JPH11299456A - 卵加工品の製造方法 - Google Patents

卵加工品の製造方法

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JPH11299456A
JPH11299456A JP10115430A JP11543098A JPH11299456A JP H11299456 A JPH11299456 A JP H11299456A JP 10115430 A JP10115430 A JP 10115430A JP 11543098 A JP11543098 A JP 11543098A JP H11299456 A JPH11299456 A JP H11299456A
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egg
oxygen
atmosphere
heat
container
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Tatsushi Notomi
達志 納富
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫化黒変及び緑変を実質的に消失させた卵加
工品の製造方法を提供する。これにより、色調が鮮やか
で、ソフトな食感を保持した卵加工品が得られ、この卵
加工品は、特に、卵サラダ類の原料として好適である。 【解決手段】 加熱凝固卵を酸素を補強した雰囲気中に
保持することを特徴とする卵加工品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は実質的に硫化黒変の
ない卵加工品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】卵を加熱凝固させると、卵白より硫化水
素が発生し、これが、卵黄中に含まれる鉄分と結びつい
て硫化鉄となり、いわゆる硫化黒変、あるいは、緑変と
言われる現象が起こる。茹で卵の場合、凝固した卵黄の
表面、つまり、凝固した卵白と接している部分が、灰黒
色ないし灰緑色に変色しこれを一般に硫化黒変と呼んで
いる。厚焼き卵や錦糸卵、オムライスシート、スクラン
ブルエッグ等の場合、卵黄の黄色成分と混ざりあって
か、灰緑色ないし緑色に変色しこれを一般的に緑変と呼
んでいる。いずれも、上述の硫化鉄に起因して起こると
考えられている。
【0003】卵白中の硫化水素は卵白のpHが高いほ
ど、また、加熱し過ぎるほど発生しやすくなるので、加
熱し過ぎないように温度・時間管理をして、加熱を止め
れば、硫化黒変のない卵黄の色を呈する鮮やかな茹で卵
が得られる。しかし、工業的に茹で卵を製造する場合
は、機械で卵殻を剥くことができる程度に加熱凝固させ
ること、大量に加熱処理すること、熱殺菌工程を経るこ
と等から、過加熱となる傾向にあり、また、さらに使用
する鶏卵の卵白のpHにも幅があることなどから硫化黒
変が生じやすい傾向にある。
【0004】また、厚焼き卵等の場合は、緑変を生じた
ものでも家庭ではさほど問題にならいが、商工業的に大
量生産し販売する際は、緑変を起こしたものは色調の面
から商品価値が低下したものとなる。そこで従来は、加
熱凝固卵を処理するにあたってはpHを下げると硫化水
素が発生しにくいので、pHの低い調味液を用いたり、
酸を加えたりしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、pHの
低い調味液を用いると、酸の影響で凝固卵が固くなって
しまい、卵白のソフトな茹で卵の食感や焼き立ての厚焼
き卵の食感は失われてしまうものである。また、過加熱
とならないように温度管理するとしても、大量に加熱す
る場合、鶏卵のサイズが小さいものでは過加熱となるも
のが発生する。そして、硫黄成分が実質的に除かれたわ
けではないので、条件にもよるが、再加熱したときや時
間の経過とともに、硫化黒変が生じてしまう場合もあ
る。
【0006】そこで、本発明は硫化黒変及び緑変を実質
的に消失させた卵加工品の製造方法を提供するものであ
る。本発明により、色調が鮮やかで、ソフトな食感を保
