JP2006109985A - 液状艶出し剤塗布シート - Google Patents

液状艶出し剤塗布シート Download PDF

Info

Publication number
JP2006109985A
JP2006109985A JP2004298933A JP2004298933A JP2006109985A JP 2006109985 A JP2006109985 A JP 2006109985A JP 2004298933 A JP2004298933 A JP 2004298933A JP 2004298933 A JP2004298933 A JP 2004298933A JP 2006109985 A JP2006109985 A JP 2006109985A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
polishing agent
polish
mass
laminate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004298933A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Nonaka
純一 野中
Keigo Ishikawa
圭吾 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Soft99 Corp
Original Assignee
Soft99 Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Soft99 Corp filed Critical Soft99 Corp
Priority to JP2004298933A priority Critical patent/JP2006109985A/ja
Publication of JP2006109985A publication Critical patent/JP2006109985A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】 液状艶出し剤を徐々に放出させ、かつ放出された液状艶出し剤を均一に塗布することができる、液状艶出し剤塗布シートを提供する。
【解決手段】 液体を含浸し得る液体保持層Aの少なくとも一方の表面に、平均孔径(P)が1μm以上25μm以下の範囲内にある多孔シートである液体徐放層B、および平均孔径(P)が前記液体徐放層Bの平均孔径(P)よりも大きく、10μm以上45μm以下の範囲内にある不織布である、液体塗布層Cをこの順に積層することにより得た積層体に、シリコーン樹脂およびシリコーンオイルを含む液状艶出し剤を含浸させて液状艶出し剤塗布シートを得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、液状艶出し剤が含浸されている液状艶出し剤塗布シートであって、液状艶出し剤が徐々に放出されて長期間にわたって使用可能な液状艶出し剤塗布シートに関する。
家具、自動車の車体、または床面等の艶出し作業は、通常、少量の艶出し剤を艶出し剤塗布具(例えば、クロス)にとり、一定面積にこれを塗布した後、乾いた布等で塗布した艶出し剤を薄く延ばす方法で実施される。即ち、艶出し作業には、少なくとも2種類の道具で対象面を擦る操作が必要であることが多い。そのため、例えば「ワックスがけ」と称される作業は、煩雑なものとして敬遠される傾向にあり、より簡単に艶出し作業を実施できる道具は常に望まれている。そのような要求を満たすために、液状の艶出し剤が一度に放出されることなく、徐々に放出されるように構成されたシートが、例えば、特許文献1で提案されている。特許文献1は、艶出し剤が含浸されている液保持シートの一方の面に液不透過性シートを配し、他方の面に液保持シートよりも通気度が低く且つ繊維材料からなる液徐放シートを配してなる清掃用ウェットシートを提案している。さらに、特許文献1は、含浸させた艶出し剤の徐放性をコントロールするために、液徐放シートの通気度を所定範囲内にすることを提案している。
特開2004−105710号公報
特許文献1で提案されたシートは、艶出し剤を含浸させる液徐放シートにおいて、なお改善を要するものであった。即ち、特許文献1に記載のように、液徐放シートの通気度を所定の範囲に調節しても十分な徐放効果を得られないことがある。
さらに、液状の艶出し剤を含浸させたシートは、液状艶出し剤の徐放性が良好であることに加えて、液状艶出し剤を乾いた布で延ばすごとく、対象物に均一に塗布しうるものであることを要する。この点について、特許文献1は、艶出し剤の放出量の多少に起因して、塗布が均一である場合と不均一である場合とがあることに言及するにとどまり、したがって、この文献は徐放された艶出し剤を均一に塗布するための具体的なシート構成には言及していない。
本発明は、従来のシートが有する問題に鑑みてなされたものであり、液状艶出し剤を徐放させるシートであって、徐放された液状艶出し剤を均一な皮膜として、対象面に形成し得る液状艶出し剤塗布シートを得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するため、本発明は、液状艶出し剤が積層体に含浸されている液状艶出し剤塗布シートであって、当該積層体が、
液状艶出し剤を含浸し得る液体保持層Aの少なくとも一方の表面に、液体徐放層Bおよび液体塗布層Cがこの順に積層されて成り、
液体徐放層Bが、その平均孔径(P)が1μm以上25μm以下の範囲内にある多孔シートであり、
液体塗布層Cが、その平均孔径(P)が前記液体徐放層Bの平均孔径(P)よりも大きく、10μm以上45μm以下の範囲内にある不織布である、
液状艶出し剤塗布シートを提供する。
本発明の液状艶出し剤塗布シートは、それを含浸させる積層体が、上記特定の構成を採ることを特徴とする。積層体がこの構成を採ることによって、液体保持層Aに含浸された液状の艶出し剤の放出量が、液体徐放層Bにより調整され、調整された放出量の液状艶出し剤が液体徐放層Bから液体塗布層Cに移動し、液体塗布層Cにおいて均一に拡散されることを可能にする。したがって、液体塗布層Cを対象面に当てて塗布作業を実施することにより、適当な量の液状艶出し剤を、皮膜を形成するように、均一に対象面に塗布することができる。したがって、この液状艶出し剤塗布シートによれば、対象面を液体塗布層Cで擦ることにより、対象面に良好な艶を付与することができるので、従来のように、少量ずつ艶出し剤を塗布具にとる操作および乾いた布で艶出し剤を延ばすという操作が不要となり、1枚のシートだけを用いて艶出し作業を効率的に実施できる。
本発明の特徴は、多孔性シートの液体徐放効果がその平均孔径に依存すること、ならびに平均孔径が上記範囲内にあると、良好な液体徐放性が得られることを見出し、さらに液体として艶出し剤を好都合に使用できることを見出したことに存する。ここで、平均孔径は、ASTM F 316 86に準拠してバブルポイント法によって測定されるものをいう。さらに、本発明は、徐放される液体(即ち、液状艶出し剤)を均一に塗布するための液体塗布層として、平均孔径が液体徐放層のそれよりも大きく、かつ上記特定の範囲内にある不織布を設けた点に特徴を有する。
液体徐放層Bの平均孔径(P)が1μm未満であると、液体徐放層Bから液体塗布層Cへ液状艶出し剤が移行しにくくなり、適当な量の液状艶出し剤が放出されない。液体徐放層Bの平均孔径(P)が25μmを超えると、徐放効果が低下し、液体保持層Aに含浸させた液状艶出し剤が早期に放出される。
