JP5887003B1 - 硝酸塩含有過酸化水素水溶液の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高濃度の硝酸ナトリウム含有した高濃度過酸化水素水溶液を提供することにある。即ち、この水溶液を製造する過程で、1)硝酸ナトリウムはその溶解時に多量の吸熱を伴い、そのために高濃度の硝酸ナトリウムを高濃度の過酸化水素水溶液に短時間で溶解することが難しい。2)硝酸ナトリウムは消防法の危険物のため取り扱いが難しい。3)高濃度の過酸化水素水溶液に溶解するため硝酸ナトリウム中の不純物により過酸化水素が分解、発熱し濃度低下、爆発の危険がある。これらの課題を解決して、短時間で、低コストで、安全に製造する方法を提供する。【解決手段】これらの課題の解決法について検討し、1)原料温度の制御、2)原料濃度の制御、3)硝酸ナトリウムの粒径の制御、4)過酸化水素の安定剤の使用を適正に制御することにより、高濃度の過酸化水素水溶液中に高濃度の硝酸ナトリウムを溶解した溶液を短時間で、効率良く、安全に製造できる。【選択図】図1
Description
本発明は、硫黄系臭気物質の消臭薬剤の製造方法及び製造装置に関する。更に詳しくは、高濃度の硝酸塩を含有した高濃度の過酸化水素消臭剤の製造及び製造装置に関するものである。
最近の都市及び近郊への人口の密集は多量の水資源の消費につながっている。そこで使用される水資源は、さまざまな有機、無機物を含有する排水となって公共下水道やビル中の滞留槽等へ排出される。これらは下水処理場にて処理される過程で、大量の生汚泥、余剰汚泥、消化汚泥を産出する。また、規模の大きな工場等の事業所も河川、海洋等の深刻な環境汚染に伴い排水規制が強化され所定の水質まで処理することが義務づけられている。この事業所での凝集沈殿処理や活性汚泥処理等でも多量の汚泥が産出し、生じた汚泥は、後工程で濃縮され、次いでスクリュープレス、ベルトプレス等で脱水・減容化され脱水ケーキが生じる。これらの公共下水道や工場廃水から生じる汚泥や脱水ケーキの中には、硫酸塩や多量のBOD成分が含まれ、また通常これらの硫酸塩をエネルギー源として活動している硫酸還元菌が存在し、廃水または汚泥中の硫酸塩を硫化水素に還元する生産活動を行っている。
これらの生産活動で生成された硫化水素は、常温では気体であるため気相へ放散される。この硫化水素は、毒性のある不快な臭気をもつ物質のため、下水道設備のマンホールやビルの地下、工場の除外設備から漏洩し、周辺住民への悪臭問題の原因となったり、汚泥の処理時には作業者に対する危険性が危惧される。また、硫化水素はコンクリート施設中に付着する硫黄酸化菌および空気により酸化を受け、ミスト中に溶け込み硫酸を生成する。こうして生成した硫酸はアルカリ性であるコンクリートや金属を腐食し建築物の構造に致命的な欠陥をもたらす原因となっている。さらに硫化水素と同様に廃水および汚泥の腐敗の過程ではメルカプタン類も生成し悪臭問題の原因となっている。
これらの臭気の発生や構造物の腐食を防止する有力な手段の一つとして、過酸化水素
と硝酸塩で処理する方法がある。例えば、過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムを添加した溶液を下水汚泥に添加して硫化水素、メルカプタン類の悪臭を除去する方法が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムを添加した溶液の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献1)。また、過酸化水素、硝酸ナトリウム、キレート剤からなる消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献2)。また、廃水または汚泥を鉄塩で処理し、次いで過酸化水素と硝酸ナトリウムで処理する方法が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献3)。また、過酸化水素、硝酸ナトリウム、防菌剤からなる消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献4)。また、過酸化水素と硝酸ナトリウムを含有する消臭剤において、過酸化水素濃度が10%以上、50重量%未満である消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献5)。また、過酸化水素、硝酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン類を含有する消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献6)。また、硝酸ナトリウム濃度が0.05重量%以上、過酸化水素濃度が0.05重量%以上、研磨砥粒濃度が0.1重量%以上であるバリア金属用研磨液が公開されているが、硝酸塩濃度として0.05重量%以上、3重量%とすることが好ましく、高濃度側においてはCu層の加工速度がバリア金属層の加工速度を上回り選択制の制御が困難となる場合がある。過酸化水素については高濃度側は特に制限されないが、加工特性及び経済性の面より5重量%程度とすることが好ましいとしている。この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した研磨剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献7)。また、過酸化水素、硝酸ナトリウム、ギ酸カルシウムを含有する消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献8)。
