JP5854067B2 - 不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法、不均質材料のシミュレーション方法、及びプログラム - Google Patents
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具体的には、上記ゴム材料の変形挙動予測方法では、まず、ゴムと充填剤とが配合された所定形状のゴム材料を所定平面により所定間隔でスライスしたときの内部構造を含む断面形状を表す複数のスライス画像を取得する。この取得した各スライス画像を構成する各画素の濃度値に基づいて当該各スライス画像に含まれるゴム部分と充填剤部分とを判別する。次に、判別した各スライス画像をスライス位置の順序でかつ所定間隔で積層し、互いに隣接するゴム部分と充填剤部分の各々の画素の領域を統合してゴム材料に配合されたゴムと充填剤の三次元構造を示す三次元画像を生成する。生成した三次元画像において互いに隣接する充填剤部分の画素の領域を統合した各統合領域内に充填剤のサイズに対応して予め定めたサイズの仮想粒子を仮想的に配置し、当該三次元画像において仮想粒子が未配置の領域をゴム領域として充填剤に相当するサイズよりも小さい所定サイズの格子領域で分割すると共に、仮想粒子が配置された粒子領域を充填剤領域として所定サイズよりも大きいサイズの格子領域で分割した三次元モデルを生成する。
具体的には、上記ゴム材料のシミュレーション方法では、ゴム材料のX線及び/又は中性子の散乱データを測定し、測定した散乱データからリバースモンテカルロ法によりゴム中の充填材の三次元構造を特定する。この後、充填材の三次元構造に基づいてゴム材料モデルを設定し、このゴム材料モデルに基づいて変形シミュレーションを行う。散乱データを測定するとき、散乱ベクトルq=4π・sinθ/λ(λは電磁波又は粒子線の波長、θは、散乱角の1/2)が10−4nm−1よりも大かつ10nm−1よりも小の範囲の散乱データを得る。
具体的には、まず、マトリックス材料モデルに2つの粒子モデルを配したとき、この2つの粒子モデルによって作られる仮想ポテンシャルを設定し、さらに、複数の粒子モデルをマトリックス材料モデル中に配した複合材料モデルを作成する。そして、複数の粒子モデル間に作用する仮想ポテンシャルの値を合計して全ポテンシャルエネルギーの値を算出する。次に、複数の粒子モデルの中の少なくとも1つの粒子モデルを仮移動し、この仮移動後の全ポテンシャルエネルギーの値を算出し、粒子モデルの仮移動前の全ポテンシャルエネルギーの値と、仮移動後の全ポテンシャルエネルギーの値とを比較し、仮移動後の全ポテンシャルエネルギーの値が仮移動前の全ポテンシャルエネルギーの値に比べて低いとき、仮移動を粒子モデルの本移動として定めて粒子モデルの配置を修正した修正複合材料モデルを生成する。この仮移動と、仮移動前と移動後の全ポテンシャルエネルギーの比較を繰り返し行う。そして、粒子モデルのモデル間距離が所定距離以下になることでクラスターと判断されたときのクラスターの大きさを求め、この大きさが予め定めた条件を満たすとき、複合材料モデルにおける粒子モデルの配置の修正を終了する。
このように、従来の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法では、不均質材料のモルフォロジーを自在に定めて、不均質材料のモルフォロジーとゴム材料の粘弾性特性との関係を正確に把握することができない。
(a)前記第1の材料相を母相として、不均質材料のモデル化領域内に予め領域を定めた母相のモデルを作成するステップと、
(b)粒子モデルを順次前記モデル化領域内に分散して発生させて、前記第2の材料相のモデルを作成するステップであって、粒子モデルを発生させるとき、すでに配置した粒子モデルとの間の相対位置を定める制御パラメータにより粒子モデルの発生位置を制御するステップと、
(c)前記母相のモデル及び前記第2の材料相のモデルに材料パラメータを付与して、コンピュータで演算可能な不均質材料のシミュレーションモデルを作成するステップと、
を含む。
前記モデル化領域の不均質材料のモデルを用いて無限領域の不均質材料のシミュレーションを行うために、前記(c)のステップにおいて、前記シミュレーションモデルの変形を許容しつつ、前記モデル化領域の境界上に位置する単位要素の変位を拘束するための複数の制御点を設定した、周期境界条件を満たす変位拘束式を前記シミュレーションモデルに付与し、前記変位拘束式は、前記複数の制御点の変位と、前記モデル化領域の境界上に位置する単位要素の変位との間を拘束する関係式であることが好ましい。
