JP2008295355A - 卵加工食品及び卵加工食品用の品質保持材 - Google Patents

卵加工食品及び卵加工食品用の品質保持材 Download PDF

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Abstract

【課題】離水が防止されている上に良好な卵風味を有する卵加工食品及び卵加工食品用の品質保持材を提供する。
【解決手段】清水に分散させて20時間保存した後の保水率が70%以上である茹で卵卵黄を配合した卵加工食品及び前記茹で卵卵黄を有効成分とする卵加工食品用の品質保持材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、離水が防止されている上に良好な卵風味を有する卵加工食品及び卵加工食品用の品質保持材に関する。
スーパーマッケットやコンビニエンスストア等で販売されているタマゴサラダや卵焼き等の卵加工食品は、販売店舗のバックヤード、あるいは、惣菜工場等で調理されており、調理後食されるまでに少なくとも1日以上が経過する。このような卵加工食品においては、保存中に経時的に生じる離水を防止することが必要となる。
このため、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の惣菜等として販売する上述の卵加工食品には、離水防止等を目的として澱粉が添加されることが多い。この目的で使用する澱粉として、アルファ化澱粉、架橋澱粉等の種々の加工澱粉が用いられている。
しかしながら、卵加工食品に澱粉を添加した場合、離水防止効果が得られるのに伴って、澱粉の性質に由来したべたつき感が増大して口溶け感が低下するばかりか卵風味が損なわれる傾向がある。特に、離水が生じ易いタマゴサラダ等においては、離水を防止して保形性を維持するために澱粉の配合量を増加せざるを得ないため、これらの傾向が顕著となる。
このような問題に関し、特許第3506134号公報(特許文献1)には、水で膨潤した後の平均粒子径が特定の冷水膨潤性澱粉を用いることで、口溶け感を損なうことなく、タマゴサラダの離水を防止して保形性を付与することが提案されている。しかしながら、この方法はタマゴサラダの基本原料として本来必要とされない澱粉を依然として用いるものであり、タマゴサラダ本来の食味を得る点から充分に満足できるものとは言い難かった。
特許第3506134号公報
そこで、本発明の目的は、離水が防止されている上に良好な卵風味を有する卵加工食品及び卵加工食品用の品質保持材を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を行ったところ、従来の一般的な加熱条件よりも強い加熱条件で特定の状態に加熱処理した茹で卵卵黄は、意外にも、保水性に優れた性質に改質されていること、更に、この茹で卵卵黄は略球状の微粒子の集合体となっていて口当たりが大変よい上に、卵成分であることから種々の卵加工食品に添加しても風味を損なうことがないことを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
つまり、本発明は、
(1) 清水に分散させて20時間保存した後の保水率が70%以上である茹で卵卵黄を配合した卵加工食品、
(2) 前記茹で卵卵黄の配合量が製品に対して0.1〜20%である(1)記載の卵加工食品、
(3) 卵加工食品が、加熱凝固卵と酸性調味料とを混合した卵加工食品である(1)又は(2)記載の卵加工食品、
(4) 前記茹で卵卵黄を有効成分とする卵加工食品用の品質保持材、
である。
本発明によれば、離水が防止されている上に良好な卵風味を有する卵加工食品を提供できる。したがって、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等において惣菜等として販売されるタマゴサラダや卵焼き等の卵加工食品の更なる需要を拡大できる。