と硝酸塩で処理する方法がある。例えば、過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムを添加した溶液を下水汚泥に添加して硫化水素、メルカプタン類の悪臭を除去する方法が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムを添加した溶液の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献1)。また、過酸化水素、硝酸ナトリウム、キレート剤からなる消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献2)。また、廃水または汚泥を鉄塩で処理し、次いで過酸化水素と硝酸ナトリウムで処理する方法が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献3)。また、過酸化水素、硝酸ナトリウム、防菌剤からなる消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献4)。また、過酸化水素と硝酸ナトリウムを含有する消臭剤において、過酸化水素濃度が10%以上、50重量%未満である消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献5)。また、過酸化水素、硝酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン類を含有する消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献6)。また、硝酸ナトリウム濃度が0.05重量%以上、過酸化水素濃度が0.05重量%以上、研磨砥粒濃度が0.1重量%以上であるバリア金属用研磨液が公開されているが、硝酸塩濃度として0.05重量%以上、3重量%とすることが好ましく、高濃度側においてはCu層の加工速度がバリア金属層の加工速度を上回り選択制の制御が困難となる場合がある。過酸化水素については高濃度側は特に制限されないが、加工特性及び経済性の面より5重量%程度とすることが好ましいとしている。この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した研磨剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献7)。また、過酸化水素、硝酸ナトリウム、ギ酸カルシウムを含有する消臭剤が公開されているが、この過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを添加した消臭剤の製造方法及び製造装置については何ら記載されていない(特許文献8)。
以上のように、過酸化水素と硝酸塩を含有する消臭剤、研磨剤について、それぞれの消臭効果、研磨効果については公開されているが、それぞれの薬剤の製造方法及び製造装置については何ら公開されていない。
また、一般に硝酸ナトリウムの過酸化水素水溶液への溶解は大きな吸熱反応を伴い、容易に溶解出来ない為、過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法及び製造装置について更なる改善が求められていた。
また、一般に硝酸ナトリウムの過酸化水素水溶液への溶解は大きな吸熱反応を伴い、容易に溶解出来ない為、過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法及び製造装置について更なる改善が求められていた。
本発明の目的は、高濃度の過酸化水素水溶液中に高濃度の硝酸ナトリウムを溶解した水溶液を提供することにある。即ち、この水溶液を製造する過程で、1)硝酸ナトリウムはその溶解時に多量の吸熱を伴い、そのために高濃度の硝酸ナトリウムを高濃度の過酸化水素水溶液に短時間で溶解することが難しい。2)高濃度の過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを溶解する場合、同量の水に溶解する場合より過酸化水素が存在するため溶解し難い、3)硝酸ナトリウムは消防法の危険物のため取り扱いが難しい。4)高濃度の過酸化水素水溶液に溶解するため硝酸ナトリウム中の不純物により過酸化水素が分解、発熱し濃度低下、爆発の危険がある。これらの課題を解決して、短時間で、効率良く、安全に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、これらの課題の解決について鋭意検討した結果、過酸化水素水溶液に硝酸ナトリウムを溶解する際に温度を適切に制御することにより、過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液を、短時間で、効率良く、安全に製造する方法を見出し本発明に到達した。
即ち、本発明は以下の通りである。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1>
下記工程(1)〜(3)を有することを特徴とする、過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
工程(1):20質量%以上60質量%以下の過酸化水素水溶液を用意する工程。
