JP3653200B2 - 表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置の製造方法に関し、特に表示装置を構成する基板の薄膜化処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器あるいは家庭用電化製品などが盛んに開発、製造されて、市場で大量に販売されており、テレビ受像機は勿論のこと、VTRやパーソナルコンピュータなども広く一般に普及している。そして、これらの機器は年々高性能化しており、情報化社会の進展に伴って利用者に多くの情報を提供するツールとして現代社会において欠かすことのできないものとなっている。このような機器類の多くは、情報を利用者に的確に伝達するための情報を表示する手段である表示装置を備えているものが多いが、その表示装置としては、薄型で軽量のものが求められている。
【0003】
このような表示装置の軽量化を目的とした技術としては、たとえば特開平4−116619号公報(特許2722798号)が知られている。これは、1枚のガラス基板から複数個の液晶表示装置を取出す多数枚取りの液晶表示装置の製造方法において、複数個の液晶表示装置の面積をもつ基板を貼合わせた素子集合体の状態で化学的研磨を行い、液晶表示装置の厚みを薄くするというものである。
【0004】
以下、この従来例について、図面を参照して簡単に説明する。
図12および図13は、複数個の液晶表示装置の面積をもつ基板を貼合わせて組立てられた素子集合体の平面図および断面図を示したものである。この素子集合体Aは、以下のようにして組立てられる。
【0005】
まず、液晶表示装置複数個分(本従来図では10個分を例示)の面積をもつ一対の各元ガラス基板1,2(いわゆるマザーガラス)上の各素子区画aに、それぞれ表示用の透明電極および配向膜など(図示せず)を形成する。
【0006】
次に、いずれか一方の元ガラス基板表面に、該表示面上の各素子区画aの液晶封入領域bをそれぞれ囲む枠状のシール材3を印刷するとともに、元ガラス基板の外周縁よりもわずかに内側に、各素子区画aの全てを囲む外周シーリング材4を印刷する。シール材3および外周シーリング材4の材料としては、元ガラス基板1,2とのエッチング選択比が高いエポキシ樹脂系の接着剤などが使用されている。また、各シール材3については、その一部に液晶注入口3aとなる隙間を残して印刷される。また、外周シーリング材4については、その一部に通気口4aとなる隙間を残して印刷される。
【0007】
次に、上記一対の元ガラス基板1,2を、その各素子区画aを互いに対向させて重ね合わせ、この両元ガラス基板1,2を上述したシール材3および外周シーリング材4を介して接着する。この場合、両元ガラス基板1,2間の空間は、各シール材3の一部に設けた液晶注入口3aおよび外周シーリング材4の一部に設けた通気口4aを介して外部に連通しているので、両元ガラス基板1,2間の空気圧が高くなることはない。したがって、両元ガラス基板1,2は、その全域にわたって均一な間隔を空けて接着された状態となっている。
【0008】
この後は、上述した通気口4aを、元ガラス基板1,2とのエッチング選択比が高いエポキシ樹脂系接着剤などの封止材5で封止し、素子集合体Aを完成させる。
【0009】
このようにして素子集合体Aを組立てた後、図14に示すように、この素子集合体Aをエッチング槽10内のエッチング液11中に浸漬し、素子集合体Aの両元ガラス基板1,2の外面をエッチングする。なお、このときのエッチング液11としては、フッ酸をベースとしたエッチング液が使用されている。
【0010】
このように、素子集合体Aをエッチング液11中に浸漬して両ガラス基板1,2の外面をエッチングすると、この元両ガラス基板1,2の厚さが図14の鎖線で示した初期の厚さから実線で示したように薄くなっていく。また、元ガラス基板1,2のエッチングは基板外面全体にわたって均等に進行するので、元ガラス基板1,2はその全体にわたって均一に薄くなる。
【0011】
また、素子集合体Aをエッチング液11中に浸漬させると、エッチング液11が両元ガラス基板1,2間にも侵入しようとする。従来技術の製造方法では、素子集合体Aを組立てる際に、一対の元ガラス基板1,2をその各素子区画aの全てを囲む外周シーリング材4を介して接着するとともに、このシーリング材4の一部に設けた通気口4aを封止材5で封止し、かつこのシーリング材4と封止材5とを、元ガラス基板1,2とのエッチング選択比が高いエポキシ樹脂系接着剤などで形成している。ゆえに両元ガラス基板1,2間へのエッチング液11の侵入は、外周シーリング材4によって阻止されることになる。
【0012】
したがって、元ガラス基板1,2の外面エッチングに際して、各素子区画aの内面側、すなわちシール材3の外側の電極端子配列部およびシール材3で囲まれた液晶封入領域bが、エッチング雰囲気であるエッチング液11にさらされることはない。なお、両元ガラス基板1,2は、その外面だけでなく外周面についてもエッチングされることになる。この元ガラス基板1,2の外周面がエッチングによって外周シーリング材4の内周面よりも内側に後退するまでは、両元ガラス基板1,2間へのエッチング液11の侵入が外周シーリング材4によって阻止されている。ゆえに上述したような外周シーリング材4を基板外周縁よりも僅かに内側に印刷するとともに、この外周シーリング材4の幅を充分大きくとっておけば、ガラス基板1,2の外周面がエッチングされても何等問題は発生しない。
【0013】
このように、素子集合体Aを組立てた状態で、その両元ガラス基板1,2の外面をエッチングした後は、速やかに素子集合体Aを洗浄して付着エッチング液を完全に除去する。その後、上述した素子集合体Aの両元ガラス基板1,2を各素子区画aごとに分断することによって素子集合体を個々の液晶表示装置のセル部材に分離する。
【0014】
その後、個々の液晶表示装置のセル部材の基板間に真空注入法を用いて液晶材料を注入し、封止樹脂によって注入口3aの封止を行って、液晶表示装置を完成させる。この真空注入法は、真空チャンバ内を真空状態にした後、液晶表示装置の注入口を液晶の入った液晶溜に漬け、真空チャンバ内の圧力を大気圧に戻すことによって液晶の注入を行うものである。真空注入法は、液晶表示装置のセル部材への液晶の注入を容易にしかも均一に行うことができるものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このような表示装置の製造方法においては、素子集合体の状態でエッチング槽を用いて基板の薄膜化を行っているので、大きなエッチング槽が必要となり、それに伴い大量のエッチング液も必要となる。これによって、表示装置の生産効率が悪くなってしまう。また、薄膜化された素子集合体は、その取扱いが非常に困難であり、エッチング槽から素子集合体を引上げて搬送する際などにも割易いので、素子集合体の取扱いには多大な注意を要している。
