JP4376734B2 - 人工皮革の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、人工皮革の製造方法に関し、さらに詳しくは高度な難燃性が付与された人工皮革の製造方法に関する。
繊維集合体と高分子弾性体からなる人工皮革が、軽さ、イージーケアー、低価格などの特徴から、天然皮革代替物として靴、ボール、鞄、家具・車輌、衣料用、一般資材およびスポーツ分野などに幅広く利用されている。
さらに最近、特に家具・車両用とにおいて顕著であるが、人工皮革に難燃性を付与して幅広く使用されるようになってきた。難燃性付与の方法としては、完成した人工皮革製品に難燃剤処理液を浸漬処理する方法が一般的だが、市場から要求される難燃性のレベルが向上し、その要求に応えるためには多量の難燃剤を使用しなければならず、経済的にもコスト高となるという問題があった。
特に質感向上のために、使用される繊維が極細繊維となってきたのに伴い、その困難性は増してきている。例えば繊維に難燃剤を含有した場合、0.5dtex未満のような極細繊維においては、繊維強度が低下し人工皮革としての実用強度を保つことが出来ないという問題があった。また、後処理にて難燃剤を処理した場合にも、このような極細繊維は、極細繊維が束となった形状をとる場合が多く、その繊維束の周囲には付着するものの、繊維束の内部には難燃剤が浸透できないという問題があった。このような場合、極細繊維の周囲には空間があり、空気が存在するために、難燃効果が大きく低下していた。
そこで、このような極細繊維使いの人工皮革の難燃性を向上させるために例えば特許文献1には、極細繊維に有機リン成分共重合ポリエステルを用い、さらに極細繊維からなる不織布内の高分子弾性体に難燃剤としての水酸化アルミニウムを添加した人工皮革が開示されている。しかし共重合されたポリエステルは強度において共重合成分を有しないポリエステルに劣り、特に耐久性を要求される家具・車両分野においては問題であった。また溶剤系のポリウレタンに水酸化アルミニウムを添加した樹脂は脆くなり人工皮革の強度が低下するばかりか、例えば表面の銀付層に用いられないという問題があった。
特開2002−115183号公報
本発明は上記従来技術の有する問題点を鑑みなされたもので、その目的は、有機溶剤を使用しない環境に優しい水性タイプの含浸基材を用いて、高度な難燃性を有しながら物性に優れた人工皮革を提供することにある。
本発明の人工皮革の製造方法は、極細繊維からなる繊維集合体にリン系難燃剤及び界面活性剤を含む水系の処理液を付与し、乾燥し、次いで高分子弾性体とリン系難燃剤とを含む水系の含浸液を付与し、その後に片側表面の造面処理を行うことを特徴とする。
また造面処理が高分子弾性体とリン系難燃剤からなる銀面を形成するものであること、リン系難燃剤が脂肪族環式ホスホン酸エステルであること、界面活性剤がノニオン系であることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、環境に優しい水性タイプの含浸基材を使用したのにもかかわらず、高度な難燃性を有しながら物性に優れた人工皮革の製造方法を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、極細繊維からなる繊維集合体に水系の処理液を付与し、乾燥し、次いで高分子弾性体とリン系難燃剤とを含む水系の含浸液を付与し、その後に片側表面の造面処理を行う人工皮革の製造方法である。
本発明で用いられる繊維集合体を構成する極細繊維としては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリオレフィンなどの従来公知の繊維形成可能な合成樹脂の一種、あるいは二種以上の樹脂からなる極細繊維が使用出来る。中でも、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維またはポリエステル/ポリアミド混合繊維を用いることが好ましい。繊維となるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどがあげられ、ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12などがあげられる。中でもポリエチレンテレフタレート、ナイロン−6などが、工程安定性やコスト面から最も好ましい。また、繊維の繊度は0.001〜0.4dtexであることが好ましく、さらには0.05〜0.3dtexであることが好ましい。また海島型の混合紡糸繊維、複合紡糸繊維、あるいは剥離分割型複合繊維等で、該繊維分割後に極細繊維となることが好ましい。また少量ならば極細以外の繊維を用いることも可能であり、風合いなどの面から天然繊維を混合することも好ましい。