(c−1)前記モデル化領域全体を、前記母相のモデル及び前記粒子モデルよりもサイズの小さい複数の単位要素で構成し、
(c−2)前記単位要素のそれぞれに、前記第1の材料相あるいは前記第2の材料相を特定する材料属性値を割り当てることにより、前記シミュレーションモデルを作成することが好ましい。
前記粒子モデルの重心点が前記単位要素のいずれの中心位置にもないとき、前記粒子モデルの重心点が前記単位要素のうち最も近い単位要素の中心位置に来るように、前記粒子モデルを移動して前記シミュレーションモデルを作成することも好ましい。
(a)コンピュータに、不均質材料のモデル化領域内に前記第1の材料相を母相として領域を定めて母相のモデルを作成させる手順と、
(b)粒子モデルを順次前記モデル化領域内に分散して発生させて、前記第2の材料相のモデルをコンピュータに作成させるとき、すでに配置した粒子モデルとの間の相対位置を定める制御パラメータにより粒子モデルの発生位置を、コンピュータに制御させる手順と、
(c)前記母相のモデル及び前記第2の材料相のモデルに材料パラメータを付与して、コンピュータで演算可能な不均質材料のシミュレーションモデルをコンピュータに作成させる手順と、
を含む。
図1は、本発明の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法及びシミュレーション方法を実行する一実施形態の不均質材料のシミュレーション装置10の概略構成図である。
図1に示す不均質材料のシミュレーション装置(以下、装置という)10は、コンピュータがプログラムを読み込んで実行させることで機能する装置である。装置10は、第1の材料相と第2の材料相を少なくとも含む不均質材料を再現するために、第1の材料相を母相としてモデル化し、2つ以上の粒子モデルにより第2の材料相のモデルを作成することにより、粒子モデルを分散させた不均質材料のシミュレーションモデルを作成してシミュレーションを行う。
入出力部18は、キーボードやマウス等の入力操作系40、ディスプレイ42、及びプリンタ44と接続されている。
不均質材料モデルパラメータは、母相に所定の材料相が分散した不均質材料のモデルを作成するために必要なパラメータであり、シミュレーションモデルパラメータは、作成した不均質材料のモデルをコンピュータで演算可能な複数の単位要素で構成したシミュレーションモデルにするために必要なパラメータである。
不均質材料モデルパラメータは、モデル化領域の大きさ、どの材料相を母相のモデルとするかに関する情報、どの材料相を母相のモデルに分散した粒子モデルとするかに関する情報、母相となるモデルの種類の数、粒子モデルの種類の数、境界層モデルの有無等の情報、第2の材料相のモデルを定める属性値の情報、粒子モデルの発生位置を制御するための、粒子モデルとの間の相対位置を定める制御パラメータの情報、及び第1の材料相や第2の材料相等の各材料の材料パラメータ(以下材料定数という)の少なくとも1つ以上を含む。本実施形態では、第1の材料相を母相としてモデル化し、第2の材料相を粒子モデルでモデル化する。第2の材料相の粒子モデルを定める属性値は、第2の材料相を構成する粒子モデルの形状(球体モデルか、あるいは楕円体モデルの情報)、作成する粒子モデルの大きさ(半径、あるいは長径及び短径)、及びモデル化領域における体積分率等の情報を含む。
シミュレーションモデルパラメータは、シミュレーションモデルのモデルの情報(有限要素法によるモデルの各情報あるいはメッシュフリー法によるモデルの各情報)、単位要素の大きさの情報を含む。
不均質材料が、例えば種類の異なる第1のポリマーと第2のポリマーに、カーボンあるいはシリカ等の粒子状のフィラーが分散した構成のゴム材料である場合、母相のモデル52は第1のポリマーを再現したものであり、第1の粒子モデル54は例えば第2のポリマーを再現したものである。第2の粒子モデル56は例えばフィラーを再現したものである。境界層モデル58は、例えば第2のポリマーとフィラーとの境界に形成される層を再現したものである。不均質材料モデル作成部22は、第1の粒子モデル54を、モデル化領域50内に順次発生させるとき、すでに配置した第1の粒子モデル54との間の相対位置を定める制御パラメータにより第1の粒子モデル54の発生位置を制御する。第2の粒子モデル56においても、第1の粒子モデル54と同様に、制御パラメータにより第2の粒子モデル56の発生位置を制御する。このようなモデルMの作成方法は後述する。
