JP2019156651A - ガラス基板切断装置およびこれを用いた液晶パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】切断溝において割れや欠けが発生しにくく、かつ、面取り数の増加にも容易に対応することが可能なガラス基板切断装置および液晶パネルの製造方法を提供する。【解決手段】ガラス基板切断装置60は、処理ステージ64、吸引機構66、およびウレタンゴムシート70を少なくとも備える。処理ステージ64は、吸引孔62を有するとともに、切断されるべき多面取り用ガラス母材50が載置される。吸引機構66は、吸引孔62を介して処理されるべき多面取り用ガラス母材50を吸引するように構成される。ウレタンゴムシート70は、処理ステージ64と多面取り用ガラス母材50とに挟まれるように配置されるとともに、少なくとも吸引孔62に対応する位置に開口部72が形成されている。吸引機構66が多面取り用ガラス母材50を吸引することによって多面取り用ガラス母材50が切断溝に沿って切断される。【選択図】図6
Description
本発明は、ガラス基板における切断すべき位置に形成された切断溝を貫通させることによってガラス基板を切断するように構成されたガラス基板切断装置、およびこのガラス基板切断装置を用いた液晶パネル製造方法に関する。
一般的に、液晶パネルの製造時には、複数の液晶パネルを含有する多面取り用ガラス母材を製造し、その後に多面取り用ガラス母材を単個の液晶パネルに分断するという手法(いわゆる多面取り)が広く採用されてきた。この多面取り用ガラス母材を分断する際の手法の例としては、スクライブブレーク、レーザアブレーション加工、エッチング処理といった手法が挙げられる。とりわけ、スクライブブレークは古くから現在に至るまで広く用いられてきた。
ところが、スクライブブレークを採用した場合には、ガラス母材を切断する際に切断面側に傷や欠けが発生することがあった。このような傷や欠けが発生すると、切断によって得られるガラス基板の強度が低下してしまうといった不都合があった。
そこで、従来技術の中には、吸着機構によってガラス母材を固定しつつ、押圧部材を切断溝に押し当てることによって、ガラス母材を切断する際の傷や欠けの発生を抑制しようとするものがあった(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述の従来技術においては、切断されるべきガラス基板ごとに押圧部材を切断溝に押し当てる必要があるため、多面取りの面取り数が増加するにつれて作業性が悪くなるという不都合があった。また、切断溝の全域に均一に押圧部材を押し当てることが困難であるため、切断溝において部分的に割れや欠けが発生してしまうリスクがあった。
この発明の目的は、切断溝において割れや欠けが発生しにくく、かつ、面取り数の増加にも容易に対応することが可能なガラス基板切断装置および液晶パネルの製造方法を提供することである。
この発明に係るガラス基板切断装置は、ガラス基板における切断すべき位置に形成された切断溝を貫通させることによってガラス基板を切断するように構成されている。この基板切断装置は、処理ステージ、吸引機構、および柔軟性支持部材を少なくとも備える。
処理ステージは、吸引孔を有するとともに、切断されるべきガラス基板が載置される。吸引機構は、吸引孔を介して処理されるべきガラス基板を吸引するように構成される。
柔軟性支持部材は、処理ステージとガラス基板とに挟まれるように配置されるとともに、少なくとも吸引孔に対応する位置に開口部が形成されている。柔軟性支持部材の例としては、ウレタンゴム、ゲルシート、多孔質部材(スポンジ等)、ゴムスポンジ等、ゴム硬度(shore c)が0〜30程度の柔軟性を有する部材が挙げられる。開口部は、吸引機構の吸引力を切断されるべきガラス基板に伝えるために設けられる。この開口部の大きさは、ガラス基板の切断後に使用される領域(例えば、多面取り用ガラス母材における液晶パネル領域等)に対応する位置に、この領域よりも少し小さくなるように形成することが好ましい。そして、吸引機構がガラス基板を吸引することによってガラス基板が切断溝に沿って切断されるように構成されている。
この構成においては、処理ステージ上の柔軟性支持部材に下から支持されたガラス基板が吸引機構によって処理ステージの方向に引き寄せられる。吸引機構の吸引力によって柔軟性支持部材は収縮変形を生じ、切断溝にはせん断応力(場合によっては曲げ応力)が加えられる。この応力は、切断溝の全域にほぼ均等に、かつ、ほぼ同時に作用することになるため、切断溝において割れや欠けが発生しにくく、かつ、面取り数の増加にも容易に対応することが可能になる。