本発明で用いられる繊維集合体は、上述の繊維からなる不織布、織編物であるが、本発明で得られる人工皮革用基材が、より天然皮革らしい風合いを得るためには、不織布であることが好ましい。これらの繊維を不織布に形成する方法としては、短繊維からのカーディング、交絡処理による方法、あるいは長繊維のダイレクトシート化、交絡処理による方法などの従来から公知の方法が採用できる。さらに緻密でかつ均質な不織布を得るためには、極細繊維化される前の剥離分割型複合繊維を用い、高圧水流により分割、絡合させた繊維集合体であることが好ましい。
また繊維集合体は、例えば構成繊維の一部が熱収縮性繊維である繊維集合体を収縮処理することにより、収縮緻密化、高密度化し、得られる繊維集合体の見かけ密度を0.3〜0.6g/cmとすることが好ましい。熱収縮性繊維としては、高温多湿雰囲気中で収縮する合成繊維であることが好ましく、特に好ましくは収縮応力が大きい高収縮ポリエステル系繊維であることである。例えばポリエチレンテレフタレートを主成分とする繊維形成性ポリマーを紡糸した後、温水中にて低倍率で延伸して得られる熱収縮性繊維などであることが好ましい。さらに、該熱収縮性繊維は延伸条件などの制御により50℃以上100℃以下で収縮特性を発現するものが好ましい。収縮により高密度化する場合には、50℃より低い温度で特性を発現するものは品質のバラツキの要因になり、100℃より高い温度で特性を発現するものは、多くの熱量を必要し生産性が悪くなる傾向にある。
また、繊維集合体の繊維を熱収縮する場合の好ましい面積収縮率は、10%以上60%以下であり、より好ましくは20%以上50%以下である。面積収縮率が10%未満であると緻密かつ均質な構造の繊維集合体となりにくい傾向にある。一方、面積収縮率が60%を超えると繊維間の空隙が小さくなり繊維の自由度が低下する傾向にあり、繊維複合シートとしたときのドレープ性等が低下する傾向にある。
本発明の製造方法ではまず上記の繊維集合体にリン系難燃剤及び界面活性剤を含む水系の処理液を付与し、乾燥することが必要である。さらにはリン系難燃剤が脂肪族環式ホスホン酸エステルであることが好ましく、界面活性剤はノニオン系であることが好ましい。このように、水系の含浸液を含浸する前の繊維集合体にリン系難燃剤を付与することによって極細繊維間の細かい空隙に難燃剤を付与することが出来、難燃性が大きく向上するとともに、リン系の剤を用いているため環境への影響の少ない人工皮革を得ることが出来る。また、難燃剤に水によく溶解する脂肪族環式ホスホン酸エステルを用いることや、ノニオン系の界面活性剤を用いることによって、難燃剤の極細繊維間への浸透性をさらに高め、難燃効果をさらに高めることが可能である。
処理液を付与する方法には、たとえば難燃剤の水溶液または水分散液に繊維集合体を浸漬する方法が採用される。その付着量としては繊維重量に対し乾燥重量で0.5〜10重量%であることが好ましい。少なすぎると難燃効果が減少し、多すぎると製品の触感を損ねる傾向にある。また、後に処理する高分子弾性体中の難燃剤の添加量が多い場合にはその分、この段階での処理量を減少させることが好ましい。
本発明では、次いで乾燥した繊維集合体に対し、高分子弾性体とリン系難燃剤とを含む水系の含浸液を付与することが必要である。ここでもリン系難燃剤としては、水によく溶解する脂肪族環式ホスホン酸エステルであることが好ましい。高分子弾性体としては、例えばポリエステル系エラストマー、ポリウレタン、NBR、SBR、アクリル等の高分子からなる樹脂があげられる。中でもポリウレタン樹脂が柔軟性、強度、耐候性、耐摩耗性などの点から好ましい。これらの本発明で用いられる高分子弾性体は、曇点を有する非イオン性界面活性剤にて分散、あるいは溶解された感熱凝固性を有する分散液、あるいは溶液であることが好ましい。高分子弾性体が感熱凝固性を有する場合、その凝固特性が発現する温度は30℃以上90℃以下が好ましく、さらには60℃以上80℃以下で凝固特性を発現するものが好ましい。高分子弾性体の凝固特性が発現する温度とは、含浸液を攪拌しながら昇温した時に、含浸液が流動性を失い凝固する温度であり、例えば曇点を下げる添加剤などを加えることで凝固温度を調節することが可能である。
