JP2009003237A - 表示装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造効率や製造コストを特別に変化させることなく、機械的強度を極限的に高めた表示装置を提供する。
【解決手段】基板セルの周縁端面は、物理的に形成された切断面がその後の化学研磨処理によって滑面化されており、滑面化された周縁端面は、基板セルの表面に直交するXY平面上で600μm2以上に設定された仮想的な平坦基準面積S0と、平坦基準面積S0の輪郭で確定される周縁端面の計測領域について算出される判定面積Sとの面積比R=S/S0が1.2未満に平坦化されている。判定面積は、X方向にh=90/1024μm、Y方向にv=67/768μmのピッチでn*m個に区分される計測領域の全体について、XY平面に直交する方向の高さT(i,j)を特定して、表面の凹凸形状を台形近似して算出される表面積である。
【選択図】 なし
【解決手段】基板セルの周縁端面は、物理的に形成された切断面がその後の化学研磨処理によって滑面化されており、滑面化された周縁端面は、基板セルの表面に直交するXY平面上で600μm2以上に設定された仮想的な平坦基準面積S0と、平坦基準面積S0の輪郭で確定される周縁端面の計測領域について算出される判定面積Sとの面積比R=S/S0が1.2未満に平坦化されている。判定面積は、X方向にh=90/1024μm、Y方向にv=67/768μmのピッチでn*m個に区分される計測領域の全体について、XY平面に直交する方向の高さT(i,j)を特定して、表面の凹凸形状を台形近似して算出される表面積である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、1.0mm以下まで薄型化された貼合せガラス基板で構成された表示装置であって、機械的強度を極限的に高めた表示装置に関する。
フラットパネルディスプレイ(以下FPDと称す)は、CRTディスプレイのブラウン管のように膨らみを持った表示装置と対比される用語であり、奥行きが少なく省スペースで、且つ、表示パネルに膨らみがない点に大きな特徴があり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどが実用化されている。FPDのうち、特に、液晶ディスプレイは、テレビ受像機だけでなく、携帯電話機やコンピュータ機器などの表示装置としても広く普及している。
ところで、液晶ディスプレイの軽量化と薄型化の要請に基づき、最近では、液晶ディスプレイを構成する貼合せガラス基板を極限まで化学研磨する方法が好適に採用されている。具体的には、複数の表示パネル領域を設けた第一と第二のガラス基板を貼合せ、貼り合わせガラス基板の外周を厳重に封止した状態で、フッ酸を含んだ水溶液に浸漬させて化学研磨して薄型化している。なお、貼合せガラス基板は、第5世代では、例えば、縦1100mm×横1250mmであり、第6世代では、例えば、1500mm×1850mmである。
この化学研磨方法によれば、複数枚の表示パネルをまとめて製造できるだけでなく、機械研磨に比べて処理速度が速いので、生産性に優れるという利点がある。また、上記の化学研磨方法によれば、貼合せガラス基板を限界まで薄型化できるので表示パネルの薄型化と軽量化の更なる要請にも応えることができる。
このようにして、限界まで薄型化された貼合せガラス基板は、その後、物理的及び/又は化学的な方法で個々の表示パネル毎に分離される。好適な分離方法としては、ホイールカッタなどを用いて物理的に形成したスクライブラインを、ガラス基板の化学研磨に合わせて深さ方向に研磨し、最後に、スクライブラインに沿ってガラス基板を割断する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2004−307318号公報
上記した特許文献1の切断分離方法によれば、物理的な切断方法を経た表示装置より、機械的強度に優れる表示装置を製造できるが、人間の指が触れる機会の多い携帯電話機の液晶表示装置などでは、更に、機械的強度を高めることが望まれる。ここで、機械的強度を高めるために、製造コストが大きく増加したのでは意味がない。
