JP2008297336A - ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008297336A
JP2008297336A JP2007141734A JP2007141734A JP2008297336A JP 2008297336 A JP2008297336 A JP 2008297336A JP 2007141734 A JP2007141734 A JP 2007141734A JP 2007141734 A JP2007141734 A JP 2007141734A JP 2008297336 A JP2008297336 A JP 2008297336A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
resin composition
producing
component
polyester
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007141734A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5194565B2 (ja
Inventor
Hitoshi Yoshimura
仁 吉村
Shoji Aono
正二 青野
Yuzo Shimizu
有三 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2007141734A priority Critical patent/JP5194565B2/ja
Publication of JP2008297336A publication Critical patent/JP2008297336A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5194565B2 publication Critical patent/JP5194565B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 低屈折率で、低ゲル化率等の熱安定性に優れたポリエステル樹脂組成物を効率よく製造し、それを多層積層フィルムとした際に、光弾性係数が小さく、光反射性に優れたフィルムを提供する。
【解決手段】 少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含むポリエステル樹脂組成物を製造するに際して、重縮合触媒としてチタン化合物、酸化防止剤として3価のリン化合物を含有して重縮合反応を行い、重縮合反応終了後、更に3価のリン化合物を混練することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含有する耐熱性の劣るポリエステル樹脂組成物の製造方法の改良技術に関するものである。
脂環族成分を含有するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下PET)などの芳香族ポリエステルとは異なった光学特性、結晶化特性、機械特性を有しており、該ポリエステル単独で、または芳香族ポリエステルと組み合わせて使用される。
例えば、特許文献1では、環状アセタール骨格を有したポリエステル樹脂組成物に対して、リン系酸化防止剤等を配合させたポリエステル樹脂が、特許文献2では、チタン化合物の存在下でエステル交換反応を進め、黄色度が小さいポリエステル樹脂を得る製造方法が示されている。
しかしながら、特許文献1では、アンチモン触媒にてポリエステル樹脂を製造し、その後にリン系酸化防止剤をブレンド・混練するものであり、ポリエステル樹脂製造中におけるアンチモン触媒による脂環族成分の開裂等によるゲル化(高架橋化)の問題には対応できない。また、特許文献2ではチタン化合物をエステル交換などのオリゴマー化工程に存在させて脂環族成分をポリエステル樹脂に共重合させることで黄色度が小さく、昇華物の少ないポリマーが得られることについて記載されているが、チタン化合物を使用することによりゲル化はある程度抑制されるものの、重縮合反応中に3価のリン化合物を添加していないため重縮合反応中にゲル化が発生したり、リン化合物を重縮合反応前に添加しているため、重縮合触媒が失活しない程度の量しかリン化合物を添加することができず、ポリエステル樹脂を製造後、長期的にフィルムを製造する等の後工程において、熱劣化により脂環族成分の開裂等が起こるためゲル化抑制としては不十分である。
特開2004−67830号公報 特開2006−225621号公報
本発明の目的は、上記した従来の課題を解決し、熱安定性に優れた脂環族成分含有ポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
前記した本発明の目的は、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含む下記式(1)〜(4)を満足するポリエステル樹脂組成物を製造するに際して、重縮合触媒としてチタン化合物、酸化防止剤として3価のリン化合物を含有せしめて重縮合反応を行い、重縮合反応終了後、更に3価のリン化合物を混練することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法によって達成される。
65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移点温度≦90℃・・・(1)
1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2)
0.5≦チタン元素≦50ppm・・・(3)
75≦リン元素≦1000ppm・・・(4)
本発明によれば、重合触媒としてチタン化合物、酸化防止剤として3価のリン化合物を用いることで、重縮合反応中での脂環族成分の解裂によるゲル等の発生が少なく、また、重縮合反応後においても3価のリン化合物を多量に混練しているため、長期間にわたってフィルム等を製造する場合に熱安定性に優れたゲルの少ない脂環族成分含有ポリエステル樹脂成型体を製造することができる。
本発明によるポリエステル樹脂組成物の製造方法は、液晶ディスプレイに好適な低光弾性係数を有したポリエステル樹脂組成物を得ることができ、また光反射性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含む下記式(1)〜(4)を満足するポリエステル樹脂組成物を製造するに際して、重縮合触媒としてチタン化合物、酸化防止剤として3価のリン化合物を含有せしめて重縮合反応を行い、重縮合反応終了後、更に3価のリン化合物を混練することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法である。