液体塗布層Cの平均孔径(P)を液体徐放層Bの平均孔径(P)よりも大きくすることは、液状艶出し剤を液体徐放層Bから液体塗布層Cへスムースに移行させるために必要とされる。液体塗布層Cの平均孔径(P)が液体徐放層Bの平均孔径(P)よりも小さいと、液体塗布層(C)から均一に液状艶出し剤を放出させて、塗布面に均一に塗布することができない。また、液体塗布層(C)の平均孔径(P)が10μm未満であると、液状艶出し剤を塗布するときに艶出し剤がかすれる傾向にあり、対象面に液状艶出し剤を均一に塗布することが困難となる。一方、平均孔径(P)が45μmを超えると、液状艶出し剤が早期に放出されることがあり、あるいは液状艶出し剤を均一に放出させて塗布面に塗布することが困難となることがある。
本発明の液状艶出し剤塗布シートにおいて、液状艶出し剤とは、流動性を有し、対象面に艶を与えるために光沢のある膜を形成することができるものをいい、溶液のほか、固形分が分散されたディスパージョンを含む。本発明の液状艶出し剤塗布シートにおいて、液状艶出し剤は5〜3000cpsの粘度を有することが好ましい。液状艶出し剤の粘度が5cps未満であると、粘度が小さくて一度に多くの液状艶出し剤が放出されて、液状艶出し剤塗布シートを長期間にわたって使用できず、3000cpsを越えると、液状艶出し剤が積層体の液体保持層Aに均一に分散されにくくなり、好ましくない。
本発明の液状艶出し剤塗布シートにおいて、液状艶出し剤は、艶出し成分としてシリコーン樹脂およびシリコーンオイルを含んで成ることが好ましい。液状艶出し剤において、シリコーンオイルは艶出し効果に優れ、均一な艶のある皮膜を形成するが、皮膜の耐久性は低い。これに対し、シリコーン樹脂は、シリコーンオイルと比較して、艶出し効果は小さいものの、これにより形成される皮膜の耐久性は高い。したがって、シリコーンオイルとシリコーン樹脂とを組み合わせることによって、艶出し効果が高く、且つ艶出し効果が持続する艶出し剤を得ることができる。シリコーンオイルは、一般にシリコーン樹脂よりも低分子量であって粘性の小さい液状体であるから、シリコーン樹脂を溶解又は分散させる役割をもする。この2つの成分を含む液状艶出し剤は、上記特定の構成の液体徐放性積層体に良好に含浸させることができ、積層体から徐々に放出されるとともに、放出された後、液体塗布層Cにより良好に延ばされて均一な皮膜を形成し、対象物の表面に優れた艶を与える。シリコーンオイルとシリコーン樹脂とを組み合わせて成る艶出し剤は、例えば、特開平5−32940号公報、特開平5−32939号公報に開示されており、これらの公報に開示されている艶出し剤は、本発明の液状艶出し剤塗布シートを構成するために使用されうる。
本発明の液状艶出し剤塗布シートにおいて、液状艶出し剤は、揮発性成分を含まないものであることが好ましい。揮発性成分は、液状艶出し剤シートの使用により放出されて減少することに加えて、蒸発することによって他の成分と比較して早く減少しやすい。そのため、例えば、艶出し成分として揮発性成分を含む場合、あるいは溶剤または他の成分として揮発性成分を含む場合のいずれにおいても、経時的に艶出し成分の濃度が変化することとなる。その結果、液状艶出し剤塗布シートからの艶出し剤の放出量等が変化し、皮膜の質がシートの使用時期によって変化するという不都合が生じることがある。本発明の液状艶出し剤塗布シートは、艶出しの対象となる物品によっては、少ない頻度で、例えば数ヶ月程度にわたって使用されることもあるため、艶出し剤の経時変化の要因となる揮発性成分を含まないことが好ましい。
本発明の液状艶出し剤塗布シートにおいて、前記艶出し剤は、無荷重下において積層シートの質量に対して、100〜500質量%含浸されていることが好ましい。液状艶出し剤の含浸量が積層シートの質量の100質量%未満であると、液状艶出し剤の含浸量が少なく、長期間にわたって徐放効果を得ることが困難となる。液状艶出し剤の含浸量が500質量%よりも多いと、液状艶出し剤が積層体から過度に放出されて、対象物表面に必要量以上塗布されることがある。
本発明の液状艶出し剤塗布シートは、必要に応じて、艶出し剤以外の成分として、例えば、界面活性剤のような洗浄剤を含んでよい。艶出し剤および洗浄剤をともに含む液体塗布シートは、1枚のシートで洗浄および艶出し作業を実施でき、好都合である。
本発明の液状艶出し剤塗布シートは、液状艶出し剤を含浸させる積層体を、液体保持層Aの少なくとも一方の面に特定の平均孔径を有する液体徐放層Bおよび液体塗布層Cが設けられた構成とすることによって、液体保持層Aに含浸させた液状艶出し剤が、少量ずつ放出面(即ち、液体塗布層Cの表面)から均一に放出され得るものである。したがって、本発明の液状艶出し剤塗布シートを使用すれば、例えば数ヶ月という長期間にわたって一定量の液状艶出し剤を対象面に均一に塗布することができる。かかる効果は、液状艶出し剤の粘度、組成、および積層体中の液状艶出し剤の含有量を特定のものとすることにより、より顕著に発揮される。
(積層体)
まず、本発明の液状艶出し剤塗布シートのうち、液状艶出し剤を含浸させる積層体について説明する。積層体は、液体を含浸させ得る液体保持層Aの少なくとも一方の表面に液体徐放層Bおよび液体塗布層Cがこの順に積層されてなるものである。液体徐放層Bおよび液体塗布層Cは、液体保持層Aの一方の表面にのみ位置してよい。その場合には、液体保持層Aの他方の表面を適当な道具または治具に装着するための装着面として使用することができる。また、液体保持層Aの当該他方の表面には液体不透過性フィルムなど他のシートを積層してよい。液体徐放層Bおよび液体塗布層Cが、液体保持層Aの両方の面に位置する場合(即ち、液体保持層Aを2つの液体徐放層Bで挟んでなる構造物が、さらに2つの液体塗布層Cで挟まれた構成である場合)、両方の面を対象面に当てて液状艶出し剤を塗布するために使用できる。
液体保持層Aは、所望の液状艶出し剤を含浸および保持し得る限りにおいて、その材料および構造は特に限定されない。したがって、液体保持層Aとして、例えば、繊維から成るシートおよびスポンジ状シート等、空隙を有する構造のものを任意に使用できる。
液体保持層Aは、繊維ウェブを作製し、当該繊維ウェブを構成する繊維同士を交絡させる、あるいは熱接着等により接合させることによって得られる不織布であることが好ましい。
液体保持層Aを構成する繊維は、コットン、パルプおよび麻などの天然繊維、ビスコースレーヨンおよび溶剤紡糸セルロースなどの再生繊維、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンおよびアクリルなどの合成繊維等から、1種または2種以上選択される。本発明の液状艶出し剤塗布シートにおいては、液体保持層Aを構成する繊維として、パルプが好ましく使用される。
液体保持層Aの目付は、50g/m以上2000g/m以下であることが好ましく、100g/m以上1500g/m以下であることがより好ましい。液体保持層Aの目付が50g/m未満であると、液状艶出し剤の含浸量が少なくなる傾向にあり、目付が2000g/mを超えると、経済的に不利である。また、液体保持層Aは、好ましくは、0.05g/cm以上0.2g/cm以下の見掛け密度(ρ)を有し、より好ましくは0.09g/cm以上0.15g/cm以下の見掛け密度(ρ)を有する。液体保持層Aの見掛け密度(ρ)が0.05g/cm未満であると、液状艶出し剤を保持しにくい傾向にあり、0.2g/cmを超えると、液状艶出し剤が液体徐放層Bの側へ移行しにくい傾向にある。ここで、見掛け密度は、1cmあたり2.94cNの荷重を加えて測定した不織布の厚さおよび目付から算出されるものをいう。