工程(2):工程(1)で用意した過酸化水素水溶液を溶解釜に投入し、熱媒体により30℃以上45℃以下に加温する工程、又は工程(1)で用意した過酸化水素水溶液を熱媒体により30℃以上45℃以下に加温し、溶解釜に投入する工程。
工程(3):過酸化水素水溶液が入った溶解釜に硝酸ナトリウムを投入し、硝酸ナトリウムを溶解し、硝酸ナトリウム濃度が10質量%以上40質量%以下である過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液を得る工程。
<2>
前記工程(2)において、過酸化水素水溶液を35℃以上40℃以下に加温する、<1>記載の水溶液の製造方法。
<3>
前記工程(1)において、45質量%以上60質量%以下の過酸化水素水溶液を41質量%に希釈し、さらに前記工程(3)において、得られる水溶液中の硝酸ナトリウム濃度が30質量%である、<1>及び<2>に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<4>
前記工程(3)において、硝酸ナトリウムを投入した後、溶解温度が24℃から28℃なった時点で溶解操作を終了する、<1>〜<3>のいずれかに記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<5>
前記硝酸ナトリウムの粒子の90質量%以上が、最大径が2mm以上であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<6>
安定剤として、水溶液中にアミノアルキルリン酸系キレート剤を含有する、<1>〜<5>のいずれかに記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<7>
前記アミノアルキルリン酸系キレート剤を、硝酸ナトリウムを投入するより前に添加する、<6>に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<8>
前記アミノアルキルリン酸系キレート剤が、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMPA)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)からなる群より選ばれる一種以上である、<6>又は<7>に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<9>
前記工程(2)において使用した熱媒体により、前記工程(3)で使用する溶解釜を加温する、<1>〜<8>のいずれかに記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<10>
過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造装置であって、
硝酸ナトリウムを過酸化水素水溶液に溶解するための溶解釜、
過酸化水素水溶液投入装置、
硝酸ナトリウム投入装置、
過酸化水素用安定剤投入装置
を有する、製造装置。
<11>
前記過酸化水素用安定剤投入装置が、前記溶解釜に連結する過酸化水素安定剤供給管を具備する、<10>に記載の製造装置。
<12>
前記溶解釜が、加温するためのジャケットを具備する、<10>又は<11>のいずれかに記載の製造装置。
<13>
前記ジャケットが、熱媒体配管を具備する、<12>に記載の製造装置。
<14>
前記過酸化水素水溶液投入装置が、前記溶解釜に連結する過酸化水素供給管を具備する、<10>〜<13>のいずれかに記載の製造装置。
<15>
前記過酸化水素供給管が、過酸化水素希釈装置を具備する、<14>記載の製造装置。
<16>
前記過酸化水素希釈装置が、静止型混合器である、<15>に記載の製造装置。
<17>
前記過酸化水素供給管が、加温装置を具備する、<14>〜<16>のいずれかに記載の製造装置。
<18>
前記加温装置に連結する熱媒体配管を具備する、<17>に記載の製造装置。
<19>
前記加温装置が、プレート式熱交換器である、<17>又は<18>のいずれかに記載の製造装置。
<20>
前記ジャケットに前記加温装置で使用した熱媒体を供給するための熱媒体配管を具備する、<17>〜<19>のいずれかに記載の製造装置。
下記工程(1)〜(3)を有することを特徴とする、過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
工程(1):20質量%以上60質量%以下の過酸化水素水溶液を用意する工程。
工程(2):工程(1)で用意した過酸化水素水溶液を溶解釜に投入し、熱媒体により30℃以上45℃以下に加温する工程、又は工程(1)で用意した過酸化水素水溶液を熱媒体により30℃以上45℃以下に加温し、溶解釜に投入する工程。
工程(3):過酸化水素水溶液が入った溶解釜に硝酸ナトリウムを投入し、硝酸ナトリウムを溶解し、硝酸ナトリウム濃度が10質量%以上40質量%以下である過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液を得る工程。
<2>
前記工程(2)において、過酸化水素水溶液を35℃以上40℃以下に加温する、<1>記載の水溶液の製造方法。
<3>
前記工程(1)において、45質量%以上60質量%以下の過酸化水素水溶液を41質量%に希釈し、さらに前記工程(3)において、得られる水溶液中の硝酸ナトリウム濃度が30質量%である、<1>及び<2>に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<4>