【0016】
また、特に上述の従来例に開示された液晶表示装置においては、基板を薄膜化した状態で液晶材料を真空注入しているため、この真空注入工程時に基板の割れや欠けが多く発生するという問題も有している。
【0017】
また、上述したような素子集合体の状態で基板の薄膜化を行わずに、元ガラス基板の分断後の状態で基板の薄膜化を行うことも考えられる。基板分断後の状態で1枚ずつ基板の薄膜化を行うと、スループットが悪く製造プロセスが長くなってしまうという問題が発生してしまう。
【0018】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、効率よく基板の薄膜化を行うことによって、薄型で軽量の表示装置を容易に製造することができる表示装置の製造方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも一対の基板を含む表示装置の製造方法において、
予め準備された一対の元基板のうちの表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に、シール樹脂の層を形成する工程と、
前記シール樹脂を介して、前記表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に、一対の元基板のうちの他方の元基板を貼合わせる工程と、
前記貼合わされた一対の元基板を分断して、個々の表示装置の大きさを有する複数組の一対の基板に分離する工程と、
前記個々の表示装置の大きさに分離された複数組の一対の基板を基板保持手段によって保持し、該一対の基板のうちの少なくとも一方の厚さを薄くする基板薄膜化処理を、複数組の基板を該基板保持手段に保持させた状態で行う工程とを含むことを特徴とする表示装置の製造方法である。
【0020】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、シール樹脂を介して、表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に他方の元基板を貼合わせ、該貼合わせた一対の元基板を分断して個々の表示装置の大きさの複数の基板に分離した後に、基板保持手段によって保持された状態で該基板の厚さを薄くする基板薄膜化処理を行っている。本発明の製造方法が用いられる場合、表示装置複数個分の面積を有する元基板を含む素子集合体の状態で薄膜化処理を行う場合と比較して、大きなエッチング槽が不要であるので、それに伴い大量のエッチング液を必要とすることもなくなる。
また、基板薄膜化工程の前に基板分離工程が行われるので、基板の厚さが厚い状態で基板分離工程を行うことができ、基板へのダメージが少ない状態で基板分離工程を行うことができる。
【0021】
また、このとき表示装置の大きさに分離した後の基板を基板保持手段によって複数枚まとめて薄膜化処理している。これによって、薄膜化処理のスループットがよくなり、基板の薄膜化処理を効率的に行うことができる。この結果、軽くて薄い表示装置を容易に実現することが可能となっている。
【0022】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記基板の厚さを薄くするための基板薄膜化処理を行う工程は、化学的研磨法を用いて行われることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、化学的研磨法を用いた基板薄膜化処理を行っている。これによって、基板へのダメージの少ない薄膜化処理を行うことが可能となっている。
【0024】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記基板の厚さを薄くするための基板薄膜化処理を行う工程は、前記個々の表示装置の大きさに分離された一対の基板の端部に封止手段が形成された状態で行われることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、分離後の基板端部に封止手段を形成した状態で、前記基板の厚さを薄くする基板薄膜化処理を行っている。これによって、これら分離後の基板上に形成された端子部などへのダメージの少ない薄膜化処理を行うことが可能となっている。
【0026】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記封止手段は、前記表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上にシール樹脂の層を形成する工程において形成されることを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、封止手段を、シール樹脂を形成する工程と同一の工程によって形成している。これによって、新たな工程を付加する必要がなく、分離後の基板の端部に封止手段を容易に形成することが可能となっている。
【0028】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上には、表示に関わる部品が配置された表示部と、該表示部に信号を供給する駆動回路部とがそれぞれ複数個分形成されており、
前記シール樹脂の層は前記表示部周辺部に配置され、
前記封止手段は前記駆動回路部周辺部に配置されることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、シール樹脂を表示部周辺部に配置し、封止手段を駆動回路部周辺部に配置している。これによって、駆動回路一体型の表示装置の製造時においても、基板上に形成された駆動回路部にダメージを与えることなく、基板の薄膜化処理を容易に実行することが可能となっている。
【0030】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記基板保持手段は、前記個々の表示装置の大きさに分離された一対の基板を複数組収納可能な基板カセットであることを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、基板保持手段が、分離した一対の基板を複数組収納できる基板カセットで実現される。これによって、基板へのダメージが少なくなり、かつ複数枚の表示装置の基板の薄膜化処理を容易に行うことが可能となっている。
【0032】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に前記シール樹脂を介して貼合わされる前記他方の元基板は、略表示装置1個分の面積を有することを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に貼合わされる他方の元基板が、概略表示装置1個分の面積を有している。これによって、不良の存在する表示装置構成部品と対向する部分には他方の元基板を貼合わせる必要がなく、良品の表示装置構成部品と対向する部分だけに他方の元基板を貼合わせることができる。これによって表示装置の良品率を向上させることが可能となっている。