液体徐放層Bは、前述したとおり、平均孔径(P)が1μm以上25μm以下である多孔性シートである。平均孔径(P)は、好ましくは1μm以上20μm以下である。平均孔径(P)は、液体保持層Aに含浸させようとする液状艶出し剤の種類、および所望とする液状艶出し剤徐放効果に応じて、適宜選択される。一般には、平均孔径(P)が小さいほど、徐放効果は高くなる。ここで、徐放効果が高いとは、液体保持層Aに含浸させた液体(本発明においては液状艶出し剤)がより少量ずつ、より長期間にわたって放出されることをいう。より具体的には、一定量の液状艶出し剤を液体保持層Aに保持させて液状艶出し剤塗布シートを作製し、一定面積の塗布面に繰り返し液状艶出し剤を塗布できる回数を測定したときに、この回数が多いほど、徐放効果は高いといえる。
上記範囲の平均孔径(P)を有する液体徐放層Bとして、微多孔膜、メルトブローン不織布又は湿式不織布が好ましく使用される。
液体徐放層Bとして、メルトブローン不織布を使用する場合には、目付が10g/m以上150g/m以下であることが好ましく、20g/m以上120g/m以下であることがより好ましい。メルトブローン不織布の目付が10g/m未満であると、含浸した液状艶出し剤が早期に放出されてしまうことがある。メルトブローン不織布の目付が150g/mを超えると、経済的に不利になる。また、メルトブローン不織布は、一般に目付が高くなるほど見掛け密度が低くなる傾向にあり、見掛け密度が低いほど、安定して液状艶出し剤を放出することができる。したがって、メルトブローン不織布は、上記範囲の目付を有する場合には、その見掛け密度(ρ)は、0.05g/cm以上0.2g/cm以下であることが好ましく、0.06g/cm以上0.1g/cm以下であることがより好ましい。
メルトブローン不織布を構成する繊維としては、例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ならびにナイロン6などのポリアミド等から成る繊維が挙げられる。
液体徐放層Bとして、湿式不織布を使用する場合、例えばパルプを含むパルプ紙が液体徐放層Bとして好ましく用いられる。液体徐放層Bがパルプ紙である場合、その見掛け密度(ρ)は、0.1g/cm以上0.7g/cm以下であることが好ましく、0.2g/cm以上0.4g/cm以下であることがより好ましい。パルプ紙の見掛け密度が0.1g/cm未満であると、所望の平均孔径(P)が得られないことがある。パルプ紙の見掛け密度が0.7g/cmを超えると、液状艶出し剤が液体塗布層Cへ移行しにくく、その結果、液状艶出し剤が良好に放出されないことがある。湿式不織布は、その平均孔径(Pc)が上記条件を満たす限りにおいて、パルプ紙以外のものであってよいことはいうまでもない。
液体塗布層Cは、前述したとおり、平均孔径(P)が液体徐放層Bの平均孔径(P)よりも大きく、かつ、10μm以上45μm以下の範囲内にある、不織布である。液体塗布層Cの平均孔径(P)は、液体徐放層Bの平均孔径(P)の1.2倍以上30倍以下の範囲内にあることが好ましく、1.5倍以上20倍以下の範囲内にあることがより好ましい。平均孔径(P)が平均孔径(P)の1.2倍未満であると、液体徐放層Bから液体塗布層Cへ液状艶出し剤が移行しにくくなることがある。平均孔径(P)が平均孔径(P)の30倍を超えると、液状艶出し剤が早期に放出されることがあり、あるいは液状艶出し剤を均一に放出することが困難となる場合がある。平均孔径(P)は、好ましくは15μm以上40μm以下の範囲内にあり、より好ましくは20μm以上35μm以下の範囲内にある。
液体塗布層Cは、その内部に液状艶出し剤が拡散すること、即ち、拡散性を有することが要求される。そのため、液体塗布層Cは、その平均孔径が小さいとともに、繊維間空隙が入り組んだラビリンス形状を形成していることが好ましい。そのような繊維間空隙を有する場合には、液体塗布層Cもまた一種の液体徐放層として作用する。
ラビリンス形状の繊維間空隙は、繊維同士が三次元的に交絡された不織布において好ましく実現される。特に、水流交絡不織布は、水流エネルギーにより繊維同士が不織布の平面方向だけでなく厚み方向にも交絡した構造を有するため、これを液体塗布層Cとして使用すると、液体徐放層Bを通過した液状艶出し剤が液体塗布層C内を三次元的に移動し、拡散されて表面に放出されるので好ましい。さらに、水流交絡不織布を液体塗布層Cとする場合には、対象面と接する面の耐久性(具体的には、毛玉ができにくい性質(耐ももけ性))を高くすることができ、好ましい。
液体塗布層Cの見掛け密度(ρ)は、0.03g/cm以上0.2g/cm以下であることが好ましく、0.05g/cm以上0.12g/cm以下であることがより好ましい。液体塗布層Cの見掛け密度(ρ)が0.03g/cm未満であると、液状艶出し剤が液体塗布層Cに均一に拡散する前に外部に放出されて、対象面に均一に塗布することができないことがある。一方、液体塗布層Cの見掛け密度(ρ)が0.2g/cmを超えると、液状艶出し剤が放出されにくくなる、液状艶出し剤が拡散しにくくなる、あるいは液状艶出し剤が放出され易い部分と放出されにくい部分とが生じる等の理由により、液状艶出し剤を対象面に均一に塗布できないことがある。
液体塗布層Cは、繊度が0.5dtex以下の極細繊維を50mass%以上含有することが好ましく、それにより、層中に均一に液状艶出し剤を拡散させて、均一に液状艶出し剤を塗布することが可能となる。極細繊維の繊度が0.5dtexを超える、または極細繊維の含有量が50mass%未満であると、液体塗布層Cから均一に液状艶出し剤を放出させることが困難な場合がある。極細繊維は、より好ましくは、0.2dtex以下の繊度を有する。また、極細繊維のより好ましい含有量は、80mass%以上である。
前記極細繊維は、異なる2以上の成分からなる分割型複合繊維を割繊させることにより得られる極細繊維であることが好ましい。分割型複合繊維は、前述した水流交絡処理により割繊されるとともに交絡が進むので、複雑なラビリンス形状の繊維間空隙を形成するのに適しており特に好ましい。分割型複合繊維を構成する成分の組合せとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン6、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン等が挙げられる。
前述のとおり、本発明の液状艶出し剤塗布シートを構成する積層体は、液体保持層Aの片面または両面に、液体徐放層Bおよび液体塗布層Cがこの順に積層され、一体化された構成を有する。この積層体は、液状艶出し剤の放出性を阻害しない限りにおいて、他の不織布またはシートをさらに積層してもよい。層同士は、例えば、バインダー樹脂を用いて接合される。あるいは、層を構成する繊維が熱接着性を有する場合には、当該繊維の熱接着性を利用して、層同士を接合させてよい。あるいは、液状艶出し剤を含浸させる直前の積層体において、液体徐放層Bの平均孔径(P)および液体塗布層Cの平均孔径(P)が上記条件を満たす限りにおいて、各層を構成する繊維同士を交絡させることによって、層同士を接合させてよい。あるいはまた、繊維同士を交絡させる接合手法と、バインダー樹脂を用いる接合手法とを併用して、層同士を接合させてよい。
(液状艶出し剤)
