JP2008274264A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロピレン単独重合体(A−1)および下記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)40〜99重量%と、下記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)1〜60重量%とを含有する樹脂組成物(ただし、(A)と(B)の合計を100重量%とする)100重量部と、石油樹脂(C)0.1〜20重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
(A−2)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の[η]EPが2〜8(dl/g)であるプロピレン−エチレンブロック共重合体
(B)α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、MI(190℃)が1〜40g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体
【選択図】なし
Description
例えば、特開平8−208943号公報には、エチレン/プロピレンブロック共重合体とエチレン/α−オレフィン共重合体からなる樹脂組成物が記載されている。
また、特開平9−143338号公報には、エチレン/プロピレンブロック共重合体とエチレン/ヘキセン共重合体及び無機充填剤からなる樹脂組成物が記載されている。
また、特開平11−209532号公報には、エチレン/プロピレンブロック共重合体とエチレン/α−オレフィン共重合体及び無機充填剤からなる樹脂組成物が記載されている。
また、特開2002−30196号公報には、エチレン/プロピレンブロック共重合体とエチレン/α−オレフィン共重合体及び無機充填剤からなる樹脂組成物が記載されている。
一方、特公平3−47297号公報には、ポリプロピレン系樹脂及び、石油樹脂からなる樹脂組成物が記載されている。
かかる状況の下、本発明の目的は、シルバーストリークが少ない成形体を得ることができるポリプロピレン系樹脂組成物及びそれからなる発泡成形体を提供することにある。
(A−2)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の[η]EPが2〜8(dl/g)であるプロピレン−エチレンブロック共重合体
(B)α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、MI(190℃)が1〜40g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体
本発明では、剛性、耐熱性又は硬度を高めるという観点から、プロピレン単独重合体(A−1)及び特定のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)が用いられる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2)とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分とからなる共重合体である。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2)のプロピレン単独重合体成分の、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
但し、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。
上記プロピレン重合体(A)の製造方法で用いられる公知の重合触媒としては、例えば、(1)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と、(2)有機アルミニウム化合物と(3)電子供与体成分からなる触媒系が挙げられる。この触媒の製造方法としては、例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報や特開平10−212319号公報に記載されている製造方法が挙げられる。
上記の製造方法で用いられる固体触媒成分(1)、有機アルミニウム化合物(2)及び電子供与体成分(3)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、適宜、決めればよい。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、又は、これらの混合物が挙げられる。
メタロセン系触媒としては、例えば、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報等に記載されているメタロセン系触媒が挙げられる。
メタロセン系触媒を用いる共重合体(B)の製造方法として、好ましくは、欧州特許出願公開第1211287号明細書に記載されている方法が挙げられる。
本発明で用いられる石油樹脂(C)としては、石油類の熱分解により生成する分解油留分を重合し固化させた熱可塑性樹脂であって、例えばC5留分を原料とした脂肪族系石油樹脂、C9留分を原料とした芳香族系石油樹脂、ジシクロペンタジエンを原料とした脂環族系石油樹脂、及びこれら2種以上が共重合した共重合系石油樹脂、さらにこれらを水素化した水素化系石油樹脂等が挙げられる。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物は、無機フィラー(D)を含有していてもよい。無機フィラー(D)としては、例えば、炭素繊維、金属繊維、ガラスビーズ、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィスカー、タルク、ベントナイト、スメクタイト、マイカ、セピオライト、ワラストナイト、アロフェン、イモゴライト、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、硫酸バリウム、ガラスフレーク等が挙げられるが、好ましくはタルクである。
無機フィラー(D)の添加量としては、プロピレン重合体(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の合計量を100重量部に対し0.1〜60重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。
発泡成形の方法としては、具体的には、射出発泡成形法、プレス発泡成形法、押出発泡成形法、スタンパブル発泡成形法などの公知の方法が挙げられる。
本発明の発泡成形体は、インサート成形、接着などの方法により表皮材を貼合して加飾発泡成形体とすることもできる。
表皮材には、さらにクッション層を設けることができる。かかるクッション層を構成する材料は、ポリウレタンフォーム、EVAフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム等が例示される。
実施例又は比較例では、以下に示した樹脂及び添加剤を用いた。