【0034】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記個々の表示装置の大きさに分離された一対の基板間の前記シール樹脂の層によって囲まれた空間には、薄膜化処理に先立ち、液晶材料が注入されていることを特徴とする。
【0035】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、分離した一対の基板間の空間に、液晶材料を注入する。これによって、厚さが薄く軽量の液晶表示装置を効率よく製造することが可能となっている。
【0036】
なお、基板の薄膜化処理の前に液晶材料の注入工程を行うことによって、分離後の一対の基板の厚さが厚い状態で、液晶注入を行うことが可能となる。これによって、前記液晶材料を真空注入法によって注入しても、この液晶注入工程時に基板の割れや欠けが起こることはない。
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記液晶材料を注入する液晶注入工程は、前記分離工程と、基板の薄膜化工程との間に行われることを特徴とする。
本発明に従えば、基板分離後に液晶材料を基板間の空間に注入することによって、単一の素子集合体を構成していた全セル部材の液晶材料注入口を、注入皿内の液晶材料に同時につけることが可能である。これによって、液晶注入時のセル部材の基板のわれおよび欠けを防止しつつ、複数このセル部材に同時に液晶材料を注入する工程を、真空注入法を用いて容易に実現することができる。
【0037】
本発明は、少なくとも一対の基板を含む表示装置の製造方法において、
貼合わされた一対の元基板を分断して、個々の表示装置の大きさを有する複数組の一対の基板に分離する工程と、
前記個々の表示装置の大きさをそれぞれ有する複数組の一対の基板が基板保持手段によって保持された状態で、各組の一対の基板の少なくとも一方の基板の厚さを薄くするための基板薄膜化処理を行う工程を含むことを特徴とする表示装置の製造方法である。
【0038】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、個々の表示装置の大きさをそれぞれ有する複数組の1対の基板が基板保持手段によって保持された状態で、基板薄膜化処理が行われる。これによって本発明の表示装置の製造方法では、素子集合体の状態で薄膜化処理が行われる場合よりも小さなエッチング槽を用いることが可能になり、かつ基板薄膜化処理に必要とされるエッチング液の量が、素子集合体の状態で薄膜化処理が行われる場合の必要量よりも少なくなる。また複数組の基板はまとめて薄膜化処理されているので、複数組の基板が1組ずつ薄膜化処理される場合よりも、薄膜化処理のスループットが向上し、薄膜化処理を効率的に行うことができる。この結果、従来技術の表示装置よりも軽くて薄い表示装置を、容易に実現することが可能になる。
また、基板薄膜化工程の前に基板分離工程が行われるので、基板の厚さが厚い状態で基板分離工程を行うことができ、基板へのダメージが少ない状態で基板分離工程を行うことができる。
【0039】
また、本発明の表示装置の製造方法は、基板の薄膜化処理を行う工程に先立って、各組の前記一対の基板はシール材を介して相互に貼合わされ、かつ各組の前記一対の基板の端部に封止手段が配置され、
封止手段は、一対の基板間の空間を封止し、
封止手段は、シール材を一対の基板間に配置する工程において配置されることを特徴とする。
【0040】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、封止手段とシール材とが同一の工程において形成されている。これによって表示装置の製造工程に、封止手段を形成するための新たな工程を付加する必要がなくなるので、1対の基板の端部に、封止手段を容易に形成することが可能になる。
【0041】
また、本発明の表示装置の製造方法は、基板の薄膜化処理を行う工程に先立って、各組の前記一対の基板の間には、表示に関わる部品が配置された表示部と、該表示部に信号を供給するための駆動回路部とが形成されており、
前記シール材が表示部の周辺部に配置されており、
前記封止手段が駆動回路部の周辺部に配置されていることを特徴とする。
【0042】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、シール材によって貼合わされた1対の基板の駆動回路部周辺部に、封止手段が形成されている。これによって駆動回路一体型の表示装置の製造時においても、基板上に形成された駆動回路部にダメージを与えることなく、基板の薄膜化処理を容易に実行することが可能になる。
【0043】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記基板保持手段が、前記個々の表示装置の大きさの1対の基板を複数組収納可能な基板カセットであることを特徴とする。
【0044】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、複数組の一対の基板は基板カセットに収納される。これによって基板へのダメージが少なくなるので、複数組の一対の基板の薄膜化処理を容易に行うことが可能になっている。
【0045】
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記一対の基板の間に液晶材料を封入する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0046】
本発明に従えば、表示装置の製造方法において、1対の基板の間に液晶材料が封入される。これによって、従来技術の液晶表示装置よりも軽量であって厚さが薄い液晶表示装置を、効率よく製造することが可能になる。好ましくは、液晶材料の注入工程は、基板薄膜化処理に先立って行われる。これによって1対の基板の厚さが液晶表示装置完成時の基板厚さよりも厚い状態で、液晶注入を行うことができる。ゆえに液晶材料を真空注入法によって注入しても、液晶注入工程時に基板の割れや欠けが起こることが無くなるので、液晶表示装置をさらに効率よく製造することが可能になる。
また、本発明の表示装置の製造方法は、前記液晶材料を封入する工程は、前記分離工程と、基板の薄膜化工程との間に行われることを特徴とする。