液状艶出し剤は、艶出し成分、および艶出し成分を溶解または分散させる媒体(即ち、溶媒または分散媒)を含む組成物であることが好ましい。本発明においては、艶出し成分として、シリコーン樹脂およびシリコーンオイルを含むことが好ましい。前述のように、この組合せにおいて、シリコーンオイルは、シリコーン樹脂が溶解または分散させる媒体としても作用する。
シリコーン樹脂は、三次元網状構造を有する、または塗布した皮膜において最終的に三次元網状構造を形成し得るものである。シリコーン樹脂は、他の樹脂が結合させられて変性したものであってよい。変性シリコーン樹脂は、例えば、アルキッド変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、フェノール変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、およびメラミン変性シリコーン樹脂である。シリコーン樹脂は、1種類のみ使用してよく、あるいは2種以上のものを組み合わせて使用してよい。
シリコーン樹脂は、取り扱いの容易のために、溶媒に溶解または分散された形態にて提供されることがある。その場合には、不揮発性の溶剤または揮発性の小さい溶剤に溶解または分散されたものを選択することが好ましい。揮発性の溶剤に溶解または分散されたシリコーン樹脂とシリコーンオイルとを混合すると、得られる液状艶出し剤は揮発性成分を含むこととなり、前述したように、揮発性成分が好ましくない影響を及ぼすからである。あるいは、揮発性の溶剤に溶解または分散された形態で提供されるシリコーン樹脂を使用する場合には、シリコーンオイルと混合した後、揮発性の溶剤を蒸発させてから、積層体に含浸させることが好ましい。それにより、積層体に含浸させるときには、液状艶出し剤は揮発性成分を含まないものとなるからである。シリコーンオイルに溶解した形態で提供されるシリコーン樹脂を使用する場合には、溶剤としてのシリコーンオイルもまた、液状艶出し剤のシリコーンオイル成分として使用できるので、シリコーン樹脂とシリコーンオイルの配合割合を決定する際に、その量を考慮する必要がある。
シリコーンオイルとしては、常套的に用いられているシリコーンオイルを任意に使用してよい。シリコーンオイルは、好ましくは5〜3000cpsの粘度を有する。シリコーンオイルは、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルキルアラルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル等が挙げられる。シリコーンオイルは1種類のみ使用してよく、あるいは2種以上のものを組み合わせて使用してよい。
液状艶出し剤においては、シリコーン樹脂100質量部に対し、シリコーンオイルが50〜350質量部の割合で混合されることが好ましい。シリコーンオイルの混合比がシリコーン樹脂100質量部に対し50重量部未満であると、液状艶出し剤が積層体中に均一に含浸されず、また、放出された液状艶出し剤が均一に延ばされず、皮膜が不均一となることがある。シリコーンオイルの混合比がシリコーン樹脂100質量部に対し350重量部を越えると、皮膜がべたついて、汚れやすくなる。液状艶出し剤は、シリコーン樹脂およびシリコーンオイル以外の他の成分を含んでいてよく、他の成分としては、例えば、鉱物油、合成油、植物油、動物油、およびこれらの変性体、ならびに界面活性剤が挙げられる。液状艶出し剤は、艶出し成分として、シリコーン樹脂およびシリコーンオイルのみを含むことが好ましい。そのような艶出し剤は、植物油を艶出し成分とする艶出し剤のように腐敗することがなく、また、耐熱性、耐寒性、および耐候性に優れるという利点がある。あるいは、液状艶出し剤は、単一の成分のみから成るものであってよい。
艶出し成分および媒体としていずれの成分を含む場合でも、本発明の液状艶出し剤塗布シートにおいて、液状艶出し剤は、25℃で5〜3000cpsの粘度を有するものであることが好ましい。液状艶出し剤が1種類の成分のみから成る場合も同様の粘度を有することが好ましい。その理由は先に説明したとおりである。
(液状艶出し剤の積層体への含浸)
液状艶出し剤を積層体へ含浸させる方法は、液体保持層Aに液状艶出し剤を含浸させることができる限りにおいて、特に限定されず、工業生産で用いられている公知の方法を使用できる。具体的には、例えば、ハケ塗り法、スプレーコート法、リバースロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、グラビアロールコーター法、キスロールコーター法、インバースナイフコーター法、エアナイフコーター法、ディップロールコーター法、またはオポジットナイフコーター法等の公知の方法を使用することができる。
積層体が、液体保持層Aの一方の面にのみ液体徐放層Bおよび液体塗布層Cが積層された構成である場合には、液体保持層Aに他方の面に、例えばハケで液状艶出し剤を塗って、またはロールを接触させて、液状艶出し剤を含浸させる。液体保持層Aの両面に液体徐放層Bおよび液体塗布層Cが位置する場合(即ち、積層体の両方の表面が液体塗布層Cの表面である場合)には、いずれか一方の表面の側から液状艶出し剤を含浸させればよい。その場合、得られた液状艶出し剤塗布シートの一方の側(ハケまたはディップロールを接触させた側)の液体徐放層Bおよび液体塗布層Cに、液状艶出し剤が比較的多量に含まれることがある。そのような液状艶出し剤は、液状艶出し剤塗布シートの使用初期に放出させて、対象面に液状艶出し剤を塗布するために使用してもよい。あるいは、使用初期に多量の液状艶出し剤を放出させることが望ましくない場合には、予め液状艶出し剤を放出させてから、製品として提供してよい。
液状艶出し剤は、無荷重下において、積層体100質量部に対して、100〜500質量部の量で積層体に含浸させることが好ましい。その理由は先に説明したとおりである。この量で液状艶出し剤が含浸された液状艶出し剤塗布シートは、例えば、手で把持して、対象物に液体塗布層Cを軽く(例えば、49cN/cm(50gf/cm)程度の圧力を加えて)押し付けながら擦るように使用される。それにより、液状艶出し剤が少量ずつ且つ均一に放出されて、対象物表面に光沢のある皮膜をつくる。あるいは、この液状艶出し剤塗布シートは適当な道具または治具に装着して使用してよい。
液体保持層Aとして、下記の2種類の不織布を用意した。
A−1:構成繊維が、パルプ80mass%、熱接着性繊維20mass%であり、目付が850g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が8.0mmであり、見掛け密度(ρ)が0.106g/cmである、パルプが熱接着性繊維により接着されているエアレイ不織布。
A−2:構成繊維が、パルプ50mass%、熱接着性繊維50mass%であり、目付が1000g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が8.5mmであり、見掛け密度(ρ)が0.125g/cmである、パルプが熱接着性繊維により接着されているエアレイ不織布。
液体徐放層Bとして、下記の4種類の不織布および1種類のフィルムを用意した。
B−1:構成繊維が平均繊維径5μmのポリプロピレン繊維であり、平均孔径(P)が15.1μmであり、目付が20g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が0.12mmであり、見掛け密度(ρ)が0.17g/cmである、メルトブローン不織布。