(1)プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体(A−1)
特開2004−182981の実施例4記載の固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MI:32g/10分
プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体全体の極限粘度[η]T:1.6dl/g
プロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]P:0.93dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の共重合体全体に対する重量比率:20重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP:4.5dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン単位含量:36重量%
住友化学(株)社製 商品名:U501E1
MI:120g/10分
特開平10−212319の実施例7記載の固体触媒成分を用いて溶媒重合法により製造した。
MI:300g/10分
下記の方法で調製した固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MI:80g/10分
プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体全体の極限粘度[η]T:1.4dl/g
プロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]P:0.80dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の共重合体全体に対する重量比率:12重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP:7dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン単位含量:32重量%
共重合体(A−4)の製造に使用した固体触媒成分は、下記の方法で調製した。
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、ヘキサン800L、フタル酸ジイソブチル6.8kg、テトラエトキシシラン350kg及びテトラブトキシチタン38.8kgを投入し、撹拌した。ここに、ブチルマグネシウムクロリドのジブチルエーテル溶液(濃度2.1mol/l)900Lを反応器内の温度を7℃に保ちながら5時間かけて滴下した。滴下終了後、20℃で1時間撹拌したあと濾過し、得られた固体をトルエン1100Lでの洗浄を3回繰り返した。洗浄した固体をトルエンに加えて分散させ、625Lのスラリーを得た。得られたスラリーを、攪拌下70℃で1時間加熱し、その後、室温まで冷却した。
上記スラリーの一部を濾過し、得られた固体成分を減圧乾燥させた。得られた固体成分の組成分析を行ったところ固体成分中にはチタン原子が2.1重量%、エトキシ基が38.9重量%、ブトキシ基が3.4重量%含有されていた。また、この固体成分中のチタン原子の原子価は3価であった。
(活性化1)
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた100mlのフラスコを窒素で置換したのち、上記(1)で得られた乾燥固体成分8gを含むスラリーを投入し、静置し、上澄み液と濃縮されたスラリーとに分けた。残り分の全体積が26.5mlとなるように上澄み液を抜き取った。40℃で四塩化チタン16.0ml、ジブチルエーテル0.8mlの混合物を投入し、さらにフタル酸クロライド(以下、OPCと略すことがある。)2.0mlとトルエン2.0mlの混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応混合物を115℃で4時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、得られた固体を115℃でトルエン40mlを用いて3回洗浄を行った。
洗浄後、得られた固体にトルエンを加えて26.5mlのスラリーを得た。このスラリーにジブチルエーテル0.8ml、フタル酸ジイソブチル0.45mlと、四塩化チタン6.4mlの混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、得られた固体を105℃でトルエン40mlを用いて2回洗浄を行った。
次に、得られた固体にトルエンを加えて26.5mlのスラリーを得、更に、105℃まで加熱した。そこへジブチルエーテル0.8ml、四塩化チタン6.4mlの混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、得られた固体を105℃でトルエン40mlを用いて2回洗浄を行った。
さらに、得られた固体にトルエンを加えて26.5mlのスラリーを得、更に、105℃まで加熱した。そこへジブチルエーテル0.8ml、四塩化チタン6.4mlの混合物を投入し、105℃で1時間攪拌した。その後、同温度で固液分離し、得られた固体をトルエン40mlで6回、室温でヘキサン40mlを用いて3回洗浄を行った。これを減圧乾燥して固体触媒成分を得た。
固体触媒成分中には、チタン原子が1.6重量%、フタル酸ジエチル7.6重量%、フタル酸エチルノルマルブチル0.8重量%、フタル酸ジイソブチル2.5重量%が含有されていた。
共重合体(A−4)の製造に使用したのと同じ固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MI:30g/10分
プロピレン−(プロピレン−エチレン)共重合体全体の極限粘度[η]T:1.6dl/g
プロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]P:1.00dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の共重合体全体に対する重量比率:16重量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EP:5dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン単位含量:34.5重量%
(B−1)エチレン−ブテン共重合体ゴム
商品名: CX5505(住友化学社製)
密 度: 0.878(g/cm3)
MI(190℃、2.16kg荷重):14(g/10分)
(B−2)エチレン−ブテン共重合体ゴム
商品名:A35050(三井化学(株)社製)
密度:0.863(g/cm3)
MI(190℃、2.16kg荷重):35(g/10分)
(B−3)エチレン−プロピレン共重合体ゴム
商品名: V0115(住友化学社製)
密 度: 0.870(g/cm3)
MI(190℃、2.16kg荷重):4(g/10分)
(C−1)アルコンP−125(荒川化学工業(株)製)
ガラス転移温度=69.6℃
(C−2)アルコンP−140(荒川化学工業(株)製)
ガラス転移温度=78.6℃
