JP2008308646A - 着色されたアクリル系粘着剤及びマーキングフィルム - Google Patents

着色されたアクリル系粘着剤及びマーキングフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、色々な色彩を、色々な濃度・明度で実現でき、かつ貼り剥しが簡単で、接着性及び塗布外観が良好な着色粘着剤、その製造方法、及び前記着色粘着剤を用いたマーキングフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、顔料または染料、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び架橋剤を含むアクリル系着色粘着剤、前記アクリル系着色粘着剤の製法、及びベースフィルム層と前記粘着剤からなる粘着剤層とを有するマーキングフィルムを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アクリル系着色粘着剤、その製造方法、またはマーキングフィルムに関する。
車両、建築物、交通標識、包装材料、または看板等において、フィルム基材に接着剤層が設けられた装飾用粘着性部材が用いられている。かかる部材は、マーキングフィルムと呼ばれることがあり、着色されたフィルム基材に無着色の粘着剤を設けたもの、あるいは透明フィルムに着色粘着剤を設けたもの等がある。
後者のタイプのマーキングフィルムとして、顔料と分散剤とからなる着色剤によって着色された接着剤層を有する着色フィルムが知られている。この着色フィルムの接着剤層を構成する着色剤には、モノマー成分として、芳香族ビニルモノマー、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び芳香族化合物で4級化されたアンモニウム基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを必須成分とする(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる分散剤が使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、白色顔料とガラス転移温度が−10℃以下のポリエステル系可塑剤を含む白色トナー、及びこれを含む白色粘着剤組成物が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また、カルボキシル基含有ポリマーとアミノ基含有ポリマーとをブレンドした粘着剤組成物(例えば、特許文献3参照。)、さらに、アミノ基含有(メタ)アクリル系共重合物、およびその共重合物を含む非水系塗料用顔料の分散剤(例えば、特許文献4参照。)が知られている。
近年、よりカラフルでファッショナブルな広告や標識が増加し、マーキングフィルムを用いて、所望の色、質感、あるいはデザインを自由自在に表現できることが、従来にも増して重要になっている。また、広告や標識として用いるマーキングフィルムの貼り替えサイクルはより短くなっており、特に広告は数日〜数ヶ月程度の短期間で交換することも珍しくないため、熟練工でなくても簡単に貼り剥しができるこが必要とされる。
したがって、近年重要視されている要求を満たすためには、色々な色彩を、色々な濃度・明度で実現でき、かつ貼り剥しが簡単で、接着性及び塗布外観が良好な粘着剤を得ることが課題となっている。しかし、上記従来の粘着剤では、このように近年重要視されている要求を十分に満たしたものは得られていなかった。
特許第3500240号公報 特開2004−51753号公報 特許第3516035号公報 特許第2927701号公報
本発明は、色々な色彩を、色々な濃度・明度で実現でき、かつ貼り剥しが簡単で、接着性及び塗布外観が良好な着色粘着剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、フィルム性基材に前記着色粘着剤を粘着剤層として積層して得られる着色性・接着性・安定性に優れ、所望の色、質感、あるいはデザインを自由自在に表現可能なマーキングフィルムを提供することを目的とする。
すなわち本発明は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、顔料または染料、及び芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含むアクリル系着色粘着剤を提供するものである。
すなわち本発明は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系粘着ポリマー、及び
顔料または染料、及び芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーからなる着色剤を含むアクリル系着色粘着剤を提供するものである。
すなわち本発明は、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び
顔料または染料、及びカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーからなる着色剤を含むアクリル系着色粘着剤を提供するものである。
さらに本発明は、次の工程1及び2からなるアクリル系着色粘着剤の製造方法を提供するものである。
工程1:顔料または染料と、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合して着色剤を調製するか、あるいは顔料または染料と、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合して着色剤を調製する工程、及び
工程2:工程1で得られた着色剤、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合する工程。
またさらに本発明は、ベースフィルム層と、上記アクリル系着色粘着剤からなる粘着剤層とを有するマーキングフィルムを提供するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、またはメタクリルを意味する。