前記工程(3)において、硝酸ナトリウムを投入した後、溶解温度が24℃から28℃なった時点で溶解操作を終了する、<1>〜<3>のいずれかに記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<5>
前記硝酸ナトリウムの粒子の90質量%以上が、最大径が2mm以上であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<6>
安定剤として、水溶液中にアミノアルキルリン酸系キレート剤を含有する、<1>〜<5>のいずれかに記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<7>
前記アミノアルキルリン酸系キレート剤を、硝酸ナトリウムを投入するより前に添加する、<6>に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<8>
前記アミノアルキルリン酸系キレート剤が、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMPA)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)からなる群より選ばれる一種以上である、<6>又は<7>に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<9>
前記工程(2)において使用した熱媒体により、前記工程(3)で使用する溶解釜を加温する、<1>〜<8>のいずれかに記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
<10>
過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造装置であって、
硝酸ナトリウムを過酸化水素水溶液に溶解するための溶解釜、
過酸化水素水溶液投入装置、
硝酸ナトリウム投入装置、
過酸化水素用安定剤投入装置
を有する、製造装置。
<11>
前記過酸化水素用安定剤投入装置が、前記溶解釜に連結する過酸化水素安定剤供給管を具備する、<10>に記載の製造装置。
<12>
前記溶解釜が、加温するためのジャケットを具備する、<10>又は<11>のいずれかに記載の製造装置。
<13>
前記ジャケットが、熱媒体配管を具備する、<12>に記載の製造装置。
<14>
前記過酸化水素水溶液投入装置が、前記溶解釜に連結する過酸化水素供給管を具備する、<10>〜<13>のいずれかに記載の製造装置。
<15>
前記過酸化水素供給管が、過酸化水素希釈装置を具備する、<14>記載の製造装置。
<16>
前記過酸化水素希釈装置が、静止型混合器である、<15>に記載の製造装置。
<17>
前記過酸化水素供給管が、加温装置を具備する、<14>〜<16>のいずれかに記載の製造装置。
<18>
前記加温装置に連結する熱媒体配管を具備する、<17>に記載の製造装置。
<19>
前記加温装置が、プレート式熱交換器である、<17>又は<18>のいずれかに記載の製造装置。
<20>
前記ジャケットに前記加温装置で使用した熱媒体を供給するための熱媒体配管を具備する、<17>〜<19>のいずれかに記載の製造装置。
本発明により、高濃度の過酸化水素及び高濃度の硝酸ナトリウムを含有する水溶液を短時間で効率良く、安全に製造することができる。
本発明を具体的に説明する。本発明は高濃度の過酸化水素と高濃度の硝酸ナトリウムを含む水溶液の製造方法及びそれに使用する製造装置である。
該水溶液中の過酸化水素濃度は、通常5質量%〜55質量%であり、好ましくは10質量%〜55質量%であり、より好ましくは15質量%〜35質量%であり、特に好ましくは27質量%〜29質量%である。該水溶液中の過酸化水素濃度が5質量%以下の場合は、できた製品の過酸化水素の濃度が低いため硫化水素等の臭気除去の即効性が低下し、また55質量%以上の場合、硫化水素等の臭気除去の持続性が劣るとの問題がある。
また、該水溶液中の硝酸ナトリウム濃度は、通常10質量%〜40質量%であり、好ましくは15質量%〜35質量%であり、より好ましくは20質量%〜35質量%であり、特に好ましくは30質量%〜31質量%である。該水溶液中の硝酸ナトリウム濃度が15質量%以下の濃度の場合、できた製品中の硝酸ナトリウムの濃度が低いために硫化水素等の臭気除去の持続性が劣るとの問題がある、35質量%以上の場合、硫化水素等の臭気除去の即効性が低下するとの問題がある。
本発明の過酸化水素水溶液は20質量%〜60質量%の過酸化水素水溶液が使用されるが、原料として、工業用として市販されている35質量%、45質量%、60質量%の過酸化水素水溶液が好ましくは使用される。これらの過酸化水素水溶液は製造された製品に含有する硝酸ナトリウムの濃度によっては希釈して使用される。この希釈に使用される水としては蒸留水、イオン交換水、膜処理水等を用いることが好ましいが、含有する金属量、有機物量が極めて少ない水であれば特に限定されない。
該水溶液中の過酸化水素濃度は、通常5質量%〜55質量%であり、好ましくは10質量%〜55質量%であり、より好ましくは15質量%〜35質量%であり、特に好ましくは27質量%〜29質量%である。該水溶液中の過酸化水素濃度が5質量%以下の場合は、できた製品の過酸化水素の濃度が低いため硫化水素等の臭気除去の即効性が低下し、また55質量%以上の場合、硫化水素等の臭気除去の持続性が劣るとの問題がある。