商品名:MWHST(平均粒径:2μm、林化成(株)製)
表1に示した各成分を所定量、計量し、タンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS 30BW−2V型)を用いて、押出量30〜50kg/hr、スクリュー回転数300rpm、ベント吸引下で混練押出して、プロピレン重合体組成物ペレットを製造した。
このペレットを用い、エンゲル社製ES2550/400HL−MuCell(型締力400トン)射出成形機を用いて、射出発泡成形を行った。
金型として、成形体概略寸法が、図1に示した成形品部寸法が290mm×370mm、高さ45mm、型締めした状態の基本キャビティクリアランス(初期板厚)1.5mmに、一部1.6mmの部分を有するの箱型形状(ゲート構造:ダイレクトゲート)のものを用いた。
シリンダ温度250℃、金型温度50℃に設定し、型締め後、発泡剤を含む前記組成物の射出を開始した。前記組成物を、金型キャビティ内に完全に射出充填した後、金型のキャビティ壁面を2.0mm後退させて該キャビティを増加させて組成物を発泡させた。発泡した組成物を更に冷却し、完全に固化させて発泡成形体を得、ゲートから100mmの部位にて発泡成形体の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)メルトインデックス(MI、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従って測定した。
230℃、2.16kg荷重にて測定した。
(2−1)プロピレン−エチレンブロック共重合体の固有粘度
(2−1−a)プロピレン単独重合体成分の固有粘度:[η]P
プロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン単独重合体成分の固有粘度:[η] Pはその製造時に、プロピレン単独重合体の重合後に重合槽内よりプロピレン単独重合体を取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体の[η]Pを測定して求めた。
プロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度:[η]EPは、プロピレン単独重合体成分の固有粘度:[η]Pとプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度:[η]Tをそれぞれ測定し、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xを用いて次式から計算により求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]EP
[η]P:プロピレン単独重合体成分の固有粘度(dl/g)
[η]T:プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度(dl/g)
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率:Xはプロピレン単独重合体成分とプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示差走査型熱分析(DSC)により測定した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレン単独重合体成分の融解熱量(cal/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量:(C2')EPは、赤外線吸収スペクトル法によりプロピレン−エチレンブロック共重合体全体のエチレン含量(C2')Tを測定し、次式を用いて計算により求めた。
(C2')EP=(C2')T/X
(C2')T:プロピレン−エチレンブロック共重合体全体のエチレン含量(重量%) (C2')EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量(重量%) X:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のプロピレン−エチレンブロック共重合体全体に対する重量比率
示差走査型熱量計(DSC,パーキンエルマー社製Diamond DSC)を用いて行なった。10℃/minで室温から200℃まで昇温し、10分間200℃を保つ。次に10℃/minの速度で30℃まで降温し、30℃で10分保つ。さらに10℃/minで200℃まで昇温し、縦軸吸熱量、横軸温度で表されるDSC曲線を得た。DSC曲線の階段状変化部分から補外ガラス転移開始温度と補外ガラス転移終了温度を求め、これらから算出した。
発泡成形により得られたポリプロピレン系樹脂組成物発泡成形体のゲ−ト部から100mm離れた部位の図1に示した直径60mmの円の範囲を目視で評価し、以下に示したとおりに判定した。
○:発泡成形体の表面のシルバーストリークが目視では確認できない
△:シルバーストリークがやや目立つ
×:シルバーストリークが目立つ
2:シルバーストリークを評価した部位
Claims (5)
- プロピレン単独重合体(A−1)及び下記プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のプロピレン重合体(A)40〜99重量%と、下記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)1〜60重量%とを含有する樹脂組成物(ただし、(A)と(B)の合計を100重量%とする)100重量部と、石油樹脂(C)0.1〜20重量部とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
(A−2)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の[η]EPが2〜8(dl/g)であるプロピレン−エチレンブロック共重合体
(B)α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、MI(190℃)が1〜40g/10分であるエチレン−α−オレフィン共重合体 - 前記プロピレン重合体(A)とエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の合計100重量部あたり0.1〜60重量部の無機フィラー(D)を更に含有する請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記ポリプロピレン系樹脂組成物のMIが40〜200g/10分である請求項1又は2記載の発泡用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の密度は0.85〜0.89(g/cm3)である請求項1から3いずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1から4いずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を発泡させてなる発泡成形体。
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