本発明に従えば、基板分離後に液晶材料を基板間の空間に封入することによって、単一の素子集合体を構成していた全セル部材の液晶材料注入口を、注入皿内の液晶材料に同時につけることが可能である。これによって、液晶注入時のセル部材の基板のわれおよび欠けを防止しつつ、複数このセル部材に同時に液晶材料を注入する工程を、真空注入法を用いて容易に実現することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態の表示装置の製造方法において組立てられる素子集合体Cを示す平面図である。なお、図1および図2に示すように、第1の実施の形態においては、液晶表示装置2個分の面積を素子集合体Cが有する場合について説明を行う。なお本明細書の図面においては、素子集合体Cが含む一対の元ガラス基板100,101のうちの他方のガラス基板101の一部分を切欠いている。
【0048】
図1に示すように、液晶表示装置2個分の面積をもつ厚さ1mmの一対の元ガラス基板100,101、いわゆるマザーガラスのうちの一方の元ガラス基板100上には、表示部102と、該表示部102に信号を供給するための2つの端子部103,104とがそれぞれ形成されている。端子部103,104および表示部102の組は、一方のガラス基板上に、2組配置されている。表示部102には、液晶表示装置の表示に係る構成部品が、それぞれ配置されている。表示に係る構成部品は、表示用の透明電極や配向膜などである。そして、液晶表示装置2個分の面積をもつ他方の元ガラス基板101との貼合わせを行うために、一方の元ガラス基板100上には、上述した表示部102を囲むように、シール樹脂105が形成されている。シール樹脂105は、基板の貼合わせ用部材と液晶の封止用部材とを兼ねている。シール樹脂105は枠状の層に形成されており、表示部102に形成された構成部品よりも、元ガラス基板100の表面からの高さが高い。シール樹脂105には、液晶の注入口106となる隙間が設けられている。シール樹脂105が配置された状態の一方の元ガラス基板100を、シール樹脂105が他方の元ガラス基板101に最近接するように配置して、一方の元ガラス基板100と他方のガラス基板101との貼合わせが行われる。他方の元ガラス基板101の表面に、液晶表示装置の表示に係る構成部品が形成されていてもよい。この結果、図1に示す素子集合体Cが完成する。
【0049】
次に、図2に示すように、一点鎖線108で示す位置において、素子集合体Cの両元ガラス基板100,101が、表示部102毎に分断される。これによって、素子集合体Cが個々の液晶表示装置のセル部材に分離される。そして、液晶表示装置の形成のために、個々の液晶表示装置のセル部材の注入口106から、真空注入法を用いて、セル部材が有する2枚の分断後のガラス基板間のシール樹脂105に囲まれた空間内部に、液晶材料が注入される。注入後、注入口106に封止部材107が配置されることによって、注入口106の封止が行われる。
【0050】
図3は、第1の実施の形態における液晶表示装置Dを構成するガラス基板100a,101aの薄膜化工程を示す概略断面図である。
【0051】
図3に示すように、第1の実施の形態においては、複数枚の液晶表示装置を収納することが可能な基板カセット201に、図1および図2で説明した工程で作製された液晶封入後のセル部材、すなわち液晶表示装置Dが収納される。フッ酸などを用いたエッチング液202が溜られたエッチング槽200に、基板カセット201内の複数枚の液晶表示装置Dが同時に浸される。これによって、液晶表示装置Dを構成するガラス基板100a,101aの薄膜化処理が行われる。第1の実施の形態では、5枚の液晶表示装置Dが同時に浸される。
【0052】
なおこのとき、たとえば図4に示すように、液晶表示装置Dの端子部103,104がエッチング液202によりダメージを受けることを防止するために、エッチングに先立ち、液晶表示装置Dを構成する2枚のガラス基板100a,101a間へのエッチング液の侵入を防止する封止手段203が、各ガラス基板100a,101aの端部に設けられる。封止手段203によって2枚のガラス基板100a,101a間の空間が封止された状態で、基板カセット201をエッチング液202中に浸す。このような封止手段203としては、エッチング液202にダメージを受けない材料の薄膜を用い、該薄膜を一対の分断後のガラス基板100a,101aの側部に貼合わせ、該薄膜によって、分断後のガラス基板100a,101a間の部分を封止すればよい。
【0053】
このような封止手段203の他の例としては、たとえば図5に示すように、素子集合体形成時に、元ガラス基板100,101同士の貼合わせを行うシール樹脂105の形成と同時に、元ガラス基板100,101の端部であってかつ注入口106以外の部分に、シール樹脂105と同じ材料によって、封止手段203となる部材を形成しておくことも可能である。これによって、封止手段203をさらに容易に形成することが可能である。なお、図5の例では、シール樹脂105と封止手段203とが一体化されている。
【0054】
このようにして作製された複数の液晶表示装置Dを上述した基板カセット201に収納し、エッチング液202が溜られたエッチング槽200に浸した状態で、液晶表示装置Dを構成する各ガラス基板100a,101aの厚みを0.3mmから0.7mm程度の厚みにまで薄膜化する。薄膜化後、基板カセット201がエッチング槽から引上げられ、純水を用いた液晶表示装置Dの洗浄が行われる。これによって、液晶表示装置Dに付着したエッチング液が完全に除去される。
【0055】
その後、図6に示すように、液晶表示装置Dを構成する一対のガラス基板100a,101aの端部の分断、もしくは該端部からの封止手段203の剥離を行う。これによって、封止手段203が基板から除去される。さらに、端子部103,104が露出するように、端子部103,104が形成されていない方のガラス基板101aだけを、一点鎖線112で示す位置において分断する。そして最後に、端子部103,104への信号入力を行うためのFPCなどを用いた実装が行われる。これによって図7に示すような液晶表示装置Dが完成する。
【0056】
第1の実施の形態における液晶表示装置の製造方法においては、液晶表示装置Dを構成する2枚のガラス基板100a,101a間に封止手段を設け、液晶封入後の液晶表示装置Dをエッチング槽に漬けることによって、薄膜化処理を行っている。本発明の第1の実施の形態において、薄膜化処理は、エッチングを用いた薄膜化処理に限定されるものではない。液晶表示装置を構成するガラス基板100a,101aの外面の一方側から、ガラス基板の化学的研磨を行うことによって、ガラス基板100a,101aの薄膜化処理を行ってもよい。化学的研磨が用いられる場合には、必ずしも、分断後の2枚のガラス基板100a,101a間に封止手段を設ける必要はない。
【0057】