また、該水溶液中の硝酸ナトリウム濃度は、通常10質量%〜40質量%であり、好ましくは15質量%〜35質量%であり、より好ましくは20質量%〜35質量%であり、特に好ましくは30質量%〜31質量%である。該水溶液中の硝酸ナトリウム濃度が15質量%以下の濃度の場合、できた製品中の硝酸ナトリウムの濃度が低いために硫化水素等の臭気除去の持続性が劣るとの問題がある、35質量%以上の場合、硫化水素等の臭気除去の即効性が低下するとの問題がある。
本発明の過酸化水素水溶液は20質量%〜60質量%の過酸化水素水溶液が使用されるが、原料として、工業用として市販されている35質量%、45質量%、60質量%の過酸化水素水溶液が好ましくは使用される。これらの過酸化水素水溶液は製造された製品に含有する硝酸ナトリウムの濃度によっては希釈して使用される。この希釈に使用される水としては蒸留水、イオン交換水、膜処理水等を用いることが好ましいが、含有する金属量、有機物量が極めて少ない水であれば特に限定されない。
原料である過酸化水素水溶液は、希釈又は希釈せずに、溶解釜に投入する。該過酸化水素水溶液は、加温せずに溶解釜へ投入してもよいし、熱媒体により30℃以上45℃以下に加温してから溶解釜へ投入してもよい。好ましくは、該過酸化水素水溶液を水で希釈した後、熱交換器を介して溶解釜へ投入する。
熱交換器は特に限定されないが、プレート式が好ましい。過酸化水素水溶液は熱交換器で30℃〜45℃、好ましくは35℃〜40℃に加温される。30℃より低い温度の場合、硝酸ナトリウムを溶解した時にその溶解熱が吸熱のため低温となり溶解に長時間を要する傾向がある。また、45℃より高い温度の場合、硝酸ナトリウムの溶解時間は速いが溶解時に過酸化水素が分解して所定の過酸化水素濃度の製品が得られないとの問題が生じる場合がある。
過酸化水素水溶液は、加温するためのジャケットを具備する溶解釜に投入された後、撹拌される。溶解釜は、ジャケットにより30℃〜45℃、好ましくは35℃〜40℃に加温する。この加温するジャケットには熱交換器を通過した温水が使用されてもよい。
次いで、硝酸ナトリウムが溶解釜へ投入される。硝酸ナトリウムとしては、一般のパウダータイプ、顆粒タイプが使用される。硝酸ナトリウムは粒子状であることが好ましい。硝酸ナトリウムは消防法の危険物第1類、第3種酸化性固体のため取り扱いに注意が必要である。ロータップ法で測定された硝酸ナトリウムの最大径が2mm以上の粒子の割合が、90質量%以上である場合、消防法の危険物第1類に該当しないので安全性の観点からより好ましい。例えば、日本化成株式会社製の硝酸ナトリウムが使用できる。
硝酸ナトリウムの投入量としては、得られる水溶液中の濃度が10質量%〜40質量%になる量が投入される。この硝酸ナトリウム投入前の過酸化水素水溶液の温度は30℃〜45℃、好ましくは35℃〜40℃であることがより好ましい。
硝酸ナトリウムの投入量としては、得られる水溶液中の濃度が10質量%〜40質量%になる量が投入される。この硝酸ナトリウム投入前の過酸化水素水溶液の温度は30℃〜45℃、好ましくは35℃〜40℃であることがより好ましい。
過酸化水素水溶液を撹拌しながら徐々に紛体の硝酸ナトリウムを投入して溶解させるが、硝酸ナトリウムの溶解は吸熱であるために溶解釜のジャケットに過酸化水素の加温に使用された熱媒である温水を通して加温しながら溶解しているが、溶解開始の30℃〜45℃より吸熱のために低下する。従って、溶解操作の終了は一旦低下した溶液温度が溶解釜のジャケットに通水した温水により上昇を開始し、所定の温度になった時点を溶解作業の終了とする。この温度は好ましくは24℃〜28℃である。この温度に達した時点で溶解作業は終了として、製品の分析を行う。
過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液は、使用水の品質、硝酸ナトリウムの品質によっては、製品の製造中または製品を長期保管した場合、製品中の過酸化水素の安定性が不安定となり、所定の濃度を含有した製品が得られない場合がある。
この対策として、過酸化水素の分解を抑制する安定剤の添加が有効である。安定剤としは、アミノアルキルリン酸系キレート剤が有効である。アミノアルキルリン酸系キレート剤の具体例としては、アミノアルキルリン酸系キレート剤が、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMPA)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)挙げられる。これらのキレート剤の添加量としては、製品当たり0.01質量%〜0.1質量%、好ましくは0.03質量%〜0.06質量%である。キレート剤の添加場所は、希釈水に混合する、過酸化水素水溶液に混合する、希釈水と過酸化水素水溶液を混合した希釈過酸化水素水溶液に添加する、過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液を製造した後に混合することができるが、好ましくは硝酸ナトリウムを添加する前に添加するのが好ましい。これにより、長期保存しても硝酸ナトリウムの析出のない、かつ過酸化水素の安定性の優れた製品を製造することができる。
