JP2006026570A - 汚染土壌の浄化処理における中和処理方法 - Google Patents

汚染土壌の浄化処理における中和処理方法 Download PDF

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哲也 下田
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Abstract

【課題】汚染土壌の浄化処理において、浄化処理前ないし浄化処理後にアルカリ性土壌を中和し、浄化処理後もそのpHを長期的に安定した状態に保つことが可能で、環境に優しい中和処理方法を提供する。
【解決手段】汚染土壌の浄化処理において、アルカリ性の土壌をポリ硫酸第2鉄で処理する。

Description

本発明は汚染土壌の浄化処理における中和処理方法に関する。
汚染土壌の浄化処理には汚染土壌の内容等に応じ種々の方法が用いられている。
軟弱地盤の安定処理や建設発生土の再利用に際しては、主にセメントや石灰系の固化材を使用して地盤改良が行われるが、その結果、処理土のpHが非常に高くなる。そこから強アルカリの水が降雨等により流れ出て、植物の生育に悪影響を及ぼすことが多々ある。近年問題となっている汚染土壌の浄化に微生物の作用を用いる場合が多くなっているが、このようなpHの高い土壌では微生物の活性が得られず浄化できない。
また、油や揮発性の有機化合物で汚染された土壌の浄化処理法として熱脱着法があり、その前処理として土壌中の含水率を減少させるため、または熱により汚染物を除去するために、生石灰等の水和により発熱する化合物を混合することがあるが、浄化処理後の土壌のpHがアルカリ性に傾いてしまう欠点がある。
これらのアルカリ性土壌を安全に中和し、長期的に安定した中和状態を持続し、微生物や植物が生育できるような環境を維持することが望ましい。
アルカリ性土壌の中和剤としては、希硫酸、硫安、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)、硫黄等が一般的によく知られているが、硫酸は劇物であり散布により周辺の人や動物等に悪影響を与える危険性がある。硫安は肥料として用いられるものの中和剤として用いる場合アンモニア臭がひどい。硫酸アルミニウムは中和の状態は良好だが、植物の生育に悪影響を与えるリン酸アルミニウムを生成する。硫黄は中性化するまでに長時間かかるという欠点がある。
従来の土壌中和剤の問題点をまとめると次表のようになる。
Figure 2006026570
本発明の目的は、汚染土壌の浄化処理において、浄化処理前ないし浄化処理後にアルカリ性土壌を中和し、浄化処理後もそのpHを長期的に安定した状態に保つことが可能で、環境に優しい中和処理方法を提供することにある。
本発明は、第1に、汚染土壌の浄化処理において、アルカリ性の土壌をポリ硫酸第2鉄で処理することを特徴とする汚染土壌の浄化処理における中和処理方法である。
本発明は、第2に、浄化処理が微生物浄化処理であり、ポリ硫酸第2鉄による処理を微生物浄化処理の前に行う上記の方法である。
本発明は、第3に、浄化処理が熱脱着処理である上記の方法である。
本発明は、第4に、汚染土壌が油分および/または揮発性有機化合物による汚染土壌である上記の方法である。
本発明によれば、汚染土壌の浄化処理において、アルカリ性の土壌を安全、容易且つ経済性よく中和して、長期的に安定した中和状態を持続し、微生物や植物が生育できるような環境を維持することが可能となる。
本発明の中和処理が必要となる土壌は、汚染土壌の浄化処理において、浄化処理前ないし浄化処理後のいずれかの過程で中和処理が必要なアルカリ性を示す土壌であれば、その浄化処理手段等には制限されない。具体例としては、セメント安定処理や石灰安定処理等によってpHが10〜12程度の高アルカリ性となった埋立地等の土壌や、廃コンクリートが土壌に混入して高アルカリ性となった工場等の解体後の土壌等がある。これらの土壌が油等の有機化合物で汚染されている場合に微生物の分解活性を利用した微生物(バイオ)浄化を行うことが有効だが、その際にはバイオ浄化の前に中和処理が必要となる。
また、油や揮発性有機化合物で汚染された土壌を浄化する場合、含水率を低下させるため、あるいは汚染物の熱脱着作用を得るために、生石灰を土壌に混合する場合がある。この場合は、浄化処理後の土壌がアルカリ性となるため浄化処理後に中和処理が必要となる。