本発明は、上記の要請に基づくものであって、製造コストを特別に変化させることなく、機械的強度を極限的に高めた表示装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者は、種々の実験と研究を繰り返した。その結果、(a)物理的に形成した切断分離面は、例え、その後に化学研磨工程を設けても、機械的強度に大きく影響すること、(b)但し、切断分離面を所定レベルまで滑面化すれば、機械的強度を大きく増加させることができること、(c)そして、所定レベルまで滑面化すれば、それ以上の滑面化は、殆ど意味がないことを発見して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、二枚のガラス基板の間に複数の表示領域を設けた貼合せガラス基板を、個々の表示領域に切断分離した基板セルを使用する表示装置であって、前記基板セルの周縁端面は、物理的に形成された切断面がその後の化学研磨処理によって滑面化されており、前記滑面化された周縁端面は、前記基板セルの表面に直交するXY平面上で600μm2以上に設定された仮想的な平坦基準面積S0と、前記平坦基準面積S0の輪郭で確定される前記周縁端面の計測領域について算出される判定面積Sと、の面積比R=S/S0が1.2未満に平坦化されており、前記判定面積は、X方向にh=90/1024μm、Y方向にv=67/768μmのピッチでn*m個に区分される前記計測領域の全体について、XY平面に直交する方向の高さT(i,j)を特定して、下記の算出式で特定される。
一方、面積比S/S0が1.05を下回るほど平坦度を改善しても、4点曲げ強度は、180MPa〜200MPa程度で飽和する。したがって、生産効率を考慮した場合には、基板セルの周縁端面を、1.05以上1.20未満の面積比S/S0となるよう滑面化するのが好ましい。
但し、切断面が実質的に1.2未満まで平坦化されていれば足り、研磨工程において、低頻度ではあるが不可避的に発生する付着物や変質部分を除いた基準面積で評価される。すなわち、基準面積は、周縁端面の平坦化の度合いを正確に評価するための領域であるから、600μm2以上となる任意の領域が使用される。もっとも、付着物や変質部分の部分を含んで評価しても、通常の場合には、面積比に殆ど影響を与えることはなく、また、4点曲げ強度にも実質的な影響を与えない。
いずれにしても、4点曲げ強度を増加させるには、周縁端面の凹凸を排除して理想平面に近づけることが重要であるが、本発明では、そのための手段は特に問わない。但し、ガラス基板の周縁に、フッ酸を含有する研磨液を接触させて滑面化するのが簡易的である。
好適な製造方法としては、二枚のガラス基板の間に複数の表示領域を設けた貼合せガラス基板を、前記表示領域毎の基板セルに切断分離する分離処理と、切断分離された前記基板セルについて、その周縁端面を20μm以上化学研磨する研磨処理とを有して構成される。この製造方法における研磨処理では、基板セルの一部をマスキング材で被覆して、基板セルの露出部分だけを研磨しても良いし、マスキング材で被覆することなく、基板セルの全面を研磨しても良い。周縁端面は、20μm以上(更に好ましくは30μm以上)研磨すべきであるが、60μm程度研磨すると機械的強度がほぼ飽和し、それ以上研磨しても、生産効率が低下する割りに機械的強度がそれ程は改善されない。したがって、生産効率を考慮した好ましい端面研磨量は、20〜70μm(更に好ましくは30〜60μm)である。
具体的な研磨方法としては、図1及び図2の方法を挙げることができる。図1(a)に示す研磨方法では、最初に、貼合せガラス基板に研磨処理を施すことで、貼合せガラス基板を、円滑に切断分離できる板厚T+αの状態まで薄型化する。なお、この研磨処理は、必ずしも必須ではなく、また、研磨処理は、機械的な研磨法であるか、化学的な研磨法であるかを問わない。
何れにしても、板厚T+αまで薄型化された貼合せガラス基板は、個々の基板セルに切断分離される。切断分離法も特に限定されず、機械的なカッタで切断しても、レーザ光を利用して切断してもよい。次に、板厚T+αの基板セルの全面を化学研磨して、目標板厚Tの基板セルとする。目標板厚Tは、最終的な基板セルの板厚であり、好ましくは1.00mm以下である。また、最終的に化学研磨される余分の板厚αは、特に限定されないが、α=40〜200μmに設定すると、周縁端面を20〜100μm研磨することができ、個々の基板セルについて所望の機械的強度を得ることができる。
