JP2008533636A - 磁気テープ記録用ポーズ方式 - Google Patents

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Abstract

ヘリカルスキャンテープレコーダ(30)は、回転可能なスキャナ(84)と、スキャナの回転の間に情報が記録されるように、磁気テープを回転可能なスキャナ近くに移送する移送システムとを備える。コントローラは、テープへの記録動作中にポーズするためにポーズルーチン(120)を実行する。ポーズルーチンは実行される際において、テープ上のポーズ前最終記録位置を示すテープポーズ位置基準値を判断するステップと、テープ上のポーズ前最終記録位置の後に消去信号を記録するステップと、テープを巻き戻すステップと、テープを順方向に移送し、現テープ位置値を取得するステップと、現テープ位置値がいつテープポーズ位置基準値に対する所定の値に達するかを判断するステップと、スキャナの次の回転の開始時において、テープへの1つ以上のポーズ後ストライプの記録を開始するステップとを実行する。一構成例において、テープポーズ位置基準値に対する所定の値は、テープポーズ位置基準値とオフセットとの和である。

Description

本発明は、磁気テープ上へのヘリカルスキャン記録に関し、より詳細には記録動作においてポーズを実行することに関する。
磁気テープドライブを用いてテープに磁気記録する際、ヘッドユニット(典型的には書き込み素子および読み出し素子の両方を備える)とテープとの間の相対的な移動が、複数のトラック情報をテープに対して変換させる。磁気テープは典型的にはカートリッジに収納され、カートリッジがテープドライブ内にローディングされる。テープは、カートリッジ送りリールとカートリッジ巻き取りリールとの間に延びている。テープドライブは典型的には、カートリッジ送りリールを回転させる送りリールモータと、カートリッジ巻き取りリールを回転させる巻き取りリールモータとを有する。
カートリッジがテープドライブにローディングされた後、テープはドライブ内の機構によって引き出され、テープの一部が、カートリッジから、ヘッドユニット近くを走るテープ経路へと引き出される。引き出し機構は、トロリーに設けられたテープガイドの形態を有する。引き出し動作において、予め決められたトロリー経路に沿ってトロリーモータがトロリーを動かすことにより、トロリーがトロリー経路に沿って走行するにつれ、トロリー上に設けられたテープガイドがテープをテープ経路内へと変位させる。トロリーがトロリー経路に沿う走行の全行程に達したとき、テープはヘッドユニット近くにある。その後、例えばキャプスタンの作動により、テープはヘッドユニットを越えて移送され得る。
ヘリカルスキャン構成においては、磁気テープが移送されるとき磁気テープが回転するドラムに少なくとも部分的に巻き回されることにより、ドラムが回転された際、ドラム上に位置するヘッド(書き込みヘッドおよび読み出しヘッドの両方)はドラムに対して接触する。ドラム上の1つ以上の書き込みヘッドが、データを、テープ走行方向に対して1つ以上の角度に向けられた一連の別々のストライプまたはトラックとして、テープに物理的に記録する。1つ以上の読み出しヘッドによる読み出しによる後の回復を可能にするために十分な参照情報を提供するために、テープへの記録に先だってデータはフォーマッティングされる。
ヘリカルスキャン装置の例(例えばヘリカルスキャンテープドライブ)が、以下の米国特許および米国特許公開公報の非限定的かつ例示的なリストに記載されている。米国特許第5,065,261号、米国特許第5,068,757号、米国特許第5,142,422号、米国特許第5,191,491号、米国特許第5,535,068号、米国特許第5,602,694号、米国特許第5,680,269号、米国特許第5,689,382号、米国特許第5,726,826号、米国特許第5,731,921号、米国特許第5,734,518号、米国特許第5,953,177号、米国特許第5,973,875号、米国特許第5,978,165号、米国特許第6,144,518号、米国特許第6,189,824号、米国特許第6,288,864号、米国特許第6,697,209号、米国特許第6,367,047号、米国特許第6,367,048号、米国特許第6,603,618号、米国特許第6,381,706号、米国特許第6,421,805号、米国特許第6,308,298号、米国特許第6,307,701号、米国特許第6,246,551号、米国特許出願公開第2002/0071195号、米国特許出願公開第2003/0048563号、米国特許出願公開第2003/0128459号、米国特許出願公開第2003/0234998号。 上記のすべてについて、その全体を本願において参考のため援用し、米国特許出願公開に対応する米国特許出願もまた本願において援用する。