以下、本発明の卵加工食品及び卵加工食品用の品質保持材を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
本発明において茹で卵卵黄とは、鶏卵、鶉卵、アヒル卵等の殻付き生卵を加熱凝固させた茹で卵の卵黄部である。茹で卵から分離した茹で卵卵黄は、殻付き生卵の卵黄が有する卵黄球等の構造に由来して、平均粒子径が10〜200μm程度の略球状の微粒子の集合体となっている。そのため、例えば、截断処理、あるいは、粉砕処理等の物理的な外力が加わると、容易にバラけて微粒子状となる性質を有する。
本発明で用いる茹で卵卵黄は、清水に分散させて20時間保存した後の保水率が70%以上、好ましくは75%以上であることに特徴を有する。ここで、前記保水率(%)は、具体的には、以下のように測定される。まず、茹で卵卵黄10gと蒸留水8gを50mL容量の遠沈管に入れて蓋をした後、ボルテックスミキサー(岩城硝子(株)社製、TM−151)で茹で卵卵黄が蒸留水中に略均一に分散するように約3秒間撹拌する。次に、この遠沈管を10℃で20時間保管した後、品温20℃の恒温水槽に浸漬して品温を20℃とし、遠心分離機(國産遠心器(株)社製、H−108ND)で3000rpmの条件にて8分間遠心分離処理する。続いて、遠心分離により得られた上澄み液の質量(g)を測定し、この上澄み液の質量から下記式により保水率(%)を求める。
Figure 2008295355
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の惣菜等として容器詰めされて販売されるタマゴサラダや卵焼き等の卵加工食品は、製造後、食されるまでに1日以上経過することがほとんどであるが、本発明においては、前記保水率が70%以上、好ましくは75%以上である茹で卵卵黄を卵加工食品に配合することにより、このような容器詰めされて販売される卵加工食品の離水を防止することができる。更に、本発明で用いる前記の茹で卵卵黄は、上述したような微粒子状物からなるため、大変口あたりがよい。更に、卵黄であるために風味もよく種々の卵加工食品に配合しても食味を損なうことがない。したがって、前記本発明の茹で卵卵黄を用いることで、離水が防止されている上に良好な卵風味を有する卵加工食品が得られる。一方、保水率が前記範囲より低い茹で卵卵黄を用いた場合は、後述の試験例に示すように、卵加工食品に配合しても充分に離水を防止することができない。
上述のように測定される前記保水率の値は、数値が高い程、茹で卵卵黄の保水性が高い性質であることを示すが、このような本発明で用いる茹で卵卵黄の保水性が高い性質に関し、後述の試験例に示すように、前記保水率の本発明の茹で卵卵黄は、清水中に分散させた分散液を20時間及び48時間保存した後にそれぞれ測定した保水率の値にほぼ変化がない。つまり、本発明で用いる保水性が改質された茹で卵卵黄は、保存期間によらず保水性に優れた性質を有している。
このような本発明の茹で卵卵黄を配合する卵加工食品としては、特に制限は無く、例えば、タマゴスプレッド、タマゴフィリング等とも称されるタマゴサラダやタルタルソース等の加熱凝固卵と酸性調味料とを混合した卵加工食品、卵焼き、オムレツ、卵豆腐、茶碗蒸し、カスタードプリン等の調味した液卵を加熱凝固した卵加工食品、更には、カスタードクリーム等が挙げられる。
ところで、本発明の茹で卵卵黄は一般的な茹で卵に比べて過度に加熱されていることから、茹で卵卵黄が卵白と接触する境界面にいわゆる硫化黒変が生じる傾向が強い。場合によっては、茹で卵卵黄全体の色調が暗緑色となる。本発明においては、このような硫化黒変が生じる程度に過度に加熱処理された茹で卵卵黄を原料の一部として用いるものであるが、これをpHの低い例えば酸性調味料と混合して用いると硫化黒変を消失させることができる。このように硫化黒変が消失するのは、茹で卵卵黄に酸性調味料が染み込んでpHを低下させ、その結果、硫化第一鉄等の硫化黒変による反応物が化学変化するためであると考えられる。