持した卵加工品が得られ、この卵加工品は、特に、卵サ
ラダ類の原料として好適である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成するために種々検討した結果本発明に到達した。す
なわち、本発明は、(1)加熱凝固卵を酸素を補強した
雰囲気中に保持することを特徴とする卵加工品の製造方
法、(2)加熱凝固卵を酸素透過性容器に充填したまま
酸素を補強した雰囲気中に保持することを特徴とする卵
加工品の製造方法、(3)加熱凝固卵を酸素を補強した
雰囲気中に保持した後これを容器に充填することを特徴
とする卵加工品の製造方法、(4)加熱凝固卵をそのま
ま又は溶液と共に酸素非透過性容器に充填し、容器内を
酸素を補強した雰囲気にして密封し、これを保管するこ
とを特徴とする卵加工品の製造方法、(5)酸素を補強
した雰囲気が気相である(1)〜(4)項のいずれかに
記載された卵加工品の製造方法、(6)酸素を補強した
雰囲気が酸素濃度30%以上の混合気体である(1)〜
(5)項のいずれかに記載の卵加工品の製造方法、
(7)酸素を補強した雰囲気が液相である(1)〜
(4)項のいずれかに記載の卵加工品の製造方法、
(8)酸素を補強した雰囲気が溶存酸素濃度15mg/L以
上の溶液である(1)〜(4)、(7)項のいずれかに
記載の卵加工品の製造方法、(9)加熱凝固卵を1.2
kg・f/cm2 以上の空気の雰囲気下で保持することを特徴
とする卵加工品の製造方法、及び、(10)加熱凝固卵
を容器に1.2kg・f/cm2 以上の空気の雰囲気下となる
ように充填密封することを特徴とする卵加工品の製造方
法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。な
お、本発明において、特記しない限り「%」は「容量
%」を、また、「部」はすべて「重量部」を意味する。
【0009】本発明において、硫化黒変とは、硫化鉄に
起因して生じる変色のことをいう。一般的に茹で卵の場
合、凝固した卵黄の表面、つまり、凝固した卵白と接し
ている部分が、灰黒色ないし灰緑色に変色しこれを硫化
黒変と言い、厚焼き卵や錦糸卵、オムライスシート、ス
クランブルエッグ等の場合では、灰緑色ないし緑色に変
色しこれを一般的に緑変と言うが、本発明においては緑
変も硫化黒変に含むものである。
【0010】本発明で加熱凝固卵とは、卵の殻を割り又
は殻付のままで、加熱凝固してなるものをいい、具体的
には茹で卵や厚焼き卵、薄焼き卵(オムライスシート、
錦糸卵)、スクランブルエッグ等のことで、卵を用いた
加熱凝固品であれば、これらに限定されるものではな
い。本発明で用いる加熱凝固卵が茹で卵の場合、卵殻は
剥いてあっても、殻付のままでもよいが、卵殻をむいて
あった方が酸素が透過しやすく、酸素の影響を受けやす
いので望ましい。なお、半熟卵程度の加熱では、硫化黒
変は生じないので、本発明でいう加熱凝固卵には半熟卵
は含まないものとする。ただし、見かけ上半熟卵であっ
ても硫化黒変の生じる場合や、保存期間中に硫化黒変が
生じてくる場合、再度加熱して硫化黒変を生じるような
場合は、本発明でいう加熱凝固卵に含まれるものとす
る。
【0011】茹で卵以外の加熱凝固卵としては、卵を加
熱し凝固したものであれば特に制限はないが、例えば、
酵素処理を施した卵液等を原料として、半生状に見える
卵加工品であっても硫化黒変を生じる場合や、保存期間
中に硫化黒変が生じる場合、再度加熱して硫化黒変を生
じる場合、本発明でいう加熱凝固卵に含まれものとす
る。その他卵白と卵黄を分離後、再成形して、ロングエ
ッグ等の茹で卵様食品を製造する場合においても、本発
明は有効である。また、卵焼きやスクランブルエッグ等
の加熱凝固卵を製するのに、卵白、卵黄を適宜の比率で
混合して用いてもよい。
【0012】用いる卵としては、食用に供されるもので
あれば特に限定はなく、例えば、鶏や鶉、アヒル、鴨等
の由来があり一般によく流通している鶏卵を用いるとよ
い。なお、用いる卵黄及び卵白としては、熱凝固性を備
えている限り、濃縮あるいは希釈したもの又は乾燥卵を
水戻ししたものでもよく、成分の一部例えば糖分やリゾ
チーム、コレステロール等を除去したもの、あるいは、