従来技術のヘリカルスキャンテープドライブは、回転するドラム上に設けられた複数のヘッドを有し得る。いくつかの実施形態において、複数の書き込みヘッドおよび複数の読み出しヘッドがドラムの円柱状側壁上に、しばしば対として設けられている。例えば、ドラムの一方側に一対の書き込みヘッドが互いに比較的近く位置し、またこれらの書き込みヘッドから約180度の角度に、一対の読み出しヘッドが互いに近く設けられている。典型的には、ドラム回転の第1の半分上にある第1の書き込みヘッドによって記録されたストライプは、同じドラム回転の第2の半分上にある第1の読み出しヘッドによって読み返され、同様に、同じドラム回転の第1の半分上にある第2の書き込みヘッドによって記録されたストライプは、同じドラム回転の第2の半分上にある第2の読み出しヘッドによって読み返される。
多くのテープドライブは、テープ走行方向に対して異なるアジマス角を有する経路を様々な変換素子の組が横断する、複数アジマスシステムである。例えば、第1の書き込みヘッドおよび第1の読み出しヘッドが、第1のアジマス角を有するストライプを横断するように構成され、第2の書き込みヘッドおよび第2の読み出しヘッドが第2のアジマス角を有するストライプを横断するように構成され、と言った具合である。ストライプまたはトラックは典型的には、交互アジマスで並べられ、異なるアジマス角のストライプは通常、異なるアジマス角を有する隣接するストライプと、わずかに重なるエッジ部分を有する。
磁気テープ記録において「ポーズ」の語は、スキャナまたはドラム上のテープの順方向移動を停止させることを意味する。テープをポーズする目的は、2つの理由のうちのいずれかであり得る。第1の理由は、ホストデータ転送レートによりよく合致しようとするためである。すなわち、ホストから得られるデータがこれ以上ないとき、ドライブはポーズする。逆に、さらなるデータが得られるとき、ドライブは記録を再開する。テープをポーズする第2の理由は、バックヒッチ動作を行うことによりテープの再位置決めを行う必要を回避することである。バックヒッチとは、ドライブがテープ移動を停止し、反転して停止地点よりもだいぶ前の地点まで戻り(例えば割と長いリバース移動)、再び停止し、そのあと前進してドライブがテープへの書き込みを停止した地点でスプライシングを行うことである。バックヒッチ動作を避けることにより、機構およびテープの摩耗が減少する。
従来技術のヘリカルスキャンドライブの中には、ポーズイベントの後に記録の開始がテープ上のどこで起こるかを正確に制御できないものがある。ポーズ前に書き込まれたユーザデータを上書きしてしまわないことが重要である。これを防ぐために、これらのドライブの中には、ポーズ点のどちらか側に追加的なダミートラックを用いることによって、ポーズ前のデータの破壊を防ぐものがある。これらのダミートラックは、ポーズ前データがポーズ後データと混ざることを防ぐための、物理的バッファゾーンをテープ上に提供する。これらのダミートラックは、テープを読み出す際には無視される。
大部分のヘリカルスキャン記録システムは、上述の交互アジマス記録技術を用いる。交互アジマス記録は、多数のトラックを、トラック間にデッドゾーンや物理的セパレーションが存在することなく記録することを可能にする。交互アジマス記録されたデータトラックが正しく読み出されるためには、2つの同アジマスのトラックが、連続的、すなわち同アジマスの読み出しヘッドによって同時に横断されるように記録されてはならない。もしこれが起きると、2つのトラックが区別不能になり、どちらのトラックも通常の転送速度では読み出し不能と言う問題状況となる。
不都合なことに、図5に示すように、ポーズイベントはまさにそのような問題状況を作りだしてしまう。ドライブが惰走のあと停止に至るとき、および記録がオフにされるとき、そしてその後にドライブが順方向に動き記録が再び開始されるとき、記録セッションにギャップが生まれ得る。このギャップは、以前に記録されたトラックを含み得る。もしギャップ中における新しい記録トラックに最も近いポーズ前トラックが、新しく記録されたトラックと同じアジマスのヘッドによって記録されたならば、新しく記録されたトラックは読み出し可能でなくなる。いくつかのテープドライブにおいては、上述のようにダミートラックを書き込むことによってこの問題を克服している。これらのダミートラックはユーザデータを含んでいないため、これらを読み出せなくても問題とはならない。
