JP2008282558A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】セパレータと電極間の密着性を維持しながら、短絡反応熱等の高温にも対応可能な熱伝導性に優れた電池を提供する。
【解決手段】リチウムを可逆的に吸蔵、放出可能な正極Aとセパレータ14との間、及びリチウムを可逆的に吸蔵、放出可能な負極Bと前記セパレータ14との間の少なくとも一方に、リチウムイオン伝導性高分子131と前記無機粒子132とを含む混合層13を有し、少なくとも1つの前記無機粒子132が前記正極Aまたは前記負極Bと前記セパレータ14とに接触する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池に関し、特に安全性の高いリチウム二次電池に関する。
近年、ノートパソコンや携帯電話等のモバイル機器の電源として、繰り返し充放電が可能で、かつ高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が多く使われている。リチウム二次電池においては、信頼性を維持しつつ、エネルギー密度を向上させることが要望されている。エネルギー密度を向上させる方法の1つとして、セパレータや電解質層等の非蓄電部分を薄型化することにより、非蓄電要素の体積の割合を減らす方法がある。
しかしながら、セパレータの場合、主にポリエチレンやポリプロピレンからなる多孔性樹脂を用いて形成されるため、耐熱性が低く、低温下で収縮しやすく、薄型化すると強度が低下する。
図5は、従来のリチウム二次電池50に導電性物質56が生成もしくは混入した時の一例を示す断面図である。図5に示すように、従来のリチウム二次電池50は、正極集電体51および正極活物質52からなる正極Aと、負極集電体55および負極活物質54からなる負極Bとを、電解質を保持するセパレータ53を介して積層して構成されている。
リチウム二次電池50の内部に導電性物質56が生成もしくは混入した時、セパレータ53の強度が低ければ、導電性物質56がセパレータ53を突き抜けてしまうことがある。この時、正極Aと負極Bが導電性物質56を介して接触するため、内部短絡が発生する。また、導電性物質56に短絡電流が一気に流れるため、瞬間的に高温の短絡反応熱が発生する。さらに、この短絡反応熱がセパレータ53の形状変化をより加速させるため、正極Aと負極Bとの間の絶縁を保持することができなくなる。
このように、熱に対する信頼性を確保したまま、セパレータ(電解質層)を薄型化することには限界があった。
上記問題を解決するために、反応性ポリマーを担持させた多孔質フィルムに電極を積層して得た電極/反応性ポリマー担持多孔質フィルム積層体と、カチオン重合触媒を含む電解液とを、電池容器内に入れて化学反応を起こさせることで、多孔質フィルムと電極とを接着させる電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、電解液相、電解液を含有する高分子ゲル相および高分子固相との混合相からなる接着性樹脂層によって、電極とセパレータとを接合する電池も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、熱伝導性の低い有機物で形成された電解質やセパレータを用いた非水電解質電池は、エネルギー密度が高く、低温下でのセパレータ収縮に対して効果があるが、電池内部で発生した熱がこもりやすく、電解質や活物質の劣化、ガスの発生が生じる。また、短絡反応熱等による高温下でのセパレータの形状変化に対しては、ほとんど効果が得られない。
そこで、熱伝導性を向上させるために、固体電解質やセパレータ、または有機電解液に熱伝導性に優れた電気絶縁性無機物を含有した非水電解質電池が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、電極と電解質との密着強度および熱伝導性の向上を目的として、平均粒径が1〜100nmの無機酸化物の一次粒子を固体電解質に添加することで、一次粒子の凝集体が網目構造を形成するポリマー電池が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2006−131808号公報 特開平10−177865号公報 特開平8−255615号公報 特開2003−257489号公報
一般的に、固体電解質の厚みに対して粒子径が小さい無機粒子を用いた場合、熱伝導は粒子同士の接触に依存する。樹脂中に無機粒子を添加した系の熱伝導率を高めるためには、粒子同士の接触確率を上げて、粒子同士の連続点を増やす必要がある。
