JP2015029982A - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従前のバイオレメディエーション法による浄化方法に比べて飛躍的な浄化効果の向上および浄化効果の維持を図ることができる汚染土壌の浄化方法が望まれていた。
【解決手段】汚染土壌中の汚染物質の炭素成分100重量部に対して、尿素、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムから選択される1種または2種以上の窒素系化合物を窒素成分として5〜10重量部と、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン酸緩衝液から選択される1種または2種以上のリン系化合物をリン成分として1〜5重量部混合することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、汚染土壌の浄化方法に係り、さらに詳しくは従前の浄化方法に比べて飛躍的な浄化効果の向上および浄化効果の維持を図ることができる汚染土壌の浄化方法に関するものである。
近年、工場やガソリンスタンドなどの跡地を再利用する際に、跡地の土壌が鉱物油やその他の化学物質などに汚染されている場合があり、これら汚染土壌への対策が必要になっている。
従来から、これら汚染土壌に対する一般的な処理方法として、汚染土壌の掘削除去により土壌の入れ替えを行う方法(掘削除去法)、「フェントン法」や「ホットソイル法」などに代表される化学薬品を用いる方法(化学処理法)などが用いられている。
しかしながら、掘削除去法は迅速な対応はできるものの、汚染土壌の搬出、廃棄、非汚染土壌の搬入が必要であることからコストが高くなるという問題があり、さらに汚染土壌自体を改質するものではないという欠点がある。
また、化学処理法は汚染土壌自体を改質するという長所はあるものの、激しい発熱反応を伴うことから作業時の安全対策を厳重にする必要があり、また、掘削除去法のような土壌の入れ替え程ではないにせよ、相応のコストがかかるという欠点がある。
さらに、「ホットソイル法」においては、反応熱を用いて汚染土壌中の汚染物質を揮発する方法であることから、揮発した物質の臭気による周辺地域などの環境への配慮が必要になることや土壌が強アルカリになるという欠点がある。
そこで近年、微生物が有する汚染物質の分解能を利用したバイオレメディエーション法による浄化方法が注目されている。そしてこのようなバイオレメディエーション法は汚染土壌中存在している微生物や外部から汚染土壌に投入する微生物の活性を維持することが重要であることから、かかる微生物の活性を維持するために各種の方法が考案されている。(特許文献1〜5参照)
特開2012−71255号公報 特開2007−90245号公報 特開2002−307051号公報 特開2006−55696号公報 特開2010−22978号公報
しかしながら、特許文献1〜5に記載されている従前のバイオレメディエーション法においては、いずれも一定の効果は認められるものの、浄化の程度や浄化効果の維持という点においては依然として不十分な点があった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、従前の浄化方法に比べて飛躍的な浄化効果の向上および浄化効果の維持を図ることができる汚染土壌の浄化方法の提供を目的とする。
本願発明者らは、今回鋭意検討を重ねた結果、特定の種の窒素系化合物およびリン系化合物を、汚染土壌中の汚染物質の炭素成分に対して特定の混合比率で混合することによって、始めて従前の浄化方法に比べて高い浄化効果を得ることができるという知見を得た。すなわち、本発明は以下の手段を用いることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る汚染土壌の浄化方法は、汚染土壌中の汚染物質の炭素成分100重量部に対して、尿素、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムから選択される1種または2種以上の窒素系化合物を窒素成分として5〜10重量部と、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン酸緩衝液から選択される1種または2種以上のリン系化合物をリン成分として1〜5重量部混合することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る汚染土壌の浄化方法は、汚染土壌中の汚染物質の炭素成分100重量部に対して、尿素、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムから選択される1種または2種以上の窒素系化合物を窒素成分として5重量部と、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン酸緩衝液から選択される1種または2種以上のリン系化合物をリン成分として2重量部混合し、かつ、窒素系化合物とリン系化合物を混合した後の汚染土壌の含水率を混合前より0.5〜10重量%上昇させることを特徴とする。
本発明の浄化方法には、尿素、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムから選択される1種または2種以上の窒素系化合物と、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン酸緩衝液から選択される1種または2種以上のリン系化合物の2種の栄養塩を用いることが必要である。
このように栄養塩としての特定の化合物を用いることによって、従前の浄化方法に比べて飛躍的な浄化効果の向上とともに、浄化効果の維持を図ることができるのである。そして、上記の中でも、窒素系化合物については尿素を、リン系化合物についてはリン酸二水素カリウムを用いることが好ましい。
そして、本発明の浄化方法はさらに上記の栄養塩(窒素系化合物およびリン系化合物)を、汚染土壌中の汚染物質の炭素成分に対して特定の混合比率で混合することが必要である。
具体的には、汚染土壌中の汚染物質の炭素成分100重量部に対して、窒素系化合物を窒素成分として5〜10重量部とリン系化合物をリン成分として1〜5重量部混合することが必要である。