上述の構成において、柔軟性支持部材は、ウレタンゴムシートであることが好ましい。ウレタンゴムシートは、ゴム硬度(shore c)は0〜30程度のものが好適に用いられる。
また、本発明に係る液晶パネル製造方法は、上述のガラス基板切断装置を用いて液晶パネルを製造するものである。この液晶パネルの製造方法は、改質ライン形成ステップ、エッチングステップ、および切断ステップを少なくとも含んでいる。
改質ライン形成ステップでは、アレイ基板およびカラーフィルタ基板を貼り合せてなるとともに複数の液晶パネルを含む多面取り用ガラス母材に対して、液晶パネルの形状に対応する切断予定線に沿って形成される改質ラインであって、他の箇所よりもエッチングされ易い性質を有する改質ラインを形成する。
エッチングステップでは、アレイ基板およびカラーフィルタ基板において切断予定線が切断されないようにしつつ、エッチング処理を行う。切断ステップでは、ガラス基板切断装置の吸引機構が多面取り用ガラス母材を吸引することによって、アレイ基板およびカラーフィルタ基板における切断予定線を貫通させる。
本発明によれば、切断溝において割れや欠けが発生しにくく、かつ、面取り数の増加にも容易に対応することが可能になる。
図1(A)〜図1(C)は、本発明の一実施形態に係る多面取り用ガラス母材50の概略構成を示している。同図に示すように、多面取り用ガラス母材50は、液晶パネル10として分断されるべき複数の領域を有している。この実施形態では、液晶パネル10は、ウェアラブル端末(例えば、スマートウォッチ)に用いられるものであり、円形状を呈している。多面取り用ガラス母材50は、アレイ基板12およびカラーフィルタ基板14が液晶層を挟んで貼り合わされるように構成されている。アレイ基板12およびカラーフィルタ基板14の構成は、公知の構成が採用可能であるため、ここでは説明を省略する。
続いて、液晶パネル10を製造する方法の一例について説明する。一般的に、液晶パネル10は、これを複数含んだ多面取り用ガラス母材50として製造することによって、単個の液晶パネル10を別々に製造する場合に比較して製造効率の向上が図られている。そして、必要な加工が施された多面取り用ガラス母材50を分断することによって、単個の液晶パネル10が得られる。
この実施形態では、便宜上、25個の液晶パネル10が5行5列のマトリクス状に配置された多面取り用ガラス母材50に対する処理について説明するが、多面取り用ガラス母材50に含まれる液晶パネル10の数は適宜増減することが可能である。各液晶パネル10は、それぞれ一定の間隔を空けて配置されており、液晶パネル10が配置されている使用領域以外は、最終製品としては使用されない非使用領域となる。
続いて、多面取り用ガラス母材50から複数の液晶パネル10を分断する手法の一例を説明する。まず、多面取り用ガラス母材50には、図1(B)および図1(C)に示すように、液晶パネル10の形状に対応する切断予定線20がレーザによって形成される。この切断予定線20は、例えば、ピコ秒レーザまたはフェムト秒レーザ等のパルスレーザから照射される光ビームパルス(ビーム径は1〜5μm程度)に、多面取り用ガラス母材50の厚み方向に所定範囲の焦点領域(焦線)を持たせることによって形成される。光ビームパルスの焦点領域において、多面取り用ガラス母材50は、エッチングが進行し易くなるように改質される。
ピコレーザからの光ビームは、通常、少なくともアレイ基板12およびカラーフィルタ基板14の両方の基板を含む範囲よりも深い焦点深度を備えている。このため、アレイ基板12およびカラーフィルタ基板14の両方の基板において液晶パネル10を分断するための切断予定線20を同時に形成することが可能である。ただし、光ビームパルスの焦点領域は、液晶層、およびアレイ基板12とカラーフィルタ基板14とを貼り合わせているシール材等に熱影響を与えない範囲で設定することが好ましい。シール材等に熱による悪影響が発生する場合には、アレイ基板12およびカラーフィルタ基板14のそれぞれについて別々に切断予定線20を形成すると良い。
図2(A)に示すような切断予定線20が形成された多面取り用ガラス母材50は、図2(B)に示すエッチング装置30に導入され、フッ酸および塩酸等を含むエッチング液によってエッチング処理が施される。エッチング装置30では、搬送ローラによって多面取り用ガラス母材50を搬送しつつ、エッチングチャンバ内で多面取り用ガラス母材50の片面または両面にエッチング液を接触させることによって、多面取り用ガラス母材50に対するエッチング処理が行われる。なお、エッチング装置30におけるエッチングチャンバの後段には、多面取り用ガラス母材50に付着したエッチング液を洗い流すための洗浄チャンバが設けられているため、多面取り用ガラス母材50はエッチング液が取り除かれた状態でエッチング装置30から排出される。