また、第1の実施の形態における液晶表示装置の製造方法においては、液晶表示装置2個分の面積をもつ一対の元ガラス基板同士の貼合わせを行っている。これに限らず、たとえば、表示部と端子部とが形成された一方の元ガラス基板100だけが、素子集合体の製造中常に液晶表示装置複数個分の面積をもち、一方の元ガラス基板に貼合わせられる他方の元ガラス基板101は、ほぼ液晶表示装置1個分の面積に分断された後に、一方のガラス基板の各表示部102と対向する位置に貼合わせられてもよい。このようにすれば、一方のガラス基板100上のいずれかの端子部または表示部に不良のある場合、不良のある端子部または表示部と対向する位置に、液晶表示装置1個分の面積の他方のガラス基板101aを貼合わせる必要がなくなるので、他方の元ガラス基板を効率よく使用することが可能となる。このような場合においても、素子集合体を個々の液晶表示装置のセル部材に分断した後、基板カセットなどを用いて複数枚の液晶表示装置の基板を同時に薄膜化すればよい。
【0058】
以上の説明のように、第1の実施の形態の表示装置の製造方法では、表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に、シール樹脂を介して、他方の元基板を貼合わせることによって、素子集合体が製造され、該貼合わせた一対の基板を分断することによって、素子集合体の各元基板を個々の表示装置の大きさの基板にそれぞれ分離する。分離後に、分離された複数の基板を基板保持部材に保持させた状態で、該分離後の基板の厚さを薄くする基板薄膜化処理を行っている。これによって、表示装置複数個分の面積を有する元基板の状態、すなわち素子集合体の状態で基板の薄膜化処理を行う従来の製造方法と比較して、第1の実施の形態の製造方法では大きなエッチング槽が不要であるので、エッチング槽の小型化に伴い大量のエッチング液を必要とすることもなくなる。
【0059】
また、第1の実施の形態の表示装置の製造方法では、表示装置の大きさに分離した後の基板を、基板保持部材を用いて複数組まとめて薄膜化処理している。これによって、スループットがよくなり、基板の薄膜化処理を効率的に行うことができる。この結果、軽くて薄い表示装置を容易に実現することが可能となっている。
【0060】
第1の実施の形態の表示装置の製造方法において、表示装置が、一対の基板の間に液晶材料等の液体材料が封入される構成である場合、表示装置が有する基板の薄膜化処理の前に、液体状の材料の注入工程が行われている。これによって、空洞を有するセル部材を構成する一対の基板の厚さが厚い状態でセル部材への液体状材料の注入を行うことが可能となるので、前記液体状材料を真空注入法によって注入しても、注入工程時にセル部材の基板の割れや欠けが起こることはない。これによって、表示装置の製造がさらに容易になる。
【0061】
また、第1の実施の形態の表示装置の製造方法において、エッチング処理を用いた基板薄膜化処理に代わって、化学的研磨を用いた基板薄膜化処理を行っていてもよい。これによって、基板へのダメージが少ない薄膜化処理を行うことが可能となっている。
【0062】
また、第1の実施の形態の表示装置製造方法では、分離後の基板端部に封止手段が形成された状態で、分離後の基板の厚さを薄くする基板薄膜化処理が行われている。これによって、分離した後の基板上に形成された端子部などへのダメージの少ない薄膜化処理を行うことが可能となっている。また封止手段はシール樹脂を形成する工程と同一の工程によって形成されている。これによって、封止手段の形成のために、表示装置の製造工程に新たな工程を付加する必要がなく、かつ分離後の基板端部に封止手段を容易に形成することが可能となっている。
【0063】
また、基板保持部材が、分離した一対の基板を複数枚収納できる基板カセットで実現されている。これによって、分離後の基板へのダメージが少なく、かつ複数枚の表示装置の薄膜化処理を容易に行うことが可能となっている。
【0064】
また、素子集合体製造時において、表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に貼合わされる他方の元の基板が、概略表示装置1個分の面積の複数の基板で実現されてもよい。これによって、一方の元基板上の不良の存在する表示装置構成部品と対向する部分には、該他方の元基板を貼合わせる必要がなく、良品の構成部品と対向する箇所だけに他方の元基板を貼合わせることができる。これによって、表示装置の良品率を向上させることが可能となっている。
【0065】
以上説明したような表示装置の製造方法において、分離したセル部材の一対の基板間の表示部と対向する空間に液晶材料を注入する。これによって、厚さが薄く軽量の液晶表示装置を効率よく製造することが可能となっている。
【0066】
従来技術の特許2722798号公報の液晶表示素子の製造方法と第1の実施の形態の液晶表示装置の製造方法とを比較すると、第1の実施の形態の液晶装置の製造方法には、液晶注入工程に関して、以下のような利点がある。
【0067】
従来、液晶注入工程においては真空注入法が多く用いられている。真空注入法を用いた液晶封入工程は以下のとおりである。最初に、中空の内部空間を有するセル部材と液晶材料を満たした注入皿とが、真空チャンバ内に、所定の距離だけ離して設置される。次いで、真空チャンバ内を真空に引く。これによってセル部材の内部空間が真空になった時点で、セル部材の注入口が注入皿内の液晶材料に浸され、かつ真空チャンバ内に窒素がリークされる。この結果セル部材内外の圧力差によって、液晶材料がセル部材内に浸透する。以上説明したような手順の真空注入法によってセル部材に液晶材料が注入された後、セル部材が注入皿から引上げられ、セル部材の外壁および注入口に付着した液晶が除去され、注入口が封止される。真空注入法を用いて複数個のセル部材に同時に液晶材料を注入するためには、複数個のセル部材の注入口を同時に液晶材料に浸す必要がある。
【0068】
第1の実施の形態の液晶表示装置の製造方法では、セル部材の基板の割れおよび欠けの防止のために、基板の薄膜化工程に先立って液晶注入工程が行われている。第1の実施の形態の液晶表示装置の製造方法では、基板の薄膜化工程に先立って素子集合体Cが複数のセル部材に分離されるので、液晶注入工程を素子集合体の分離工程と基板の薄膜化工程との間に実行可能である。分離後のセル部材を用いて液晶注入工程を行う場合、単一の素子集合体Cを構成していた全セル部材の注入口を、注入皿内の液晶材料に同時に浸けることが可能である。これによって、液晶注入時のセル部材の基板の割れおよび欠けを防止しつつ、複数個のセル部材に同時に液晶材料を注入する工程を、真空注入法を用いて容易に実現することができる。ゆえに従来の液晶表示素子の生産ラインを改変して第1の実施の形態の製造方法を実行する場合、液晶注入工程の装置の変更は不要なので、生産ラインの変更が容易である。
【0069】