しかしながら、無機粒子を多く添加すると、固体電解質の持つ接着性が失われて、セパレータと電極間の密着性が低下してしまう。また、セパレータと電極とは固体電解質の持つ接着性のみで接続されているので、セパレータと電極間の密着性が低下すると、セパレータの形状変化を抑えることができない。
本発明は、セパレータと電極間の密着性を維持しながら、短絡反応熱等の高温にも対応可能な熱伝導性に優れた電池を提供するものである。
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを可逆的に吸蔵、放出可能な正極とセパレータとの間、およびリチウムを可逆的に吸蔵、放出可能な負極と前記セパレータとの間の少なくとも一方に、少なくとも1つの無機粒子により前記正極または前記負極と前記セパレータとが接触したリチウムイオン伝導性高分子と前記無機粒子とを含む混合層を有し、前記混合層に含まれる少なくとも1つ以上の前記無機粒子の径が前記リチウムイオン伝導性高分子の厚みより小さくないことを特徴とする。
また、前記無機粒子の熱伝導率が1W/m・K以上200W/m・K以下であり、前記無機粒子が電子絶縁性を有する金属酸化物粒子もしくは金属窒化物粒子であり、少なくともアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素のいずれかからなることを特徴とする。
本発明の電池によれば、内部短絡等が生じた場合にも、セパレータの形状変化が加速されず、短絡状態が持続しないリチウム二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるリチウム二次電池10の断面図である。図1に示すように、本発明の実施の形態1におけるリチウム二次電池10は、正極集電体11および正極活物質12からなる正極A、負極活物質15および負極集電体16からなる負極B、リチウムイオン伝導性高分子131と無機粒子132とを含む接着層である混合層13、およびセパレータ14により構成されている。
なお、図1においては、混合層13がセパレータ14と正極活物質12との間にのみ存在する場合を示しているが、これに限られることはない。
本発明の実施の形態1における無機粒子132は、絶縁性を有する金属酸化物粒子もしくは金属窒化物粒子からなり、その熱伝導率は1W/m・K以上かつ200W/m・K以下である。熱伝導率が1W/m・K未満では、無機粒子132による熱伝導の寄与が不十分となり、電極方向の熱伝導性の向上に寄与しない。また、200W/m・Kよりも大きいと、無機粒子132に電子伝導性が発現するため、保存特性の低下や内部短絡の誘発につながる。
また、無機粒子132は、短絡防止のために電子絶縁性を有する粒子でなければならない。有機粒子は電子絶縁性を有するが、熱伝導率が低い上に融点が低く、短絡反応熱により容易に溶融してしまうので、本発明のリチウム二次電池10には適さない。
これらの特性を満たす無機粒子132として、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
図2〜図4は、本発明の実施の形態1における1つの無機粒子132の一例を示す模式図である。図2〜図4に示すように、1つの無機粒子132としては、図2のような単一粒子132a、図3のような一次粒子の凝集もしくは集塊による粒子群132b、さらには、図4のような一次粒子の集合による中空粒子132c等が挙げられる。
リチウムイオン伝導性高分子131には、有機溶媒を含有したゲルポリマー固体電解質、もしくは有機溶媒を含有しない高分子固体電解質のどちらかを用いればよい。接着性を有する固体電解質を用いると、正極Aまたは負極Bとセパレータ14とが密着するため、良好な電池特性を得ることができる。例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVDF−HFP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、エチレンオキシドを骨格に持つ高分子材料、ポリアクリロニトリル(PAN)等が挙げられる。なお、高分子の架橋には、光重合、熱重合、カチオン重合等、好適なプロセスを用いればよい。
セパレータ14としては、ポリプロピレンやポリエチレン、またはそれらを組み合わせたものや、他の材料を含む多孔性の樹脂であることが好ましい。
混合層13は、正極Aや負極Bのセパレータ14側極板上、もしくはセパレータ14表面上のどちらに形成してもよい。混合層13の形成は、薄膜を作製できる方法であれば、特に限定されない。例えば、キャスト法、スピンコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、ディッピング法、ロールコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。また、混合層13は、正極Aや負極Bのセパレータ14側極板上、もしくはセパレータ14表面上に直接成膜しても良いが、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の基材上に成膜してフィルム化した後に転写してもよい。
