JP2008295946A - ミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ミシン1は、図示しない固定メスと固定メスに対して移動する動メス14とを備える糸切り手段と、カム溝12cが設けられたカム12と、図示しないミシンモータ2と、図示しない上軸の回転角度を検出することでカム12の回転角度を検出するエンコーダ3と、カム溝12cに対して係合可能に設けられて、連結リンク15を介して動メス14と連結されるコロ13と、コロ13をカム溝12cの入口に向かって進入させて係合させるエアシリンダ16と、ミシンモータ2及びエアシリンダ16を駆動制御する駆動装置4と、を備える。
【選択図】図5
Description
糸切り装置100は、図示しない軸に回転可能に支持される溝カム101と、溝カム101の溝部101aと係合可能に設けられて図示しない動メスと連結されたコロ102と、コロ102の側部に離接可能に設けられてアクチュエータ104の駆動によりコロ102を溝部101aの開口部101bから進入させるコロ操作部材103と、を備えている。
アクチュエータ104は図示しないミシンの制御装置によって駆動制御され、オペレータが糸切り操作を行うとアクチュエータ104のプランジャ部104aが収縮(図6の上方に移動)する。これにより、コロ操作部材103は軸103aを中心に回動し、コロ102を側部から押して溝カム101の開口部101bに向かって移動させる。このとき、溝カムは図示しないモータによって回転駆動しており、開口部101bから溝カム101の内側に位置したコロは溝カム101のエッジ部101cによって溝部101aの内側に導かれて溝部101aと係合する。その後、溝部101aの形状に従ってコロ102が溝カム101の軸方向にほぼ沿った方向に往復移動することにより、コロ102と連結された動メスが動作する。
なお、請求項2の「所定の低回転」とは、カム溝の入口から入るコロが、当該入口を過ぎた後に継続しているカム溝に好適に導かれるカムの回転速度となるミシンモータの回転速度をいう。
また、制御手段はカム溝の入口の回転角度がコロを進入可能な角度となった場合にモータの駆動を停止し、アクチュエータの駆動によってコロが入口に進入してから再度ミシンモータを駆動する。これによって、カムの回転角度すなわちコロがカム溝の入口に進入可能な角度となるタイミングに対してアクチュエータの駆動タイミングを厳格に制御する必要がなくなり、タイミングのずれによる動作不良を大幅に緩和できる。つまり、アクチュエータの駆動によって移動するコロはより確実にカム溝の入口に進入可能となる。よって、より確実に動作する糸切り装置を備えたミシンを提供でき、ミシンの信頼性がより大幅に向上する。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の一実施形態であるミシン1は、ミシン1による縫製においてオペレータの操作(例えば糸切りスイッチの操作等)により糸切りが指示されると、動メスと固定メスとの協働により糸を切断する糸切り装置10が自動的に糸切りを行うミシンである。
図1はミシン1の糸切り装置10の主要構成を示す斜視図である。図示しないミシン1は、ミシンベッド部内に糸切り装置10を備えている。
ミシン1はミシンアーム部の延設方向に配接された図示しない上軸と、上軸を回転させるミシンモータ2と、図示しないミシンアーム部の下部に設けられて図示しない縫い針を保持して上下動する図示しない針棒と、上軸の回転運動を上下動運動へと変換して針棒に伝達する図示しない上下動機構と、上軸の回転角度を検出するエンコーダ3と、上軸の回転を下軸11へ伝達する図示しない動力伝達機構と、下軸11と連動して回転する図示しない釜部と、ミシン1の各種動作を制御する「制御手段」としての駆動装置4と、を備えている。駆動装置4の制御によりミシンモータ2が駆動されると、上軸が回転し、上下動機構を介して針棒が上下動する。また、動力伝達機構を介して上軸の回転は下軸11に伝達され、下軸11が回転する。このとき、上軸の回転角度はエンコーダ3によって検出され、駆動装置4に出力されている。また、上軸と下軸11とは一定の回転比で連動していることから、エンコーダ3が検出する上軸の回転角度から、下軸11の回転角度も検出可能となっている。
針棒の上下動によって針板に設けられた針穴を通過した縫い針が上昇する際、縫い針の針穴に挿通された上糸は針板の下方においてループを形成する。当該ループは下軸11と連動して回転する外釜の剣先によって捕捉され、ボビンから導出された下糸が当該ループ内部を通るように導かれることにより周知のように縫い目が形成される。このとき、外釜の剣先に上糸のループが捕捉されている間は上糸及び下糸は共に針板の下方へと導出されている。糸切りの際には、糸切り装置10は針板の下方に外釜によって導出された上糸及び下糸を切断する。
次に、糸切り装置10について詳細に説明する。
図1に示すように、糸切り装置10は、下軸11に設けられて下軸11の回転に伴って回転するカム12と、カム12に設けられたカム溝12cと係合することで下軸11の配接方向にほぼ沿った方向に移動可能に設けられたコロ13と、連結リンク15を介してコロ13と連結して設けられてコロ13の移動と連動して所定方向に回動する動メス14と、コロ13をカム12側へ押圧移動させるエアシリンダ16と、を備えている。