65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移点温度≦90℃・・・(1)
1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2)
0.5≦チタン元素≦50ppm・・・(3)
75≦リン元素≦1000ppm・・・(4)
本発明の製造方法によるポリエステル樹脂組成物は、ガラス転移点温度(以下Tg)が65℃から90℃の範囲にあることが必要である。
Tgが65℃未満の場合、耐熱性が不足するため、本製造方法によって得られたポリエステル樹脂組成物またはその成形体の光学特性が経時変化しやすく、またポリエチレンテレフタレート等と積層製膜する際には積層樹脂間のTg差が大きくなるために積層ムラ等発生し、製膜安定性が損なわれる。積層フィルムとする場合、本発明の製造方法によって得られるポリエステル樹脂のTgを積層ポリマーのTgと合致させることが好ましく、積層ポリマーのTg(Tg1)と本発明におけるポリエステル樹脂のTg(Tg2)の差(|Tg1−Tg2|)が10℃以内、さらには5℃以内であることが好ましい。
Tgが90℃を超える場合には、PET等を積層する際にTg差が大きくなりすぎるために、上記同様、積層ムラ等が発生し、製膜安定性が損なわれ、またポリエステル樹脂の屈折率を低くすることが困難になってくる。よって本発明におけるポリエステル樹脂のTgは、70〜87℃の範囲が好ましく、さらには75〜85℃の範囲が好ましい。
本発明の製造方法によって得られるポリエステル樹脂の屈折率については、1.500〜1.570の範囲にあることが必要である。屈折率を1.500未満とすることはポリエステル樹脂では困難であり、1.570を超える場合には、積層ポリマーとの屈折率差が小さくなるため、得られた積層フィルムの光反射性が小さくなる。さらに本発明の製造方法によって得られるポリエステル樹脂の屈折率は、1.510〜1.560の範囲であることが好ましい。なお、本発明における屈折率は、23℃の条件にてナトリウムD線を用いて測定した屈折率を指す。
本発明の製造方法では、前記した特性を与えるために、ポリエステル樹脂は少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含むことが必要である。ポリエステル樹脂に含まれる芳香環はTgを高める効果があるが、同時に屈折率を高め、光弾性係数を高める効果がある。光弾性係数が大きい場合、フィルムに応力が作用した際に位相差が大きく変化するため、液晶ディスプレイ用途のフィルムには不適当である。
そこで、本発明では、この芳香環成分を脂環族ジカルボン酸成分や脂環族ジオールで置換することにより、屈折率や光弾性係数を低減させている。本発明における脂環族ジカルボン酸成分としては、シクロヘキサンジカルボン酸成分やデカリンジカルボン酸成分等を挙げることができる。特に入手の容易性や重合反応性の観点からはシクロヘキサンジカルボン酸成分が好ましい。シクロヘキサンジカルボン酸成分は、シクロヘキサンジカルボン酸やそのエステルを原料として用いることができる。
なお、シクロヘキサンジカルボン酸成分など脂環族成分には立体異性体として、シス体、トランス体が存在するが、本発明ではトランス体比率が40%以下であることが好ましい。トランス体比率が高いと光弾性係数が大きくなるため劣る傾向にある。また、トランス体は、シス体に比べ、融点が高いため、トランス体比率が高くなると、室温程度で保管、または、輸送中等に、容易に凝固し、沈降してしまい、不均一となり反応性が悪くなるだけでなく、取り扱い上においても作業性が悪くなる。よって、トランス体比率は、好ましくは、35%以下、より好ましくは、30%以下である。
本発明における脂環族ジオールとしては、スピログリコール成分やイソソルビド成分が好ましく、特に得られるポリエステルの色調の観点からスピログリコール成分が好ましい。ここでスピログリコールとは3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを指す。
本発明において、例えばPETの場合、テレフタル酸成分(芳香環成分)をシクロヘキサンジカルボン酸等で置換するとTgが低下する。そこでスピログリコール成分やイソソルビド成分など脂環族ジオール成分をエチレングリコール成分に置換することでTgが上昇し、結果として本発明のポリエステル組成物と積層するPETと同程度のTgに調整することができる。Tgを上昇させる効果はスピログリコール成分やイソソルビド成分において顕著である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ゲル化率が50%以下であるポリエステル樹脂組成物を得ることができる。ゲル化率とは、ポリエステル樹脂組成物を大気下、300℃×2.5hrの条件で加熱処理後、オルト―クロロフェノール不溶物重量の全体に対する割合である。スピログリコールを共重合したポリエステル樹脂組成物は、スピロ環を有することから、酸性、水分含有下、熱により分解してゲル化する特徴がある。よって、このゲル化率が50%以上の場合、ポリエステル樹脂組成物が著しくゲル化しやすいポリマーであることを意味し、例えば、重縮合後、ストランド状に吐出する際に、形状がフシ糸状となって、カッターでカッティングできなくなることや製膜する際のフィルター濾過工程で多量のゲルにより濾圧が異常に上昇したり、積層フィルムの表面欠点が増加したり、多層積層フィルムの積層厚みが変動する等の問題を生じることがある。
本発明の製造方法では、ゲル化の抑制の観点から、反応活性が高く少量で重縮合反応できるチタン化合物を用いることが好ましく、チタン元素として0.5〜50ppm含有することが必要である。50ppmを越える場合は、含有する金属量が増えることからゲル化が促進されたり、色調b値が著しく高くなる。また、0.5ppm未満の場合は、重合活性が十分でないため、目標のIVまで到達しないことや結果的に高温下での滞留時間が長くなることでゲル化が促進されるため好ましくない。よって、チタン原子の含有量は、好ましくは3〜40ppm、より好ましくは5〜30ppmである。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、重縮合用触媒としてのチタン化合物の置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基、水酸基の少なくとも1種であるチタン化合物が好ましく用いられる。
具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系官能基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系官能基、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系官能基が挙げられ、特に脂肪族アルコキシ基が好ましい。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系官能基、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸系官能基が挙げられ、特に脂肪族アシレート基が好ましい。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