B−2:構成繊維が平均繊維径5μmのポリプロピレン繊維であり、平均孔径(P)が13.1μmであり、目付が50g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が0.57mmであり、見掛け密度(ρ)が0.09g/cmである、メルトブローン不織布。
B−3:構成繊維が平均繊維径5μmのポリプロピレン繊維であり、平均孔径(P)が12.5μmであり、目付が100g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が1.27mmであり、見掛け密度(ρ)が0.08g/cmである、メルトブローン不織布。
B−4:パルプ100mass%から成り、平均孔径(P)が1.9μmであり、目付が36.5g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が0.1mmであり、見掛け密度(ρ)が0.37g/cmである、パルプ紙。
B−5:孔径約1.5mmの孔が、112個/100cmの割合で形成されているラミネートフィルム。
液体塗布層Cとして、下記の4種類の不織布を用意した。
C−1:ポリエチレンテレフタレート/ナイロン6の2成分からなる16分割型複合繊維を水流交絡処理して割繊することにより得られた、繊度が約0.2dtexである極細繊維を80mass%含み、平均孔径(P)が28.7μmであり、目付が100g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が0.92mmであり、見掛け密度(ρ)が0.11g/cmである、水流交絡不織布。
C−2:ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン6の2成分からなる16分割型複合繊維を水流交絡処理して割繊することにより得られた、繊度が約0.2dtexである極細繊維を80mass%含み、平均孔径(P)が21.5μmであり、目付が100g/m、厚さ(2.94cN/cm荷重)が0.87mm、見掛け密度(ρ)が0.12g/cmである、水流交絡不織布。
C−3:繊度1.45dtexのポリエステル繊維からなり、平均孔径(P)が45.5μmであり、目付が60g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が0.82mmであり、見掛け密度(ρ)が0.072g/cmである、水流交絡不織布。
C−4:繊度2.5dtexのポリプロピレン繊維からなり、平均孔径(P)が78.4μmであり、目付が17g/mであり、厚さ(2.94cN/cm荷重)が0.22mmであり、見掛け密度(ρ)が0.077g/cmであるスパンボンド不織布(三井化学(株)製)。
上記において、平均孔径はいずれも、パームポロメータ(Porous Materials Inc.製)を使用して、ASTM F 316 86に準拠してバブルポイント法により測定した値である。また、見掛け密度は、2.94cN/cm荷重で測定した厚さと目付とから求めた値である。
さらに、シリコーンオイルとして、下記のものを用意した。
SH200−10(商品名):ジメチルシリコーンオイル、粘度10cps、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製。
AK−20(商品名):ジメチルシリコーンオイル、粘度20cps、旭化成ワッカーシリコーン(株)製。
SH200−100(商品名):ジメチルシリコーンオイル、粘度100cps、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製。
SH200−10万(商品名):ジメチルシリコーンオイル、粘度10万cps、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製。
AK−2(商品名):ジメチルシリコーンオイル、粘度2cps、旭化成ワッカーシリコーン(株)製。
KF56−10cs(商品名):メチルフェニルシリコーンオイル、粘度10cps、信越化学工業(株)製。
KF50−100cs(商品名):メチルフェニルシリコーンオイル、粘度100cps、信越化学工業(株)製。
KF−393(商品名):アミノ変性シリコーンオイル、粘度70cps、信越化学工業(株)製。
また、シリコーン樹脂として、下記のものを用意した。
KF−7312J(商品名):シリコーン樹脂(揮発性の環状ジメチルシリコーンに溶解)、有効成分50質量%、粘度120cps、信越化学工業(株)製。
KP−543(商品名):アクリル変性シリコーン樹脂(揮発性のブタノールに溶解)、有効成分50質量%、粘度1000cps、信越化学工業(株)製。
RA−1038(商品名):シリコーン樹脂(不揮発性のジメチルシリコーンオイルに溶解)、有効成分30質量%、粘度2000cps、旭化成ワッカーシリコーン(株)製。
KF−7312K(商品名):シリコーン樹脂(不揮発性のジメチルシリコーンオイルに溶解)、有効成分60質量%、粘度5000cps、信越化学工業(株)製。
(試料1)
不織布A−1の一方の面にシートB−1および不織布C−1をこの順に積層した、A−1/B−1/C−1のシート構成を有する積層体を作製した。層と層との間は、接着剤(コニシ(株)製、商品名「ボンドG17」)を、10cmあたり約0.1gの量で、ヘラを用いて、一方の層の表面に均一に塗布して貼り合わせることにより接着一体化した。また、シリコーンオイルとしてSH200−10(60質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312J(40質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=25:75(質量比)であり、粘度30cpsの液状艶出し剤を得た。積層体質量の3倍の量の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料2)
積層体の構成をA−1/B−2/C−2としたこと以外は、試料1の作製のときに採用した積層体の作製手順に従って、積層体を得た。また、シリコーンオイルとしてSH200−10(60質量%)と、シリコーン樹脂としてKP−543(40質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=25:75(質量比)であり、粘度60cpsの液状艶出し剤を得た。積層体質量の3倍の量の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料3)
積層体の構成をA−2/B−3/C−1としたこと以外は、試料1の作製のときに採用した積層体の作製手順に従って、積層体を得た。また、シリコーンオイルとしてSH200−100(40質量%)と、シリコーン樹脂としてRA−1038(60質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=18:82(質量比)であり、粘度300cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の5倍の量の液状艶出し剤を不織布A−2の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料4)
