JP2008533323A - 疎水性断熱材 - Google Patents

Abstract

疎水性の断熱材料は、繊維面を備えた繊維を有する繊維状材料と、繊維面上の疎水性材料とを有してなる。断熱性の布地は、繊維状材料と布地を含み、複数の不連続の結合点において断熱材料が布地に接合されている。水性材料は好適にはフッ素重合体であり、フッ素重合体は、疎水性付与剤の浴中に繊維および／または繊維に取り付けた布地を沈めることで適用される。得られた断熱材料は優れた疎水性を有する。

Description

本発明は、疎水性断熱材に関し、より詳しくは、外出着、寝袋などの屋外用の物品に特に有用である、疎水性の多層の布地（繊維）からなる断熱材料（断熱物質）に関するものである。

屋外で使用されることを目的とした、上記のような物品は、断熱材を含有することでしばしばより結果をもたらす。この断熱材は、一般的には、種々の断熱材料（断熱物質）を用いて供給される。断熱物質の１つの形態として、合成あるいは合成でない（非合成の）膨張繊維材料（expanded fibrous material）がある。一般的な断熱材料には、Polar Guard（登録商標）、Primaloft（登録商標）、およびThinsulate（登録商標）などの商標で販売されているものがある。

これらの材料は、宣伝資料においては疎水性の品質を有することがしばしば指摘されているが、これらの品質は、所望の必要とされる有効性がないことが知得されている。

本発明は、材料に疎水性を提供するために極めて有効な処理を断熱材料に提供することで、この種の物品に関連する長期に亘る必要性に解法を提供するものである。本発明は概略的には絶縁材料自体の処理に関するものであるが、本発明の他の目的は、追加の好適な特性を有する多層の疎水性材料を提供することにある。

本発明のその他の目的は以下の記載から明らかである。

本発明によれば、断熱材料を好ましくはフッ素重合体で処理することで優れた疎水性を提供できることが知得された。このような断熱材料は、水に曝された際に、断熱材料を一振りないし動かすだけで、この水を完全に除くことができる特長がある。このことは、市販の断熱材料に関して得られないし実証されたどんな結果よりも遙かに優れたものである。

本発明の別の特徴によれば、断熱材料は繊維層と断熱層を含む多層構造を有しており、断熱層は繊維層に接合されており、およびこれら組み合わされた多層構造体は次いで疎水特性を与えるために処理され、好ましくはフッ素重合体の浴（溶液）中での処理がなされる。

本発明によれば、特に好ましい最終物品（製品）は、織布または不織材料（不織布）からなる布地（繊維）と合成または合成でない断熱層を初めに用い、布地と断熱材料とを一緒に接合することで得られる。これは、例えば、ウレタン接着剤を使用して行われ、また布地と断熱材との間に必要に応じて不連続（非連続）の結合点が設けられる。この多層の断熱構造体は、次いで、フッ素重合体材料で処理され、布地と断熱材料の双方に所望の疎水性品質が提供される。これは、好ましくは、多層の絶縁材料を適宜なフッ素重合体材料を含有する浴（溶液）中で処理することで行われ、浴処理の後、フッ素重合体で処理された多層の断熱材料は次いで、例えばテンター（幅出し機）の枠上などで、乾燥および硬化され、乾燥の間に物品の良好な形状を確保する。これは、好ましくは、繊維層を上向きとすることで断熱材料が、乾燥および硬化するにつれて、布地から垂れ下がり、この結果、断熱材料の良好な嵩高性（ロフト）ないし厚さと共にこの嵩高性を維持するための性向ないし傾向が得られる。

以下に、本発明の好ましい各実施例を、添付図面を参照しつつ、詳細に説明する。

本発明は、疎水性の断熱材料に関するものである。１つの好ましい実施例によれば、本発明は、疎水性の多層の布地（繊維）からなる断熱材料の構造、およびこれを作るための方法に関するものである。

本発明によれば、断熱材料は、好ましくは、連続的あるいは非連続的なフィラメントのポリエステル材料、あるいはその他のいずれかの適切な合成または合成でない（非合成の）断熱材料、例えば、ダウン（羽毛）、連続したフィラメントのポリエステル、ポリオレフィンなどである。本発明の範囲内においてはこの材料は特にフッ素重合体の浴（溶液）で処理されて断熱材自体に疎水性の品質ないし特性が与えられる。本発明の好ましい実施形態ではこの絶縁材料は、例えばナイロン、綿、アラミド（ケブラー）、ポリエステル、ポリオレフィン糸、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース系材料（セルロース材）、ウール（毛織物）、植物繊維などからなる織布または不織布である繊維材料に接合される。これにより、多層構造が得られ、この多層構造体は次いで所望の疎水性を付与するために本発明に従って処理される。