本発明の製造方法において、前記チタン触媒は、重合反応器内の減圧を始める前に反応系へ添加させることが好ましい。しかしながら、ジカルボン酸成分とグリコール成分からエステル交換反応やエステル化反応によって低重合体を製造する段階においては、チタン触媒は存在させない方が好ましい。低重合体を得る反応前または反応中にチタン触媒を添加した場合、チタン触媒に起因した微細粒子が発生し、得られたポリエステル樹脂に濁りが発生するため好ましくない。チタン触媒の添加時期は、低重合体を得るエステル交換反応やエステル化反応が実質的に終了した後から反応容器内を減圧する前の間を選択することが最も好ましい。
本発明において、得られるポリエステル樹脂組成物は、リン化合物をリン元素換算で75〜1000ppm含有することが必要である。リン化合物の含有量がリン元素換算で75ppm未満である場合、ポリエステル樹脂組成物の熱安定性は不足しており、重縮合反応中に熱劣化異物を発生させたり、長期間におよんで製膜する際に熱劣化物がフィルム欠点として発生する。一方、リン化合物の含有量がリン元素換算で1000ppmを超える場合、反応触媒等と反応して内部粒子を生成し、フィルムの欠点となったり、ヘイズが高くなってしまう。
本発明において、使用されるリン化合物は、3価のリン元素であることが必要である。3価のリン化合物は、ポリエステル樹脂組成物の重縮合反応中における熱劣化を抑制する効果や色調を改善させる効果が大きい。
このような3価のリン化合物として、例えば亜リン酸エステル、ジアリール亜ホスフィン酸アルキル、ジアリール亜ホスフィン酸アリール、アリール亜ホスホン酸ジアルキル、アリール亜ホスホン酸ジアリールを挙げることができ、具体的にはトリフェニルホスファイト、トリス(4−モノノニルフェニル)ホスファイト、トリ(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ビス[2,4−(ビス1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、3,9―ビス(2,4−ジクミルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、フェニル−ネオペンチレングリコール−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,4―ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラ(C12〜C15アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。
また、5価のリン化合物については、特に限定されないが、例えばリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系化合物等を挙げることができ、中でもこれらのエステル化合物が、3価のリン化合物と併用して好ましく使用される。
3価のリン化合物の添加方法としては、通常一般的に実施されているエステル化もしくはエステル交換反応後、重縮合反応前に添加することに加えて、重縮合反応が終了したポリマーに別途混練機で練り込む必要がある。脂環族化合物を含む該ポリエステル樹脂組成物は、耐熱性が悪いため、ゲル化抑制の観点から重縮合触媒として、チタン化合物を使用している。しかし、このチタン化合物は、リン化合物の存在下、失活することが知られており、そのため、重縮合反応前の3価のリン化合物の添加量はおのずと制限され、チタン化合物の添加量で失活しない最大量の3価のリン化合物を、重縮合反応中のゲル化や熱劣化を抑制するために添加する必要がある。そして、重縮合反応前に添加できなかった3価のリン化合物については、製膜してフィルムにする際にフィルムの表面欠点等を発生させない程度の十分な量の3価のリン化合物量を、重縮反応後のポリマーに別途混練機を用いて練り込む必要がある。また、このような3価のリン化合物を多量に添加する際には、3価のリン化合物のポリマー中への分散性においても、重合反応装置内で添加するよりも、混練機で練り込む方が均一に分散され好ましい。
ポリエステル樹脂組成物に、3価のリン化合物を混合、混練する方法は、種々公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合した後、スクリューを有する押出機にて溶融混練することが好ましい。また、押出機については、このような非晶性のポリエステル化合物においては、乾燥・結晶化工程を必要としないベント式の混練押出機を使用することが好ましい。
本発明において、重合中のポリエステル樹脂の熱劣化、着色抑制の観点から重合温度は260〜290℃の出来るだけ低温で実施することが好ましい。重縮合温度とは、通常、230〜240℃から徐々に温度を上げていき、ある目標の温度に到達した後は一定の温度で重縮合するため、その最終の一定温度のことである。290℃より高い場合は、重合は促進されるものの、熱劣化物が発生しやすく、また、260℃より低い場合は、重合活性が落ち、重合時間が遅延することで熱劣化物が発生しやすいために好ましくない。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物は、屈折率や光弾性係数を低下させるために、ポリエステル樹脂組成物1kg中に含有される芳香環モル数を4.8モル以下とすることが好ましい。4.8モルを超える場合には屈折率や光弾性係数が増大する傾向にあるため好ましくない。なお、本発明における芳香環モル数とはベンゼン環モル数を基本単位としている。本発明における定義をPETとPENを例にして説明する。