なお、カム溝12cには出口12hが設けられており、カム溝12cに沿って移動したコロ13は出口12hからカム溝12cの外方へと導かれ、コロ13を待機位置(図1に示す位置)へと復帰する。
動メス14は上述の釜部と針板との間を往復回動するように設置されている。また、動メス14の先端部には糸を引っ掛けるための凹形状の引っかけ部14aが設けられている。動メス14は、前進(図1の下方向)回動によって引っ掛け部14aに針板の下方へ導出された上糸及び下糸を引っ掛けて捕捉する。また、動メス14は後退(図1の上方向)回動して針板の下方の所定位置に設けられた図示しない固定メスと接触する。このとき、動メス14と固定メスとは引っ掛け部14aの上糸及び下糸を挟み込むよう摺動し、上糸及び下糸を切断する。かようにして糸切り作業が行われる。よって固定メスと動メス14とは「糸切り手段」として機能する。なお、動メス14の引っ掛け部14aが引っ掛ける上糸は、針板の下方で形成された上糸のループのいずれか一箇所以上であればよい。
次に、コロ13がカム溝12cに係合するよう移動する仕組みについて詳細に説明する。
エアシリンダ16は少なくとも、その先端部がコロ13を挟んでカム12の端面12bと対向するよう設けられたプランジャ部16aと、プランジャ部16aを駆動する駆動部16bとを有する。プランジャ部16aは駆動部16bによって駆動されると、駆動部16bから伸縮するように移動する。また、駆動部16bは上述の駆動装置4によってその駆動を制御される。このとき、エアシリンダ16非動作時のプランジャ部16aはカム12に近傍する位置に待機しており、駆動部16bの駆動によってプランジャブ16aが動作するとコロ13に当接し、コロ13をカム12側に押圧してコロ13を移動させる。よって、エアシリンダ16は「アクチュエータ」として機能する。
図3に示すように、カム溝12cにはカム12の外周面12aと端面12bとの境界位置にコロ13がカム溝12cに滑り込むための入口12dが設けられている。エアシリンダ16はカム12に対して入口12dが設けられた端面12b側に配接されており、非切断時にはエアシリンダ16のプランジャ部16aとカム12の端面12bとの間にコロ13が配接されている。
ミシンモータ2の駆動により下軸11が回転すると、カム12が回転することでコロ13に対するカム溝12cの回転角度位置が相対変化する。このとき、カム溝12cの入口12dがコロ13と並んだ位置となると、後述する駆動装置4によりミシンモータ2が停止するよう制御されて下軸11及びカム12の回転が停止する。つまり、カム溝12cの入口12dがコロ13の側部に位置した状態でカム12が停止する。なお、入口12cとコロ13が並ぶ位置となる上軸角度は一定であり、当該上軸角度をエンコーダ3で検出することで入口12cとコロ13とが一致するようミシンモータ2の制御が行われる。
このとき、カム溝12cの壁面12eにコロ13がぶつかることでバウンドし、その反動によりコロ13が入口12dの外方に移動してしまうことがある。その場合、エアシリンダ16のプランジャ16aが伸張した位置(図4(a)の位置)にあるので、コロ13はプランジャ16aの先端にぶつかることで、再び入口12dからカム溝12cの内側へ移動する。このときコロ13がさらに壁面12eにぶつかってバウンドし、再度外方へ移動したとしても、再度プランジャ16aとぶつかることで再々度入口12dからカム溝12cの内側へ移動する。かようにしてコロ13のバウンドは徐々に収束する。この間、駆動装置の制御によってミシンモータ2は停止している。よって、バウンドが収束しないうちにミシンモータ2の駆動によりカム12が回転し、コロ13が入口12dの外方に位置した状態で入口12cがコロ13と並ぶ回転角度から外れてしまうことによりコロ13がカム溝12cに導入されないことがなくなる。また、バウンドが収束しないうちにカム12が回転することで、コロ13とエッジ12fとが噛み合うように位置してしまうことで糸切り装置10が停止するといったことがなくなる。つまり、コロ13のバウンドが収束するまでミシンモータ2が停止することにより、コロ13はカム溝12cの入口12dの内側に位置するようより確実に制動される。
次に、駆動装置4の機能のうち、糸切り装置10の制御に関する部分について、図5のフロー図を用いて詳細に説明する。
駆動装置4は、ミシン1の所定位置に設けられた図示しない糸切りスイッチと電気的に接続されている。例えば、縫製が終了して予め定められた針上位置でミシンモータ2が停止した状態において、オペレータによって糸切りスイッチが操作されると(ステップS1:YES)、駆動装置4は糸切り装置10の各部の駆動を制御することで糸切りを行う。
次に、駆動装置4はエアシリンダ16を動作させ、プランジャ16aがカム12側に伸張するよう制御する(ステップS5)。これによって上述のように、コロ13がカム溝12cの入口12d側に押されて移動する。その後、駆動装置4はミシンモータ2を予め定められた時間停止状態を維持した後に低速で駆動し、下軸11及びカム12が低回転(例えば170[rpm])で回転するよう制御する(ステップS6)。