しかし、ダミートラックアプローチの欠点は容量の浪費である。容量の浪費は、記憶装置においては大罪である。実際、いくつかのテープドライブにおいては、各ポーズイベントによって典型的には4つから6つのトラックが消費される。デバイスの本来の密度とポーズイベントの数によっては、この容量の損失は、1つのテープカートリッジ容量のうちの相当なパーセンテージに上り得る。
したがって必要とされるのは、本発明の目的でもあるが、磁気テープの記録中における、テープ容量の損失が非常に少ないポーズ技術である。
ヘリカルスキャンテープレコーダは、回転可能なスキャナと、スキャナの回転の間に情報が記録されるように、磁気テープを回転可能なスキャナ近くに移送する移送システムとを備える。コントローラは、テープへの記録動作中にポーズするためにポーズルーチンを実行する。ポーズルーチンは実行される際において、テープ上のポーズ前最終記録位置を示すテープポーズ位置基準値を判断するステップと、テープ上のポーズ前最終記録位置の後に消去信号を記録するステップと、テープを巻き戻すステップと、テープを順方向に移送し、現テープ位置値を取得するステップと、現テープ位置値がいつテープポーズ位置基準値に対する所定の値に達するかを判断するステップと、スキャナの次の回転の開始時において、テープへの1つ以上のポーズ後ストライプの記録を開始するステップとを実行する。一構成例において、テープポーズ位置基準値に対する所定の値は、テープポーズ位置基準値とオフセットとの和である。
以上のおよびその他の本発明の目的、特徴、および利点は、以下に示す、添付の図面に示した好適な実施形態のより詳細な説明から明らかである。図面において、様々な図を通じて参照符号を同じ部材に付している。図面は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ本発明の原理を示すために強調を施している。
以下の記載において、本発明の完全な理解を提供するために、限定目的ではなく説明目的で、特定のアーキテクチャ、インターフェース、および技術などの具体的な詳細を述べる。しかし、本発明は、これらの特定の詳細から離れた他の実施形態においても実施され得ることが、当業者には明らかである。他の場合において、本発明の説明を不要な詳細で不明確にしてしまわないために、周知の装置、回路、および方法の詳細な説明は省略している。
図1は、ホストコンピュータまたはユーザデバイス22と、記憶装置の代表的な実施形態例(特にテープドライブ30)とを接続する、バス20を示している。図1および図2の両方の図示した実施形態において、テープドライブ30は、テープ31上へ/からの情報を変換する一般的なヘリカルスキャンテープドライブとして示されている。テープドライブ30は、バス20に接続されたコントローラ32を有する(図1参照)。データバス34は、コントローラ32をバッファマネージャ36に接続する。コントローラ32およびバッファマネージャの両方が、バスシステム40によってプロセッサ50に接続されている。特に図示していないが、プロセッサ50はまたプログラムメモリやデータメモリ(例えばRAM)にも接続され得ることが理解される。
バッファマネージャ36は、例えば、ユーザデータのバッファメモリ56への格納およびユーザデータのバッファメモリ56からの取り出しの両方を制御する。ユーザデータは、ホスト22からの、テープ31に記録されるためのデータ、または、テープ31からホスト22に向けられたデータである。バッファマネージャ36はまた、フォーマッタ/エンコーダ60ならびにデフォーマッタ/デコーダ62Aおよび62Bに接続されている。またフォーマッタ/エンコーダ60自体はそれぞれ書き込みチャネル70に接続されている。デフォーマッタ/デコーダ62Aおよび62B自体は、それぞれ読み出しチャネル72Aおよび72Bに接続されている。書き込みチャネル70は、書き込み増幅器を介して(複数の)記録素子または書き込みヘッド80に接続され、読み出しチャネル72Aおよび72Bは、読み出し増幅器を介して複数の読み出し素子または読み出しヘッド82に接続されている。