本発明のアクリル系着色粘着剤は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、顔料または染料、及び芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む。
前記アクリル系着色粘着剤において、前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと前記顔料または染料からなる着色剤を含んでいても良い。あるいは、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーと前記顔料または染料からなる着色剤を含んでいても良い。この態様において、着色剤中のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、さらにヒドロキシル基を含有するモノマーを共重合させたものとすることができる。
着色剤を含むことにより、すなわち、あらかじめ顔料または染料をポリマーに分散させることにより、より多くの顔料または染料を粘着剤中に安定に分散させることができる。
また、上記のアクリル系着色粘着剤は、少なくとも一種以上の粘着性を有するポリマーを含有することにより粘着性を発揮することができる。
さらに、本発明のアクリル系着色粘着剤は、架橋剤を含んでも良い。
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを得る方法の一つとして、モノエチレン性不飽和モノマーとカルボキシル基を含有する不飽和モノマーとを共重合することが挙げられる。
前記「芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー」とは、芳香族ビニルモノマーを、ポリマーの構成成分として含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを意味する。前記芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルアントラキノン、芳香族アミンの(メタ)アクリルアミド、または水酸基含有芳香族化合物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらポリマーの共重合は、ラジカル重合により行なうことができる。この場合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、あるいは塊状重合等の公知の重合方法を用いることができる。開始剤としては過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、ビス(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートのような有機過酸化物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4,4’−アゾビスー4−シアノバレリアン酸、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル(AVN)等のアゾ系重合開始剤が用いられる。この開始剤の使用量としては、モノマー混合物100質量部あたり、0.05〜5質量部とすることができる。
前記着色剤に含まれる顔料または染料として、有機系あるいは無機系等の従来公知の顔料または染料を用いることができる。尚、本明細書において、「顔料または染料」を「顔料」と表現することがある。前記着色剤が、顔料及びカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーからなる場合、顔料は、有機系の顔料、あるいは白以外の顔料を使用するのが好ましい。
本発明のアクリル系着色粘着剤は、カルボキシル基を含有するモノマーを構成成分として重合したポリマーと、アミノ基を含有するモノマーを構成成分として重合したポリマーとを混合することにより、粘着剤中の顔料の分散性を向上し、粘着剤中に顔料を安定に保持することができる。そのため、より多くの顔料を含む着色粘着剤を提供することができる。また、当該粘着剤をマーキングフィルムの粘着剤層として使用する場合に、顔料を粘着剤層中に保持すること、すなわち顔料が粘着剤層表面に移行するのを防ぐことにより、粘着剤層の接着性を維持することができる。
本発明のアクリル系着色粘着剤の製造方法は、顔料と、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合して着色剤を調製する工程、及び得られた着色剤に、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合する工程を含む。
また、本発明のアクリル系着色粘着剤の製造方法は、顔料と、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合して着色剤を調製する工程、及び得られた着色剤に、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合する工程を含む。
上記製造方法の、顔料とポリマーを混合して着色剤を調製する工程において、混合は従来公知の方法を用いることができる。本発明においては、比較的弱い混合によっても、顔料が均一に分散した着色剤を調製することができる。
上記製造方法において、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーあるいは芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとして、少なくとも一種以上の粘着性を有するポリマーを使用することにより、前記製造方法によって得られるアクリル系着色粘着剤に粘着性をもたらすことができる。
本発明のマーキングフィルムは、ベースフィルム層と、本発明のアクリル系着色粘着剤からなる粘着剤層とを含み、さらにライナーを設けることもできる。前記ベースフィルム層は、従来公知のフィルムを使用することができる。前記フィルムは無地でも表面に印刷が施されていても良いし、また透明でも不透明でもよい。透明度を有するフィルムを用いた場合、フィルムと本発明の着色粘着剤との組合せにより、または、ベースフィルム表面に印刷された色や柄と本発明の着色粘着剤との組合せにより、所望の色、質感、あるいはデザインを有するマーキングフィルムを得ることができる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー
本発明のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、モノエチレン性不飽和モノマーを主成分とするポリマーであって、その一部にカルボキシル基を含有するモノエチレン性不飽和モノマー(カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和モノマー)を含有するものである。前記モノエチレン性不飽和モノマーは、ポリマーの主成分となるものであって、一般には式CH2=CR1COOR2(式中、R1は水素又はメチル基であり、R2は直鎖、環状又は分岐状のアルキル基やフェニル基、アルコキシアルキル基、フェノキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、環状エーテル基である)で表される。このようなモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、またはドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル含有(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。必要に応じ、1種又は2種以上のモノエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。
前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、または2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸等を挙げることができる。
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば前記モノエチレン性不飽和モノマーを80〜99.5質量部と、前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和モノマーを0.5〜20質量部の割合で共重合することにより得られる。あるいは、前記モノエチレン性不飽和モノマーを90〜99質量部、前記カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和モノマーを1〜10質量部とすることもできる。
前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、本発明のアクリル系着色粘着剤の主成分として用いることができる。あるいは、前記アクリル系粘着剤が着色剤を含有する場合は、着色剤の一成分として用いることができる。
前者の場合、すなわち前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを主成分として用いる場合、少なくとも一種以上の粘着性を有するポリマーを使用する。この場合、当該粘着性を有するポリマーが本発明の粘着剤の粘着性を発揮する。「粘着性を有する」とは、常温でタックを有することを意味する。前記粘着性を有するポリマーとしては、例えば上記のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを挙げることができる。この場合、使用するカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーの質量平均分子量は特に限定されないが、例えば、100,000〜2,000,000、あるいは300,000〜1,000,000とすることができる。
後者の場合、すなわち前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを着色剤の一成分として用いる場合、粘着性を有するポリマー、あるいは粘着性を有しないポリマー(非粘着ポリマー)のいずれも使用することができる。前記非粘着ポリマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びメタクリル酸のコポリマー等を挙げることができる。この場合、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、さらにヒドロキシル基を含有するモノマーを含んでも良い。この様なモノマーとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等)、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、または2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリカプロラクトン変性物である「プラクセルF」シリーズ(ダイセル化学工業製)などを挙げることができる。これらのモノマーは、1種または2種以上を用いることができる。この場合の前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーの質量平均分子量は特に限定されないが、1,000〜1,500,000、あるいは10,000〜800,000とすることができる。
芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー
本発明の芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとは、モノエチレン性不飽和モノマーを主成分とするポリマーであって、その一部にアミノ基含有不飽和モノマーを含有し、かつ芳香族ビニルモノマーをポリマーの構成成分として含まないものである。かかるモノエチレン性不飽和モノマーは、前記カルボキシル基含有(メタ)剤中アクリル系ポリマーの場合と同様であり、前記芳香族ビニルモノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルアントラキノン、芳香族アミンの(メタ)アクリルアミド、または水酸基含有芳香族化合物の(メタ)アクリレート等を含む。前記芳香族アミンとしてはアニリン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、アミノアントラセン、アミノアントラキノン又はこれらの誘導体が挙げられる。また前記水酸基含有芳香族化合物は前記芳香族アミンに対応する水酸基含有化合物が挙げられる。前記アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを得る方法の一つとしては、モノエチレン性不飽和モノマーとアミノ基を含有する不飽和モノマーとを共重合することが挙げられる。