すなわち、端面研磨量が20〜100μmであると、平坦基準面積S0と判定面積Sとの面積比R=S/S0が1.2未満に平坦化されることを実験的に確認している。ここで、端面研磨量の上限100μmは必ずしも必須ではなく、先に説明した通り、60μm以上研磨しても、処理時間が増えるだけで、それ程は機械的強度が向上しない。なお、基板セルは、二枚のガラス基板で構成されているので、その周縁端面の隙間又はその内側に封止材を設け、化学研磨液に対する封止機能を発揮させるのは勿論である。
一方、図2に示すように、目標板厚Tの状態まで薄型化した段階で、ガラス基板を切断分離して基板セルを得ても良い。この場合も、薄型化の手法や切断分離の手法は問われない。次に、個々の基板セルの周縁端面を除く、表裏面だけをマスキング材で被覆する。なお、マスキング材は、ガラスに対する接着性に優れ、耐フッ酸性を有するものであれば特に限定されない。
続いて、表裏面を被覆された基板セルの周縁に、化学研磨液を接触させて周縁端面だけを選択的に化学研磨する。この場合も、端面研磨量を20〜100μmに設定すると、平坦基準面積S0と判定面積Sとの面積比R=S/S0が1.2未満に平坦化される。そして、最後に、マスキング材を剥離して基板セルが完成する。
また、図3に示す製法を採ることもできる。この製法では、板厚T+βの状態まで薄型化した段階で、ガラス基板を切断分離して基板セルを得る。この場合も、薄型化の手法や切断分離の手法は問われない。次に、板厚T+βの個々の基板セルの表裏面を除く、周縁端面だけをマスキング材で被覆する。続いて、周縁端面の被覆された基板セルの表裏面に、化学研磨液を接触させて基板セルを、更に板厚T+αまで薄型化する。なお、αは、最終研磨量を示す任意の値であるから、図3の製法におけるT+αの値と、図1の製法におけるT+αの値とは必ずしも一致しない。
次に、周縁端面のマスキング材を剥離した後、基板セルの全体を更に化学研磨して目標板厚Tの基板セルを得る。
以上の通り、本発明の好ましい研磨処理は、図1〜図3に例示される通りである。したがって、本発明の製造方法では、好ましくは、研磨処理が、露出状態の基板セルの全面が研磨されることで実行される。或いは、本発明の製造方法では、好ましくは、研磨処理が、基板セルの表裏面がマスキング材で被覆された状態で、基板セルの周縁端面のみが選択的に研磨されることで実行される。
ところで、先に説明した製法によって、平坦基準面積S0と判定面積Sとの面積比R=S/S0を1.2未満に平坦化すると、基板セルの周縁端面におけるガラス基板の外表面との境界部は、15μm以上の擬似曲率半径rとなっている。ここで、擬似曲率半径rとは、化学研磨面が完全な円弧形状にならないことを考慮したものであり、図4に示す通り、平坦面である周縁端面について、湾曲開始点から湾曲終了点までの境界部の距離を、ガラス基板の表面に直交する方向に測定した値を意味する。なお、実施例では、レーザ共焦点原理で動作するレーザ顕微鏡(KEYENCE製:超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500シリーズ)で測定している。
上記した擬似曲率半径rは、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上である。但し、50μm以上の擬似曲率半径になるまで研磨しても、機械的強度は殆ど増加しないので、生産効率を考慮した場合、好ましい擬似曲率半径は、15μm〜50μmである。
なお、本発明に使用するガラス板としては、アルミノケイ酸ガラスまたはホウケイ酸ガラスであれば良く、アルミノホウケイ酸ガラスも含まれる。但し、好ましい組成比としては、SiO2:55〜60重量%、Al2O3:16〜18重量%、B2O3:8〜10重量%、SrO:1.5〜6重量%、CaO:3.5〜5.0重量%、BaO:2.2〜9.0重量%である。