PETの場合、基本繰り返し単位の分子量は192であるため、ポリマー1kg当たりの基本繰り返し単位数は5.2となる。基本繰り返し単位中にテレフタル酸成分(ベンゼン環1個相当)は1モル含まれるため、PETの芳香環モル数は5.2と計算される。一方、PENの場合、基本繰り返し単位の分子量は242であり、ポリマー1kg当たりの基本繰り返し単位数は4.1である。基本繰り返し単位中にナフタレンジカルボン酸成分は1モル含まれるが、ナフタレン環はベンゼン環2個に相当するため、PENの芳香環モル数は8.2モルと計算する。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物は、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含むが、その他ジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分から選択される少なくとも一種のジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して20〜95モル%含有することが好ましい。またグリコール成分については、エチレングリコール成分をグリコール成分として20〜95モル%含有することが好ましい。前記した芳香族ジカルボン酸成分が20モル%未満の場合、Tgを65℃以上にすることが難しくなったり、例えばPETやPENと積層する際にはこれらの樹脂との層間接着性が悪化してくる。同様にエチレングリコール成分が20モル%未満の場合、PETやPENと積層した際、これらの樹脂との層間接着性が悪化してくる。一方、芳香族ジカルボン酸成分が95モル%を超える場合、屈折率や光弾性係数を低減することが難しくなり、エチレングリコール成分が95モル%を超える場合にはTgを65℃以上にすることが難しくなる。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、脂環族ジカルボン酸成分、脂環族ジオールの含有量は、前記記載よりそれぞれ5〜80モル%の範囲が好ましく、さらに8〜50モル%が好ましい。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物は、非晶性であることが好ましく、また前記した共重合範囲では実質的に非晶性である。本発明における非晶性とは、DSC測定において融解熱量が4J/g以下であることをいう。このような非晶性のポリエステル樹脂組成物はフィルム製造においてその光学特性が変化しにくく、好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂組成物に含有される芳香族ジカルボン酸成分は、前記した種類から少なくとも選択されるが、屈折率や光弾性係数の観点からテレフタル酸成分やイソフタル酸成分が好ましく、これらは同時に使用してもかわまない。特にテレフタル酸成分はその他ポリエステル樹脂組成物との接着性等の観点から主に使用することが好ましい。その他ジカルボン酸成分としては、特性の許す限り従来公知のものを共重合しても構わない、グリコール成分についても同様である。このような成分としては、例えばアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸やそのエステル、4,4’−ビスフェニレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸やそのエステル、ジエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。さらに無機粒子、有機粒子、染料、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、ワックス等を含有させても構わない。
本発明において、ポリエステル樹脂組成物は、金属成分としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Co、Mnから選択される元素を含有することが好ましい。これらの金属元素を含有することでポリエステル樹脂組成物をフィルム成形する際の静電印加性が向上する。なおアルカリ金属の場合、Naはポリエステル樹脂組成物を黄色く着色しやすいので、Kがより好ましい。アルカリ土類金属ではCaは異物を形成し易いので、Mgがより好ましい。Zn、Co、MnではMnが異物や色調の点から好ましい。このなかでもMgとMnが樹脂の透明性の観点から好ましく、特にMnが好ましい。
前記した金属化合物は、エステル交換反応触媒を兼ねても構わない。特にマンガン化合物はエステル交換反応での活性が強く、好ましい。金属化合物はポリエステルに可溶なものが好ましく、水酸化物や塩化物、酢酸塩が好ましく、特に酢酸塩が好ましい。
次に本発明のポリエステル樹脂組成物およびフィルムの各製造方法について詳しく説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法は、ジカルボン酸とジオールとをエステル化させて低重合体を合成し、次いでこれを重縮合する方法とジカルボン酸エステルとジオールとをエステル交換反応させて低重合体を合成し、次いでこれを重縮合する方法を採用することができる。スピログリコールは酸成分によって分解しやすいため、分解を避けるためにエステル交換反応によって重合することが好ましい。
エステル交換法の場合、原料として例えばテレフタル酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールを所定のポリマー組成となるように反応缶へ仕込む。この際には、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加すれば反応性が良好となる。これらを150℃程度で溶融したのち酢酸マンガンなどをエステル交換反応触媒として添加する。150℃では、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。次いで反応容器内を235℃まで昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施する。このようにしてエステル交換反応が終了した後トリメチルリン酸等のエステル交換反応触媒失活剤を添加する。
次いでクエン酸チタンキレートやテトラブチルチタネート等のチタン系重合触媒を添加する。重合触媒の添加が終了したら反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度をゆっくり285℃まで昇温しながら装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧する。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは水槽で急冷して、カッターでチップとする。
このようにしてポリエステル樹脂組成物を得ることができるが、上記は一例であって、モノマーや触媒および重合条件はこれに限定されるわけではない。
このようにして得られたポリエステル樹脂組成物は、光弾性係数が低く、液晶ディスプレイ用フィルムとして好適である。またPET等を交互に積層したフィルムは光反射性に優れ、反射材用途に好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステルの熱特性(ガラス転移点、結晶融解熱量)
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7型)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温した後液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温する。この2度目の昇温過程でガラス転移点を測定した。