したがって、本発明は、製品の色調に影響を受け難く離水防止が特に必要とされる点から、上述した卵加工食品の中でもタマゴサラダやタルタルソース等の加熱凝固卵と酸性調味料とを混合した卵加工食品において好適に実施できる。ここで、前記加熱凝固卵とは、一般的に用いられる茹で卵、スクランブルエッグ、目玉焼き等であればよく、これらは截断物として用いてもよい。また、前記酸性調味料とは、一般的に酸性調味料と称されるpHが3〜5の半固体状又は液状の調味料のことであり、このような酸性調味料としては、具体的には、マヨネーズやサラダクリーム等の半固体状ドレッシング、サウザンドレッシングやフレンチドレッシング等の乳化液状ドレッシング、中華ドレッシング等の分離液状ドレッシング、青じそドレッシング等のノンオイルドレッシング等の他、酢やこれを用いた調味液等が挙げられる。
前記加熱凝固卵と酸性調味料とを混合した卵加工食品において、加熱凝固卵と酸性調味料の配合量は用途等により適宜調節すればよいが、卵の風味と酸性調味料の酸味のバランスを考慮すると、加熱凝固卵と酸性調味料の合計配合量を100部とした時に、加熱凝固卵を10〜80部、酸性調味料を20〜90部とすることが好ましい。
本発明の卵加工食品における前記茹で卵卵黄の配合量は、卵加工食品の種類にもよるが、製品に対して好ましく0.1〜20%、より好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%である。前記範囲より配合量が少ないと、離水防止効果が得られ難い。一方、前記範囲より配合量を多くしたとしても、配合量に応じた効果が期待し難く経済的でない。また、本発明の前記茹で卵卵黄は過度に加熱されて硫化黒変が生じる傾向があり、このような場合、配合した卵加工食品の色調がくすんだ鮮やかでない色調となる場合がある。
なお、本発明の卵加工食品には、必要に応じて、従来の卵加工食品において用いられている種々の添加剤を配合することができる。例えば、クエン酸やクエン酸塩等のpH調整剤、増粘多糖類等の品質改良剤、着色料、甘味料、保存料等を適宜配合することができる。なお、澱粉を配合すると、卵加工食品の食感が糊っぽくなったり、卵風味が損なわれたりする傾向があるので、配合しないことが好ましいが、物性改善等を目的に澱粉を配合する場合には、その配合量を製品に対して好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5%質量以下とする。
上述した本発明の卵加工食品の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、以下のように製造できる。
まず、サイズごとに選別された鶏卵、鶉卵、アヒル卵等の殻付き生卵を用意する。上述のように本発明の茹で卵卵黄は、一般的な茹で卵に比べて過度に加熱することから、茹で卵卵黄が卵白と接触する境界面にいわゆる硫化黒変が生じる傾向が強く、場合によっては、茹で卵卵黄全体の色調が暗緑色となる。このため、前記原料として用いる殻付き生卵としては硫化黒変の発生をできるだけ抑えるため、卵白pHが7〜9.2程度の新鮮な殻付き生卵を用いることが好ましい。
次に、用意した殻付き生卵をボイル槽やスチーマー等により加熱処理して加熱凝固させた後、殻剥きして茹で卵を得る。ここで、本発明においては、茹で卵卵黄の保水率が前記特定範囲となるように加熱条件を調整する。後述の試験例に示すように、加熱条件が強い程、前記保水率が高くなる傾向があることから、保水率が前記特定範囲となるまで加熱処理を行えばよい。この際、加熱温度は低すぎても卵が加熱凝固し難く高すぎても卵が熱により硬くなり易いことから、加熱温度を好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜100℃とし、加熱時間を増減させることにより調整することが好ましい。加熱時間は、用いる殻付き生卵の卵重や鮮度、加熱処理装置の加熱媒体の種類等により異なるが、例えば、卵重によりMSサイズに選別された鶏卵を用いてボイル槽で加熱処理する場合、前記茹で卵卵黄の保水率を70%以上とするには、95〜100℃で20分間以上程度とすればよい。また、卵重によりLサイズに選別された鶏卵を用いてボイル槽で加熱処理する場合、95〜100℃で40分間以上程度とすればよい。