前記アミノ基含有不飽和モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)などのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテルなどのジアルキルアミノアルキルビニルエーテル;またはこれらの混合物を挙げることができる。
前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば前記モノエチレン性不飽和モノマーを80〜99.5質量部と、前記アミノ基含有不飽和モノマーを0.5〜20質量部の割合で共重合することにより得られる。あるいは、前記モノエチレン性不飽和モノマーを90〜99質量部、前記アミノ基含有不飽和モノマーを1〜10質量部とすることもできる。
前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、本発明のアクリル系着色粘着剤の主成分として用いることができる。あるいは、前記アクリル系粘着剤が着色剤を含有する場合は、着色剤の一成分として用いることができる。
前者の場合、すなわち前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを主成分として用いる場合、少なくとも一種以上の粘着性を有するポリマーを使用する。前記粘着性を有するポリマーとしては、例えば、BAとDMAEAのコポリマー(配合比は例えば、90:10)を挙げることができる。この場合、当該粘着剤を有するポリマーが本発明の粘着剤の粘着性を発揮する。この場合、使用する芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの質量平均分子量は特に限定されないが、例えば、100,000〜2,000,000、あるいは300,000〜1,000,000とすることができる。
後者の場合、すなわち前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを着色剤の一成分として用いる場合、粘着性を有するポリマー、あるいは粘着性を有しないポリマー(非粘着ポリマー)のいずれも使用することができる。この場合の前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの質量平均分子量は特に限定されないが、例えば、1,000〜500,000、あるいは5,000〜200,000、さらに好ましくは10,000〜100,000とすることができる。
顔料または染料
本発明の顔料または染料として、従来公知の無機顔料、有機顔料等の顔料、または従来公知の染料を用いることができる。前記無機顔料として、例えば、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、タルク、カリオン、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄系、水酸化鉄系、酸化クロム系、スピネル型焼成系、クロム酸系、クロムバーミリオン系、紺青系、アルミニウム粉末系、ブロンズ粉末系、またはリン酸カルシウム等を挙げることができる。前記有機顔料として、例えばフタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アゾレーキ系、アンスラキノン系、ペリレン・ペリノン系、インジゴ・チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチンアゾ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系、またはカーボンブラック系等を挙げることができる。前記染料としては、例えばアゾ系染料、アントラキノン、キノンフタロン、スチリル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、オキサジン、トリアジン、キサンタン、メタン、アゾメチン、アクリジンまたはジアジンを挙げることができる。
これら顔料または染料は単体で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。また、これらの顔料または染料はいずれの形態でもよく、あるいは従来公知の方法によって各種の分散処理が施されたものであってもよい。
着色剤
本発明のアクリル系着色粘着剤において、着色剤を含有することが可能である。前記着色剤は、顔料と芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、あるいは顔料とカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーとを含有する。
ここで、前記顔料、前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーはそれぞれ上述のとおりである。
本明細書において、着色剤中の、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、またはカルボキシル基含有アクリル系ポリマーを、「着色剤のポリマー」と記載することがある。また、本発明のアクリル系着色粘着剤の主成分として用い、着色剤に由来しないポリマーを、「粘着剤のポリマー」と記載することがある。
前記着色剤のポリマーは、長期安定性維持の観点から、前記粘着剤のポリマーと相溶することが好ましい。
また本発明の着色剤は、前記顔料と前記着色剤のポリマーとを、従来公知の方法で混合することにより得られる。例えば、ペイントシェイカー(株式会社シンキー製)、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、または三本ロールミル等を用いて混合することにより得られる。このとき、必要に応じて、水系あるいは有機系の溶媒を加えることもできる。
さらに本発明の着色剤は、調製直後はもちろん、調製後長時間(例えば、約1ヶ月程度)経過後も、調製直後と同様、顔料粒子が凝集せず、かつ良好に分散した状態を維持することができる。このことは、例えば、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、または三本ロールミル等の比較的混合力の強い機器を用いて調製した場合のみならず、ペイントシェイカー(株式会社シンキー製)等の比較的混合力の弱い機器のみを用いて調製した場合も同様である。さらに、この比較的混合力の弱い機器を用いる場合、比較的短時間(例えば、約10分程度)の混合により、調製直後及び長時間経過後に、顔料粒子または染料粒子が凝集せず、かつ良好に分散した着色剤を得ることができる。
二種以上の顔料または染料を使用する場合には、二種以上の顔料または染料を、前記着色剤のポリマーと混合して着色剤を得ることができる。また、二種以上の顔料または染料を、それぞれ別々の着色剤のポリマーと混合して各々の顔料または染料を含有する二種以上の着色剤を得た後、それらを混合して着色剤を得ることもできる。後者の場合、例えば、一の顔料または染料と前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとを混合し、他の顔料または染料と前記カルボキシル基含有アクリル系ポリマーとを混合して着色剤を得ることもできる。いずれの顔料または染料をいずれの着色剤のポリマーと混合するかは、適宜選択することができる。酸化チタン等の無機顔料を使用する場合は、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと混合して着色剤を得るのが好ましい。この様にして、二種以上の顔料または染料を混合することにより、色々な色彩を、色々な濃度、明度で有する着色粘着剤を自由自在に得ることができる。
本発明の着色剤において、前記顔料または染料と前記着色剤のポリマーの比率は、目的とする着色粘着剤の色彩、濃度、あるいは明度を得るために適宜調節可能である。好ましい比率として、前記顔料または染料約1〜約100質量部に対し、前記着色剤のポリマーが約5〜約1000質量部の範囲を挙げることができる。好ましくは、前記顔料または染料約1〜約100質量部に対し、前記着色剤のポリマーが約10〜約700質量部、あるいは前記顔料または染料約1〜約100質量部に対し、前記着色剤のポリマーが約10〜約500質量部の範囲を挙げることができる。
架橋剤
本発明のアクリル系着色粘着剤は、架橋剤を含んでも良い。かかる架橋剤として、カルボキシル基含有ポリマーに対しては、例えば、ビスアミド系架橋剤(例えば、1,1’−イソフタロイル−ビス(2−メチルアジリジン))、アジリジン系架橋剤(例えば、日本触媒製ケミタイトPZ33、アビシア製NeoCryl CX−100)、カルボジイミド系架橋剤(例えば、日清紡製カルボジライトV−03,V−05,V−07)、エポキシ系架橋剤(例えば綜研化学製E−AX,E−5XM,E5C)、イソシアネート系架橋剤(例えば、日本ポリウレタン製コロネートL、コロネートHK、バイエル社製デスモジュールH、デスモジュールW、デスモジュールI)等を用いることができる。一方、アミノ基含有ポリマーに対しては、例えば、エポキシ系架橋剤(例えば綜研化学製E−AX、E−5XM、E5C)、イソシアネート系架橋剤(例えば、日本ポリウレタン製コロネートL、コロネートHK、バイエル社製デスモジュールH、デスモジュールW、デスモジュールI)等を用いることができる。
本発明において、架橋剤の添加量は、カルボキシル基を含有するポリマー中のカルボキシル基、あるいはアミノ基を含有するポリマー中のアミノ基に対して0.01から0.5当量とすることができる。
アクリル系着色粘着剤
本発明のアクリル系着色粘着剤は、前記カルボキシル基含有アクリル系ポリマー、前記顔料、及び前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを、従来公知の方法によって混合することにより得られる。
例えば、各成分をほぼ同時に混合容器に入れ、ペイントシェイカー(株式会社シンキー製)、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、または三本ロールミル等を用いて混合することにより得られる。この際、必要に応じて、前記架橋剤、または公知の水系あるいは有機系の溶媒を使用することができる。あるいは、前記顔料を水系あるいは有機系の溶媒に混合してから、他の成分と混合することもできる。
本発明においては、カルボキシル基を含有するポリマーとアミノ基を含有するポリマーを使用することにより、顔料の分散性を向上し、本発明の目的とする着色粘着剤及び、それを用いたマーキングフィルムを得ることができる。そのため、これら2種のポリマーを含有する限り、いずれのポリマーを粘着剤のポリマー(あるいは着色剤のポリマー)としてもよいし、1種のポリマーが粘着剤のポリマーと着色剤のポリマーを兼ねていても良い。と同時に、これら2種のポリマーを含有する限り、あらゆる製造方法、例えば各成分のうち一部を先に混合して他をあとから混合する方法、または各成分を順不同で混合する方法により製造することが可能である。
前記アクリル系着色粘着剤中の各成分の含有量は、発明の目的を達成できる範囲であればよく特に限定されないが、例えば、前記アクリル系着色粘着剤の主成分として粘着性を有するカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを使用する場合、当該ポリマー100質量部に対して、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーが0〜50質量部、顔料または染料が0.1〜200質量部、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーが0.1〜50質量部、架橋剤が0.001〜10質量部とすることができる。また、例えば、前記アクリル系着色粘着剤の主成分として芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを使用する場合、当該ポリマー100質量部に対して、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーが0.1〜50質量部、顔料または染料が0.1〜200質量部、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーが0〜50質量部、架橋剤が0.001〜10質量部とすることができる。
また、本発明のアクリル系着色粘着剤が着色剤を含有する場合は、前記カルボキシル基含有アクリル系ポリマー、及び前記着色剤とを、あるいは前記芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び前記着色剤とを従来公知の方法で混合することにより得られる。あるいは、本発明のアクリル系着色粘着剤は、次の製法1または製法2により製造することができる。
<製法1>
工程1:顔料または染料と、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合して着色剤を調製する工程、及び
工程2:工程1で得られた着色剤、及びカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合する工程。
上記工程2において、さらに芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び/または架橋剤を混合することもできる。
<製法2>
工程1:顔料または染料と、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合して着色剤を調製する工程、及び
工程2:工程1で得られた着色剤、及び芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合する工程。
上記工程2において、さらにカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び/または架橋剤を混合することもできる。
マーキングフィルム
本発明のマーキングフィルムは、ベースフィルム層と、本発明のアクリル系着色粘着剤からなる粘着剤層とを有する。好適には、前記ベースフィルム層の片方の面に前記アクリル系着色粘着剤層を有するが、前記ベースフィルム層と前記アクリル系着色粘着剤層は繰り返し積層されていても構わない。また、前記ベースフィルム層の片方の面にアクリル系着色粘着剤層を積層し、さらにこのアクリル系着色粘着剤層に、別のベースフィルム層、続いて従来公知の接着剤または粘着剤からなる粘着剤層を積層することもできる。
前記ベースフィルム層は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリスチレンフィルム、またはポリアミドフィルム等を使用することが出来る。これらのフィルムは、無色透明であるか、または本発明のアクリル系着色粘着剤の色が透けて見える程度、あるいは前記アクリル系着色粘着剤の色によりそのフィルムの色の濃さ等が影響を受ける程度の透明度を有していることが好ましい。また、前記ベースフィルムは、その表面にグラビア印刷法やカレンダー印刷法により、柄、模様、または文字が印刷されていても良い。
本発明のマーキングフィルムにおいて、各層の積層の順番、積層の数、着色や印刷の有無は適宜調製可能であり、ベースフィルム層などフィルムの層と、アクリル系着色粘着剤層などの接着剤の層が交互になる必要はない。これらの要素を適宜選択することにより、所望の色、質感、あるいはデザインを有するマーキングフィルムを提供することができる。
本発明のマーキングフィルムはさらに、前記粘着剤層の前記ベースフィルム層とは反対側にライナー(剥離層)を設けることができる。このようなライナーは、粘着テープなどの分野で一般的に使用されているものでよく、特定の部材に限定されるものではない。好適なライナーとしては、例えば、紙、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、または酢酸セルロース等のプラスチック材料、あるいはこのようなプラスチック材料で被覆又はそれを積層された紙やその他の材料などを挙げることができる。これらのライナーは、そのまま使用してもよいが、シリコーン処理あるいはその他の方法で処理して剥離特性を向上させた後に使用することができる。
本発明のマーキングフィルムは、さらに、プライマー層など他の機能を有する層を有していても良い。
また、本発明のマーキングフィルムにおいて、各層の厚さは特に限定されない。好ましくは、前記ベースフィルム層は約5μm〜約300μm、前記粘着剤層は、約5μm〜約100μm、及び前記ライナーは、通常約10〜約500μm、あるいは約25〜約200μmとすることができる。
本発明のマーキングフィルムは、従来公知の方法により製造することができる。以下に製造法の一例を示す。まず本発明のアクリル系着色粘着剤を有機系の溶媒に溶解した溶液を、ナイフコートあるいはバーコータ等によりライナー上に塗布して乾燥し粘着剤層を得る。得られた粘着剤層に本発明のベースフィルム層をドライラミネートなどにより積層して本発明のマーキングフィルムを得る。
本発明において、上述の二種以上の顔料または染料を混合することによって得た所望の色を有する着色粘着剤と、透明度を有する所望のベースフィルムを組み合わせることによって、または、ベースフィルム表面に印刷された色や柄と組み合わせることによって、所望の色、質感、あるいはデザインを有するマーキングフィルムを得ることができる。
本明細書においては、以下の略称を使用することがある。
MMA :メチルメタクリレート
BMA :ブチルメタアクリレート
DMAEA :N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート
DMAEMA:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
BA :ブチルアクリレ−ト
AA :アクリル酸
HEA :ヒドロキシエチルアクリレート
2EHA :2−エチルへキシルアクリレート
Vac :酢酸ビニル
AN :アクリロニトリル
MIBK :メチルイソブチルケトン
アクリル系ポリマーの製造
ポリマー1(アミノ基含有):