エッチング処理中において、アレイ基板12およびカラーフィルタ基板14が薄型化される。さらに、改質された切断予定線20においては、他の箇所よりも速くエッチング処理が進行する。この結果、切断予定線20において切断溝が形成される。ただし、この切断溝が厚み方向に貫通して、多面取り用ガラス母材50がエッチング処理によって複数の液晶パネル10に分断してしまわないようにすることが重要である。その理由は、アレイ基板12に設けられた電極端子部やその他の構成要素がエッチング液によって汚損されることを防止するためである。切断予定線20に対応する位置に形成される切断溝は、後述のブレークによって容易に分断される程度の厚み(通常は、20〜100μm程度)が残ることが好ましい。
続いて、図3を用いて、本実施形態において多面取り用ガラス母材50の分断に用いるガラス基板切断装置60について説明する。ガラス基板切断装置60は、多面取り用ガラス母材50における切断すべき位置を示す切断予定線20に沿って、多面取り用ガラス母材50を切断するように構成される。より具体的には、多面取り用ガラス母材50に形成された切断溝を貫通させることによって多面取り用ガラス母材50を複数の液晶パネル10に分断するように構成される。
ガラス基板切断装置60は、多数の吸引孔62が形成された処理ステージ64と、吸引孔62を介して処理ステージ上の多面取り用ガラス母材50を吸引するように構成された吸引機構66とを備えている。処理ステージ64には、分断されるべき多面取り用ガラス母材50が置かれる。吸引機構66は、吸引孔62を介して処理ステージ64に置かれた多面取り用ガラス母材50を吸引する。
吸引機構66の吸引力によって多面取り用ガラス母材50を分断する際には、図4に示すように、処理ステージ64上にウレタンゴムシート70を敷くことによって、処理ステージ64と多面取り用ガラス母材50との間にウレタンゴムシート70が介在するようにされる。ウレタンゴムシート70は、ゴム硬度0〜30程度の柔軟性を備えている。この実施形態においては、ウレタンゴムシート70が本発明の柔軟性支持部材に対応する。
ウレタンゴムシート70は、分断されるべき複数の液晶パネル10の位置にそれぞれ対応する複数の開口部72が形成されている。ウレタンゴムシート70上に切断溝が形成された多面取り用ガラス母材50を置き、吸引機構66が多面取り用ガラス母材50を吸引することによって、この多面取りガラス母材50が切断溝に沿って切断される。吸引機構66は、好適な吸引力(この実施形態では、30kPa〜100kPa程度)が多面取り用ガラス母材50に作用するように適宜その吸引力が調整されるようにすることが好ましい。
ここで、図5(A)および図5(B)を用いて、多面取り用ガラス母材50の分断について説明する。図5(A)に示すように、ウレタンゴムシート70は液晶パネル10に対応する位置に開口部72が形成されている。この開口部72は、液晶パネル10よりも少し小さめに形成されているため、ウレタンゴムシート70が液晶パネル10の縁部を下から支持することになる。この状態において、多面取り用ガラス母材50に対して吸引機構66からの吸引力が加えられると、液晶パネル10に対応する箇所がそれぞれ沈みこむ。その結果、切断予定線20に相当する位置に切断溝を貫通させる力が加えられることになり、図5(B)に示すように切断溝が貫通する。
切断溝の貫通が完了した後には、図5(B)に示すように、分断された複数の液晶パネル10が回収される。この回収作業においては、多面取り用ガラス母材50の液晶パネル10が配置されている使用領域をピックアップしても良いし、最終製品としては使用されない非使用領域をピックアップしても良い。
柔軟性を有するウレタンシート70が多面取り用ガラス母材50の下に敷かれることにより、吸引力を加えた時における多面取り用ガラス母材50の撓み量(変位量)が増加する。吸引力は、切断溝の全域にわたって分散して均一に作用するため、切断溝を貫通させるブレーク処理において、バリや欠け等のブレーク不良が発生しにくくなる。
特に、切断溝を貫通させる前のエッチング処理において、多面取り用ガラス母材50における角部が取れているため、吸引力を利用したブレーク処理のような物理的破壊を採用した場合でも、液晶パネル10における強度に影響のある箇所に傷等が発生しない。この結果、エッチング処理のみで多面取り用ガラス母材50を分断したときの強度に比較しても遜色のない強度結果が得られる。
上述の実施形態においては、液晶パネル10にITO膜等の機能膜が形成されていない例を説明したが、機能膜が形成されている場合にはエッチング処理によって機能膜が汚損しないようにすることが好ましい。具体的には図2(A)に示すように切断予定線20上に切断溝を形成した後に、図7(A)に示すような耐エッチング性フィルム52を多面取り用ガラス母材50の両主面に貼付すると良い。