また、結晶融解熱量は、2度目の昇温過程で現れる結晶融解ピークの面積から算出した。
(2)ポリエステルの屈折率
ポリエステル樹脂組成物を溶融押し出しすることで厚さ100μmの未延伸シートを得る。ついで光源としてナトリウムD線を用い23℃の温度条件にて株式会社アタゴ製 「アッベ式屈折率計 NAR−4T」で屈折率を測定した。
(3)固有粘度
固有粘度はオルトクロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定した。
(4)ゲル化率
ポリエステル樹脂組成物1gを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状とし真空乾燥する。この試料を、オーブン中で、大気下、300℃で2.5時間熱処理する。これを、50mlのオルトクロロフェノール(OCP)中、80〜150℃の温度で0.5時間溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル樹脂組成物重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
(5)シクロヘキサンジカルボン酸のシス、トランス体比率
試料をメタノールで5〜6倍に希釈し、その希釈溶液を0.4μlを液体クロマトグラフィーで下記条件にて測定した。
装置:島津製LC−10ADvp
カラム:キャピラリーカラム Agilent Technologies社製DB−17(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)
昇温条件:初期温度110℃、初期時間25分、昇温速度6℃/min、最終温度200℃
(6)ポリエステルの色調
ポリエステルチップを色差計(スガ試験機社製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(L,b値)として測定した。
(7)ポリマーのヘイズ値
ポリエステルチップ2gをo−クロロフェノール20mlに溶解し、光路長20mmの石英セルおよびヘイズメーター(スガ試験機社製 HGM−2DP型)を用い、積分球式光電光度法によって溶液のヘイズ値を測定した。
(8)ポリエステル樹脂組成物中のチタン元素、リン元素、アンチモン元素の含有量
堀場製作所製蛍光X線装置(型番MESA−500W)を用い、ポリマの蛍光X線の強度を測定した。この値を含有量既知のサンプルで予め作成した検量線を用い、金属含有量に換算した。
(9)光弾性係数(×10−12Pa−1
短辺1cm長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルの厚みをd(μm)とする。このサンプルを(株)島津製作所社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをチェックに挟み長辺方向に1kg/mm(9.81×10Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いて位相差R(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=R/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。
光弾性係数が100未満の場合を合格とした。
(10)反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotometer)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率のピーク値を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のBaSO板を用いた。なお、本評価法では相対反射率となるため、反射率は100%以上となる場合もある。
(11)剥離性
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。また、試験フィルムの厚みが100μmより薄い場合には、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(東レ製“ルミラー”T60)に試験フィルムを接着剤で強固に貼りあわせしたサンプルを剥離試験に用いた。この際には、試験サンプルを貫通しないように試験サンプルの面に格子を切り込んでテストを実施した。剥離個数が4個以下を合格とした。
なお、以下に触媒の合成方法を記す。
参考例1(触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
参考例2(触媒B.乳酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
参考例3(触媒C.チタンアルコキシド化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。
実施例1
(ポリエステルの合成)
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、シス/トランス体比率が75/25である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(以下、CHDA)を17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコール(以下、SPG)を20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部をそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリエチルホスホノアセテート(以下、TEPA)を0.02重量部(P元素として28ppm)含んだエチレングリコール溶液および旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)0.15重量部(P元素として147ppm、以下、PEP36)を添加しエステル交換反応を終了した。トリエチルホスホノアセテートを添加した後10分間撹拌してチタン触媒Aをチタン原子として20ppmとなるように添加した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から285℃まで昇温した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、固有粘度0.72のチップを得た。
上記チップにPEP36を重量比で0.15wt%となるようにブレンドした後、65mm、L/Dが31.5のベント式二軸押出機で、250℃で溶融押し出しし、固有粘度0.65、ゲル化率1.0%、色調b値10、ヘイズ1.0と耐熱性に優れたポリエステル樹脂組成物を得た。