酵素処理等を施し生卵黄及び生卵白の成分より低分子に
なっているもの、逆に、卵黄及び卵白中の成分が、卵黄
及び卵白中の、又は、別途添加した乳蛋白や脂肪酸等そ
の他の成分と結合して、生卵黄及び生卵白の成分より高
分子になっているものを用いることができる。
【0013】卵を加熱凝固する方法としては、通常行わ
れるボイルやスチーム加熱、熱風、赤外線、電子レン
ジ、焼成、油ちょうなど、これらに限定されるものでは
ない。また、適宜減圧や加圧を行ってもよい。
【0014】次に、この加熱凝固卵を酸素を補強した雰
囲気中に保持する。ここで酸素を補強した雰囲気とは、
空気よりも酸素濃度を高くした気相及び/又は溶液の溶
存酸素を高めた液相のことをいう。
【0015】その雰囲気が気相の場合、酸素濃度が30
%程度以上、好ましくは、70%以上であることが望ま
しい。酸素濃度が高ければ高い程、卵に溶け込む酸素量
が多くなるので、硫化黒変を短時間で消失させることが
できる。酸素濃度が30%程度に満たないと、硫化黒変
が消失するまでに時間を要する。なお、酸素は低温であ
るほど溶液中に溶け込み易いので、卵加工品に酸素は浸
透し易く、また、低温であるほど保存性の優れた製品が
得られるので、低温で処理するとよい。なお、酸素濃度
は通常用いられる酸素分析計にて測定する。
【0016】後の試験例でも詳しく述べるが、殻を剥い
た茹で卵丸ごとの場合は、酸素濃度が70〜100%程
度の混合気体中であると、1日程度保持すればよく、茹
で卵を二等分にした場合、酸素の浸透が速いので、4〜
12時間程度でよい。また、酸素がより早く吸収される
ように、必要に応じ加圧や減圧をするとよい。
【0017】その雰囲気が液相の場合、溶存酸素濃度が
15mg/L程度以上、好ましくは20mg/L程度以上であ
り、より好ましくは40mg/L以上にするとよい。溶液の
温度が低いと溶存酸素濃度を高く維持できるので、溶液
の温度を20℃程度以下の低温にしておくとよい。溶存
酸素濃度が高い程、硫化黒変は短時間で消失する。溶存
酸素濃度が15mg/Lより低いと、硫化黒変が著しい場合
には長時間を要することになる。後の試験例でも詳しく
述べるが、溶存酸素濃度が40mg/L程度の溶液中である
と、10〜20時間程度浸漬保持するとよい。
【0018】なお、溶存酸素濃度は溶存酸素計にて測定
すればよく、例えば、通常の液体中の溶存酸素濃度は約
10mg/L程度であり、空気(酸素濃度21%)を吹き込
んで約12mg/L程度になる。溶存酸素濃度を15mg/L程
度以上にするには、酸素を吹き込んでやればよい。
【0019】このように製した卵加工品は硫化黒変が消
失しており、その後、酸素を補強した雰囲気に保管しな
くても硫化黒変が生じることはない。よってこの卵加工
品は常法により容器に充填して、保管流通することがで
きる。ここで用いる容器としては、形、材質に特に制限
はない。
【0020】加熱凝固卵を酸素を補強した雰囲気に保持
する別の方法として、加熱凝固卵を酸素透過性容器に充
填し、容器に詰めたまま酸素を補強した雰囲気に保持す
る方法をとることができる。この方法により、熱い内に
加熱凝固卵を容器に充填できそのまま加熱殺菌した後、
酸素を吸収させることができる。従って細菌的に安全な
容器入り卵加工品が得られる。
【0021】なおここで用いる酸素透過性容器は、酸素
を透す容器であれば制限はなく、例えばポリエチレン製
やポリエチレンコートの紙製、布製等の容器でよく、形
状も限定はない。例えばポリエチレン製容器の場合、厚
さ300μ以下であると本発明に有効な酸素透過率が得
られる。厚さが40〜150μであると、より酸素透過
率が高く、また、強度もあり、望ましい。目安として、
酸素透過率3000cc/m2・24hr・atm 以上であるとよ
い。
【0022】また、加熱凝固卵を酸素を補強した雰囲気
に保持するその他の方法として、酸素非透過性容器に加
熱凝固卵をそのまま又は溶液と共に充填し、容器内に酸
素を供給して容器内を酸素を補強した雰囲気にして密封
するとよい。これにより、酸素非透過性容器中に酸素が
充填密封されているので、流通の段階で、卵に酸素が吸
収され、硫化黒変を消失させることができる。この際、
必要に応じ、容器に加圧した酸素を充填密封することも