なお、茹で卵卵黄の保水率が前記特定範囲となるように加熱処理する方法としては、上述のように殻付き生卵を加熱処理して加熱凝固させる際の加熱条件を調整する方法の他、一般的な加熱処理条件で茹で卵を得た後、この茹で卵を必要に応じて容器詰めして更にボイル槽やスチーマー等で二次的に加熱処理し、この時の加熱条件を調整する方法等が挙げられる。
本発明の卵加工食品は、以上のようにして得られた前記保水率の茹で卵卵黄を配合する他は、一般的な卵加工食品の製造方法に準じて得ることができる。茹で卵卵黄を配合する方法としては、特に制限はないが、卵加工食品の離水を防止する効果が得られ易いことから、ダイサー等を用いて截断処理して、あるいは、ミキサーやコミットロール等を用いて粉砕処理して配合することが好ましい。
なお、前記保水率の茹で卵卵黄は、硫化黒変が生じているが、タマゴサラダやタルタルソース等の加熱凝固卵と酸性調味料とを混合した卵加工食品においては、酸性調味料と混合されると混合直後から徐々に硫化黒変の消失が始まる。用いる茹で卵卵黄の硫化黒変の程度や酸性調味料の配合量等にもよるが混合処理後好ましくは1時間程度放置することにより製品として問題がない程度に硫化黒変を消失させることができる。
以上のようにして製した本発明の卵加工食品は、必要に応じて、ポリエチレン製のパウチ等に充填後、好ましくはヒートシールして密封して容器詰めし、チルド温度(0〜15℃)や常温(15〜30℃)で流通させる容器詰め製品とすることができる。このような容器詰めした卵加工食品は、製造後食するまでの保存期間が1日以上、更には1週間以上であっても離水が防止されている上に良好な卵風味を有するものとなる。
以上の述べたように、前記保水率の本発明の茹で卵卵黄は、卵加工食品の離水を防止して卵加工食品の品質を保持することができる性質を有する。本発明はこのような卵加工食品用の品質保持材の態様において、清水に分散させて20時間保存した後の保水率が70%以上である茹で卵卵黄を有効成分とすることを特徴とする卵加工食品用の品質保持材である。本発明の卵加工食品用の品質保持材は、有効成分である前記茹で卵卵黄を含有したものであればよく、前記茹で卵卵黄の他に本発明の効果を損なわない範囲で、デキストリン、デキストリンアルコール、澱粉等の賦形材や他の品質改良材等を含有させたものであってもよい。
以下、本発明の実施例、比較例及び試験例を述べ、本発明を更に説明する。
[実施例1]タマゴサラダ
(1)卵加工食品用の品質保持材の製造
殻付生卵(鶏卵、MSサイズ)を95℃のボイル槽で30分間加熱した後10℃の冷却水槽に浸漬して冷却し、殻を剥いて茹で卵を得た。次に、得られた茹で卵の卵黄部と卵白部を分離し、卵黄部をミキサー(ホバート社製)で粉砕処理して、本発明の卵加工食品用の品質保持材を得た。得られた卵加工食品用の品質保持材について、上述の実施形態で記載した方法で保水率を測定したところ保水率は77%であった。なお、得られた卵加工食品用の品質保持材は、硫化黒変が生じていた。
(2)茹で卵の截断物の製造
まず、殻付生卵(鶏卵、MSサイズ)を95℃のボイル槽で15分間加熱した後10℃の冷却水槽に浸漬して冷却し、殻を剥いて茹で卵を得た。次に、得られた茹で卵をダイサーで一辺がlcmのダイス状に截断処理することにより体積が1cmの茹で卵の截断物を得た。
(3)タマゴサラダの製造