同様にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを64重量部用いる以外は前記と同様にしてPET樹脂を重合した。得られたPET樹脂の固有粘度は0.65でありTgは80℃であり、結晶融解熱ピークは観察されなかった。
(単層2軸延伸フィルムの製膜)
ポリエステルチップを上記ベント式二軸押出機に供給し、溶融後、金属不織布フィルターによって濾過されたのち、Tダイから溶融シートとして押し出した。溶融シートは静電印加法(電極は直径0.15ミリのタングステンワイヤーを使用)によって表面温度が25℃に制御された鏡面ドラム上で冷却固化され、未延伸シートとなった。該未延伸シートを用いて光弾性係数を測定した。
光弾性係数は85×10−12Pa−1であった。
(積層ポリエステルフィルムの製膜)
前記ポリエステルAおよびPET樹脂をそれぞれ2台のベント式二軸押出機にそれぞれ供給した。
ポリエステルAおよびPET樹脂は、それぞれ、押出機にて溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、101層のフィードブロックにて合流させた。このとき、積層フィルムの両表層がPET樹脂層となるようにし、積層厚みはポリエステルA層/PET樹脂層が1/2となるように交互に積層した。すなわちポリエステルA層は50層、PET層は51層となるように交互に積層した。
このようにして得られた101層からなる積層体を、ダイに供給し、シート状に押し出し、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、ロール式縦延伸機に導き、90℃に加熱されたロール群によって加熱し、周速の異なるロール間で長手方向に3倍に延伸した。縦方向に延伸が終了したフィルムは、次いでテンター式横延伸機に導いた。フィルムはテンター内で100℃の熱風で予熱し、横方向に3.3倍に延伸した。延伸されたフィルムはそのままテンター内で200℃の熱風にて熱処理した。このようにして厚さ50μmのフィルムを得ることができた。
得られたポリエステル樹脂組成物とフィルムの特性を表1、2に示す。本発明のポリエステル樹脂組成物は光弾性係数が85×10−12Pa−1であり、屈折率1.550も低いために積層フィルムとした際には優れた光反射性を有していた。
実施例2
チタン触媒の種類を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。さらに実施例1で重合したPET樹脂を用い、同様の条件で積層フィルムを得た。結果を表1、2に示す。チタン触媒の種類による物性の変化をほとんどなく満足すべき特性を示した。
実施例3
チタン触媒の種類をキレートからアルコキシドに変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。さらに実施例1で重合したPET樹脂を用い、同様の条件で積層フィルムを得た。結果を表1、2に示す。実施例1に比べ、ゲル化率、色調b値、ヘイズが若干悪化したものの、品質として満足すべき特性を示した。
実施例4〜5
CHDA、SPGの量比を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。さらに実施例1で重合したPET樹脂を用い、同様の条件で積層フィルムを得た。
結果を表1、2に示す。実施例4も満足すべき特性を示したが、芳香環モル数が大きいために光弾性率が若干増加した。また実施例5は屈折率が十分低いために優れた光反射性を示したが、共重合成分量が増加したためにPETとの相溶性が低下し、層間剥離性が弱く、SPGの共重合量が多いためゲル化率が若干高くなった。
実施例6〜7
Ti触媒量を変更する以外は実施例1と同様とした。結果を表1、2に示すが、実施例6はTi触媒量が多いため若干ゲル化率が高く、b値が上昇した。一方、実施例7は、Ti触媒量を少なくしたため、反対に、ゲル化率、b値共に低い良好な結果を得た。
実施例8〜11
混練に用いるPEP36を0.05、0.50、1.00、1.30wt%とした以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1、2に示す。実施例8は、混練後のポリエステルのリン量が75ppmと少ないため、ゲル化率が若干上がる結果となった。
また、実施例9は、混練後のポリエステルのリン量が420ppmであるためゲル化率は低くなったが若干へイズが上昇した。実施例10、11も実施例9と同様の傾向を示した。
実施例12
CHDAのシス、トランス体の比が、トランス体40%のものを使用した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1、2に示す。重合時にトランス体の析出により仕込み配管等が若干詰まり気味になり、得られたフィルムもトランス体が多いことから若干光弾性係数が高くなった。
実施例13
CHDAの代わりにデカリン酸ジメチル25molに変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1、2に示す。品質は満足したものの若干剥離性が悪いものであった。
実施例14
SPGの代わりにイソソルビド10molに変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1、2に示す。品質は満足したものの若干色調b値が高いものであった。
比較例1
実施例1のPET樹脂の重合において、CHDAの代わりにイソフタル酸を15mol共重合し、スピログリコールは共重合せず、重縮合触媒として通常の三酸化アンチモン0.02wt%を使用する以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合し、積層フィルムを得た。結果を表1、2に示すが、脂環族ジカルボン酸成分、脂環族ジオール成分のいずれも含有しないために屈折率、光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も小さいものであった。
比較例2
実施例1のPET樹脂の重合において、CHDAは共重合せず、SPGの代わりにシクロヘキサンジメタノール成分を30mol共重合して、重縮合触媒として通常の三酸化アンチモン0.02wt%を使用する以外は同様にしてポリエステルを重合し、積層フィルムを得た。結果を表1、2に示すが、屈折率は低下したものの、若干光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も若干劣るものであった。
比較例3
実施例1のPET樹脂の重合において、CHDAは共重合せず、SPGを45mol共重合して、重縮合触媒として通常の三酸化アンチモン0.02wt%を使用する以外は同様にしてポリエステルを重合し、積層フィルムを得た。結果を表1、2に示すが、Tg、ゲル化率が非常に高く、積層フィルムの剥離性も劣るものであった。また、重縮合反応中に低分子量物の飛沫が多く、真空回路を少し閉塞し、真空度不良が発生した。