図１は本発明に係わる材料１０の断面図を示したもので、布地１２と断熱材料１４が示されている。本発明によれば、断熱材料１４は布地１２に接合され、好ましくは不連続（非連続）で接合され、これにより布地１２は布地１２の面に対して適切な位置に断熱材料１４が保持されると共に、例えば材料１０を使用して作られた対象物の通常の使用の間において材料１０が捻れたり曲げられた際に絶縁材料１４を布地１２に対して実質的に自由に動かすことができるようになる。

本発明によれば、以下にさらに説明するように、図１に示した材料１０は、好適には、フッ素重合体浴（溶液）内のフッ素重合体のような、疎水性を付与する材料で処理され、これにより結果的に、布地１２と断熱材料１４の両者がフッ素重合体で処理される。好都合なことに、これにより、布地１２と断熱材料１４の両方に疎水性が与えられ、図１に示したような多層構造体は、材料を一振りするだけで実質的に完全に水を除くことができる。

（布地）
本発明によれば、断熱材料が接合される布地は好適には上述したような適宜な広範囲の布地のいずれかである。特に好ましい布地には、織布または不織材料（不織布）、合成または非合成材料、例えばナイロン、ポリエステル、アラミドおよび／または綿が含まれる。当然であるが、本発明の範囲内において他の材料を布地の構成材とすることもできる。

布地は、衣類や寝袋の用途の場合には、好ましくは、実質的に薄い層、好ましくは約５オンス（１４１．７５ｇ）以下の重量、より好ましくは約２オンス（５６．７ｇ）以下の重量を有するものである。この布地は所望の最終用途に適している。よって、多層の断熱材が衣類または寝袋あるいは他の物品（製品）に組み込まれることにより、布地の他の所望の特性が出現する。

（断熱材料）
本発明の物品に組み込まれる断熱材料は、好適には、いずれかの合成または非合成の断熱材料でも良い。適切な断熱材料の例としては、ダウン製断熱材料、ポリエステル、ポリオレフィン、連続フィラメントのポリエステル、などであり、これらの組合せないし混合物であっても良い。当然であるが、その他の断熱材料も本発明では使用でき、そのような広範囲の断熱材料は当業者には公知である。

繊維状の断熱材料、あるいは他の形式の断熱材料は、フッ素重合体で処理され、疎水特性及び嵩高性が提供され、並びに嵩高性の喪失ないし損失への抵抗性（耐久性）が提供され、これらは本発明での使用に適している。

（浴）
本発明によれば、浴は、好適には、フッ素重合体のような疎水性を付与する材料（疎水性付与剤）の水または溶剤ベースのブレンド（混合物）または液（溶液）であり、さらに湿潤剤および／または硬化剤を含ませても良い。フッ素重合体からなる付与剤は、好適にはフッ化炭素であるが、あるいはアクリルフッ素重合体分散液（acrylic fluoropolymer dispersion）や、シリコン処理されたものなどの、その他の適宜な材料を使用できる。湿潤剤は、好適にはアミン材料（アミン系材料）であり、特にＳｏｌｕｔｉａ，Ｉｎｃ．のＲｅｓｉｍｅｎｅ（登録商標）のようなメラミン−ホルムアルデヒド樹脂溶液、メラミンおよび／または水ベースのイソシアネートなどが使用される。浴中での断熱材料の処理の結果、処理された表面上にフッ素重合体（フッ素ポリマー）の単分子の層が堆積すると考えられる。

硬化剤は断熱材料、例えばポリエステルと反応し、材料の剛性を高める。好ましいことにはこれにより断熱材料の落ち込みが防止され、断熱特性が高まる。こうして追加された剛性はまた、断熱材料の嵩高性が保持および／または回復されることに寄与する。

好適な水ベースの浴溶液は次の通りである。

上述のように、溶剤ベースの溶液も同様に好適である。次に示すのはこのような溶剤ベースの溶液の好適な例である。

本発明によれば、優れた結果を提供することが知得されたフッ素重合体の材料は、Ｃｉｂａ−Ｇｅｉｇｙ ＣｏｒｐｏｒａｔｉｏｎよりＺｏｎｙｌ ８０７０およびＺｏｎｙｌ ７０４０の商標で提供されている専売のフッ素重合体材料を含むが、その他のフッ素重合体も好適に使用できる。

好適な溶剤はウレタンおよびウレタンフィルムに対して有効であり、およびフッ素重合体と相溶性ないし混合可能である溶剤であり、ウレタンとフッ素重合体との間の相互作用が提供される。本発明において使用される１つの優れた溶剤はテトラヒドロフラン（ＴＨＦ）であるが、その他のものも好適に使用される。