特許2722798号公報の液晶表示素子の製造方法においては、図12に示すマザーガラス同士を貼合わせた素子集合体Aの段階で、基板の薄板化を行っている。特許2722798号公報の製造方法において、基板の薄膜化工程に先立って液晶注入工程を行うには、素子集合体Aを分断しないままの状態で、素子集合体Aの各素子区画aの内部空間に液晶を注入する必要がある。この場合、図12の素子集合体Aの全素子区画aの注入口を注入皿内の液晶材料に同時に浸けることは困難なので、液晶注入工程に真空注入法を用いることが極めて難しい。したがって、液晶注入工程において真空注入法以外の他の方法を用いる必要がある。従来の液晶表示素子の生産ラインを改変して特許2722798号公報の製造方法を実行する場合、液晶注入工程の装置を変更しなければならない可能性が高く、生産ラインの変更に多くの手間がかかる。以上説明した理由に基づき、第1の実施の形態の液晶表示装置の製造方法は、特許2722798号公報の製造方法よりも、液晶注入工程が容易である。
【0070】
次に、本発明の第2の実施の形態における表示装置の製造方法について、以下に説明する。なお、第2の本実施の形態の表示装置としては、ドライバ一体型の液晶表示装置を用いている。
【0071】
図8および図9は、第2の実施の形態の表示装置の製造方法において組立てられるにおける素子集合体Eを示す平面図である。なお、図8および図9に示すように、第2の実施の形態においても、液晶表示装置2個分の面積を素子集合体Eが有する場合について説明を行う。第2の実施の形態の説明において、第1の実施の形態で既に説明された部材と同じ機能を有する部材には同じ参照符を付し、詳細説明は省略する。
【0072】
図8に示すように、液晶表示装置2個分の面積をもつ厚さ1mmの一対の元ガラス基板100,101のうちの一方の元ガラス基板100には、表示部102と該表示部102に信号を供給するための駆動回路部121,122とが、同一面上に形成されている。さらに、この駆動回路部121,122を動作させるための端子部123も、一方の元ガラス基板100の表示部102と同一の面上に形成されている。
【0073】
そして、上述した第1の実施の形態と同様に、表示部102には、表示用の透明電極や配向膜などの構成部品がそれぞれ配置されている。さらに、他方の元ガラス基板101との貼合わせを行うために、この表示部102を囲むように、シール樹脂105が形成されている。さらに、第2の実施の形態においては、このシール樹脂105と同じ材料から形成される封止手段203が、駆動回路部121,122および端子部123を囲うように形成されている。なお図8,図9の例では、シール樹脂105と封止手段203とは一体化されている。
【0074】
なおこの封止手段203は、後に薄膜化処理を行う際に、駆動回路部121,122および端子部123のダメージを防止する役割を果している。また、この封止手段203がシール樹脂105と同じ材料を用いて形成されているので、封止手段203を形成する工程を新たに増す必要がなくなる。シール樹脂および封止手段形成後、上述したように部品が配置された状態で、一方の元ガラス基板100と同じ大きさの他方の元ガラス基板101と、一方の元ガラス基板100にとの貼合わせが行われる。この結果、図8に示す素子集合体Eが完成する。
【0075】
次に、図9に示すように、一点鎖線108で示す位置において、素子集合体Eの両元ガラス基板100,101が、表示部102毎に分断される。これによって、素子集合体Eを個々の液晶表示装置のセル部材に分離する。そして、液晶表示装置形成のために、個々の液晶表示装置のセル部材の注入口106から、真空注入法を用いて、セル部材を構成する2枚のガラス基板間のシール樹脂105に囲まれた空間内部に、液晶材料が注入される。注入後、注入口106に封止材107を配置することによって、注入口106の封止が行われる。
【0076】
ここで、上述した第1の実施の形態と同様に、第2の実施の形態においても、液晶封入後、図3に示すように、複数枚の液晶表示装置を収納することが可能な基板カセット201に、図8および図9で説明した工程で作製された液晶表示装置Fを収納し、フッ酸など用いたエッチング液202が溜られたエッチング槽200に、複数枚(第2の実施の形態では5枚)の液晶表示装置Fを同時に浸す。これによって、液晶表示装置Fを構成するガラス基板100a,101aの薄膜化処理を行っている。
【0077】
このようにして、液晶表示装置を構成する各ガラス基板100a,101aの厚みが0.3mmから0.7mm程度の厚みにまで薄膜化する。薄膜化後、基板カセット201をエッチング層から引上げて、純水を用いた液晶表示装置の洗浄が行われる。これによって液晶表示装置に付着したエッチング液が完全に除去される。
【0078】
その後、図10に示すように、液晶表示装置Fを構成する一対のガラス基板100a,101aの端部の分断、もしくは該端部からの封止手段203の剥離を行うことによって、封止手段203を基板から除去する。さらに、端子部123が露出するように、端子部123が形成されていない方のガラス基板101aだけが、一点鎖線112で示す位置において分断される。そして最後に、端子部123への信号入力を行うためのFPCなどの接続が行われる。これによって図11に示すような液晶表示装置Fが完成する。
【0079】
第2の実施の形態における液晶表示装置の製造方法においては、液晶表示装置Fを構成する2枚のガラス基板100a,101a間に封止手段を設け、液晶封入後の液晶表示装置Fをエッチング槽に漬けることによって、薄膜化処理を行っている。本発明の第2の実施の形態の表示装置の製造方法は、エッチングを用いた薄膜化処理に限定されるものではない。液晶表示装置Fを構成するガラス基板100a,101aの外面の一方側からガラス基板の化学的研磨を行うことによって、ガラス基板100a,101aの薄膜化処理を行ってもよい。化学的研磨が用いられる場合には、必ずしも封止手段を設ける必要はない。
【0080】
また、第2の本実施の形態における液晶表示装置の製造方法においては、液晶表示装置2個分の面積をもつ一対の元ガラス基板同士の貼合わせを行っている。これに限らず、たとえば表示部と端子部と駆動回路部とが形成された一方の元ガラス基板100だけが、素子集合体の製造中常に液晶表示装置複数個分の面積をもち、他方の元ガラス基板101は、ほぼ液晶表示装置1個分の面積に分断された後に、一方の元ガラス基板の各表示部と対向する位置に貼合わせられてもよい。このようにすれば、一方の元ガラス基板101のいずれかの端子部、駆動回路部、または表示部に不良のある場合、不良のある部と対向する位置に、液晶表示装置1個分の面積の他方の元ガラス基板101を貼合わせる必要がなくなるので、他方の元ガラス基板101を効率よく使用することが可能となる。このような場合においても、素子集合体を個々の液晶表示装置のセル部材に分断した後、基板カセットなどを用いた複数枚の液晶表示装置を同時に薄膜化すればよい。
【0081】
以上説明したように、第2の実施の形態では、表示部および端子部に加えて駆動回路部を有する表示装置が製造対象になっている。このような表示装置を第1の実施の形態で説明した製造方法で製造する場合、シール樹脂を表示部周辺部に配置し、封止手段を駆動回路部周辺部に配置している。これによって、駆動回路一体型の表示装置においても、基板上に形成された駆動回路部にダメージを与えることなく、基板薄膜化処理を容易に実行することが可能となっている。
