JP2008272621A - 消臭方法 - Google Patents

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洋 高宮
Shoichiro Kajiwara
庄一郎 梶原
Yoichi Tomizawa
洋一 富沢
Hidetoshi Ikeda
英俊 池田
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Abstract

【課題】廃水中や廃水を処理する際に発生する生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥、凝集汚泥等、または洗浄装置の洗浄水やそれらの混合物より発生する臭気を迅速にかつ効率よく除去できる消臭方法を提供する。
【解決手段】硫黄系臭気物質を含有する媒体を過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムで処理することを特徴とする消臭方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、廃水中や廃水を処理する際に発生する生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥、凝集汚泥等、または洗浄装置の洗浄水やそれらの混合物より発生する臭気を迅速にかつ効率よく除去できる消臭方法に関するものである。
最近の都市及び近郊への人口の密集は、大量の水資源の消費につながっている。そこで使用された水資源は、様々な有機、無機物を含有する廃水となって公共下水道やビル中の滞留槽等へ排出される。さらにこれらは下水処理場にて処理される過程で、大量の生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥を産出する。これら廃水や汚泥の中には、硫酸塩や多量のBOD成分が含まれる。また廃水や汚泥中には、通常硫酸還元菌が存在し汚泥中の硫酸塩を硫化水素に還元して生産活動を行っている。
生成された硫化水素は、常温では気体であるため気相へ拡散される。この硫化水素は、毒性のある不快な臭気を持つため、下水道設備のマンホールやビルの地下から漏洩し、周辺住民への悪臭問題の原因となったり、汚泥の処理時には作業者に対する危険性が危惧される。また、硫化水素は、コンクリート施設中に付着する硫黄酸化菌および空気により酸化を受け、ミスト中に溶け込み硫酸を生成する。こうして生成した硫酸は、アルカリ性であるコンクリートや金属を腐食し建築物の構造に致命的な欠陥をもたらす原因となっている。さらに硫化水素と同様に廃水および汚泥の腐敗の過程でメルカプタン類を産出し悪臭問題の原因となっている。
これら臭気の発生や構造物の腐食を防止する手段として、過酸化水素と硝酸塩等を添加する方法や(特許文献1参照)、これらに遷移金属塩を添加する方法がある(特許文献2参照)。これらの方法は、長時間の持続効果に問題がある。
特開平10−137773号公報 特開平10−216698号公報
本発明の目的は、従来技術における上記のような課題を解決し、廃水、汚泥または洗浄水等の硫化水素、メルカプタン類等の硫黄系臭気物質を迅速にかつ効率よく除去し、悪臭の拡散及び施設の腐食を防止する消臭方法を提供することにある。さらには金属塩を含まず、コンポストなどへの再利用が可能となる廃水、汚泥または洗浄水等の消臭方法を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、硫化水素及びメルカプタン類等の硫黄系臭気物質を含む廃水または汚泥に過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムを添加することにより硫黄系臭気を迅速にかつ効率よく除去でき、なおかつ硫黄系臭気物質の発生を長時間にわたって抑制しうることを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は、硫黄系臭気物質を含有する媒体を過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムで処理することを特徴とする消臭方法に関するものである。
本発明の消臭方法は、少ない添加量で硫化水素、メルカプタン類の臭気を迅速に、さらに持続性を持って除去することができ、尚かつ一液剤とすることで薬注装置を簡易化、小型化できる。その結果、有害で不快臭を持つ硫化水素、メルカプタン類の拡散は大幅に抑えられ、更にコンクリート、金属等の腐食を防止することができる。
本発明を具体的に説明する。本発明が適用される媒体としては、家庭からの一般廃水または工場などの廃水、また洗浄装置等に含まれる洗浄水が含まれる。さらに汚泥として下水、し尿または工場廃水を処理する際に発生する生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥、凝集汚泥やそれらの混合物及び汚泥を脱水して生じた脱水ケーキが含まれる
本発明で使用される過酸化物としては、過酸化水素、過酢酸、過硫酸塩、過炭酸、過ホウ素酸塩、その他無機、有機の過酸化物が使用し得るが、好ましくは過酸化水素が使用される。過酸化物の使用量は、過酸化水素100%換算で媒体に対して1〜2000mg/L、好ましくは10〜1000mg/Lである。過酸化水素は35重量%、60重量%の濃度のものが市販されているが、これをそのまま使用しても良く、また媒体と混合しやすいように希釈して使用しても良い。