下記の配合に基づき、以下に説明するように製造した。
(1)で製した卵加工食品用の品質保持材 50部
(2)で製した茹で卵の截断物 800
マヨネーズ※1 200
食酢※2 20
食塩 5
――――――――――――――――――――――――――
合計1075部
※1:植物油脂70%、液卵黄15%、食酢12%、調味、香辛料3%から常法により調製したもの、pH4.0
※2:食酢(穀物酢)、酢酸換算酸度4.2%
(1)で製した卵加工食品用の品質保持材、(2)で製した茹で卵の截断物、マヨネーズ、食酢及び食塩をミキサー(ホバート社製)を用いて撹拌混合してタマゴサラダを得た。得られたタマゴサラダにおいて、保水率77%の茹で卵卵黄の配合量は製品に対して5%であった。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、口溶けがよく、また、タマゴサラダ特有の好ましい卵風味を有していた。なお、得られたタマゴサラダは、卵加工食品用の品質保持材とマヨネーズの混合処理後1時間経過した時点で、卵加工食品用の品質保持材の硫化黒変が消失して好ましい外観であった。
更に、得られたタマゴサラダを、ナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で3日間保存した後に食したところ、製造直後と同様に、口溶けがよく、また、タマゴサラダはタマゴサラダ特有の好ましい卵風味を有していた。
[比較例1]タマゴサラダ
殻付生卵(鶏卵、Lサイズ)を95℃のボイル槽で20分間加熱した後10℃の冷却水槽に浸漬して冷却し、殻を剥いて茹で卵を得た。次に、得られた茹で卵の卵黄部と卵白部を分離し、卵黄部をミキサー(ホバート社製)で粉砕処理して、茹で卵卵黄の粉砕物を得た。この茹で卵卵黄の粉砕物について上述の実施形態で記載した方法で保水率を測定したところ保水率は66%であった。なお、この茹で卵卵黄の粉砕物は一部に硫化黒変が生じていた。
実施例1において、卵加工食品用の品質保持材に換えて、前記保水率が66%の茹で卵の粉砕物を用いた他は、実施例1と同様にしてタマゴサラダを得た。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、口溶けがよく、また、タマゴサラダ特有の好ましい卵風味を有していた。
更に、得られたタマゴサラダを、ナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で3日間保存した後に食したところ、離水により保形性が低下しており、また、水っぽい食味であった。
[比較例2]タマゴサラダ
実施例1において、卵加工食品用の品質保持材を配合しない他は、同様にしてタマゴサラダを得た。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、口溶けがよく、また、タマゴサラダ特有の好ましい卵風味を有していた。
更に、得られたタマゴサラダを、ナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で3日間保存した後に食したところ、離水により保形性が低下しており、また、水っぽい食味であった。
[比較例3]タマゴサラダ
実施例1において、卵加工食品用の品質保持材に換えて、コーンスターチを配合した他は、同様にしてタマゴサラダを得た。得られた製造直後のタマゴサラダを食したところ、タマゴサラダはべたついた食感でありタマゴサラダ特有の好ましい卵風味も弱かった。
更に、得られたタマゴサラダを、ナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で3日間保存した後に食したところ、製造直後と同様に、タマゴサラダはべたついた食感でありタマゴサラダ特有の好ましい卵風味も弱かった。
[試験例1]