正極活物質12としては、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料であれば、特に限定されることなく使用することができる。例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiNi0.4Mn1.6O4、LiCo0.3Ni0.7O2、V2O5、MnO2等の遷移金属酸化物、LiCoPO4、LiFePO4、LiCoPO4F、LiFePO4F等のオリピン系酸化物、Li4Ti5O12、Li4Fe0.5Ti5O12、Li4Zn0.5Ti5O12等のスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2、LiFeS2等の硫化物、およびこれらの混合物等から作製されたものが好ましい。正極活物質12の厚さは、特に限定されないが、一般に0.1〜100μmである。
負極活物質15としては、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料であれば、特に限定されることなく使用することができる。例えば、Li、Al、Zn、Sn、In、Si等の合金および酸化物、グラファイト等の炭素材料、Li4Ti5O12、Li4Fe0.5Ti5O12、Li4Zn0.5Ti5O12等のスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2等の硫化物、LiCo2.6O0.4N等の窒素化合物、およびこれらの混合物等が好ましい。負極活物質15の厚さは、特に限定されないが、一般に0.1〜100μmである。
以下、本発明の実施の形態1におけるリチウム二次電池10の特徴およびその効果について説明する。
リチウムイオン伝導性高分子の厚みに対して粒子径が小さい無機粒子を用いた従来のリチウム二次電池においては、接着層である混合層の熱伝導性を高めるため、多量の無機粒子を添加する必要がある。しかし、その一方で、固体電解質の持つ接着性が失われて、セパレータと電極間の密着性が低下し、セパレータの形状変化を抑えることができなかった。また、電極とセパレータとが1つの無機粒子で接続されず、孤立した無機粒子が多くなるため、電極方向への熱伝導性が低下し、熱に対する信頼性が得られなかった。
しかしながら、本発明の実施の形態1におけるリチウム二次電池10では、正極Aまたは負極Bとセパレータ14とが、1つの無機粒子132により接続されている部分を有することを特徴とする。
これにより、正極Aまたは負極Bとセパレータ14との間に熱伝導性の高いパスが存在するため、無機粒子132の添加量を増やす必要がなく、正極Aまたは負極Bとセパレータ14との密着性も損なわれない。
また、正極Aまたは負極Bとセパレータ14とが1つの無機粒子132で接続されているため、無機粒子132と正極Aまたは負極Bの間や、無機粒子132とセパレータ14の間に摩擦力やアンカー効果が生じ、セパレータ14の形状変化を抑制しようとする効力が得られる。
次に、本発明の具体例を説明する。
(実施例1)
(a)正極Aの作製
コバルト酸リチウムと、導電助剤としてのアセチレンブラックと、バインダーとしてのポリビニリデンフルオライド(PVDF)とを、質量比100:4:3の比率で混合し、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として、スラリーを調合した。
このスラリーを正極集電体11となる厚み15μmのアルミニウム箔上に塗布し、110℃で30分乾燥して圧延することにより、正極Aを作製した。このときの正極Aの厚みは160μmであった。
(b)負極Bの作製
人造黒鉛と、バインダーとしてのスチレン−ブタジエン共重合ゴム粒子結着剤と、接着剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、質量比100:1:1の比率で混合し、スラリーを調合した。
このスラリーを負極集電体16となる厚み10μmの銅箔上に塗布し、110℃で30分乾燥して圧延することにより、負極Bを作製した。このときの負極Bの厚みは180μmであった。
(c)混合層13の作製