書き込みチャネル70は、RLL変調器、パラレル−シリアル変換器、および書き込み電流変調器を含む様々な回路および素子を有することが当業者には理解される。同様に、読み出しチャネル72Aおよび72Bは、データパターンおよびクロック再生回路、シリアル−パラレル変換器、ならびにRLL復調器を有することが当業者には理解される。(例えば)エラー訂正を含む、テープドライブ30のこれらおよびその他の局面は、本技術の理解のために不要であり、したがってここでは具体的には説明しない。特定の他の局面は、例えばMcAuliffeらの米国特許第6,367,047号、McAuliffeらの米国特許第6,367,048号、McAuliffeらの米国特許第6,603,618号、およびZaczekの米国特許第6,381,706号、McAuliffeらの米国特許第6,421,805号、Blatchleyらの米国特許第6,308,298号、Beaversらの米国特許第6,307,701号、およびBlatchleyらの米国特許第6,246,551号、ならびに「DATA RANDOMIZATION FOR REWRITING IN RECORDING/REPRODUCTION APPARATUS」の名称を有する2005年3月9日付け出願の米国特許出願第11/074,937号から理解することができる。これらのすべてについて、その全体を本願において参考のため援用する。
任意の数および配置の書き込みヘッド80および読み出しヘッド82を有するテープドライブが、本願に記載するテープポーズ技術に使用され得る。例示のための例としての特定のドライブ30(図2に概略を示す)は、回転するスキャナまたはドラム84の円周面上に配置された、2つの書き込みヘッド801〜802および4つの読み出しヘッド821,A、821,B、822,A、822,Bを有する。書き込みヘッド801〜802は、回転するスキャナ84上に180度離れて位置しており、それぞれ第1および第2のアジマス角を有しており、同じ書き込みチャネル70を共有する。読み出しヘッド82は、例えば第1の対821,A、821,Bおよび第2の対822,A、822,Bのように、対に構成されている。各読み出しヘッド対は、書き込みヘッド80から90度離れて位置している。各対のうち第1の読み出しヘッド、すなわち読み出しヘッド821,Aおよび読み出しヘッド822,Aは読み出しチャネル72Aを用い、一方、各対のうち第2の読み出しヘッド、すなわち読み出しヘッド821,Bおよび読み出しヘッド822,Bは読み出しチャネル72Bを用いる。第1の対の読み出しヘッド821,A、821,Bは、同じ第1のアジマス角を有しており、読み出しヘッド821,Bは読み出しヘッド821,Aの約1トラック後ろを読み出す。第2の対の読み出しヘッド822,A、822,Bは同じ第2のアジマス角を有しており、読み出しヘッド822,Bは読み出しヘッド822,Aノ約1トラック後ろを読み出す。図示した構成例において、オーバースキャンモードでデータをテープから再生または読み出しする際、通常すべての読み出しヘッドが使用される。しかし、記録動作においては、各対のうち1つの読み出しヘッドのみが、チェックアフターライト動作に利用される。
テープ31が図1の矢印87で示す方向に送りリール90から巻き取りリール92へと移送される際に、ヘッド80および82がテープ31上のヘリカルストライプ86(図1参照)に追従するように、テープ31はスキャナ84上に巻き回される。送りリール90および巻き取りリール92は典型的には、図示しないカートリッジまたはカセット内に収納され、ここからテープ経路(スキャナ84への巻き回しを含む)へとテープ31が引き出される。特定のテープ経路が不可欠なわけではなく、図2は単にテープ経路構成例を提供しているだけである。送りリール90および巻き取りリール92は、各リールモータ94および96に駆動され、テープ31を方向87に移送する。リールモータ94および96は、移送コントローラ98(最終的にはプロセッサ50によって支配される)によって駆動される。キャプスタン100がテープ速度を制御する。キャプスタン100はキャプスタンモータ102によって回転される。キャプスタンモータ102の回転速度、ひいてはキャプスタン100の回転速度そしてテープ31の線速度は、キャプスタンタコメータ104により検出される。リールモータ94および96ならびにキャプスタンモータ102、ひいてはキャプスタン100自体は、すべて移送コントローラ98(最終的にはプロセッサ50によって支配される)によって別々に駆動される。テープ31の順方向移動において、巻き取りリールモータ96はキャプスタン100から巻き取りリール92へ適切な張力を、テープ31上に維持する。送りリールモータ94は、テープ31に書き込みおよび読み出しを行うために十分な圧力をヘッドおよびスキャナ84に対して維持するために、テープ31上に逆方向の張力を提供する。