また、作成するシミュレーションモデルが、複数の単位要素を用いて構成されたモデルであるとき、シミュレーションモデルの変形を許容しつつ、モデル化領域50の境界上に位置する単位要素の変位を拘束するための複数の制御点を設定した、周期境界条件を満たす変位拘束式をシミュレーションモデルに付与することが好ましい。変位拘束式は、上記複数の制御点の変位と、モデル化領域50の境界上に位置する単位要素の変位との間を拘束する関係式である。この点は、後述する。
本実施形態では、第1の粒子モデル54、第2の粒子モデル56、及び境界層モデル58に付与する材料定数のいずれも、材料の粘弾性特性を表す値を含むが、第1の粒子モデル54、第2の粒子モデル56、及び境界層モデル58に付与する材料定数の少なくとも1つは、材料の粘弾性特性を表す値を含めばよい。
こうして、不均質材料の演算可能なシミュレーションモデルを作成する。
図3は、本実施形態の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法を含む不均質材料のシミュレーション方法のフローを説明する図である。
まず、条件設定部20は、作成しようとする粒子モデルの属性値及び粒子モデル間の相対位置を定める制御パラメータを含む不均質材料モデルパラメータを装置10内で設定する(ステップS10)。シミュレーションモデルパラメータも同時に設定される。これらのパラメータは、入力操作系40から入力設定されるほか、RAM16に予め記憶したパラメータを呼び出して設定することもできる。
まず、不均質材料モデル作成部22は、モデル化領域50を生成して、モデル化領域50内に、母相のモデル52を作成する(ステップ20)。図4(a)に示すように、モデル化領域50内の領域全体が母相のモデル50とされる。母相のモデル50の作成は、モデル化領域50の各位置に、第1の材料相を特定する属性値を設定することにより行われる。
まず、不均質材料モデル作成部22は、図5(a)に示すように、予め制御パラメータにより設定された個数だけ、モデル化領域50内に、第1の粒子モデル54をランダムな位置に発生させる。モデル化領域50内にランダムな位置に第1の粒子モデル54を発生させる段階を段階N=0とする。段階N=0における第1の粒子モデル54の発生個数は、不均質材料モデルパラメータとして含まれる。次に、第1の粒子モデル54を順次モデル化領域50に発生させる。第1の粒子モデル54を順次発生させるとき、すでに配置した第1の粒子モデル54との間の相対位置を定める上述の制御パラメータにより第1の粒子モデル54の発生位置を制御する。
不均質材料モデル作成部22は、例えば、モデル化領域50内のランダムな位置に点を発生させ、この点が、制御パラメータとして設定された、段階N=0において配置された第1の粒子モデル54の重心点を中心とする距離の許容値R1の範囲内に位置するまで、点を発生し続ける。すなわち、許容値R1をすでに配置した第1の粒子モデル54の周りの許容限界の粒子モデル間距離として設定し、第1の粒子モデル54の許容限界の範囲内に点を発生させ、この点を重心点とする第1の粒子モデル54を発生させる。これにより、図5(b)に示すように、すでに配置した第1の粒子モデル54の周りに第1の粒子モデル54が形成される。
図6は、許容値RNの段階Nに対する変化を示す関数を説明する図である。このような許容値RNは、上述した関数であり、制御パラメータとして含まれる。図6に示す許容値RNの関数の例は、段階Nとともに単調減少し、一定の値に漸近するものである。
以上の方法は一例であり、粒子モデルを順次モデル化領域50に発生させるとき、すでに配置した粒子モデルとの間の相対位置を定める制御パラメータにより粒子モデルの発生位置を制御する限りにおいて、どのような方法を用いてもよい。
次に、不均質材料モデル作成部22は、すべての種類の粒子モデルを発生させたか否かを判定する(ステップS50)。全ての種類の粒子モデルを発生させていない場合、ステップS30に戻り、別の種類の粒子モデルの発生を続ける。このような粒子モデルの発生方法は、粒子モデルの種類ごとに順番に行われる。本実施形態の場合、第1の粒子モデル54の発生を最初に行い、次に第2の粒子モデル56の発生を行なう。こうして、全ての種類の粒子モデルを発生させると、不均質材料モデル作成部22は、境界層モデルを作成する(ステップS60)。境界層モデルの作成では、不均質材料モデルパラメータに基づいて境界層モデルがどの種類の粒子モデルの周りに設けるかが定められているので、不均質材料モデルパラメータに基づいて、境界層モデルが作成される。図4(d)に示す例では、境界層モデル58は、第2の粒子モデル56の周りに一定の厚さで設けられる。境界層モデル58の厚さについても、不均質材料モデルパラメータとして設定されることが好ましい。こうして、図2に示すようなモデルMが作成される。
シミュレーションモデルでは、フィラー等を再現した粒子モデルに挟まれたポリマー等を再現した母相のモデルの領域では、局所的に母相のモデルに局所的な大変形が生じ、有限要素法によるシミュレーションモデルでは、シミュレーション演算が破綻する場合がある。この点で、局所的な大変形に対してロバスト性の高いEFGモデルを用いることが好ましい。
こうして、シミュレーション演算部30は、シミュレーションモデルに与えた変位と、この変位に対して発生する力の結果をRAM16に記憶する。
このように、装置10では、制御パラメータの力学特性に対する寄与を分析するので、不均質材料におけるモルフォロジーが力学特性に及ぼす寄与を関係付けることができ、所望の力学特性を実現するための不均質材料におけるフィラー等の分散形態を提案することができる。力学特性は、シミュレーションモデルに蓄えられる貯蔵エネルギに対するシミュレーションモデルで散逸する損失エネルギの比であることが、不均質材料における損失エネルギを効率よく小さくする点で好ましい。母相のモデル及び第2の材料相のモデルで構成されたシミュレーションモデルを用いる場合、母相のモデル及び第2の材料相のモデルの少なくとも一方に付与する材料パラメータは、材料の粘弾性特性を表す値を含むとよい。また、母相のモデル、第2の材料相のモデル、及び第3の材料相のモデルで構成されたシミュレーションモデルを用いる場合、母相のモデル、第2の材料相のモデル、及び第3の材料相のモデルの少なくとも1つに付与する材料パラメータは、材料の粘弾性特性を表す値を含むとよい。
このようなモデルM’の作成では、まず、モデル化領域50内に、母相のモデル52を作成し、その後、モデル60を作成した後、モデル60の領域内に、上述したような、粒子モデルの発生方法により、順次第2の粒子モデル56を、上述したし制御パラメータを用いて発生させていく。この場合、第2の粒子モデル56は、不均質材料パラメータにより、モデル60内の領域内に発生するように制御される。
なお、本実施形態の不均質材料のモデルMあるいはモデルM’は、母相のモデル52、第1の粒子モデル54あるいはモデル60、及び第2の粒子モデル56を用いて構成されるが、少なくとも母相のモデル52と、第1の粒子モデル54あるいは第2の粒子モデル56の一方とを用いて不均質材料のモデルが構成されればよい。
図10(b)の例に示すように、第1の境界である第1の頂点を粒子モデル54aが占有する場合、この粒子モデル54aのモデル化領域50における第1の形状(斜線の領域の形状)、及び第2の境界を占有する粒子モデル54b,54c,54dのモデル化領域50における第2の形状(斜線の領域の形状)のそれぞれは、モデル化領域50の境界を占有しない粒子モデルの第3の形状(円形状)の一部の形状であり、第1の形状と第2の形状を相補って1つにまとめた形状は、第3の形状(円形状)に一致することが、モデル化領域50を連続的に正確に繰り返して無限の不均質材料のモデルに展開する点で、好ましい。
このような場合、図11に示されるように、制御点が2つ設定され、4つの頂点に関する変位拘束式は、6個であり、制御点それぞれに関する4つの頂点に関する変位拘束式の数は、互いに異なることが好ましい。勿論、モデル化領域50の境界上に位置するシミュレーションモデルの節点や単位要素の点についても、頂点と同様の数の変位拘束式が与えられる。具体的には、制御点とは、シミュレーションモデルの変形を許容しつつ、モデル化領域50の両側に位置する境界上の頂点に位置する単位要素の変位を拘束する点である。図11に示す例では、制御点m1のx方向の変位が、単位要素n3と単位要素n1のx方向変位の差分に相当し、また、制御点m1のx方向の変位が、単位要素n9と単位要素n7のx方向変位の差分に相当する。また、制御点m2のx方向の変位が、単位要素n1と単位要素n7のx方向変位の差分に相当し、制御点m1のy方向の変位が、単位要素n3と単位要素n1のy方向変位の差分に相当し、制御点m1のy方向の変位が、単位要素n9と単位要素n7のy方向変位の差分に相当し、制御点m2のy方向の変位が、単位要素n1と単位要素n7のy方向変位の差分に相当する。このように、制御点m1,m2それぞれに関する変位拘束式の数は、互いに異なっている。図11に示す例では、制御点m1に関する変位拘束式の数は、4つであり、制御点m2に関する変位拘束式の数は、2つである。このように、制御点m1に関する変位拘束式の数と、御点m2に関する変位拘束式の数は、互いに異なっていればよく、制御点m1、m2の変位拘束式の数の組み合わせは、5つと1つの組み合わせであってもよい。制御点m2、m1の変位拘束式の数の組み合わせは、4つと2つの組み合わせ、あるいは5つと1つの組み合わせであってもよい。このような変位拘束式をシミュレーションモデルに与えて、制御点m1、m2に変位を与えることにより、シミュレーションモデルを変形させることができ、無限領域の不均質材料のシミュレーションを行うことができる。
なお、制御点については、モデル化領域50のシミュレーションモデルとは異なるダミーの単位要素を設定し、このダミーの単位要素上の節点を制御点として設定してもよい。
また、シミュレーションモデルは、複数の単位要素を用いて構成されたモデルである場合、粒子モデルの中心が単位要素のいずれの位置にもないとき、粒子モデルの重心点が、単位要素のうち当該重心点から最も近い単位要素の位置に来るように、粒子モデルを移動してシミュレーションモデルを作成してもよい。あるいは、シミュレーションモデルは、有限要素法のように、メッシュで区分けされた複数の単位要素を用いて構成されたモデルである場合、粒子モデルの重心点がメッシュ中のいずれの格子点の位置にもないとき、粒子モデルの重心点がメッシュ中の最も近い格子点の位置に来るように、粒子モデルを移動してシミュレーションモデルを作成してもよい。これにより、粒子モデルの、単位要素あるいはメッシュによって定まる形状は、粒子モデルの重心点に位置する単位要素あるいは格子点の周りに点対称性を有し、シミュレーション演算の結果も安定した結果となり易い。
本実施形態では、制御パラメータを変更して複数のモデルMを作成してシミュレーション演算を行なって、制御パラメータの力学特性に対する寄与を探索するが、例えば、制御パラメータを設計変数とし、シミュレーションモデルにおける力学特性を目的関数として、上述のシミュレーションを行いながら力学特性の値を最大あるいは最小にする設計変数の値を探索して求める最適化処理を行なうこともできる。
(a)コンピュータに、不均質材料のモデル化領域内に第1の材料相を母相として領域を定めて母相のモデルを作成させる手順
(b)粒子モデルを順次前記モデル化領域内に分散して発生させて、第2の材料相のモデルをコンピュータに作成させるとき、すでに配置した粒子モデルとの間の相対位置を定める制御パラメータにより粒子モデルの発生位置を、コンピュータに制御させる手順と、
(c)作成した母相のモデル及び作成した第2の材料相のモデルに材料パラメータを付与して、コンピュータで演算可能な不均質材料のシミュレーションモデルをコンピュータに作成させる手順と、を含む。
12 CPU
14 ROM
16 RAM
18 入出力部
20 条件設定部
22 不均質材料モデル作成部
24 境界条件設定部
26 材料定数設定部
28 シミュレーションモデル作成部
30 シミュレーション演算部
32 探索部
34 制御部
50 モデル化領域
52,60 母相のモデル
54 第1の粒子モデル
56 第2の粒子モデル
58 境界層モデル
Claims (18)
- 第1の材料相と第2の材料相を少なくとも含む不均質材料のシミュレーションモデルを作成する方法であって、
コンピュータが、
(a)前記第1の材料相を母相として、不均質材料のモデル化領域内に予め領域を定めた母相のモデルを作成するステップと、
(b)粒子モデルを順次前記モデル化領域内に分散して発生させて、前記第2の材料相のモデルを作成するステップであって、粒子モデルを発生させるとき、すでに配置した粒子モデルと新たに発生させる粒子モデルの重心間距離の許容値を、前記粒子モデルの数が設定された数増える毎に小さくするように粒子モデルの発生位置を制御するステップと、
(c)前記母相のモデル及び前記第2の材料相のモデルに材料パラメータを付与して、コンピュータで演算可能な不均質材料のシミュレーションモデルを作成するステップと、
を含む、ことを特徴とする不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法。 - 前記(b)のステップにおいて、前記モデル化領域の第1の境界を占有する粒子モデルの1つを発生させたとき、前記粒子モデルのうち前記第1の境界よりも前記モデル化領域の外側にある部分を、前記第1の境界に対向する前記モデル化領域の第2の境界の対向位置に配置する、請求項1に記載の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記第1の境界を占有する粒子モデルの前記モデル化領域における第1の形状、及び前記第2の境界の対向位置に配置された粒子モデルの前記モデル化領域における第2の形状のそれぞれは、前記モデル化領域の境界を占有しない粒子モデルの第3の形状の一部の形状であり、前記第1の形状と前記第2の形状を相補って1つにまとめた形状は、前記第3の形状に一致する、請求項2に記載の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記シミュレーションモデルは、複数の単位要素を用いて構成されたモデルであり、
前記モデル化領域の不均質材料のモデルを用いて無限領域の不均質材料のシミュレーションを行うために、前記(c)のステップにおいて、前記シミュレーションモデルの変形を許容しつつ、前記モデル化領域の境界上に位置する単位要素の変位を拘束するための複数の制御点を設定した、周期境界条件を満たす変位拘束式を前記シミュレーションモデルに付与し、前記変位拘束式は、前記複数の制御点の変位と、前記モデル化領域の境界上に位置する単位要素の変位との間を拘束する関係式である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法。 - 前記シミュレーションモデルが三次元の場合、前記制御点は3つ設定され、前記変位拘束式のうち、前記モデル化領域の境界に位置する頂点に関する変位拘束式は21個であり、前記制御点それぞれに関する変位拘束式の数は互いに異なる、請求項4に記載の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記シミュレーションモデルが二次元の場合、前記制御点は2つ設定され、前記変位拘束式のうち、前記モデル化領域の境界に位置する頂点に関する変位拘束式は6個であり、
前記制御点それぞれに関する変位拘束式の数は互いに異なる、請求項4に記載の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法。 - 前記(c)の前記シミュレーションモデルを作成するステップでは、
(c−1)前記モデル化領域全体を、前記母相のモデル及び前記粒子モデルよりもサイズの小さい複数の単位要素で構成し、
(c−2)前記単位要素のそれぞれに、前記第1の材料相あるいは前記第2の材料相を特定する材料属性値を割り当てることにより、前記シミュレーションモデルを作成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法。 - さらに、前記(a)〜(c)のステップを行なった後、コンピュータが、前記許容値および前記許容値を前記粒子モデルの数が設定された数増える毎に小さくする関数を変更して前記(b)及び(c)のステップを行なうことにより、複数のシミュレーションモデルを作成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の不均質材料のシミュレーションモデルの作成方法。
- 前記(b)のステップでは、前記粒子モデルを順次発生させるときに、前記粒子モデルの大きさを設定した値に対して変動させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシミュレーションモデルの作成方法。
- 第1の材料相と第2の材料相を少なくとも含む不均質材料のシミュレーションモデルを作成する方法であって、
コンピュータが、
(a)前記第1の材料相を母相として、不均質材料のモデル化領域内に予め領域を定めた母相のモデルを作成するステップと、
(b)粒子モデルを順次前記モデル化領域内に分散して発生させて、前記第2の材料相のモデルを作成するステップであって、粒子モデルを発生させるとき、すでに配置した粒子モデルとの間の相対位置を定める制御パラメータにより粒子モデルの発生位置を制御するステップと、
(c)前記母相のモデル及び前記第2の材料相のモデルに材料パラメータを付与して、コンピュータで演算可能な不均質材料のシミュレーションモデルを作成するステップと、
を含み、