上記した本発明によれば、製造効率や製造コストを特別に変化させることなく、機械的強度を極限的に高めた表示装置を実現できる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。但し、何ら本発明を限定するものではない。
<化学研磨及び切断分離>
元板厚1.4mmの貼合せガラス基板について、その周縁を封止した状態で1.0mmの板厚まで化学研磨した。化学研磨液は、フッ酸(HF)の含有率が10%未満の水溶液であり、微細な気泡を上昇させる研磨槽に、貼合せガラス基板を静止状態で直立させて研磨した。
元板厚1.4mmの貼合せガラス基板について、その周縁を封止した状態で1.0mmの板厚まで化学研磨した。化学研磨液は、フッ酸(HF)の含有率が10%未満の水溶液であり、微細な気泡を上昇させる研磨槽に、貼合せガラス基板を静止状態で直立させて研磨した。
使用したガラス基板の組成比は、SiO2:57.8重量%、Al2O3:17.5重量%、B2O3:9.3重量%、SrO:5.5重量%、CaO:4.5重量%、BaO:3.8重量%である。
貼合せガラス基板を水洗浄して乾燥させた後、外径3.2mmホイールカッタを使用してガラス基板を切断した。具体的には、トランジスタ(TFT)の配置されたTFT側のガラス基板の外表面に、スクライブ荷重1.8kgw程度を加えてスクライブラインを設けると共に、カラーフィルタ(CF)の配置されたCF側のガラス表面の対応する位置に、スクライブ荷重1.3kgw程度を加えて貼合せガラス基板を切断分離して基板セルを得た。この基板セルは、2.6インチパネル(42×55mm)の液晶セルである。
<マスキング及び端面研磨>
図5に示す通り、基板セルの長辺側の周縁端面を除く、全ての露出面にマスキング処理を行った。すなわち、マスキング材で被覆したのは、基板セルの表面、基板セルの裏面、基板セルの端子部の全面、及び、基板セルの短辺側の周縁端面である。この状態で、化学研磨液に浸漬して、マスキングされていない長辺側の周縁端面を研磨した。化学研磨液は、フッ酸(HF)の含有率が10%未満の水溶液であり、微細な気泡を上昇させる研磨槽に、貼合せガラス基板を静止状態で直立させて研磨した。
<マスキング及び端面研磨>
図5に示す通り、基板セルの長辺側の周縁端面を除く、全ての露出面にマスキング処理を行った。すなわち、マスキング材で被覆したのは、基板セルの表面、基板セルの裏面、基板セルの端子部の全面、及び、基板セルの短辺側の周縁端面である。この状態で、化学研磨液に浸漬して、マスキングされていない長辺側の周縁端面を研磨した。化学研磨液は、フッ酸(HF)の含有率が10%未満の水溶液であり、微細な気泡を上昇させる研磨槽に、貼合せガラス基板を静止状態で直立させて研磨した。
端面研磨量として、片面での目標値を、20μm、30μm、45μm、60μm、95μm、120μm、160μm、180μmに設定し、この8つの目標値に対応する、予め把握されている研磨時間だけ研磨処理を継続した。その後、水洗浄して乾燥させた後、マスキング材を剥離して処理を終えた。サンプル数は、3枚毎に目標値が異なる24枚であり、各々42mm×55mm×1mmの液晶セルである。
<端面研磨量>
研磨処理に先立って、基板セルの表面に規準ラインを設けておき、この規準ラインから終端面までの距離に基づいて端面研磨量を特定した。計測位置は、図6の数値(1)〜(6)で示す通り、42×55mmの液晶セルの長辺側(55mm)の中央位置と、長辺側の両端位置である。なお、6箇所の研磨量は、同一サンプルでも、目標値に対して場所的なバラツキが生じる。
<破断面の計測>
上記の液晶セルのサンプル個について、レーザー顕微鏡(KEYENCE製:超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500シリーズ)を使用して、各サンプルの2箇所について、破断面の形状を計測した。
<端面研磨量>
研磨処理に先立って、基板セルの表面に規準ラインを設けておき、この規準ラインから終端面までの距離に基づいて端面研磨量を特定した。計測位置は、図6の数値(1)〜(6)で示す通り、42×55mmの液晶セルの長辺側(55mm)の中央位置と、長辺側の両端位置である。なお、6箇所の研磨量は、同一サンプルでも、目標値に対して場所的なバラツキが生じる。
<破断面の計測>