例示したテープドライブの、プロセッサ50などのコントローラが、記録ポーズルーチン120を行うと言う利点を有する。多くの場合、ポーズルーチン120により、実質的にシームレスなポーズ動作が得られる。ポーズルーチン120によって実行される特定の例示的、基本的、かつ非限定的なステップまたはそれに関連するイベントを、図3に示す。どのような特定のユニットまたはアーキテクチャがポーズルーチン120の実行に用いられるかは、重要でも不可欠でもない。ポーズルーチン120は、ここで行われる基本的なステップまたは動作を実行することが可能な、任意の適切な実体によって実行され得ることが理解される。そのような実体(本願において広範にコントローラと呼ぶことがある)は、例えば、個々のハードウェア回路、ソフトウェアまたはファームウェアを実行する適切にプログラミングされたデジタルマイクロプロセッサあるいは汎用コンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)であるか、またはこれらを含み得る。また、ポーズルーチン120の機能は、1つの実体に集中化するか、いくつかの実体に分散させてもよい。
図3のステップ3−1は、呼び出しを待っているポーズルーチン120を示す。ポーズ動作が要求されたかどうかをポーズルーチン120に周期的にチェックさせるかまたは通知することにより、ステップ3−1を行うことができる。例えばホストから得られるデータが無くなったなどの上述した条件の下などでポーズ動作が要求され得、ドライブがポーズする。
ステップ3−2として、ポーズが要求された後、最後のポーズ前データトラックをテープ31に書き込む。これらの最後のポーズ前データトラックは、データバッファ56の残りの内容からのパケットを有するデータトラックである。すなわち、ドライブは、実際にテープ移送をポーズする前に、好ましくはそのデータバッファ56の内容を書き込むことによってデータバッファ56を空にする。
ステップ3−3として、ポーズルーチン120は、テープ上のポーズ前最終記録位置を示すテープポーズ位置基準値を形成する。ステップ3−2は、例えば、最後のポーズ前トラックの記録時におけるキャプスタンタコメータ104から得られたタコメータカウントを参照することによって行われ得る。このテープポーズ位置基準値は将来のチェックのために格納され、ポーズ後にドライブがどこからテープ31への記録の再開を開始すべきかを示すものである。
ステップ3−4として、ポーズルーチン120は、ポーズ前最終記録位置の後(例えば下流側)において、テープ31上にDC消去信号を記録させる。好ましくは、DC消去信号の記録において、読み出しヘッド82がテープ31に記録されたばかりの最後のポーズ前トラックのチェックアフターライト処理を行っている間に、DC消去信号のトラックを記録する。DC消去信号とは、ヘッドが単一の極として磁化されるように、一定の電流が書き込みヘッド80に印加される条件である。これはいわば、磁気テープの表面上で磁石を引きずることにより、すべての磁区が1方向に揃うようにさせることと同じ条件を創出する。これは、以前に記録された情報を、DC消去信号によって書き込まれたトラックの下に効果的に消し去る。典型的なデータ記録信号は、AC波形状である。
2つの書き込みヘッド801および802を有する実施形態例のテープドライブ30において、読み出しヘッドが最後の2つのデータトラックのチェックを完了する間に、DC消去信号の4つのトラックが記録される。もちろん、異なる数のヘッドを有する他の実施形態においては、DC消去信号のより多数あるいはより少数のないトラックが記録されてもよい。