本発明で使用される硝酸イオンとしては、硝酸および硝酸塩で供給される。硝酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の無機塩が例示されるが特にこれらに限定されない。硝酸塩は無水塩でも含水塩でも良い。硝酸イオンの使用量としては媒体に対して1〜2000mg/L、好ましくは10〜1000mg/Lである。
本発明で使用されるギ酸カルシウムの使用量は、媒体に対して1〜2000mg/L、好ましくは10〜1000mg/Lである。
過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムは、各々を同時に添加しても良いし、予め混合した物を添加しても良い。過酸化物に対する硝酸イオンおよびギ酸カルシウムの量は特に限定されないが、通常は過酸化物100%換算に対して硝酸イオンおよびギ酸カルシウムを1〜300重量%程度使用される。
予め混合する場合は、安定剤としてカルボン酸基を2個以上有するキレート剤及びその塩、並びにホスホン酸基を2個以上有するキレート剤及びその塩から選ばれる少なくとも1種を添加してもよい。カルボン酸基を2個以上有するキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ポリヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
ホスホン酸基を2個以上有するキレート剤としては、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、1,2−プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トリアミノトリエチルアミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、トランス−1,2−シクロヘキサンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、グリコールエーテルジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、テトラエチレンへプタ(メチレンホスホン酸)等が挙げられる。これらのキレート剤は、遊離酸でも良く、塩の形でも良い。塩の形で使用する場合は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等が使用できるが、ナトリウム塩、アンモニア塩が好適に使用される。キレート剤の使用量は、硝酸イオンの量に依存するが混合液に対し、1〜50,000ppm程度が好適に使用される。また、必要に応じてリン酸等の他の安定剤を使用しても良い。
本発明は、過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムに防菌剤を組み合わせることにより、特に脱水ケーキの消臭持続効果において顕著な効果を奏することができる。併用される防菌剤としては、例えば2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオールやジブロモ−2−ニトロ−エタノール等のアルコール類、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンや5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のチアゾリン類、2−メルカプトピリジン−N−オキサイド、2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウムや2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウム等のピリジン類が挙げられる。防菌剤は、過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムと同時に添加しても良いし何れかと予め混合して使用しても良い。なお添加順序はいずれを先にしてもかまわないが、予め過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムで媒体を処理し、しかる後に防菌剤を添加することが好ましい。
本発明による方法を効率的に行うために、薬剤を添加する際、媒体との混合のために攪拌することが好ましい。攪拌方法としては、攪拌混合槽、攪拌翼、インラインミキサーなどのいずれの方法でも良い。また防菌剤が粉体状の場合には、廃水や汚泥、脱水ケーキに散布する方法でも良い。
薬剤の添加方法としては、ダイヤフラム式、プランジャー式の定量ポンプ等の薬品を正確に供給できる方式であれば良い。薬剤を添加する場所としては、下水、廃水や汚泥と混合できる場所であれば何れの場所でも良く、ビルの廃水ピット、下水ポンプ場のピットやし渣除去槽、下水処理場の汚泥濃縮槽、汚泥混合槽、汚泥貯留槽や凝集剤混合槽、また下水、廃水や汚泥の移送配管中に直接投入しても良い。また、媒体の移送を検知して、これに連動して消臭剤を添加するポンプの起動および停止を行うのが好ましい。媒体の移送の検知は、媒体の移送ポンプの起動信号、移送配管のバルブの開閉状態を示す信号、または媒体の流量指示等による。