比較例4
実施例1のPET樹脂の重合において、CHDAを25mol共重合し、SPGは共重合せず、重縮合触媒として通常の三酸化アンチモン0.02wt%を使用する以外は同様にしてポリエステルを重合し、積層フィルムを得た。結果を表1、2に示すが、屈折率は目標範囲内であるが、Tgが下がり、積層フィルムの剥離性に劣り、反射率も小さいものであった。
比較例5
チタン触媒をチタン元素として60ppm添加する以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。結果を表1、2に示すが、チタン原子が多量であったため非常にゲル化が促進され、b値が高いものであった。
比較例6
チタン触媒をチタン元素として0.4ppm添加する以外は、実施例1と同様の方法で重合したが、結果を表1、2に示すように、チタン原子が微量であったため、重合時間は延長し、結局、目標の重合度のものは得ることができなかった。
比較例7
混練に使用するリン化合物を1.50wt%に変更する以外は実施1と同様の方法で積層フィルムを得た。結果を表1、2に示すが、混練後のポリエステル中のリン量は、1100ppmと非常に多くなり、ゲル化率は非常に低くなったものの、ヘイズが5.5%と高いものしか得られなかった。
比較例8
重縮合反応前にPEP36を1.50wt%添加する以外は、実施例1と同様の方法で重合したが、表1、2に示すように、Ti触媒が失活してしまい、目標の重合度のポリエステルを得ることはできなかった。
比較例9
重縮合反応前にPEP36を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法で実施したが、表1、2に示すように、混練工程において、恐らく重縮合時に生成したゲルや分解した低分子量物が、ベントラインに詰まり、途中で混練工程を停止せざる得なかった。
比較例10
重縮合反応の後半でPEP36を0.40wt%(添加後のFLXリン量合計は、310ppm)添加する以外は、実施例1と同様の方法で重合したが、添加直後に重合時の攪拌トルクが急激に上昇し、ストランド状に吐出するときにも太細ストランドが多数発生し、目的のものを得ることができなかった。該方法は、PEP36多量添加には不向きな処方であった。
Figure 2008297336
Figure 2008297336

Claims (7)

  1. 少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含む下記式(1)〜(4)を満足するポリエステル樹脂組成物を製造するに際して、重縮合触媒としてチタン化合物、酸化防止剤として3価のリン化合物を含有せしめて重縮合反応を行い、重縮合反応終了後、更に3価のリン化合物を混練することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
    65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移点温度≦90℃・・・(1)
    1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2)
    0.5≦チタン元素≦50ppm・・・(3)
    75≦リン元素≦1000ppm・・・(4)
  2. チタン化合物がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  3. チタン化合物のアルコキシ基がβ−ジケトン系官能基、ヒドロキシカルボン酸系官能基およびケトエステル系官能基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  4. 脂環族ジカルボン酸成分がシクロヘキサンジカルボン酸成分であり、全ジカルボン酸成分中5〜80モル%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  5. シクロへキサンジカルボン酸成分として立体異性体のシス、トランス体を含有し、トランス体の含有量が40%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  6. 脂環族ジオール成分がスピログリコール成分であり、全ジオール成分中5〜80モル%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  7. ポリエステルの繰り返し単位に含まれる芳香環モル数がポリエステル樹脂1kg当たりに換算して4.8モル以下である請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
JP2007141734A 2007-05-29 2007-05-29 ポリエステル樹脂組成物の製造方法 Expired - Fee Related JP5194565B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007141734A JP5194565B2 (ja) 2007-05-29 2007-05-29 ポリエステル樹脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007141734A JP5194565B2 (ja) 2007-05-29 2007-05-29 ポリエステル樹脂組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008297336A true JP2008297336A (ja) 2008-12-11
JP5194565B2 JP5194565B2 (ja) 2013-05-08

Family

ID=40171155

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007141734A Expired - Fee Related JP5194565B2 (ja) 2007-05-29 2007-05-29 ポリエステル樹脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5194565B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010136685A (ja) * 2008-12-12 2010-06-24 Ina Food Industry Co Ltd 水不溶性の積層可食フィルム及びその製造方法
JP2012512936A (ja) * 2008-12-18 2012-06-07 イーストマン ケミカル カンパニー スピログリコール、シクロヘキサンジメタノールおよびテレフタル酸を含むポリエステル組成物