MMA、BMA、及びDMAEMAを、組成比60:34:6(質量比)で、酢酸エチル溶液中で共重合した。得られたポリマーの分子量(Mw)は68,000、Tgは63℃(66℃)(計算値)、固形分は39%であった。
ポリマー2(カルボキシル基含有):
BA、及びAAを、組成比94:6(質量比)でトルエン/酢酸エチル混合溶液中で共重合した。得られたポリマーの分子量はは760,000、Tgは−48℃、固形分は33%であった。
ポリマー3(カルボキシル基、ヒドロキシル基含有):
BA、AA、及びHEAを、組成比は96:4:0.5(質量比)で、トルエン/酢酸エチル混合溶液中で重合した。得られたポリマーの分子量は580,000、Tgは−50℃、固形分は42%であった。
ポリマー4:
BA、2EHA、酢酸ビニル、及びMMAを、組成比60:30:5:5(質量比)で、酢酸エチル溶液中で共重合した。得られたポリマーの分子量は300,000、Tgは−50℃、固形分は40%であった。
顔料または染料
顔料1:白色、DuPont製TiPureR960、酸化チタン
顔料2:青色、大日精化製フタロシアニンブルー4982
顔料3:白色、大日精化製ダイミックSZ7030
顔料4:黄色、Ciba Specialty Chemicals製イルガジンイエロー2GLT−E(Ciba(R) IRGAZIN(R) YELLOW 2GLTE)
顔料5:赤色、Ciba Specialty Chemicals製イルガジンDPPレッドBO(Ciba(R) IRGAZIN(R) DPP RED BO)
顔料6:黒色、Columbian Chemicals Company製ラーベンカーボンブラック1200(Raven(R) carbon black 1200)
架橋剤
架橋剤1:1,1’−イソフタロイル−ビス(2−メチルアジリジン)、固形分5%、トルエン溶液
架橋剤2:綜研化学製E−AX、エポキシ系架橋剤、固形分5%、トルエン溶液
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー(主成分として用い、粘着性を有する)
粘着性ポリマー1:BA、2EHA、AN、及びAAを、組成比58:36:1:5(質量比)で酢酸エチル溶液中で重合した。得られたポリマーの分子量は500,000、Tgは−53℃であった。
着色剤の溶液安定性試験(実施例1〜6、及び比較例1〜3)
実施例1〜6、及び比較例1〜3で得られた着色剤溶液を、室温で1ヶ月保管後、溶液流動性・ゲル化を目視で判断した。溶液流動性がありゲル化ない場合は“Good”、流動性がなくゲル化している場合は“Poor”と判断した。結果を表1に示した。
粘着剤中の顔料の相溶性(実施例7〜14、及び比較例4〜6)
着色剤と粘着性ポリマーを混合し、架橋剤を添加して得た粘着剤組成物溶液の相溶性を目視にて判断した。顔料との相溶性が良好で顔料が容易に分散した場合は“Good”、顔料の分散が不十分な場合は“Fair”、顔料が分散せず沈降した場合は“Poor”と判断した。結果を表3に示した。
粘着剤層の塗布外観の観察(実施例7〜14、比較例4〜6、及び参考例1)
粘着剤層を剥離紙に塗布・乾燥した後の粘着剤外観を目視で観察した。表面平滑性が良好の場合は“Good”、凝集物による表面凹凸が見られた場合は“Poor”と判断した。結果を表3に示した。
マーキングフィルムの接着力の測定(実施例7〜14、比較例4〜6、及び参考例1)
フィルムサンプルを、長さ150mm×幅25mmに切断し試験片とした。20℃の環境下で試験片をパルテック社製メラミン焼き付け塗装板に貼り付けた。貼り付けはJIS Z 0237 8.2.3に従った。同温度下で48時間放置後に180°剥離強度をテンシロンで測定した。結果を表3に示した。
マーキングフィルムの再剥離試験(実施例7〜14、比較例4〜6、及び参考例1)
フィルムサンプルを、長さ150mm×幅25mmに切断し試験片とした。20℃の環境下で試験片をパルテック社製メラミン焼き付け塗装板に貼り付けた。貼り付けはJIS Z 0237 8.2.3に従った。65℃の温度環境下で7日放置後にフィルムを剥離し基材表面への糊残りを目視で確認した。糊残りがない場合は“Good”、糊残りや顔料の移行がある場合は“Poor”と判断した。結果を表3に示した。
マーキングフィルムの貼り剥がし性試験(実施例7〜14、比較例4〜6、及び参考例1)
フィルムサンプルを、長さ150mm×幅70mmに切断し試験片とした。20℃の環境下で試験片をパルテック社製メラミン焼き付け塗装板にスキージで貼り付けた。貼り付け直後にフィルムを高速で引き剥がし剥離力を官能で評価した。容易に剥離できた場合は“Good”、タックは強いがフィルム破断なく剥離できた場合は“Fair”、フィルム破断して剥離困難である場合は“Poor”と判断した。結果を表3に示した。
マーキングフィルムの熱収縮性試験(実施例7〜14、比較例4〜6、及び参考例1)
フィルムサンプルを、長さ100mm×幅50mmに切断し試験片とした。23℃の環境下で試験片をアルミ板にスキージで貼り付け、24時間放置する。その後、サンプルにクロスカットに切り込みを入れ、65℃オーブンで24時間養生する。オーブンから取り出し室温に戻してからクロスカットの開きをルーペで測定した。結果を表3に示した。
実施例1〜6、及び比較例1〜3
表1に記載のポリマー及び顔料に、MIBKを40質量部添加し、ペイントシェイカー(株式会社シンキー(Thinky)製ARE250)で10分間攪拌して着色剤を得た。
実施例7〜14
ベースフィルム層の製造
ポリマー1を100質量部と、ポリマー2を70質量部混合してポリマー溶液を準備した。得られたポリマー溶液に、架橋剤2を、ポリマー2が100質量部に対して3質量部となるように添加した。得られた組成物を、50μmの剥離処理ポリエステルフィルムにナイフコートにより塗布し、95℃で5分間、続いて155℃で2分間乾燥及び架橋した。その後、剥離処理ポリエステルフィルムを除去して厚さ50μmの透明アクリルフィルム(ベースフィルム層)を得た。
着色剤の製造
実施例1〜6と同様にして、表2に記載した組成及び量の顔料及びポリマー1またはポリマー3を混合して着色剤1〜6を製造した(実施例7〜10、12〜14)。