積層体の構成をA−2/B−4/C−2としたこと以外は、試料1の作製のときに採用した積層体の作製手順に従って、積層体を得た。また、シリコーンオイルとしてKF−393(20質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312K(80質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=48:52(質量比)であり、粘度2000cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の2倍の液状艶出し剤を不織布A−2の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料5)
試料4において作製した積層体と同じである、A−2/B−4/C−2の構成の積層体を作製した。また、シリコーンオイルとしてAK−20(30質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312K(70質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=42:58(質量比)であり、粘度100cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の等倍の液状艶出し剤を不織布A−2の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料6)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。また、また、シリコーンオイルとしてSH200−10(30質量%)とSH200−100(30質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312J(40質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=25:75(質量比)であり、粘度50cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の4倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料7)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。また、シリコーンオイルとしてKF56−10cs(62.5質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312K(12.5質量%)とRA−1038(25質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=15:85(質量比)であり、粘度25cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の3.5倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料8:比較試料)
積層体の構成を、A−1/B−1としたこと以外は、試料1の作製のときに採用した積層体の作製手順に従って、積層体を得た。また、シリコーンオイルとしてSH200−10(50質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312J(50質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=25:75(質量比)であり、粘度35cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の3倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料9:比較試料)
積層体の構成をA−1/C−2としたこと以外は、試料1の作製のときに採用した積層体の作製手順に従って、積層体を得た。また、シリコーンオイルとしてKF56−10cs(60質量%)と、シリコーン樹脂としてKP−543(40質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=25:75(質量比)であり、粘度60cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の3倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、艶出し剤塗布シートを得た。
(試料10:比較試料)
積層体の構成をA−1/B−5/C−2としたこと以外は、試料1の作製のときに採用した積層体の作製手順に従って、積層体を得た。また、シリコーンオイルとしてKF−393(45質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312K(55質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=33:67(質量比)であり、粘度450cpsの艶出し剤を得た。積層体の質量の3倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料11:比較試料)
積層体の構成をA−1/B−1/C−3としたこと以外は、試料1の作製のときに採用した積層体の作製手順に従って、積層体を得た。また、シリコーンオイルとしてSH200−10(90質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312K(10質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=6:94(質量比)であり、粘度20cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の3倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料12)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。また、シリコーンオイルとしてKF56−10cs(50質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312K(30質量%)とRA−1038(20質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=24:76(質量比)であり、粘度200cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の0.5倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料13)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。また、シリコーンオイルとしてSH200−100(40質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312K(60質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=38:64(質量比)であり、粘度1000cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の8倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料14)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。