無機粒子132とリチウムイオン伝導性高分子131からなる混合層13を、以下の方法で作製した。無機粒子132としては、アルミナ(Al2O3)を用い、リチウムイオン伝導性高分子131としては、ゲルポリマー固体電解質を用いた。また、セパレータ14としては、厚み16μm、多孔度50%の多孔質性ポリエチレン膜を用いた。
まず、エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジエチルカーボネート(DEC)とを、体積比で3:5:2の割合で調合し、電解質塩としての六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル/リットル溶解させた非水電解液を作製した。この非水電解液中に、高分岐ポリエチレンオキシドポリマーを重量比2wt%、重合開始剤としてのα,α′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を5000ppm混合した後に、マグネティックスターラーを用いて500rpmで3時間、撹拌混合して、ゲルポリマー電解質前駆体を作製した。
次に、平均粒径10μmのアルミナ粒子((株)アドマテックス製、AO−809)を総量に対して重量比20wt%となるように、上記ゲルポリマー電解質前駆体に混合し、マグネティックスターラーを用いて1000rpmで10時間、撹拌混合することで、アルミナ粒子をゲルポリマー電解質中に分散させて、混合層前駆体を得た。
その後、得られた混合層前駆体をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に挟み込み、80℃で3時間、混合層前駆体を硬化することにより、混合層13を得た。
この後、得られた混合層13をセパレータ14に転写することにより、セパレータ14上に混合層13を形成した。
(d)評価用リチウム二次電池の作製
上記でそれぞれ作製した正極Aと負極Bとを、混合層13が形成されたセパレータ14を介して対向させて、図1に示す電極群を構成した。この電極群と、上記(c)で作製した非水電解液と同じ組成の非水電解液を、予めアルミラミネートシートを袋状にしたケースに入れて開口部を封止し、評価用リチウム二次電池を作製した。これをサンプル1とし、このときの評価用リチウム二次電池の大きさを3cm×3cmとした。
また、上記(c)でのアルミナ粒子の添加量を、それぞれ50wt%、70wt%として上記同様に作製し、サンプル2、3とした。
(比較例1)
上記(c)でのアルミナ粒子の添加量を0wt%として上記同様に作製し、リファレンス1とした。
また、上記(c)でのアルミナ粒子として、粒径1μmのもの((株)アドマテックス製、AO−802)を用いて、添加量をそれぞれ20wt%、50wt%として上記同様に作製し、リファレンス2、3とした。
また、混合層13を用いない評価用リチウム二次電池を上記同様に作製し、リファレンス4とした。
<接続状態の確認>
サンプル1〜3およびリファレンス1〜4を剃刀により切断し、マイクロスコープを用いて切断面を観察した。そして、1つの無機粒子132によるセパレータ14と正極Aとの接続部分の有無を確認した。また同時に、リチウムイオン伝導性高分子131の厚みがそれぞれ10μmであることを確認した。
<評価>
サンプル1〜3およびリファレンス1〜4を20℃の環境において、10時間率の電流(6.3mA)で4.2Vの定電圧となるまで充電を行った後、20時間率の電流値(3.2mA)以下になるまで充電を行った。その後、1mm径の鉄製丸釘を、20℃の環境下で5mm/secの速度で突き刺して、内部短絡試験を行うことで、セパレータ14の形状変化を確認した。
セパレータ14の形状は、試験終了後に各評価用リチウム二次電池を分解して観察した。本評価では、開いた孔の大きさが5mm以内のセパレータ14は、負極B全体が完全に放電しているので、セパレータ14の形状変化はないと判断した。この結果を(表1)に示す。
Figure 2008282558
(表1)に示すように、リチウムイオン伝導性高分子131に無機粒子132としてアルミナ粒子を添加したサンプル1〜3およびリファレンス2、3では、セパレータ14の形状変化を抑制することができた。しかしながら、アルミナ粒子の粒径が、リチウムイオン伝導性高分子131の厚みより小さいリファレンス2、3では、セパレータ14の形状変化を抑制することができなかった。
マイクロスコープによる切断面の観察の結果、サンプル1〜3は、セパレータ14と正極Aとが1つのアルミナ粒子で接続された部分を有していることが確認できた。一方、リファレンス2、3については、リチウムイオン伝導性高分子131の厚みに対してアルミナ粒子の粒径が小さいために、セパレータ14と正極Aとが1つのアルミナ粒子で接続された部分を有していなかった。
リファレンス4は混合層13が全く存在しないため、セパレータ14の形状変化を抑制することはできなかった。また、リチウムイオン伝導性高分子131のみのリファレンス1については、リファレンス4よりもセパレータ14の形状変化を抑制する傾向が見られたが、十分ではなかった。
この結果より、リチウムイオン伝導性高分子と無機粒子からなる混合層を用い、かつセパレータと電極とが1つの無機粒子で接続されている部分を有することにより、少量の無機粒子の添加でも、短絡反応熱によるセパレータの形状変化の抑制が可能であることがわかった。
(実施例2)
混合層13の作製において、無機粒子132をシリカ(SiO2)粒子(熱伝導率1W/m・K)とし、その添加量を総量に対して重量比50wt%とした以外は、実施例1と同様の方法で評価用リチウム二次電池を作製し、サンプル4とした。
また、無機粒子132をチタニア(TiO2)粒子(熱伝導率8W/m・K)、マグネシア(MgO)粒子(熱伝導率40W/m・K)、窒化ケイ素(Si3N4)粒子(熱伝導率50W/m・K)、酸化亜鉛(ZnO)粒子(熱伝導率60W/m・K)、窒化ホウ素(BN)粒子(熱伝導率150W/m・K)、窒化アルミニウム(AlN)粒子(熱伝導率200W/m・K)、として上記同様に作製し、それぞれサンプル5〜10とした。
なお、本実施例2においては、実施例1でのサンプル2(熱伝導率30W/m・K)を比較対象とした。
(比較例2)
無機粒子132をポリエチレン(PE)粒子(熱伝導率0.4W/m・K)として上記同様に作製し、リファレンス5とした。
<評価>
サンプル2、4〜10およびリファレンス5を、実施例1と同様の方法で、セパレータ14の形状変化抑制効果の評価を行った。この評価結果を(表2)に示す。
Figure 2008282558
(表2)に示すように、サンプル2、4〜10では、セパレータ14の形状変化は見られなかった。一方、リファレンス5では、セパレータ14と正極Aとが1つのポリエチレン粒子で接続された部分を有していたが、ポリエチレン粒子が短絡反応熱により溶融してしまい、セパレータ14の形状変化を抑えることができなかった。
この結果から、添加する粒子は無機粒子で、熱伝導率が1W/m・K以上かつ200W/m・K以下である電子絶縁性を有する金属酸化物もしくは金属窒化物を用いることにより、短絡反応熱によるセパレータの形状変化の抑制が可能であることがわかった。
本発明に関わるリチウム二次電池は優れた安全性を有し、モバイル機器等の電源として有用である。
本発明の実施の形態1におけるリチウム二次電池の断面図 本発明の実施の形態1における1つの無機粒子の一例を示す模式図 本発明の実施の形態1における1つの無機粒子の一例を示す模式図 本発明の実施の形態1における1つの無機粒子の一例を示す模式図 従来のリチウム二次電池内部に導電性物質が生成もしくは混入した時の一例を示す断面図
符号の説明
10,50 リチウム二次電池
11,51 正極集電体
12,52 正極活物質
13 混合層
14,53 セパレータ
15,54 負極活物質
16,55 負極集電体
56 導電性物質
131 リチウムイオン伝導性高分子
132 無機粒子
132a 単一粒子
132b 粒子群
132c 中空粒子
A 正極
B 負極

Claims (5)

  1. リチウムを可逆的に吸蔵、放出可能な正極とセパレータとの間、およびリチウムを可逆的に吸蔵、放出可能な負極と前記セパレータとの間の少なくとも一方に、リチウムイオン伝導性高分子と無機粒子とを含む混合層を有し、
    少なくとも1つの前記無機粒子が、前記正極または前記負極と前記セパレータとに接触しているリチウム二次電池。
  2. 前記混合層に含まれる少なくとも1つ以上の前記無機粒子の径が前記リチウムイオン伝導性高分子の厚みより小さくないことを特徴とする、
    請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記無機粒子の熱伝導率が1W/m・K以上200W/m・K以下であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記無機粒子が電子絶縁性を有する金属酸化物粒子もしくは金属窒化物粒子であることを特徴とする、
    請求項3に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記無機粒子は少なくともアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素のいずれかからなることを特徴とする、
    請求項4に記載のリチウム二次電池。
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