ここで、栄養塩が汚染土壌中の汚染物質の炭素成分に対して少なくなると特許文献1〜5に示す従前のバイオレメディエーション法とほとんど変わらない浄化効果しか得ることができず、一方、栄養塩が汚染土壌中の汚染物質の炭素成分に対して多くなりすぎると微生物の活性が逆に損なわれることとなり浄化効果が低下することになり好ましくない。特に、窒素系化合物が多くなりすぎると、微生物の活性が損なわれるだけでなく、窒素系化合物が汚染土壌中においてアンモニアに変化してしまい、汚染土壌が毒性を有してしまうことになる。
そして、上記の数値範囲の中でも、窒素系化合物については5重量部、リン系化合物については2重量部を混合することが最も好ましい。
なお、かかる窒素系化合物およびリン系化合物などの栄養塩は、固体の状態で汚染土壌に混合しても良いが、微生物の活性を向上させるためには水溶液などの液体の状態で混合することが好ましい。
ここで、栄養塩を溶かすための水分量が多いと土壌への栄養塩投与量が増えることになり、その結果、高含水率土壌になり嫌気環境を招いてしまい、汚染土壌の浄化の効率が低下してしまう恐れがある。一方、水分量が少ないと尿素などの構成成分が溶解しきらず沈殿する恐れがあり、正確に必要成分量を投与することができなくなる。
従って、栄養塩を水溶液にして混合する場合には、混合後の含水率が混合前より0.5〜10重量%上昇するように水分量を調整することが好ましい。
さらに、本発明の浄化方法においては、微生物の活性を保持するために栄養塩を混合した後の汚染土壌の温度を5〜40℃に保持することが好ましい。そして、上記の数値範囲に中でも、30℃に保持することが好ましい。
本発明に係る汚染土壌の浄化方法によれば、従前の浄化方法に比べて飛躍的な浄化効果の向上を図ることができる。
実施例および比較例の汚染土壌の浄化を行った際の残存油分濃度の測定結果を示すグラフである。
本発明の汚染土壌の浄化方法を実施例と比較例に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施例は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
(実施例1)
まず、50mlの水に尿素2.68g、リン酸二水素カリウム2.20gを溶解することによって栄養塩水溶液を作製した。次に、A重油を5000mg/kg−soilの濃度で混合した模擬土壌100gにかかる栄養塩水溶液を1ml混合することによって実施例1の汚染土壌を作製した。なお、この際における、汚染土壌中の汚染物質の炭素成分、窒素系化合物中の窒素成分、リン系化合物中のリン成分の比(重量部比)はC:N:P=100:5:2であった。また、この際の汚染土壌の水分量は15重量%(混合前より含水率が1重量%上昇)であった。
(実施例2〜6)
表1に示すように窒素系化合物とリン系化合物の混合比率を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6の汚染土壌を作製した。
(実施例7)
表1に示すようにリン系化合物をリン酸水素二アンモニウムに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例7の汚染土壌を作製した。
(比較例1、2)
表1に示すように尿素とリン酸二水素カリウムの混合比率を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1、2の汚染土壌を作製した。
(比較例3)
また、汚染土壌のみ(窒素系化合物およびリン系化合物を混合しないブランクの汚染土壌)を比較例3の汚染土壌とした。
(残存油分濃度の測定)
次に、上記した実施例1〜7および比較例1〜3の汚染土壌を30℃に保持して、混合直後(0日目)と14日後の残存油分濃度の測定を行った。なお、具体的にはサンプリングした汚染土壌中の油分を溶剤(H−997(1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン)、旭硝子社製、品番AK−225)で抽出することによって測定した。結果を図1に示す。
図1の結果から、窒素系化合物とリン系化合物の混合比率を適正な比率にした実施例の汚染土壌については、全て14日後において残存油分濃度が低下した。
特に、尿素を5重量部、リン酸二水素カリウムを2重量部混合した実施例1の汚染土壌については、残存油分濃度が41%まで低下し、極めて高い油分の分解効果が認められた。
一方、比較例の汚染土壌については実施例に比べて改質効果が低く、特に実施例1と比べた場合には、14日後の残存油分濃度が1.6〜2.2倍(23〜48%)も多くなるという結果となった。
以上のことから、特定種の窒素系化合物およびリン系化合物を汚染土壌中の汚染物質の炭素成分に対して特定の混合比率で混合するという、本発明の汚染土壌の浄化方法は、従前の浄化方法に比べて高い浄化効果が得られることがわかった。特に、窒素系化合物を窒素成分として5重量部、リン系化合物をリン成分として2重量部混合した実施例1の汚染土壌については、従前の浄化方法に比べて飛躍的な浄化効果が得られることがわかった。
本発明はバイオレメディエーション法による汚染土壌の浄化に用いることができる。

Claims (2)

  1. 汚染土壌中の汚染物質の炭素成分100重量部に対して、
    尿素、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムから選択される1種または2種以上の窒素系化合物を窒素成分として5〜10重量部と、
    リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン酸緩衝液から選択される1種または2種以上のリン系化合物をリン成分として1〜5重量部混合することを特徴とする汚染土壌の浄化方法。

  2. 汚染土壌中の汚染物質の炭素成分100重量部に対して、
    尿素、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムから選択される1種または2種以上の窒素系化合物を窒素成分として5重量部と、
    リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素カリウム、過リン酸石灰、重過リン酸石灰、リン酸緩衝液から選択される1種または2種以上のリン系化合物をリン成分として2重量部混合し、
    かつ、前記窒素系化合物と前記リン系化合物を混合した後の汚染土壌の含水率を混合前より0.5〜10重量%上昇させることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
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