分の位置を代表する第1の材料代表点と、前記形状モデルの第2の材料部分に含まれる要素の位置を各要素毎に代表する要素代表点とを設定する第2のステップと、
前記第2の材料部分の要素に材料特性を付与する第3のステップと、を有し、
前記第3のステップにおいて、前記第2の材料部分の要素にそれぞれ前記材料特性を付与するとき、前記第1の材料代表点を中心とした前記第2の材料部分の各要素の要素代表点までの距離に応じて変化する材料特性を有するように、前記第1の材料部分の周囲を取り囲む遷移材料部分を前記第2の材料部分の一部として設けることを特徴とするシミュレーションモデルの作成方法。 - 前記第2の材料は前記第1の材料に比べて剛性が低く、前記第1の材料は前記第2の材料を力学的に補強する請求項1に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記材料特性の特性値は、前記材料代表点から前記要素代表点までの距離に応じて関数値が変化する関数により生成される請求項1または2に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記要素代表点は、前記要素の形状に応じて設定される積分点である請求項1〜3のいずれかに記載のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記材料特性は、少なくとも弾性特性値と粘弾性特性値とを含む請求項1〜4のいずれかに記載のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記第1の材料代表点は、前記第1の材料の重心点に対応する点である請求項1〜5のいずれかに記載のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記第1の材料に力学的に補強される前記第2の材料は、マトリックスゴムである請求項1〜6のいずれかに記載のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記第1の材料は、粒子状のカーボンブラック、粒子状のシリカ、あるいは、繊維補強材である請求項1〜7のいずれかに記載のシミュレーションモデルの作成方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により作成されたシミュレーションモデルに対し、境界条件を与え、数値解析を行い、複合材料の力学特性を取得することを特徴とするシミュレーション方法。
- 前記境界条件は、前記シミュレーションモデルの対向する2辺上または2面上の対応する2点における相対変位を許容する周期対称条件を含む請求項9に記載のシミュレーション方法。
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