次に本発明の方法を実施例により更に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、%は重量%である。
実施例1
下水処理場の濃縮槽から採取した生汚泥(TS:2.0%)1000mlに、過酸化水素20重量%(100%過酸化水素濃度換算)、硝酸ナトリウム27.4重量%(硝酸イオンとして20重量%)、ギ酸カルシウム10重量%よりなる消臭剤を500mg添加混合した。添加して30分後と24、48時間後の硫化水素、全メルカプタン類を、ガステック社製ガス検知管を用いてヘッドスペース法により測定した。結果を表1に示す。表中のN.D.は検出限界以下、traceは痕跡を示す。
実施例2
ギ酸カルシウム20重量%とした以外は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1に示す。
比較例1
薬剤を何も添加しなかった以外は、実施例1と同様な処理を行った。結果を表2に示す。
比較例2
硝酸ナトリウム、ギ酸カルシウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様な処理を行った。結果を表1に示す。
比較例3
ギ酸カルシウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1に示す。
比較例4
ギ酸カルシウムの代わりにギ酸20重量%とした以外は、実施例1と同様な処理を行った。結果を表1に示す。
比較例5
ギ酸カルシウムの代わりにギ酸ナトリウム20重量%とした以外は、実施例1と同様な処理を行った。結果を表1に示す。
比較例6
ギ酸カルシウムの代わりにギ酸マンガン二水和物20重量%とした以外は、実施例1と同様な処理を行った。結果を表1に示す。
比較例7
過酸化水素、硝酸ナトリウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様な処理を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008272621
実施例3
下水処理場の濃縮槽から採取した生汚泥(TS:2.0%)1000mlに、過酸化水素20重量%(100%過酸化水素濃度換算)、硝酸ナトリウム27.4重量%(硝酸イオンとして20重量%)、ギ酸カルシウム20重量%よりなる消臭剤を500mg添加混合し、次に1重量%のポリアミジン系高分子凝集剤を20g添加し攪拌混合した後に、遠心分離機で汚泥の脱水を行った。その後、生成した脱水ケーキを処理後24、48、72時間後の硫化水素、全メルカプタン類についてガステック社製ガス検知管を用いてヘッドスペース法により測定した。結果を表2に示す。
実施例4
2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム(NPT)を10mg/L併用した以外は、実施例3と同様の処理を行った。結果を表2に示す。
比較例8
薬剤を何も添加しなかった以外は、実施例3と同様な処理を行った。結果を表2に示す。
比較例9
硝酸ナトリウム、ギ酸カルシウムを添加しなかった以外は、実施例3と同様な処理を行った。結果を表2に示す。
比較例10
ギ酸カルシウムを添加しなかった以外は、実施例3と同様の処理を行った。結果を表2に示す。
比較例11
ギ酸カルシウムの代わりにギ酸マンガン二水和物20重量%とした以外は、比較例6と同様の処理を行った。結果を表2に示す。
比較例12
2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム(NPT)を10mg/L併用した以外は、比較例6と同様の処理を行った。結果を表2に示す。
比較例13
過酸化水素、硝酸ナトリウムを添加しなかった以外は、比較例8と同様な処理を行った。結果を表2に示す。
Figure 2008272621

Claims (5)

  1. 硫黄系臭気物質を含有する媒体を過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムで処理することを特徴とする消臭方法。
  2. さらに防菌剤で処理する請求項1記載の消臭方法。
  3. 過酸化物が過酸化水素又は過炭酸ナトリウムである請求項1記載の消臭方法。
  4. 硝酸イオンが硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸カルウム、硝酸カルシウムから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の消臭方法。
  5. 過酸化物、硝酸イオンおよびギ酸カルシウムを含有する、硫黄系臭気物質を含有する媒体の消臭剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015085293A (ja) * 2013-11-01 2015-05-07 日鉄住金環境株式会社 臭気発生物質の臭気抑制方法及び臭気抑制用組成物
CN109963816A (zh) * 2016-11-18 2019-07-02 凯米罗总公司 使用过氧化羧酸处理废水和废水污泥的方法

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