JP2015166411A (ja) * 2014-03-03 2015-09-24 東レ株式会社 ポリエステル組成物およびその製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001510493A (ja) * 1996-06-11 2001-07-31 デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ ポリエステル製品
JP2007039660A (ja) * 2005-06-28 2007-02-15 Toray Ind Inc 光学用ポリエステル樹脂およびこれを含む光学用ポリエステルフィルム
WO2007053549A1 (en) * 2005-10-28 2007-05-10 Eastman Chemical Company Polyester compositions containing cyclobutanediol having a certain combination of inherent viscosity and moderate glass transition temperature and articles made therefrom

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001510493A (ja) * 1996-06-11 2001-07-31 デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ ポリエステル製品
JP2007039660A (ja) * 2005-06-28 2007-02-15 Toray Ind Inc 光学用ポリエステル樹脂およびこれを含む光学用ポリエステルフィルム
WO2007053549A1 (en) * 2005-10-28 2007-05-10 Eastman Chemical Company Polyester compositions containing cyclobutanediol having a certain combination of inherent viscosity and moderate glass transition temperature and articles made therefrom

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010136685A (ja) * 2008-12-12 2010-06-24 Ina Food Industry Co Ltd 水不溶性の積層可食フィルム及びその製造方法
JP2012512936A (ja) * 2008-12-18 2012-06-07 イーストマン ケミカル カンパニー スピログリコール、シクロヘキサンジメタノールおよびテレフタル酸を含むポリエステル組成物
JP2015166411A (ja) * 2014-03-03 2015-09-24 東レ株式会社 ポリエステル組成物およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5194565B2 (ja) 2013-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI422642B (zh) 聚酯樹脂組成物、其製法及積層聚酯薄膜
JP5140968B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたフィルム
JP5286644B2 (ja) ポリエステル樹脂およびこれを含むポリエステルフィルム
JP5135909B2 (ja) ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
JP5223243B2 (ja) ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
JP2010121080A (ja) ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
JP5205830B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP5018268B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP5194565B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP2013249364A (ja) ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
TW202028315A (zh) 聚酯薄膜及其製備方法
JP5115215B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物の製造方法
TWI801626B (zh) 聚酯膜及其製備方法
JP2011052190A (ja) ポリエステルの製造方法およびそれを用いたフィルム
JP5186775B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP5186745B2 (ja) ポリエステル組成物およびそれを用いたフィルム
JP6256106B2 (ja) ポリエステル組成物およびその製造方法
JP5205832B2 (ja) 積層フイルム用ポリエステル樹脂の製造方法
JP6236946B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP5581999B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP7400499B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2010111815A (ja) 光学用ポリエステル樹脂の製造方法
JP5444790B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物、その製造方法およびフィルム
JP2011046869A (ja) 高結晶性ポリエステル樹脂
JP2023091962A (ja) ポリエステル樹脂組成物とそれからなるフィルム、またポリエステル樹脂組成物の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100420

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130121

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5194565

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees