JP2018152236A - 袋詰正極板、積層電極体及び蓄電素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、タブを他物体が貫通した場合の発熱を抑制できる袋詰正極板を提供することを課題とする。【解決手段】本発明の一態様に係る袋詰正極板は、タブを有する正極板と、前記正極板を挟み込む一対のセパレータとを備え、前記セパレータが、樹脂層、前記樹脂層に積層された耐熱層及び前記耐熱層の前記正極板に対向する面に積層された接着層を有し、前記一対のセパレータの前記接着層が、前記タブに接着されている。【選択図】図2
Description
本発明は、袋詰正極板、積層電極体及び蓄電素子に関する。
携帯電話、電気自動車等の様々な機器に、充放電可能な蓄電素子が使用されている。近年、これらの機器の高出力化や高性能化に伴い、より小型で電気容量が大きい(エネルギー密度が大きい)蓄電素子が求められている。
一般に蓄電素子は、表面に正極活物質層が形成された正極板と表面に負極活物質層が形成された負極板とを電気絶縁性を有するセパレータを介して交互に積層して形成される積層電極体を有する。このような蓄電素子で単位体積当たりの電気容量を大きくするには、セパレータを薄くすることが有効である。このため、セパレータを多孔性の樹脂フィルムによって形成した蓄電素子が実用化されている。
蓄電素子では、負極において電析によって生成される金属析出物(例えばリチウムデンドライト)がセパレータを貫通して正極板と負極板とを微小短絡させるおそれがある。このため、正極板又は負極板を挟み込む一対のセパレータの外縁を接着して袋状にした袋詰電極板を用いることで、正極板近傍の電解質に析出物を生成し得る金属イオンを生じる金属種が混入することを抑制したり、金属イオンが負極に接触して電析することを抑制したりする積層電極体の構成が公知である。
セパレータの接着部分は充放電に寄与しないため、セパレータの接着部分のためだけに蓄電素子内部の空間が占有されると、蓄電素子のエネルギー密度を大きくする妨げとなり得る。蓄電素子において、平面視で正極板が負極板からはみ出すと負極板の端部に電流が集中して電析が局所的に促進されるため、正極板は、平面視で負極板からはみ出さないよう配置されることが好ましい。従って、袋詰正極板と袋詰めされていない負極板とを積層した積層電極体を用いることによって、空間効率を向上して蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
蓄電素子において、通常の使用状態ではないものの、何らかの原因によって蓄電素子に他物体が押圧される場合(例えば蓄電素子を搭載する自動車が交通事故に遭ったような場合)、他物体が積層電極体に突き刺さり、正極板と負極板とを短絡させることにより、積層電極体内部の温度が急激に上昇することがあり得る。
特開2016−190499号公報には、樹脂フィルムに無機微粒子とバインダ樹脂とを含む多孔質層を積層したセパレータを用いることにより、他物体がセパレータ貫通しにくくなることが開示されている。しかしながら、この公報に記載の構成でも、積層電極体を他物体が貫通することを完全に防止することはできない。
特開2015−213073には、無機微粒子とバインダ樹脂とを含む層を正極の未塗工部に配置することが開示されている。この方法によると異物等が正極の未塗工部に対抗するセパレータ貫通しても、安全性が確保できるが、正極の未塗工部への前記無機微粒子とバインダ樹脂とを含む層の塗工部は、工法が複雑で高価になるという問題があった。
本願発明者らが、積層電極体を他物体が貫通した場合の発熱について検証した結果、電極板の活物質が積層されている領域を他物体が貫通する場合と比べて、電極板の活物質が積層されていない領域(具体的には電極板を蓄電素子の電極端子に接続するために延びるタブの部分)を他物体が貫通する場合に、比較的発熱が大きくなりやすいことが確認された。
本発明は、タブを他物体が貫通した場合の発熱を抑制できる袋詰正極板、積層電極体及び蓄電素子を提供することを課題とする。
本発明の一態様に係る袋詰正極板は、タブを有する正極板と、前記正極板を挟み込む一対のセパレータとを備え、前記セパレータが、樹脂層、前記樹脂層に積層された耐熱層及び前記耐熱層の前記正極板に対向する面に積層された接着層を有し、前記一対のセパレータの前記接着層が、前記タブに接着されている。
本発明の一態様に係る袋詰正極板は、前記一対のセパレータの前記接着層が、前記タブに接着されていることによって、タブを他物体が貫通した場合の発熱を抑制できる。
本発明の一態様に係る袋詰正極板は、タブを有する正極板と、前記正極板を挟み込む一対のセパレータとを備え、前記セパレータが、樹脂層、前記樹脂層に積層された耐熱層及び前記耐熱層の前記正極板に対向する面に積層された接着層を有し、前記一対のセパレータの前記接着層が、前記タブに接着されている。
本発明の一態様に係る袋詰正極板は、セパレータが、樹脂層、耐熱層及び接着層を有し、前記接着層が正極板のタブに接着されている。そのため、タブを他物体が貫通した場合にもセパレータがタブに接着された状態を維持するので、負極板のタブとの接触面積を小さくでき、正極板と負極板との間の短絡電流を低減して発熱を抑制できると考えられる。
本発明の一態様に係る袋詰正極板において、前記正極板の活物質積層領域と、前記接着層のタブへの接着領域との平均距離が、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。この構成によれば、製造が容易でありながら、タブを他物体が貫通した場合の発熱抑制効果が比較的大きい。
本発明の一態様に係る袋詰正極板において、前記接着層が、電解液を含んでイオン伝導性を発現する粒子と、バインダとを含む混合材料から形成されることが好ましい。この構成によれば、接着層のイオン伝導度を比較的大きくすることができるので、蓄電素子の出力を大きくすることができる。
本発明の別の態様に係る積層電極体は、複数の前記袋詰正極板と、前記袋詰正極板と交互に積層される複数の負極板とを備える。当該積層電極体は、前記袋詰正極板を備えることによって、タブを他物体が貫通した場合の発熱を抑制できる。
本発明の一態様に係る積層電極体において、前記接着層のタブへの接着領域が平面視で負極板の外側まで延びていることが好ましい。この構成によれば、タブを他物体が貫通した場合にタブがより負極板に接触しにくく、発熱をより確実に抑制できる。
本発明のさらに別の態様に係る蓄電素子は、前記積層電極体と、前記積層電極体を収容する外装材とを備える。当該蓄電素子は、タブを他物体が貫通した場合の発熱を抑制できる。
図1に、本発明の一実施形態に係る蓄電素子を示す。当該蓄電素子は、積層電極体1と、この積層電極体1を収容する外装材2とを備える。外装材2の内部に電解質(電解液)が充填されている。当該蓄電素子は、外装材2から突出し、積層電極体1に電気的に接続される正極端子3及び負極端子4をさらに備える。
積層電極体1は、図2に示すように、複数の袋詰正極板5と、この袋詰正極板5と交互に積層される複数の負極板6とを備える。
各袋詰正極板5は、正極板7と、この正極板7を挟み込む一対のセパレータ8とをそれぞれ備える。一対のセパレータ8は、対向する2枚のシートであってもよいし、1枚のシートを2つ折りにしたものであってもよい。
袋詰正極板5の幅は、負極板6の幅以下に設定されることが好ましい。具体的には、袋詰正極板5は略方形状の平面形状を有するセパレータ8の幅が略方形状の平面形状を有する負極板6の幅以下とされる。このような積層電極体1では、平面視でセパレータ8の内側に保持される正極板7が、平面視で負極板6からはみ出すことなく、その全面を負極板6に対向させる。つまり、正極板7が負極板6の投影領域に内包される。したがって、積層電極体1及び当該蓄電素子では、負極板6の外縁部で電流密度が大きくなって局所的に電析が助長されることがないため、電析による短絡が防止される。
袋詰正極板5の幅と負極板6の幅との差(負極板6の幅から袋詰正極板5の幅をひいた値)の下限としては、0mmが好ましいが、袋詰正極板5の幅と負極板6の幅との差の上限としては、2mmが好ましく、1.0mmがより好ましい。袋詰正極板5の幅と負極板6の幅との差を前記下限以上とすることによって、正極板7を負極板6からはみ出さないよう袋詰正極板5と負極板6とを積層することが容易となる。また、袋詰正極板5の幅と負極板6の幅との差を前記上限以下とすることによって、正極板7と負極板6との面積の差が不必要に大きくなることを防止し、積層電極体1及び当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
積層電極体1では、袋詰正極板5のセパレータ8を負極板6に対して位置決めすることで、正極板7を負極板6に対して比較的容易に位置決めすることができる。このため、積層電極体1では、負極板6の面積に対する正極板7の面積の比を比較的大きくしても負極板6の外縁部で電析が助長されないので、エネルギー密度を比較的大きくすることができる。
正極板7は、導電性を有する箔状乃至シート状の正極集電体9と、この正極集電体9の表面に積層される正極活物質層10とを有する。より具体的には、正極板7は、正極集電体9の表面に正極活物質層10が積層される平面視矩形状の活物質積層領域と、この活物質積層領域から活物質積層領域よりも幅の小さい帯状に延出し、正極端子3に接続される正極タブ11とを有する構成とされる。
正極集電体9の材質としては、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、導電性の高さとコストとのバランスからアルミニウム、アルミニウム合金、銅及び銅合金が好ましく、アルミニウム及びアルミニウム合金がより好ましい。また、正極集電体9の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極集電体9としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H4000(2014)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
正極集電体9の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい、一方、正極集電体9の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、40μmがより好ましい。正極集電体9の平均厚さを前記下限以上とすることによって、正極集電体9に十分な強度を付与することができる。また、正極集電体9の平均厚さを前記上限以下とすることによって、当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
正極活物質層10は、正極活物質を含むいわゆる正極合材から形成される。また、正極活物質層10を形成する正極合材は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
前記正極活物質としては、例えばLixMOy(Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(LixCoO2、LixNiO2、LixMn2O4、LixMnO3、LixNiαCo(1−α)O2、LixNiαMnβCo(1−α−β)O2、LixNiαMn(2−α)O4等)、LiwMex(XOy)z(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、V等を表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4、LiCoPO4、Li3V2(PO4)3、Li2MnSiO4、Li2CoPO4F等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質層10においては、これら化合物の一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。また、正極活物質の結晶構造は、層状構造又はスピネル構造であることが好ましい。
正極活物質層10における正極活物質の含有量の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましい。一方、正極活物質の含有量の上限としては、99質量%が好ましく、94質量%がより好ましい。正極活物質粒子の含有量を前記範囲とすることで、当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
前記導電剤としては、電池性能に悪影響を与えない導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属、導電性セラミックスなどが挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。
正極活物質層10における導電剤の含有量の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましい。一方、導電剤の含有量の上限としては、10質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。導電剤の含有量を前記範囲とすることで、当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
前記バインダとしては、例えばフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー、多糖類高分子などが挙げられる。
正極活物質層10におけるバインダの含有量の下限としては、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、バインダの含有量の上限としては、10質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。バインダの含有量を前記範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
前記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
前記フィラーとしては、電池性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素などが挙げられる。
正極活物質層10の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。一方、正極活物質層10の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。正極活物質層10の平均厚さを前記下限以上とすることによって、正極反応を十分に活性化することができる。また、正極活物質層10の平均厚さを前記上限以下とすることによって、当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
セパレータ8は、シート状の樹脂層12と、この樹脂層12の正極板7に対向する面に積層された耐熱層13と、この耐熱層13の正極板7に対向する面に積層された接着層14とを有する。
図3に示すように、袋詰正極板5において、一対のセパレータ8の接着層14は、平面視における正極板7の活物質積層領域の外側で互いに接着されている(図にはセパレータ8の接着領域をハッチングで示す)。この一対のセパレータ8の接着層14の正極板7の活物質積層領域の外側での接着は、正極板7の活物質積層領域の外縁に沿って連続して行われてもよいが、図示するように断続的に行うことで、セパレータ8への電解液の注入を促進することができる。
セパレータ8の接着層14は、正極活物質層10に対しても接着されてもよい。接着層14を正極活物質層10に接着することで、正極板7とセパレータ8との間に金属イオンを生成する異物が侵入することを防止して、積層電極体1の電析による内部短絡を抑制することができる。
また、セパレータ8の接着層14は、正極タブ11に接着されている。このように、接着層14を正極タブ11にも接着することで、仮に、通常の使用状態ではない事故が発生した状況において、正極タブ11を他物体が貫通して正極タブ11が破れて舌状又はバリ状に折り曲げられる部分が形成されて負極板6に向かって延びる場合でも、破れた正極タブ11の表面にセパレータ8が貼着されたままとなり、正極タブ11と負極板6との接触面積を低減する。これにより、正極タブ11と負極板6との間の短絡電流が低減され、タブを他物体が貫通した場合の短絡電流による発熱を抑制することができる。
正極活物質層10は厚さを有するので、セパレータ8に無理な応力を作用させないために、正極板7の活物質積層領域と、接着層14の正極タブ11への接着領域との間に隙間を設けてもよい。この場合、正極板7の活物質積層領域と接着層14の正極タブ11への接着領域との平均距離D(図2参照)の上限としては、正極活物質層10の厚さにもよるが、500μmが好ましく、300μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。正極板7の活物質積層領域と接着層14の正極タブ11への接着領域との平均距離Dを前記上限以下とすることによって、他物体が貫通した場合の正極タブ11の負極板6への接触を効果的に抑制することができる。
樹脂層12は、多孔質樹脂フィルムから形成される。
この樹脂層12の主成分としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、塩素化ポリエチレン等のポリオレフィン誘導体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートや共重合ポリエステル等のポリエステルなどを採用することができる。中でも、樹脂層12の主成分としては、耐電解液性、耐久性及び溶着性に優れるポリエチレン及びポリプロピレンが好適に用いられる。なお、「主成分」とは、最も質量含有率が大きい成分を意味する。
樹脂層12の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、樹脂層12の平均厚さの上限としては、30μmが好ましく、20μmがより好ましい。樹脂層12の平均厚さを前記下限以上とすることによって、セパレータ8同士の接着時に樹脂層12が破断することを防止できる。また、樹脂層12の平均厚さを前記上限以下とすることによって、当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
耐熱層13は、多数の無機粒子と、この無機粒子間を接続するバインダとを含む構成とされる。
無機粒子の主成分としては、例えばアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄等の酸化物、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレイ、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。中でも、耐熱層13の無機粒子の主成分としては、アルミナ、シリカ及びチタニアが特に好ましい。
耐熱層13の無機粒子の平均粒子径の下限としては、1nmが好ましく、7nmがより好ましい。一方、無機粒子の平均粒子径の上限としては、5μmが好ましく、1μmがより好ましい。無機粒子の平均粒子径を前記下限以上とすることによって、耐熱層13中のバインダの比率を小さくして、耐熱層13の耐熱性を大きくすることができる。また、無機粒子の平均粒子径を前記上限以下とすることによって、均質な耐熱層13を形成することができる。なお、「平均粒子径」とは、透過電子顕微鏡(TEM)又は走査電子顕微鏡(SEM)を用いてJIS−R1670に準じて測定される値である。
耐熱層13のバインダの主成分としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等の合成ゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩等のセルロース誘導体、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド及びその前駆体(ポリアミック酸等)等のポリイミド、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレン−アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステルなどが挙げられる。
耐熱層13の平均厚さの下限としては、2μmが好ましく、4μmがより好ましい。一方、耐熱層13の平均厚さの上限としては、10μmが好ましく、6μmがより好ましい。耐熱層13の平均厚さを前記下限以上とすることによって、耐熱層13がセパレータ8の接着時に破断することを防止できる。また、耐熱層13の平均厚さを前記上限以下とすることによって、当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくできる。
接着層14は、イオン伝導性を発現し、接着性を有する材料から形成される。具体的には、接着層14は、電解液を含んでイオン伝導性を担保する粒子と、接着性を担保するバインダとを含む混合材料から形成することができる。接着層14は、液体及び気体が通過できるよう、連続気孔を有することが好ましい。
接着層14の平均厚さの下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましく、0.4μmがさらに好ましい。一方、接着層14の平均厚さの上限としては、5μmが好ましく、3μmがより好ましく、1.2μmがさらに好ましい。接着層14の平均厚さを前記下限以上とすることによって、十分な接着性を得ることができる。また、接着層14の平均厚さを前記上限以下とすることによって、十分なイオン伝導性を得ることができる。
接着層14の電解液を含んでイオン伝導性を発現する粒子の材質としては、例えば無機固体電解質、純正固体高分子電解質、高分子ゲル電解質(Gel Polymer Electrolyte)等が挙げられるが、中でもイオン伝導度を大きくできると共に均質で粒子径を調節しやすい高分子ゲル電解質が特に好適に用いられる。
高分子ゲル電解質は、電解液を高分子によってゲル化することによって取り扱いを容易化したものである。電解液をゲル化する高分子としては、例えばフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリメチルメタクリル酸、ポリアクリロニトリル等を挙げることができる。
高分子ゲル電解質の電解液としては、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、リチウム塩が好適に用いられる。リチウム塩としては、特に制限はないが、例えばLiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLi等が挙げられる。中でも、有機溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが特に好ましい。
電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えばジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)等のカーボネート類、例えばγ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類、例えば1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類など一種又は複数種を組み合わせて用いることができる。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いカーボネート類が特に好適に用いられる。
電解液中における支持電解質の濃度の下限としては、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。一方、電解液中における支持電解質の濃度の上限としては、30質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。電解液中における支持電解質の濃度を上記範囲内とすることによって、比較的大きいイオン伝導性を得ることができる。
固体電解質粒子の平均粒子径の下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましい。一方、固体電解質粒子の平均粒子径の上限としては、2μmが好ましく、1μmがより好ましい。固体電解質粒子の平均粒子径を前記下限以上とすることによって、固体電解質粒子同士を接触させて接着層14にイオン伝導性を付与することが容易となる。また、固体電解質粒子の平均粒子径を前記上限以下とすることによって、接着層14を均一な膜状に形成することが容易となる。
固体電解質粒子の形状としては、固体電解質粒子同士の接触を促進してイオン伝導性を大きくできるよう、例えば棒状、錐状、板状等の真球度が小さい形状が好ましい。
接着層14のバインダとしては、固体電解質粒子及び正極活物質層10に対して接着性を有するものであればよいが、比較的低い温度で加熱することによって、正極活物質層10に対して粘着可能な樹脂、つまり比較的低いガラス転移点を有し、粘着性を発現する高分子材料が好適に用いられる。
バインダのガラス転移点の下限としては、−50℃が好ましく、−45℃がより好ましい。一方、バインダのガラス転移点の上限としては、80℃が好ましく、45℃がより好ましい。バインダのガラス転移点を前記下限以上とすることによって、接着層14の強度を確保できる。また、バインダのガラス転移点を前記上限以下とすることによって、樹脂層12を損傷しない温度でセパレータ8を正極板7及び対向するセパレータ8に接着することができる。
バインダの主成分としては、例えばアクリル系重合体等が挙げられる。アクリル重合体としては、ニトリル基を有する単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含むニトリル基含有アクリル重合体が好適に用いられる。ここで、ニトリル基を有する単量体単位とは、例えばアクリロニトリル、メタアクリロニトリル等を重合して得られる構造単位であり、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位とは、CH2=CR1−COOR2(式中、R1は水素原子又はメチル基を、R2はアルキル基又はシクロアルキル基を表す。)で表される化合物由来の単量体単位である。ニトリル基含有アクリル重合体は、ニトリル基を有する単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位に加えて、エチレン性不飽和酸単量体を重合して形成されるエチレン性不飽和酸単量体単位を含んでいてもよい。また、ニトリル基含有アクリル重合体は、架橋されていてもよい。
接着層14における固体電解質粒子の割合の下限としては、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。一方、接着層14における固体電解質粒子の割合の上限としては、95質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。接着層14における固体電解質粒子の割合を前記下限以上とすることによって、接着層14に十分なイオン伝導性を付与することができる。また、接着層14における固体電解質粒子の割合を前記上限以下とすることによって、相対的にバインダの割合を一定以上として接着層14に十分な接着性を付与することができる。
袋詰正極板5は、正極板7を、樹脂層12、耐熱層13及び接着層14を有する一対のセパレータ8によって挟み込むこと(積層工程)と、樹脂層12の融点より低い温度に加熱された加熱金型で正極板7及び一対のセパレータ8の積層体を挟み込むこと(プレス工程)とを備える方法によって製造することができる。
前記積層工程では、セパレータ8の接着層14がそれぞれ正極板7に当接し、平面視でセパレータ8が正極板7の活物質積層領域を内包するよう、正極板7及び一対のセパレータ8を積層する。
前記プレス工程では、一対の加熱金型を樹脂層12の融点未満、接着層14のバインダのガラス転移点以上の温度に加熱して、正極板7及び一対のセパレータ8の積層体を挟み込んで加圧する。
加熱金型は、接着層14を平面視で正極板7の活物質積層領域の外側において、対向するセパレータ8の接着層14及び正極タブ11に圧着するような凸状部を有するよう構成される。
負極板6は、正極板7とは異なり、積層電極体1において、袋詰めされずに積層されている。
負極板6は、導電性を有する箔状乃至シート状の負極集電体15と、この負極集電体15の表面に積層される負極活物質層16とを有する。具体的には、負極板6は、負極集電体15の表面に活物質層12が積層される平面視矩形状の活物質積層領域と、この活物質積層領域から活物質積層領域よりも幅の小さい帯状に延出し、負極端子4に接続される負極タブ17とを有する構成とされる。
負極集電体15は、上述の正極集電体9と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極板6の負極集電体15としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
負極活物質層16は、負極活物質を含むいわゆる負極板合材から形成される。また、負極活物質層16を形成する負極板合材は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、正極活物質層10と同様のものを用いることができる。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が好適に用いられる。具体的な負極活物質としては、例えばリチウム、リチウム合金等の金属、金属酸化物、ポリリン酸化合物、例えば黒鉛、非晶質炭素(易黒鉛化炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料などが挙げられる。
前記負極活物質の中でも、正極板7と負極板6との単位対向面積当たりの放電容量を好適な範囲とする観点から、Si、Si酸化物、Sn、Sn酸化物又はこれらの組み合わせを用いることが好ましく、Si酸化物を用いることが特に好ましい。なお、SiとSnとは、酸化物にした際に、黒鉛の3倍程度の放電容量を持つことができる。
負極活物質としてSi酸化物を用いる場合、Si酸化物に含まれるOのSiに対する原子数の比としては0超2未満が好ましい。つまり、Si酸化物としては、SiOx(0<x<2)で表される化合物が好ましい。また、前記原子数の比としては、0.5以上1.5以下がより好ましい。
なお、負極活物質は上述したものを一種単体で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。例えば、Si酸化物と他の負極活物質とを混合して用いることで、正極板7と負極板6との単位対向面積当たりの放電容量及び後述する負極活物質の質量に対する前記正極活物質の質量の比が共に好適な値となるように調整できる。Si酸化物と混合して用いる他の負極活物質としては、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、コークス類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、フラーレン、活性炭等の炭素材料が挙げられる。これらの炭素材料は、一種のみをSi酸化物と混合してもよいし、二種以上を任意の組み合わせ及び比率でSi酸化物と混合してもよい。これらの他の負極活物質の中でも、充放電電位が比較的卑である黒鉛が好ましく、黒鉛を用いることで高いエネルギー密度の二次電池素子が得られる。Si酸化物と混合して用いる黒鉛としては、鱗片状黒鉛、球状黒鉛、人造黒鉛、天然黒鉛等が挙げられる。これらの中でも、充放電を繰り返してもSi酸化物粒子表面との接触を維持しやすい鱗片状黒鉛が好ましい。
負極活物質におけるSi酸化物の含有量の下限としては、30質量%が好ましく、50質量%より好ましく、70質量%がさらに好ましい。一方、Si酸化物の含有量の上限としては、通常100質量%であり、90質量%が好ましい。
前記Si酸化物(一般式SiOxで表される物質)として、SiO2及びSiの両相を含むものを使用することが好ましい。このようなSi酸化物は、SiO2のマトリックス中のSiにリチウムが吸蔵及び放出されるため、体積変化が小さく、かつ充放電サイクル特性に優れる。
また、前記Si酸化物の平均粒子径は、1μm以上15μm以下が好ましい。Si酸化物の平均粒子径を前記範囲内とすることで、当該蓄電素子の充放電サイクル特性を向上できる。
前記Si酸化物は、高結晶性のものからアモルファスのものまで使用することができる。さらに、Si酸化物としては、フッ化水素、硫酸などの酸で洗浄されているものや水素で還元されているものを使用してもよい。
さらに、負極活物質層16は、Si酸化物に加えて少量のB、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を含有してもよい。
負極活物質層16における負極活物質の含有量の下限としては、60質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、負極活物質の含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。負極活物質粒子の含有量を前記範囲とすることで、当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
負極活物質層16におけるバインダの含有量の下限としては、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。一方、バインダの含有量の上限としては、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。バインダの含有量を前記範囲とすることで、負極活物質を安定して保持することができる。
負極活物質層16の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。逆に、負極活物質層16の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。負極活物質層16の平均厚さを前記下限以上とすることによって、負極反応を十分に活性化することができる。また、負極活物質層16の平均厚さを前記上限以下とすることによって、当該蓄電素子のエネルギー密度を大きくすることができる。
外装材2は、積層電極体1を収容し、内部に電解質が封入される密閉容器である。
外装材2の材質としては、電解質を封入できるシール性と、積層電極体1を保護できる強度とを備えるものであれば、例えば樹脂等であってもよいが、金属が好適に用いられる。換言すると、外装材2としては、例えばラミネートフィルムから形成され、可撓性を有する袋体等であってもよいが、積層電極体1をより確実に保護できる堅固な金属ケースを用いることが好ましい。
外装材2に積層電極体1と共に封入される電解質としては、当該蓄電素子に通常用いられる公知の電解液が使用でき、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等の環状カーボネート、又はジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネートを含有する溶媒に、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)等を溶解した溶液を用いることができる。
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
アルミニウム箔製正極集電体に正極活物質層を積層した正極板と、ポリエチレンとポリプロピレンの複数の多厚膜の層から形成される厚さ16μmの樹脂層に、厚さ4μmの耐熱層を積層し、この耐熱層に非水電解質粒子とバインダとを含む厚さ1μmの接着層を積層したセパレータとを用意した。一対の前記セパレータを接着層を内側にして前記正極板を挟み込み、加熱金型を用いた熱プレスによって、正極板の活物質層積層領域の外側でセパレータの接着層同士を溶着させると共に、セパレータの接着層を正極板のタブに接着することで、本発明の袋詰正極板の実施例を得た。この袋詰正極板を負極板と交互に各40枚積層し、アルミニウム製の箱型外装材の中に収容して、電解液を注入することによって、蓄電素子の実施例を作成した。
この蓄電素子の実施例は、容量が40Ah、重量基準のエネルギー密度が107Hh/kg、体積基準のエネルギー密度が241Wh/Lであった。
厚さ16μmの樹脂層に、厚さ4μmの耐熱層を積層し、接着層を有しないセパレータを用いた以外は前記実施例と同様にして、蓄電素子の比較例を作成した。この蓄電素子の比較例の容量並びに重量基準及び体積基準のエネルギー密度は、前記実施例と等しくなるようにした。
これら蓄電素子の実施例及び比較例を複数作成し、負極板の活物質積層領域と正極板のタブとを貫通するよう、直径が1mm、先端角が30°のSUS304製釘状体を80mm/secの速度で差し込んで、蓄電素子の中央及び釘刺し位置近傍のエッジにおける温度変化を測定する試験を、釘状体の差し込み深さを変えて行った。
この試験結果を次の表1にまとめて示す。
比較例の蓄電素子では、釘状体を7mm刺し込んだだけでも100℃以上の温度となり、釘状体を9mm差し込んだ場合には中央部でも300℃以上、エッジ部では600℃を超える温度となった。これに対し、実施例の蓄電素子では、釘状体を7mm乃至9mm差し込んだ場合には、最高到達温度が20℃程度であり、問題となるような発熱は見られなかった。実施例の蓄電素子において、釘状体の差し込み深さを32mmまで大きくしても、温度が高いエッジ部でも65℃に留まり、人が誤って触れたとしても直ちに火傷を負うような温度ではなかった。
以上のように、接着層を有するセパレータを用い、セパレータの接着層を正極タブに接着することで、釘状態を突き刺した場合の発熱を大幅に抑制することができた。
本発明に係る袋詰正極板、積層電極体及び蓄電素子は、二次電池に好適に利用することができ、電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)といった車両の電力源として特に好適に利用される。
1 積層電極体
2 外装材
3 正極端子
4 負極端子
5 袋詰正極板
6 負極板
7 正極板
8 セパレータ
9 正極集電体
10 正極活物質層
11 正極タブ
12 樹脂層
13 耐熱層
14 接着層
15 負極集電体
16 負極活物質層
17 負極タブ
D 正極板の活物質積層領域と接着層の正極タブへの接着領域との距離
2 外装材
3 正極端子
4 負極端子
5 袋詰正極板
6 負極板
7 正極板
8 セパレータ
9 正極集電体
10 正極活物質層
11 正極タブ
12 樹脂層
13 耐熱層
14 接着層
15 負極集電体
16 負極活物質層
17 負極タブ
D 正極板の活物質積層領域と接着層の正極タブへの接着領域との距離
Claims (6)
- タブを有する正極板と、前記正極板を挟み込む一対のセパレータとを備え、
前記セパレータが、樹脂層、前記樹脂層に積層された耐熱層及び前記耐熱層の前記正極板に対向する面に積層された接着層を有し、
前記一対のセパレータの前記接着層が、前記タブに接着されている袋詰正極板。 - 前記正極板の活物質積層領域と、前記接着層のタブへの接着領域との平均距離が、500μm以下である請求項1に記載の袋詰正極板。
- 前記接着層が、電解液を含んでイオン伝導性を発現する粒子と、バインダとを含む混合材料から形成される請求項1又は請求項2に記載の袋詰正極板。
- 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の複数の袋詰正極板と、
前記袋詰正極板と交互に積層される複数の負極板と
を備える積層電極体。 - 前記接着層のタブへの接着領域が平面視で負極板の外側まで延びている請求項4に記載の積層電極体。
- 請求項4又は請求項5に記載の積層電極体と、
前記積層電極体を収容する外装材と
を備える蓄電素子。
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