ステップ3−5として、最後に記録されたポーズ前データトラックよりも早いテープ位置まで、テープ31を短い距離だけ逆方向に移動させる(例えば巻き戻す)。図示した構成において、テープ31のそのような短い逆方向移動は、移送コントローラ98の制御下において、ポーズルーチン120のロジックに応答して達成される。具体的には、移送コントローラ98がキャプスタンモータ102ひいてはキャプスタン100を動作させることにより、テープ方向が反転されて、最後に記録されたポーズ前トラックのすぐ直前の地点までテープが短い距離戻って移動される。例えば、この短い移動は、キャプスタン100を逆方向に短い距離走らせるための「キル(kill)」パルスを印加することに匹敵する。そのような短い逆方向移動は「バックトゥイッチ(back twitch)」と呼ばれ、バックヒッチよりもずっと短い。
ステップ3−6は、テープドライブがさらなるデータをテープ31に記録する準備ができるまで、ポーズルーチン120が待っている状態を反映している。例えば、データバッファ56が所定のレベルまで埋められたとき、バッファマネージャ36は、テープ31へのデータの記録を再開することが可能である旨の通知を例えばポーズルーチン120に送る。
システムが実際に記録を再開する準備ができたとき、ステップ3−7として、ポーズルーチン120は、テープ31移送を順方向に開始するように移送コントローラ98に指示する。移送コントローラ98は、キャプスタン100を回転させるための適切な信号をキャプスタンモータ102に送ることにより、テープ移送を達成する。ステップ3−7においてテープが順方向に移送される際、ポーズルーチン120は、キャプスタンタコメータ104から得られる現テープ位置値を連続的または周期的に監視する。
動作に際しては、書き込みヘッドが最後に記録されたポーズ前トラックの位置に達する時刻よりも前にキャプスタン100が所定の速度に達するように、ステップ3−5の巻き戻しは最後に記録されたポーズ前トラックの位置より適度に上流にされるべきである。
ステップ3−8として、ポーズルーチン120は、現テープ位置値(キャプスタンタコメータ104を介して監視される)が、いつテープポーズ位置基準値に対して所定の値に達するかを判断する。テープポーズ位置基準値は説明されたようにステップ3−3において格納されたものである。現テープ位置値がそのような所定の値に達すると判断されたとき、ポーズルーチン120は、スキャナ84の次の回転において最初のポーズ後トラックの記録を開始し得ることがわかる。すなわち、所定の値に達した後、スキャナの次の回転の頭において、1つ以上のポーズ後ストライプのテープへの記録を開始し得る。最初のポーズ後トラックの記録は、図3のステップ3−9に反映されている。
このように、ステップ3−8は、いつ現テープ位置値がテープポーズ位置基準値に対して「所定の値」に達するかを判断することを包含する。一動作モードにおいて、所定の値は、テープポーズ位置基準値(例えばステップ3−3において格納される)に等しくてもよい。さらに別の動作モード例においては、テープポーズ位置基準値に対する所定の値は、テープポーズ位置基準値(ステップ3−3で取得および格納された)とオフセット値との和である。本技術の一局面として、このオフセット値はプログラマブルであってもよく、例えば選択的に変更可能または調節可能であってもよい。このモードにおけるオフセット値の理由は後述する。
図3のステップ3−10は、ポーズルーチン120を抜け出してドライブ30がポーズ後トラックの記録を通常に継続し得ることを反映している。
図4は、ポーズルーチン120によって行われるポーズ動作を経たテープの内容例を示す。図4において、テープを、書き込みヘッドから記録面を見たように図示している。図5のテープとは異なり、図4のテープは、同じアジマス角の隣接するトラック(ポーズ前1つとポーズ後1つ)と言う問題状況を有していない。むしろ、図4に示す特定の例において、ポーズ前トラックは、1.5トラックの消去信号ギャップによってポーズ後トラックから隔てられている。図4は、単に一つの可能な場合を示しているのであり、最初のポーズ後トラックを書き込んでよいと検出されるドラム回転上の地点に依存して、他の場合が存在する。実質的には2つの極端な場合が存在し、他の場合はその間にほぼ連続的に存在することになる。
第1の極端な場合において(最小ギャップ)、ステップ3−3でテープが戻されることにより、テープ移送のスタートとともにトラックの横断が開始したときに(ステップ3−7)、第1のアジマス角のヘッド(例えば+アジマス角)が、既に記録された+アジマス角のトラック上に実質的に重なる経路を横断するようにする。この第1の場合において、記録される最初のポーズ後トラックは、最後のポーズ前トラックの実質的に直後に書き込まれるため、実質的にテープ上にギャップを有さないポーズが得られる。