本発明では、高分子弾性体とリン系難燃剤とを含む水系の含浸液が水分散液、あるいは水溶液として繊維集合体に含浸される。リン系難燃剤の添加量は、高分子弾性体の固形分重量に対して0.5〜10重量%の範囲であることが好ましい。
またこの含浸液には、高分子弾性体の耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性等の各種耐久性を改善する目的で酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等の安定剤や、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、ポリカルボジイミド化合物等の架橋剤を配合して使用することもできる。さらに、着色を目的として各種無機、有機顔料を配合することができる。また、シリコン系、フッ素系などの各種撥水剤や、ポリエチレングリコールなどの親水性の剤を加えることで、繊維と高分子弾性体との非接合構造を調整し、繊維複合シートのドレープ性を向上させることも好ましい。
本発明に用いられる繊維複合体を得るための高分子弾性体の繊維集合体への含浸方法は、通常行われる方法であればいずれでも良く、例えばマングルによる含浸法、コーティング法、スプレー法等が挙げられる。高分子弾性体の付着量(固形分)は、目的に応じて任意の値が採用されるが、好ましくは、繊維集合体100重量部に対し3〜150重量部である。さらには10〜50重量部であることが好ましい。高分子弾性体付着量(固形分)が3重量部未満では得られるシートの充実感が低下する傾向がある。一方150重量部を越えると、得られる繊維複合体は硬くなり、皮革様の風合いが低下する傾向がある。
高分子弾性体等を含浸した後の繊維集合体は、例えば感熱凝固ゾーンで高分子弾性体を凝固させることが好ましい。感熱凝固法としては、加熱スチームによる凝固、熱水への浸漬による凝固、高周波誘電加熱による凝固などの手法を採ることが出来る。感熱凝固を行う場合には処理温度は50℃以上80℃以下が好ましいが、より安定的に生産を行うためには感熱ゲル化温度の10℃以上とするのがさらに好ましい。凝固後の高分子弾性体と繊維からなる繊維複合体はマングル絞り、減圧脱水などにより過剰の水分を除去した後、熱風乾燥機にて乾燥することが好ましい。
本発明の製造方法では、このようにして得られた繊維複合体の片側表面に造面処理を行う。この造面処理としては、高分子弾性体とリン系難燃剤からなる銀面を形成するものであることが好ましい。高分子弾性体とリン系難燃剤からなる膜の厚さは、繊維複合体の厚さとのバランスで風合いに適した厚さに決定すべきであるが、10〜70μmであることが好ましい。厚さが薄すぎる場合には、人工皮革の耐黄変色性、耐加水分解性、接着性等の性能が低下する傾向にある。また、厚過ぎる場合には、表面が硬くなり、シート状物の風合いが低下する傾向にある。
造面処理に用いる高分子弾性体としては、先に繊維集合体の含浸用に挙げたSBR、NBR、ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、アクリル酸エステル等が挙げられるが、中でも人工皮革としての高い表面物性を得るためにはポリウレタンが好ましく、特には無黄変タイプのポリウレタンエラストマーであることが好ましい。リン系難燃剤としては、水によく溶解する脂肪族環式ホスホン酸エステルであることが好ましい。リン系難燃剤の添加量は造面に用いられる高分子弾性体の固形分重量に対して0.5〜10重量%であることが好ましい。
造面処理は通常のコート法も採用できるが、離型紙上に高分子弾性体を主とする膜を形成し、接着剤にて繊維複合体の表面に接着させた後、離型紙を剥離するいわゆるラミネート法を採用することが風合いと難燃性のバランスから最も好ましい。ラミネート法によって造面する場合、膜を形成するには例えば高分子弾性体を溶剤に溶解させた溶液、あるいは高分子弾性体を分散媒に分散させた分散液を離型上にコーティングし、溶剤あるいは分散媒を蒸発させる方法が採用される。中でも高分子弾性体の水分散液を用いる方法が作業環境等の面で好ましい。さらには膜である弾性体フィルムは、繊維複合体上の表面に水系接着剤を介して接着することが好ましい。たとえば、離型紙上に形成された高分子弾性体フィルム上に接着剤を塗布し張り合わせることで接着する。このとき接着剤として、水分散型、あるいは水溶型の接着剤を用いた場合、得られる接着層も水に対して膨潤、あるいは溶解し易い傾向に有り、これを解決するためには該接着剤は架橋反応タイプ、いわゆる2液タイプの接着剤であることが好ましい。接着剤としては、ウレタン系、オレフィン系等があるが耐磨耗性、柔軟性の面からウレタン系が好ましい。架橋剤としては、メラミン系、ポリイソシアネート系、エポキシ系等があげられるが、中でも作業環境面、柔軟性等の面でポリイソシアネート系が好ましい。このような接着剤の塗布量は溶液目付けで50〜250g/mであることが好ましい。