この対策として、過酸化水素の分解を抑制する安定剤の添加が有効である。安定剤としは、アミノアルキルリン酸系キレート剤が有効である。アミノアルキルリン酸系キレート剤の具体例としては、アミノアルキルリン酸系キレート剤が、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMPA)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)挙げられる。これらのキレート剤の添加量としては、製品当たり0.01質量%〜0.1質量%、好ましくは0.03質量%〜0.06質量%である。キレート剤の添加場所は、希釈水に混合する、過酸化水素水溶液に混合する、希釈水と過酸化水素水溶液を混合した希釈過酸化水素水溶液に添加する、過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液を製造した後に混合することができるが、好ましくは硝酸ナトリウムを添加する前に添加するのが好ましい。これにより、長期保存しても硝酸ナトリウムの析出のない、かつ過酸化水素の安定性の優れた製品を製造することができる。
上記の硝酸塩含有過酸化水素水溶液を製造する装置を図1に例示した。溶解釜aは、攪拌翼b及び溶解釜ジャケットcを具備する。原料である過酸化水素水溶液は、過酸化水素水溶液供給管gより溶解釜aへ投入する。熱媒体(例えば、温水)fは、熱媒タンクeへ、所定の温度で供給され、溶融釜ジャケットcとの間で循環し所定温度に加温する。硝酸ナトリウムフレコンバックhより硝酸ナトリウム、安定剤貯蔵タンクiより安定剤を溶解釜aへ投入する。硝酸ナトリウムの溶解が終了した後、ポンプoを介して、製品を取り出す。即ち、図1に示す装置は、過酸化水素水溶液を希釈すること無く、そのまま用い、過酸化水素水溶液の加温は溶解釜のみで加温する装置である。
さらに好ましい装置として図2が挙げられる。溶解釜jは、攪拌翼k及び溶解釜ジャケットlを具備する。原料である過酸化水素水溶液は、過酸化水素水溶液供給管qより供給され、希釈水をrより投入し静止型混合器を介して、熱交換器oにより加温した後、溶解釜jへ投入する。熱媒体(例えば、温水)pは、熱媒タンクnへ、所定の温度で供給され、熱交換器o、さらに溶解釜ジャケットlとの間で循環する。硝酸ナトリウムフレコンバックsより硝酸ナトリウム、安定剤貯蔵タンクtより安定剤を溶解釜jへ投入する。硝酸ナトリウムの溶解が終了した後、ポンプoを介して、製品を取り出す。即ち、図2に示す装置は、原料である過酸化水素水溶液を水で所定濃度に希釈することもでき、熱交換器により加温した後、溶解釜へ供給する装置である。熱媒体は、熱交換器、溶解釜ジャケット、熱媒タンクを循環する。このような装置を用いることにより、効率良く硝酸塩含有過酸化水素水溶液を製造できる。
さらに好ましい装置として図2が挙げられる。溶解釜jは、攪拌翼k及び溶解釜ジャケットlを具備する。原料である過酸化水素水溶液は、過酸化水素水溶液供給管qより供給され、希釈水をrより投入し静止型混合器を介して、熱交換器oにより加温した後、溶解釜jへ投入する。熱媒体(例えば、温水)pは、熱媒タンクnへ、所定の温度で供給され、熱交換器o、さらに溶解釜ジャケットlとの間で循環する。硝酸ナトリウムフレコンバックsより硝酸ナトリウム、安定剤貯蔵タンクtより安定剤を溶解釜jへ投入する。硝酸ナトリウムの溶解が終了した後、ポンプoを介して、製品を取り出す。即ち、図2に示す装置は、原料である過酸化水素水溶液を水で所定濃度に希釈することもでき、熱交換器により加温した後、溶解釜へ供給する装置である。熱媒体は、熱交換器、溶解釜ジャケット、熱媒タンクを循環する。このような装置を用いることにより、効率良く硝酸塩含有過酸化水素水溶液を製造できる。
次に本発明の方法を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は要旨を超えない
限り以下の実施例によって限定されるものではない。尚、%は質量%である。
限り以下の実施例によって限定されるものではない。尚、%は質量%である。
分析方法を以下に示した。
過酸化水素濃度(H2O2濃度);硝酸ナトリウムが完全に溶解した場合のみ、KMnO4滴定法により測定した。
硝酸ナトリウム濃度(NaNO3濃度);硝酸ナトリウムが完全に溶解した場合のみ、過酸化水素を過酸水素分解酵素で分解後、イオンクロマトグラムで硝酸イオン濃度を測定した。
過酸化水素残存率(H2O2残存率);下記式(I)より算出した。
過酸化水素濃度実測値/過酸化水素濃度理論値×100 (%) ・・・(I)
硝酸ナトリウム溶解性(NaNO3溶解性);溶け残りの有無を目視で判定し、溶け残りがある場合を「×」、溶け残りが無い場合を「○」と評価した。
過酸化水素濃度(H2O2濃度);硝酸ナトリウムが完全に溶解した場合のみ、KMnO4滴定法により測定した。
硝酸ナトリウム濃度(NaNO3濃度);硝酸ナトリウムが完全に溶解した場合のみ、過酸化水素を過酸水素分解酵素で分解後、イオンクロマトグラムで硝酸イオン濃度を測定した。
過酸化水素残存率(H2O2残存率);下記式(I)より算出した。
過酸化水素濃度実測値/過酸化水素濃度理論値×100 (%) ・・・(I)
硝酸ナトリウム溶解性(NaNO3溶解性);溶け残りの有無を目視で判定し、溶け残りがある場合を「×」、溶け残りが無い場合を「○」と評価した。
実施例1〜12
本検討は図1に示した装置で実施した。所定濃度の過酸化水素水溶液をプレート式熱交換器(図1のf)を通して所定温度に加温し、ジャケットを具備した20Lの溶解釜(図1のa)に投入した。実施例1〜4では、図1のhより供給した35質量%過酸化水素水溶液へ、図1のiより希釈水を添加し、静止型混合器により混合して得られた20質量%の過酸化水素水溶液15Kgを溶解釜へ投入した。実施例5〜8では、45質量%の過酸化水素水溶液15kgを希釈せずにそのまま溶解釜へ投入した。実施例9〜12では、60質量%の過酸化水素水溶液15Kgを希釈せずにそのまま溶解釜へ投入した。溶解釜には熱交換器(図1のf)を通した熱媒体である温水をジャケットに通水して溶解釜を加温した。次いで、撹拌しながら所定量の硝酸ナトリウム(日本化成株式会社製、硝酸ナトリウムの粒子の90質量%以上が、最大径が2mm以上)を図1のjより投入して溶解を開始した。溶解開始30分後の生成水溶液の硝酸ナトリウム及び過酸化水素を分析し濃度を測定した。