茹で卵の加熱処理条件と茹で卵卵黄の保水率の関係、及び茹で卵卵黄の保水率とこれをタマゴサラダに配合した際の離水防止効果の関係を調べるために以下の試験を行った。
(1)加熱処理条件の異なる茹で卵截断物の製造
まず、殻付生卵(鶏卵、MSサイズ)を10個ずつ、95℃のボイル槽でそれぞれ10分間、15分間、20分間及び30分間加熱した後10℃の冷却水槽に浸漬冷却して殻を剥き、加熱条件の異なる4種類の茹で卵を得た。次に、得られた茹で卵をそれぞれダイサーで一辺がlcmのダイス状に截断処理することにより加熱条件の異なる茹で卵の截断物(卵黄部30%、卵白部70%)500gずつを得た。また、これら茹で卵の截断物からそれぞれ卵黄部をサンプリングし、上述の実施形態で記載した方法で保水率を測定した。
なお、得られた茹で卵截断物は、茹で卵の加熱条件が95℃10分間のものは卵黄部がやや半熟状であった。また、95℃15分間以上の加熱条件のものは、卵黄部が完全に凝固しており、95℃20分間以上の加熱条件のものは、卵黄部全体が硫化黒変により暗緑色となっていた。
(2)タマゴサラダの製造
(2−1)半熟状茹で卵の截断物を用いたタマゴサラダ(対照A)の製造
(1)で得た加熱条件が95℃10分間である茹で卵の截断物を用い、下記の配合によりタマゴサラダを得た。つまり、(1)で得られた加熱条件が95℃10分間である茹で卵の截断物、マヨネーズ、及び食塩をミキサー(ホバート社製)を用いて撹拌混合してタマゴサラダを得た。
茹で卵の截断物 80g
マヨネーズ※1 200
食酢※2 20
砂糖 9
食塩 5
―――――――――――――――――
合計1034g
※1:実施例1で用いたものと同じ
※2:実施例1で用いたものと同じ
(2−2)通常の加熱条件で得られた茹で卵の截断物を用いたタマゴサラダ(対照B)の製造
対照Aにおいて、茹で卵截断物として(1)で得た加熱条件が95℃15分間である茹で卵の截断物を用いた他は同様にして、タマゴサラダ(対照B)を得た。
(2−3)試験品のタマゴサラダの製造
半熟状茹で卵の截断物を用いたタマゴサラダ(対照A)において、半熟状茹で卵の截断物の20%を(1)で得た加熱条件の異なる3種類の茹で卵の截断物、つまり、加熱条件が95℃で、15分間、20分間及び30分間の茹で卵の截断物でそれぞれ置き換えて、3種類のタマゴサラダを得た。
以上の(2−1)〜(2−3)で得られたタマゴサラダをそれぞれナイロン製のパウチに充填密封して、5℃で5日間保存した後、以下の試験方法で保形性を評価した。これらの試験結果を表1に示す。
<保形性の試験方法>
同心円とその中心から円周に向かって60°毎6方向に直線が書かれ、その直線上と円が交わる点には中心からの距離が記されている平板(スプレッドメーター)と、直径60mmの円筒とを用意した。次に、円筒の中心と平板に書かれた同心円の中心が一致するように円筒を立てて置き、これに品温25℃のタマゴサラダを90g充填した後、この円筒を取り除いた。そして、5分後に板に広がったタマゴサラダの流出距離を、6方向において測定しその平均値を計算した。この平均値は、数値が小さい程流出距離が短く保形性がよいことを示す。
Figure 2008295355
表1より、茹で卵の加熱処理条件と茹で卵卵黄の保水率に関し、茹で卵の加熱条件が強い茹で卵卵黄はその保水率が高いこと、つまり、保水率が70%以上の保水性に優れた性質に改質されていることが理解できる。
また、茹で卵卵黄の保水率とこれをタマゴサラダに配合した際の離水防止効果に関し、半熟状茹で卵を用いたタマゴサラダ(対照A)及び一般的な加熱条件の茹で卵を用いたタマゴサラダ(対照B)のいずれも離水により保存後の保形性が悪いのに対し、半熟茹で卵を用いたタマゴサラダ(対照A)に保水率が70%以上、好ましくは75%以上である茹で卵卵黄(卵加工食品用の品質保持材)を配合した本発明のタマゴサラダは、保存後の離水が防止されて保形性がよいことが理解できる。
[試験例2]