できる。特に調味液等の酸素を補強した溶液と共に、酸
素非透過性容器に、加熱凝固卵を充填したときは、流通
の段階で、溶液中の酸素が卵に吸収され、硫化黒変を消
失させることができる。例えば、おでん用の茹で卵を調
味液と共に容器に充填するのに有効である。
【0023】なお、本発明で用いる酸素非透過性容器
は、酸素を透し難い容器のことで、例えば、ナイロン−
ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)又はポリスチレ
ン(PS)/塩化ビニリデン/PP又はPSの積層シー
ト、アルミパウチ、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、金属、ガラス製容器などであり、目安として、酸
素透過率0.1cc/m2・24hr・atm 以下のものがよい。
これらの酸素非透過性容器であると、容器内に充填した
酸素を容器外に逃がし難く、容器に充填した卵に有効に
酸素を浸透させることができる。
【0024】また、加熱凝固卵を酸素を補強した雰囲気
中に保持又は保管する方法の代わりに、加熱凝固卵を
1.2kg・f/cm2 以上に加圧した空気の雰囲気下に保持
すれば硫化黒変を消失させるのに充分な酸素を凝固卵に
与えることができ、1.7kg・f/cm2 以上であるとより
短い時間で硫化黒変を消失させることができ望ましい。
例えば、加熱凝固卵を、空気1.7kg・f/cm2 以上に加
圧した雰囲気中に4時間〜2日間程度保持した後、これ
を容器に充填したり、加熱凝固卵を酸素透過性容器に充
填密封してから容器詰めのまま加圧した空気中に保持し
てもよい。また、酸素非透過性の容器に加熱凝固卵を充
填し、これに加圧空気を充填密封してもよい。なお、酸
素を補強した雰囲気中に保持又は保管する方法の方が、
この加圧空気処理方法より、設備的にコストがかからな
い利点がる。
【0025】以上のように製した卵加工品はクラッシュ
したり輪切りや二等分等適宜用いる大きさにカットし、
そのままあるいは調味料と和えて卵スプレッド、卵フィ
リング、お弁当のおかず、ピザやサラダのトッピングな
どに用いると、色調鮮やかな卵サラダ類が得られる。本
発明の製造方法により、硫化黒変のない卵加工品が得ら
れるのは、酸素を強制的に与えることで、硫化黒変の原
因である硫化鉄と酸素が反応し、3価の酸化鉄と硫化水
素になり、硫化黒変は消失するのではないかと推察され
る。
【0026】
【実施例】実施例1.鶏卵を95℃の湯中で20分間加
熱した後、水を用いて冷却した。その後殻をむいた殻む
き茹で卵を、サイズ40cm×30cm、厚さ100μの低
密度ポリエチレン製(酸素透過性)袋に60個入れ、バ
キュームシールを行なった。その後、スチームボックス
に入れ、80℃、10分間の殺菌を行ない、冷却した。
これを酸素濃度80%に調整した4℃の冷蔵庫内に一晩
保管した。得られた茹で卵を二等分し卵白と接している
卵黄の表面を確認したところ、硫化黒変はなく、卵白部
のソフトな茹で卵が得られた。
【0027】実施例2.実施例1と同じ方法で得た殻む
き茹で卵を、ナイロン40μ、ポリエチレン60μの積
層フィルム(酸素非透過性)からなるサイズ40cm×3
0cmの袋に60個入れ、酸素濃度70%の混合気体50
0mlを封入した。別途同様に準備した60個入り袋に、
混合気体の代わりに空気(酸素濃度21%)を同じく封
入したものを対照区とした。いずれも、スチームボック
スにて90℃、10分間の殺菌を行ない冷却後、一晩、
冷蔵庫で保管した。得られた茹で卵のそれぞれを二等分
して、卵白と接している卵黄表面を確認したところ、酸
素濃度70%の混合気体を封入した方は硫化黒変は認め
られなかったのに対し、対照は著しい硫化黒変が認めら
れた。
【0028】実施例3.実施例1と同じ方法で得た殻む
き茹で卵を準備し、クエン酸0.1重量%を含む水溶液
10Lを10℃に冷却し、これに1L/分の割合で酸素
ガスを10分間吹き込み、その時の溶存酸素濃度を、電
気化学計器(株)溶存酸素計DOC L−40型で測定
したところ、48mg/Lであった。殻むき茹で卵と、同重
量の溶存酸素濃度48mg/L溶液を袋に充填し、一晩冷蔵