この耐エッチング性フィルム52の切断予定線20に対応する位置に対してレーザビームを照射することによって切断予定線20に対応したパターン溝54が形成される。この状態でエッチング処理を行うことによって、液晶パネル10上に形成された機能膜を保護しつつ、多面取り用ガラス母材50の切断予定線20に対するエッチング処理を好適に行うことが可能になる。
また、場合によっては、アレイ基板12に形成された電極端子部を露出するために、カラーフィルタ基板14における電極端子部に対向する箇所(図8(B)の除去領域142)を取り除く必要が生じることがある。このような場合には、エッチング処理後において、ガラス基板切断装置60によるブレーク処理の前に、図8(A)に示すように、カラーフィルタ基板14の該当箇所にスクライブラインを形成しておくことが好ましい。このようなスクライブラインも、図8(B)に示すように、ガラス基板切断装置60からの吸引力の作用によって貫通させることが可能である。
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10−液晶パネル
12−アレイ基板
14−カラーフィルタ基板
20−切断予定線
30−エッチング装置
50−多面取り用ガラス母材
60−ガラス基板切断装置
70−ウレタンゴムシート
12−アレイ基板
14−カラーフィルタ基板
20−切断予定線
30−エッチング装置
50−多面取り用ガラス母材
60−ガラス基板切断装置
70−ウレタンゴムシート
Claims (3)
- ガラス基板における切断すべき位置に形成された切断溝を貫通させることによってガラス基板を切断するように構成されたガラス基板切断装置であって、
吸引孔を有するとともに、切断されるべきガラス基板が載置される処理ステージと、
前記吸引孔を介して処理されるべきガラス基板を吸引するように構成された吸引機構と、
前記処理ステージと前記ガラス基板とに挟まれるように配置されるとともに、少なくとも前記吸引孔に対応する位置に開口部が形成された柔軟性支持部材と、
を少なくとも備え、
前記吸引機構が前記ガラス基板を吸引することによって前記ガラス基板が切断溝に沿って切断されるように構成されたことを特徴とするガラス基板切断装置。 - 前記柔軟性支持部材は、ウレタンゴムシートであることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板切断装置。
- 請求項1または2に記載のガラス基板切断装置を用いて液晶パネルを製造するための液晶パネルの製造方法であって、
アレイ基板およびカラーフィルタ基板を貼り合せてなるとともに複数の液晶パネルを含む多面取り用ガラス母材に対して、前記液晶パネルの形状に対応する切断予定線に沿って形成される改質ラインであって、他の箇所よりもエッチングされ易い性質を有する改質ラインを形成する改質ライン形成ステップと、
前記アレイ基板および前記カラーフィルタ基板において前記切断予定線が切断されないようにしつつ、エッチング処理を行うエッチングステップと、
前記ガラス基板切断装置の前記吸引機構が前記多面取り用ガラス母材を吸引することによって、前記アレイ基板および前記カラーフィルタ基板における前記切断予定線を貫通させる切断ステップと、
を少なくとも含む液晶パネルの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018040497A JP2019156651A (ja) | 2018-03-07 | 2018-03-07 | ガラス基板切断装置およびこれを用いた液晶パネルの製造方法 |
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CN112441730A (zh) * | 2020-12-07 | 2021-03-05 | 湖南永盛玻璃工艺有限公司 | 一种玻璃加工用裁切装置 |
CN113526855A (zh) * | 2020-04-13 | 2021-10-22 | 惠州市艺品高玻璃有限公司 | 一种磁悬浮玻璃切割工艺 |
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2018
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CN113526855B (zh) * | 2020-04-13 | 2022-10-18 | 惠州市艺品高玻璃有限公司 | 一种磁悬浮玻璃切割工艺 |
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