そしてラミネート法を採用する場合には、弾性体フィルムおよび/又は接着剤の両方またはいずれか一方にリン系の難燃剤を添加する。また、接着剤液の中に熱膨張マイクロカプセル粒子を添加混合することも好ましく、これにより接着剤層が多孔化され、人工皮革となった場合の表面のソフト性、厚さ増加による耐磨耗性が増すことができる。
さらには、離型紙上に高分子弾性体フィルムを形成し、その上に水系の水分散型、あるいは水溶型の接着剤を塗布、次いで任意の乾燥後、あらかじめ高分子弾性体の処理液が表面に浸透された繊維質基材を重ねて任意の圧力の下で接着させる方法とすることが好ましい。さらには温度100〜130℃の金属加熱シリンダーで熱接着を行うことが好ましい。その後、十分に接着剤の反応させた後、離型紙から繊維質基材を剥ぎ取ることにより、人工皮革が得られる。
本発明の人工皮革の製造方法において、各段階でのリン系難燃剤の添加量は、繊維集合体への付着量:含浸用高分子弾性体への添加量:造面用高分子弾性体への添加量の固形分重量の比率は、2〜4:2〜4:6〜2の範囲であることが好ましい。このように人工皮革の表面から、内部の極細繊維表面のリン系難燃剤の付着バランスを調整することによって、難燃性と風合いその他の物性との高いバランスを保つことが出来る。また最終的な人工皮革全体の重量に対する、全リン系難燃剤の固形分重量としては0.5〜30重量%であることが好ましい。
このような本発明の製造方法により得られた銀付調の人工皮革は、有機溶剤を使用しない環境に優しい水性タイプの含浸基材を用いたにもかかわらず、高度な難燃性を有しながら物性に優れた人工皮革となる。
得られた人工皮革は、スポーツシューズ、婦人・紳士靴などの靴用途、競技用各種ボール用途、手帳・ノート等の装丁用途、衣料用途に用いることができ、特に難燃性と風合いの高いバランスが要求される家具・車輌、内装材、インテリア材などの産業資材用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
なお、実施例における各項目は次の方法で測定した。
(1)収縮率
収縮前の面積をSとする。収縮後の面積をSとする。収縮率は次の計算で求める。
収縮率(%)=(S−S)×100/S
(2)難燃性
英国防炎規格(布張家具用防炎試験)BS5862に準じた方法で実施し、バーナーとしてはブンゼンバーナーを、ガスは都市ガスを使用し、炎長3.5cm、バーナーを45度に傾け20秒間接炎した後の燃焼長さで表す。
[実施例1]
第1成分として収縮特性を有するポリエチレンテレフタレート、第2成分をナイロン−6とする16分割歯車型の断面を有する親糸繊度4.4dtexの剥離分割型複合繊維を、ニードルパンチと高圧水流交絡処理により、繊維の絡合と分割処理を行い厚さ1.15mm、目付け265g/mの不織布とし、次いでこの分割処理後の繊維集合体を75℃の温水槽中に20秒間浸漬し、第1成分のポリエチレンテレフタレート繊維を収縮させ、面積収縮率を24%とし、次いで乾燥して繊維集合体(不織布)を得た。
次いで得られた繊維集合体をリン系難燃剤(脂肪族環式ホスホン酸エステル、明成化学工業株式会社製K−19A)の水溶液に浸漬し、マングルで絞りリン系難燃剤の固形分付着量が繊維重量に対し4重量%付着するように調整し、乾燥した。
得られた繊維集合体は、目付け367g/m、厚さ1.0mm、見掛け密度0.367g/mと高密度で充実感のあるものであった。
次いで得られた繊維集合体(不織布)に、感熱凝固型水系ポリウレタンの9%分散液(感熱凝固温度60℃)100部にリン系難燃剤(明成化学工業株式会社製K−19A)0.5部を混合し調整した含浸液を含浸させ、表面の余分な分散液を掻き落として、下部に設置された水槽中の沸騰水によって上部の雰囲気温度を92℃、相対湿度を99%の凝固ボックスに1分間曝してポリウレタンの感熱凝固を行い、次いで97℃の熱水槽中で1分間処理した。その後、冷却してからマングルロールで絞り、110℃の熱風乾燥機で乾燥させて厚さ1.0mm、見掛け密度0.44g/cmの繊維複合体(基材)を得た。得られた繊維複合体の繊維:ポリウレタンの比率は重量で100:30であった。ポリウレタン中のリン系難燃剤の固形分付着量がポリウレタン重量に対し12重量%であった。また電子顕微鏡により断面を観察したところポリウレタンは繊維複合体の厚さ方向に均一に分布されたものであった。