上記の液晶セルのサンプル個について、レーザー顕微鏡(KEYENCE製:超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500シリーズ)を使用して、各サンプルの2箇所について、破断面の形状を計測した。
面積比を計測する断面は、図7に示すように、最も湾曲するため機械的強度に最も影響を与えると思われる支点間の中央位置を測定した。具体的には、42×55mmの液晶セルの長辺側(55mm)の中央位置であって、TFT側のガラス基板の、長さ0.09mmの範囲を測定した。レーザー顕微鏡での測定は、対物レンズ倍率150倍で行なった。なお、高さ測定及び幅測定における表示分解能は、0.01μmであり、0.01μm単位で高さが特定される。
[1.観察測定範囲]
レーザー顕微鏡(KEYENCE製:超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500シリーズ)では、対物レンズ倍率を150倍に設定すると、観察測定範囲がX方向(横)に90μm、Y方向(縦)に67μmとなる。また、表示分解能は、X方向に1024、Y方向に768である(図8参照)。
[1.観察測定範囲]
レーザー顕微鏡(KEYENCE製:超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500シリーズ)では、対物レンズ倍率を150倍に設定すると、観察測定範囲がX方向(横)に90μm、Y方向(縦)に67μmとなる。また、表示分解能は、X方向に1024、Y方向に768である(図8参照)。
したがって、X方向90μm、Y方向67μmの観察測定範囲について、X方向に90/1024μm、Y方向に67/768μmのピッチで三次元座標が特定されることになる。なお、KEYENCE社のカタログには、「一平面(1024×768ピクセル)をレーザーでスキャン後、微小ステップだけZ軸方向にレンズが移動し、さらに一平面スキャンを行ない、この動作を測定レンジ分だけ繰り返し、1024×768のそれぞれのピクセルにおいて、焦点が合うZ軸位置を検出する」と計測原理が説明されている。
[2.観察測定範囲での計測領域の選択]
判定面積(計測領域の擬似的な表面積)の計測は、観察測定範囲(90μm×67μm)内で選択された任意の計測領域について、X方向90/1024μm、Y方向67/768μmのピッチで存在するドット(計測点)の高さ情報(Z軸の座標値T(i,j))から算出される。
[2.観察測定範囲での計測領域の選択]
判定面積(計測領域の擬似的な表面積)の計測は、観察測定範囲(90μm×67μm)内で選択された任意の計測領域について、X方向90/1024μm、Y方向67/768μmのピッチで存在するドット(計測点)の高さ情報(Z軸の座標値T(i,j))から算出される。
計測領域の選択は任意であるが、なるべく広い計測領域とすること、但し、周縁端面の凹凸形状を正確に計測すること、との観点から計測領域を個々的に決定した。具体的には、顕微鏡画面上で確認できる付着物や突起は、凹凸形状を数値化する上で影響を与える可能性があるので除外した(図9参照)。図12〜図13に示す各計測結果において、計測領域の面積(平坦基準面積S0)が異なるのはそのためである。但し、周縁端面の凹凸形状を正確に数値化するため、計測領域を600μm2以上に設定した。
したがって、上記の手順で計測領域を選択することによって、液晶セルの周縁端面についてセル表面に直交するXY平面上で600μm2以上の仮想的な平坦基準面積S0が特定されることになる。
[3.判定面積(計測領域の擬似的な表面積)の算出]
面積比(=判定面積/平坦基準面積S0)を求めるため、VK9500専用形状解析アプリケーションVK−HIA9(KEYENCE製)を使用して、判定面積S(擬似表面積)を計測した。
[3.判定面積(計測領域の擬似的な表面積)の算出]
面積比(=判定面積/平坦基準面積S0)を求めるため、VK9500専用形状解析アプリケーションVK−HIA9(KEYENCE製)を使用して、判定面積S(擬似表面積)を計測した。
VK9500専用形状解析アプリケーションVK−HIA9のマニュアルによれば、擬似表面積Sの算出アルゴリズムは、以下の通りである。