本発明によれば、追加の成分が必要に応じて溶液中に組み込まれる。例えば、メラミンホルムアルデヒド成分が、得られた処理面の特性を高めるために組み込まれる。この種の成分としては、Ｓｏｌｕｔｉａ，Ｉｎｃ．により提供されるＲｅｓｉｍｅｎｅ ７３０（登録商標）のようなメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、およびＮｅｖｅｏｎ，Ｉｎｃ．により提供されるＦｒｅｅｒｅｚ（登録商標）のようなメラミン−ホルムアルデヒド凝縮樹脂（condensate resin）などがある。いずれの場合も、ポリウレタンに適用ないし付けられた際におけるこれら材料の作業性を高めるために、これら材料は好適には特定の溶剤または促進剤と共に提供される。例えば、エチル酸リン酸塩（ethyl acid phosphate）はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂と組み合わされて、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂溶液とポリウレタン材料との間の反応を高める好適な触媒の１つである。好適な促進剤の他の例としては、Ｆｒｅｅｄｏｍ Ｔｅｘｔｉｌｅ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ Ｃｏｍｐａｎｙにより提供されるＦｒｅｅＣａｔ（登録商標）が挙げられるが、公知であり当業者に容易に入手できる他の促進剤も利用可能である。

必要に応じて、溶液中に組み込まれる他の溶剤は、Ｎ−メチルピロリジン、あるいはＭＰＹＲＯＬであり、これらはフッ素重合体とウレタン材料との間の相互作用を促進するために少量使用される。

使用される成分に応じて、溶液中に消泡剤を組み込むことが好ましく、好適な消泡剤の一例はＤｏｗ Ｃｏｒｎｉｎｇ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎにより提供されるＡｎｔｉｆｏｒｍ Ｙ−３０である。同様に、溶液中に使用される成分に応じて、例えばＤｕＰｏｎｔ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓにより提供されるＡｌｋａｎｏｌ６１１２のような界面活性剤を用いることが好ましい。

溶液中に使用される種々の構成要素ないし材料は次のように用意される。

使用される溶剤は適切な容器や缶内で計量される。一方、フッ素重合体材料は、溶液、Ｚｏｎｙｌ ８０７０の場合は通常は水溶液、Ｚｏｎｙｌ ７０４０の場合は溶媒を含む溶液で提供され、使用される促進剤に混合される。フッ素重合体溶液は次いで溶剤と混合され、次いでこの溶液に他の使用すべき溶剤が加えられる。

メラミンホルムアルデヒド成分は、これを使用する場合には、通常は所要の相溶性の促進剤、消泡剤および界面活性剤と共に、次いで加えられる。

十分に混合したならば、溶液は使用可能となる。

溶液中に組み込まれる種々の原料は、好適には以下に示した量だけ組み込まれる。

上記の表に示した量は、開始量としての溶剤４０ポンド（１８．１４４ｋｇ）をベースとしたものである。この最初の溶剤は、溶剤のブレンド（混合物）、例えばＴＨＦとＭＰＹＲＯＬのブレンドとすることができ、またこの場合ＴＨＦとＭＰＹＲＯＬは、好ましくは、８０−９８％ｗｔＴＨＦと２０−２０％ｗｔＭＰＹＲＯＬの比率で提供される。上表中の残りの量は、溶剤４０ポンド（１８．１４４ｋｇ）をベースとした本発明に係る適切な量に基づくものである。

本発明に係る優秀な結果が得られる実施例に基づく溶剤に係る溶液の１つの特定の例は以下の通りである。

（処理）
上記したように、布地と断熱材料は好適には一緒に結合され、好ましくは不連続の結合がなされる。

好適には、これらの層はフッ素重合体の浴中での処理の前に一緒に結合される。これは、フッ素重合体による処理が構成要素間の続く結合の品質に干渉することが知得されたことに基づくものである。処理の別の特徴は以下に説明する。

結合された布地／断熱材料は、上述したように、フッ素重合体材料で処理されて、材料に所望の疎水の特性が付与される。これは、例えば、フッ素重合体の浴を含むタンク内に材料を含浸（浸す）することで行われるが、他の方法を用いることもできる。

浴中での含浸ステップは、好適には雰囲気中において行われ、また材料は浴内に材料が完全に染み込むまで定置される。

続く乾燥および硬化ステップは、好適には、加熱しながら行われ、乾燥および硬化ステップ中の材料は好適にはフレームや他の支持構造体上に配置され、断熱材料が布地から下方に吊り下げられる状態とする。例えば、例えばテンター（幅出し機）のフレーム（枠）を使用することができ、得られた複合材料は布地側を上にして保持され、これにより、乾燥プロセスの間において断熱材料が下方に吊り下げられる傾向を持たせ、よって所望のより大きな嵩高性を持たせて乾燥がなされる。