庫で保管した。対照区として、酸素ガス吹き込みなしで
溶存酸素濃度9mg/Lのクエン酸0.1重量%溶液で同様
の処理を施した。得られた茹で卵のそれぞれを二等分し
て、卵白と接している卵黄表面を観察したところ、溶存
酸素濃度48mg/Lのほうは、硫化黒変がなかったのに対
し、溶存酸素濃度9mg/Lのほうは硫化黒変が見られた。
【0029】実施例4.鶏卵を95℃の湯中で20分間
加熱した後、水を用いて冷却し、殻付のまま、2号缶の
空缶に5個入れ、10mlの水と共に酸素濃度80%の混
合気体を封入密封した。対照区として、混合気体の代わ
りに空気(酸素濃度21%)を充填密封した。これらを
105℃、10分間加熱殺菌し冷却した。室温で2日間
保管後、開缶し、卵をそれぞれ二等分したところ、混合
気体を封入したほうは硫化黒変がなかったが、空気を封
入した方は硫化黒変が見られた。
【0030】実施例5.実施例2で得た酸素濃度70%
の混合気体と共に封入して得た殻むき茹で卵、及び、空
気と共に封入して得た殻むき茹で卵をそれぞれ用いて、
下記に従って卵スプレッドを製した。殻むき茹で卵を1
cm角にダイスカットしたもの80部に対しキユーピー
(株)製「マヨネーズNo.102-S」(商品名)20部を加
え混合した。両者の色調を比較した所、酸素を封入した
殻むき茹で卵を用いた卵スプレッドの色調は、黄色が鮮
やかであったのに比べ、空気を封入したものは、全体に
色が灰色がかり、黄色の鮮やかさに欠けるものであっ
た。
【0031】実施例6.鶏卵より得られた全卵を用い
て、下記配合の卵液300gを、通常の方法にて厚焼き
卵を製した。得られた厚焼き卵をナイロンポリエチレン
製袋に酸素濃度90%の混合気体100mlと共に封入密
封した。別途混合気体の代わりに空気を充填密封したも
のを対照区とした。これらを1.5kg/cm2の加圧状態で
90℃で10分間加熱して殺菌を施し、冷却した。4℃
にて2日間保管した後、厚焼き卵を切断し、断面を比較
した所、酸素濃度90%の混合気体を用いた方は、硫化
黒変がなかったのに対し、対照区の空気を用いた方は、
硫化黒変が見られた。
【0032】[卵液の配合] 全卵 700 部 だし汁 234 部 砂糖 50 部 食塩 5 部 グルタミン酸Na 1 部しょう油 10 部 合計 1,000 部
【0033】試験例1.鶏卵を95℃の湯中で20分間
加熱した後、水を用いて冷却し、殻を剥いて殻むき茹で
卵を製した。幅20cm、長さ40cm、マチ8cmのナイロ
ン(20μ)ポリ(40μ)の積層フィルム(酸素透過
率0.1cc/m2・24hr・atm )からなる袋に上記殻むき
茹で卵を各10個づつ入れ、各袋に酸素濃度21%(空
気)、30%、40%、50%、70%、80%、90
%、100%の各混合気体を300mlづつ充填して密封
した。その後、2kg/cm2の加圧をしながら、80℃、2
0分間加熱殺菌して冷却し、4℃の冷蔵庫に、1日間、
2日間、3日間、4日間、5日間保管したものを、それ
ぞれ開封し殻むき茹で卵を取り出し二等分して、硫化黒
変の有無を確認した。
【0034】硫化黒変の確認の仕方としては、茹で卵の
ほぼ中央にある凝固卵黄をほぼ二等分となるよるに、茹
で卵を切断し、断面を見て確認する。硫化黒変が生じて
いれば卵黄周辺部に灰緑色から灰黒色に変色した円状の
筋が確認できる。結果を表1に示す。表1より、酸素濃
度が30%以上である混合気体を用いると、硫化黒変が
消失することがわかる。酸素濃度が70%以上であると
より短い時間で硫化黒変が消失することがわかる。
【0035】
【表1】
【0036】 (−)硫化黒変がない (±)硫化黒変がわずかに見られる (+)硫化黒変がある (++) 硫化黒変が明らかにある (+++)硫化黒変が著しい
【0037】試験例2.試験例1と同じ方法で、殻むき
茹で卵を製し、また、10℃に冷却した水道水に酸素ボ
ンベより酸素ガスを吹き込み、それぞれ9mg/L、15
mg/L、20mg/L、30mg/L、40mg/L及び50
mg/Lに溶存酸素濃度を高めた溶液を調製した。殻むき
茹で卵と同重量の上記溶液を、それぞれナイロン・ポリ
エチレン製袋に共に充填密封し、4℃で1日間、2日
間、3日間、4日間、5日間保管後、開封し殻むき茹で