(1)[計測値T(i,j)]
適宜に設定された平坦基準面積S0の輪郭で確定される、液晶セル周縁端面の計測領域について、X方向にh=90/1024μm、Y方向にv=67/768μmのピッチで、n*m個の測定点について、XY平面に直交する方向(Z方向)の高さT(i,j)を特定する。
適宜に設定された平坦基準面積S0の輪郭で確定される、液晶セル周縁端面の計測領域について、X方向にh=90/1024μm、Y方向にv=67/768μmのピッチで、n*m個の測定点について、XY平面に直交する方向(Z方向)の高さT(i,j)を特定する。
図10(a)は、この関係を図示したものであり、X方向にn個、Y方向にm個の合計n*m個の測定点が特定される。測定結果T(i,j)は、X方向がi=0〜n−1であり、Y方向がj=0〜m−1であり、配列表現すれば、i行j列の合計n*m個のデータとなる。なお、各測定点は、縦v*横hの四角形の領域全体である。
図10(b)は、i行j列目の測定点(i,j)について、隣接する測定点との高低差を図示したものである。図示の通り、X方向の高さの推移は、T(i,j−1)→T(i,j)→T(i,j+1)となり、一方、図10(c)に示す通り、Y方向の高さの推移は、T(i,j−1)→T(i,j)→T(i,j+1)となる。
(2)[X方向の側壁面積の総和Sv]
前記のピッチで特定される単位面積h*vの全n*m個の測定点(ピクセル)のうち、第i行目に着目する。そして、第i行目をX方向に計算して側壁面の面積の総和Sv(i)を求めると、以下の通りである。
Sv(i)=Σ[T(i,j)−T(i,j−1)]*v・・・(式1)。なお、(式1)において、Σは、j=1からn−1の範囲の総和演算を意味する。また、[ ]は、絶対値を意味する。
前記のピッチで特定される単位面積h*vの全n*m個の測定点(ピクセル)のうち、第i行目に着目する。そして、第i行目をX方向に計算して側壁面の面積の総和Sv(i)を求めると、以下の通りである。
Sv(i)=Σ[T(i,j)−T(i,j−1)]*v・・・(式1)。なお、(式1)において、Σは、j=1からn−1の範囲の総和演算を意味する。また、[ ]は、絶対値を意味する。
(式1)の計算を、i=0からm−1まで総合すると、全n*m個の測定点をX方向に走査して算出される側壁面の面積の総和Svが以下の通りに特定される。
Sv=ΣSv(i)・・・(式2) なお、(式2)において、Σは、i=0〜m−1の範囲の総和演算を意味する。
Sv=ΣSv(i)・・・(式2) なお、(式2)において、Σは、i=0〜m−1の範囲の総和演算を意味する。
そして、(式1)と(式2)をまとめて表記すると図10の(式3)の通りである。
(3)[Y方向の側壁面積の総和Sh]
次に、全n*m個の測定点(ピクセル)のうち、第j列目に着目する。そして、第j列目をY方向に計算して側壁面の面積の総和Sh(j)を求めると、以下の通りである。
Sh(j)=Σ[T(i,j)−T(i−1,j)]*h・・・(式4)。なお、(式4)において、Σは、i=1からm−1の範囲の総和演算を意味する。また、[ ]は、絶対値を意味する。
次に、全n*m個の測定点(ピクセル)のうち、第j列目に着目する。そして、第j列目をY方向に計算して側壁面の面積の総和Sh(j)を求めると、以下の通りである。
Sh(j)=Σ[T(i,j)−T(i−1,j)]*h・・・(式4)。なお、(式4)において、Σは、i=1からm−1の範囲の総和演算を意味する。また、[ ]は、絶対値を意味する。
(式4)の計算を、j=0からn−1まで総合すると、全n*m個の測定点をY方向に走査して算出される側壁面の面積の総和Shが以下の通りに特定される。
Sh=ΣSh(j)・・・(式5) なお、(式5)において、Σは、j=0〜n−1の範囲の総和演算を意味する。
Sh=ΣSh(j)・・・(式5) なお、(式5)において、Σは、j=0〜n−1の範囲の総和演算を意味する。
そして、(式4)と(式5)をまとめて表記すると図10の(式6)の通りである。また、(式3)と(式6)を加算すると共に、全n*m個の測定点の頂上面の総面積Soを加算することで、判定面積Sは、So+Sv+Shと特定される。なお、頂上面の総面積Soは、n*m個の平面ピクセルの総面積v*h*n*mで与えられるが、この総面積は、平坦基準面の面積に他ならない。