茹で卵卵黄の保水率の経時的な変化を調べるために以下の試験を行った。つまり、試験例1で得た茹で卵の加熱条件が95℃×15分間である茹で卵卵黄のサンプル(保水率63%)及び茹で卵の加熱条件が95℃×30分間である茹で卵卵黄のサンプル(保水率78%)のそれぞれについて、上述の実施形態で記載した保水率の測定方法に準じ、それぞれ茹で卵卵黄を清水中に分散させた分散液を48時間保存した後の保水率について測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2008295355
表2より、保水率が70%以上の本発明の茹で卵卵黄は、清水中に分散させた分散液を20時間及び48時間保存した後にそれぞれ測定した保水率の値にほぼ変化がなく、保存期間によらず保水性に優れた性質を有していることがわかる。これに対して、一般的な加熱条件の茹で卵の卵黄は、保存期間によらず保水率が低いことがわかる。
[実施例2]タルタルソース
実施例1で得た卵加工食品用の品質保持材(保水率が77%の茹で卵卵黄の粉砕物)を用い、下記の配合に基づいて、以下に説明するようにタルタルソースを製造した。
卵加工食品用の品質保持材 30
茹で卵の截断物※ 150
ピクルス(5mm角に截断したもの) 50
玉ねぎ(5mm角に截断したもの) 70
マヨネーズ(実施例1と同じ) 700
――――――――――――――――――――――
合計1000g
※殻付生卵(鶏卵、Lサイズ)を95℃のボイル槽で15分間加熱した後、殻剥きし、ダイサーで一辺が5mmのダイス状に截断したもの
ミキサー(ホバート社製)にマヨネーズを投入し、次いで、茹で卵の截断物を投入し、更に、ピクルス、玉ねぎ及び卵加工食品用の品質保持材を投入した後、5分間混合処理してタルタルソースを得た。続いて得られたタルタルソースをポリエチレン製のパウチに充填密封して容器詰めタルタルソースを得た。なお、原料として用いた前記卵加工食品用の品質保持材(保水率が77%の茹で卵卵黄の粉砕物)は、硫化黒変が生じていたが、得られたタルタルソースは、卵加工食品用の品質保持材とマヨネーズの混合処理後1時間経過した時点で、前記硫化黒変が消失して好ましい外観であった。
また、卵加工食品用の品質保持材を配合しない他は同様にして対照品の容器詰めタルタルソースを得た。これら容器詰めタルタルソースを、冷蔵庫(10℃)で2週間保存した後にそれぞれ試食した。その結果、卵加工食品用の品質保持材を配合した本発明のタルタルソースは、タルタルソース特有の好ましい食味を有して好ましかったのに対し、対照品のタルタルソースは、やや離水が生じて水っぽい食味であった。
[実施例3]卵焼き
実施例1で得た卵加工食品用の品質保持材(保水率が77%の茹で卵卵黄の粉砕物)を用い、以下に説明するように卵焼きを得た。まず、撹拌タンクに液全卵70部、砂糖8部、卵加工食品用の品質保持材3部、食塩0.3部、みりん1部、醤油1部、清水16.7部を投入して、撹拌混合して卵混合液を得た。次に、卵混合液を鍋で焼成して卵焼きを得た。続いて、得られた卵焼きを冷却した後、ポリエチレン製パウチに充填密封して容器詰め卵焼きを得た。この容器詰め卵焼きを、冷蔵庫(5℃)で5日間保存した後に試食したところ、卵焼き特有の好ましい食味を有して好ましかった。



Claims (4)

  1. 清水に分散させて20時間保存した後の保水率が70%以上である茹で卵卵黄を配合したことを特徴とする卵加工食品。
  2. 前記茹で卵卵黄の配合量が製品に対して0.1〜20%である請求項1記載の卵加工食品。
  3. 卵加工食品が、加熱凝固卵と酸性調味料とを混合した卵加工食品である請求項1又は2記載の卵加工食品。
  4. 前記茹で卵卵黄を有効成分とすることを特徴とする卵加工食品用の品質保持材。























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