第2の極端な場合において(最大ギャップの場合)、ステップ3−8の要件が満足されたとき、ヘッドはちょうどトラック横断を開始し逃したところなので、ポーズルーチン120は、最初のポーズ後トラックを書き込む前に、1回転まるまる待たなければならない。ドラムの1回転は、2つのトラックの書き込みを意味する。この場合、ポーズルーチン120は、ほぼ2つのトラック分のギャップを有する。したがって、得られるギャップは、実質的に、最初のポーズ後トラックを書き込んでよいと検出されるドラム回転上の地点の関数である。
キャプスタンタコメータ104は、新しいトラック(例えばポーズ後トラック)の開始を、トラック幅の一部分内に制御するのに十分な分解能を有する。キャプスタンタコメータ位置(ステップ3−3で得られる)を基準として用いることにより、ポーズ後に新しいトラックの書き込みを始めるための単純な方法が可能になる。
ドラム回転位置の把握は、大部分のテープドライブの大部分のスキャナに付随する、図示しない位置センサによって達成される。同様に、大部分のテープドライブは、ヘッドがいつテープ上にあり、トラックを横断および変換(記録または再生する)し始める位置にあるかを示す信号を提供する。前述したヘリカルスキャン例のうちのいくつかなどの、いくつかのテープドライブにおいて、そのような信号は、HEAD SYNC信号として知られる。他のバリエーションもまた可能である。
ポーズ後に再び書き込みを開始する信号は、必ず次のドラム回転の開始時に効力を生じる。各ドラム回転は2つのトラックを書き込むため、本構成例において、平均して、ポーズ前とポーズ後データとの間に1トラックぶんの追加的なセパレーションが得られる。テープ速度およびドラムタイミングがサーボ制御される他の実施形態においては、この距離はさらに減少され得る。
いくつかの実施形態あるいは動作モードにおいて、特にテープ速度とドラム(スキャナ)速度とが独立に制御される場合、キャプスタンタコメータ104とヘッドタイミングとの間は同期していなくてもよい。キャプスタン100とヘッドタイミングとが同期されない実施形態において、回避あるいは対処すべき別の状況が存在する。すなわち、2つのイベントが実質的に同時に起こると、最後のポーズ前トラックの記録が偶発的に上書きされてしまい得る。これら2つのイベントとは、(1)キャプスタンタコメータ位置(ステップ3−7で監視される)がセーブされた位置(ステップ3−3で得られる)と合致する(ステップ3−8で判断される)ことと、(2)ヘッドタイミングの書き込みゲートがアクティブになることである。これらの2つのイベントが実質的に同時に起こると、ただちにトラックの書き込みが起こる。この書き込み動作を素早く開始すると、ポーズ前データトラック幅を許容可能な限界未満に小さく減少させるほど、ポーズ前データの最後のトラックを上書きしてしまい得る。上述のプログラマブルなオフセットを有することにより、この地点の調整がポーズ前データから遠ざかる側に誤るようにし、最後のポーズ前データトラックを短くし過ぎることを可能にする。
本ポーズルーチン120は、以前に記録されたデータのギャップを創出する可能性が高い。しかし、ポーズの終わりにDC消去を用いることにより、露出した部分が消去されたように見える。これにより、その小さいギャップに以前に記録されたものと新しく記録されたデータとによる同アジマスのデータの効果を防ぐ。
本願に記載したポーズ技術は、説明および図示した構成例とは異なる個数のヘッドを有するテープドライブによって実行され得る。実際、本ポーズ技術は、1つの書き込みヘッドのみを有するシステムを含む、任意の数のヘッドを有するシステム上において使用可能である。1ヘッドの場合は、1アジマスで記録し、したがって同アジマストラックの読み出しを避けるためのセパレーションを可能にしなければならないなど、他の問題も考慮する必要があり得る。そのような実施形態においてポーズルーチン技術を実現するための改変の本質および、そのような改変を達成するために必要な手段は、当業者に認識される。
様々な実施形態を開示し詳細に説明したが、請求項はいかなる特定の実施形態や例にも限定されない。上記説明のいずれも、特定の素子、ステップ、範囲、または機能が必須であって請求の範囲に含まれなければならないことを意図していると読まれるべきではない。特許化された主題の範囲は、請求項によってのみ定義される。法的保護の範囲は、許可された請求項に記載された文言およびその均等物によって定義される。本発明は開示された実施形態に限定されず、むしろ、様々な改変および均等的構成をカバーするよう意図されていることが、理解されるべきである。