上記に代えて、処理をスプレイ（噴霧）プロセスを適用して行うこともでき、あるいはパッテイング（patting）プロセスなどで行っても良い。

以上説明したように、布地は乾燥および硬化プロセスの間において断熱材に対して良好な支持を提供するために機能することから、多層の材料は特に好適な最終結果を得ることができる。

本発明の広範囲の特徴によれば、断熱材料だけが布地が取付られていない状態で処理され、乾燥および硬化ステップの間は断熱材料は好適にはクリップや他の構造体で支持される。これにより、乾燥および硬化ステップの間において絶縁材に嵩高性を持たせることができる。

多層構造体である実施例に戻って、フッ素重合体による処理の前に断熱材を布地に結合することは、断熱材と布地の間の得られた結合が良好な結合であるという別の特徴があり、またこの結合は、結合前に布地または断熱材料のいずれかをフッ素重合体で処理した場合には得ることが困難であることが知得されている。

以上の実施例は本発明を実行する最良の形態を例示したものであって、形態、大きさ、構成要素の配列および動作の詳細などが変更を受けるものであるから、本発明は、上記で説明および示した実施例に限定されない。

本発明に係わる多層の断熱材料の図式的な側面図である。 本発明に係わる方法の図示的な説明図である。

Claims (21)

1. 繊維面を備えた繊維を有する繊維状材料と、繊維面上の疎水性材料とを有してなる、疎水性の断熱材料。
2. 疎水性材料が、繊維面上の、フッ素重合体の単分子の層からなる、請求項１記載の断熱材料。
3. 繊維状材料が、合成繊維、合成でない繊維およびこれらの組合せからなるグループから選択されたものである、請求項１記載の断熱材料。
4. 繊維状材料が、ポリエステル、ポリオレフィン、ダウン、連続フィラメントポリエステル、およびこれらの組合せからなるグループから選択されたものである、請求項３記載の断熱材料。
5. 繊維が、硬化剤処理された繊維であり、未処理の繊維よりも剛性が大きい、請求項１記載の断熱材料。
6. 請求項１記載の断熱材料、および
   布地を有してなり、
   複数の不連続の結合点において断熱材料が布地に接合されている、断熱性の布地。
7. 布地が、ナイロン、綿、アラミド、ポリエステル、ポリオレフィン糸、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース系材料、ウール、植物繊維、およびこれらの組合わせからなるグループから選択された織布または不織材料である、請求項６記載の断熱性の布地。
8. 布地がウレタン接着剤で断熱材料に接合されている、請求項６記載の断熱性の布地。
9. 布地と断熱材料との結合点には疎水性材料が実質的に存在しない、請求項６記載の断熱性の布地。
10. 疎水性材料が布地上および繊維面上に存在する、請求項９記載の断熱性の布地。
11. 布地が約５オンス（１４１．７５ｇ）以下の重量を有している、請求項６記載の断熱性の布地。
12. 布地が約２オンス（５６．７ｇ）以下の重量を有している、請求項６記載の断熱性の布地。
13. 疎水性の断熱材料を作るための方法であって、
    繊維面を備えた繊維を有する繊維状材料を用意するステップと、
    繊維面上に疎水性材料を付けるステップとを有してなる、方法。
14. 付けるステップが、疎水性を付与する材料の浴中に繊維状材料を浸し、これにより繊維面上に疎水性材料を付けることを有してなる、請求項１３記載の方法。
15. 用意するステップが、不連続な結合点において布地に接合された繊維状材料を有してなる断熱性の布地を用意するステップからなり、および付けるステップが疎水性材料の浴中に断熱性の布地を浸することを有してなる、請求項１３記載の方法。
16. 付けるステップの後に、断熱材料が布地から下方に垂れ下がる位置で、断熱布地を乾燥させるステップをさらに有してなる、請求項１５記載の方法。
17. 浴が、水または溶剤ベース中に疎水性付与剤が入った溶液からなる、請求項１４記載の方法。
18. 浴が、湿潤剤、硬化剤およびアルコールの少なくとも１つをさらに有してなる、請求項１７記載の方法。
19. 浴が、湿潤剤、硬化剤およびアルコールをさらに有してなる、請求項１７記載の方法。
20. 疎水性を付与する材料がフッ素重合体である、請求項１７記載の方法。
21. フッ素重合体がフッ化炭素である、請求項２０記載の方法。

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