本検討は図1に示した装置で実施した。所定濃度の過酸化水素水溶液をプレート式熱交換器(図1のf)を通して所定温度に加温し、ジャケットを具備した20Lの溶解釜(図1のa)に投入した。実施例1〜4では、図1のhより供給した35質量%過酸化水素水溶液へ、図1のiより希釈水を添加し、静止型混合器により混合して得られた20質量%の過酸化水素水溶液15Kgを溶解釜へ投入した。実施例5〜8では、45質量%の過酸化水素水溶液15kgを希釈せずにそのまま溶解釜へ投入した。実施例9〜12では、60質量%の過酸化水素水溶液15Kgを希釈せずにそのまま溶解釜へ投入した。溶解釜には熱交換器(図1のf)を通した熱媒体である温水をジャケットに通水して溶解釜を加温した。次いで、撹拌しながら所定量の硝酸ナトリウム(日本化成株式会社製、硝酸ナトリウムの粒子の90質量%以上が、最大径が2mm以上)を図1のjより投入して溶解を開始した。溶解開始30分後の生成水溶液の硝酸ナトリウム及び過酸化水素を分析し濃度を測定した。
硝酸ナトリウム濃度10質量%〜40質量%の過酸化水素水溶液を製造する場合、使用過酸化水素水溶液濃度として20質量%〜60質量%の過酸化水素を30℃以上、45℃以下に加温することにより30分間で完全に溶解した硝酸ナトリウム含有過酸化水素水溶液を製造することができた。
比較例 1〜12
過酸化水素水溶液の温度を変更した以外、実施例1〜12と同様の条件で実施した。
過酸化水素水溶液の温度を変更した以外、実施例1〜12と同様の条件で実施した。
表2に結果を記した。硝酸ナトリウムの溶解時の吸熱反応が大きいため、過酸化水素水溶液の加温温度25℃以下では硝酸ナトリウムが一部溶解しなかった。一方、過酸化水素水溶液の加温を50℃以上とした場合、硝酸ナトリウムは完全溶解したが、過酸化水素は分解して所定の過酸化水素濃度が得られなかった。
以上、実施例1〜12及び比較例1〜12の結果より、硝酸ナトリウム10質量%〜40質量%含有過酸化水素水溶液を製造する場合は、20質量%〜60質量%の過酸化水素水溶液を30℃以上、45℃以下に加温して硝酸ナトリウムを溶解する必要がある。
実施例 13〜16
原料硝酸ナトリウム6.43kg、原料過酸化水素水溶液は45質量%品を41質量%までイオン交換水で希釈して使用した以外、実施例1〜12と同様に行った。
原料硝酸ナトリウム6.43kg、原料過酸化水素水溶液は45質量%品を41質量%までイオン交換水で希釈して使用した以外、実施例1〜12と同様に行った。
比較例 13〜16
原料過酸化水素水溶液温度以外は実施例13〜16と同様に行った。
原料過酸化水素水溶液温度以外は実施例13〜16と同様に行った。
表4に結果を示した。この組成の場合、硝酸ナトリウムの溶解度近くとなり、原料過酸化水素水溶液温度を下げると硝酸ナトリウムが未溶解となった。一方、原料過酸化水素水溶液温度を上げ過ぎると、過酸化水素が分解し所定濃度の製品が製造できなかった。従って、本条件における原料過酸化水素水溶液の温度は30℃〜45℃が最適であった。
実施例6と実施例14の溶解時間、溶液温度に対する生成水溶液中の硝酸ナトリウムと過酸化水素水溶液の濃度の関係を検討した。
表5に結果を示した。実施例6、14の両条件とも溶液温度が24℃〜28℃時点で
硝酸ナトリウムが完全に溶解した。過酸化水素残存率は溶解温度が高くなると低下した。
実施例 17〜22
実施例 14と同様に製造した過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液に、
更に下記安定剤をそれぞれ純分で0.05質量%添加した場合の水溶液の2ヶ月後の安定性をみた。
初期濃度; NaNO3 30.1質量%、H2O2 28.6質量%
安定剤;ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMPA)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)
実施例 14と同様に製造した過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液に、
更に下記安定剤をそれぞれ純分で0.05質量%添加した場合の水溶液の2ヶ月後の安定性をみた。
初期濃度; NaNO3 30.1質量%、H2O2 28.6質量%
安定剤;ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMPA)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)
本発明の製造方法により製造された高濃度硝酸ナトリウム含有高濃度過酸化水素水溶液は、主にイオウ系の臭気除去薬剤として使用される。さらに詳しくは、下水処理場の硫黄系臭気除去薬剤、工場の硫黄系臭気除去薬剤として、またビルの雑廃槽中の硫黄系臭気除去剤として利用される。
Claims (19)
- 下記工程(1)〜(3)を有することを特徴とする、硫黄系臭気物質の消臭薬剤である過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
工程(1):20質量%以上60%質量以下の過酸化水素水溶液を用意する工程。