また、シリコーンオイルとしてSH200−10万(50質量%)と、シリコーン樹脂としてRA−1038(50質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=15:85(質量比)であり、粘度15000cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の3倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料15)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。また、シリコーンオイルとしてAK−2(90質量%)と、シリコーン樹脂としてKF−7312K(10質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=6:94(質量比)であり、粘度3.5cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の3倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料16)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。艶出し剤として、シリコーン樹脂であるKF−7312Jのみを使用し、積層体の質量の2倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料17)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。艶出し剤として、シリコーンオイルであるSH200−100のみを使用し、積層体の質量の3倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
(試料18)
試料1において作製した積層体と同じである、A−1/B−1/C−1の構成の積層体を作製した。また、シリコーン樹脂としてSH200−10万(10質量%)と、シリコーン樹脂としてRA−1038(10質量%)と、溶剤としてターペン(80質量%)とを混合して、シリコーン樹脂:シリコーンオイル=15:85(質量比)であり、粘度450cpsの液状艶出し剤を得た。積層体の質量の3倍の液状艶出し剤を不織布A−1の表面にスプレーすることにより、液状艶出し剤を積層体に均一に含浸させて、液状艶出し剤塗布シートを得た。
試料1〜18の液状艶出し剤塗布シートを以下の手順により評価した。
黒色の化粧板(30×90cm)を用意した。これの表面を10等分(9×30cm)して、10箇所の試験面を作製し、うち1箇所をブランクとした。各試料の液体塗布シートを、2cm×8cmの大きさに切断したサンプルを、液体塗布層(即ち、不織布C−1〜C−3、試料8は不織布B−1)の表面が試験面に接触するようにして、各試験面上で各サンプルを一往復させた後、そのまま一時間常温で放置した。一時間放置した後、皮膜の均一性を目視にて評価した。塗布量が均一であるほど、より光沢のある面を与える。したがって、サンプルで試験面をこすった後の艶の状態を目視することにより、艶出し剤が均一に塗布されているかどうかを知ることができる。
さらに、この作業を繰り返し、どの程度最初の艶出し効果が維持されているかを目視にて確認した。9個の試験面を擦った後(9回作業を繰り返した後)も艶出し効果が維持されていると判断された場合には、先に使用した試験面から艶出し剤を除去して、その試験面を再度こすった。
また、この液状艶出し剤塗布シートにより塗布された皮膜の耐久性を評価するために、皮膜を形成して一時間放置した後の皮膜表面を乾いたウエスで繰り返し擦ったときの艶の状態を観察した。具体的には、ウエスを、試験面(9×30cm)に500gの荷重をかけて押しつけながら、皮膜表面を30回往復させて、艶の状態を観察した。
さらにまた、液状艶出し剤塗布シートの経時安定性を評価するために、各試料の液状艶出し剤塗布シートを25℃の雰囲気中に10日間放置し、放置後の液状艶出し剤塗布シートで試験面を擦って、形成された皮膜の均一性を観察した。
[評価の基準]
(1)皮膜の均一性
◎:きわめて良好
○:良好
△:やや不良
×:不良
(2)艶出し効果の持続性
◎:10回以上繰り返しても艶出し効果に変化がなかった。
○:10回繰り返したときに初期に比べて若干、艶の低下が見られた。
△:5回繰り返したときに初期に比べて艶の低下が見られた。
×:2〜3回繰り返したときに初期に比べて艶の低下が見られた。
(3)皮膜の耐久性
◎:ウエスを30回往復させた後でも艶出し効果に変化がなかった。
○:ウエスを30回往復させた後に初期に比べて若干、艶の低下が見られた。
△:ウエスを30回往復させた後に初期に比べて明らかに艶の低下が見られた。
×:ウエスを30回往復させた後に艶がほとんどなくなった。
(4)経時安定性
◎:放置後のシートにより塗布された皮膜の均一性は、極めて良好であった。
○:放置後のシートにより塗布された皮膜の均一性は、良好であった。
△:放置後のシートにより塗布された皮膜の均一性は、やや不良であった。
×:放置後のシートにより塗布された皮膜の均一性は、不良であった。
試料1〜18の液状艶出し剤塗布シートの性能を表1および表2に示す。
Figure 2006109985
Figure 2006109985
試料1〜4、6および7の液状艶出し剤塗布シートはいずれも、積層体を構成する液体徐放層Bおよび液体塗布層Cが前述した範囲の平均孔径を有していたため、塗布した皮膜の均一性が良好であり、艶出し効果も長い間維持された。試料5の液状艶出し剤塗布シートは、積層体の構成は試料4のそれと同じであったが、含浸させた液状艶出し剤の質量が積層体の質量の等倍であったために、皮膜の均一性および艶出し効果の持続性の点で若干劣っていた。試料8の液状艶出し剤塗布シートは液体塗布層Cを有していなかったために、均一な皮膜は形成されなかった。また、試料8の液状艶出し剤塗布シートの艶出し効果の持続性は試料1〜7のそれより劣っており、このことは液体塗布層Cが徐放効果をある程度有することを示している。試料9は、液体徐放層Bを有していなかったために、やはり皮膜の均一性において劣っていたが、艶出し効果の持続性は試料8よりも若干優れていた。これは、試料9を作製するために使用した液状艶出し剤の粘度が試料8を作製するために使用した液状艶出し剤の粘度よりも高かったことによると考えられる。試料10および11の液状艶出し剤塗布シートは、積層体を構成する液体徐放層Bおよび液体塗布層Cのいずれか一方が前述した範囲の平均孔径を有していなかったために、皮膜の均一性において劣っており、艶出し効果の持続性においても劣っていた。また、試料8〜11の液状艶出し剤塗布シートはいずれも、皮膜の均一性耐久性はやや良かったものの、経時安定性の点では劣っていた。これは、試料8〜11で使用した積層体の構成自体が均一な皮膜を形成しにくいものであることによる。
試料12〜18はいずれも、積層体の構成は試料1のそれと同じであるが、少なくとも1つの性能において劣るものであった。試料12は、含浸させた液状艶出し剤の質量が積層体の質量よりも少なかったために、いずれの性能においても劣っていたと考えられる。試料13は、液状艶出し剤の含浸量が多すぎたために、使用初期に過度に液状艶出し剤が放出されて、皮膜の均一性および経時安定性の点で劣るものになったと考えられる。試料14および試料15は、液状艶出し剤の粘度が高すぎる又は低すぎるために、良好な性能を得ることができなかったと考えられる。試料16は、液状艶出し剤としてシリコーン樹脂のみを使用したために均一な皮膜をそもそも形成しにくく、そのため、いずれの性能においても劣るものになったと考えられる。試料17は、液状艶出し剤としてシリコーンオイルのみを使用したために、皮膜の耐久性の点で劣っていた。試料18は、液状艶出し剤が揮発性成分であるターペンを含んでいたために、均一な皮膜を形成できず、また、艶出し効果の持続性等においても劣っていた。