なお、ミシンモータ2の停止から低回転までの行程に要する停止時間は短時間(例えば100[ms]程度)であることが望ましい。また、当該停止時間は例えばコロ13が壁面12eに対してバウンドした場合に当該バウンドが収束するまでの時間を経験則から求め、それ以上となるように設定されることが望ましい。
その後、駆動装置4は通常の切断駆動速度でミシンモータ2を駆動し(ステップS9)、カム12のカム溝12cがコロ13と係合している回転角度位置である限り下軸11及びカム12を回転させる(ステップ10:YES)。かようにして動メス14はコロ13の移動に伴って回動し、上述のように糸切り動作が行われる。コロ13がカム溝12cの出口12hから出ることでコロ13とカム溝12cとの係合が解消されるカム12の回転角度位置に至ると(ステップ10:NO)、駆動装置4はミシンモータ2を停止する(ステップ11)。以上で駆動装置4の処理は終了する。
上述の実施形態によれば、エンコーダ3によってカム溝12の入口12cがコロ13の進入可能となるカム12の回転角度が検出されると駆動装置4はミシンモータ2を一時待機するよう制御する。これによって、コロ13がカム溝12cの壁面12eに衝突した反動でバウンドした場合であっても、ミシンモータ2が一時待機するよう制御されているので、コロ13がカム溝12cの外方に飛び出したままカム12が回転してしまうことでコロ13がカム溝12cに導入されないといった問題が起こる可能性が低減する。つまり、ミシンモータ2の一時待機によりカム12の回転が一時停止することで、コロ13のバウンドが収束するまでの時間を稼ぐことができる。よって、コロ13がカム溝12cに導入されずに外れてしまい、動メス14が動作せず糸切りが行われないといった問題点を解消できる。加えて、コロ13がカム溝12cのエッジ12fと噛み合うことにより糸切り装置10が停止してしまったり、その際の機械的負荷により糸切り装置10が破損してしまったりするといった問題点を解消できる。よって、より確実に動作する糸切り装置10を備えたミシン1を提供でき、ミシンの信頼性及び耐久性がより向上する。
また、エアシリンダ16のプランジャ16は、コロ13がエッジ12fによってカム溝12cに導入されるまで伸張した位置(図4(a)に示す位置)にあるので、コロ13がカム溝12cの壁面12eと衝突した反動でカム溝12cから外れるように移動した場合であっても、コロ13はプランジャ16とぶつかることによりカム溝12cの入口より内側に位置するよう制動される。よって、より一層確実に動作する糸切り装置10を備えたミシン1を提供でき、ミシンの信頼性及び耐久性がさらに向上する。
さらに、ミシンモータ2の停止から低回転までの行程に要する時間は短時間(例えば100[ms]程度)なので、当該停止によって糸切り装置10の糸切り動作がオペレータにとって緩慢に感じられることはほとんどない。よって、自動糸切りによる快適性をそこなわず、より確実に動作する糸切り装置10を備えたミシン1を提供でき、ミシンの信頼性がより向上する。
なお、上述の実施形態ではミシン1は釜部を有しているが、釜部を有しないミシン、例えばルーパ等によって縫い目を形成するミシンであってもよい。
また、上述の実施形態に記載された構成の特徴を逸脱しない範囲で各部を変更してもよい。例えば糸切りスイッチによる糸切り指示はタッチパネルディスプレイからの糸切り指示の入力であってもよいし、縫製データを用いて縫製を行うミシンの縫製プログラムに組み込まれた糸切り命令であってもよい。
また、上述の所定の低回転速度(例えば170[rpm])及びミシンモータ2の停止から低回転までの行程に要する時間(例えば100[ms]程度)はあくまで一例であり、当該数値に限定されないことは言うまでもない。
また、上述の実施形態ではアクチュエータとしてエアシリンダ16が用いられているが、同様の機能を実現できれば他の構成(例えばソレノイド等)であってもよい。
3 エンコーダ
10 糸切り装置
11 下軸
12 カム
12c カム溝
13 コロ
14 動メス
16 エアシリンダ
Claims (2)
- 固定メスと前記固定メスに対して移動する動メスとを備える糸切り手段と、
前記動メスを駆動するカム溝が形成されるカムと、
前記カムを回転駆動するミシンモータと、
前記ミシンモータ又は前記カムの回転角度を検出する検出手段と、
前記カム溝に対して係合と非係合とを選択可能に設けられて、連結リンクを介して前記動メスと連結されるコロと、
前記コロを前記カム溝の入口から進入させるアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータを駆動して前記コロを前記カム面に係合させ、前記コロが前記カム溝に沿って移動することで前記動メスに切断動作を付与して糸切りを行う糸切り装置を備えたミシンにおいて、
前記カム溝の前記入口の回転角度が前記コロを進入可能な角度となった場合に前記ミシンモータの駆動を停止し、前記アクチュエータが駆動してから
再度前記ミシンモータを駆動するように前記ミシンモータを制御する制御手段を備えることを特徴とするミシン。 - 前記制御手段は、前記カムの前記停止の後、前記ミシンモータの駆動を所定の低回転で開始することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
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