以上の算出アルゴリズムでは、全ピクセルを角柱形状に近似し、周縁端面の表面凹凸形状が階段状に形成されていると近似して表面積を算出したことになる。そのため、実際の表面積より高い数値が算出されることになるが、周縁端面の凹凸形状を数値的に評価する指標としては、問題がないと解される。
(4)[面積比]
上記の手順で判定面積Sが、So+Sv+Shと算出されるので、最後にS/S0から面積比が特定される。
<強度試験>
各サンプルについてJIS R 1601に準拠した試験方法による4点曲げ試験を行い(図11参照)、次式で算出される4点曲げ強度σを算出した。
4点曲げ強度σ=3P(L−l)/(2Wt2)
ここで、Pは最大荷重、Lは支点間距離30mm、lは支点間距離10mm、Wは試験片の幅、tは試験片の厚みである。
上記の手順で判定面積Sが、So+Sv+Shと算出されるので、最後にS/S0から面積比が特定される。
<強度試験>
各サンプルについてJIS R 1601に準拠した試験方法による4点曲げ試験を行い(図11参照)、次式で算出される4点曲げ強度σを算出した。
4点曲げ強度σ=3P(L−l)/(2Wt2)
ここで、Pは最大荷重、Lは支点間距離30mm、lは支点間距離10mm、Wは試験片の幅、tは試験片の厚みである。
4点曲げ試験では、TFT側のガラス基板を下にし、CF側のガラス基板に荷重を加えた。なお、計測した最大荷重Pに基づき、σ=3P(L−l)/(2Wt2)の計算をした。試験片の幅W=42mm、L−l=20mm、試験片の厚みt=1mmである。
<測定結果>
図12〜図13は、24枚のサンプル(42×55×1mm)の液晶セルについて、その実験結果をまとめたものである。先に説明した通り、24枚のサンプル(42×55×1mm)は、3枚ずつ8つのグループ(a〜h)に区分され、各グループの端面研磨量(片面)の目標値は、20μm、30μm、45μm、60μm、95μm、120μm、160μm、180μm、に設定されている。
<測定結果>
図12〜図13は、24枚のサンプル(42×55×1mm)の液晶セルについて、その実験結果をまとめたものである。先に説明した通り、24枚のサンプル(42×55×1mm)は、3枚ずつ8つのグループ(a〜h)に区分され、各グループの端面研磨量(片面)の目標値は、20μm、30μm、45μm、60μm、95μm、120μm、160μm、180μm、に設定されている。
したがって、図12〜図13には、周縁端面の長辺側の中央2箇所における、表面積(判定面積S)と、面積(平坦基準面積S0)と、面積比S/S0とが、24枚のサンプルについて各々記載されている。また、各サンプルの面積比S/S0の平均値も記載されている。
一方、実際の端面研磨量についても、周縁端面の長辺側の中央2箇所の研磨量と、これらを含む合計6箇所の端面研磨量の平均値とが、24枚のサンプル毎に列記されている。
また、最大荷重Nは、24枚のサンプルについての4点曲げ試験による結果であり、一方、4点曲げ強度MPaは、4点曲げ強度の計算式σ=3P(L−l)/(2Wt2)に基づいて算出されている。
図14は、図12〜図13を整理したものであり、各グループの3枚のサンプルの結果を、平均値で示している。すなわち、端面研磨量の目標値が20μm、30μm、45μm、60μm、95μm、120μm、160μm、180μmである各3枚のサンプルについて、端面研磨量の18箇所の平均値、面積比の6箇所の平均値、最大荷重の6箇所の平均値を示している。また、4点曲げ強度は、最大荷重の平均値に基づき、4点曲げ強度の計算式σ=3P(L−l)/(2Wt2)から算出している。
一方、端面研磨量がゼロのサンプル3枚についても、判定面積Sと平坦基準面積S0と面積比S/S0とを別に測定して、図14には、面積比S/S0だけを示している。このサンプルも、板厚1.4mmの貼合せガラス基板を1.0mmの板厚まで化学研磨して切断分離したものであり、同一のガラス組成による42mm×55mm×1mmの液晶セルある。