本発明の液状艶出し剤塗布シートは、含浸させた液状艶出し剤が徐々に放出され、かつ放出された液状艶出し剤を均一に対象面に塗布することを可能にし、また、経時安定性に優れているので、所望の時に使用可能な、各種物品(例えば、自動車の塗装部分、樹脂部分およびゴム部分(例えばタイヤ)、家具、床、塗板、皮製品、電化製品、ならびにその他金属製品およびプラスチック製品等)用の艶出しシートとして有用である。

Claims (5)

  1. 液状艶出し剤が積層体に含浸されている液状艶出し剤塗布シートであって、当該積層体が、
    液状艶出し剤を含浸し得る液体保持層Aの少なくとも一方の表面に、液体徐放層Bおよび液体塗布層Cがこの順に積層されて成り、
    液体徐放層Bが、その平均孔径(P)が1μm以上25μm以下の範囲内にある多孔シートであり、
    液体塗布層Cが、その平均孔径(P)が前記液体徐放層Bの平均孔径(P)よりも大きく、10μm以上45μm以下の範囲内にある不織布である、
    液状艶出し剤塗布シート。
  2. 前記液状艶出し剤が、シリコーン樹脂およびシリコーンオイルを含んで成る、請求項1に記載の液状艶出し剤塗布シート。
  3. 前記液状艶出し剤が、5〜3000cpsの粘度を有する、請求項1または2に記載の液状艶出し剤塗布シート。
  4. 前記液状艶出し剤が、揮発性成分を含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状艶出し剤塗布シート。
  5. 前記液状艶出し剤が、無荷重下において積層体の質量に対して、100〜500質量%含浸されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状艶出し剤塗布シート。

JP2004298933A 2004-10-13 2004-10-13 液状艶出し剤塗布シート Pending JP2006109985A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004298933A JP2006109985A (ja) 2004-10-13 2004-10-13 液状艶出し剤塗布シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004298933A JP2006109985A (ja) 2004-10-13 2004-10-13 液状艶出し剤塗布シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006109985A true JP2006109985A (ja) 2006-04-27

Family

ID=36378994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004298933A Pending JP2006109985A (ja) 2004-10-13 2004-10-13 液状艶出し剤塗布シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006109985A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008163207A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Soft99 Corporation 塗膜洗浄剤及び塗膜洗浄用ウェットクロス
JP2009209169A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Soft99 Corporation 艶出し具、およびそれを用いた艶出し方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008163207A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Soft99 Corporation 塗膜洗浄剤及び塗膜洗浄用ウェットクロス
JP4583364B2 (ja) * 2006-12-28 2010-11-17 株式会社ソフト99コーポレーション 塗膜洗浄剤及び塗膜洗浄用ウェットクロス
JP2009209169A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Soft99 Corporation 艶出し具、およびそれを用いた艶出し方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7517556B2 (en) Consumer scrubbing wipe article and method of making same
EP3082547B1 (en) Multipurpose consumer scrubbing cloths and methods of making same
JP7115716B2 (ja) 汚れ剥離を伴う消費者用摺洗物品及びその製造方法
US20180028037A1 (en) Scrubbing article and method of making same
JP4804118B2 (ja) 積層シートおよびその製造方法
KR20170125873A (ko) 세라믹 미세입자를 갖는 소비자 스크러빙 물품 및 이의 제조 방법
JP4541823B2 (ja) 対物用液体塗布シート用積層体
JP4041276B2 (ja) 清拭用不織布
JP2006109985A (ja) 液状艶出し剤塗布シート
WO2001072923A1 (fr) Appret pour tissus impermeabilisants et tissu impermeabilisant ou conferant brillance et impermeabilite
US6319547B1 (en) Button thread strengthener and method
WO2019224772A1 (en) Scouring article with fungicidal texture layer
CA2923858A1 (en) Multipurpose consumer scrubbing cloths and methods of making same
JP2004180920A (ja) 木製製品の艶出し用クロス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070416

A977 Report on retrieval

Effective date: 20090824

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20090901

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20100105

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02