テープドライブの実施形態例の模式図である。 図1のテープドライブ例などのテープドライブにおけるテープ経路例の概略図である。 本技術のあるモード例にしたがって行われるポーズルーチンに含まれる、基本的な、例示かつ非限定的なステップを示すフローチャートである。 図3のポーズルーチンを実現する際のテープフォーマットおよび内容を示す概略図である。 図3のポーズルーチンを用いない場合の、テープフォーマットおよび内容の問題状況を示す概略図である。

Claims (9)

  1. 回転可能なスキャナ(84)と、
    スキャナ(84)の回転の間に情報が記録されるように、磁気テープ(31)を回転可能な前記スキャナ(84)近くに移送する移送システムと、
    ポーズルーチン(120)を実行するコントローラ(50)とを備えたヘリカルスキャンテープレコーダ(30)であって、前記ポーズルーチン(120)は実行される際において、
    前記テープ上のポーズ前最終記録位置を示すテープポーズ位置基準値を判断するステップと、
    前記テープ上の前記ポーズ前最終記録位置の後に、前記ポーズ前最終記録位置の後に記録された既存の情報を無効化する信号を記録するステップと、
    前記テープを巻き戻すステップと、
    前記テープを順方向に移送し、現テープ位置値を取得するステップと、
    前記現テープ位置値がいつ前記テープポーズ位置基準値に対する所定の値に達するかを判断するステップと、
    前記スキャナ(84)の次の回転の開始時において、前記テープへの1つ以上のポーズ後ストライプの記録を開始するステップと、
    を実行することを包含する、ヘリカルスキャンテープレコーダ。
  2. 前記テープポーズ位置基準値に対する前記所定の値は、前記テープポーズ位置基準値とオフセット値との和である、請求項1に記載の装置。
  3. 前記オフセット値はプログラマブルである、請求項2に記載の装置。
  4. 前記テープ上の前記ポーズ前最終記録位置の後に、前記ポーズ前最終記録位置の後に記録された前記既存の情報を無効化する前記信号を記録する前記ステップは、DC消去信号である、請求項1に記載の装置。
  5. スキャナ(84)の回転の間に情報が記録されるように、磁気テープ(31)を回転可能な前記スキャナ(84)近くに移送する移送システムを有するヘリカルスキャンテープレコーダ(30)を動作させる方法であって、
    前記テープ上のポーズ前最終記録位置を示すテープポーズ位置基準値を判断することと、
    前記テープ上の前記ポーズ前最終記録位置の後に、前記ポーズ前最終記録位置の後に記録された既存の情報を無効化する信号を記録することと、
    前記テープを巻き戻すことと、
    前記テープを順方向に移送し、現テープ位置値を取得することと、
    前記現テープ位置値がいつ前記テープポーズ位置基準値に対する所定の値に達するかを判断することと、
    前記スキャナ(84)の次の回転の開始時において、前記テープへの1つ以上のポーズ後ストライプの記録を開始することと、
    を包含する方法。
  6. 前記テープポーズ位置基準値に対する前記所定の値は、前記テープポーズ位置基準値とオフセットとの和である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記オフセット値はプログラマブルである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記テープ上の前記ポーズ前最終記録位置の後に、前記ポーズ前最終記録位置の後に記録された前記既存の情報を無効化する前記信号を記録する前記ステップは、DC消去信号である、請求項5に記載の方法。
  9. スキャナ(84)の回転の間に情報が記録されるように、磁気テープ(31)を回転可能な前記スキャナ(84)近くに移送する移送システムを有するヘリカルスキャンテープレコーダ(30)を動作させる方法であって、
    テープポーズ状況に遭遇することと、
    ポーズ後データを前記テープに記録するよりも前に、前記テープ上の前記ポーズ前最終記録位置の後にDC消去信号を記録することと、
    を包含する方法。
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