実施例1〜6と同様にして、表2に記載した量の、顔料1とポリマー1、顔料2とポリマー3をそれぞれ混合して着色剤1及び着色剤3を製造した後、これらを混合した(実施例11)。
粘着剤層の製造
得られた着色剤に、粘着剤1を混合し、続いて、架橋剤を混合して粘着剤組成物溶液を得た。粘着剤組成物溶液中の、溶剤以外の成分、及びのその含量(配合比)は、表2に記載のとおりである。得られた粘着剤組成物溶液を、ナイフコートにより紙ベース両面ポリエチレンラミネート剥離紙上に乾燥後の厚さが30μmになるように塗布した。その後、90℃で5分間加熱し、乾燥及び架橋して、粘着剤層を得た。
マーキングフィルムの製造
得られた粘着剤層とベースフィルム層とをドライラミネートし、マーキングフィルムを得た。
比較例4〜6、及び参考例1
粘着剤の製造
顔料3に、MIBKを50質量部添加し、ペイントシェイカー(株式会社シンキー(Thinky)製ARE250)で10分間攪拌して着色剤を得た。得られた着色剤に、粘着剤1を混合した後、架橋剤を添加して粘着剤組成物溶液を得た。各成分の含量(配合比)は表2に記載のとおりである。尚、顔料3には、あらかじめアクリル系樹脂成分が6質量部含まれていた。(比較例4)
実施例3と同様の着色剤3を準備した。得られた着色剤に、粘着剤1を混合した後、架橋剤を添加して粘着剤組成物溶液を得た。各成分の含量(配合比)は表2に記載のとおりである。(比較例5)
粘着剤1が100質量部に対して、顔料1を15質量部、架橋剤1を0.2質量部(固形分比)、さらに酢酸エチルを300質量部、MIBKを50質量部添加しペイントシェイカーで30分間攪拌し、粘着剤組成物溶液を得た。(比較例6)
粘着剤1が100質量部に対して架橋剤1を0.2質量部添加した(固形分比)。顔料は添加しなかった。(参考例1)
マーキングフィルムの製造
得られたそれぞれの粘着剤組成物溶液を、実施例7〜14と同様に製膜後、透明アクリルフィルムとドライラミネートしてマーキングフィルムを得た。(比較例4〜6、及び参考例1)
Figure 2008308646
Figure 2008308646
*1:着色剤に、さらに添加したポリマー1の含量を示した。
Figure 2008308646
*2:顔料と粘着性ポリマーとの相溶性

Claims (17)

  1. カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、顔料または染料、及び芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含むアクリル系着色粘着剤。
  2. カルボキシル基含有(メタ)アクリル系粘着ポリマー、及び
    顔料または染料、及び芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーからなる着色剤を含むアクリル系着色粘着剤。
  3. 芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及び
    顔料または染料、及びカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーからなる着色剤
    を含むアクリル系着色粘着剤。
  4. 前記着色剤に含まれるカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーが、さらにヒドロキシル基を含有するモノマーを含む請求項3に記載のアクリル系着色粘着剤。
  5. 前記顔料または染料が、有機系の顔料または染料である請求項3または4に記載の(メタ)アクリル系着色粘着剤。
  6. 前記顔料または染料が、白以外の顔料または染料である請求項3〜5のいずれか一項に記載のアクリル系着色粘着剤。
  7. さらに架橋剤を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載のアクリル系着色粘着剤。
  8. 次の工程1及び2からなるアクリル系着色粘着剤の製造方法。
    工程1:顔料または染料と、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合して着色剤を調製する工程、及び
    工程2:工程1で得られた着色剤に、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合する工程。
  9. 次の工程1及び2からなるアクリル系着色粘着剤の製造方法。
    工程1:顔料または染料と、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合して着色剤を調製する工程、及び
    工程2:工程1で得られた着色剤に、芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを混合する工程。
  10. 前記工程1において、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーが、さらにヒドロキシル基を含有するポリマーである請求項9に記載のアクリル系着色粘着剤の製造方法。
  11. 前記工程1において、前記顔料または染料が、有機系の顔料または染料である請求項9または10に記載のアクリル系着色粘着剤の製造方法。
  12. 前記工程1において、前記顔料または染料が、白以外の顔料または染料である請求項9〜11のいずれか一項に記載のアクリル系着色粘着剤の製造方法。
  13. 前記工程2において、さらに架橋剤を混合する請求項8〜12のいずれか一項に記載のアクリル系着色粘着剤の製造方法。
  14. ベースフィルム層と、請求項1〜7のいずれか一項に記載されたアクリル系着色粘着剤からなる粘着剤層とを有するマーキングフィルム。
  15. ベースフィルム層と、請求項8〜13のいずれか一項に記載された方法により得られたアクリル系着色粘着剤からなる粘着剤層とを有するマーキングフィルム。
  16. 前記ベースフィルム層が、透明なフィルムである請求項14または15に記載のマーキングフィルム。
  17. 前記粘着剤層の、前記ベースフィルムとは反対側の面にライナーを設けた請求項14〜16のいずれか一項に記載のマーキングフィルム。
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