卵を取り出して、試験例1と同様の方法で硫化黒変の有
無を確認した。その結果を表2に示す。表2より、溶存
酸素濃度が15mg/L以上である溶液を用いると硫化黒
変が消失することがわかる。溶存酸素濃度が40mg/L
以上であるとより短い時間で硫化黒変が消失することが
わかる。
【0038】
【表2】
【0039】試験例3.試験例1と同じ方法で製した殻
むき茹で卵を、小型耐圧容器に入れて密封し、加圧ポン
プを用いて1.0kg/cm2、1.2kg/cm2、1.5kg/c
m2、1.7kg/cm2又は2.0kg/cm2にそれぞれ加圧した
ものを準備し、それぞれそのまま4℃の冷蔵庫で1日
間、2日間、3日間、4日間、5日間保管後、開封し殻
むき茹で卵を取り出して、試験例1と同様の方法で硫化
黒変の有無を確認した。その結果を表3に示す。表3よ
り、空気を1.2kg/cm2以上に加圧して用いると硫化黒
変が消失することがわかる。1.7kg/cm2以上あるとよ
り短い時間で硫化黒変が消失することがわかる。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】以上より、本発明の方法で得られる卵加
工品は硫化黒変が実質的に消失しており、色調が鮮やか
で、ソフトな食感を保持したものであり、特に卵サラダ
類の原料として好適である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱凝固卵を酸素を補強した雰囲気中に
    保持することを特徴とする卵加工品の製造方法。
  2. 【請求項2】 加熱凝固卵を酸素透過性容器に充填した
    まま酸素を補強した雰囲気中に保持することを特徴とす
    る卵加工品の製造方法。
  3. 【請求項3】 加熱凝固卵を酸素を補強した雰囲気中に
    保持した後これを容器に充填することを特徴とする卵加
    工品の製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱凝固卵をそのまま又は溶液と共に酸
    素非透過性容器に充填し、容器内を酸素を補強した雰囲
    気にして密封し、これを保管することを特徴とする卵加
    工品の製造方法。
  5. 【請求項5】 酸素を補強した雰囲気が気相である請求
    項1〜4のいずれかに記載された卵加工品の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸素を補強した雰囲気が酸素濃度30%
    以上の混合気体である請求項1〜5のいずれかに記載の
    卵加工品の製造方法。
  7. 【請求項7】 酸素を補強した雰囲気が液相である請求
    項1〜4のいずれかに記載の卵加工品の製造方法。
  8. 【請求項8】 酸素を補強した雰囲気が溶存酸素濃度1
    5mg/L以上の溶液である請求項1〜4、7のいずれかに
    記載の卵加工品の製造方法。
  9. 【請求項9】 加熱凝固卵を1.2kg・f/cm2 以上の空
    気の雰囲気下で保持することを特徴とする卵加工品の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 加熱凝固卵を容器に1.2kg・f/cm2
    以上の空気の雰囲気下となるように充填密封することを
    特徴とする卵加工品の製造方法。
JP10115430A 1998-04-24 1998-04-24 卵加工品の製造方法 Pending JPH11299456A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008295355A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Q P Corp 卵加工食品及び卵加工食品用の品質保持材
JP2021078455A (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 ケンコーマヨネーズ株式会社 卵焼成加工品の製造方法

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