一方、離型紙(リンテック社製R53)上に、ポリウレタンの33%水分散液100部に増粘剤、および着色剤5部を攪拌しながら添加し粘度を8000mPa・sに調整した調合液を目付け100g/mでコートし、温度70℃で2分間、110℃で2分間乾燥した。さらにその表面に、水分散型ポリウレタン系接着剤(45%濃度)100部にリン系難燃剤(明成化学工業株式会社製K−19A)1.5部、着色剤(大日本インキ化学工業株製ダイラックブラックHS9530)5部、および増粘剤(大日本インキ化学工業株製ハイドランアシスターT1)を混合して粘度を5000mPa・sに調整した調合液を目付け150g/mでコートした。次いで、温度90℃で2分乾燥後、先に得られた繊維複合体を重ね合わせ、温度110℃の加熱シリンダー表面上で0.6mmの間隙のロールに通過させ圧着した。その後、温度60℃の雰囲気下で2日間放置した後、離型紙を剥ぎ取り人工皮革を得た。得られた人工皮革は、厚さ1.1mm、目付け530g/m、難燃剤の含有量が4.4重量%、剥離強力は18N/cmであり、風合い、物性に優れているにもかかわらず、炎に曝しても燃焼せず燃焼テストでは難燃性0mmであった。
[比較例1]
リン系難燃剤を使用しない以外は、実施例1と同様に人工皮革を作成した。得えられた人工皮革をリン系難燃剤(脂肪族環式ホスホン酸エステル、明成化学工業株式会社製K−19A)の3%水溶液に浸漬しマングルロールで絞り含水率を150%として乾燥した。得られた人工皮革は難燃剤の含有量が4.5重量%、剥離強力は13N/cmであり、表面平滑性が悪く、アラビが目立ち、しかも炎に曝した後に炎を離しても燃焼し続け、燃焼テストでは難燃性∞mmのものであった。
[比較例2]
リン系難燃剤を使用しない以外は、実施例1と同様に人工皮革を作成した。得えられた人工皮革をリン系難燃剤(脂肪族環式ホスホン酸エステル、明成化学工業株式会社製K−19A)の10%水溶液に浸漬しマングルロールで絞り含水率を150%として乾燥した。得られた人工皮革は難燃剤の含有量が15.0重量%、剥離強力は12N/cmであり、燃焼テストでは難燃性0mであったが、人工皮革の表面および裏面から難燃剤がしみ出て粘着性を有するばかりか接触するものに付着し、実用に耐えないものであった。
[比較例3]
繊維集合体に難燃剤を処理しない以外は、含浸用およびラミネート用の水系ポリウレタンには実施例1と同じリン系難燃剤(脂肪族環式ホスホン酸エステル、明成化学工業株式会社製K−19A)を含有した水系ポリウレタンを使用し、実施例1と同様に人工皮革を作成した。
得えられた人工皮革をリン系難燃剤(明成化学工業株式会社製K−19A)の3%水溶液に浸漬しマングルロールで絞り含水率を150%として乾燥した。得られた人工皮革は難燃剤の含有量が6.3重量%、剥離強力は15N/cmであり、触感が悪く、難燃剤のベタつきがあり、又面平滑性が悪いものであり、炎に曝した後に炎を離しても燃焼し続け、燃焼テストでは難燃性∞mmであった。

Claims (7)

  1. 極細繊維からなる繊維集合体にリン系難燃剤及び界面活性剤を含む水系の処理液を付与し、乾燥し、次いで高分子弾性体とリン系難燃剤とを含む水系の含浸液を付与し、その後に片側表面の造面処理を行うことを特徴とする人工皮革の製造方法。
  2. 極細繊維の繊度が0.001〜0.4dtexである請求項1記載の人工皮革の製造方法。
  3. 極細繊維がポリエステル及び/またはポリアミドからなるものである請求項1または2記載の人工皮革の製造方法。
  4. リン系難燃剤が脂肪族環式ホスホン酸エステルである請求項1〜3のいずれか1項記載の人工皮革の製造方法。
  5. 界面活性剤がノニオン系である請求項1〜4のいずれか1項記載の人工皮革の製造方法。
  6. 造面処理が高分子弾性体とリン系難燃剤からなる銀面を形成するものである請求項1〜5のいずれか1項記載の人工皮革の製造方法。
  7. 高分子弾性体がポリウレタン樹脂である請求項1〜6のいずれか1項記載の人工皮革の製造方法。
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