図15は、図12〜図13の結果をグラフ化したものである。図15(a)は、端面研磨量と4点曲げ荷重との関係、図15(b)は、端面研磨量と最大荷重との関係、図15(c)は、面積比と4点曲げ荷重との関係、図15(d)は、面積比と最大荷重との関係を示している。
図15に示される通り、面積比1.20を境界として、4点曲げ強度が大きく向上することが確認される。面積比1.15未満まで端面を滑面化すると、機械的強度が更に高まるが、面積比1.05を下回るほど研磨量を増加させても、それほどは4点曲げ強度が改善されない。すなわち、面積比が1.2未満となるよう(好ましくは1.15未満、更に好ましくは1.05程度まで)研磨すれば足り、それ以上の研磨は余り必要がでないことが確認される。
また、端面研磨量と4点曲げ強度との関係からは、端面研磨量が20μm以上であると機械的強度が高まるが、端面研磨量が60μm程度で機械的強度が飽和することが示されている。
一方、レーザー顕微鏡(KEYENCE製:超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500シリーズ)を使用して、複数のサンプルについて、境界部についての擬似曲率半径(図4参照)についても計測した。その結果、擬似曲率半径rは、端面研磨量30μmでは16.70〜19.19μm、端面研磨量60μmでは29.07〜29.96μm、端面研磨量90μmでは40.42〜41.46μmであった。この擬似曲率半径と、図15のグラフとを合わせて検討すると、擬似曲率半径rが15μm以上(好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上)となるよう、端面を研磨するのが好ましいことが確認される。
Claims (9)
- 二枚のガラス基板の間に複数の表示領域を設けた貼合せガラス基板を、個々の表示領域に切断分離した基板セルを使用する表示装置であって、
前記基板セルの周縁端面は、物理的に形成された切断面がその後の化学研磨処理によって滑面化されており、
前記滑面化された周縁端面は、前記基板セルの表面に直交するXY平面上で600μm2以上に設定された仮想的な平坦基準面積S0と、
前記平坦基準面積S0の輪郭で確定される前記周縁端面の計測領域について算出される判定面積Sと、の面積比R=S/S0が1.2未満に平坦化されており、
前記判定面積は、X方向にh=90/1024μm、Y方向にv=67/768μmのピッチでn*m個に区分される前記計測領域の全体について、XY平面に直交する方向の高さT(i,j)を特定して、下記の算出式で特定される表示装置。
- 前記基板セルの周縁端面における前記ガラス基板の外表面との境界部は、20μm以上の擬似曲率半径となっている請求項1に記載の表示装置。
- 前記平坦基準面積S0は、前記基板セルの周縁四辺の中央位置に設定され、その位置における前記面積比R=S/S0が、1.2未満であることにより、JISR1601に基づく4点曲げ強度が120MPa以上となる請求項1に記載の表示装置。
- 前記基板セルは、その板厚が1.0mm以下である請求項1〜3の何れかに記載の表示装置。
- 二枚のガラス基板の間に複数の表示領域を設けた貼合せガラス基板を、前記表示領域毎の基板セルに切断分離する分離処理と、
切断分離された前記基板セルについて、その周縁端面を20μm以上化学研磨する研磨処理とを有して、
請求項1に記載の表示装置を製造する製造方法。 - 前記分離処理は、前記貼合せガラス基板の切断線に沿ってレーザ光を照射することで実行される請求項5に記載の製造方法。
- 前記分離処理は、前記貼合せガラス基板の切断線に沿って形成された凹部溝を加圧することで実行され、前記凹部溝は、それ以前に前記貼合せガラス基板に設けられたスクライブラインが、前記貼合せガラス基板の化学研磨に伴って厚さ方向に進行して形成される請求項5に記載の製造方法。
- 前記研磨処理は、露出状態の前記基板セルの全面が研磨されることで実行される請求項5に記載の製造方法。
- 前記研磨処理は、前記基板セルの表裏面がマスキング材で被覆された状態で、基板セルの周縁端面のみが選択的に研磨されることで実行される請求項5に記載の製造方法。
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