【0082】
なお上述した第1および第2の実施の形態において、封止手段をシール樹脂と同材料によって形成する場合、封止手段に通気口を設けて、ガラス基板100,101間の空気圧の上昇を防止してもよい。
【0083】
また、上述した第1および第2の実施の形態においては、2個の液晶表示装置を取出す素子集合体について説明を行ったが、3個以上の液晶表示装置を取出す素子集合体についても、本発明は適用することが可能である。また基板は、ガラス基板に限らず他の材料から形成されていてもよい。
【0084】
さらに、上述した第1および第2の実施の形態においては、液晶表示装置について説明を行っているが、他の表示装置、たとえばELなどの表示装置についても本発明を適用することが可能である。
【0085】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、表示装置の製造方法において、表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に、シール樹脂を介して他方の元基板が貼合わされる。貼合わされた一対の元基板が、個々の表示装置の大きさの複数組の一対の基板に分離される。分離後、複数組の基板が基板保持手段によって保持された状態で、基板の薄膜化処理が行われる。本発明の製造方法が用いられる場合、大きなエッチング槽が不要であり、大量のエッチング液を必要とすることもない。また、薄膜化処理のスループットが向上し、薄膜化処理を効率的に行うことができる。これによって、軽くて薄い表示装置を容易に実現することができる。
また、基板薄膜化工程の前に基板分離工程が行われるので、基板の厚さが厚い状態で基板分離工程を行うことができ、基板へのダメージが少ない状態で基板分離工程を行うことができる。
【0086】
また本発明によれば、基板薄膜化処理には化学的研磨法が用いられている。これによって、基板へのダメージの少ない薄膜化処理を行うことができる。さらにまた本発明によれば、基板薄膜化処理は、分離後の基板端部に封止手段が形成された状態で行われている。これによって、分離後の基板上に形成された端子部などの部品へのダメージの少ない薄膜化処理を行うことができる。また本発明によれば、封止手段とシール樹脂とが同一の工程によって形成されている。これによって、分離後の基板の端部に封止手段を容易に形成することができる。さらにまた本発明によれば、表示装置が駆動回路をさらに有する場合、シール樹脂が表示部周辺部に配置され、封止手段が駆動回路部周辺部に配置される。これによって、駆動回路一体型の表示装置の製造時においても、駆動回路部にダメージを与えることなく、基板薄膜化処理を容易に実行することができる。
【0087】
また本発明によれば、基板保持手段は、分離した一対の基板を複数組収納できる基板カセットで実現される。これによって、基板へのダメージが少なくなり、かつ複数枚の表示装置の薄膜化処理を容易に行うことができる。さらにまた本発明によれば、他方の元基板が概略表示装置1個分の面積を有している。これによって、表示装置の良品率を向上させることができる。また本発明によれば、基板薄膜化処理に先立って、分離された一対の基板間の空間に、液晶材料が注入される。これによって、厚さが薄く軽量の液晶表示装置を効率よく製造することができる。さらに、前記液晶材料を真空注入法によって注入しても、液晶注入工程時に基板の割れや欠けが起こることが防止される。
また本発明によれば、基板分離後に液晶材料を基板間の空間に注入することによって、単一の素子集合体を構成していた全セル部材の液晶材料注入口を、注入皿内の液晶材料に同時につけることが可能である。これによって、液晶注入時のセル部材の基板のわれおよび欠けを防止しつつ、複数このセル部材に同時に液晶材料を注入する工程を、真空注入法を用いて容易に実現することができる。
【0088】
さらにまた以上のように本発明によれば、表示装置の製造方法において、貼合わされた一対の元基板を分断して、個々の表示装置の大きさを有する複数組の一対の基板に分離する工程の後、個々の表示装置の大きさをそれぞれ有する複数組の1対の基板が基板保持手段によって保持された状態で、基板薄膜化処理が複数組まとめて行われる。これによって本発明の表示装置の製造方法では、小さなエッチング槽を用いることが可能になり、かつ基板薄膜化処理に必要とされるエッチング液の量を削減することができる。また薄膜化処理のスループットが向上し、薄膜化処理を効率的に行うことができる。この結果、従来技術の表示装置よりも軽くて薄い表示装置を、容易に実現することが可能になる。
また、基板薄膜化工程の前に基板分離工程が行われるので、基板の厚さが厚い状態で基板分離工程を行うことができ、基板へのダメージが少ない状態で基板分離工程を行うことができる。
【0089】
また本発明によれば、各組の一対の基板はシール材を介して貼合わされ、かつ各組の一対の基板の端部に封止部材が設けられる。封止手段とシール材とは、同一の工程において形成されている。これによって封止手段を容易に形成することが可能になる。さらにまた本発明によれば、各組の1対の基板に駆動回路がさらに設けられる場合、封止手段は駆動回路部周辺部に形成される。これによって駆動回路一体型の表示装置の製造時においても、基板上に形成された駆動回路部にダメージを与えることなく、基板の薄膜化処理を容易に実行することが可能になる。また本発明によれば、複数組の一対の基板は基板カセットに収納される。これによって基板へのダメージが少なくなるので、複数組の一対の基板の薄膜化処理を容易に行うことが可能になっている。
【0090】
さらにまた本発明によれば、1対の基板の間に液晶材料が注入される。これによって、従来技術の液晶表示装置よりも軽量であって厚さが薄い液晶表示装置を、効率よく製造することが可能になる。さらに、液晶材料の注入工程が基板薄膜化処理に先立って行われるならば、液晶材料を真空注入法によって注入する場合、基板の割れや欠けが防止される。これによって液晶表示装置をさらに効率よく製造することが可能になる。