前記シミュレーションモデルは、メッシュで区分けされた複数の単位要素を用いて構成されたモデルであり、
前記粒子モデルの重心点が前記メッシュ中のいずれの格子点の位置にもないとき、前記粒子モデルの重心点が前記メッシュ中の最も近い格子点の位置に来るように、前記粒子モデルを移動して前記シミュレーションモデルを作成することを特徴とするシミュレーションモデルの作成方法。 - 第1の材料相と第2の材料相を少なくとも含む不均質材料のシミュレーションモデルを作成する方法であって、
コンピュータが、
(a)前記第1の材料相を母相として、不均質材料のモデル化領域内に予め領域を定めた母相のモデルを作成するステップと、
(b)粒子モデルを順次前記モデル化領域内に分散して発生させて、前記第2の材料相のモデルを作成するステップであって、粒子モデルを発生させるとき、すでに配置した粒子モデルとの間の相対位置を定める制御パラメータにより粒子モデルの発生位置を制御するステップと、
(c)前記母相のモデル及び前記第2の材料相のモデルに材料パラメータを付与して、コンピュータで演算可能な不均質材料のシミュレーションモデルを作成するステップと、
を含み、
前記シミュレーションモデルは、複数の単位要素を用いて構成されたモデルであり、
前記粒子モデルの重心点が前記単位要素のいずれの中心位置にもないとき、前記粒子モデルの重心点が前記単位要素のうち最も近い単位要素の中心位置に来るように、前記粒子モデルを移動して前記シミュレーションモデルを作成することを特徴とするシミュレーションモデルの作成方法。 - 請求項1〜11のいずれか1項の作成方法で作成されたシミュレーションモデルを用いて、コンピュータに、不均質材料のシミュレーションモデルにおける力学特性を算出させる、ことを特徴とする不均質材料のシミュレーション方法。
- 粒子モデルの重心間距離の許容値を設計変数とし、前記シミュレーションモデルにおける力学特性を目的関数として、コンピュータが、前記力学特性の値を最大あるいは最小にする設計変数の値を求める、請求項12に記載の不均質材料のシミュレーション方法。
- コンピュータが、粒子モデルの重心間距離の許容値と前記シミュレーションモデルにおける前記力学特性との因果関係を表すチャートを可視化する、請求項12または13に記載の不均質材料のシミュレーション方法。
- 前記母相のモデル及び前記第2の材料相のモデルの少なくとも一方に付与する材料パラメータは、材料の粘弾性特性を表す値を含み、
前記力学特性は、前記シミュレーションモデルに蓄えられる貯蔵エネルギに対する前記シミュレーションモデルで散逸する損失エネルギの比を含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の不均質材料のシミュレーション方法。 - 前記不均質材料は、前記第1の材料相の他に少なくとも第3の材料相を含み、前記第3の材料相は予め領域を定めたモデルでモデル化され、
前記第1の材料相及び前記第3の材料相は、ポリマー相である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の不均質材料のシミュレーション方法。 - 前記母相のモデル、前記第2の材料相のモデル、及び前記第3の材料相のモデルの少なくとも1つに付与する材料パラメータは、材料の粘弾性特性を表す値を含み、
前記力学特性は、前記シミュレーションモデルに蓄えられる貯蔵エネルギに対する前記シミュレーションモデルで散逸する損失エネルギの比を含む、請求項16に記載の不均質材料のシミュレーション方法。 - 第1の材料相と第2の材料相を少なくとも含む不均質材料のシミュレーションモデルをコンピュータに作成させるプログラムであって、
(a)コンピュータに、不均質材料のモデル化領域内に前記第1の材料相を母相として領域を定めて母相のモデルを作成させる手順と、
(b)粒子モデルを順次前記モデル化領域内に分散して発生させて、前記第2の材料相のモデルをコンピュータに作成させるとき、すでに配置した粒子モデルと新たに発生させる粒子モデルの重心間距離の許容値を、前記粒子モデルの数が設定された数増える毎に小さくするように、粒子モデルの発生位置を、コンピュータに制御させる手順と、
(c)前記母相のモデル及び前記第2の材料相のモデルに材料パラメータを付与して、コンピュータで演算可能な不均質材料のシミュレーションモデルをコンピュータに作成させる手順と、を含むことを特徴とするプログラム。
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