工程(2):工程(1)で用意した過酸化水素水溶液を溶解釜に投入し、熱媒体により30℃以上45℃以下に加温する工程、又は工程(1)で用意した過酸化水素水溶液を熱媒体により30℃以上45℃以下に加温し、溶解釜に投入する工程。
工程(3):過酸化水素水溶液が入った溶解釜にパウダー又は顆粒の硝酸ナトリウムを投入し、硝酸ナトリウムを溶解し、溶解温度が24℃から28℃になった時点で溶解操作を終了する、硝酸ナトリウム濃度が10質量%以上40質量%以下である過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液を得る工程。 - 前記工程(2)において、過酸化水素水溶液を35℃以上40℃以下に加温する、請求項1記載の水溶液の製造方法。
- 前記工程(1)において、45質量%以上60質量%以下の過酸化水素水溶液を41質量%に希釈し、さらに前記工程(3)において、得られる水溶液中の硝酸ナトリウム濃度が30質量%である、請求項1及び2に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
- 前記硝酸ナトリウムの粒子の90質量%以上が、最大径が2mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
- 安定剤として、水溶液中にアミノアルキルリン酸系キレート剤を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
- 前記アミノアルキルリン酸系キレート剤を、硝酸ナトリウムを投入するより前に添加する、請求項5に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
- 前記アミノアルキルリン酸系キレート剤が、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(NTMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMPA)、及びヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)からなる群より選ばれる一種以上である、請求項5又は6に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
- 前記工程(2)において使用した熱媒体により、前記工程(3)で使用する溶解釜を加温する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造方法。
- 過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液の製造装置であって、
パウダー又は顆粒の硝酸ナトリウムを過酸化水素水溶液に溶解するための溶解釜、
過酸化水素水溶液投入装置、
パウダー又は顆粒の硝酸ナトリウム投入装置、
過酸化水素用安定剤投入装置
を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の過酸化水素及び硝酸ナトリウムを含有する水溶液を製造する製造装置。 - 前記過酸化水素用安定剤投入装置が、前記溶解釜に連結する過酸化水素安定剤供給管を具備する、請求項9に記載の製造装置。
- 前記溶解釜が、加温するためのジャケットを具備する、請求項9又は請求項10のいずれかに記載の製造装置。
- 前記ジャケットが、熱媒体配管を具備する、請求項11に記載の製造装置。
- 前記過酸化水素水溶液投入装置が、前記溶解釜に連結する過酸化水素供給管を具備する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の製造装置。
- 前記過酸化水素供給管が、過酸化水素希釈装置を具備する、請求項13記載の製造装置。
- 前記過酸化水素希釈装置が、静止型混合器である、請求項14に記載の製造装置。
- 前記過酸化水素供給管が、加温装置を具備する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の製造装置。
- 前記加温装置に連結する熱媒体配管を具備する、請求項16に記載の製造装置。
- 前記加温装置が、プレート式熱交換器である、請求項16又は請求項17のいずれかに記載の製造装置。
- 前記ジャケットに前記加温装置で使用した熱媒体を供給するための熱媒体配管を具備する、請求項16〜18のいずれか一項に記載の製造装置。
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JP2000005772A (ja) * | 1998-06-26 | 2000-01-11 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 消臭剤 |
JP2000246234A (ja) * | 1999-02-26 | 2000-09-12 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 消臭方法及び装置 |
JP2011527288A (ja) * | 2008-07-11 | 2011-10-27 | ザノジール アーゲー | 殺菌剤を作製するための濃縮物及びその作製及び使用方法 |
-
2015
- 2015-06-04 JP JP2015113795A patent/JP5887003B1/ja active Active
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