また、本発明によれば、基板分離後に液晶材料を基板間の空間に封入することによって、単一の素子集合体を構成していた全セル部材の液晶材料注入口を、注入皿内の液晶材料に同時につけることが可能である。これによって、液晶注入時のセル部材の基板のわれおよび欠けを防止しつつ、複数このセル部材に同時に液晶材料を注入する工程を、真空注入法を用いて容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置の素子集合体を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置の素子集合体を示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置を構成するガラス基板の薄膜化工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置の素子集合体を示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における液晶表示装置を示す平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるドライバ一体型の液晶表示装置の素子集合体を示す平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるドライバ一体型の液晶表示装置の素子集合体を示す平面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるドライバ一体型の液晶表示装置を示す平面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるドライバ一体型の液晶表示装置を示す平面図である。
【図12】従来の液晶表示装置の素子集合体を示す平面図である。
【図13】従来の液晶表示装置の素子集合体を示す断面図である。
【図14】従来の液晶表示装置を構成するガラス基板の薄膜化工程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
100 一方の元ガラス基板
101 他方の元ガラス基板
100a 一方のガラス基板
101a 他方のガラス基板
102 表示部
103 端子部
104 端子部
105 シール樹脂
106 液晶注入口
107 注入口封止剤
108 分断ライン
112 分断ライン
121 駆動回路部
122 駆動回路部
123 端子部
200 エッチング槽
201 基板カセット
202 エッチング液
203 封止手段
Claims (15)
- 少なくとも一対の基板を含む表示装置の製造方法において、
予め準備された一対の元基板のうちの表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に、シール樹脂の層を形成する工程と、
前記シール樹脂を介して、前記表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に、一対の元基板のうちの他方の元基板を貼合わせる工程と、
前記貼合わされた一対の元基板を分断して、個々の表示装置の大きさを有する複数組の一対の基板に分離する工程と、
前記個々の表示装置の大きさに分離された複数組の一対の基板を基板保持手段によって保持し、該一対の基板のうちの少なくとも一方の厚さを薄くする基板薄膜化処理を、複数組の基板を該基板保持手段に保持させた状態で行う工程とを含むことを特徴とする表示装置の製造方法。 - 前記基板の厚さを薄くするための基板薄膜化処理を行う工程は、化学的研磨法を用いて行われることを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
- 前記基板の厚さを薄くするための基板薄膜化処理を行う工程は、前記個々の表示装置の大きさに分離された一対の基板の端部に封止手段が形成された状態で行われることを特徴とする請求項1または2記載の表示装置の製造方法。
- 前記封止手段は、前記表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上にシール樹脂の層を形成する工程において形成されることを特徴とする請求項3記載の表示装置の製造方法。
- 前記表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上には、表示に関わる部品が配置された表示部と、該表示部に信号を供給する駆動回路部とがそれぞれ複数個分形成されており、
前記シール樹脂の層は前記表示部周辺部に配置され、
前記封止手段は前記駆動回路部周辺部に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。 - 前記基板保持手段は、前記個々の表示装置の大きさに分離された一対の基板を複数組収納可能な基板カセットであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
- 前記表示装置複数個分の面積を有する一方の元基板上に前記シール樹脂を介して貼合わされる前記他方の元基板は、略表示装置1個分の面積を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
- 前記個々の表示装置の大きさに分離された一対の基板間の前記シール樹脂の層によって囲まれた空間には、薄膜化処理に先立ち、液晶材料が注入されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
- 前記液晶材料を注入する液晶注入工程は、前記分離工程と、基板の薄膜化工程との間に行われることを特徴とする請求項8記載の表示装置の製造方法。
- 少なくとも一対の基板を含む表示装置の製造方法において、
貼合わされた一対の元基板を分断して、個々の表示装置の大きさを有する複数組の一対の基板に分離する工程と、
前記個々の表示装置の大きさをそれぞれ有する複数組の一対の基板が基板保持手段によって保持された状態で、各組の一対の基板の少なくとも一方の基板の厚さを薄くするための基板薄膜化処理を行う工程を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。 - 基板の薄膜化処理を行う工程に先立って、各組の前記一対の基板はシール材を介して相互に貼合わされ、かつ各組の前記一対の基板の端部に封止手段が配置され、
封止手段は、一対の基板間の空間を封止し、
封止手段は、シール材を一対の基板間に配置する工程において配置されることを特徴とする請求項10記載の表示装置の製造方法。 - 基板の薄膜化処理を行う工程に先立って、各組の前記一対の基板の間には、表示に関わる部品が配置された表示部と、該表示部に信号を供給するための駆動回路部とが形成されており、
前記シール材が表示部の周辺部に配置されており、
前記封止手段が駆動回路部の周辺部に配置されていることを特徴とする請求項11記載の表示装置の製造方法。 - 前記基板保持手段が、前記個々の表示装置の大きさの1対の基板を複数組収納可能な基板カセットであることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
- 前記一対の基板の間に液晶材料を封入する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
- 前記液晶材料を封入する工程は、前記分離工程と、基板の薄膜化工程との間に行われることを特徴とする請求項14記載の表示装置の製造方法。
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