本発明で用いる中和剤はポリ硫酸第2鉄である。ポリ硫酸第2鉄は一般式[Fe(OH)(SO3−n/2で表すことができ、従来から上水処理用凝集剤として全鉄濃度10%程度の赤褐色の液体の状態で市販されている。
本発明でも、この市販の全鉄濃度10%程度の原液のままもしくはこれを水で希釈して、土壌に散布混合することができる。ポリ硫酸第2鉄を適量散布後、バックホウ等で均一になるように混合する。
ポリ硫酸第2鉄は安全であると共に比較的安価に市販されており、入手容易にして、取り扱いも容易である。
浄化処理にバイオ処理を用いる場合は、本発明の中和処理によって中和が完了したところで栄養剤を添加し、浄化に供する。浄化処理に熱脱着法を用いる場合は、生石灰混合後、所定の浄化処理終了後に本発明の中和を行う。
粗砂に生石灰2%を混合したものを試料とした。生石灰は粗砂中の水分と水和反応を起こして消石灰になる。その時の土壌pHは12.6であった。これに、ポリ硫酸第2鉄を原液の5倍希釈溶液で添加したところ、原液の添加濃度として1%で中和することができた。1ヶ月後のpHは、初期pHとほとんど変化していなかった。
Figure 2006026570
工場跡地から掘削した油汚染土壌(油分濃度1%、pH5.15)に生石灰を4%添加して含水率を下げ、さらに200℃のキルン内で加熱することにより油分を気化除去し、油分濃度500ppm以下の浄化土壌を得た。この浄化処理後の土壌のpHは10.9であった。この土壌にポリ硫酸第2鉄を原液の添加濃度として0.5〜5%添加混合し、pHを測定したところ、4〜5%で中和できた。また、2〜3%の添加量でも1〜2ヶ月後のpHは中性に近づいた。
Figure 2006026570
工場跡地から掘削した油汚染土壌(油分濃度2,900mg/kg、pH9.7)にポリ硫酸第2鉄を添加しpHを7.8とした。この土壌に、通気改善材としてピートモスを20%(v/v)、栄養塩として、硫酸アンモニウムを窒素分250mg/kg−soilとなるように、過リン酸石灰をリン分50mg/kg−soilとなるように添加した。含水率は20%を目標に調整した。1〜2週間毎に、含水率の調整および耕うん機による混合を行うことで水分と酸素を供給した。2ヶ月後の油分濃度は900mg/kg(油分除去率69%)となり、油膜および油臭は除去できた。一方、中和処理を行わなかった場合、4週間後の油分濃度は2,000mg/kg(油分除去率31%)と高く、油膜および油臭も残った。
揮発性有機化合物としてベンゼンを含有する土壌(ベンゼン溶出量0.06mg/l)に生石灰を混合し、水和反応熱による発熱によりベンゼンを揮発除去した(ベンゼン溶出量0.005mg/l)。この時のpHは10.7であった。この浄化土壌にポリ硫酸第2鉄を5%添加して中和した。中和前および中和後の浄化土壌を用いてレタスの生育試験を行ったところ、60日後のポリ硫酸第2鉄で中和した土壌での生育状況は、中和前の土壌のものと比較して2倍ほど高い成長率であった。

Claims (4)

  1. 汚染土壌の浄化処理において、アルカリ性の土壌をポリ硫酸第2鉄で処理することを特徴とする汚染土壌の浄化処理における中和処理方法。
  2. 浄化処理が微生物浄化処理であり、ポリ硫酸第2鉄による処理を微生物浄化処理の前に行う請求項1に記載の方法。
  3. 浄化処理が熱脱着処理である請求項1に記載の方法。
  4. 汚染土壌が油分および/または揮発性有機化合物による汚染土壌である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102150490A (zh) * 2010-12-23 2011-08-17 暨南大学 一种无机高分子土壤改良剂改良苏打碱化土壤为水田的方法
US8177879B2 (en) 2006-03-29 2012-05-15 Mitsubishi Materials Corporation Arc start material for electroslag remelting of superalloy and arc starting method employing the arc start material
JP2015029982A (ja) * 2013-08-07 2015-02-16 大和ハウス工業株式会社 汚染土壌の浄化方法

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